1 ディーゼル自動車の運行規制について 1 目的 自動車NOx・PM法に

作成年月日 平成15年9月16日
作成部局
健康生活部環境局
課 室
大
名
気
課
ディーゼル自動車の運行規制について
1
目的
自動車NOx・PM法に基づき、阪神・播磨の11市2町を対象として、平成22
年度における大気環境基準達成を目指した「自動車NOx・PM総量削減計画」を
本年8月に策定したところである(7月25日環境大臣同意)。
また、法により当該11市2町区域内では、排出基準を満たさない車両は一定期
間経過後は当該地域内では登録できないこととなっているが、環境基準の達成をよ
り確実なものとするためには、対策地域外の排出基準を満たさない車の対策地域内
運行を規制する必要がある。
このため、県環境審議会の答申(8月20日)に基づき、環境の保全と創造に関す
る条例を改正し、ディーゼル自動車の運行規制を円滑かつ効果的に推進する。
2 環境審議会における審議等
(1)経緯
平成14年12月19日 環境審議会に「ディーゼル自動車の運行規制につい
て」諮問
12月27日 パブリック・コメント募集(1月27日まで)
平成15年 2月 3日 環境審議会大気部会において調査委員会を設置し、
継続審議を決定。
3月31日 自動車運行規制に係る調査委員会で調査
∼8月4日
8月13日 環境審議会大気環境部会で調査委員会から報告
8月20日 環境審議会から答申
(2)規制の基本的考え方
① 対象地域は、現在環境基準を超過し、将来もその達成が危惧される地域とする。
② 車種についても、環境への負荷が大きい大型車とする。
③ 円滑な対応が図られるよう、十分な猶予期間を置く。
④ 環境基準の達成状況等の推移により、規制対象地域及び車種等の範囲は、段階
的に拡大できるようにする。
(3)条例による運行規制の効果
① 大気汚染防止法に基づく単体規制、自動車NOx・PM法に基づく車種規制に
加え、条例による運行規制を行うことにより、低公害車の普及、交通需要の調整
低減、交通流対策などとあいまって、環境基準を達成することができる。
1
② 自動車NOx・PM法の車種規制は、同法の対策地域内に使用の本拠を置く自
動車を対象としていることから、対策地域外への移転等により、結果として排出
基準に適合しない車両の対策地域内への流入が増加し、車種規制の効果が小さく
なることが推測される。条例による運行規制を行うことにより、車種規制の効果
をより確実なものとすることができる。
③ 条例による自動車排出窒素酸化物削減量は、単体規制削減量以外の削減必要量
1,000 トンのうちの1割程度を占める 110 トンである。
3 規制内容
下記の規制対象地域の道路において、規制対象車が運行することを禁止する。
(1)規制対象地域(図1参照)
規制対象地域は、現在、環境基準を超過し、また、将来においても基準達成が危
惧される地域として、神戸市灘区、東灘区、尼崎市、西宮市(北部地域を除く)、
芦屋市、伊丹市とする。
ただし、環境基準が適用されない工業専用地域及び臨港地区は、規制対象地域か
ら除くこととする。
さらに、規制対象地域の大気環境に及ぼす影響その他生活環境の状況及び交通の
状況を勘案し、阪神高速道路5号湾岸線、ハーバーハイウェー、中国自動車道及び
国道176号(伊丹市内の1.4kmにわたる中国自動車道との併走区間)等について
は、適用を除外することとする。
(2)規制対象車種等
NOx・PMの排出量が多い車両総重量8t以上車両(バスにあっては定員30
人以上)を規制することによって、規制対象地域内の物流・人流を確保しつつ、最
小限の規制による環境基準の達成を図る。
ただし、対象車両や発生頻度が少ない等のため総量削減計画にも支障を与えない
こととして、①適用を除外する車両としては、特種用途自動車のうち、運行自体を
目的とせず、主として工事現場・事業所等での作業に使用するクレーン車、コンク
リート圧送車等、②適用を除外するケースとしては、緊急時の場合、他法令の許可
