施設だより 旭岳ロープウェイの改修 - 大雪山自然教育研究施設 - 北海道

北海道教育大学大雪山自然教育研究施設研究報告 第32号
Reports of the Taisetsuzan Institute of Science No. 32
平成10年3月
March 1998
施設だより
旭岳ロープウェイの改修
施設長
氷見山幸夫
毎年千人を超える人々が本施設を訪れ,年間延べ総利用者数は2千5百人・日以上である.施設の
収容人数が30人であり,しかも土・日曜日の学外者の利用に制約があることを考えると,この利用
状況は決して悪いものではない.利用目的も自然観察,登山,野外実習,スキー合宿,ゼミ研修,
書道研修など多岐にわたり,この施設のもつ多面的な価値が伺われる.学外の利用者が3割程を占
めていることも,施設として嬉しいことである.それもこれも旭岳温泉と大雪山の魅力の賜物であ
ることは言うまでもない.
さて施設を取り巻くこの素晴らしい環境が,これから大きく変わりそうである.旭岳温泉街と旭
岳中腹の姿見の池近くを結ぶ「旭岳ロープウェイ」が全面改修されることになり,今年10月から2
年近くも運休される.当然この間の旭岳温泉への来訪者数は激減することが予想され,地元では野
生動植物が観察できる自然探勝路や登山道の整備と宣伝に力を入れ,ロープウェイのみに頼らない
地域のあり方を追求しているとのことである.また一方ロープウェイ再開後は,利用者が4割増加
するとの試算もあり,自然破壊や駐車場難に結びつくのではないかとの懸念がある.いずれにせよ,
旭岳温泉の様相は向こう数年間で大きく様変わりすることであろう.
これは勿論本施設にとっても重大な関心事である.当面,利用者数が大きく減少しないような方
策を考えねばならないことは言うまでもない.しかしそれだけに汲々とするのは,あまり前向きの
態度とは言えないであろう.私はこれは国立公園にある観光地や自然教育研究施設の在り方を考え
る好機だと思う.観光に関わる地域の変化や環境の変化は,自然保護,生態学,地域計画などの分
野の研究テーマとしても大変興味深いものであり,多くの方々が本施設を利用し,それらの研究を
進められることを願っている.
この来るべき激動の数年間に,本施設がより多くの人々により充実した利用環境を提供できるよ
う,施設としても努力したい .
−71 −
施 設 記 事
Ⅰ. 職 員(平成9年度)
施 設 長
教 授 氷見山 幸 夫 (地 理 学) (平 9. 4. 1 ∼)
研 究 員
教 授 櫻 井 兼 市 (地 学) (昭53. 4. 1 ∼)
教 授 平 一 弘 (理 科 教 育 学) (昭53. 4. 1 ∼)
教 授 橘 ヒサ子 (生 物 学) (昭56. 4. 1 ∼)
教 授 矢 沢 洋 一 (栄 養 生 理 学) (昭61. 4. 1 ∼)
助教授 浅 川 哲 弥 (化 学) (昭57. 4. 1 ∼)
助教授 和 田 恵 治 (地 学) (昭59. 4. 1 ∼)
助教授 三 浦 裕 (保健体育科教育学) (昭59. 4. 1 ∼)
施設管理人
大 倉 幸 男
(平 9. 1. 25∼)
Ⅱ. 運営委員会(任期 平成9年4月1日∼平成10 年 3 月 3 1 日)
委 員 長 施 設 長
氷見山 幸 夫 (地 理 学)
