金属加工油の基礎知識

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Table of Contents.
塑性加工油とは?(役割と性能について)
◆ 塑性加工について
◆ 塑性加工油とは?
◆ 塑性加工油の役割について
◆ 塑性加工油に必要とされる性能ついて
各種塑性加工と加工油剤について
◆ 圧延加工と加工油剤について
◆ 押出し加工と加工油剤について
◆ 引抜き加工と加工油剤について
◆ 鍛造加工と加工油剤について
◆ プレス加工と加工油剤について
◆ 無洗浄プレス油について
フィンプレス加工油剤について
◆ フィンプレス加工油とは?
◆ フィンプレス加工油の変遷
◆ フィンプレス加工油に求められる性能
◆ フィンプレス加工工程について
冷間鍛造について
◆ 冷間鍛造加工とは?
◆ 鍛造の長所と短所
◆ ホーマー(フォーマー)について
◆ ネジの作り方について
◆ 冷間鍛造(ホーマー)加工油について
◆ 冷間鍛造関連用語集
Knowledge --- 金属加工油の基礎知識[塑性加工油]
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塑性加工油とは?(役割と性能について)
塑性加工について
加工方法に関するページに於いても述べましたが、塑性加工とは金属などの材料に弾性力を超える
大きな力を加えることで、曲げたり、伸ばしたり、圧縮して、永久に変形させること、即ち塑性変形させ
る事によって目的の形を得る加工方法です。
塑性加工に於けるメリットとしては、
◆ 精度が高く、均一な製品を安価に大量生産できる
◆ 切屑がほとんどでない為、材料の無駄が少ない事
◆ 加工で材料を硬く、剛性を増し、比較的軟らかい材料でも軽量で丈夫な製品を作れる事
などが挙げられ我々の物周りの多くの製品製造に用いられている加工方法です。
Recycle
精度が高く、均一な製品を
安価に大量生産できる
切屑がほとんどでない為、
材料の無駄が少ない事
Products
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塑性加工油とは?
塑性加工時に利用する潤滑剤は、加工の種類や材質により、様々であり切削油などと比較しても
その種類は多岐に及ぶ為、日本工業規格においても規格されていません。その種類は、油剤タイプ
では加工後に乾燥消滅してしまう「乾燥タイプ」から「潤滑油タイプ」「極圧タイプ」「固体潤滑剤含有
タイプ」まであり非常に幅も広く、更には油剤ではない「潤滑処理皮膜」「個体潤滑剤」「ペースト」など
もあります。
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塑性加工油の役割について
塑性加工油の役割としては、「材料と工具間の摩擦を低減し、工具の摩耗、焼き付きを防止する事」
「加工に要する力を低減し、成形しやすくする事」「工具を冷却し、寿命を延長する事」「製品の防錆
及び防食」などがあげられます。
潤 滑 有 りの場 合
す∼
す∼
ストン
シャキン
潤 滑 無 しの場 合
グゥ∼
ガリガリ
ガリガリ
グゥ∼
ガリガリ
ガキッ
ボロッ
ガリガリ
モクモク
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塑性加工油に必要とされる性能ついて
では、具体的に「塑性加工油剤」にはどの様な性能が求められるのでしょうか?
次の様な性能が考えられます。
潤滑性に優れること
冷却性がよいこと
焼き鈍しで、変色、オイルステインを生じないこと
防錆、防食性がよいこと
脱脂性がよいこと
人体及び、環境に対して優しいこと
良 好 な潤 滑 性 !
油
スルスル∼
良 好 な冷 却 性 !
ヴゥ∼
ふぅ∼
ガリガリ
ガリガリ
モクモク
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良 好 な脱 脂 性
塑性加工
加工油塗布
洗浄
(脱脂)
ス テイン・ 変 色 防 止 !
加 工
ワーク
ステイン
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良 好 な防 錆 性 !
