実験動物の麻酔の基本と問題点

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実験動物の麻酔の基本 と問題点
倉 林
譲
岡山大学 ・客員研究員
<は じめ に>
05
当大学の動物実験指針 は、昭和 48年法律 第 1
号 として 「
動物の愛護及び管理 に関す る法律」(
動
2年 1
2月 に一部改定 して施
愛法) として、平成 1
行 され てい るもの と、昭和 55年総理府 告示第 6
号 と して制定 された 「
実験動物 の飼養及び保管 な
らび に苦痛 の軽減 に関す る基準 」の法律 によ りで
きてい る。動愛法第 2条 に 「
何人 も、動物 をみだ
りに殺 し、傷つ け、又は苦 しめることのない よ う
にす るのみではな く、その習性 を考慮 して適性 に
取 り扱 うよ うに しなけれ ばな らない」 と規 定 され
てい る 指針第 1
0 条に 「
動物 を殺 さなけれ ばな
らない場合 には、できるか ぎ りその動物 に苦痛 を
与 えない方法 によって しなけれ ばな らない (
動物
の処分 方法に関す る指針 、平成 7年 7月 4 日、総
理府 告示第 40号 に定 め られ てい る。 また、指針
第 11条 に 「
動物 を教育 、試験研究又 は生物学的
製造 の用 、その他 の科学上 の理 由にその利用 に供
す る場合 には、その利用 に必要 な限度 において、
で きる限 りその動物 に苦痛 を与 えない方法 によっ
て しなければな らない」 と規 定 され てい る。動物
の苦痛排除の具体的 な方法 については、動物 に麻
酔 を施 してか ら実験処置 を行 う必要 が あるもの と
思 われ る。 また、平成 1
8年 6月 1日付 けで、 日
本学術会議 か ら 「
動物実験 の適正 な実施 に向けた
ガイ ドライン」 を出 した。生命科学 を推進す るに
は、その必要性 を最 も理解 してい る研 究者 が責任
を持 って動物実験等 を 自主的 に規制す るこ とが望
ま しい と考 え、その一方 で動物 実験等 の適正 な実
施 に関 して国 としての よ りどころを求 める声 もあ
る。 そ こで動物実験等 に関す るガイ ドライ ンの策
当時) は平
定が急務 とな り、 日本学術会議 7部 (
成 1
6年 に 「
動物実験 に対す る社会的理解 を促進
す るために (
提言)」 を報告 した。
これ を受 けて文部科学省 お よび厚生労働省 は、
「
研究機 関等 における動物実験等 の実施 に関する基
本指針 」 お よび 「
厚生労働省 にお ける動物実験等
の実施 に関す る基本方針」 を取 りま とめた。 さら
に両省 は 日本学術会議 に対 し、上記の基本方針 を
踏まえて各研究機 関が動物実験等 に関す る規定等
を整備す るに際 してモデル とな る共通 ガイ ドライ
。
ンの作成 を依頼 した。
動物実験の取 り扱 いに関 してはそれぞれ の国家
に固有 の宗教や 文化 が影響 してい る。法令 に よら
ない動物実験等 の 自主管理 は北米型 ともいわれ る
が、わが国は 日本 の土壌 に根 ざ した管理体制 の樹
立 を 目指すべ きであ り、それ に よって動物実験等
が社会的理解 の下で適 正 に進 め られ、生命科学研
究の発展 に寄与す るこ とを願 ってやまない。
<全身麻酔法の種類 >
実験動物の麻酔方法 には、大 き く分 けて 2つ の
効用 を期待 して行 うものである その一つ は、実
験動物 の非動化 で あ り、 も う一つは大脳 の脳 幹部
を麻寝 させ るこ とに 目的があ ります。全身麻酔法
には次の 5項 目があ ります。
1
) 吸入麻酔法 :i
nha
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2) 静脈麻酔法 :i
3
) 筋 肉内麻酔法 :i
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4) 腹腔 内麻酔法 :i
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5
) 直腸麻酔法 :r
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l)の吸入麻酔法 は、液 体麻酔剤 を気化 させ
