イカロスの夢 異部門が手を携えて進めた 環境にやさしい工場への一歩

山武グループ PR 誌セーブメーション
5
May.2000
Harmonize
イカロスの夢
やさしい眼・やさしい手
異部門が手を携えて進めた
環境にやさしい工場への一歩
Technical Break
設備診断・保全の自動化を支える
IF-ASSET 技術
イフ
アセット
Application
南国パルプ工業株式会社
小松ガス株式会社
Savemation Spirit
顧客のオートメーション資産を診断して
コストベネフィットを満足させる
最適な改善策の提案
News&Topics
博物を楽しむ
宝くじドリーム館
イカロスの夢
しょう け い
つむ
大昔から、人間は空への憧 憬を抱い
てきた。ギリシャ神話におけるイカロスの
説話は、空に対する憧憬ゆえの切なさと、
空を飛ぶ鳥の自由に人は
憧れた。その夢は遠くギリ
シャの神話から未来の極超
音速機にいたるまで遠く果
てしない。空への夢を人は
いかにして手にしてきたのだ
ろうか。その通史には、人
が挑み続けてきた空への強
い憧れがひそみ続けている。
せて物語を紡いでいったのである。
大空への第一歩
挑んだ道の険しさに対する示唆に満ちて
大空を飛ぶために人間が最初に考え
いる。青年イカロスは父親が作った、鳥
たのは、実際に飛んでいる鳥を模倣する
ろ う
の羽をØで固めた大きな翼をはばたか
ことだった。彼らは鳥の翼に似たものを
せて空へ飛んだ。空に舞い上がり、まず
手足につけ、追い風に乗って高所からは
こんぺき
目にしたのは白い砂浜、紺碧のエーゲ海。
ばたけば空を飛べると信じていた。こうし
さらに高く飛べば、名も知れない大小の
た試みは恐らく紀元前から行われていた
島々が彼の眼下に広がる。彼は夢中で
のだろうが、文献に頻繁に現れるのは中
飛び続けた。そして高く飛びすぎたあま
世以降のことだ。結果は惨憺たるものだ
り太陽の熱でØが溶け、翼を失って海に
った。12世紀のコンスタンティノープルで
落ちて死ぬ。こうした飛翔の夢物語はギ
は、あるサラセン人が長く白いローブを身
リシャ神話に限らず、世界各地の神話、
にまとっただけで塔から飛び降りようとし
伝承に数多く存在する。また、空を飛ぶ
たこともあった。当時のビザンツ帝国皇
たど
HARMONIZE
2.May.2000 Savemation
ことでしか辿り着けない理想郷も多くの
帝も、さすがに思い留まらせようとしたが
神話に描かれている。そこには人間の持
実験は行われた。サラセン人は命こそ助
つ自我拡大欲求もあったのだろうが、神
かったものの両足を骨折。そんな彼に誰
は
話の担い手たちは、理想郷に思いを馳
からも同情の目は向けられなかったが、
移動がすべて風任せということもあって、
ち破ったのが、アメリカの建築家オクター
熱狂はそう長くは続かなかった。
ヴ・シャヌートである。彼は橋の構造をヒ
ようやく鳥のはばたきという呪縛から脱
ントに複葉式のグライダーを作り上げた。
することができたのは1799年、後に「航空
主翼を二つに分けて上下に配置すること
の父」
と呼ばれるイギリスのジョージ・ケイ
で翼面積を拡大させるこの方式は、自然
リーの出現によってであった。彼は、浮く
界には見られない形である。揚力を保っ
ための揚力を得る固定翼と、前へ進むた
たまま空気抵抗を減らすコンパクトな機体
めの推力を得る手動のフラッパーからな
が完成したのだ。そして、こうした成果が
る飛行装置を考案した。揚力と推力を
ライト兄弟の開発した「フライヤー」
に収斂
別々に発生させようとしたのである。実際
してゆくのである。
しゅうれ ん
彼は、1809年にこのアイデアによる無人グ
1903年12月17日。アメリカ・ノースカロラ
ライダーの設計制作を行い、滑空実験に
イナ州キティホークで、ライト兄弟の「フラ
成功している。この成功は、鳥の翼を子
イヤー」は4回の飛行実験を成功させた。
細に分析した結果から生まれた。翼上
4回目には兄のウィルバーによって、飛行
面がわずかに膨らんでいることで、はば
距離260m、滞空時間59秒の記録を作る。
たかなくても揚力を得ることができ、加え
この時彼らは、離陸予定地点に世紀の
て空気抵抗に打ち勝つ推力を出すこと
瞬間を撮らせるためにカメラまで配置して
ができれば飛べるということを発見したの
いたという。いったい何が彼らにそこまで
だ。この発見の後、飛行理論は加速度
の自信を持たせたのであろうか。
的に進化する。19世紀の末、
ドイツのオ
今日、
「フライヤー」が評価されているの
ットー・リリエンタールは、自らグライダーを
は、ただ単に世界で初めて動力飛行を
制作し、2000回に及ぶ滑空実験を行っ
行ったからだけではない。この飛行機に
た。彼のグライダーには、現在の飛行機
は現在の飛行機にまで至る原理のほと
に見られるような操縦のための尾翼や補
んどが内包されているゆえである。例え
助翼はなく、操縦者の重心移動によって、
ば、
「フライヤー」の主な構造は、軽い針
迎え角と呼ばれる主翼の進行方向に対
樅 材の木製翼に布を張っただけの簡単
成功への期待は人々の胸のどこかにはあ
する角度を変えることで翼の生み出す揚
なものだった。しかしその構造は、自ら作
ったろう。また記録によれば、1678年には
力を調整していた。ところが、このような人
った風胴装置を用いて2年にわたる綿密
フランスのベスニエという錠前師が自ら考
力による操縦方法では、強烈な突風に対
な科学的研究を行った成果だった。現
案した飛行装置を使って街の上を飛んだ
応しきれなかった場合には迎え角が開き
在でも十分な揚力と小さな空気抵抗を実
ことが報道されたとある。が、それが事
すぎて揚力を失ってしまうことになる。事
現させるための翼研究には風胴実験を
実であるかどうかは疑わしい。
実、1896年8月9日、実験中の事故の傷に
欠かすことができない。
はり
もみ
鳥のはばたき飛行は、はばたくというひ
より彼は死を迎えてしまった。だが彼の残
また、操縦性も彼らにとっては大きな課
とつの動作によって、自らにかかる重力を
した膨大なデータが、後々の飛行機開発
題のひとつであった。同時代の研究者た
支える揚力を生み出すと同時に、前に進
に大いに貢献することとなる。
ちが飛行機を浮かせることに躍起になっ
むための推力をも生み出している。鳥の
はばたきを外見だけ模倣しても、その精
密で巧妙なメカニズムを実現しないことに
航空機時代の到来
ているころ、彼らはすでに飛行中の姿勢
維持や旋回についての研究を行ってい
ケイリーの研究から、世界各地で航空
た。ライト兄弟以前の飛行機実験で特に
かけ
は、人間がはばたきで大空を翔るのは不
機の開発が盛んに行われ始めた。中で
多かった失敗は、飛行姿勢が上を向き
可能である。ルネサンス最大の科学者で
も、気球や飛行船に関して世界一の先
すぎて失速してしまうことだった。前述の
あるレオナルド・ダ・ヴィンチも、はばたき式
進国であったフランスでは、1890年、97
リリエンタールもこれが原因で事故を起
をはじめ、ヘリコプターの原型ともいえる
年の2回にわたって蒸気エンジンを搭載
こしている。この操縦性と安全性の実現
飛行装置のスケッチなどを数多く残して
した飛行機の実験が行われた。しかし、
こそが飛行機実用化への鍵であるとライ
いるが、それに基づいた飛行実験を行
このエンジンの形式では十分な推力と揚
ト兄弟は考えていた。そこで彼らは「フラ
ったという報告はない。ダ・ヴィンチを以
力を得ることができなかった。浮くための
イヤー」に上下運動を司る昇 降 舵と、尾
てしても机上のスケッチに終わってしまっ
揚力は、
飛行機の速度の2乗に比例する。
翼を制御し左右に向きを変える方向舵を
たのである。
つまり、エンジンのパワーが上がれば上
取り付けた。旋回については、元々自転
しょう こ う
だ
人間が安全に空を飛べるようになるに
がるほど飛行機も飛びやすくなるわけだ
車屋だったライト兄弟にとって原理は身
は、1783年11月21日、フランスのモンゴル
が、もちろん速度が上がればその分だけ
体的にわかっていた。自転車がある程度
フィエ兄弟による気球の有人飛行まで時
空気抵抗が増大する。空気抵抗を減ら
のスピードにある場合、曲がるためには
代を下らねばならない。初めて気球が空
すには機体をコンパクトにすればよいが、
ただハンドルを切っただけではうまくいか
に浮かび上がった時の観衆の熱狂は凄
今度は主翼の翼面積に比例する揚力が
ない。例えば、右にハンドルを切っても左
まじいものだったという。だが、熱せられ
減少してしまい、機体にかかる重力を支
側に遠心力が働いて大きく膨らんでしま