等に基づき運行経路が指定されている場合及び車検等の場合について、運行の状況
と環境への影響を総合的に勘案し、適用除外とする。
(3)規制開始時期・適用猶予期間
施行日は、平成16年1月1日とする。ただし、規制開始については、十分な周
知と円滑な買い換えが図られるような期間を考慮し、制定1年後(平成16年10
月1日)とする。
また、使用過程車の適用猶予期間については、自動車NOx・PM法の施行時期
や猶予期間を考慮し、表1に示す猶予期間を置くものとする。
(4)罰則等
措置命令違反及び違反自動車の運行に対する罰則を設けることとする。この場合、
2
法人等にも罰則を課す両罰規定を設けることとする。
(5)荷主指導
反復、継続して運送委託し、委託を受ける者が使用する自動車の運行に相当程度
関与する荷主等に対し、委託を受ける者が運行規制を順守するよう適切な措置を講
じるよう勧告することができることとする。また、勧告に従わない場合は、その旨
を公表することができるものとする。
4 支援策
(1)最新規制適合車等への代替促進支援制度の創設等
規制対象となる8t以上の車両(バスについては定員30人以上、以下同じ)を
対象として、最新規制適合車への早期代替促進を図るための支援を行う。
(2)内容
① 最新規制適合車等購入融資制度(国)に対する県単独利子補給制度の創設
300千円
中小企業金融公庫等の最新規制適合車等購入資金融資制度を利用する中小企業者
等に対して、利子補給を実施する。
・対象者
中小企業金融公庫等の最新規制適合車等購入融資制度を利用
する県内中小企業者等
・車両要件等
排出基準非適合車(車両総重量8トン以上(バスは定員 30
人以上)を廃車して、最新規制適合車等に代替する場合
(法対策地域外に使用の本拠を置く車両に限る)
・利子補給率
法対策地域内外の金利差相当
(例)中小企業金融公庫(償還期間10年)の貸付金利
(H15.9.19現在)
・法対策地域内
1.45%
・法対策地域外
1.80% → 1.45%
(0.35%の利子補給)
・対象台数 30台(平成15年度)
② 最新規制適合車等代替促進特別融資制度の創設
(10億円)
最新規制適合車等への代替にかかる融資制度をさらに充実させるため、中小企業
者等に対する融資及び利子補給制度を創設する。
・対象者
県内中小企業者等
・車両要件等
排出基準非適合車(車両総重量8トン以上(バスは定員 30
人以上)を廃車して、最新規制適合車等に代替する場合
(使用の本拠は法対策地域内外を問わない)
・融資制度
・融資利率
1.4%
・融資限度額 車種ごとの限度額×台数(上限2億円)
3
・融資目標額 10億円
・利子補給制度
・利子補給率
中小企業者
40%(実質貸付率 0.84%)
小規模事業者 60%(実質貸付率 0.56%)
・利子補給期間 10年以内(償還期間と同じ)
・対象台数
70台(平成15年度)
(参考)県信用保証協会に対する損失補償制度の県填補率80%
(現行制度70%)
③ 最新規制適合車等代替促進特別貸与制度の創設
(3.6億円)
担保提供能力等の低い中小企業者等による最新規制適合車等への代替を支援する
ため、設備貸与(割賦販売)制度を実施する。
・対象者
・車両要件等
県内中小企業者等
排出基準非適合車(車両総重量8トン以上(バスは定員 30
人以上)を廃車して、最新規制適合車等に代替する場合
(使用の本拠は法対策地域内外を問わない)
・損料
1.5%(連帯保証人なしの場合は3.0%)
・貸与限度額
7,500万円
・貸与目標額
3.6億円
・割賦期間
8年以内
・貸与機関
(財)ひょうご中小企業活性化センター
・その他
保証金10%(最終償還へ充当)
・対象台数
30台(平成15年度)
④ 最新規制適合車等代替促進特別補助制度の創設
26,400千円
排出基準非適合車を使用期限から2年以上早期に最新規制適合車等に代替する
場合について車両購入価格の2%相当を補助する制度を創設する。
・対象者
県内中小企業者等
・車両要件等
排出基準非適合車(車両総重量8トン以上(バスは定員 30
