学生としての研究室紹介

☛Horton 研究室と CBRC 配列解析チーム
本研究室は 2007 年度よりスタートし,お台場に位置する産業技術総合研究所 生命情報工学
研究センター(CBRC)に拠点を構えています.Horton 先生は,情報生命科学専攻の客員准教授と
並行して CBRC 配列解析チームのチーム長を務められているため,研究室に所属する学生 3 人(博
士 2 人・修士 1 人)は,同チームの研究者の方々と共にゲノムや蛋白質配列の解析を行っています.
☛ドライ・ラボ・スタイル
本研究室はコンピュータを使って DNA や蛋白質等の生物情報を解析,あるいはそれに対応
したソフトウェアを開発する,俗に言うドライ系の研究室です.文字列のデータ構造や最適化ア
ルゴリズム,機械学習・統計処理等の理論を必要に応じて改良しながら研究に応用しています.
☛Horton 研究室・配列解析チームの主な研究内容
蛋白質局在予測プログラム WoLF PSORT を筆頭に,様々なソフトウェアの公開・開発が進め
られています.相同遺伝子やゲノム同士をアライメントする際,1~500 塩基単位がタンデムに繰
り返した領域である低複雑性領域は,どの配列においても非常に似通っているため高いスコアで
検出されることが知られており,これらの領域は相同性検索において大きな弊害となっています.
HMM の手法を応用し,相同性検索の際の seed matching 処理でこれらの領域を避けるよう効果
的に処理(hard-/soft-mask)するソフトウェア tantan (http://www.cbrc.jp/tantan/)や,mask さ
れた領域を効率的にフィルターし,独自の拡張 Suffix Array 構造データと可変長キーのインデッ
クス技術(adaptive seed)を利用したゲノムアライメント・タグマッピングに対応した高速類似度
配列検索プログラム LAST (http://last.cbrc.jp).また次世代シーケンサーの急成長を受け,各リ
ードのクオリティスコアを利用し,シーケンサー誤読の影響を軽減できるソフトウェア RECOUNT
(http://seq.cbrc.jp/recount/).Support Vector Machine を用いて蛋白質配列中の核移行シグナル
を予測する NESsential (revise 中).さらに,ミトコンドリア蛋白質配列中に存在する輸送シグ
ナル配列及び切断部位の予測のパイプラインや,核ゲノム中に潜り込んでいるミトコンドリア
DNA コピーの進化・特徴解析等が行われています.
☛Horton 研究室の環境・大学院生活
Horton 研究室・配列解析チームは国籍 5 ヶ国のメンバーから成る,とても国際色豊かなラボ
です.本研究室の一番の自慢は,何と言っても毎週末に開催されるチームミーティングです.ミ
ーティングは主に英語で行われるのですが,研究者の方々と進捗状況を報告し合い,研究に行き
詰った時でも気軽にアドバイスを頂ける環境・コラボレーションができる環境にあります.また
現在,スウェーデンのストックホルム大学やドイツのミュンヘン工科大学との共同研究プロジェ
クトも動いており,研究活動においてグローバルな視点を得られる研究室です.
また,現在 CBRC には本研究室以外にも情報生命科学専攻に所属する研究室(浅井研究室・
富井研究室・広川研究室)が入っており,センターの一画を学生部屋としてお借りしています.人
数は 7 人と少ないですが,皆が同じ部屋で研究しているため各研究室の学生間にも垣根がなく,
アットホームな雰囲気の中,ソファでくつろぎながら柏・本郷にいるラボの学生と遠隔通信でゲ
ノム勉強会等を自主的に開催しています.
研究室の所在地がお台場ということもあり,フジテレビやレインボーブリッジ,東京タワー
等を一望することが出来,研究で少し疲れた時にはリフレッシュすることもできる最適な環境で
あることも Horton 研究室の強みだと思います(時には休息も重要!).是非一度,和気藹々とした
Horton 研究室に足を運んでみてください.
レインボーブリッジ.
CBRC 7F リフレッシュルームより.
忘年会@配列解析チーム(Horton 研究室・富井研究室).