た空気によって揚力は得られたものの、
える力が得られない。このジレンマを打
うため、曲がる方向に体重をかけてバラ
Savemation 2000.May.3
ンスを 取 る 必
要がある。空中でも同
じことがいえる。方向舵
を切れば空中を一周でき
るように思われるが、実際
に右旋回する時には、左向
きの遠心力に対抗するため、
機体を傾けて揚力の一部でバ
は、過給機を用いることで空気を圧縮す
ランスを取らねばならない。その
る装置に大量の酸素を送ることによって解
ため、旋回時には速度を上げて翼
決できるが、
一方、
この過給機の作動にエ
にかかる揚力を増やさなければ高度
ンジンの出力を割かねばならなかった。
を失ってしまうことになる。そこでライト兄
以上のようなさまざまな問題は、すべて
弟は、旋回時に両翼を反らせるとともに
これまでのエンジンが飛行機のために作
操縦者が重心を移動させることで機体を
られたものではないという点にある。設
内側に傾ける方式をとった。自転車屋な
計思想が違うのだ。これを解決する画期
らではのユニークな方法といえるが、完
いた。ライト兄弟の「フライヤー」には、
的なアイデアが生まれた。1930年イギリ
全に旋回を行えるようになるには2年間も
1901年から彼らに雇われていた機械工
スのフランク・ホィットルが発明したジェット
かかったという。現在では機体も大きくな
チャーリー・テーラーの手によるガソリンエ
エンジンである。この時彼は、すでに実
っているため、主翼の両端に補助翼を取
ンジンが搭載されていた。このエンジン
用化されていたガスタービンに目を付け
り付け、旋回時には左右で逆方向に補
は別名レシプロエンジンとも呼ばれ、シリ
た。ガスタービンとは、高温ガスと燃焼ガ
助翼を動かすことで機体を傾けている。
ンダー内でガスと空気の混合物を圧縮し
スが混合されることで爆発して生まれる
ライト兄弟は「フライヤー」
によって、操縦方
爆発させるというもので、現在の自動車に
高温・高圧の気流をタービンに当てて回
法をはじめ原理的には現在の飛行機とほ
も用いられている。人力や蒸気機関では
転させる装置である。この装置ならば最
ぼ同じものを開発したのである。この成功
飛ぶのに必要な推進力を確保できない
初から回転運動を生み出すことができる
こそが「飛行機の世紀」
と呼ばれる20世
ため、すでに成功を収めていた自動車エ
ため、エンジン周りの機構を大いに簡易
紀の幕開けを告げるものだった。
ンジンに白羽の矢を立てたのである。し
化することができる。さらに、廃棄される
かし、シリンダーの上下運動をプロペラの
ガスを後方に噴出する反作用を推力に
飛行機の世紀
回転運動に換える機構は、エンストが致
用いることで、プロペラによる推力よりさら
人間の欲望に限りはない。空を飛べ
命的な事故を生む飛行機にとっては複雑
に効率的な前進機構としてまったく新し
るようになると今度は少しでも高く、速く飛
すぎて非効率的であり、有効なものとは
いパワーを生み出すこととなった。また、
べることをめざした飛行機の研究が進み
いえなかった。ただ飛行機は気温の低
タービンを圧縮機に直結させることで過
始めた。高く飛ぶにはより大きな揚力を
い上空を飛ぶため空冷式の冷却装置を
給機を使わなくても上空において燃焼に
生み出す機構が必要となる。前にも述べ
使うことでさらなる軽量化を行うことはで
十分な酸素を容易に確保することができ
た通り揚力は速度の2乗に比例する。よ
きた。が、高度を上げると今度は供給酸
る。唯一の問題点は、このアイデアで特
り高くより速く飛ぶためには大出力のエン
素が希薄になり十分な燃焼を行うことが
許を取ったホィットルが当時まだ23歳で、
ジンが必要となることは誰しもが思いつ
できないという難点も生まれる。この問題
実用化に必要な技術と資金を欠いてい
4.May.2000 Savemation
超音速機
(HST)
である。このHSTが成功
すれば、東京∼ニューヨーク間を2時間
程度で飛ぶことも不可能ではない。さま
ざまな技術上の問題がある
ため実現は2030年以降と
いわれているが、人類が飛
行機による大空到達からわ
ずか100年余りで宇宙を視
野に入れた飛行機技術が
生まれようとしている事実
は驚嘆に値するというほかない。
など機体の一部分に空気の圧縮された
終わらない研究
層が出現して抵抗が著しく増大するの
ハーマン・メルヴィルの『白鯨』という小
だ。これが音の壁の正体である。この衝
説の中に、海に挑む人々を描いた一節
撃波は、機体の一部で発生すると操縦
がある。この一節を読むと、大空を翔る
に大きな影響をきたす。ところが音速を
という人間には与えられなかった役割に
超えてしまえば衝撃波を伴う気流はかえ
敢えて挑戦し、これを成し遂げていった
って単純になり、機体全体の安定を取り
数々の研究者達の姿が思い起こされて
戻すことができるのである。そこで、音の
ならない。そこで、最後にこの一節を紹
壁に対する策はふたつ考えられた。ひと
介して本稿を終えようと思う。
つは現在のジェット旅客機のように衝撃
*
*
波を生み出さない速度で航行することで
「また或るひとびとの霊の中には一羽のキ
ある。現在では超臨界翼と呼ばれる衝
ャッツキル山の鷲がいて、もっとも暗黒な深
撃波影響の少ない翼の開発により、マッ
谷に躍りこむこともできれば、ふたたびその
たことであった。彼はこののち自ら会社を
ハ0.8程度までの速度が出せるようになっ
底から高く飛び立って輝く大空に姿を没す
創設し、11年後の1941年に、イギリスで
ている。しかも音速を超えない方式を用
ることもできる。そして、たとい彼が永久に
初のジェット機飛行を成功させている。
いると座席を大量に確保しやすい機体
深谷の中を飛びまわっているとしても、
そ
構造が得られるため、経済性の面からも
の深谷は高山の裡にあるのだから、
山中の
今後長い期間採用されていく方式となる
鷲がもっとも低く飛下したときでさえも、
平野
だろう。
にいる他の鳥が高飛したよりもなお高い所
「音の壁」
の先へ
ジェットエンジンの開発により、飛行機
の速度が飛躍的に上昇したことはいうま
もうひとつの方法は、安定して音速を
でもない。プロペラ機が効率的に飛行で
超える機体を開発することである。英仏
きるのはマッハ0.7が限界といわれている。
共同開発の巡航速度マッハ2を誇るコン
それに対してジェット機は、エンジンの推
コルドが有名であるが、空気抵抗の面か
力さえ上げれば理論上どこまででも速
ら機体構造が座席数を150程度しか確
度を上げることができるはずだった。とこ
保できない。結局、超音速技術は確立さ
ろが、実際に速度を音速に近づけていく
れたが、コンコルドの製造はわずか16機
と事故につながりかねないさまざまな不具
に留まった。しかし初運行の1969年から
合が発生した。この現象を映画『ライトス
30年の間、事故が起きていないことが次
タッフ』では次のように表現している。
「この
第に評価され、新たに見直され始めてい
大空には悪魔が棲んでいて、彼に挑む者
るという。
「コンコルド
(調和)
」
という名前は
にいるのである」
参考文献
「飛行機はどう進化するか」
「飛行機はどう飛ぶか」近藤次
郎著/ブルーバックスB1
1
3
3・B2
5
6/講談社
「気球の夢」喜多尾道冬著/朝日新聞社
「ライトスタッフ」WARNER HOME VIDEO
「白鯨」ハーマン・メルヴィル著/田中西二郎訳/新潮社
かん
は死ぬといわれていた。操縦桿が効かな
伊達ではなかったということだ。
くなり、機体が激しく揺れ、空中分解を起
速さへの挑戦はこれで終わったわけで
こす」
と。この「悪魔」はマッハ1の直前に
はない。しかし、これ以上のスピードを実
現れるため
「音の壁」
と呼ばれた。
現させるには、もうひとつ超えなければな
悪魔と称された音の壁の正体とは何
らない壁が存在する。それは熱の壁で
か。もちろん空に肉眼で見える壁が存在
ある。速度を上げれば上げるほど、機体
するわけではない。風胴実験において空
周りの激しい気流により摩擦熱が発生す
気の密度を観察できる装置を用いてみる
る。例えば、マッハ3程度の飛行だと、表
と、マッハ0.6を超えるあたりから
「悪魔」
面温度が400度に達することが理論上わ
が正体を現し始める。いわゆる衝撃波と
かっている。空気がある限りこの壁を突
呼ばれるものがそれである。音速を超え
破することはできない。そこで考えられた
て衝撃波が発生すると、翼の湾曲部分
のが、大気圏外をマッハ8で航行する極
Savemation 2000.May.5
広くを見つめ微細を見逃さ
