別途記載 - 日本原子力研究開発機構

H19年度博士研究員募集テーマ一覧
部門、部名
通番
募集テーマ
課室名
担当者
計算科学技術システムの 高度計算機技術開発
鈴木 喜雄
研究開発
室
システム計算
科学センター
1
安全研究セン
ター
原子炉施設安全評価
軽水炉構造機器の先進的
研究ユニット 機器・構
鬼沢 邦雄
2 健全性評価法に関する研
造信頼性評価研究グ
究
ループ
先端基礎研究
センター
超極限環境下におけ
分子性新奇スピントロニク る固体の原紙制御と新
境 誠司
3
奇物質の探索グルー
ス材料の探索
プ
先端基礎研究
センター
中性子超小角散乱法によ 強相関超分子系の構
4 る強相関超分子系の階層 築と階層間情報伝達 小泉 智
機構解明グループ
構造の解明
先端基礎研究
センター
分光学的手法及び生化
学的手法による放射線に
5
よるクラスターDNA損傷
の生成機構の研究
先端基礎研究
センター
6
刺激因子との相互作
用解析による生命応
答ダイナミックスの解
明グループ
横谷 明徳
極限重原子核の殻構
極限重原子核の殻構造の
造と反応特性の解明 宮武 宇也
反応特性の研究
グループ
外線
03-52462540
029-2826039
027-3469355
029-2843511
029-2843829
029-2843828
E-m@il
研究概要
suzuki.yoshio
@jaea.go.jp
計算科学・計算工学・情報工学の技術を用いて、物理/工学シミュレータや計算科学システムの研究開発を行う。計算科学あ
るいは計算工学の観点から、構造/流体/材料/原子力システムなどの応用分野技術に係る研究開発を行う。情報工学の観点
からは、高性能計算機技術/数値計算技術/ネットワーク技術/コンピューターグラフィックス/可視化技術などの情報基盤技術
に係る研究開発を行う。大規模・複雑問題の情報処理技術を体系的に検討し、計算科学・計算工学・情報工学に対して融合
的に研究開発を推進する。よって、業務の遂行に当たっては、シミュレーション技術、CAE技術、コンピューターグラフィックス技
術、統計処理技術、データマイニング技術、ネットワークシステム、HPC情報処理技術、分散並列処理技術などの技術に関す
る知見を有し、計算科学技術システムやシミュレーション・システム、情報処理システムの利用経験・開発経験を有する者を募
集する。
onizawa.kunio
@jaea.go.jp
わが国の軽水型原子力発電所は、初期プラントの運転開始後すでに35年以上が過ぎ、原子力設備に対する高経年化対策が
重要課題となっている。高経年化対策においては、材料の劣化予測評価法のみならず、構造機器の健全性を評価するため、
欠陥が発生した場合や想定した場合の破壊力学的解析手法が必要不可欠である。また、経年化に伴う材料劣化事象として、
中性子照射による破壊靱性低下や、溶接部の残留応力等に起因する応力腐食割れ等がある。原子炉で安全上重要な構造
機器の高経年化に伴う健全性を評価する手法について、これらの材料劣化等の評価モデルを検討するとともに、劣化機構、
破壊機構や溶接残留応力シミュレーション、確率論的解析などを包括的に取り扱うマルチスケール解析技術を用いた破壊力
学的な健全性解析技術を確立するための研究を行う。
sakai.seiji@jae
a.go.jp
koizumi.satosh
[email protected]
Yokoya.akinari
@jaea.go.jp
hiroari.miyatak
[email protected]
フラーレンや有機分子等を構成要素とする新しいスピントロニクス材料の創成に関する研究を行う。具体的には、超高真空中
での同時/交互蒸着法などを用いて自己組織的にフラーレン-遷移金属系などの新奇物質やハイブリッド薄膜を作成し、それ
らの構造分析やスピン輸送機能などの物性評価を行う。構造分析には、高エネルギー加速器研究機構・放射光施設のその場
成膜X線光電子分光装置や走査トンネル顕微鏡、ラマン/赤外分光法等を利用する。物性評価には、磁気伝導性の評価も可
能なSQUID磁化率測定装置や分光光度計等が利用できる。
現在の専門に囚われず新しい研究にも意欲的に取り組める方、表面等の構造分析や材料の電子的機能について実験の経
験を有する方を希望する。
研究用原子炉JRR3に設置された集光型偏極中性子超小角散乱装置(SANS-J-II)を用いて、ソフトマターや生体物質からなる
強相関超分子系(分子集合体)の階層構造の解明を目指す。特に超小角散乱法による非平衡開放系のその場観察を目指し
て、
(1) 高分子リビング重合などの合成反応に伴う強相関超分子•階層構造形成に関する研究
(2) 微生物(酢酸菌や鉄還元菌など)の代謝に伴う強相関超分子•階層構造形成に関する研究
(3) アクチン等のタンパク質の会合に伴う細胞骨格形成とその運動機能に関する研究
などに関連する研究テーマに従事する。本研究では2結晶型中性子超小角散乱装置(PNO)や偏極中性子解析の活用も積極
的に行う。
放射線を生体に照射すると、ゲノムDNA中に修復され難い多重損傷(クラスターDNA損傷)が生じるといわれている。本研究で
は、放射線照射によりどのような種類の損傷がクラスター化しているかを明らかにすることを目指す。このため、放射光ビームラ
インに設置されたEPR装置などの各種分光装置を駆使することで、ラジカル・電荷移動などDNA損傷生成の物理化学的機構
を追跡する。さらに塩基除去修復タンパク質など生体修復酵素と損傷DNAの反応過程を調べる生化学的実験を平行して進
め、突然変異などの原因とされる酵素的修復を受けにくいクラスターDNA損傷の実体の解明を合わせて進める。
安定領域を離れた中性子過剰な原子核から超重元素に至る原子核の構造と核反応・核分裂特性を実験と理論の両面から調
べ、過剰中性子が及ぼす新たな閉殻構造の性質と重元素の生成機構の解明を目指す。
実験は、主に東海タンデム加速器およびTRIAC施設を利用して実施する。具体的には、重イオン核子移行反応を用いた核
分光実験により超重核の粒子軌道を明らかにし、巨大な軌道角運動量のもたらす未知の構造を見いだす。また、変形核や中
性子過剰核などをプローブ原子核として核反応障壁分布を測定し、超重核形成にいたる核子集団の反応ダイナミクスの全貌
を明らかにする。さらに、核スピン偏極核分光法などの新手法による天体での重元素生成シナリオの実験的検証を通じて、高
温・高密度な極端な環境条件をも含む極限重原子核の構造・反応特性の統一的理解を目指す。
H19年度博士研究員募集テーマ一覧
部門、部名
通番
募集テーマ
課室名
担当者
先端基礎研究
センター
核磁気(NMR)測定法に f電子多体系のスピン・
7 よるアクチナイド化合物の 軌道複合ダイナックス 神戸 振作
の解明グループ
磁性と超伝導の研究
先端基礎研究
センター
超極限環境下におけ
固体中の原子の沈降に関 る固体の原子制御と新
小野 正雄
8
奇物質の探索グルー
する研究
プ
先端基礎研究
センター
自己組織化単分子層を用
いた重元素と生体分子と
9
の相互作用の機構解明研
究
先端基礎研究
センター
原子力基礎工
学研究部門
原子力基礎工
学研究部門
10
刺激因子との相互作
用解析による生命応
答ダイナミックスの解
明グループ
大貫 敏彦
029-2843525
029-2843509
029-2825361
核化学的手法による
029-282超重元素の核化学に関す
超重元素の価電子状 永目諭一郎
5795
る研究
態の解明グループ
計算科学的手法による応 燃料・材料工学ユニッ
11 力腐食割れ(SCC)に関 ト 腐食損傷機構研究 加治 芳行
グループ
する研究
12
外線
核熱応用工学ユニット
高温ガス炉用黒鉛の重照
耐熱燃料・材料開発グ 柴田 大受
射挙動の研究
ループ
029-2825386
029-2667705
E-m@il
研究概要
kambe.shinsak
[email protected]
本テーマでは核磁気(NMR)測定法を用いてウラン及び超ウラン化合物の特異な電子物性、特に電子間強相関効果に起因
する非通常超伝導状態や、軌道自由度による多重極磁気秩序を解明することを目指している。最近、5f電子系列(U,Np,Pu..)
