A3571K 2006年春号(第7号) 2006年5月12日発行日 東洋紡 ニュースレター 試薬の基礎知識(クレアチニン測定試薬 その2) クレアチニンの酵素法 クレアチニンの酵素法の測定原理を図1に示します。 まず、検体中のクレアチニンにクレアチニンアミドヒドロラーゼを作用させ、クレアチンに導きます。ついでクレアチンにク レアチンアミジノヒドロラーゼを作用させザルコシンを生成させます。生成したザルコシンにザルコシンオキシダーゼを作 用させ過酸化水素を生成させます。 この過酸化水素と、4-AA(4-アミノアンチピリン)、色原体とをペルオキシダーゼの存在下で酸化縮合させ、キノン色素を 発生させます。発生したキノン色素の吸光度を測定することでクレアチニン濃度を求めます。 クレアチニンアミドヒドロラーゼ クレアチン クレアチニン + H2O クレアチンアミジノヒドロラーゼ ザルコシン + 尿素 クレアチン + H2O ザルコシンオキシダーゼ H2O2 +グリシン+ホルムアルデヒド ザルコシン +H2O+O2 ペルオキシダーゼ 色素(キノン色素) + 4H2O 2H2O2+ 4-AA+色原体 図1:酵素法の測定原理 現在国内で市販されている酵素法の試薬のほとんどは上記の測定原理です。各メーカーでは、色素に、検出感度が高く、 共存物の影響を受けにくいものを選択して工夫しています。 目次: 試薬の基礎知識 (クレアチニン測定試薬 その2) p 1,2 学会カレンダー p 3,4 東洋紡 ニュースレター 図2に主な色素の極大吸収波長(λmax)と吸光係数(ε)を示します。 名称(略称) 構造 R5 λmax (nm) ε X104 (L/mol・ cm) R1 R2 R3 R4 TOPS (ESPMT) CH3 H H C2H5 C3H6SO3H 550 3.74 TOOS (EHSPT) CH3 H H C2H5 CH2CH(OH)CH2SO3H 555 3.92 CEMB CH3 H H C2H5 C2H4COOH 550 3.60 ADPS (ESPAS) OCH3 H H C2H5 C3H6SO3H 540 2.79 TODB CH3 H H 662 4.54 FDAOS OCH3 F OCH3 583 2.22 C4H8SO3H C4H8SO3H C2H5 CH2CH(OH)CH2SO3H R1 R4 N R2 R3 R5 図2:クレアチニン試薬に使われている主な色素 極大吸収波長が長波長側のものは、溶血、ビリルビン、乳びによる血清の色調の影響を受けにくくなります。 吸光係数εが高いと検出感度が高くなりますが、測定レンジは狭くなります。 また、生成された色素は、血清中に含まれる還元物質(ビリルビン、アスコルビン酸、グルタチオンなど)により分解される ことから、分解されにくい色素を選択することも重要です。 これ以外で、クレアチニンの 酵素法で測定値に影響を与えるものとして、L−プロリンがあります。 L−プロリンは透析患者に投与されるアミノ酸製剤輸液に含まれているアミノ酸で、クレアチニン試薬中のザルコシンオ キシダ−ゼと反応し、測定値に正誤差を与えることがあります。 最近、L−プロリンとの交差反応の少ないザルコシンオキシダーゼを使った試薬が市販されています。 次回は、クレアチニンとGFR(糸球体濾過値)について紹介いたします。 参考文献、資料: ・新臨床検査技師講座(第3版) 9巻 「臨床化学」 ・検査と技術 Vol.29 No.11 P1243-1249 2001 ・JJCLA Vol.29 No.3 P190-195 2004 ・生物試料分析 Vol.17 No.5 P332-337 1994 ・日本農芸化学会 大会講演要旨集 P260 2003 主な学会開催予定(2006年5月∼7月) 学会名 2006年春号(第7号) 開催日 開催場所 問い合わせ先 第71回日本消化器内視鏡学会 5/14∼16 東京(新宿京王プラザ) 03-5800-9733 第56回日本消化器内視鏡技師会 5/14 東京(東京大学安田講堂) 03-3815-5411 第45回日本生体医工学会 5/15∼17 福岡(福岡国際会議場) 092-642-5360 第54回日本化学療法学会 5/18∼19 京都(国立京都国際会館) 075-595-4685 第79回日本ハンセン病学会 5/18∼19 高松(かがわ国際会議場) 042-391-8085 第79回日本整形外科学会 5/18∼21 横浜(パシフィコ横浜) 03-3547-2533 第75回日本寄生虫学会 5/19∼20 弘前(弘前文化センター) 0172-39-5043 第55回日本医学検査学会 5/19∼20 松江(島根県民会館) 0852-32-6913 第79回日本内分泌学会 5/19∼21 神戸(神戸ポートピアホテル) 078-382-5885 第60回日本栄養・食糧学会 5/19∼21 静岡(静岡県立大学) 054-264-5559 第63回日本臨床検査医関東・甲信越支部 5/20 山梨(甲府市総合市民会館) 055-273-1111 第47回日本神経病理学会 5/24∼26 岡山(岡山コンベンションセン ター) 086-223-7151 第42回日本肝臓学会 5/25∼26 京都(国立京都国際会館) 075-251-5111 第23回日本呼吸器外科学会 5/25∼27 東京(東京プリンスホテル) 044-977-8111 第49回日本糖尿病学会年次学術集会 5/25∼27 東京(東京国際フォーラム) 03-3433-1111 第71回日本温泉気候物理医学会 5/26∼27 