ワーク
錆
加工品
錆
作 業 者 や環 境 に優 しい
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各種塑性加工と加工油剤について
このページでは、各種塑性加工に於ける加工油剤の概要について触れていきたいと思います。
圧延加工と加工油剤について
形材圧延
板材圧延
熱間圧延油
加圧水流中に鉱油、油性剤、極
圧剤を配合した油剤を分散した
もの、又は、鉱油、脂肪酸、乳化
剤を配合しエマルジョン化した油
剤。
アルミ 鉱油に極圧剤、乳化剤等を配合
しエマルジョン化した油剤。
素材
鋼
銅
アルミとほぼ同様。
冷間圧延油
油性剤を温水に強制的に分散さ
せたもの。循環給油には油脂に
極圧剤、防錆剤を配合しエマル
ジョン化した油剤。
低粘度鉱油に油性剤を配合した
油剤。焼き鈍し(350∼400℃)で
分解するもの。
アルミと同様。鉱油に油性剤等を
配合し、エマルジョン化した油剤
も使用される。
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押出し加工と加工油剤について
丸 棒 の押 出 し
前方押出し
後方押出し
中 空 製 品 の押 出 し
前方押出し
穴あけ
熱 間 押 し出 し油 (剤 )
アルミ、鉛、亜鉛には一般に潤滑剤は使用されない。銅、銅合金に
対しては鉱油、グリースに黒鉛を配合したものを使用する。
鋼に対してはガラス粉末を潤滑剤とし、溶けたガラスの成分が被膜を
形成し潤滑効果を与える。
冷 間 押 し出 し油
鉱油に、油性剤、極圧剤、グラファイトを単独又は、組み合わせて
配合したもの。
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引抜き加工と加工油剤について
空引き
芯金引き
乾 式
ステンレスやチタン合金の引き抜きに使用される。
潤滑剤としては粉末状の金属石けん、黒鉛(グラファイト)、
二硫化モリブテン、石灰の他、化成皮膜処理(リン酸塩、シュウ酸塩)、
皮膜処理(ポリ塩化ビニール他)がある。
湿 式
銅やアルミ、鋼の引き抜きに使用される。銅、アルミには鉱油に
油性剤、ポリマーを添加したものや、水溶性のエマルジョン、
ソルブルが使用される。鋼(ステンレス)には、鉱物油に油性剤、
極圧剤を添加したものが使用される。
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鍛造加工と加工油剤について
自由鍛造
伸ば
据 え込 み
ひろげ
せぎり
穴抜き
切 断
曲げ
型 鍛 造
ワ
ワー
ーク
ク
製
製 品
品
熱間(温間)鍛造油
黒鉛等の固体潤滑剤を水又は、鉱物 油、鉱物油に油性剤を配合
したものに分散させたもの。
冷間鍛造油(潤滑剤)
(1 )化 成 皮 膜 処 理
素材表面をリン酸塩、シュウ酸塩被膜処理し、金属石けんを付ける。
(2 )不 水 溶 性
鉱油に油性剤、極圧剤等を単独又は、組み合わせて配合したもの。
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プレス加工と加工油剤について
曲げ加工・剪断加工・絞り加工については、同じタイプの加工であり使用する加工油剤も類似した
タイプのものが多い事から、プレス加工という括りで一つに纏めて話しを進めたいと思います。
剪断加工
絞 り加 工
曲 げ加 工
必要な性能に応じ、鉱油に油性剤や極圧剤、固体潤滑剤を単独
又は、組み合わせて配合した油剤
鉱 油 +油 性 剤
薄 板 の打 ち 抜 き 、軽 絞 り
油 性 剤 +極 圧 剤
厚 板 の精 密 打 ち 抜 き
鉱 油 +油 性 剤 +極 圧 剤
難 加 工 材 の打 ち 抜 き 、深 絞 り
鉱 油 +油 性 剤
+極 圧 剤
+固 体 潤 滑 剤
かじ り の激 し い加 工
難易度
易
難
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無洗浄プレス油について
無洗浄プレス油は、フロン等オゾン破壊物質(ODS)の、代替洗浄技術対策の、比較的コストの
かからない方法として開発使用されてきています。
洗浄作業の省略又は、簡素化が図れる一方、潤滑性に乏しい為、薄板の打ち抜き、曲げ、浅絞りと
使用用途が限定され電気、電子産業など比較的重加工の少ない分野を中心に使用が拡大されて
きています。
普 通 プレス油
プレス加工
加工油剤付着状態
無 洗 浄 プレス油
加工油剤付着状態
洗 浄
ブロー(乾燥)
ブロー(乾燥)
無 洗 浄 プレス油
メリ ット
・加工後の洗浄が必要ない→工程簡素化・無汚染
デメリ ット
・低粘度で潤滑性が乏しい→重加工は困難
加工用とが限定される!