ないまなざしから環境を
考える新しい技術
が生まれる。
ム
コラ
環境
)
ター
ライ
ポ
(ル
賢一
藤
・須
構成
取材
山武のポジショニング
「省エネルギーを実現するためにはきめ細かな計
測を必要とする」
。改正省エネルギー法が示す指
針のひとつである。計測データの分析に基づき省
エネルギーに対する目標や手法の具体的な企画を
図り、その実現によって環境保全に寄与する。それ
は山武の事業である「計測と制御の技術」に密接
なつながりがある。山武が、まず自らが新しい課題
にチャレンジして実績をつくるとともに、新たな手法
実現のためのノウハウを蓄積することは、ユーザー
に対する責任としても欠かすことはできない。
理念としてSavemationを掲げ、
「心地よさを人に
地球に」をうたう企業として山武は、基幹工場であ
る藤沢工場においてエネルギー計測プロジェ
クトを発足させた。
環異
境部
に門
やが
さ手
しを
い携
工え
場て
へ進
の
一め
歩た
。
成果を生みだしたことになる。
2台のコンプレッサをガス式に変更したことは「エ
ネルギーミックスによる工場全体の総体的なエネル
ギーバランスの確立」も生んだ。これはいざという
時のエネルギー供給確保の点で見逃せない。しか
も計測の結果、更新した小型ガス式コンプレッサ
は大型のものよりCO 2 排出が1/2になるとの評価
が得られたのである。
プロジェクトの目的は、省エネルギーを実現し、
環境対策を向上させることにあった。そしてプロジ
ェクトが採った手法は、きめ細かな計測が省エネル
ギーにつながるという改正省エネルギー法の指針
を実現した姿でもあった。
異部門をつないだものは
プロジェクトは
環境安全推進室を
事務局に工場内組
織を横断してつくら
れた。設備を管理し、
工場内のエネルギー消
費などを見守る立場にい
る業務課。製品のアプリケ
ーション企画を推進するマーケ
ティング 部 。この ふ
基幹工場のエネルギー計測
まず、工場の組立て設備などに圧縮
エアを供給していた大型電気式エアコ
ンプレッサ3機が老朽化により更新が
必要となったため、うち1台を更新し
た。この更新に際して山武では、自
社技術を駆使して実際の圧縮エア
流量の詳細を検出した。計測デ
ータをもとにしながら、現場での
エアに対する扱いを徹底すると
ともに、システムとして工場全
体における圧縮エア利用の
対応を図り、両面からの最適
化を図ったのである。これ
により、従来に比べて使用
量を30%削減できる見通
しが立った。そうするこ
とで、残り2台のコンプ
レッサを安心して従来
のものより小型出力
のガス式エアコンプ
レッサに更 新する
ことが可能だとい
う判 断 を 下 し た
のである。
省エネルギーをめざした計測によるデータが生み
出したひとつの成果である。エアコンプレッサによ
る圧縮エアは自社藤沢工場のみならず、さまざまな
産業の現場において安全かつ利用しやすい動力源
として重用されている。その製造を省エネルギーで
行えるということは、適用範囲の広さからも、大きな
6.May.2000 Savemation
圧縮エアは安全で利用しやすいエ
ネルギーである。工場内で圧縮エ
アを駆動力とする機器のイメージ
はこの玩具に象徴されるといって
いいかもしれない。
たつの部署が連動し得た背景を考えると、目に
見えるものとしてまずあげられるのが先進的機器
であるμF(マイクロフロー)センサであろう。より詳
細な計測によってエネルギー削減の企図を結実さ
せた機器性能がそこにはある。しかしその底流にあ
ったのは、改正省エネルギー法が示す指摘に応え
て基幹工場における省エネルギー、環境対応向上
を図ろうと努めたマインドである。具体的な目標数
値を掲げてプロジェクトを進める業務セクションの
意向に対し、マーケティング部が技術の提供を惜し
まずにこれを支えた。その姿は成功に向かってプロ
ジェクトをいかに推進してきたかを語る両者の熱さ
に充分うかがえる。企業理念であるSavemationの
精神がそこにきらりと輝いて見えた。この輝きがさ
らに基幹工場・藤沢工場を環境にやさしい工場とし
て生まれ変わらせる力になっていくはずである。
ガス式エアコンプレッサと
マイクロフローセンサ応用の
ガス流量モニタCMG(丸印)
取材協力
●塚越隆啓/(株)山武・藤沢工場・業務課
●佐藤敏幸/(株)山武・制御機器事業部
工場エネルギー計測についての問い合わせ先
■環境安全推進室
TEL (0466)20-2190 FAX (0466)20-2228
E-mail : [email protected]
ホームページ : http://www.yamatake.co.jp /femp
イフ ア セ ッ ト 設備診断・保全の自動化を支えるI
F-ASSET技術
テクニカルブレイク
「あっ、
八百屋さんに西瓜が並んでいる。初物だしひとつ買っ
転機械、配管からの漏洩検知の実証が
てみない?」
できていて、さらにさまざまな設備の診断
「うんいいね。おいしそうなものを選んでよ」
への適用が期待されている。また、情報
「うん、西瓜は叩いた音で選ぶのよね」
化技術の急速な進歩によりオープン化
「そうだね。そういえば、工場やプラントなどの設備の異常が、
や、フィールドバスなどを利用して現場設
設備から発する音で診断ができる技術があるんだ。設備の音
備情報が制御監視システム
(DCS)
に取り込める環境が整い
響診断というとさまざまな研究レベルで報告されているんだけ
つつある今、運転管理と同様に設備管理も最適運用するとい
ど、製造現場の設備診断で実用化できているのは山武産業シ
うユーザーの課題解決のために、山武産業システムの AAM
ステムのIF-ASSETだけなんだ」
(オートメーション・アセット・マネージメント)事業があるんだよ。
「へぇー、
工場やプラントなどの設備を音で診断できるの?」
IF-ASSETは、AAM事業を推進し、設備診断・保全の自動化
「うん。今までは設備の音の変化は人の耳ではわかるものの、
を可能とする革新的な技術なんだ。すごいでしょ」
その音の違いを的確に表現する技術がなかったため、設備診
「話を聞いていたらカクテル飲みたくなっちゃった。次は酒屋さ
断では熟練、経験がものをいう世界になっていたんだ。それが
んへ行かない」
技術の確立により自動化されれば、ベテランの技能伝承はも
「・・…」
とより、今まで作業環境が悪く人が近づけないところにまで診
断の範囲を広げることができるし、さらに工場の設備管理を無
人化できる可能性もますます高まってくるんだ。IF-ASSETは、
●音響による設備診断のためのキーテクノロジー
今後の設備管理を変える画期的な技術ということになるね」
「どうやって設備の音響診断をするの」
マイクロフォン
センサ
耳
「たとえば、モーターやポンプなどの回転機械によくある異常の
ひとつ。軸受に傷がついたとする。傷がついたときには、傷が
IF-ASSET
ついていないときでも出ていた音に、傷の上をベアリングが通
目的音の抽出
カクテルパーティー効果
超指向性集音技術
るために発せられる音が加わるんだ。診断では、この傷の上を
ベアリングが通るたびに発せられる音だけを取り出せれば、そ
特殊深絞り集音器
の音が大きくなっていけば傷が大きくなっていると簡単に判断
信号処理技術
することができる。ところが、これが難しい。なぜかといえば、現
場にはモーターやポンプは何十台、何百台も動いているし、流
逆フィルター法
体が配管を流れてもいる。これらからはさまざまな音が発せら
れていて、たった1台の機械から発せられる傷による音は、それ
異常の判定
記憶との照合
定量化/傾向管理
らの音の中では非常に小さいものになってしまうんだ」
「人間にはカクテルパーティー効果として知られている、重なり
あった音の中から自分の目的音のみをピックアップして聴き取
る能力があるんだ。これは、大勢がワイワイガヤガヤやってい
る中で、会話をしようとしている相手の話がよくわかるというこ
となんだけど、実はこれは鼓膜の性能ではなく、頭の能力なん
音響による設備診断のメリット
だ。会話をしている人の声以外の音を頭の中で小さくしてしま
っているということなんだ。このようなカクテルパーティー効果
◆カバー付きの回転機が可能
を機械によってシミュレートすることができれば、設備の音響診
断ができるはずだね」
◆離れた場所から安全に診断
「それができたらすごい」
「IF-ASSETでは、これを特殊深絞り集音器(パラボラマイクロ
◆全体をまとめて診断
フォン)
と逆フィルター法(Inverse Filter)
という2つの組み合わ
