パラトライアスロンの魅力富川理充写真１　スタートの合図を待つ選手たち（Paraphoto／佐々木）ン、何が違うのか？“トライアスロンを、さまざまな障害をもつ選手間で、リンピック開催決定に、日本中が歓喜２０２０年東京オリンピック・パラる”と回答できるかもしれない。しかたスポーツがパラトライアスロンであ安全に競争できるようにルールを整えできる限り公平性を保ちながら、かつにわいたのは記憶に新しい。ここまで “基し、この質問へのここでの返答は、１はじめにに至った一連のオリンピック・ムーブ本的には何も変わらない、標準的な距前述したように、どちらもスイム、メントにより、スポーツ行政一元化のている。２０１１年に施行されたスポバイク、ランを続けて行うことで成立離が違うだけ”としたい。ーツ基本法とともに、障害者のスポーするスポーツである。ためのスポーツ庁設置も現実味を帯びツにもさらなる追い風が吹くことが期スロンと呼ばれ、トライアスロンと同アスロンである。後者はパラトライアに採用される競技が、カヌーとトライデジャネイロのパラリンピックで新たその東京に先立ち、２０１６年リオでも障害をもった幾人もの選手が、健で共に競い合うことができる。これまれれば、健常者も障害者も同じレースたのも最近のことである。環境が許さアスロンが単独開催されるようになっ９７４年と比較的新しく、パラトライトライアスロン自体、その誕生は１様に水泳（スイム）、自転車（バイク）、常者の選手と一緒のトライアスロンに待される。ランニング（ラン）を連続して行う競出場し完走している。トライアスロン定で行われる。なかでもスイム１・５トライアスロンはさまざまな距離設イアスロンに挑戦していたのである。すでに障害者も健常者に交じってトラが誕生して間もない１９８０年代から、技である（写真１）。２トライアスロンとパラトライアスロントライアスロンとパラトライアスロ 40 ノーマライゼーション 11月号 2013年写真２　バイクパートを疾走するTRI-2 の選手（左）とTRI-1の選手（右）（ⒸSatoshi TAKASAKI／JTU）キロ、バイクキロ、ランキロの総 10 ム０・７５キロ、バイクキロ、ラン考えると、国内でもパラトライアスロートでは競技用車いすの使用が義務）パートではハンドサイクル、ランパ年以上にわたりその普及に努めている。ＴＲＩ５-：膝下切断を含む中程度の下肢障害（バイクパート、ランパーグ等の使用可）（バイクパート、ＴＲＩ４-：上肢の障害ランパートで義手、アーム・スリンライサイクルの使用可）ＴＲＩ３-：脳性マヒなどその他のさまざまな障害（バイクパートではト使用が義務）ＴＲＩ２-：膝上切断を含む重度の下肢障害（ランパートでは義足か杖のンの単独開催を可能にする環境整備が課題の一つである（写真２）。３パラトライアスロンの概略国際トライアスロン連合（ＩＴＵ）は、１９９５年から毎年パラトライアプリント・ディスタンスが標準である。パラトライアスロンも、２００９年のスロン世界選手権を開催するなど、もちろん、選手の障害の状態・程度に世界選手権までは・５キロで行われていたが、２０１０年以降より現在の多くの障害者がパラトライアアスロンシリーズ横浜大会において、２０１１年のＩＴＵ世界選手権トライド１名の伴走が義務）用、レース全体を通して同性のガイＴＲＩ６-ａ：完全な視覚障害（バイクパートではタンデムバイクを使トで義足の使用可）スリートとして、またトライアＪＴＵ念願の国内初となる単独のパラ・７５キロとなった。国内の選手権スリートとしてレースに参加でトライアスロンを併催した。今ではアる。競技遂行を支援するハンドラーやきる環境が整備されるのは喜ばジア地域唯一のＩＴＵイベントと大会の開催はまだ実現できていないが、しい。とはいうものの、スタッなっている。ＴＲＩ６-ｂ：部分的な視覚障害（Ｔフや安全の確保、コースレイア ①カテゴリー分けでは、以下のように７つのカテゴ障害の程度や状態により、現在ど多くない。パラリンピックのリーに分けられ競技が行われる。を受け入れられる大会はそれほ正式競技となり、７年後には東ＴＲＩ１-：下半身不随（バイク写真３　プレトランジションエリアに向かうスイムイグジットハンドラーとTRI-1の選手（中央）（ⒸSatoshi TAKASAKI／JTU）ガイドの協力も得られる。 51 ウトの面から、障害をもつ選手 25 装具の使用や道具の改造が認められより、各３つのパートで特別な用具・ダード・ディスタンスの半分となるス５キロの総距離・７５キロ、スタン 20 一方のパラトライアスロンは、スイれる。でオリンピックや世界選手権が実施さスタンスと呼ばれ、現在は、この距離距離・５キロがスタンダード・ディ 40 25 京がその晴れ舞台となることを NORMALIZATION NOVEMBER, 2013 41 15 51 図１　世界選手権および横浜大会のパラトライアスロン出場者数の推移 160 140 世界戦男子 100 世界戦女子ーがヘルメットを被らせ補給食を渡し出口には、そこの支援のみを担当する選手によってはウバイクの準備をするなど、それら一連に増加、１６５人を数えた。３年後の技者は、スイムパートで水温が ℃をれる。ンドラーの役割は非常に重要である。