肥料用として輸入される魚粉の精密検査実施要領 飼 - 農林水産省

平成22年10月12日
22動検第621号
飼料用、肥料用として輸入される魚粉の精密検査実施要領
飼料用、肥料用として輸入される魚粉については、
「動物性加工たん白の輸入一時
停止措置について」
( 平成17年8月12日付け17消安第2891号消費・安全局
長通知)により、製造工場において魚粉以外の動物性加工たん白を使用していない
ことが輸出国政府機関により証明されたもの以外は輸入一時停止措置が採られてい
ることから、牛海綿状脳症(以下「BSE」という。
)の我が国への侵入防止に万全
を期するため、その輸入に当たり、輸出国政府機関の発行する証明書の確認に加え、
以下により、精密検査を実施することとする。
1
精密検査の対象物等について
(1) 対象物
魚粉(混合飼料、配合飼料等魚粉を一成分とし、他に複数の成分を含有して
いること等から明らかに魚粉とは異なる品目と判断されるものを除く。以下同
じ。)のうち、飼料用(飼料の原料に供されるものを含む。以下同じ。
)又は肥
料用(肥料の原料に供されるものを含む。以下同じ。
)の用途に供されるもの若
しくは飼料用又は肥料用の用途に供される可能性のあるもの(以下「飼・肥料
用魚粉」という。)。
ただし、飼・肥料用魚粉が外洋航海船舶内において製造されたものであるこ
とが輸出国政府機関等の発行する証明書により確認できるものは対象としない。
(2) 対象国又は地域
すべての国又は地域
2
輸入検査の申請方法について
家畜防疫官は、飼・肥料用魚粉を輸入しようとする者に対し、原則として輸出
国政府機関の発行する検査証明書によって証明されたロットを単位として輸入検
査申請を行うよう指示する。
3
精密検査に供する標本の抽出方法について
(1) 別紙のBSE発生国から輸入された飼・肥料用魚粉について
すべての輸入検査申請を対象とし、無作為に3か所以上から抽出する。
(2) 上記(1)以外の国又は地域から輸入された飼・肥料用魚粉について
ア 次のとおりとする。ただし、イに該当する飼・肥料用魚粉を除く。
一の国又は地域について、精密検査の結果、魚粉
以外の動物性加工たん白が使用されているおそれ
標本の抽出率
が認められ、輸入一時停止中の製造工場の数
0
10%
1
20%
2以上
50%
(ア) なお、当該抽出率については精密検査の結果等を踏まえ変更する場合が
ある。
(イ) 無作為に3か所以上を抽出する。
イ
輸入一時停止措置が解除となった工場(以下「解除工場」という。
)から輸
入された飼・肥料用魚粉について
(ア) 輸入検査申請の50%を対象に、抽出により標本採取を行うものとする。
(イ) 17申請の精密検査を実施した結果 、すべての検査結果が陰性であった
場合には、当該製造工場を、上記(2)のアの表中左欄の製造工場の数から除
き、以降、同表の抽出率により標本採取を行うものとする。
(3) 指示に基づき精密検査を実施する飼・肥料用魚粉について
消費・安全局動物衛生課等から、精密検査の実施について指示があった場合
には、上記(1)、(2)によらず当該指示に基づき精密検査を実施する。なお、こ
の場合の標本の抽出は特に指示がない限り無作為に3か所以上を抽出する。
4
標本の採取方法について
(1) 精密検査に供する標本の採取に当たっては、二次汚染を防止するため、以下
に掲げる事項等に留意して行うものとする。
ア
無作為にコンテナから取り出した袋を開き、内容物を標本採取用のスコッ
プ等でよくかき混ぜた後、品質が均一な部分から、各袋ごとに100g程度
ずつ標本を採取すること。
イ
標本は、原則として輸出検査証明書の単位ごとにまとめて未使用のビニー
ル袋等清潔な密閉容器等に入れること。
ウ
標本採取用スコップ等は、新品のもの又はあらかじめ十分に洗浄・加熱滅
菌処理したものを用い、標本採取時には、未使用ビニール袋を被せ直接スコ
ップが標本に触れないようにすること。
エ
標本の採取時には、プラスチック製手袋等を装着し、採取標本が他の物質
により汚染することのないよう慎重に採取すること。
オ