せ技術で解決した。特殊深絞り集音器では、できるだけ狙った
◆測定者によるバラツキがない
方向の音だけを取り出す。逆フィルター法では、正常とした音
を記憶しておき、診断したときの音から正常としたときの音を引
き算する。
(正常とした音をモデル化し、このモデルから診断し
たときの音を使って予測音を再現し、診断したときの実際の音
と比較する。
このとき以前と変わらない場合、結果は0となり、
パラボラマイクロフォンに
よる集音作業
傷などから発せられる音が加わった場合、結果は0にならず、傷
の程度により値が大きくなる。この方法では、正常とした音に
は、診断しようとした設備以外の周囲音(暗騒音という)
も含ま
注)IF-ASSETは、Inverse Filter
れているため、80から90dBもある製造現場での音響診断が実
based Abnormal Signal Segregation and Extraction Techniqueの略
用化できたんだ。IF-ASSETでは、モーターやポンプなどの回
称です。
次回は山武のインテリジェント地震センサをお届けいたします。
●問い合わせ先 山武産業システム株式会社 TEL(045)461-8847
FAX(045)461-8753
Savemation 2000.May.7
高水準の排水処理監視により
仁淀川の美しい自然環境を守り
地域社会との信頼関係を築く。
製造ラインの要となる抄紙工程
南
国
パ
ル
プ
工
業
株
式
会
社
その原因としては家庭排水なども考えられるのです
土佐和紙の伝統を今に伝える
清流・仁淀川流域−−紙の町
が、どこよりも厳しい排水管理が求められるのは私
たち製紙業者です。ことに私は伊野製紙工業会の
1000年にもおよぶ歴史と伝統を今に伝え、世界
会長も務めており、その意味からも我が社は製紙工
的にも高く評価される手漉き和紙「土佐和紙」。そ
場のモデルケースとなるような高水準の排水処理プ
の類い稀な品質は、先人たちから受け継がれた技
ラントとその監視システムを、先頭切って導入しなけ
こうぞ
みつまた
が ん ぴ
もさることながら、楮、三椏、雁皮など良質の原料と
ればと考えました。また、伊野町の行政面からも、
に よ ど
豊富な石灰、さらに美しい仁淀川の清流によってこ
深い理解と支援をいただき産・官一体となって仁淀
そ得られる
“自然の恵み”
といえるかもしれません。
川の清浄化を推進していく計画です」
(柏井社長)
あ が わ
(現在の伊
その仁淀川流域、高知県吾川郡伊野村
野町)
に生まれた吉井源太が、近代紙業の基礎と
なる製紙技術と紙製品の改良を成し遂げたのは明
治初頭のこと。以来、伊野は日本を代表する
“紙の
排水の浄化データを公開し
地域社会と企業との信頼関係を育む
製紙メーカーにおける排水処理には、ろ過方式、
町”
として発展し、今日もなお仁淀川の恩恵によって
凝縮沈殿方式、加圧浮上分離方式の3つの方法が
多種多彩な高品質紙製品を世に送り出しているの
あります。南国パルプ工業では、排水内の浮遊物
です。
を凝集剤で固め、エアで浮上させて排除する加圧
この仁淀川のほとりに本社および製紙工場を構
浮上分離方式を採用しており、日量6000トンの排水
える南国パルプ工業株式会社は、時代の変遷に対
が浄化処理されています。
応しながら特殊紙業界に独自の地位を確立すると
「今回の排水処理プラント監視制御システムには、
ともに、今日では日本板紙グループの一翼として重
仁淀川の環境を保全すると同時に、地域社会と当
要な役割を担っています。
社との関係を向上させる目的がありました。つまり、
「当社は1907年(明治40年)に発足
した土佐和紙の手漉き工場を前身
としており、その歴史は仁淀川との
共存を抜きに語ることはできません。
ところが、その仁淀川では近年、排
水による水質悪化が問題視されて
おり、自治体によってより厳しく排水
基準が見直されました。もちろん、
排水のpH濃度を測定するサイバーpH計
*は山武グループの商標です
凝集剤溶解装置の液面コントロールを行うレベル計
にはDSTJ3000NewAceを採用
排水処理プラント(相川鉄工(株)製)にはHarmonasの監視用スーパバイザリ・ステーションを設置
てみると思いのほか操作が簡単で、誰
でもすぐに使いこなせるようになりまし
た」
(角田部長)
企業・人・自然が調和した
より豊かな共生関係を目指す
南国パルプ工業株式会社
取締役社長
土佐の自然が与えてくれた仁淀川の
柏井 正和氏
清流を守り、その清流と共存していく
ために構築された排水処理プラント監
視制御システム。そこには特殊紙業界
のリーディングカンパニーとしての自負と
ともに、美しい自然、そして同じ地域で
暮らす人々との豊かな関係を大切にす
る南国パルプ工業の真摯な心が感じ
られます。
南国パルプ工業株式会社
取締役 工場長
中山 忠明氏
「山武産業システムとはずいぶん長い
付き合いになりますが、それだけ当社
の考えや設備・システムを深く理解して
くれているので、いろいろな意味での
安心感がありますね。たとえば、今回
のシステム構築に合わせて、従来のガ
南国パルプ工業株式会社
工務部 部長
ラス電極pH計では破損が多いので、
角田 道明氏
か
く
だ
半導体電極のサイバーpH計*に取り替
えてはどうかと提案を受けました。実
際、このサイバーpH計はメンテナンス
生産部に設置されたHarmonasスーパバイザリ・ステーション。パソコン感覚で簡単に操作できる
性が高く、扱いも楽で、こうした計測機
当社の排水が条例基準よりもさらに清浄化されてい
器からシステム化、エンジニアリング、保守サービス
ること、その数値が昼夜問わず常に一定に守られ
にいたるまで一貫した提案や助言は本当に助かり
ていることを“記録”
として残すことで、仁淀川で生
ます。ぜひ今後もその柔軟な対応力で、当社の力
活する漁協組合の方々との信頼関係を強化したか
になってもらいたいですね」
(中山取締役工場長)
ったわけです。
「日本板紙グループでは、2001年からの中期計画
そのためシステム検討に際しては、24時間にわた
において特殊紙部門の強化を掲げており、今後は
る連続監視・制御・記録機能、異常を即座にモニ
親会社である日本板紙と当社が一体となって特殊
タとアラームで知らせる表示機能、そして、日報・月
紙製品の増産増販を図っていきます。その取り組み
報などの自動作成機能などを重視し、山武産業シ
において、今回のシステムの持つ意義は非常に大
ステムのHarmonas*に決定しました。その基本的
きなものになるはずです。そ
な機能はもちろんですが、幅広い応用力や柔軟な
して、その意義を仁淀川流
拡張性は、設備の拡充や監視・管理範囲の拡大な
域の製紙業者に広くアピー
ど将来的な問題にもスムーズに対応できると思った
ルすることで、業界全体の
のです」
(宮崎課長代理)
発展と環境保全を図ってい
システム導入以前は、
pH計やレベル計などプラン
きたい。それが私たちの使
ト内の各ポイントを社員が巡回し、手作業で監
命であり、願いでもあるので
視・記録していました。その巡回業務を遠隔監視制
す」
(柏井社長)
南国パルプ工業株式会社
工務課長代理 加工課長代理
宮崎 昭三氏
南国パルプ工業の主要製品群
御によって合理化できることも、このシステムの大き
南国パルプ工業株式会社
所在地/高知県吾川郡伊野町幸町66
創業/1907年
(明治40年、前身・中田製紙)
製造品目/化繊紙、ヒートシール紙、ワイパー用紙、和紙粘着テ
ープ原紙、水切りゴミ袋、人絹精練用紙など
なメリットとなっています。
こうして構築されたシステムは1999年(平成11年)
12月に試運転を行い、本稼働を開始した2000年2
月からは排水処理プラント監視のモデルプランとし
て一般にも公開されています。
「そのため1月中は連続試運転を行い、調整を繰り
返してきましたが、その間も監視制御に関する不具
南国パルプ工業株式会社 外観
特殊紙メーカーの老舗として日本板紙グループの一翼を担う南
国パルプ工業株式会社は、土佐和紙の手漉き工場・中田製紙を
前身として創業しました。その後、改称、合併、再建など幾多の
変遷を経て、今日ではパルプ部門は閉鎖し、特殊紙に特化した
メーカーとして製紙業界に独自の地位を守っています。隣接す
る『紙の博物館』では土佐和紙と製紙の歴史を見学できますが、
それはまた同社の一端ともいえるのです。
合は一切なく、工務部としては実に満足です。当初
はコンピュータによる監視という初めての試みに戸
* 本システムの納入にあたりまして、相川鉄工株式会社様のご
協力を賜りました。
