水道企業団パンフレット

第
2章
水道事業の現況
2−1 沿革
2−2 業務の推移
2−3 水需要
2−4 水源
2−5 施設
2−6 管路
9
∼第 2 章∼ 水道事業の現況
2−6 管路
管路総延長は約 2,000㎞にも及び、その多くは口径φ300mm 以下の配水管となってい
ます。管種別でみるとダクタイル鋳鉄管※ 12 が 85.6% を占めていますが、耐震管としては
32.2% にとどまっています。また、強度の弱い石綿セメント管※ 13 や塩化ビニル管は旧町
村部を中心にそれぞれ 2.7%、10.0% 残存していること、耐用年数を経過した経年管の増
加も見込まれること等から、これら地震に弱い管や老朽化した管の更新を促進する必要が
あります。
φ700mm 配水管布設工事
※ 12. 鋳鉄に含まれる黒鉛を球状化させたもので、鋳鉄に比べ、強度や靭性に富んでいる。施工性が良好であるため、現在、水道用
管として広く用いられている。
※ 13. 石綿繊維(アスベスト)、セメント、硅砂を水で練り混ぜて製造したもの。アスベストの発ガン性により 1985 年から製造が
停止されている。
16
∼第 2 章∼ 水道事業の現況
管種別延長
(平成20年度末)
区分
上水道
島守簡易水道
単位:m
合計
構成比 (%)
53,260
0
53,260
2.7
ダクタイル鋳鉄管
1,720,663
902
1,721,565
85.6
(うち耐震管)
(645,882)
(902)
(646,784)
(32.2)
石綿セメント管
※14
15,640
0
15,640
0.8
13,262
367
13,629
0.7
塩化ビニル管
187,776
13,367
201,143
10.0
ステンレス管
3,758
0
3,758
0.2
ポリエチレン管
327
0
327
0.0
合 計
1,994,686
14,636
2,009,322
100.0
鋳鉄管
鋼管
用途別延長
(平成20年度末)
区分
口
径
導水管
単位:m
送水管
配水管
φ1500
0
0
2,020
φ1350
0
0
867
φ1200
3,802
68
0
φ1000
4,551
29
7,909
φ800
1,132
800
809
φ700
392
8,423
5,364
φ600
2,044
4,877
6,429
φ500
0
10,910
22,063
φ450
0
3,000
4,947
φ400
0
9,386
24,559
φ350
0
18,366
13,432
φ300
0
18,262
63,524
φ250
0
21,697
102,950
φ200
2,390
20,757
170,903
φ150
0
22,692
447,020
φ125
0
0
3,745
φ100
0
2,690
659,920
φ75
0
13,131
303,462
14,311
155,088
1,839,923
合 計
※ 14. 鉄、炭素 ( 含有量 2%以上 )、ケイ素からなる鉄合金で作られた管。
17
第
4章
基本的な施策
4−1 安全でおいしい水道水の供給
4−2 さらなるライフラインの強化
4−3 持続性の高い水道事業運営
4−4 環境にやさしい水道の推進
23
∼第 4 章∼ 基本的な施策
4−2 さらなるライフラインの強化
4-2-1 計画的な更新による耐震管の整備
【現状と課題】
十勝沖地震や三陸はるか沖地震の教訓から、導水管、送水管、配水幹線などの基幹管路
を始めとして積極的に耐震管を採用してきました。今後、中小口径の配水管は更新時期に
合わせて、耐震管への更新を予定しています。
送・配水管の更新は、平成 7 年を初年度とする石綿セメント管(以下 ACP)更新事業、
平成 8 年を初年度とする老朽管(以下 CIP)更新事業を中心に進めており、平成 20 年度
末におけるそれぞれの管路の更新率は、それぞれ 88.0%、65.1% となっています。しかし、
国庫補助採択を受けた ACP や CIP に比べると、その他の管種については思うように更新
が進んでいない状況にあります。
今後は、法定耐用年数の 40 年を超過する経年管が急増すると見込まれており、道路交
通障害や漏水防止対策、あるいは災害対策の観点からも老朽管の更新が急務となっていま
すが、水道料金収入に直結しない設備投資であり、短期間に集中するほど財政事情を悪化
させる恐れがあるので、計画的な更新が求められます。
挿し口突部
通常時
ロックリング
地震時
移動
挿し口突部がロックリングに
当り、抜け出しを防止する。
抜け出し防止機能を有する耐震継手の例(NS 形継手)
30
∼第 4 章∼ 基本的な施策
【方針と施策】
管路の耐震性を強化するため、管路の新設や更新に当っては全面的に耐震管を使用しま
す。老朽化した給水管についても耐震性を考慮し漏水防止対策を強化します。
更新に当っては、地震被害予測や耐震性を評価するとともに、災害時の拠点となる重要
施設を優先させ、合理的かつ効果的な更新計画を策定します。
○導・送・配水管更新事業を推進します。
○管路情報の一元化を図り、路線別の優先度に応じて更新を進めます。
○給水管はポリエチレン管の使用を積極的に進めます。特に漏水しやすい鋼管、塩化ビニ
ル管は分水栓からメータまでを更新します。
目標
項目
5107
2210
※20
年度
耐震管総延長
(m)
耐震管布設延長
(m)
管路の耐震化率
(%)
※21
基幹管路の
耐震化率
(%)
有収率
(%)
漏水率
(%)
H21
687,558
50,782
33.9
67.7
87.9
9.5
H22
729,542
41,984
35.9
68.0
88.0
9.0
H23
762,197