委 員 内 島 貞 雄 (幼 児 教 育) (平成9.4. 1 ∼平成 9. 7.15)
長谷川 久 子 (幼 児 教 育) (平成9.7.16 ∼平成10.3.31)
横 尾 實 (地 理 学)
蛇 穴 治 夫 (生 物 学)
相 馬 一 彦 (数 学)
杉 山 喜 一 (保 健 体 育)
前 田 和 司 (保 健 体 育)
八重樫 良 二 (美 術 学)
編集委員長
氷見山 幸 夫 (地 理 学)
Ⅲ.研究題目
○エアロゾル及び雪結晶の観測 櫻 井 兼 市
○大雪山地域の第4紀について 平 一 弘
○北海道山地湿原の植物生態学的研究 橘 ヒサ子
○ヤツメウナギ(カワウナギ)血液成分の生化学的研究 矢 沢 洋 一
○日本ザリガニの生息状況とその生化学的研究 ○野外学習のための地理情報システムの開発 ○東アジアの土地利用変化 〃 氷見山 幸 夫
〃 ○ティラピア背筋筋肉構成タンパク質の生化学的研究 浅 川 哲 弥
○大雪山の地質学的研究 和 田 恵 治
○大雪山自然教育研究施設周辺におけるスポーツ事象 三 浦 裕
−72 −
Ⅳ. 利用状況(1∼1 2月)
1. 研究教育活動
期 間
利 用 者
目 的
員数
1∼3月
旭・地学(引率・櫻井兼市教授) 研究活動
10
4∼6月
旭・教育学
(引率・若原直樹助教授)
研究活動
13
7∼9月
釧・生物学
(引率・神田房行教授)
野外実習
17
旭・生物学
(引率・蛇穴治夫助教授)
野外実習
16
北海学園大
(引率・高橋伸幸教授)
野外実習
16
旭・生物学
(引率・橘 ヒサ子教授)
野外実習
17
旭・生涯スポーツ学(引率・速水 修教授)
野外実習
30
旭・生物学
野外実習
13
(引率・岡田和久)
研究活動
7
北大・植物園 (引率・高橋英樹助教授)
研究活動
和歌山県
(引率・柳田欣作助教授)
9
小計 10件
148
旭・数学ゼミ ゼミ研修
18
旭・美術ゼミ
ゼミ研修
30
旭・栄養生理学ゼミ
ゼミ研修
14
旭・社会科教育ゼミ
ゼミ研修
15
旭・地理ゼミ
ゼミ研修
22
旭・音楽ゼミ
ゼミ研修
34
旭・技術工業ゼミ
ゼミ研修
9
旭・技術農業ゼミ
ゼミ研修
23
旭・法政ゼミ
ゼミ研修
22
旭・教育心理学ゼミ
ゼミ研修
30
旭・社会科教育ゼミ
ゼミ研修
7
旭・教育学ゼミ
ゼミ研修
14
旭・社会科教育ゼミ
ゼミ研修
19
旭・栄養生理学ゼミ
ゼミ研修
16
旭・保健学ゼミ
ゼミ研修
26
旭・教育学ゼミ
ゼミ研修
12
旭・教育学ゼミ
ゼミ研修
15
旭・保健学ゼミ
ゼミ研修
12
旭・数学ゼミ
ゼミ研修
11
旭・保健体育ゼミ
ゼミ研修
9
2.ゼミ活動
1∼3月
4∼6月
7∼9月
10∼12 月
小計 20件
−73 −
358
3.合宿研修その他
期 間
1∼3月
4∼6月
7∼9月
利 用 者 目 的 員数
岩・ 草野 望 合宿研修
10
旭・ 開発智章
合宿研修
27
北大・ 末岡伯理
合宿研修
8
旭・氷見山幸夫
自然散策
8
旭・吉井 収
合宿研修
7
北大・末岡伯理
合宿研修
6
旭・浅川哲弥
合宿研修
24
旭・横田正義
合宿研修
10
旭・氷見山幸夫
自然散策
4
旭・ 西尾直樹
合宿研修
5
スキー合宿
7
本部・林 義明
スキー合宿
12
旭・上村勝弘
合宿研修
15
本部・川畠利春
自然散策
7
旭・莅戸剛仁
合宿研修
12
旭・前田英伸
合宿研修