惑う社員もいましたが、パソコン感覚で実際にふれ
Savemation 2000.May.9
鉄道コンテナ輸送に対応した
日本初のLNGサテライト基地で
新時代のガス供給インフラを実現。
クリーンで安全、
次代のライフエネルギーLNG
クリーンで安全なエネルギーとして、全国的に都
市ガス利用が進むLNG──液化天然ガス。生産地
で天然ガスを液化する際に硫黄分を取り除くため、
気化しても大気を汚染することがなく、さらに主成分
が比重の軽いメタンなので地表に溜まらず事故が
発生しにくいなど、LNGは基幹エネルギーとして実
に優れた特性をもっています。
このLNGの供給インフラとして、鉄道コンテナ輸
送を日本で初めて実現したのが、石川県小松市に
本社を構える小松ガス株式会社です。
同社は、インドネシアから新潟の石油資源開発株
式会社
(旧石油資源開発公団)
へタンカー輸送され
たLNGを金沢駅まで鉄道によってコンテナ輸送し、
そこからコンテナ車で小松市園町の小松ガス園工
場へと陸送。そして、ここ園工場のLNGサテライト
基地で再度気化し、高カロリーの13Aガスとして地
小
松
ガ
ス
株
式
会
社
域の各家庭へと安定供給しているのです。
「LNGの優れた点は、環境へのやさしさや安全性
に加え、マイナス162度の超低温で液化することで
体積が600分の1になるため、一度に大量輸送が可
能な点にあります。ただし、マイナス162度のLNGは
可燃性でもあり、これを都市ガスとして製造していく
には信頼すべき高水準の製造プラントと監視制御
システムが不可欠となります。そこで、東邦ガスエン
ジニアリングに依頼して建設したのが、現在のLNG
サテライト基地なのです」
(小松ガス・安井常務取締
役)
寒冷地仕様として空温式・温水式の気化器を併用した小松ガス園工場のLNGサ
テライト基地
マイナス162度の危険物を
安全運用できるシステムを追求
て、コンピュータ専門家でない私たちでも確実に運
用できる
“やさしさ”
でした」
(小松ガス・石田課長)
小松ガス園工場LNGサテライト基地は、降雪地
「その具体的なシステムとして選定したのが山武産
域である小松市の環境を踏まえ、空温式・温水式
業システムのHarmonasだったわけですが、山武グ
の気化器を併用した寒冷地仕様の都市ガス製造
ループの監視制御システム開発に対する姿勢や実
プラントを採用しています。このプラントは東邦ガス
績はよく知っていたので、安心して小松ガスさまに
エンジニアリング株式会社の設計のもと、サテライト
提案することができました」
(東邦ガスエンジニアリン
基地建設工事において多くの実績をもつ株式会社
グ・安田次長)
千代田機械製作所によって施工されました。そして、
「私たちがHarmonasをお勧めしたのは、当社が
その監視制御システムとして東邦ガ
敦賀ガスと伊万里ガスのLNGサテライト設備建設
スエンジニアリングが選んだのが、
工事を手掛けた際、山武産業システムの計装機器
山武産業システムの協調オートメー
やHarmonasを採用し、その優れた機能と信頼性
ション・システムHarmonas です。
を高く評価していたからです。そこで今回は、監視
「システム導入にあたって私たちが
制御システムとしてHarmonas、さらに調節計や調
重視したのは、管理棟にいながら
節弁、発信器などのフィールド機器から電気計装工
各設備の監視と制御コントロールが
事まで、一括して山武産業システムに依頼しました」
*
できる遠隔システムであること。そし
(千代田機械製作所・Z本常務取締役)
コンテナ車によって輸送されてきたLNG
*は山武グループの商標です
LNG受入設備に設置された現場形圧力指示調節計。降雪
地なので、調節計はすべてカバー(ひさし)を採用
小松ガス株式会社
常務取締役 供給部長
天然ガス転換センター 所長
安井 公英氏
小松ガス株式会社
製造課 課長 石田 茂雄氏
管理棟の管理室に設置されたHarmonasスーパバイザリ・ステーション。見やすいグラフィックで、全
システム、グループ、トレンド情報などを表示し、一元管理を可能にしている
LNGタンクに設置されたスマート・バルブ・ポジショナ
AVP3000Alphaplusと、差圧発信器・加圧発信器・レベル
液面発信器の3台のDSTJ3000Aceトランスミッター。圧
力コントロール弁には、マイナス162度の超低温に耐える低
温弁を採用
「山武の計測・制御機器は内部構造がシンプル
「園工場では8月の天然ガス転換完了を機に、従
で、メンテナンス性にも優れており、お客さまにとっ
来のガス製造設備を撤去して、LNGタンクとLNG気
ては安心して使える製品だと思います。その使い
化器の増設を予定しています。また、今後は一般家
勝 手 の 良 さは 、監 視 制 御 システムとしてのH
庭に限らず、工場などの工業用需要も拡大していき
armonasにも現れていると思いました」
(千代田機械
たいと考えています。ガスという生活エネルギーを提
小松ガス株式会社
製造課 係長 宮竹 昭夫氏
供する以上、設備の増設、システムの改造は運転を
製作所・米沢係長)
このようにして完成したLNGサテライト設備監視
伴いながらの大変な作業となるでしょう。そのときは
制御システムは、管理棟に設置されたスーパバイザ
ぜひまた、東邦ガスエンジニアリング、千代田機械
リ・ステーションでプラント全体の状況を把握でき、
製作所、そして山武産業システムのみなさんに力に
必要に応じてLNGタンク、LNG気化器などグループ
なってもらいたいと思っています」
(小松ガス・安井常
東邦ガス
エンジニアリング株式会社
取締役 統括部長 ごとの情報を引き出し、遠隔コントロールすることが
務取締役)
稲森 俊英氏
可能です。
「山武産業システムとはこれまで、高圧ガス化プラ
「監視制御の信頼性が高いのはもちろんですが、
ント、天然ガス充填所『エコステーション』
、LNGサ
監視用グラフィック画面も見やすく、操作も簡単で、
テライト基地など、さまざまな案件をともに手掛け、
わずか4名のオペレーターでも、とても合理的に監
その実績から山武産業システムは技術的にもサー
視制御業務を行うことができます。また、私たちが
ビス的にも信 頼 で
コンピュータに関して若干不慣れなため、山武産業
きる企 業 だと評 価
システムには最寄りの富山営業所にシステム立ち上
しています。その力
げ時から担当してもらい、システムの基礎知識から
をぜひ小松ガスさ
運用方法まで懇切丁寧に教えてもらいました。現場
んをはじめとするガ
に密着した一貫体制で対応していただき本当に感
ス業界の発展に生
謝しています」
(小松ガス・宮竹係長)
かし、エネルギー産
けてもらいたいと思
小松ガス園工場LNGサテライト基地は、1999年
始しました。現在は
各需要家の天然ガ
13Aガス製造プラントの計装制御盤。既設
の計器盤と動力盤に合わせたユニットで構成
されている
います」
( 東邦ガス
株式会社千代田機械製作所
名古屋支店
常務取締役 エンジニアリング・
.本 隆男氏
稲森取締役)
小松ガス株式会社
所在地/石川県小松市沖町125番地1
創立/1923年
(大正12年)
事業内容/都市ガスの製造・販売・供給、液化石油ガスの供給・販売、ガス
関連工事の設計・施工、各種ガス機器の販売
ス対応に歩を合わ
せながら着実に供
給量を増大してお
小松ガス株式会社は大正 12 年(1923)創立という長い歴史をもつ都市
ガス会社です。現在、鉄道コンテナ輸送に対応した日本初のLNGサテライ
ト基地と、北陸4事業者が共同で開設した天然ガス転換センターを核に、
小松市内の約1万1000件の需要家の天然ガス転換を推進。さらにクリー
ンで安全、しかも低コストなLNGの普及を目指し、工業用需要の拡大を展
開していく計画です。
り、2000年8月いっ
ぱいで全需要家の
天然ガス転換を完
了する計画です。
安田 弘一氏
業の未来に結び付
一般家庭から工業用施設へ
LNGのさらなる普及を目指す
11月に試運転を行い、2000年3月より正式運転を開
東邦ガス
エンジニアリング株式会社
営業開発部 次長 株式会社千代田機械製作所
名古屋支店
設計部 係長 米沢 正和氏
小松ガス本社外観
Savemation 2000.May.11
io
mat n Sp
e
v
t
iri
顧客のオートメーション資産を診断して
コストベネフィットを満足させる
最適な改善策の提案。
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o
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Asset Manag