現在のパラトライアスロンでは、ハ超えない限りウェットスーツの着用が光景は、あたかもＦ１のピット作業を開催年度図中の都市名は世界選手権の開催地を支援するハンドラある。それらの作業スロンの見どころの一つかもしれない。ションの様子も、現在のパラトライアの姿はもちろんのこと、このトランジ全力を尽くして競技をしている選手レース結果から、現在の世界の競技人人であった。世界で開催された主要なる。女子は毎年微増を続け、今年はが世界の動向を確認しにきたと思われ１では２人まで認めして一緒に参加することができる競技また、健常者もハンドラーやガイドと０人程度と推測される（図１）。口は男子で３００人程度、女子は１０国内に目を向け横浜大会を見ると、男子は年々増加し、今年は人（海外が準備し、スイムの望する場合は大会側同できなくても、希手がハンドラーを帯ラーを兼務する。選男子は横ばいとなり、今年再び倍以上もそれまでの倍以上に上った。その後が標準となった２０１０年に、男女と場者数は、スプリント・ディスタンスパラトライアスロン世界選手権の出近畿（グリーンピア三木）の３大会か昨年の関東（横浜）、東海（長良川）、し、パラトライアスロンの単独開催は、毎年１、２人にとどまっている。しか選手２人含む）を数えた。一方女子は、である（写真３、写真４）。 ③競技人口 43 られる。ＴＲＩ６ではガイドがハンドＴＲＩ５-までは各選手１人、ＴＲＩ - ーがＴＲＩ２-からに座り義足を着けている間、ハンドラ見ているかのようである。選手がいす世界選手権のトランジションエリアの許可され、特にＴＲＩ１-の選手は、下半身のみを覆うウェットスーツの着 28 スイムイグジットハンドラーが準備さェットスーツや他のの動きを事前にシミュレートして臨んパラリンピックを見据え、各国各選手用が常に許可される。 60 42 ノーマライゼーション 11月号 2013年ＲＩ６-ａと同条件）基本的にどのカテゴリーも同時にス用具・装具の着脱、でいる場合も多い。タートする。すべてのカテゴリーの競準備が困難な場合も写真４　フィニッシュしたTRI-6bの選手（左）と（ⒸSatoshi TAKASAKI／JTU）そのガイド（右） 22 2013 2009 2010 2012 20 2011 ブダペスト 80 出場者数︵人︶ 120 ②ハンドラーの存在ゴールドコースト 40 北京横浜男子横浜女子オークランド 0 ロンドン 180 写真５　世界選手権のためにロンドンへ出発するパラトライアスロン日本代（Paraphoto／佐々木）表選手団一行共にトライアスロンに挑戦していたの今年９月にロンドンで開催された世ンピックを控えた今、エリートスポー会に増えた（ただし、カテ界選手権では、エリートトライアスロら、今年は東北（七ヶ浜）、ゴリーに制限がある場合もンと同様のスケジュールが組まれ、まＪＴＵは昨年末にパラリンピック対だから。ある）。各地でより出場しさにエリートパラトライアスロンの幕策プロジェクトを立ち上げ、３年後、ツとして発展し始めている。やすい環境ができ始め、全明けとなった。日本からも初めて選手７年後のパラリンピックを見据えなが東海（蒲郡）が加わり５大体の出場者は増えている。団を組み、人のパラトライアスリーらパラトライアスロンの強化・普及に５さいごにさらに、関係者の方々の尽トを送り出した（写真５）。が増えきているのは確かで認めるトライアスロン大会大会への連続出場、鉄人レースとして種目の制覇や身近な地域で開催されるが唯一ではない。不可能と思われた３うであるように、エリートへの広がりれる国内トライアスリートの多くがそしかしながら、今や万人超といわたい。興味を持たれた方は、ＪＴＵま加し競技しやすい環境を整備していきートスタッフの充実も含め、選手が参とは日本初の試みである。審判やサポ体制が、統括して選手強化まで行うこ技の中で、ＪＯＣ加盟競技団体の強化取り組んでいる。パラリンピックの競ある。知られるロング・ディスタンス（スイでご一報いただきたい。度であるが、潜在的には各々人、男子は人、女子は人程現在の国内の競技人口は、人ほどに及ぶのではないだろうか。単ム３・８キロ、バイク１８０キロ、ラ（とみかわまさみつ公益社団法人日本トライアスロン連合（ＪＴＵ）パラリなる希望的観測に過ぎないだろうか。ちゅうちょ分のハーフアイアンマンの完走など、ンピック対策プロジェクトリーダー／ン・１９５キロが一般的）やその半ほしい。各々のレベルに応じ自分の可能性へ挑これまでのパラトライアスロンは、ン。それも広がりの一つではあるが、注目を浴び始めたパラトライアスロ・ＩＴＵ： http://www.triathlon.org/ paratriathlon ・ＪＴＵ： http://www.jtu.or.jp/para/ index.html 【参考文献（パラトライアスロン情報掲載Ｗｅｂサイト）】専修大学准教授）年代別で競い合う、いわゆるエイジカ実はいかようにも楽しめるスポーツで４エイジとエリートテゴリーの範疇で実施されてきたがある。もともとは、障害者も健常者とパラリンピックに採用されたことで戦できるという醍醐味がある。興味ある方は躊躇せず、ぜひ挑戦して 30 力により、障害者の出場を 11 （年齢区分は設けられない）、パラリ NORMALIZATION NOVEMBER, 2013 43 42 20 10 50 30