標本の採取時に、魚粉以外の夾雑物の混入が認められる場合は、当該夾雑
物については、飼・肥料用魚粉とは別の密閉容器等に採取すること。
(2) 標本を採取した課又は出張所(以下「担当課」という。
)は、別記様式第1
号)による見本採取票を 輸入者に交付すること。
5
精密検査の実施方法について
(1) 精密検査は、精密検査部病理・理化学検査課(以下「検査課」という。
)にお
いて行うものとする。
(2) 担当課は、電子情報処理組織等を利用して精密検査の依頼を行うとともに、
別記様式第2-1号を当該検査材料に添付して検査課に標本を速やかに送付す
ること。
なお、電子情報処理組織等によらない場合には、検査課に採取した標本を送
付し、別記様式第2-2号により精密検査を依頼するものとする。
(3) 精密検査は、輸入検査申請単位で採取した標本ごとに、当該標本に係る輸入
飼・肥料用魚粉の製造工場における魚粉以外の動物性加工たん白の使用及びそ
のおそれの有無について別添により行うものとする。
6
精密検査の結果に基づく処置について
(1) 製造工場において魚粉以外の動物性加工たん白が使用されているおそれがな
いと認められる場合
検査課は、電子情報処理組織等を用いて依頼を受けた場合は、システムに結
果を登録することにより担当課及び企画調整課はシステムに蓄積された情報を
確認し、当該担当課は輸入検疫証明書を交付するものとする。
ただし、電子情報処理組織等によらない場合には、別記様式第3号により当
該検査結果を担当課及び企画調整課あてに報告し、当該担当課は輸入検疫証明
書を交付するものとする。
(2) 製造工場において魚粉以外の動物性加工たん白が使用されているおそれがあ
ると認められる場合
ア
検査課は、電子情報処理組織等を用いて依頼を受けた場合は、システムに
結果を登録することにより担当課及び企画調整課はシステムに蓄積された情
報を確認することとし、書面による報告は行わない。
ただし、電子情報処理組織等によらない場合には、別記様式第3号により当
該検査結果を担当課及び企画調整課あてに報告するものとする。
イ
「動物
上記アにより通知を受けた担当課は、当該飼・肥料用魚粉について、
性加工たん白の輸入一時停止措置について」
(平成17年8月12日付け17
消安第2891号消費・安全局長通知)の規定に基づく輸入一時停止措置の
対象品目に該当する旨を輸入者に通知するとともに、輸出国への返送、焼却
等の処置を講ずるよう指導するものとする。
ウ
上記イの処置が終了した時は、担当課は別記様式第4号により当該処置の
結果等を企画調整課あてに報告するものとする。
エ
必要があると認められる場合、企画調整課は、上記ア及びウに係る報告の
内容を別記様式第5号により、動物衛生課に報告するものとする。
HB-05
(別紙)
牛海綿状脳症(BSE)発生国(平成22年9月6日現在)
○
EU諸国
オーストリア、ベルギー、フィンランド、デンマーク、フランス、ドイツ、ギリ
シャ、アイルランド、イタリア、ルクセンブルク、ポルトガル、スペイン、スウ
ェーデン、オランダ、リヒテンシュタイン、ポーランド、チェコ、スロバキア、
スロベニア及び英国
○
EU諸国以外
イスラエル、スイス、カナダ及びアメリカ合衆国(アメリカ大陸の大部分、ハワ
イ諸島及びグアム島に限る。)
別 添
飼料、肥料用として輸入される魚粉の精密検査実施方法
1 動物性たん白の試験法について
輸入魚粉中の動物性加工たん白の検出に係る精密検査は、顕微鏡による獣骨の検出並び
に ELISA 法及び PCR 法により動物性加工たん白の検出及び動物種の判別を行う。
<参照通知>
・「反すう動物用飼料への反すう動物等由来たん白質の混入防止に関するガイドライン
の制定について」
(平成13年6月1日付け13生畜第1366号農林水産省畜産局
長通知)
・
「飼料分析基準の制定について」
(平成20年4月1日付け19消安第14729号農
林水産省消費・安全局長通知)
2 顕微鏡検査法
顕微鏡検査で獣骨、獣毛、羽毛が検出された場合は、PCR 法及び ELISA 法で動物由