10
旭・高坂和子
スキー合宿
4
旭・西尾直樹
スキー合宿
5
札・林 義明
スキー合宿
3
旭・氷見山幸夫
自然散策
4
旭・古川宇一
合宿研修
14
岩・中村秀子
合宿研修
35
岩・仙北谷 彩
合宿研修
23
札・高野名弘
登山
5
旭・赤石正吉
合宿研修
1
旭・上岡 宏
合宿研修
26
札・林 義明
自然散策
29
釧・末武省三
登山
2
旭・菅股庄二
登山
6
旭・ 古野博明
登山
20
士別市立兼内小・野崎 徹
合宿研修
23
稚内市立東浦小中・ 平澤 茂
合宿研修
7
旭・夏井 毅
自然散策
12
札・林 義明 登山 札・宮本 勝
合宿研修
釧・ 田村 實
合宿研修
札・ 笠間勇二
登山
17
旭・ 矢沢洋一
合宿研修
13
岩・ 奥山隆司
登山
桧山北高・日下 哉
−74 −
8
22
2
5
札・ 林 義明
山形大・川邊孝幸
自然散策
登山
3
4
釧・ 内山博之
旭・ 本間謙二
札・ 寺島陽子
自然散策
自然散策
登山
9
1
8
旭・ 本間謙二
旭・片山良子 登山
登山 3
6
札・渡部 基 旭・ 高坂和子
旭・ 草嶋都子
合宿研修 登山
自然散策
旭・ 木村光廣
旭・和田恵治
自然散策
登山
4
5
函・ 園山和夫
旭・ 片山良子
旭・末岡一伯
自然散策
登山
登山
2
9
2
札・木下建男
旭・高坂和子 登山
登山 3
5
18
15
4
旭・夏井 毅 自然散策 2
旭・古野博明 合宿研修 16
10 ∼12 月 旭・菅股庄二
登山
5
旭・菅股庄二
旭・杉田誠一
登山
登山
本部・敦賀 徹
旭・山崎陽子
旭・岡野友和
自然散策
合宿研修
合宿研修
8
15
30
旭・水牧幸夫
旭・長谷川久子
スキー合宿
会議
19
8
北大・競技スキー部
旭・水牧幸夫
北大・競技スキー部
スキー合宿
スキー合宿
スキー合宿
14
13
14
鷹栖町・今野征大
旭・片岡繁雄
スキー合宿
合宿研修
4
9
旭・莅戸剛仁
北大・競技スキー部
旭・水牧幸夫
スキー合宿
スキー合宿
スキー合宿
12
18
5
北大・競技スキー部
旭・谷藤陽子
スキー合宿
合宿研修
1
10
北大・競技スキー部
旭・氷見山幸夫
岩・碓氷英之
スキー合宿
スキー合宿
合宿研修
1
4
6
小計 72件
合計 102件
779
1,285
−75 −
2
4
施 設 案 内
大雪山自然教育研究施設は , 大雪山一帯の地域研究の基地として, 本学の教職員及び学生の教育
研修並びに自然の調査研究を行うことを目的として設置されたものです.
施設は,雄大な自然にかこまれた自然公園として, わが国最大の大雪山国立公園内,旭岳(2,290m)
の山麓,旭岳温泉郷に位置し,四季を通じて利用できます.
また,姿見の池から裾合平に至る一帯には,エゾコザクラ・キバナシャクナゲ・イワウメ・エゾ
ノツガザクラ等本州の山岳であれば3,000m級の山々に分布する高山植物が生育し,海抜1,500m以
下にはトドマツ・エゾマツ・アカエゾマツの針葉樹にダケカンバのような広葉樹を混じえた北方針
葉樹林が分布しています.これら原生自然環境下にはエゾシカ・キタキツネ・ヒグマ・ナキウサギ・
鳥類・昆虫類が生息し,野生動物の宝庫ともなっております.また,夏の登山・冬のスキーにも絶
好の環境のところです.
使用に当たっては本学の事業に支障がない限り学外者も受け入れています.