の化合物では、新たな超伝導体や新奇磁気秩序相が見つかり注目をあびている。またこれらの基礎物性は、原子力基盤技術
の基礎データとしても大変重要である。しかし、その放射性のゆえ基礎物性解明は僅かしか行われていない。本テーマでは、
この強相関系最後の未踏領域あるアクチノイド化合物の特異な電子物性を微視的電子物性の立場から明らかにすることを主
題とする。特に多重極揺らぎとその量子臨界点の研究を中心に行う。希釈冷凍機領域までの極低温実験が主である。そのた
めに固体物理の深い素養、低温での固体物性実験の経験を持ち、新しい装置開発を厭わない者を募集する。
ono.masao@ja
ea.go.jp
100万Gレベルの非常に強い遠心加速度場下(以下、超重力場下)では固体中でさえも、物質の構成原子(置換型原子)の沈
降が起こる。例えば、固溶系合金を超重力場下に置くと原子スケールの傾斜構造が形成される。この原子の沈降は一般的な
拡散よりも10-100倍程度速い拡散現象であるという興味深い結果が得られているが、そのメカニズムは分かっていない。一般
的な空孔機構ではこの速い拡散を説明できないため、超重力場下特有の拡散メカニズムになっている可能性がある。この原子
の沈降メカニズムを明らかにする研究を行う。実験はTEM観察や陽電子消滅寿命測定などの方法を用いる。さらに、この原子
の沈降に関連する物質プロセスの研究や、新奇物性の発現を目指した研究も行う。
ohnuki.toshihik
[email protected]
アクチノイドなどの重元素が微生物細胞に濃集することは知られている。そのため、多くの研究者が濃集の原因を「生物の特異
的効果」と考え、重元素をより多く濃集する微生物種の探査を行ってきた。しかし、「生物の特異的効果」は物理・化学的な素反
応により成り立っているはずである。重元素が濃集する微生物細胞の表面は、脂質2分子膜、タンパク質、糖鎖などの生体分
子で構成されている。したがって、生体分子と重元素との相互作用を直接的に取り扱える手法を開発し実験を行うことにより、
「生物の特異的効果」をもたらす物理・化学的な素反応を生体分子レベルで明らかにすることは、微生物への濃集機構を解明
する上で重要である。
nagame.yuichir
[email protected]
タンデム加速器から得られる重イオンビームを用いて、原子番号104を超える超重元素を合成し、その化学的性質を単一原子
レベルで明らかにする。このために、単一原子レベルでの化学分離装置の開発や、シングルアトム分析手法の確立、新たな
ECRイオン源から得られる強度の高いイオンビームを利用した対象元素合成手法の開発、測定対象とする超重元素同位体の
壊変データ取得等を目指す。また、これらの手法を用いて、超重元素の溶液中での溶媒抽出あるいはイオン交換挙動、酸化
還元反応に基づく電気化学的な振るまい、ガスクロマトグラフ挙動などを詳細に調べ、超重元素の単一原子化学反応に基づく
熱力学的定数を取得する。そして重元素の化学的性質への影響が期待されている相対論的効果の寄与について考察を行
い、超重元素の価電子状態を解明する。
kaji.yoshiyuki@
jaea.go.jp
shibata.taiju@j
aea.go.jp
材料挙動のシミュレーション研究では、近年の計算技術の発達により、従来の経験的な構成方程式と連続体モデルによるシ
ミュレーション手法だけではなく、分子・原子モデルによる原子レベルのシミュレーション等、可能な限り非経験的な力学理論等
に基づく各種の材料挙動の計算シミュレーションが試行されるようになった。
しかし、応力腐食割れ(SCC)研究の領域では、材料の初期状態からき裂発生・進展に至るまでの過程を予測する数値モデル
を構築するには、多様な現象の重畳による複雑さ、計算機能力の限界などから実験的事実を適宜取り込む必要があり、現象
の物理モデルの構築を含めて今後解決すべき多くの課題が残されている。
本募集テーマでは、材料挙動の予測精度を向上させるために必要な数理モデルの構築について検討を行い、SCC研究の実
験的手法への課題の抽出と材料挙動シミュレーション手法の高度化に関する研究を行う。
高温ガス炉に用黒鉛の使用目標は、現在国際的に検討が進められている超高温ガス炉(VHTR)で、高速(E>29fJ)中性子照
射量約6×1025m-2(∼25dpa)とされている。こうした重照射条件下での黒鉛の挙動を評価するためのモデル開発等を行う。
まず、粘弾性応力解析コード(VIENUS)を重照射まで使用できるよう、コード内の物性値の外挿モデルを構築する。その際、
黒鉛のターンアラウンド(照射収縮から膨張に転じる)を超えても評価が可能なよう、照射効果モデルを念頭に置いてモデル開
発を行う。
また、重照射領域まで拡張したVIENUSコードを、僅かに存在する重照射試験結果を用いて検証する。
さらに、重照射黒鉛の照射後試験データを取得する。
H19年度博士研究員募集テーマ一覧
部門、部名
原子力基礎工
学研究部門
通番
13
募集テーマ
課室名
担当者
革新的原子力システムの
核工学・炉工学ユニッ
設計精度を向上させるた
ト 核設計技術開発グ 森 貴正
めの核特性データベース
ループ
に関する研究
外線
E-m@il
研究概要
革新的原子力システムの核設計の精度を定量化し、さらに向上させるための炉物理的な評価技術確立の一環として、実験値
029-2825360
mori.takamasa や感度解析等を駆使した核設計精度の定量的評価結果を基に、その特性を勘案して設計精度を向上させる効果的な炉物理
ベンチマーク実験及び関連した測定手法を考案、創出する。さらに、FCA等を用いて炉物理ベンチマーク実験を実施し、考案
@jaea.go.jp
した実験等の有効性を実証する。
核燃料再処理施設においては、使用済み燃料を溶解した高濃度の硝酸溶液が用いられているために、機器材料の耐食性が
維持・確保されていることが重要である。汎用のステンレス鋼では腐食が防止できず特殊仕様のステンレス鋼などが用いられて
いるが、その作用機構の詳細は明らかではない。再処理機器材料の腐食に対する結晶組織や粒界構造、および粒界近傍の
微量偏析元素の存在状態などの影響を検討する。さらに、これらの因子と溶液中のイオン種との反応や電位の影響などに関
する電気化学的な研究を行い、再処理用機器の腐食機構の解明と耐食性寿命の推定を目指す。
原子力基礎工
学研究部門
14
燃料・材料工学ユニッ
耐食金属材料の腐食機構
ト 防食材料技術開発 山本 正弘
の研究
グループ
029-2826372
yamamoto.ma
sahiro75@jaea.