人以上)を廃車して、最新規制適合車等に代替する場合
(使用の本拠は法対策地域内外を問わない)
・補助率
車両購入価格(自動車取得税課税標準基準額)の2.0%
・対象台数
110台(平成15年度)
⑤ 自動車取得税の軽減措置の拡大
法対策地域内における排出基準適合車への代替に対する軽減措置を、法対策地
域外における代替にも拡大する。
・車両要件等
排出基準非適合車(車両総重量8トン以上(バスは定員30人
以上)を廃車して、最新規制適合車等に代替する場合
・軽減率
H16.1∼H17.3の取得 1.9%軽減
4
・自家用 5%→3.1%
・営業用 3%→1.1%
H17.4∼H19.3の取得 1.5%軽減
H19.4∼H21.3の取得 1.2%軽減
5 規制の実効性の確保等
(1)周知体制の整備
① 県内の運輸関係事業者や貨物運搬の荷主事業者等に対してパンフレットを配布
する。
② 県外からの流入車を対象として、高速道路SA、道の駅、トラック・バスター
ミナル及び卸売市場等で、ポスターを掲示し、パンフレット等を配布するほか、
県外関係団体へ送付し、協力を求める。
③ 運行規制内容を周知するための説明会を開催する。
(2)監視体制の整備
規制実施までの間に、以下の体制での監視を検討する。
① 監視カメラ等を利用し、走行車両の違反状況を把握する。
② 国、県警等で合同実施している国道43号等での街頭検査時に、運行規制の指導
取締を実施する。
③ 荷主企業等への立入検査を実施する。
(3)経営相談・支援体制の整備
経営相談・支援の窓口を設置し、相談業務を実施する。
6 誘導策(阪神高速道路環境ロードプライシング(社会実験)の実施)
今回の自動車運行規制において規制除外道路としている阪神高速道路5号湾岸線の
通行料金については、さらに実効性のある環境ロードプライシングの実現を目指し関
係機関と協議を進めており、今年度は、交通や環境への効果・影響を調査検証するた
めの社会実験の実施について関係機関と協議中である。
・対象道路 阪神高速道路5号湾岸線
・対象車種 大型車
7 ディーゼル自動車へのDPF導入助成事業の継続
国庫補助申請の受付が終了したDPF装着補助制度の県補助分について、引き続き
県単独で受付を継続する。
・補助対象経費 DPFの装着に要する費用
・補助率
1/4(県補助分)
・対象台数
100台
(⑮予算額20,185千円)
5
参考資料1
自動車NOx・PM法の窒素酸化物等排出基準に適合しない自動車の運行規制(概要)
本県においては、自動車から排出される窒素酸化物(NOx)や粒子状物質(PM)による大気の汚染が著しい地域
(11市2町)において、自動車から排出される窒素酸化物及び粒子状物質の特定地域における総量の削減等に関する
特別措置法(自動車NOx・PM法)による車種規制が実施されている。今回、同法の規制対象地域とならない地域に
使用の本拠を置く自動車(車両総重量 8,000 キログラム以上の自動車(バスは乗車定員 30 人以上)に限る。
)について
も、同法の規制対象地域のうち特に環境基準の達成が困難であると懸念される地域(特別対策地域)を運行する場合は、
同法と同等の規制を課すこととする。
環境の保全と創造に関する条例
法・条例
自動車NOx・PM法
項目
対象自動車
規制内容
車種
(+道路運送車両法)
乗用車(ディーゼル)
貨物自動車(ディーゼル、ガソリン、LPG)
乗合自動車(ディーゼル、ガソリン、LPG)
特種自動車(ディーゼル、ガソリン、LPG。ただ
し、乗用車を改造したものはディーゼル車に限
る。)
排出基準に適合しない自動車は、対策地
域内(阪神・播磨南部地域11市2町)
で登録ができない。
NOx
PM
(改正案)
自動車NOx・PM法の対象自動車
のうち、車両総重量8t以上の自動
車(バスは乗車定員 30 人以上)
排出基準に適合しない自動車は、
特別対策地域
(=阪神東南部地域)
内で運行ができない(ただし、一
部路線で適用除外)
。
NOx
PM
乗用車(ディー 昭和 53 年規制 平成 14 年規制ディー