施 設 概 要
1.土地
1,654 ㎡
2.建物(木造地下1 階・地上2階建)
270.46 ㎡
3.施設の内容
研修室(1)
28 ㎡
食堂(厨房)
39 ㎡
研修室(2)
27 ㎡
管理人室
10 ㎡
和室(6帖間)
10 ㎡
浴室,脱衣室
18 ㎡
教官研究実験室
10 ㎡
物置(スキー置場)
28 ㎡
資料室
10 ㎡
4.収容人数
30名
5.食事 自炊(材料,調味料等各自持参),付近には食堂(えぞ松荘他)もあります.
建 物 平 面 図
−76 −
使 用 案 内
使 用 者 の 範 囲
1.本学の教職員及び学生
2.その他施設長が適当と認めた者
申 込 手 続 等
① 使用月日,人員(男女別)を確認のうえ連絡する
利
用
② 使用願・研修計画表・使用者名簿用紙を受け取る
③ 使用願・研修計画表・使用者名簿及び料金を添えて申し込む
④ 領収書・使用許可書を受け取る
旭
川
校
用
度
係
者
⑤ 当日,到着時に使用許可書を提示する
北
海
道
教
育
大
学
北
海
大 道
雪 教
山 育
自 大
然 学
教
育
研
究
施
設
《注 意》
〇 使用願の申請は,使用開始10日前までに旭川校用度係に提出すること.
〇 使用申し込み後の変更等については,使用の2日前(ただし,土曜日,日曜日,国民の祝日,
休日及び年末年始(12月 2 9 日 か ら 1 月 3 日まで)は除く.)までに申し出ること.
〇 使用期間は,原則として1 回7日以内とする.
=交通案内=
旭川電気軌道バス
旭川駅 ― 旭岳線66番「旭岳ロープウェイ」下車(1時間40分)徒歩5 分
旭川駅 ― 旭岳ロープウェイ間 42.5km
旭川駅から旭岳ロープウェイで降車の場合は無料です.旭岳ロープウェイから旭川駅への復路に
ついては無料チケットを用意しますので申込手続時に必要枚数を連絡下さい.
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北海道教育大学大雪山自然教育研究施設研究報告刊行要綱
1. 研究報告の刊行に関する基本的事項について,この要綱の定めるところによる.
2. 研究報告には,旭川校専任教官が,大雪山に関する学術研究及び調査並びに本施設を利用して
行った学術研究及び調査の成果を掲載することを原則とする.
3. 研究報告は,毎年1 回3月に発行する.
4. 発行部数は,450部とし,寄贈,配布先等については別に定める.
5. 投稿者の範囲は,旭川校専任教官とする.共著の場合は,旭川校専任教官が第一著者であるこ
とを条件とする.
ただし,次の各号の一に該当する場合は,運営委員会の承認を経て掲載することが出来る.
(1) 旭川校専任教官と他分校専任教官との共同研究で,第一著者が後者の場合.
(2) 旭川校専任教官と学外の研究者との共同研究で,第一著者が後者の場合.
(3) 旭川校卒業生の研究で,旭川校専任の指導教官の推薦がある場合.
(4) 運営委員会の議により,分校外の研究者に研究を委嘱した場合.
6. 研究報告を編集するため,編集委員会を置く.
7. 編集委員会は,編集委員長と編集委員(若干名)とで構成する.
編集委員長は,施設長がこれを兼任し,編集委員は,運営委員会の議を経て施設長がこれを委
嘱する.
8. 編集委員会は,受理した原稿の採否を審議し,原稿記載上の注意及び印刷の体裁,その他編集
上必要なことを決定する.
9. 編集委員会は,必要に応じ,委員以外の者の出席を求めて意見を聞くことができる.
10. 報文は,原著に限る.
11. 原稿記載上の注意は,北海道教育大学紀要原稿記載上の注意事項(平成8年1月18日改正)に準
ずる.
12. 投稿締切日は,毎年1月末日とし,原稿は施設長に提出する.
13. 校正は,原則として,二校まで著者が行うものとする.
14. 別刷は,和文欧文とも50部を無償とし,この部数を超える場合は,有償とする.ただし,有
償の部数は50 部を単位とする.
附 則
この要綱は,昭和52 年3月16日から施行する.
附 則
この要綱は,平成8 年7月3日から施行する.
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