go.jp
量子ビーム応
用研究部門
中性子産業利用技術
パルス中性子利用実験装 研究ユニット パルス
新井 正敏
15
中性子装置開発研究
置の開発・利用研究
グループ
029-2843703
masatoshi.arai 力解析装置の設計、建設及び建設後を目指した利用研究を展開する。特に位相コントラストラジオグラフィー、ブラッグエッジラ
ジオグラフィー等のイメージングオプションの設計、技術開発を行う。必ずしも機械構造材料や中性子散乱の知識を必要とはし
@j-parc.jp
量子ビーム応
用研究部門
量子ビーム応
用研究部門
環境・産業応用研究開
放射線加工による金属捕
発ユニット 金属捕集・
玉田 正男
16 集高分子の合成に関する
生分解性高分子研究
研究
グループ
革新的な次世代高強度 光量子ビーム利用研
17 レーザーに関する実験的研 究ユニット 高強度場 桐山 博光
利用研究グループ
究
大強度陽子加速器計画(J−PARC)の物質・生命科学実験施設に建設するパルス中性子を利用した世界最高性能の残留応
ないが、結晶学についての知識は必須である。
027-3469380
0774-713306(大
道)
0774-713329(桐
山)
tamada.masao
@jaea.go.jp
kiriyama.hirom
[email protected]
電子線などの放射線を高分子基材に照射して、金属と親和性の高い官能基をグラフト重合により導入することにより、高性能
の金属イオン捕集材を作製することができる。当該研究グループでは、資源の回収や環境の浄化の観点から、温泉水中の有
用金属捕集や排水中の有害金属の除去への応用を目的に、不織布などの布状の基材をグラフト重合で機能化し、金属捕集
効率に優れた捕集材の開発を行っている。現状のキレート機能を有する捕集材は金属イオンの選択性に優れるとともに吸着
速度が速いことを見出しているが、これらの捕集材の実用化を進めるためには、グラフト重合に必要な線量を軽減できる合成
法の開発が必要である。本テーマでは、通常、有機溶媒で行うグラフト重合を環境負荷の少ない水系に変えてグラフト重合を
行うことで、より効率的なグラフト重合の手法を開発するとともに、そのメカニズムを解明する。合成した金属イオン捕集材は、温
泉水中の有用金属捕集や排水中の有害金属の除去への応用を図り、企業への技術移転を目指す。
当研究ユニットでは、極短パルス高強度レーザーによる高エネルギー粒子放射をはじめとする量子ビーム発生技術とその医
療、産業への応用を目指した利用研究を推進している。このような実用化には、量子ビームの高品質化、安定化、高繰り返し
化が不可欠であり、そのための基盤であるレーザー技術には新たな革新が必要となる。
本募集テーマでは、本格的な利用を目指した革新的な次世代高強度レーザーの実現に必要な技術開発を行う。レーザー材
料、光学素子、高繰り返しレーザーにおける効率向上、熱効果補償、及び非線形効果を用いたレーザー光の時間制御や、波
面補償による空間制御などに関する技術開発を行う。これらの技術開発は、利用のための量子ビームの高性能化に不可欠な
技術である。こうした研究分野で精力的に取り組む方を募集する。
大型放射光施設SPring-8に世界に先駆けて建設・整備した低温高圧下の単結晶X回折システムを利用して、高密度化された
物質中において出現する特異現象の機構の解明を行う。高輝度放射光と静水圧発生技術とを組合せることにより、低温高圧
下の高精度X回折実験に基づく構造的物性研究の技術基盤が確立したことから、準結晶をはじめとして、未開拓であるが革新
的材料としての可能性を秘めた特異構造物質の構造的物性研究を推進、加速する。
準結晶研究では、未だその存在が明らかにされていない高圧相の探索を、Cd-Yb合金系準結晶を中心に低温も含めた広い
温度圧力領域において行なう。並進周期構造を持たない準結晶格子が高圧下でどのような高密度構造へ転移するかは、準結
晶発見以来の結晶化学、物質科学の疑問である。これまでは、加圧時の非静水圧的応力発生による試料の質の低下などの
技術的問題が障壁となっていたが、これらを解決した現在、改めてこの課題に挑戦する。
また、高圧下で特有に現れる複雑構造相の生成起源の解明を並行して行なう。ヨウ素やヨウ化スズは常圧では単純な結晶構
造であるが、高圧では不整合構造相やアモルファス相などの複雑構造相へ転移する。これらの物質に対して単結晶回折実験
を先駆けて行ない、逆空間の3次元的情報から複雑相への移行過程を明らかにする。ここから、高圧下で最近相次いで発見さ
れている複雑構造相の生成起源に迫る。
量子ビーム応
用研究部門
18
放射光科学研究ユ
低温高圧下における構造 ニット 放射光高密度
青木 勝敏
物質科学研究グルー
的物性の研究
プ
0791-582629
[email protected]
r.jp
量子ビーム応
用研究部門
19
量子ビームを用いた散乱
中性子生命科学研究
実験と計算機シミュレー
ユニット 生体分子シ 郷 信広
ションによる生体高分子の
ミュレーショングループ
ダイナミクス解析
0774-713471
go.nobuhiro@j 生体高分子の中性子散乱データを中心に、X線散乱など量子ビームにより得られた散乱実験データの解析法を開発する。そ
して散乱実験と分子シミュレーション結果を用いて生体高分子の機能と密接に関わる動的特性を原子レベルで解析し、生体
aea.go.jp
高分子の機能発現メカニズムと動特性の関連性を調べる。
H19年度博士研究員募集テーマ一覧
部門、部名
量子ビーム応
用研究部門
量子ビーム応
用研究部門
通番
募集テーマ
課室名
担当者
環境・産業応用研究開
量子ビームを利用した高
発ユニット 高導電性
前川 康成
20 温作動燃料電池用電解
高分子膜材料研究グ
質膜の合成研究
ループ
先端原子力材料を対象と 光量子ビーム利用研
21 したレーザー非熱蒸発加 究ユニット レーザー
物質制御グループ
工技術の応用
西村 昭彦
外線
027-3469410
0774-713322
E-m@il
研究概要
maekawa.yasu
[email protected]
量子ビーム(イオン、電子、中性子ビーム等)を利用して、水素を燃料とした燃料電池に適用可能な高温耐久性電解質膜の合
成に関する研究を行う。電子・γ線グラフト法を利用して、スーパーエンジニアリングプラスチック基材への耐熱性モノマーの重