ゼル)
ガソリン車並み ゼル車の 1/2
1.7t 以下 昭和 63 年規制 平成 14 年規制ディー
ガソリン車並み ゼル車の 1/2
1.7t∼
平成6年規制ガ 平成 15 年規制ディー
排出基準 そ 2.5t
ソリン車並み
ゼル車の 1/2
の
2.5t∼ 平成7年規制ガ 平成 15 年規制ディー
他
※LPG車
3.5t
ソリン車並み
ゼル車の 1/2
は、ガソリ
3.5t 超 平成 10,
11 年規 平成 10,
11 年規制ディ
車両総重量8t以上
ン車並みの
制ディーゼル車 ーゼル車並み
(バスは乗車定員 30 人以上)
基準となっ
並み
平成
10,11 年規制ディーゼル車並み
ている。
実効性の確保措置
車検証の不交付(道路運送車両法第58 事業者への措置命令
条による運行の禁止)
荷主等への勧告
6月以下の懲役又は20万円以下の罰金 20万円以下の罰金
排出基準に適合していない使用過程車については、初度登録日(新車として登録された日)
から起算して次のような猶予期間を設ける。
車両総重量8t 以上
(バスは乗車定員
30 人以上)
猶
9年
乗用車
−
予
期
間
普通貨物
9年
10年
小型貨物
8年
−
大型バス
小型バス
特種
12年
10年
10年
平成13年12月15日施行。
平成14年10月から規制開始。ただし、使
用中の自動車については、平成15年10月
から
(激変緩和措置により、車齢によっては、上記期
間よりも猶予されている。)
13年
―
11年
平成16年1月1日施行。
平成16年10月から規制開始。
自動車NOx・PM法の規定による
使用可能最終日より各1年猶予す
る。
適用日
参考資料2
自動車排出窒素酸化物に係る削減量等について
1
環境基準達成のための法対策地域及び条例対象地域の目標量
表1
t/ 年
地
域
現況排出量 中間排出量 目標排出量 単体規制で期待さ 要削減量
( 9 年 度 ) ( 17 年 度 ) ( 22 年 度 ) れ る 削 減 量
法対策地域
19,760
17,200
12,000
(11市2町)
※2
※3
6,760
1,000
2,270
310
※1
条例対象地域
6,270
5,320
3,690
(阪神東南部)
注
2
※1
総量削減計画における目標量
※2
これまでの新車への更新状況を考慮した単体規制による削減量
※3
現 況 排 出 量 − 目 標 排 出 量 ( H22 ) − 単 体 規 制 削 減 量 を 要 削 減 量 と し て い る 。
環境改善効果
目 標 が 達 成 さ れ る こ と に よ り 、 二 酸 化 窒 素 の 環 境 濃 度 ( 98% 値 の 最 高 値 ) は 平 成 9
年 度 の 0.070ppm ( 国 道 4 3 号 )、 0.067ppm ( 国 道 1 7 1 号 ) が そ れ ぞ れ 0.060ppm 以 下 に
なると予測される。
3
対策別削減量
① 平成22年度における目標量達成の対策別削減量は次表のとおりとしている。
表2
t/ 年
規制的手法
地
域
低 公 害 車 その他
車種規制 条例規制 の普及
※3
合
計
※1
法対策地域
400
(11市2町)
条例対象地域
110
370
120
120
20
1,000
※2
120
50
310
(阪神東南部)
注
※1
条例規制による削減量は、法対策地域内の登録車が対策地域外に移転する可
能性等を見込んでいる。
※2
阪神東南部の条例規制により、法対策地域全体に波及する削減量を見込んで
い る 。( 直 接 的 削 減 量 50t 、 波 及 的 削 減 量 60t )
※3
その他とは、別紙に示す総量削減計画の対策体系のうち、交通需要の調整低
減、交通流対策の推進等により削減すべき量である。
②
条 例 規 制 が な け れ ば 、そ の 削 減 量 は 0 と な る だ け で な く 、車 種 規 制 に よ る 削 減 量 も 、
さらに小さくなる可能性があり、環境基準の達成は一層困難となる。