て動物 に気化 ガス を吸入 させ て麻酔 を施す方
法 であ る マ ス ク法 あるい は気管 内チ ュー ブ
にて気道確保 して麻酔 ガ スを吸入 させ る方法
で、麻酔 ガ ス を吸入 させ てい る間は麻酔状態
を維持 で きてい るが、マ ス クあ るいは気 管 内
チ ュー ブ を外せ ば、 速や か に麻酔状態 か ら覚
醒す るこ とになる。
2)∼4)の全身麻酔法 は、いずれ も注射器 を
使用 して注射麻酔剤 を注射 して麻酔 を施す方
法 で、実験動物 の体重 か ら計算 して麻酔量 を
決定 し施す方法 である
この よ うな こ とか ら一旦動物 に注射 を施 した
ら麻酔剤 を取 り出す こ とがで きず 、 多量にな
れ ば死 亡す る し、少 なす ぎる場合は麻酔状態
になかなかな らず に動物 の体動 が止 ま らない
状態 がつづ くこ とになる。 そ うい う場合 は更
に追加 麻酔 をす るこ とにな るが、追加 麻酔量
を決 定す るには どの くらい しなけれ ばな らな
いかが大変難 しい問題 点であ る この注射麻
酔方法 は筋 肉内麻酔法 も腹腔 内麻酔法 で も静
。
。
。
3
7
脈麻酔方 法 も変 わ る こ とはな く、同様 麻酔量
を決 定す るこ とが非常 に大切な ところであ り
ます。
5)の直腸麻酔法は、麻酔剤 を体温程度 の湯水
に溶解 して涜腸器 で肛門か ら麻酔薬 を注入 し、
直腸 か らその麻酔剤 を吸収 させ て全身麻酔状
態 をつ くるこ とに 目的が あ ります。 吸入麻酔
方法 と直腸麻酔法は少 し技術 を必要 とす るが、
静脈 ・筋 肉 ・腹腔麻酔法 はす べ て注射 麻酔法
で あ り、その注射 量 の用 量 を正確 に規定 して
注射す る必要がある。
があ ります。
1
)冷凍麻酔法 :r
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2)低体温麻酔 :i
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3) 人工冬眠 :hi
4) 低 血 圧 麻 酔 法 :i
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5)NLA:
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6) 電気麻酔法 :e
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7) - リ麻酔 :a
冷凍、低体温 、人工冬眠麻酔 は、いずれ も局所
あるいは全身 の体温 を低 下 させ痔痛 闇値 を上昇 さ
せて麻酔 を施す方法 で ある その部分の痛み刺激
に対す る反応性 を弱 めて小手術 を行 うことができ
る麻酔 を行 う方法 である。低血圧麻酔 は、低血圧
状態 を作 り、痔痛 な らび に出血 の少 ない麻酔 が得
られ るよ うに した麻酔方法 である。
NLAについて
は、神経麻酔 を して痔痛 を完全 に無 くしてか ら手
術 を行 う麻酔 方法 で よく利用 されてい る麻酔方法
であ る。電気麻酔法 あ るいはハ リ麻酔方法 につ い
ては電気 あるい はハ リを使用 して局所痔痛闇値 を
高 めて痔痛 を感 じさせ ない状況 を作 って麻酔状態
を作 る方法 を電気麻酔 、 あるい はハ リ麻酔方法で
ある。
。
<局所 (
部分)麻酔 >
局所 (
部分)麻酔法 は、全身麻酔ではな く、体
の局所 あるいは部分 を麻酔す る方法であ り、局所
麻酔剤 を局部 に注射 して体 の ご く一部分 の麻酔 を
施す麻酔方法である。従 って、全身麻酔 ではない
ことか ら中枢 の脳幹部 の麻痔 は来た していない状
態 であ り、睡眠 を してい る状態 ではないので意識
は明確 にはっき りしてい る状態 であ ります。従 っ
て、体動 は抑制 され るこ とな く未 だ静止 されず動
いてい る状態であ ります。 この局所 (
局部)麻酔
には次 の よ うな麻酔方法がある。
1
) 表面麻酔法 :s
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a
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2) 局所浸潤麻酔法 :i