札幌(定山渓万世閣ホテルミリ オーネ) 011-706-2130 第79回日本超音波医学会 5/26∼28 大阪(大阪国際会議場) 06-6972-1181(2201) 第6回日本核医学会春季大会 5/26∼28 埼玉(大宮ソニックシティー) 04-2995-1511 第47回日本心身医学会 5/30∼31 東京(日本教育会館) 03-3263-8688 第18回日本アレルギー学会(春季臨床大会) 5/30∼6/1 東京(新宿京王プラザ) 044-722-2121 第43回日本リハビリテーション医学会 6/1∼3 東京(東京プリンスホテル) 03-3480-1151 第53回日本麻酔科学会 6/1∼3 神戸(神戸ポートピアホテル) 03-3815-0590 第46回日本呼吸器学会 6/1∼3 東京(東京国際フォーラム) 03-3822-1465 第48回日本小児神経学会 6/1∼3 浦安(東京ベイホテル東急) 03-3433-1111 第45日本消化器集団検診学会 6/1∼3 名古屋(名古屋市中小企業振興 会館) 052-321-8171 第105回日本皮膚科学会 6/2∼4 京都(国立京都国際会館) 089-960-5352 第81回日本消化器内視鏡学会九州支部 6/3∼4 未定 0954-43-1120 第92回日本消化器内視鏡学会北海道支部 6/4 札幌(札幌医科大学) 011-231-2121 第43回日本小児外科学会 6/7∼9 秋田(秋田市文化会館) 018-884-6143 第48回日本老年医学会 6/7∼9 金沢(石川県立音楽堂) 076-286-3511 第54回日本輸血学会 6/9∼11 大阪(大阪国際会議場) 06-6879-5887 第47回日本臨床細胞学会総会春期大会 6/9∼11 横浜(パシフィコ横浜) 0463-95-9924 第49回日本腎臓学会 6/14∼16 東京(新宿京王プラザ) 0422-47-5511(5717) 第82回日本消化器内視鏡学会関東地方会 6/16∼17 東京(六本木アカデミーヒル ズ) 048-965-8295 第60回日本交通医学会 6/17∼18 東京(JR東京総合病院) 03-3320-2201 2006年5月 2006年6月 学会名 開催日 開催場所 問い合わせ先 第19回臨床微生物迅速診断研究会 6/17 松山(松山市総合コミュニティー センター) 089-960-5593 第79回日本生化学会 6/18∼23 京都(国立京都国際会館) 06-6229-2550 第57回日本東洋医学会学術総会 6/23∼25 大阪(大阪国際会議場) 03-3444-6161 第46回日本先天異常学会学術集会 6/29∼30 山形(山形テルサ) 023-633-1122 第46回日本リンパ網内系学会 6/29∼7/1 名古屋(名古屋国際会議場) 052-744-2087 第10回日本医療情報学会春季学術大会 6/30∼7/1 神戸(神戸国際会議場) 03-3837-0871 第39回日本整形外科学会 7/6∼7 札幌(札幌コンベンションセン ター) 03-5216-5318 第23回日本心電学会学術集会 第21回日本不整脈学会学術大会(合同開催) 7/7∼9 東京(東京国際フォーラム) 03-5363-3791 03-3353-8111(内線24219) 第38回日本臨床検査医学会東北支部総会 第17回日本臨床化学会東北支部総会(合同開催) 7/8 山形(かみのやま温泉月岡ホテ ル) 023-628-5406 第35日本消化器集団検診学会近畿地方会 7/8 滋賀県大津(ピアザ淡海) 077-548-2217 第36日本消化器集団検診学会北海道地方会 7/8 札幌(札幌医科大学) 011-251-2884 第42回日本周産期・新生児医学会 7/9∼11 宮崎(ワールドコンベンションセ ンターサミット) 0985-85-0988 第38回日本動脈硬化学会 7/13∼14 東京(東京国際フォーラム) 03-3815-5411 第61回日本消化器外科学会 7/13∼15 横浜(パシフィコ横浜) 0463-93-1121(2291) 第36回日本皮膚アレルギー学会総会 第31回日本接触皮膚炎学会総会合同学術総会 7/15∼16 兵庫(兵庫県立淡路夢舞台国際会 議場) 06-6879-3031 第14回日本がん検診・診断学会 7/21∼22 宮崎(宮崎市民プラザ) 0985-85-1510(2244) 第7日本検査血液学会学術集会 7/22∼23 東京(東京慈恵会医科大学) 03-3433-1111 第38回日本医学教育学会 7/29∼30 奈良(奈良県新公会堂) 0744-29-8832 2006年6月 2006年7月 *開催日等は変更する場合があります。参加される際は必ずご確認ください。 *「The Medical & Test Journal」、「別冊・医学のあゆみ 学会案内」より抜粋 お問い合わせ先 診断システム事業部(大阪) 〒530-8230 大阪市北区堂島浜二丁目2番8号 診断システム事業部(東京) 〒103-8530 東京都中央区日本橋小網町17番9号 Tel Fax Tel Fax 06(6348) 3335 06(6348) 3833 03(3660) 4849 03(3660) 4951 ウェッブページもご覧ください。 http://www.toyobo.co.jp/seihin/xr/product/dsg/ index.html
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