合や新規グラフト鎖修飾反応について検討する。また、重イオンビームを利用することで、耐熱性が高いマトリックス領域と高い
導電性を担うイオン伝導性領域からなる異方導電性電解質膜の創製研究を行う。得られた電解質膜の高次構造や燃料電池
膜としての特性(イオン伝導性、耐酸化性、燃料バリア性)を解析するとともに、燃料電池セルを作製し、その燃料電池特性を
評価する。
nishimura.akihi
[email protected]
材料表面に存在する残留応力、酸化膜、蒸着物(汚染物)などの影響により、使用環境の高温・高圧、放射線、高温水に曝さ
れることで、著しく材料の健全性が失われる。特に、FBR熱交換器や核破砕ターゲット等の大型原子力システムにおいては、
僅かな材料劣化がシステムの安全性を大きく損なう。
超短パルスレーザーによる蒸発加工は材料表層のみを熱影響を極力与えることなく除去できる手法であり、微小面積への適
用においては3次元アトムプローブ装置の補助イオン化にはじまり、大面積への適用においては原子炉シュラウド応力腐食割
れ対策に至る幅広い応用が可能である。
この非熱蒸発技術は、原子炉で多用されるクロム鋼やオーステナイトステンレス鋼への適用は勿論、先端材料としての次世
代高速炉材料のODS鋼やチタン・ニッケル多層膜中性子ミラーあるいは同位体調整薄膜材料への適用が可能である。当該グ
ループでは、1テラワット10Hzの超短パルスレーザーシステムを中心として、機構内連携を通じて放射光X線による残留応力
測定やアトムプローブ等を用いた非熱蒸発技術の応用開発が可能である。
3年間の具体的テーマとしては、超短パルスレーザー非熱蒸発によるエネルギー補償型アトムプローブ装置の高度化により、
各種同位体元素を含む難分析サンプルの分析技術開発である。このテーマでは、H18年度より開始されるCREST研究とも
共同チームへの参加をお願いしたい。本テーマでは、特に蒸発加工技術開発と蒸発加工メカニズムの解明の双方をバランス
よく進めることが重要であり、装置工学と基礎物理の両領域に挑戦する気概をもった研究者を募りたい。
放射光先端物質電子構造研究グループでは,軟X線による角度分解光電子分光や磁気円二色性の測定装置を用いたアクチ
ノイド化合物を中心とした強相関電子系の電子構造及びそれに付随した物性の解明のための研究を推進している。技術開
発,実験測定,理論解釈の3つの相互協力により研究開発する体制をとっている。
グループでは,光電子分光,磁気円二色性,コンプトン散乱などの放射光測定に則した電子構造の理論研究,または第一原
理計算に関するテーマをもつ博士研究員を募集する。特に,第一原理計算手法を基礎においた多電子系の理論研究に興味
があり,実験測定に則した協力的な研究ができる人を希望する。
密度汎関数法による第一原理計算やそのプログラム開発の経験があることが望ましいが,それに相当する能力があり,挑戦し
ていける人であれば経験は問わない。
量子ビーム応
用研究部門
放射光科学研究ユ
第一原理計算手法を基礎
ニット 放射光先端物
山上 浩志
22 にした放射光物性理論研
質電子構造研究グ
究
ループ
075-7051902
yamagami@cc.
kyoto-su.ac.jp
量子ビーム応
用研究部門
23
次世代パルス中性子源に
陽子加速器施設開発
関する開発研究 -液体金
ユニット 中性子施設 二川 正敏
属微小気泡と衝撃波の相
開発グループ
互作用-
029-2825363
futakawa.masa
[email protected]
p
大出力および長寿命の運転を可能とする次世代パルス中性子源水銀ターゲットに関する開発研究を行う。液体金属中で生じ
るキャビテーション気泡崩壊と固体壁面損傷との相関、微小気泡と衝撃波との干渉効果、液体金属の濡れ性と固液界面の影
響、液体金属中微小気泡生成技術に関する現象解明および技術開発研究を行う。これらの知見を基に、次世代ターゲットの
構造設計概念を構築する。
量子ビーム応
用研究部門
環境・産業応用研究開
セラミック薄膜へのガス透 発ユニット 物質選択
吉川 正人
24
過性付与に関する研究 性セラミック材料研究
グループ
yoshikawa.mas
[email protected]
p
水素は、環境負荷の小さな次世代のエネルギー源として期待され、核熱による水素製造や水素燃料電池の研究が進められて
いる。特に、水素利用分野では、燃料電池を自動車や一般家庭向け分散型発電装置として利用する研究が精力的に行なわ
れている。しかしながら、水素の製造、貯蔵、輸送、或いは消費の過程では、酸素や炭化水素系化合物などの不純物が水素
中に混入する可能性が高く、水素製造システムの安全性や燃料電池の効率に悪影響を与えると危惧されている。そこで、本
テーマでは、耐熱・耐蝕性に優れたセラミック薄膜に、効率良く水素を透過させる機能構造を付与したセラミックスを創製し、そ
の水素透過メカニズムを解明して、高効率・高耐久性ガス分離フィルターの基礎技術を開発する。
027-3469440
H19年度博士研究員募集テーマ一覧
部門、部名
量子ビーム応
用研究部門
通番
25
募集テーマ
課室名
担当者
先進光源開発研究ユ
ERL光量子源のための高
ニット ERL光量子源 羽島 良一
輝度大電流電子銃の開発
開発研究グループ
放射光科学研究ユ
放射光共鳴散乱法による
ニット X線量子構造
先進的物質科学研究
研究グループ
量子ビーム応
用研究部門
26
量子ビーム応
用研究部門
中性子産業利用技術
中性子回折法による高精 研究ユニット 中性子
鈴木 裕士
27
度材料評価技術の開発 残留応力解析研究グ
ループ
量子ビーム応
用研究部門
量子ビーム応
用研究部門
バイオ応用技術研究
植物におけるイオンビーム ユニット 量子ビーム
28
遺伝子資源研究グ
誘発変異の特徴解明
ループ
瀬戸 誠
長谷 純宏
医学・生物学的に重要な 中性子生命科学研究
29 タンパク質の中性子構造 ユニット 生体分子構 黒木 良太
造機能研究グループ
解析
外線
029-2826701
E-m@il
hajima.ryoichi
@jaea.go.jp
研究概要
エネルギー回収型リニアック(Energy-Recovery Linac; ERL)は、高輝度大電流の電子ビームを連続的に加速することができる