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tructure
ras
nt
Aut
D
Prod
u
on
ati
on
産業社会の構造が変化し始めて
(AutomationAssetManagement)
」
だビジネスである。生産活動の最
いる。分かりやすい構図としては、
という。その姿をさぐってみた。
適化というテーマは、市場や顧客
国際競争力強化の中でいかにコス
ト削減を図るかという命題がある。
と同時に、これを実現していくため
取材・構成/沢常好(ルポライター)
新事業コンセプトの柱として
がかかえる多様な課題、事情、様
相、環境の中で求められなければ
ならない。ここにナビゲーターの意
のさまざまな安定操業、生産性向
山 武 産 業 システムは 、N e w
味がある。状況が多様であるから
上に対する手法も講じられつつあ
Automation Navigatorという新
こそ、ナビゲーターは顧客とともにあ
る。そうした流れの中で、顧客の
たな事業コンセプトを掲げて次代
ってソリューション・プロバイダの役
設備・装置を診断する新たな技術
への着実なスタートを果たしてい
割を果たしていかなければならな
をもととして、資産の最適運用や品
る。そのめざすところは、生産シス
い。そしてその基盤となるのがニュ
質管理、生産性までを保証しようと
テムを技術・サービスで支える活動
ーオートメーションなのだ。すなわ
するビジネスが山武産業システムで
だけではなく、「生産活動の最適
ちニューオートメーション・ナビゲー
誕生しつつある。その名を「AAM
化」という、より幅広い要素をはらん
ターとは、オートメーションの新たな
食品関係など、TPM の効率的な運用を
具現化
12.May.2000 Savemation
飲料関係などの、タイムリーで効果の
ある計画保全のために
自動車関係では、重要なユーティリテ
ィの安定稼動と安全確認に
省力化に貢献し、より少ない人員での
運転・保全などを実現
水処理場などの夜間、休日の無人化が
可能に
姿を提示しながら顧客第一主義を
るコンサルティングというフェイズで
実現していこうとする姿勢なのだと
ある。顧客が過去から保有してい
いえよう。その事業コンセプトの具
る現状の生産設備資産を、環境対
体的な展開のひとつとして、またそ
策や生産性などから診断し、それ
の柱としてAAMは位置づけられ
らをもとに利益を生み出すための
るものだ。
最適な改善策を提案していくこと
だ。そのために目を配らなければ
AAMを実現する技術
ならない顧客の資産とは、実は単
AAMを単純に日本語訳すれば
に設備や装置だけをさすのではな
「オートメーション資産の最適運用」
い。安全を確保し、安定的に稼動
ということになろうか。生産の場で
させ、効率のよい生産性を上げる
は常に採算性、生産性、経済性な
には、人、もの、設備、資金にいた
どが求められている。こうしたニー
るまでを見ていかなければならな
ズに対して、山武産業システムは、
い。そして、そのそれぞれについ
従来の保守サービス展開を基盤と
て、役務及び技術についてのサー
しながらも、さらに新たな技術開
ビスを提供し、顧客のオートメーシ
熟練技能者が駆使する
五感センサという
特殊な診断技能
白昼の大空に星を見ることのできるパイロッ
トがいる。紙の業界には指先でミクロン単位
の紙の厚さを見極める達人がいる。調香師
は微量な香水エッセンスの混合比を即座に
判断する。
人は感覚センサを訓練すると脳内に感覚識
別を司るニューロンネットワークが特に発達
し、微細な違いを瞬時に判断できる技能を獲
得することが可能なのだ。この技能が一般に
生産の現場でも重要視されてきた。炎の色
による温度差、ハンマーによる打診等々。こ
の熟達技能者に勝るとも劣らないだけのセン
サが今、誕生しようとしている。
装置機器 五感による異常検知
イ フ
発で応えようとする 。それがI F ア
セ
ッ
ョン資産を最新・最適なものとして
石油プラントでの分析事例
ト
ASSET
(6頁のコラムTechnical
運用していくトータルなサービスを
Break 参照)
と総称される診断技
提供していくことが AAMなのだ。
41.6
50
術の開発である。その成果のひと
単に機器システムやサービスを提
つとして「音響診断システム」があ
供するというのではなく、
トータルな
る。装置は稼動し続けながら絶え
「AAMという仕組み」を販売する
ず一定の音を出し続けている。安
ビジネスということができるだろう。
定稼動の音を熟達した技術者は
しかしこの際に顧客が最も懸念
その耳で知っている。異常があれ
するところは総体のコストというフェ
ば耳が敏感にそれを捉える。事実、
イズである。いかに最新・最適の
そうした検査手法がいくつもある。
運用が可能になるといってもそこに
この手法を用いたのが音響診断
大きな投資をしていける事業環境
システムである。絶えず直前の音
は、国際競争力強化のまっただ中
を基準として減算による比較を行
にいる現在の企業にはない。そこ
売る以上、そこには、万全のサー
い続けながら装置の異常を発見
で重要になってくるのが、AAMと
ビス、技術がなければならない。
発
見
さ
れ
た
割
合
︵
%
︶
40
26.6
17.7
30
7.6
20
0
41.6
3.2
41.6
41.6
10
静機械
2.9
41.6
0.4
0
視覚
聴覚
動機械
触覚
臭覚
五感による分類
する。つまり「聞く保全の自動化」と
いう新しいサービスの提供の仕方
サービスの体制については、すで
でもいえばいいだろうか。
同様に「見
である。AAMが究極とする姿は、
に全国的なサービス網が敷かれて
る診断の自動化」も山武独自の画
一言でいえば、「AAMの提供によ
いる。山武産業システムが常に「現
像処理技術によって可能になろうと
って成果を保証する成果責任性の
場第一主義」という事業姿勢から
している。
これらの診断技術は、
リモ
サービス」ということだ。顧客の資
長年にわたって生み出してきた体
ート診断システムと組み合わされれ
産を最新技術で的確に診断し、改
制である。こうした体制を、オートメ
ば、
さらに大きな力を発揮していく。
善して延命することで最適化する。
ーション資産をより最適に運用する
こうした新たな技術に基づき、必
そしてそこから成果が得られるとこ
ための新たな診断技術等で武装
要な商品・技術を提供しながら、
ろまでを山武産業システムが保証
することによりAAMのビジネスをよ
保全手法や設備改善に関するコン
して、はじめてビジネスとなるのだ。
り確かなものにしていくのだという。
サルティングを行っていき、
と同時に、
これはまさに、顧客にとっては一種
IF-ASSET技術を利用した製品
それらに必要な商品、技術、サー
の資産運用になるといえよう。顧客
の開発はさらに進む。そしてこれで
ビスのすべてを提供する。そこに
にとっては、「リースでもなく、買い
武装された全国サービス網がたえ
山武産業システムが展開しようとす
取りでもなく、装置を動かすという
ず顧客の傍らに控える。山武産業
るAAMの基本がある。そこには
行為を、成果責任保証のもとで買
システムのAAM事業は、この太い
単なる設備や装置の最適運用とい
う」というまったく新しいサービスが
2本の幹に支えられて今、新たな
うだけでなく、まったく新たなサービ
そこに生まれる。ここにこそAAM
開花の時期を迎えようとしている。
スの展開を可能にする姿がある。
の斬新さがあるといえよう。山武産
これを大きく分けてふたつのフェイ
業システムでは、成果責任におけ
ズで見てみることにしよう。
るリスク管理の一手法として、安全
AAMが実現する新たなサービス
そのひとつは、資産運用に対す
に対する損害保険の扱いまでをす
でに射程に入れようとしている。
装置を動かす行為を成果責任で
●問い合わせ先
山武産業システム株式会社 マーケティング部
TEL(045)461-8847
FAX(045)461-8753
E-mail:[email protected]
URL:http://www.yamatake.co.jp/yis
Savemation 2000.May.13
オープン化対応のBAシステム
「savic-net EV」を販売開始
山武ビルシステム
(株)
では、オープン化に
対応したBA
(ビルディング・オートメーション)
システム
「savic-net EV」の販売を開始しま
した。