→薄板などの打ち抜き・曲げ・浅絞り
主用途
・熱交換機部品(フィンプレス)
・電気・電子産業用部品
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フィンプレス油について
このページでは、無洗浄プレス油剤に於ける代表的な加工であるフィンプレス加工の概要について
触れていきたいと思います。
フィンプレス加工油とは?
フィンプレスとは、熱交換機やラジエターなどに使用されるアルミの放熱フィンを製造するプレス
加工の事を云います。
空調機の製造工程において、熱交換器用のアルミフィンは、プレス加工後、フィンの表面に付着して
いるプレス油を除去するため、従来はフロン系または塩素系溶剤で洗浄されていました。
しかし、フロン系および塩素系溶剤は、物理的・化学的性質などの面から優れた溶剤ですが、この化
合物がオゾン層を破壊することが解り、地球規模の環境破壊から地球を守るため、製造が中止されま
した。(塩素系溶剤は毒性の為、規制を受けるが使用は可能)
空調関係業界において、プレス油を揮発性にし、加熱により蒸発させることにより洗浄工程を省略し
ようとする計画が進みました。
現在、アルミフィンプレス油と呼ばれている油剤は、上記のような観点から、アルミフィン材に対して加
工性が良く、残油量が非常に少なく、加温により乾燥すること等が必須条件となっています。
過 去
現 在 の主 流
加 工
加 工
(従来は油性タイプの
加工油剤を使用)
(従来は無洗浄タイプ
の加工油剤を使用)
洗 浄
ハロゲン系洗浄剤を
使用
組立て
環境問題
↓
洗浄剤の
使用規制
乾 燥
乾燥炉を使用して
乾燥
組立て
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フィンプレス加工油の変遷
次にフィンプレス加工油剤の変遷について簡単に紹介したいと思います。
従 来 の加 工 油
油性タイプ
40℃動粘度:
15mm2/s 以上
低粘度化
低粘度油剤
持ち出し量の削減や洗浄性
の向上を目的として低粘度化
が図られました。
無 洗 浄 プレス油 剤
(乾燥性油剤)
加工性優先油剤
(半乾燥性油剤)
40℃動粘度:
1∼3mm2/s 程度
乾燥炉にて完全乾燥
40℃動粘度:
2∼5mm2/s 程度
乾燥炉にて完全乾燥
(温度高め)
洗浄も一部併用
油性タイプ
40℃動粘度:
10mm2/s 以下
専用化油剤
銅パイプの拡管などの
専用油剤化
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フィンプレス加工油に求められる性能
成型性能<Formability>
◆ 良好な潤滑性能
◆ 添加剤の質と量
◆ 親水性
安全性<Safety>
◆ 低刺激性(皮膚)
◆ 高引火点
◆ 低臭気
◆ 低ミスト性
腐食抑制
<Anti-Corrosion>
◆ アルミ材との相性
◆ アルミコート材との相性
◆ 銅管の腐食
乾燥性<Rinse Free>
◆揮 発 性 の 基 油
(乾燥性良好)
◆揮 発 性 の 潤 滑 剤
(残差の防止)
◆ 低粘度
上記のチャートは、フィンプレス加工油剤に必要とされる性能を表に示したものです。
何れの性能も不可欠な性能ではありますが、全てがバランスよく具現されている事が最も重要となり
ます。
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フィンプレス加工工程について
最後になりましたが、フィンプレス加工の工程について簡単に紹介したいと思います。
ア ルミ フ ィン材 ロール
プレス工 程
銅 管 組 込 み工 程
ベンディング 工 程
銅管接合工程
乾燥工程
乾 燥 炉
100∼200℃
検 査
及び
組み立て
工程へ
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プレス工 程 の詳 細
Draw less Type
Pierce-Burring
Ironing No.1
Draw Type
1’st Drawing
2’nd Drawing
3’rd Drawing
4’th Drawing
Ironing No.2
Pierce-Burring
Fl a ri n g
Fl a ri n g
ドローレス加工
特徴としては少ない工程でフィン部の立ち上げ可能で非常に効率の良い加工であるといえます。
比較的、新しく考案された加工方法ですが、現在のフィンプレス加工の主流をなしている加工方法
です。
ドロー加工
この加工方法は昔より行われてきている老舗的な加工法であり、ドローレス加工に比較すると若干
多くの工程を必要としますが今も多く利用されている加工方法です。
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冷間鍛造について
冷間鍛造加工とは?