新しい加速器である。電子ビームに基づく光源装置では、電子エネルギーの一部が光に変換されるのみであるから、ERLに
よって残りの電子エネルギーを回収し再利用できれば、装置の効率を高めることができる。また、同一の電子が多数周回する
蓄積リングと異なり、ERLでは周回毎に新しい電子が入射されるので電子ビームの品質(エミッタンス、パルス長)を良好に維持
することができる。これらの優れた特徴を有するERLは、高出力自由電子レーザー、次世代X線放射光源、大強度ガンマ線源
などを実現するための革新的加速器技術として大きく期待されている。当グループでは、これらERL光量子源のための高輝度
大電流電子銃の開発に従事する研究者を募集する。電子銃はERL光量子源の性能を決定する最重要の構成機器であり、そ
の実現までには、極めて小さな熱エミッタンス(室温とほぼ等価な熱エネルギー)の電子を発生するための光陰極としてNEA
(negative electron affinity)表面を有する半導体の開発、高輝度電子ビームの計測手法の開発、光陰極の長寿命化を目指し
た極高真空技術の開発などが必要である。これら研究テーマの一部を主体的に遂行できる研究者を求める。
物質中における局所的な電子状態および振動状態について放射光核共鳴散乱法あるいは共鳴X線回折法を用いて研究す
る。
放射光核共鳴散乱法は、特定の元素もしくはサイトを選択して磁性、電子構造、振動状態を微視的に観測することが可能であ
るため、金属・半導体中の不純物やクラスター等の磁性やフォノンについての研究、ナノ構造体における特定部分についての
微視的な観点からの研究が可能である。また、他の手法では測定が困難である超高圧下における電子・振動状態についての
研究も可能である。このような特徴を活かした物質科学研究を行うとともに、その装置開発等も実施することで核共鳴散乱法を
発展させていくことを目指す。これまでの研究分野は問わないが、この分野での研究に興味を持って意欲的に取り組める人を
歓迎する。
また、共鳴X線回折法を用いた研究の場合には、ウラン化合物やランタノイド化合物における電荷・軌道秩序状態を共鳴X線
回折法を用いて観測し、これらの物質における諸物性と電子系相転移の関係を明らかにする。当グループで進めているパル
ス磁場中X線回折・吸収実験や高圧下での共鳴回折実験への積極的な関与を求める。
0724-512445
[email protected]
-u.ac.jp
029-2825997
suzuki.hiroshi0 下させる要因となる。したがって、これらの微視組織変化を正確に評価し、それを考慮した残留応力評価技術を確立する必要
がある。そこで本研究では、日本原子力研究開発機構の研究用原子炉JRR-3の中性子散乱実験施設を用い、材料の塑性加
[email protected] 工や熱処理に伴う材料の微視組織変化をIn-situで捉えることができる材料評価技術を開発する他、その微視組織変化を考慮
材料の加工履歴や熱履歴に伴う集合組織の発達や結晶粒内ひずみの発生は、中性子回折法による残留応力測定精度を低
した高精度残留応力測定技術の開発研究を行い、その産業利用を図る。
027-3469549
029-2825906
hase.yoshihiro
@jaea.go.jp
イオンビームは、ガンマ線などの低LET放射線に比べて突然変異率が高く、変異スペクトルが広いことから、特に植物育種の
分野において新しい変異原としてその利用が拡大している。本テーマでは、イオンビームで起きる突然変異を迅速に検出する
システムを開発し、イオンビーム誘発変異の特徴を明らかにすることにより、イオンビーム育種利用の高度化を図る。また、得ら
れた知見を生かして、効率的に有用遺伝子資源や育種素材の創生を行う。本研究を実施するにあたり、植物の遺伝学や生理
学に明るく、イオンビームの育種利用に意欲的に取り組むことのできる研究者を募集する。
kuroki.ryota@j
aea.go.jp
2008年度に稼働予定の大強度陽子加速器を視野に入れ、医学生物学的に重要なタンパク質の中性子構造解析をめざした
研究を実施する。研究では、生命現象に深く関わる薬物代謝酵素やDNA修復タンパク質などを研究対象とする。対象となるタ
ンパク質を組換え体として大量に発現させる技術開発、また大型結晶を作製する技術開発を担当し、J-PARC稼働時には実際
の中性子構造解析を担当する。解明された機能や構造から、タンパク質の機能発現における水素原子や水和水の機能を解
明するとともに、立体構造情報を用いた有用分子の創製を支援する。候補者は、遺伝子組換え技術、タンパク質精製技術、あ
るいは立体構造解析技術を有することが望ましいが、熱意ある研究者には各技術の習得も支援する。
H19年度博士研究員募集テーマ一覧
部門、部名
通番
募集テーマ
課室名
担当者
外線
E-m@il
研究概要
中性子散乱法を利用して、燃料電池の主要構成要素である電解質膜および膜・触媒接合体(MEA)の構造・機能解析に関す
る研究を行う。高導電性の電解質膜やMEAをイオンビーム、電子ビーム、ガンマ線などを用いて製作し、燃料電池作動環境条
件で中性子散乱実験を行うことで、電解質膜内におけるナノ∼ミクロスケールの相分離やイオン伝導経路などの高次構造を明
らかにするとともに、イオン伝導や水分子の輸送機構を解明する。得られた知見を電解質膜やMEAの構造設計にフィードバッ
クして、水素を利用した燃料電池に適用可能な高温高耐久性電解質膜およびMEAの開発に資する。
量子ビーム応
用研究部門
環境・産業応用研究開
中性子散乱による燃料電
発ユニット・高導電性
浅野 雅春
30 池用電解質膜の構造・機
高分子膜材料研究グ
能解析に関する研究
ループ
027-3469410
asano.masaha
[email protected]
量子ビーム応
用研究部門
31
光量子ビーム利用研
コヒーレント量子制御によ
究ユニット・レーザー物 横山 啓一
る同位体分離の研究
質制御研究グループ
0774-713402
yokoyama.keii 極短パルスレーザーの波形整形によるコヒーレント量子制御について、基本技術を開発する実証研究。特に、比較的単純な
分子を対象にして、気相中での同位体選択的な光分解につながる基礎過程を研究する。具体的には、波形整形パルス発生
[email protected] 技術の開発・光分解反応機構の解明などを進める。