来 DNA 及びたん白が確認されなくても、動物性たん白が混入していたと判定する。
(1)比重選別法(獣骨の検出)
検体1gを専用の比重分離用漏斗を用い、魚粉中の魚骨(比重 1.3~2.0)と獣骨(比
重 1.9~2.2)を比重 1.8 に調整した塩化亜鉛液により分離する。検体が比重液内で分離
したら上部漏斗内の液を捨てる。下層に分離された残渣を濾紙で濾過し、乾燥させる。
濾紙上の残渣を5%水酸化ナトリウム溶液で煮沸後、上澄み部を洗浄し、残渣を
光学顕微鏡で、倍率 40 倍から 100 倍で全量観察する。
(2)酸処理法(筋肉片、カニ殻、羽毛、獣毛などの検出)
検体2gを酸処理液 150ml(硫酸:蒸留水=1:34)に入れ、30 分煮沸する。上
澄み部を洗浄し、残渣を光学顕微鏡で、倍率 40 倍から 100 倍で観察する。
3 PCR 法
魚粉中のほ乳動物、反すう動物、牛、豚、鶏由来遺伝子混入の有無を、組織中に含ま
れるミトコンドリア DNA の各動物特異的配列を PCR 法で検出することにより確認する。
これらの動物及び鶏由来 DNA が検出された場合は、さらに ELISA 法で動物由来たん白
の有無を確認する。
(1)使用プライマー
ア ほ乳動物検出プライマー
anicon5、anicon3
イ 反すう動物検出プライマー
rumicon5D2、rumicon3D5 (201bp)
ウ 牛検出プライマー
cow52、cow31
エ 豚検出プライマー
pig5-6、pig3-6 (83bp)
オ 鶏検出プライマー
chick5-1、chick3-1 (133bp)
(2)検出法
ア ミトコンドリアDNAの抽出
(176bp)
(126bp)
各検体から試料 0.1gを取り mtDNA エクストラクターCT キット(和光純薬工業
(株))でミトコンドリア DNA を抽出する。
イ PCR 反応
抽出されたミトコンドリア DNA を、まず、ほ乳動物及び鶏検出プライマーを用
いて特定の反応条件下で増幅し、2.5%アガロースゲルを用い 100V 約 30 分泳動す
る。ターゲットとするサイズのバンドが確認されれば陽性、されない場合は陰性
とする。ほ乳動物 DNA が検出された場合、反すう動物、牛及び豚検出プライマー
を用い PCR 反応を実施する。ほ乳動物 DNA 及び反すう動物、牛、豚の各 DNA
が検出された場合、反すう動物、牛、豚の DNA が混入していたと判定する。
4 ELISA 法
PCR 法検査で各動物のミトコンドリア DNA が検出された場合、さらに ELISA 法で動
物由来たん白の混入を確認する。PCR 法及び ELISA 法とも陽性の場合、動物由来たん白
が混入していたと判定する。
検査は1検体(およそ 300g)から2試料を採取し、各試料とも2点平行で検査を実施
する。2点とも陽性の場合、その試料は陽性とし、1試料以上が陽性の検体を動物由来た
ん白が混入していたと判定する。
(1)反すう動物由来たん白の検出
PCR 法検査でほ乳動物及び反すう動物 DNA が検出された場合に実施する。1検体
から5gの試料を2か所採取し、各試料2点平行で検査する。検査は「MELISA-TEK
RUMINANT KIT for MEAT & BONE MEALS and ANIMAL FEEDS(ELISA
Technologies 製)」(検出感度 0.1~0.2%程度)による方法又はこれと同等の結果が得ら
れる方法を用いて行う。
(2)牛由来たん白の検出
PCR 法検査でほ乳動物 DNA に加え、反すう動物及び牛 DNA が検出されたか、牛
DNA が検出された場合に実施する。1検体から4gの試料を2か所採取し、各試料2
点平行で検査する。検査は「モリナガ加熱処理牛由来タンパク質検出キット (森永生科
学研究所製)」(検出感度 0.1%程度)による方法又はこれと同等の結果が得られる方法を
用いて行う。
(3)豚由来たん白の検出
PCR 法検査でほ乳動物及び豚 DNA が検出された場合に実施する。1検体から5g
の試料を2か所採取し、各試料2点平行で検査する。検査は「ELISA-TEK 加工肉種別