まず、始めに「冷間鍛造加工とはいかなる加工であるのか」という事から触れていきたいと思います。
加工方法のページに於いても触れましたが、
鍛造加工とは、材料に圧縮力を与えて加工する加工方法で加工を行う温度により、熱間鍛造・冷間
鍛造・温間鍛造加工に分類できます。
各 鍛 造 加 工 に於 ける 比 較
冷 間
温 間
熱 間
加 工 の難 易 度
難
易
寸法精度
良
悪
仕 上 がり品 の
表面状況
良
悪
加工温度
低
(室温)
高
総評すると
熱間鍛造加工はワークの温度を結晶化温度以上に上げて加工を行う事から、加工の自由度が高く
大きなワークについての加工も可能であるが、温度低下時の表面スケールの発生や温度による歪み
の発生など精密な仕上げには不向きである。
対して冷間鍛造は、室温にて加工を行う事から加工の難易度は高くなり大きなワークの加工などは
不可能であるが、高い寸法精度と良好な仕上がり表面を得る事が出来る。
と云う事が出来ます。
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鍛造の長所と短所
◆ 長 所
① 大量の製品を高精度に、高速度で、かつ低コストにつくることができる。
② 加工により強度や、粘り強さ(じん性)の向上を図ることができる。
③ 材料の損失が少なく、加工面がきれいで、光沢のある平滑面を得ることが
できる。
④ 材料に多種の形を与えることが出来る為、素材材料形状選択の自由度が
高い。
◆ 短 所
① 工具機械に対する大きな機械的、熱的負荷が加わり、特に工具寿命を
短くする。
② 鍛造性、熱処理性、後加工性が良く、表面状態が良く、傷がない高価な
材料が必要となることが多い。
③ 騒音、振動、酸化膜、燃焼潤滑剤などのため環境対策に費用がかかる。
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ホーマー(フォーマー)について
冷間鍛造加工に於ける代表的な加工機であるホーマー(フォーマー)について簡単に紹介し
たいと思います。
フォーマー(ホーマー)とは、横型の多段式鍛造機械であり、供給された素材を一定寸法に
切断して、複数の対向する「型」の間に運び、型と型で圧力を加えて、素材を形作る横型
プレス機械です。
素材の切断から一気にネットシェイプまで行えるので中間在庫ができず、しかも縦型のプレ
ス機に比べて、圧倒的に高速生産が可能であるため、生産効率が非常に高く、また、
「型」を
交換することによって、何種類ものパーツを成形することが出来るため、何種類もの製品の
加工が可能となります。
クランクシャフト
フレーム
切 断
ラ ム
素 材
ダイブロック
型 ; ダイ
型 ; パンチ
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ネジの作り方について
ホーマー(フォーマー)を使用した代表的な加工であるネジの製造工程を紹介します。
1.ボルトの製造工程
伸 線
表面処理
頭部・軸
成形
ネジ加工
洗 浄
熱処理
出 荷
2.ナットの製造工程
伸 線
表面処理
成形加工
ネジ加工
洗 浄
熱処理
出 荷
頭部・軸部分の成形方法(冷間鍛造加工)
ねじの頭部・軸部分は、ねじ用コイル線材を一定の長さに切断し、その断面を型の
中に押し込んだり、型の形に押しつぶして成形することによって作ります。
ねじ製造に使用される圧造機械は横型プレスの一種で、頭部成形を主として
ヘディングと言い、ヘディングする機械をヘッダと呼んでいます。
ヘッダは、固定側の型(ダイス)と、打ち込む(blow、ブロー)側の型(パンチ)の数で
区別されます。1個のダイスと2個のパンチを持つ(1ダイ2ブロー、1D2B)二段打ちヘッ
ダを一般的にダブルヘッダ(double header)と呼んでいます。他にも 2D2B、2D3B、
3D3B ヘッダ等がありますが、4 段以上の多段打ちヘッダの中には、ボルト、またはその
類似品を成形する機械という意味でボルトホーマー(フォーマー)、いろいろな部品を
成形できる機械という意味でパーツホーマーと呼ばれるものもあります。
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ダブ ルヘッ ダの成 形 工 程