放射光科学研究ユ
0791−5
ニット・X線量子ダイナ 水木 純一郎
8−2635
ミックス研究グループ
量子ビーム応
用研究部門
化合物半導体のMBE成
32 長のX線によるその場観
察
量子ビーム応
用研究部門
バイオ応用技術研究
生命科学分野への応用を
ユニット・ポジトロンイ
目指したRI標識分子プ
メージング動態解析研 石岡 典子
33
ローブの開発に関する研
究グループ
究
核融合研究開
発部門
核融合エネルギー工
低放射化フェライト鋼接合 学研究開発ユニット
谷川 博康
34
法高度化に向けた研究 核融合炉構造材料開
発グループ
核融合研究開
発部門
トカマクシステム技術
ミリ波帯電子サイクロトロン
開発ユニット 高周波
藤井 常幸
35 加熱装置に関する技術開
加熱技術システム開発
発
グループ
027-3469461
029-2826498
029-2707440
mizuki@spring
8.or.jp
近年注目されている量子ナノドットなどのナノ3次元構造からなる量子デバイス創製の実現のために、原子レベルでの均一性を
得ることが重要な課題となっている。このためには、エピタキシャル成長過程のその場観察を行い、ナノドット成長機構を原子レ
ベルで解明することが必要である。
今回の研究は、化合物半導体の量子ナノドット形成過程をX線回折によってその場観察し、ナノドット形成機構を解明すると共
に、実デバイスではこのナノドットを埋め込む必要があり、埋め込んだ状態でのナノドットの結晶状態、ストレス、原子の
interdiffusionなどをX線回折・散乱実験で明らかにすることを試みる。このようにして構造評価された埋め込まれた量子ナノドッ
トのフォトルミネッセンス(PL)を測定することにより、デバイス基礎物性と構造との関連を明らかにして将来、実用化が期待される
量子ナノドットデバイス実現の基礎知見を構築する。
また、MBE法のような非平衡状態からの化合物半導体結晶成長過程を解明するための基礎的研究としてX線スペックル散乱
法による表面ダイナミックスの研究もターゲットに入れる。
ishioka.noriko
@jaea.go.jp
ライフサイエンス分野における放射性同位元素(RI)の応用と新規利用分野の開拓を目指し、がん治療などの医学用新規RI
標識薬剤の製造や植物による環境浄化などの実現に向けた植物の機能解明研究用ポジトロン放出核種トレーサの開発を進
めている。最近では、がん細胞に特異的に集まる化合物等をRIで標識し、がん細胞のみを効果的に狙い撃ちするRI標識薬剤
の開発や、有害環境汚染物カドミウムのポジトロン放出核種107Cdの製造法を開発し、コメのカドミウム汚染問題の解決に向
け、イネによる取り込みを明らかにしつつある。そこで本研究では、量子ビームを用いて製造したRIを種々の化合物に標識した
新しいRI標識分子プローブを開発し、これらを分子医学及び環境科学などへ応用するための研究開発を行う。
tanigawa.hiroy
[email protected]
核融合炉用構造材料の第一候補材である低放射化フェライト鋼の開発研究においては、実用化に要する項目を中心として進
めている。本研究は、核融合炉ブランケットシステムを製作する上で必須となる接合法の高度化、接合部材データベース整
備、および接合部における照射効果解明を目標とする。具体的な実施項目としては、①各接合法(TIG、EB、レーザー、HIP
等)による低放射化フェライト鋼接合性の評価、②中性子照射、イオン照射等による接合部照射後特性の評価および照射効
果の解明、③接合部データベースの整備と構造設計基準確立に向けた開発、等を取り上げる。
fujii.tsuneyuki
@jaea.go.jp
定常高ベータプラズマの実現を目指したJT-60改修計画(JT-60SA)では、41MW、100秒の高加熱パワーが必要である。入射
パワー7MWで100GHz 帯の電子サイクロトロン加熱 (ECH)装置は、その一翼を担う重要な機器である。このような高パワーの
ECH装置を実現するために、 同装置の主要機器に関して以下の技術開発を行う。
(1) ミリ波帯発振器である大電力ジャイロトロン(定格出力1MW, 100秒、周波数110GHzまたは140GHz)に関する設計研究、
モードコンバータ等の重要構成機器の開発研究を行う。
(2) JT-60SAのプラズマに面してプラズマからの熱負荷を受けながら、高パワーのミリ波を入射し、その角度を2次元に制御で
きるアンテナに関する技術開発を行う。
(3) 以上の成果を踏まえ、安定に高パワーのミリ波を入射できるJT-60SA用のECH装置の設計研究を行う。
H19年度博士研究員募集テーマ一覧
部門、部名
通番
募集テーマ
課室名
担当者
トカマクシステム技術
花田 磨砂
粒子ビーム加熱装置の高 開発ユニット 粒子
ビーム加熱システム開 也
性能化
発グループ
核融合研究開
発部門
36
核融合研究開
発部門
先進プラズマ研究開
燃焼プラズマ解明のため
発ユニット トカマク解 小関 隆久
37
の統合化モデルの開発
析グループ
核融合研究開
発部門
核融合エネルギー工
核融合炉ブランケットの伝熱
学研究開発ユニット
38 流動現象に関する工学試
ブランケット工学研究開
験研究
発グループ
バックエンド推
進部門
技術開発ユニット 放
硝酸イオン分解触媒の開
射性廃棄物処理技術 目黒 義弘
39
発
開発グループ
J−PARCセン
ター
共振型加速器の要素開発
40 及びビーム調整運転に関 加速器ディビジョン
する研究
榎枝 幹男
鈴木 寛光
外線
029-2707451
029-2707350
029-2707588
029-2843497
029-2826257
E-m@il
研究概要
hanada.masay
[email protected]
日本原子力研究開発機構では、国際熱核融合実験炉(ITER)や核融合原型炉に必要な研究開発を推進するため、欧州と共
同で高プラズマ圧力の長時間運転を行うJT-60SAへの改修計画に着手した。このプラズマ性能を実現するためには、電流駆
動効率が高く、またアルファー粒子加熱を模擬できる、高エネルギー粒子ビームの大電力・長時間入射が不可欠である。この
ため現在の負イオン中性粒子入射装置(実績:0.32MeV、3.2MW、20秒)を大幅に改良し、加速エネルギー0.5MeV、入射パ