「savic-net EV」は、LONWORKS、BA
Cne
t、インターネット、イントラネットといったさ
まざまなネットワーク技術を最適に活用する
ことで、省エネルギー・省力・快適性・利便
性をあらゆる規模や用途の建物で実現しま
す。さらに下記の特長を実現しています。
【特長】
①オープンなシステムアーキテクチャ
管理点数は500点から30000点まで。建物
の規模や用途を問わないのはもちろん、モ
ジュール分散制御や遠隔操作といったあら
ゆるシステムアーキテクチャに適用できま
す。
②エボリューションなシステム
BAシステムのプラットフォームはPCで統一さ
れているので、納入後の拡張・変更も自在で
す。
③通信ネットワークでフレキシブルな対応
BAシステムとインターネット、イントラネットとい
った通信ネットワークの融合により、BAシス
テムが収集・管理している情報をいつでも、
どこからでもとりだしていただくことができま
す。
④通信ネットワークの活用で建物管理の効
率アップ
遠隔からの省エネルギー診断や建物設備の
適正運転のためのリモートメンテナンスなど、
建物全体の省エネルギーや予防保全を実
現するさまざまなサービスメニューを提供しま
す。
●問い合わせ先
山武ビルシステム株式会社マーケティング部
TEL(03)3454-7605 FAX(03)5439-6741
スマート・バルブ・ポジショナー
AVP3000Alphaplus複動形販売開始
山武産業システム
(株)
では、スマート・バ
ルブ・ポジショナーAVP3000Alphaplus複
動形の販売を開始しました。本製品は、マイ
14.May.2000 Savemation
クロプロセッサを搭載したスマート形の電/
空ポジショナで、現行の4∼20mADC計装に
そのまま使用できます。弊社従来製品に比
べ使い勝手が向上し、
1機種で幅広いバル
ブの仕様に対応できます。
【特長】
①簡単調整(ド
ライバー1本で調
整できます)
・オートセットア
ップ
取り付 けられて
いるバルブの仕
様を認識し、それにあった設定、最適な調
整を自動的に行います。
・ 簡単なゼロ・スパン調整
ゼロ・スパン調整において、相互干渉がまっ
たくありません。その他の設定をしてもゼロ
点スパン点は変わりません。
②幅広い仕様に1機種で対応
従来部品の交換で対応していた多くの仕様
に設定データの変更で対応できます。
③バルブの強制締切特性
バルブの締切時の入力信号を任意に設定
でき、弁漏れ性能維持に効果を発揮します。
④メンテナンスが容易
電気回路部と空気回路部が完全に隔離さ
れているので、現場での空気回路部のメン
テナンスが容易にできます。
⑤開度発信機能を付加可能
開度発信(4∼20mA DC、またはDE)付にする
ことにより調節弁の動作を計器室で監視す
ることができます。
⑥複動から単動操作器用に変更が容易
出力空気圧接続口のリバーシングリレーを
取り外すことにより、単動操作器に搭載する
ことができます。
● 問い合わせ先
山武産業システム株式会社 プロダクトマーケティング部
TEL(045)461-8881 FAX(045)461-8771
MagneW3000FLEXスマート
電磁流量計高温用防爆形検出器販売開始
山武産業システム
(株)
では、160℃の高温
流体まで対応した画期的な防爆形検出器の
販売を開始しました。MagneW3000FLEX
電磁流量計高温用JIS防爆形検出器は、当
社の長い経験と実績をもとに開発された、
高性能・高信頼の電磁流量計検出器です。
【特長】
①流体温度最高160℃まで使用可能な高温
用の防爆形電磁流量計です。
② ツェナバリヤ
(安全保持器)
を
内蔵しています。
③爆発等級Ⅱ
C、発火度T3の
雰囲気に対応し
た防爆構造 Ex
de [ia] ⅡCT3に
合格しています。
④高性能ライニング
・独自の高品質ライニング技術を開発し、耐
付着性能の高い鏡面仕上げPFAライニング
を採用しました。
・ 鏡面仕上げPFAライニング採用により、石
膏スラリーなどの付着性スラリーに対し抜群
の効果を発揮します。
・添加物なし、純粋な白色PFAを採用しま
した。PFAの持つ材料の特性を十分に発
揮します。
・ 従来より定評のあるパンチプレート埋め込
み方式を採用しました。流体温度の急変や
負圧などの過酷な条件下に対して有効で
す。
⑤丈夫な検出器構造
全口径ともステンレスケースを採用しました。
●問い合わせ先
山武産業システム株式会社プロダクトマーケティング部
TEL(045)461-8880 FAX(045)461-8771
山武産業システム、日本パナメトリクス社
と超音波流量計で販売提携
山武産業システム
(株)
で、日本パナメトリク
ス
(株)
と販売提携を開始しました。山武産
業システムは、技術力・製品力で世界的に
高い評価を受けている米国パナメトリクス社
の超音波流量計を日本の一般産業市場、輸
送機器市場、
水道市場に販売します。
超音波流量計は圧力損失がまったくなく、
レンジアビリティも1:1500(ガス/スチーム用)
と広く、省エネルギーに対応する流量測定に
は最適の製品です。また液体用も同様にレ
ンジアビリティが1:400と広く、最近では電
磁流量計とあわせて環境市場・水道市場に
多く適用されるようになっています。今回の
超音波流量計の販売提携により、流量計ラ
インナップ強化を図り、従来から高いシェア
を持つ弊社電磁流量計と共に販売を展開
していきます。
【取り扱い製品の主な仕様】
測定対象流体:ガス、スチーム、液体
対象口径:15mm∼5000mm
流体温度範囲:−40∼205℃
(ガス/スチー
表紙のことば
展示会情報
ム)
、150℃
(液体)
測定方式:1測線または2測線による超音波
伝搬時間差方式
出力信号:4∼20 mA DC、パルス、周波数、ア
ラーム、RS232C
主な機能:温圧補正機能、センサ電源内蔵、
表示機能、自己診断機能など
標準価格:150万円∼
●問い合わせ先
山武産業システム株式会社プロダクトマーケティング部
TEL(045)461-8880 FAX(045)461-8771
スマートローダパッケージの
ラインナップ拡充
山武グループでは、下記展示会に出展い
たします。皆さまのご来場を心よりお待ちし
ております。
■山武ビルシステム株式会社
●名称:HACTEC 2000
第8回電力空調・加熱フェア
●会期:2
0
0
0年5月1
7日
(水)
∼2
0日
(土)
●時間:
1
0
:
0
0∼18:
0
0
(最終日のみ1
7
:
0
0)
●会場:マリンメッセ福岡
●入場料:無料
●主催:九州電力
(株)
●名称:蓄熱空調フェア 2000
●会期:2
0
0
0年5月2
4日
(水)
∼2
7日
(土)
●時間:
1
0
:
0
0∼17:
0
0
(最終日のみ16:30)
●会場:インテックス大阪5号館
●入場料:無料
●主催:関西電力
(株)
■山武産業システム株式会社
●名称:2000国際食品工業展(FOOMA
JAPAN2
0
0
0)
●会期:2
0
0
0年5月1
5日
(月)
∼1
8日
(木)
●時間:1
0:0
0∼1
7:0
0
(最終日のみ1
6:00)
●会場:東京ビッグサイト
(東京国際展示場)
東1∼6ホール
●入場料:1
0
0
0円
(招待券持参者は無料)
●主催:
(社)
日本食品機械工業会
(株)山武 制御機器事業部では、パソコ
ンの画面上でパラメータの設定ができるスマ
ートローダパッケージのラインナップを完成さ
せ販売を開始しました。
本製品は、デジタル指示調節計、スマート
レコーダ用のエンジニアリングツールとして、
日本語版Windows95/98 ※上で動作するソ
フトウエアパッケージです。機器本体のパラ
メータ設定をパソコン画面上で行い、設定
値を専用ケーブルを介して機器へ書き込
み・読み込ませることができます。複数の機
器へのパラメータ設定および、設定したパラ
メータのファイル管理などが簡単に行えるた
め、機器計装をされる方や現場で実際に計
器を使用される方にご好評をいただいてお
ります。
このたび、対象となる機種を広げ、ライン
ナップを拡充しました。
対象機器
SDC20/21、SDC30/31、SDC40A、DCP31、
CMC10、DMC10、SRF100、SRF200
●問い合わせ先
株式会社 山武 制御機器事業部
TEL(0466)20-2278 FAX(0466)20-2193
新会社設立のお知らせ
このたび台湾での事業展開を拡大するた
め現地法人を設立しました。
■台湾山武株式会社(Yamatake Taiwan
Co.,Ltd.)