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3) 周囲浸潤麻酔法 :f
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4)伝 達 麻 酔 法 (神 経 ブ ロ ッ ク):c
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・
1脊椎麻酔法 :s
4
)
・
2硬膜外麻酔法 :e
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4)
・
3 神経幹 または神経叢遮 断麻酔 (
狭義 の伝達
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k):
麻酔 ;n
1)表面麻酔法 は、皮膚 の表面 のみの麻酔であ り、
深部 は麻酔 されていない。局所 麻酔剤 を使 った麻
酔法 であ る。 2) 局所 浸潤麻酔法 は、皮 下識 に局
所麻酔剤 を浸潤性 に使用 した麻酔法 で あ る。 3)
周 囲浸潤麻酔 は、局部周 囲の局所麻酔剤 を使用 し
た麻酔法 で局所麻酔 よ りやや広 めの麻酔 を施 した
神経 ブ ロッ
麻酔方法 で あ ります。 4) 伝達麻酔 (
ク) については、脳 で痛み を感ず るのです が痛み
を発生 してい る部分 と脳 との間の伝達す る部分 を
局所麻酔剤 で遮 断す る方法 であ ります。 それ には
脊椎 を麻酔す る脊椎麻酔方法 、硬膜 の外部 を局所
麻酔す る硬膜外麻酔方法お よび神経幹 あるいは神
経叢 を局所麻酔す る方法 (
狭義 の伝達麻酔法) が
あ ります。
<全身麻酔法の基本 >
全身麻酔法の基本 は、実験動物の 中枢 である脳
幹部機能 の抑制 な らび に実験動物体の化学的 非動
化 (
固定)が基本的 な 目的 であ ります。全身麻酔法
には、4つの方法 があ り、下記 の通 りで有 ります。
1) 注射麻酔法 :ネ ンブタール 、ケ タラ-ル等 の
注射麻酔剤 を体重 よ り瓶量 し、注射器 に よっ
て麻酔 を施す全身麻酔法 であ ります。投与経
路 は、皮 下、静脈 内、筋 肉内、腹腔 内注射麻
酔法があ る。
2) 吸入麻酔法 :ハ ロタン、イ ソフル レン、セ ボ
フル レン等 の吸入麻酔剤 を気化器 で気化 させ、
その気化麻酔 ガスをマスクあるいは気管 内チ
ューブ を挿管 させ 、吸入 させ ることに よ り施
す全身麻酔 をい う。
3) 特殊麻酔法 :冷凍 、低体温、人工冬眠、NLA、
電気麻酔 、ハ リ麻酔等 の麻酔法 で、すべ ての
麻酔方法 が全身性 に作用す るか否 かは肯定で
きない。
上記 の全身麻酔法 は、本麻酔剤 による麻酔法 を述
べた までであるが、 これ らの全身本麻酔法の前 に
麻酔前投与 (
Pr
e
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c
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n)を行 うこ とが全身
麻酔の基本で ある
。
<特殊 な麻酔法 >
全 身麻酔 や 局所 麻 酔法 以外 には特殊 な麻 酔法
があ ります。 その方法 にはつ ぎのよ うな麻酔方法
<麻酔前投与の効用 >
麻酔前投与 は、鎮静剤 、鎮痛剤 、 トランキライ
3
8
ザ一 、抗 コ リン作動薬 、アセ チルサ リチル酸 お よ
i
ds等 の麻酔前投与薬 を本麻酔剤 を投与す
び NSa
る前 に投与 して、本麻酔剤 の弱点等 を補 うこ とが
非 常 に大切 な こ とで あ る。 麻酔前投与 の効用 には
次 の よ うな こ とが上 げ られ る。
1) 恐怖 心 、不安 を減 じ、鎮静状態 を作 り、ス ト
レスのない麻酔導入状態 を作 る。
2) 全身麻酔導入 に必要 な麻酔 量 を減 じ、不快 な
副作用 を減ず る。
3) 麻酔導入 な らび に覚醒 を円滑 にす る。
4) 気 管 内分泌物 量 を減ず る。
5) 血管迷 走神経反射 を遮 断す る。
6) 術前 ・
術 中・
術後 の痔痛 を減 じ最小 限 にす る。
な どの効用 を有す る。す なわ ち、麻酔状態 にスム
ー ズに誘 導す るた めの準備 をす る効 用 があ るので