ワー10MW、入射時間100秒という高性能化を図る。本研究テーマは、この高性能化の最重要課題である0.5MeVイオン源加速
部を開発することである。具体的には、JT-60用実機負イオン源を用いて、未だ解明できていない超高電圧での真空絶縁破壊
の原因を究明するとともに、小型の試験装置を用いて真空耐電圧特性に関する基礎実験を相補的に実施し、JT−60SA用実
機負イオン源を設計・開発する。
ozeki.takahisa
@jaea.go.jp
国際熱核融合炉ITERで想定される核融合反応による燃焼プラズマの研究が緊急の課題となってきている。燃焼プラズマで
は、α粒子加熱主体であり、ブートストラップ電流割合が高く、高ベータで自律性の高いプラズマとなる。この様なプラズマで
は、α粒子挙動、熱・粒子輸送、MHD安定特性、ダイバータ特性等を矛盾なく解くことが必要である。このため、本テーマでは
JT-60の実験解析に基づき、これらの物理モデルの統合化および統合シミュレーションコードの開発を行い、シミュレーションに
よる特性解明や性能予測を行う。
enoeda.mikio@
jaea.go.jp
核融合炉から発電に必要な熱の取り出すとともに燃料であるトリチウムの生産を行う核融合炉ブランケットの研究開発の一環と
して、エネルギー輸送、トリチウム生産、中性子遮蔽などの複合機能を持つ核融合炉ブランケットの工学試験研究を実施する。
本研究テーマでは、高熱負荷を受けるブランケット構造体を冷却する高温加圧水冷却構造の伝熱流動現象および微小球
充填層からトリチウムを取り出すヘリウムスイープガスの充填層内部における伝熱流動現象について実験と解析の両面から明
らかにして、核融合炉ブランケットの熱・構造設計に資することを目的とする。
本ブランケット構造内に発生する現象は流動,伝熱,トリチウム移動等が相互に関連して発生するマルチフィジックスの複雑
な現象であるため,大規模な直接数値シミュレーションを並行して行いその現象を解明することが,熱・構造設計方針の確立の
ために必須である.この業務は,主として本博士研究員に担当させるため,本博士研究員としては,乱流伝熱に関する大規模
な直接数値シミュレーションについて,豊富な経験を有して,当該業務を速やかかつ円滑に遂行し得ることが,極めて重要な
要件である。
あわせて本博士研究員の業務はの一つは,実験グループの一員として,実機大のブランケット構造体を大型試験ループに
取り付けた加熱試験に参加することであるので,協調性、責任感、指導力に優れた資質を持っていることが望ましい。
meguro.yoshih
[email protected]
現在、放射性廃液中に含まれる高濃度の硝酸塩が廃棄物処分の技術的成立性を不確実にする要因となっている。廃液中の
高濃度の硝酸塩を除去する方法として、貴金属触媒と還元剤による硝酸イオンの還元窒素化分解法が有力な方法のひとつで
ある。しかし、高濃度の硝酸溶液に実用されている触媒はまだなく、分解効率が高く、副生成物の生成量が少なく、寿命が長
いなどの特色を有する汎用性の高い触媒の開発が求められている。そこで本研究では、触媒組成や触媒調整法、担持担体の
種類などの開発要素と分解効率、分解速度、副生成物の生成率などの性能因子との関係を系統的に検討し、硝酸分解のた
めの新しい金属触媒の開発に資する。
suzuki.hiromit
[email protected]
大強度陽子加速器の3GeVシンクロトロンは25Hzという速い繰り返しの共振型加速器であり、ビーム出力1MWという大強度陽
子ビームを目標としている。そのため、電磁石、高周波システム、入出射システム、ビームモニタ、真空、制御等の加速器要素
機器には高度な技術を必要とし、これまで多くの開発を行い装置として実現してきた。今後も目標のビーム出力達成に向けて
装置の改良・開発を継続すると共に、19年度から開始するビーム調整運転に向けた準備を行う必要がある。
本テーマでは共振型加速器の要素開発及びビーム調整運転方案の構築を行い、大強度陽子ビームを実現することを目的と
する。
H19年度博士研究員募集テーマ一覧
部門、部名
次世代原子力
システム研究
開発部門
次世代原子力
システム研究
開発部門
次世代原子力
システム研究
開発部門
通番
41
42
募集テーマ
先進炉心・燃料の開
発
高温構造システムの
研究
課室名
研究開発推進室
研究開発推進室
担当者
三田寺利明
三田寺利明
次世代原子力システ
43 ムに係る安全性の研
究
研究開発推進室
三田寺利明
外線
029-2674141
029-2674141
029-2674141
E-m@il
mitadera.toshi
[email protected]
mitadera.toshi
[email protected]
mitadera.toshi
[email protected]
研究概要
[1] 高性能炉心・燃料の開発
(1)核特性評価技術に関する研究
(a) 次世代炉定数システムの開発、(b) 高速炉心核特性解析手法の高度化、(c) 高速炉臨界実験データベースの整備
(d) 高速炉実機核特性の解析評価、(e) 高速炉用統合炉定数の開発
(2)炉心燃料設計手法の高度化
(a) 燃料集合体構造設計方針の高度化、(b) 材料強度基準の高度化、(c) 設計用物性値の高度化
(d) 燃料設計解析コードの開発・高度化
(3)燃料材料挙動評価技術の高度
(a) MOX燃料の高燃焼度照射挙動評価、(b) MOX燃料の熱・機械設計評価手法の高度化、(c) 燃料ピン寿命評価手法の高度化
(d) 燃料バンドル健全性評価手法の開発
(4)高燃焼度炉心材料の開発
(a)酸化物分散強化型フェライト鋼被覆管材料の開発、(b)フェライト鋼ラッパ管材料の開発
[2] 高速炉炉心の多様化
(1)アクチニド燃料炉心の研究
(a) アクチニド燃料炉心の核特性評価、(b) 多様な炉心でのMA・FP燃焼特性解析、(c) MA専焼炉心の研究
(d) Pu燃焼炉心の臨界実験解析、(e) MA及びFPの核データ整備
[3] 振動充填燃料の開発
(a) 振動充填燃料の照射挙動評価、(b) 振動充填燃料の評価用物性モデルの開発
[4] マイナーアクチニド含有燃料の開発
(1) 燃料設計研究: (a) 設計用物性値の整備
(2) 燃料挙動評価技術の開発:(a) マイナーアクチニド含有燃料の照射挙動評価
[1] 構造・材料の研究
