生物有機化学分野 Bioorganic Chemistry

生物有機化学分野
教 授 小比賀 聡
准教授(兼任)
張 功幸
助 教 兒玉 哲也
Professor
Bioorganic Chemistry
Satoshi OBIKA
06-6879-8200 [email protected]
Associate Professor Yoshiyuki HARI
Assistant Professor Tetsuya KODAMA
06-6879-8201 [email protected]
06-6879-8202 [email protected]
Fax 06-6879-8204
教 授 小比賀 聡
本分野では、様々な生命現象を有機化学的側面から解析
し、それらを基にして付加価値の高い生体関連人工物質の分
子設計と合成並びにそれらの機能性評価に関する研究を行っ
ている。具体的には、優れた機能性を有する人工核酸、核
酸に作用する抗腫瘍性天然化合物類縁体、高感度蛍光性
化合物等の開発を研究対象としている。
アンチセンス法及びアンチジーン法は、ある特定の遺伝子に
対して相補的な塩基配列のオリゴヌクレオチドを作用させ、当
該遺伝子の働きを特異的に制御する方法で、ガンやエイズ等
の難治性疾患を始め様々な疾病の合理的治療薬開発につな
がるとして大いに注目されている。しかし、天然のオリゴヌクレオ
チドや現在知られている化学修飾型オリゴヌクレオチドには様々
な問題があり、アンチセンス法及びアンチジーン法の実用化は
困難とされている。そこで、当分野ではこれらの問題を克服す
る高機能性人工核酸分子として、天然核酸の糖部立体構造
を遺伝子 DNA やメッセンジャー RNA と結合しやすい配座に
固定化した新しい架橋型人工核酸(2’
, 4’
-BNA/LNA)の
開発を行った。この 2’
, 4’
-BNA/LNA の標的 RNA に対す
る結合親和性は世界のトップレベルにあり、2’
, 4’
-BNA/LNA
は国内外において大きな注目を集めるとともに、現在では幅広
くその応用研究が展開されている。また、これと関連して生分
解性を有する機能性化合物を用いた低毒性かつ高効率的な
遺伝子導入ベクターの開発研究についても実施している。
これ以外にも、ポストゲノム時代における多様な基盤テクノロ
ジーを開拓すべく、様々なタイプの架橋型人工核酸 BNA 類
の創製研究を推進している。これからのテーラーメード医療を実
現するためには、DNA や RNA の迅速かつ簡便な分析法が
必要不可欠であるが、綿密に化学修飾した BNA を利用する
ことで、従来にない新しいコンセプトに基づくDNA や RNA の
分析が可能となる。現在、PCR を必要としない高感度遺伝
子検出法として研究開発を進めている。さらに、疾病・疲労・
加齢等と深く関連している遺伝子損傷の簡便かつ安価な視覚
化法の創出にも人工核酸は応用でき、疾病の早期発見や予
防医学の分野に展開可能である。
また、DNA に相互作用することにより抗腫瘍性を示す種々
の天然化合物及びそれらの類縁体を合成し、その作用メカニ
ズム解明とそれを基にした新規な DNA 作用分子の創製、さら
には新規抗癌合成化合物の創製をめざす研究も行っている。
一方、地球環境保護を念頭に、ラジオアイソトープ法に置き換
わる高感度標識法としての蛍光性分子の開発も進めている。
蛍光法では、同一検体中の異なる標的分子を赤・青・緑等
の波長の光として検出可能であり、急速に用途が多様化して
いる注目の分野の1つである。これら DNA 作用分子や蛍光
性分子は、人工核酸類との複合化を図り、配列特異的な遺
伝子切断分子や遺伝子検出試薬の開発とともに、一般的なゲ
ノム創薬手法の確立につなげていく。
上記の研究の多くは、学内外の様々な研究機関との共同
研究として実施している。
研究課題
1)架橋構造型の高機能性人工核酸 BNA 類の合成研究
2)人工核酸 BNA 類の遺伝子治療・遺伝子診断法への応用
3)抗癌活性天然化合物類の精密合成に関する研究
4)新規な DDS 機能性化合物の分子設計・合成と機能評価に
関する研究
5)高感度蛍光性化合物の分子設計・合成と応用に関する研究
6)人工核酸の PET 分子イメージングに関する研究
最近の主要論文
1. Kodama T., Hari Y., Imanishi T. Obika, S.,et al. A bridged nucleic acid, 2’,4’-BNACOC: Synthesis of fully modified oligonucleotides bearing thymine,
5-methylcytosine, adenine and guanine 2’,4’-BNACOC monomers, and RNA-selective nucleic acid recognition. Nucleic Acids Res., 37, 1225-1238,
2009.
2. Kodama T., Obika S., Miyashita K., Imanishi T. et al., Design, synthesis, and evaluation of a novel bridged nucleic acid, 2’,5’-BNAON, with S-type sugar
conformation fixed by N–O linkage. Tetrahedron, 65, 2116-2123, 2009.
3. Obika S., Hari Y., Imanishi T., et al., Recognition of T·A interruption by 2’,4’-BNAs bearing heteroaromatic nucleobases through parallel motif triplex
formation, Bioorg. Med. Chem., 16, 2945-2954, 2008.
4. Rahman S. M. Abdur, Obika S., Miyashita K., Imanishi T. et al., Design, synthesis and properties of 2’,4’-BNANC: A bridged nucleic acid analogue, J.
Am. Chem. Soc., 130, 4886-4896, 2008.
5. Obika S., Imanishi T. et al., Double-stranded DNA-templated oligonucleotide digestion triggered by triplex formation, ChemBioChem, 8, 1924-1928, 2007.
6. Rahman S. M. Abdur, Obika S., Miyashita K., Imanishi T. et al., Highly stable pyrimidine-motif triplex formation at physiological pH values by a bridged
nucleic acid analogue, Angew. Chem. Int. Ed., 46, 4306-4309, 2007.
7. Kodama T. et al., Selective detection and quantification of oxidized abasic lesions in DNA, J. Am. Chem. Soc., 129, 8702-8703, 2007.
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