住所:5th Floor,No.139 Sung Chiang
Road Taipai
TEL886-2-2501-1066
FAX886-2-2501-0825
山武グループ事業所開設のお知らせ
■山武産業システム株式会社
[開設]
・松山営業所
〒791-8026 松山市山西町901-1
TEL(089)953-5381 FAX(089)953-5384
・ 水俣サービスステーション
〒867-0065 水俣市浜町1-2-27
TEL(0966)62-1336 FAX(0966)62-1316
「うきわ自転車」小原 勇貴くん
(青森県八戸市第三千葉幼稚園・優秀賞)
うきわの自転車があったら、
海の上を走りたいなぁ。
信号もないし、広いからぶつからないよ。とても
気持ちいいんだ。海の上でとまって魚釣りだってで
きるんだよ。
◆この絵は、社団法人発明協会が子供の自由奔放
な発想を広く集めた「第21回未来の科学の夢絵画
展」
の作品の中から、同協会のご協力を得て掲載し、
表紙に特徴的部分を拡大しています。
お便りお待ちしています
いつも「Savemation」誌をご愛読いただきありが
とうございます。本誌に対するご意見・希望・感想、
取り上げてほしいテーマなど皆さまからのお便り
をお待ちいたしております。なお、お便りを頂戴し
ました皆さまの中から抽選で毎月5名さまに粗品を
進呈させていただきます。お名前、貴社名・部署名、
ご住所、電話番号などをご記入の上、はがき、手紙、
FAX、電子メールにて、下記までお寄せください。
また、他ページのプレゼント応募についても、下記
までお寄せください。
宛先:〒150-8316 渋谷区渋谷2-12-19
東建インターナショナルビル
株式会社 山武 広報室
セーブメーション編集係
FAX:(03)3486-2190
E-mail:[email protected]
編集後記
2月号から連載されている「Technical Break」と
今月号から連載が始まった「環境コラム」は昨年の
宛先確認アンケートはがきの読者の皆さまの声か
ら生まれました。本年度も今号に宛先確認アンケ
ートはがきを添付しました。皆さまのご意見・感想
をご記入ください。編集担当者一同お待ちしてお
ります。
(つぼね)
発行日………2000年5月1日
発行…………株式会社 山武 広報室
〒150-8316
東京都渋谷区渋谷2-12-19
(東建インターナショナルビル)
発行責任者…後藤博
制作…………有限会社オーバル
●本誌に関するお問い合わせは、株式会社山武
広報室までお申し付けください。
TEL(03)3486-2451 FAX(03)3486-2190
E-mail:save@ pres.yamatake.co.jp
●ご住所などの変更に関するご連絡は、宛名ラベ
ルに表示されております 8 桁の登録番号もあわ
せてお知らせください。
【おことわり】本誌でご紹介しているインターネット
のウェブサイトはウェブ管理者の都合により本誌発
行時点で削除されている場合があります。
※Windowsはマイクロソフト社の商標です
Savemation 2000.May.15
第五回東京都復興宝くじのポスター
政府発行の「勝札」
(上)
政府第一回「寶籤」
(中)
阪神・淡路大震災復興宝くじ
(下)
確
率
間と
に確
あ信
るの
も
の
宝くじドリーム館
URL●http://www.takarakuji.nippon-net.ne.jp/
▲
〒100-0011 東京都千代田区内幸町12-1
103-3595-1192
● 都営地下鉄三田線内幸町下車。第一勧
業銀行本店の道を挟んで隣り角。
● 開館時間/10:00∼18:00
●休館日/日曜日・祝日(日曜日が祝日の場
合は翌日)、年末年始(12/29∼1/3)
● 入館料/無料
●1981年(昭和56年)12月に(財)日本宝
くじ協会と第一勧業銀行が協力して開設し
たPRセンターである。宝くじの常設PR館
としては世界で初めての施設だという。珍
しい江戸時代の富札から最近の宝くじ、そ
の歴史としくみ、また番号抽選の機械など
も展示されている。その他、館内中央には
「夢のステージ」
と名づけられた広場があり、
ここでは東京都宝くじやナンバーズ、ミニ
ロトなどの抽せんが行われる。さらに館内
のコーナーには宝くじ当選番号照合機、イ
ンターネット情報用パソコン、テレビゲーム
などの各種設備も整えられている。なお同
様の施設が「大阪宝くじドリーム館」として
以下に設置されている。開館休館等は東京
都に同じ。〒541-0041大阪市中央区北
浜3-6-13 106-6228-0992
ギャンブル
には勝負の行方をう
らなうデータがある。競馬等
くじ
の公営ギャンブル然り。が、籤と
いうものにデータはないと考える
のが普通だろう。そこにあるのは
純粋に数学的な確率だけのはず
である。しかし当たる確率などを
考えていたら宝籤を買う意欲は確
実に削がれてしまうだろう。だか
ら、その確率数字を今は敢えてい
うまい。ところが宝籤を買う人々
とうせん
は1等当籤の確率が自分のもの
であると確信して買うはずである。
その確信はどこから生まれてくる
のか。それは熱い願望の成せる
わざなのだろうか。そして購入後
は、ひたすら幸運
を願うのである。
日本における宝
籤の起源は、この
「幸運」
を願う心に
あった。今からお
よそ370年ほど前
の江戸時代初期
せ っ つのくに
のこと。摂津国(現
みのお
在の大阪府)
箕面
りゅうあんじ
にあった瀧安寺が
その 元 祖である。
正月に参詣した善
男善女が自らの名
前を書いた木札を
からびつ
唐櫃の中に入れて
おく。元日から溜
まった木札を松の
内 が 明ける七日
きり
に寺僧が錐 で唐
櫃内を三度突き、
その当籤者3人に
福 運 の 守り札を
授けた。これが宝
籤の起こりとされ
とみえ
る。これを
「富会」
といった。
その 後 守り札
が金銭となり、町
中には「富籤」が
広 がっていった。
は や
その流行りぶりに
幕 府は禁 令を出
すが、やがて寺社
の修復資金調達
についてはこれを
免じることになる。
これがいわゆる天
下御免の富籤と
ごめんとみ
いわれた「御免富」だ。ことに谷
中の感応寺、目黒の瀧泉寺、湯
さんとみ
島天神の御免富は
「江戸の三富」
として名高かった。そのさまは落
とみきゅう
語の「宿屋の富」や「富久」などに
おいて、町人文化のひとつの華
として描かれている。その後「天
保の改革」において完全に禁止
され、明治以降も「太政官布告」
によって禁じられていたため、日本
では103年もの間、富
籤は行われなかった。
その復活の第一弾が
1945年(昭和20年)7
月。軍事費調達のた
めに政 府が 発 行した
かちふだ
「勝札」がそれだ。これ
は抽 籤日を待たず 敗
戦となったため「負札」
と皮肉を込めて呼ばれ
た。その後同年10月
に「政府第一回寶籤」
が発行されて、ここで
はじめて宝 籤 の 名 前
が世に出ることになる。
その 後 の 宝 籤 は、
地方自治体が独自ま
48
たは共同で発売する
「地方籤」の
みとなり、その収益金は地方自治
体 の 公 共 事 業 等に使われてい
る。その総額は全国で約3千億円
にもなるという。宝籤の1等当籤
確率は極めて小さいが、宝籤に
投じた金は、やがてめぐりめぐって
暮らしの豊かさを支える一助とな
っていくことになる。宝籤はやは
り
「幸福」
をもたらすものなのだと
いっていいのかもしれない。
第二回政府寶籤のポスター
販売店
にやさ
ゅう
し
き
い
ち
本誌からの無断転載・複製はご遠慮ください。
Savemation Vol.31 No.5/国際標準逐次刊行物番号 ISSN 0289-5730
●本誌にはエコマーク認定の再生紙を使用しています…「セーブメーション」
み
どり
をまも
る
山武グループホームページ
http://www.yamatake.co.jp/