(1) 高温構造設計技術の開発
(a) 熱荷重に対する構造健全性の評価法に関する研究、(b) 材料の非弾性挙動を考慮した構造設計手法の研究
(c) 信頼性工学に基づく構造健全性評価に関する研究
(2) 信頼性評価技術の開発:(a) ナトリウム配管のLBB(破断前漏洩)評価法
(3) 荷重緩和技術の開発:(a) 3次元免震システムの開発研究
(4) 構造解析技術の開発:(a) 熱応力及び非弾性解析法の研究
(5) 寿命・余寿命診断法の開発
(a) 金属材料損傷シミュレーション手法開発、(b) 金属損傷組織定量化技術開発
(c) 金属損傷組織データベースシステム開発、(d) 損傷測定技術開発(破壊・非破壊)
(e) 材料の基礎/物理化学特性と損傷進行との相関評価法の開発、(f) 使用環境・条件最適材料選択手法開発
(6) 高強度高延性耐熱材の開発
(a) 材料設計技術の開発、(b) 組成元素の経年使用中の挙動に関する予測法の開発
[2] ナトリウム技術の向上
(1) 伝熱・流動:(a) ナトリウムの伝熱流動研究、(b) 化学反応を伴う伝熱流動研究、(c) 流体・構造連成現象の研究
(2) 監視・計測技術
(a) 液体金属計測研究、(b) 熱流動現象(温度場・速度場)計測研究、(c) 構造物及び流動の可視化計測研究
(d) 超音波及びレーザ応用等計測研究、(e) 電磁流動現象の研究
(3) カバーガス巻き込み防止に関する研究
(a) コンパクト化を図った原子炉容器内の流動適正化に関する研究、 (b) 複雑形状流路内の流動変動特性に関する研究
(4) ナトリウムの化学的活性度制御に関する研究:(a) 液体金属と超微粒子の界面構造の研究
[1] 炉心の安全性向上
(1) 燃料安全に関する研究
(a) 過渡事象時燃料健全性判断基準の研究、(b) 破損燃料継続運転時挙動の研究
(2) 受動的安全性に関する研究
(a) 過渡時機器内混合対流現象研究、(b) 受動的特性を活用した崩壊熱除去システムの研究
(3) 炉心損傷に関する研究
(a) 炉心損傷安全解析コードの開発・検証に関する研究、(b) 炉心損傷時の融体放出移動挙動に関する実験研究
(c) 多相流の過渡熱流動に関する実験・解析研究
[2] プラントの安全性向上
(1) ソースタームと格納施設安全評価に関する研究
(a) 炉内ソースターム挙動解析コードの開発検証、(b) 格納施設安全解析コードの開発検証
[3] リスク評価に関する研究
(1) リスク管理に関する研究:(a) 高速炉サイクルのリスク管理とその目標設定に関する研究
H19年度博士研究員募集テーマ一覧
部門、部名
地層処分研究
開発部門
通番
募集テーマ
44 地層処分研究開発
地層処分研究
開発部門
45 地層科学研究
放射線管理部
46 線計測技術に関する
課室名
研究開発推進室
担当者
山田文孝
029-2873247
または
029-2821111〔内
線67109〕
研究開発推進室
山田文孝
029-2873247
または
029-2821111〔内
線67109〕
線量計測課
百瀬琢麿
029-2821861
個人線量評価・放射
研究
外線
E-m@il
研究概要
yamada.fumita
[email protected]
○処分システム性能評価研究
[1] 人工バリアの長期挙動に関する研究
(1) 緩衝材の性能に関する研究:緩衝材―地下水相互作用(鉱物−水反応の速度論を含む)に関する研究、熱−
水−応力−化 学連成現象に関する研究
(2) オーバーパックの腐食モデルの開発:オーバーパック材料の応力腐食割れ挙動、
(3) ナチュラルアナログ研究:人工バリア材の耐久性を示す天然現象の調査
[2] 天然バリア中の水理・物質移動に関する研究
(1) 亀裂中の流れ及び物質移動に関する研究、(2) 不均質媒体中の物質移動に関する研究
[3] システム性能に関する研究
(1) シナリオ解析/個別現象の重要度評価、(2) 核種移行現象に関する研究、(3) コード開発/解析環境の整備
(4) 核種移行解析/被ばく評価、(5) 処分システムの安全評価、(6) 天然有機物の処分システムに与える影響評価
○TRU廃棄物処分研究
(1) 核種移行に係る個別現象モデル/データ整備
(a) 核種移行特性に対するセメント系材料の変質の影響評価、(b) 核種移行特性に対する硝酸塩の影響評価、(c) 核
種移行特性に対する微生物の影響評価
(2) 処分システムの長期安定性評価
(a) バリア材料の特性評価、(b) 処分システムの長期安定性評価
(3) システム性能評価
(a) シナリオ解析/個別現象の重要度評価、(b) データ整備、(c) コード開発/解析環境の整備、(d) 核種移行解析
/被ばく評 価、(e) 処分システムの安全評価
yamada.fumita
[email protected]
momose.taku
[email protected]
p
東濃地科学研究ユニット
(1) 地質環境特性に関する調査研究:(a)岩盤中の物質移動解析技術の高度化研究、(b)地下水流動に関する調
査・解析手法の開発、(c)地下水の地球化学に関する研究、(d)岩盤の力学に関する研究
(2)地質環境の長期安定性に関する研究
(a) 地震・断層活動に関する研究、(b) 火山・地熱活動に関する研究、(c) 隆起・侵食/気候・海水準変動に関
する研究
(3) 地質環境調査技術開発:(a) 断層を対象とした物理探査技術の高度化研究
幌延深地層研究ユニット(現地調査は幌延町内に限定)
(1)地質環境特性に関する調査研究
(a) 断層およびその周辺岩盤の水理特性・物質移行特性に関する研究、(b) 地下水流動解析手法の開発
(c) 地下水の地球化学に関する研究
(2)地質環境調査技術開発:(a) 地質環境モニタリング技術開発(地質環境の時間変化を監視する技術の開発)
(1) 事故時における被ばく線量評価法に関する研究
(a) 体内放射能定量技術の高度化に関する研究
(b) 皮膚汚染時における線量評価法に関する研究
(c) 熱ルミネセンス線量計の再測定技術に関する実用化研究
(2) 臨界・排気監視技術の高度化に関する研究
(a) 臨界検出・排気監視システムの高度化研究
(b) α線計測技術及び放射線モニタへのその応用に関する研究
(c) デジタル信号処理を用いた放射線管理モニタの高度化研究
(3)放射性物質の環境中での移行評価に関する研究