32,655
37.4
69.4
88.25
8.5
H24
794,853
32,656
38.9
70.2
88.5
8.0
H25
827,510
32,657
40.4
71.0
88.75
7.5
H26
875,828
48,318
42.6
71.9
89.0
7.0
H27
924,397
48,569
44.9
73.0
89.25
6.5
H28
971,613
47,216
47.0
73.9
89.5
6.0
H29
1,006,030
34,417
48.5
74.7
89.75
5.5
H30
1,038,845
32,815
50.0
75.9
90.0
5.0
※ 20. 離脱防止継手を有するダクタイル鋳鉄管と耐震性を考慮した溶接鋼管延長から算出。
※ 21. 導水管、送水管のほかφ 350mm 以上の配水管を定義した。
31
∼第 4 章∼ 基本的な施策
4-2-2 主要施設の耐震化
【現状と課題】
昭和 61 年に 22 ヶ所存在していた浄水施設は、白山浄水場(馬淵川系+新井田川系)
、
蟹沢浄水場、三島浄水場 の 3 施設に集約されており、地震動に対しては高い安全性が確
保されています。
主要な送水ポンプ場は、そのほとんどが建築基準法施行令改正(昭和 56 年 6 月)後の
平成元年以降に建設されているため、地震動レベル 1 ※ 22 に対する耐震性能を有している
と考えられ、また、平成 16 年度に更新された木内々ポンプ場は、地震動レベル 2 ※ 23 に
対応した施設となっています。
しかし、配水池については、松原配水池、鉄砲平配水池、白山配水池以外には地震動レ
ベル 2 に対する耐震性を確保していないため、耐震補強が急務となります。特に、地上
式 PC 造の配水池・塔に比べ、地下・半地下式 RC 造配水池の経年化率が高く、その中でも、
五戸(昭和 38 年建設)
、城山(昭和 39 年建設)及び白銀(昭和 27 年建設)は、
建設年度、
立地条件(公園、住宅などへの二次災害リスク)
、容量等を考慮した場合、早期の更新が
必要となります。
耐震補強工事中の白山浄水場急速ろ過池
※ 22. 施設の供用期間中に発生する確率が高い中程度の地震動。主要構造体は弾性的な挙動で応答する ( ひび割れが起きない ) こと
が求められる。
※ 23. 過去から将来にわたって当該地点で考えられる最大級の強さをもつ地震動。建物は倒壊や外壁の脱落など、破損が生じないこ
とが求められる。八戸圏域では、青森県防災計画に基づく太平洋側海溝型地震(M8.2)を想定している。
32
∼第 4 章∼ 基本的な施策
【方針と施策】
主要施設の耐震診断を実施し、二次災害や機能停止の影響度が大きい主要施設の耐震化
を効率的に促進し、安定的な給水確保を図ります。
⑴耐震診断の実施
○老朽度や重要度に応じた水道施設の耐震診断
⑵耐震補強、改築、更新の計画と実施
○配水池の統合・廃止
○配水池の補強・更新
○ポンプ場の補強
目標
指標値
番号
指標名
定義
18年度
19年度
20年度
30年度目標値
2207
浄水施設 (耐震対策の施されている浄水施設
耐震率(%)
能力/全浄水施設能力)
×100
0.0
42.4
42.4
100.0
2208
ポンプ所 (耐震対策の施されているポンプ所
耐震施設率(%) 能力/全ポンプ所能力)
×100
2.0
2.6
2.6
100.0
2209
配水池
(耐震対策の施されている配水池
耐震施設率(%) 容量/配水池総容量)
×100
3.6
11.6
18.0
96.9
水道施設の耐震化状況を表している。耐震工法指針のレベル2、ランク Aの安全度を持つ施設。
平成21年4月に供用開始した
ステンレス製根城配水池
(V=7,200m3)
33
∼第 4 章∼ 基本的な施策
4-2-3 水運用機能の強化
【現状と課題】
当企業団は、末端給水型広域水道として事業統合が進んだことから、800km2 という全
国でも有数の計画給水区域を持っています。その隅々まで水を送り届けるため、2,000㎞
以上の管路と 40 ヶ所もの配水池を運用し、常に水を送り届けています。
平時における給水に支障はないものの、非常時(災害、火災、事故、気象条件)におい
ては水源からの距離や地形的要因により脆弱性が現れる場合があります。また、配水池容
量は小さいもので 50m3、大きいものでは 10,000m3 とばらつきが大きく、適正な配水池
容量を確保できない給水区域では、さらなる安定した給水の確保が求められています。
平成 8 年に増設された向山配水塔(右側、V=2,200m3)
34
∼第 4 章∼ 基本的な施策
【方針と施策】
安定的に水を供給するため、配水池を増設します。配水管網は、需要予測にあわせて合
理的に構築し、配水ブロック管理や早期の漏水発見など現有システムを有効活用しながら
維持管理を行い、水運用機能を強化します。
⑴水運用機能を充実させるための管網整備
○バックアップ機能の強化
白山低区幹線の二重化
根城系配水幹線
南高台配水池補給系統
○配水ブロックの再編成
○送配水バランスの適正化
⑵安定供給を図るための配水池増設
○南郷配水塔
○ひばり野配水塔
○たての台配水塔
○大山配水塔
桔梗野
φ300
耐震ループ等
導水管
北沼
緊急遮断弁
φ200
φ500
緊急用給水拠点
八太郎
φ500
φ300
小田
φ500 φ700
太平洋
φ500
ループ口径
φ1000
(未施工)
φ700
φ500
西水管橋
φ700
N
一級河川
馬淵川
φ1500
∼φ1350
4.2km
川中島ポンプ場
白山配水池
白山浄水場
二級河川
新井田川
4.5km
是川ポンプ場
白山配水池を中心とした耐震ループ管
35