ある
。
<麻酔剤 の問題 点 >
麻酔剤 の問題 点 では、向精神 薬や麻薬扱 いの麻
酔剤 とな るこ とであ ります。例 えば、塩酸 ケ タ ミ
ン :商 品名 :ケ タ ラ- ル (
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)が、
横 流 しを行 って 目的以外 の用 に使用 した こ とか ら、
9年 1月 1日よ り麻薬扱 い にな ります。従
平成 1
って、麻薬管理者や麻薬施用者 の免許 を取 ってい
ない と塩酸 ケ タ ミンの使 用 がで きな くな ります。
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)は、すで
また、ネ ンブ タール (
に向精神薬 になってい るので、薬物 の取 り扱 い上
は麻薬 と同一 にな ります。 即 ち、薬物 は鍵付 きの
堅牢 な金属性 の保 管庫 を使 用す る必要 があ り、受
払 い簿 (
使用 日時、使 用者 、使 用量 、残 量等 を記
録 した受払 い簿) を金庫 に保 管 してお く必要 があ
る。
モル ヒネ等の麻薬 は、向精神 薬 と同様 の取 り扱
い をす る と同時 に、麻薬管理者 、麻薬施用者 の免
許 を取得 しなけれ ばな らない こ とにな るこ とは仕
方 が無 い こ とであ ります。
1
)
病院 ・
診療所用 と 2)研 究用 の 2種類 があ り、
目的 に応 じて どち らか を 申請 して許 可 が必要 であ
ります。麻薬 を施用 しよ うとす る医師、歯科 医師、
獣 医師等 は診療 に従事 してい る診療施設 を業務所
として麻薬施用者 の免許 を受 けなけれ ば疾病治療
の 目的 で患者 に麻薬 を施 用 した り、施用 のた め交
付 した り、施用 のた め交付 した りす るこ とはで き
ない。施 用者 が 2名 以上 い る ところは医師、薬剤
師か ら麻薬管理者 を置 かな けれ ばな らない。 申請
は県知事宛 、麻薬 中毒患者 でない診 断書 を提 出す
る必要 がある。
<代替 ケ タ ミン>
ケ タ ミンが麻薬扱 いにな るこ とを踏 ま えて、平
成1
8年 3月 23日官報 に麻薬扱 いのパ ブ コメを行
9年 1月 1日よ りケ タ ミンが麻薬扱
った。 平成 1
い にな ります。
そ こでケ タ ミンに代 わ る麻酔薬 は無 いだ ろ うか と
1ml中ケ タ ミン 5
7.
6
mg含 有
言 うこ とで あ るが 、
の劇 薬 ケ タ ミン (
三共) を今 まで多 くの研 究者 や
臨床 家 が使用 していた と思われ ます が、 ヒ ト用筋
肉注射 ・静脈 内注射 は製造 を続行す る予定 で あ り
ます。 しか し、動物用 ケ タ ミンは製造 中止 とな り
ます。
一方 、劇 薬 ノモペ イ ン注 (
明治製菓):lml中
にケ タ ミン 50mg含 有 の ものであるが、動物用筋
肉内注射剤 は製 造す る予定 であ ります。 ただ し、
麻薬 の取 り扱 いの許 可 申請 を行 い認 可 を受 け る必
要 が あ ります。
申請場所 は、福祉保健 局 、健康安全 室、薬務課 、
薬事免許係 り宛 に 申請 して許 可 を取 る必要 が あ る。
<獣 医師が麻薬 を取 り扱 うため に>
麻薬施用者免許 は、獣 医師個 人が麻薬 を使用す
るのに必要で あ ります。施設 以外 は使用 で きませ
ん。 2施設 以上 で使 う場合 、2箇所 以上 の都道府
県知事 に 申請 し許 可 を受 けなけれ ばな らない。
申請書類 は、麻薬施用者 (
管理者 )免許 申請 申
請書 、麻薬 常習者 で ない健康診 断書 、獣 医師免許
証 の写 し、診療 用 であれ ば診療所 の開設届 け (
研
究施設 の図面等)、申請者 の印、手数料 :¥4,
600・
(
平成 1
8年 1月 1日現在 、
各都道府 県 で異 な る)、
申請先 は、福祉保健 局健康安全 室薬務課薬事免許
係 - 申請す る必要 があ る。
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mlか ら申請 用 紙 を ダ ウン ロ
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麻薬 の専用保 管庫 (