判定キット(豚)(ELISA Tecnologies 製)」(検出感度1%程度)による方法又はこれと同等
の結果が得られる方法を用いて行う。
(4)家きん由来たん白の検出
PCR 法検査で鶏 DNA が検出された場合に実施する。1検体から4gの試料を2か
所採取し、各試料2点平行で検査する。検査 は「モリナガ加熱処理鶏由来タンパク質
検出キット(森永生科学研究所製)」(検出感度 0.1%程度)による方法又はこれと同等の
結果が得られる方法を用いて行う。
5 判定方法
顕微鏡検査で動物由来組織が検出された場合は混入陽性とする。顕微鏡検査で動物由
来組織が検出されなくても、PCR 法及び ELISA 法検査で陽性となった場合、動物由来た
ん白が混入していたものとする。
「判定区分」
、
「動物由
以下に「試験項目と実施区分」、
「動物性たん白混入判定の流れ」、
来たん白の ELISA 試験結果の判定」を示す。
(1)試験項目と実施区分
反すう動物
ほ乳動物
顕微鏡検査
PCR
ELISA
牛
豚
鶏
反すう
牛
豚
鶏
動物
(モリナガ
(ELISA
(モリナガ
(メライザ
キット)
-TEK
キット)
キット)
○
○
○
○
○
○
△
キット)
△
○ 必ず実施する試験項目
△ PCR 法検査が陽性の場合実施する試験項目
(2)動物性たん白混入判定の流れ
不検出
顕微鏡検査
不検出
PCR 検査
鶏
検出
混入あり
混入なし
ほ乳動物
検出
検出
反すう動物 不検出
牛
混入なし
豚
検出
不検出
ELISA 検査
反すう動物
牛
豚
鶏
混入あり
混入なし
△
△
(3)判定区分
ELISA
牛
豚
鶏
反すう動物
反すう動物
ほ乳動物
顕微鏡検査
PCR
総 合 判 定
試 験 項 目
牛
豚
鶏
○
-
-
-
-
-
-
-
-
-
混入あり
●
○
○
●
●
●
○
-
-
-
反すう動物混入あり
●
○
○
●
●
●
●
-
-
-
混入なし
●
○
○
○
●
●
-
○
-
-
牛混入あり
●
○
○
○
●
●
-
●
-
-
混入なし
●
○
●
○
●
●
-
○
-
-
牛混入あり
●
○
●
○
●
●
-
●
-
-
混入なし
●
○
●
●
○
●
-
-
○
-
豚混入あり
●
○
●
●
○
●
-
-
●
-
混入なし
●
●
●
●
●
○
-
-
-
○
鶏混入あり
●
●
●
●
●
○
-
-
-
●
混入なし
●
○
●
●
●
●
-
-
-
-
混入なし
●
●
○
○
●
●
-
-
-
-
混入なし
●
●
○
●
●
●
-
-
-
-
混入なし
●
●
●
○
●
●
-
-
-
-
混入なし
●
●
●
●
○
●
-
-
-
-
混入なし
○ 検査の結果陽性
● 検査の結果陰性
- 検査を実施せず
(4)動物由来たん白の ELISA 試験結果の判定
1 検体から 2 試料を採取し、各試料 2 点平行で試験を実施する。2 点ともに陽性の場
合を陽性とし、いずれか一方が陽性の場合は陰性とする。1 試料以上が陽性の検体を陽
性と判定 する。
検 体
1
→
試 料
→ ELISA → ELISA 判定 → 判定
1-1-1
+
1-1-2
+
1-2-1
+
1-2-2
+
+
陽性
+
2
3
4
2-1-1
+
2-1-2
+
2-2-1
+
2-2-2
-
3-1-1
+
3-1-2
-
3-2-1
+
3-2-2
-
4-1-1
+
4-1-2
-
4-2-1
-
4-2-1
-
+
陽性
-
-
陰性
-
-
陰性
-
輸入魚粉の精密検査の流れ図
PCR
顕微鏡検査
陰性
(使用プライマー:①ほ乳動物、②反すう動物、③牛、④豚、⑤鶏)
反すう動物、牛陽性
豚陽性
鶏陽性
陰性
ELISA
使用キット:牛 Kit (モリナガ
社製)または反すう動物
Kit(MELISA-Tec社製)
陽性
ELISA
ELISA
使用キット:豚 Kit
(ELISATec社製)
使用キット:鶏 Kit
(モリナガ社製)
陰性
陰性
陰性
反すう動物、牛陽性
豚陽性
鶏陽性
陽 性
陰 性
陽 性
判定