金属製 で堅牢な もので、 固
定 で きてい る こ と、全量 の麻薬 が保 管 で きるこ と、
保 管庫 には施 錠す る こ と、施設 内に置 くこ と、麻
薬管理者 は獣 医師で あ るこ と、 立 ち入 り検査 で受
払 い簿 が常 に一致す る こと、麻 薬 の廃棄 は勝 手 に
はで きないので麻薬廃 棄届 けを 出 してか らの廃棄
が必要 にな ります。
<注射麻酔法 と吸入麻酔 法の相違 >
注射麻酔法 と吸入麻酔 の相違 については、注射
麻酔法 は、麻酔剤 の形状 は、ケ タ ミンや キシ ラジ
ン等 の注射麻酔剤 も- ロタン、セ ボ フル レン、イ
ソフル レン等 の吸入麻酔剤 も液体であ る。使 用す
る器 具類 は、注射麻酔法 は注射器 で あ り、吸入麻
酔法 で は吸入麻 酔装置 が必要で ある。 注射麻酔法
3
9
の投与経路 としては皮下、筋肉内、静脈 内、腹腔
内等の経路があ ります。注射麻酔法 は体重 か ら麻
酔薬量 を計算 して麻酔薬 量 を注射器 に注入 して
各ルー トか ら投与す るものであるが、体重か ら割
り出す麻 酔薬量 を正確 に計 算 して吸 引すれ ば よ
いのであるが、計算間違 えや注入量 を間違 える と
麻酔量 で無 く過量 にな った りす ると動物 は死 亡
す ることもあるので、注意す る必要がある。麻酔
量 が過少 になれ ば動物 は麻酔状態 に至 らず 追加
麻酔が必要 になって くる 一方、吸入麻酔法 は、
吸入麻酔装置が必要であ り、酸素等 のキャ リアー
ガスで一定濃度 に吸入麻酔薬 を気化 させ、その気
化 ガス をマ ス ク法 あ るい は気 管 内チ ュー ブで気
道 を確保 して動物 に吸入 させ る方 法 を とる方法
である。吸入麻酔は麻酔ガスを吸入 させ てい る間
は麻酔状態 を維持 させ ることができるが、マスク
や気管 内チューブを外せ ば、大気 を吸入す ること
にな り、動物の呼吸数や脈拍数 が多 くな り、動物
は体動が現れ、動物 は麻酔か ら覚醒す るこ とにな
る。 この よ うな麻酔状態 を麻酔深度の調節性 が最
も優 れ てい るの は吸入麻 酔法 で あ る と言 って も
過言ではない。
麻酔薬の用量は、注射麻酔剤 は麻酔剤 によって
異 な るが、吸入 麻酔 ガス濃 度 は、麻酔 導入時 は
4・
5%濃度 の麻酔ガスを吸入 させ 、麻酔維持濃度 は
2・
3% の吸入麻酔 ガスを吸入 させ ていれ ば麻酔状
態 を維持できる。
麻酔の兆候 は、呼吸数 、脈拍数、血圧 な らび に
体動が少 な くなる し、
麻酔覚醒の兆候 については、
呼吸数,脈拍数、血圧 が上昇 し、体動が多 く出現
すれ ば覚醒の聴講である これ らは吸入麻酔 も同
様 である。
。
。
安全度 は どち らの麻酔法が安全であるか といえば、
注射麻酔法 は適正 に使用すれば安全 であ ります。
吸入麻酔法 は、麻酔深度 の調節性が よいので安全
性 が高い と思われ る。 また、プ レメディケーシ ョ
ンは、両者共鎮痛剤 として NSa
i
ds(
メタカム)
等の
強い鎮痛作用 を有す る鎮痛剤 があるが、 これ らは
どち らの麻酔法で も余 り変わ ることな く両麻酔法
にて大 きく変化す ることはない と思われ る。
以上の よ うなこ とか ら注射麻酔のケタ ミンが麻薬
扱いになった り、注射麻酔の麻酔量 を計算間違 え
をす ることを思 えば、吸入麻酔法の方が安全性で
はないか と思われ る。
<終わ りに>
以上、述べた よ うに、注射麻酔法による麻酔深
度の調節性 は、吸入麻酔法の麻酔深度 の調節性 と
比較 し、注射麻酔剤 よ りは吸入麻酔法 によるガス
体 の吸入 に よる麻酔深度調 節性 の方 が よ り調節
性 に優れ てい る と思われ る。 また、注射 、麻酔剤
であるものの多 くに向精神薬が多 く、また、塩酸
ケタ ミン等の一部の麻酔薬が麻薬扱いにな り、そ
の取 り扱 い方 法 が面倒 にな って きてい るこ とか
らすれ ば、一層 の ことこの辺で吸入麻酔装置 を準
備 して、吸入麻酔法 による全身麻酔法に切 り替 え
る次期 に来てい る ともの とも思われ る。ぜひ、 日
本学術会議の 「
動物実験の適正な実施 に向けたガ
イ ドライ ン」が提言 されたことか らすれ ば、実験
f
i
nementしてゆくべ き時か も
動物 の麻酔法 も Re
しれない。