① 線送りローラで素材を送り込む
② ストッパーにあたった素材をナイ
フ機構で所定寸法に切断する
③ 素材をダイス側に運ぶ
④ 呼び据え込みパンチ(第一パン
チ)で成形する
⑤ 仕上げ据え込みパンチ(第二パ
ンチ)で成形する
⑥ ノックアウトピンが製品を押し出す
2 ダイス 3 ブローヘッダの成 形 工 程
① 線送りローラで素材を送り込む
② ストッパーにあたった素材をナイ
フ機構で所定寸法に切断する
③ 素材をダイス側に運ぶ
④ 第一ダイスと第一パンチにより、
素材を第一ダイス内で前方に押
し出し成形する
⑤ 第二ダイスと第二・第三パンチに
より、ダブルヘッダと同様に成形
する
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冷間鍛造(ホーマー)加工油について
冷間鍛造加工における問題点は、加工に要するエネルギーのほとんどが熱として消費され、「加工
部分に高熱が発生する」「局部的に高圧力が発生する」、「材料の新生面と工具との金属接触があ
る」などで、潤滑が必要とされる部分の油膜は、他のプレス加工などと比べて形成されにくく、工具の
熱脆化・摩耗・焼付きなどが生じやすい。
したがって、冷間鍛造の場合は、潤滑の効果は極めて大きく、正しく潤滑することが特に必要となる。
この潤滑には、素材表面下地処理や固体潤滑剤などが多用されている。
液体潤滑剤は、素材に与えるのが容易で、型を冷却できかつ摩擦係数を低く保つことができるが、
素材と型の界面に十分な厚さの膜を維持することが困難であることから、あまり利用されていない。
しかしながら、自動多段プレスでの加工の場合、素材がせん断され直ちに次のステーションに送ら
れるため、切断面の潤滑には液体状の潤滑剤を用いざるを得ない。
現在、冷間鍛造油(液状)は、主として自動多段プレス用として使用されています。
冷間鍛造(ホーマー)加工油に求められる性能
①
②
③
④
⑤
工 具 磨 耗 が少 な いこと 。
摩 擦 係 数 が低 く、耐 焼 き 付 け性 に優 れ る こと 。
加 工 後 の寸 法 精 度 のバ ラツキ が少 な く 、表 面 仕 上 げ が良 いこと 。
防 錆 性 に優 れ る こと 。
油 焼 け等 ス テ イ ンの発 生 がな いこと 。
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冷間鍛造関連用語集
鍛 造
定 義 では、 工 具 、 金 型 など を用 いて、 固 体 材 料 の一 部 または全 体 を
圧 縮 又 は打 撃 する ことによ っ て成 形 およ び鍛 錬 を行 うこと。
パンチ
内 径 を成 形 またはダイ穴 にはまる もの。
ダイ
金 型 のうち 、 素 材 の外 形 を成 形 する も の。
コンテナ
成 形 中 の材 料 を取 り囲 んで、 最 初 の形 を保 持 する ための、 主 として
中 空 円 筒 状 の金 型 部 品 。
マンドレル(芯金)
中 空 状 のビ レット から、リン グまたは中 空 軸 を鍛 造 成 形 する 際 、
穴 の中 に挿 入 されて内 面 を加 工 する 棒 状 の工 具 。
ニアネットシェイプ
ネットシェイプ
鍛 造 品 の付 加 価 値 増 大 の重 要 な鍵 は鍛 造 後 の仕 上 げ切 削 がわず
かですむか、 せいぜい研 削 仕 上 げですむよ うな鍛 造 品 を作 る こと
で、 これら をそれぞれニア ネ ッ ト シ ェイ プ (準 仕 上 がり形 状 )およ び
ネ ッ ト シ ェイ プ (仕 上 がり形 状 )鍛 造 加 工 とよ ばれる 。
ビレット
スラグ
材 料 メ ーカ ーによ っ て作 ら れた棒 、 管 、 形 材 を切 断 して、 成 形 、 前 工
程 、 前 処 理 を施 したも の。 そのうち 短 いも のはスラ グと呼 ばれる 。
据え込み
材 料 を軸 方 向 の全 体 又 はある 長 さにつ いて軸 方 向 に圧 縮 し、 その
断 面 積 を増 す成 形 方 法 。
ヘッダー
自 動 多 段 プ レスのうち 比 較 的 長 いビ レッ ト の端 部 を加 圧 する も の。
せん断 、 据 え込 み成 形 によ っ て比 較 的 長 い軸 状 鍛 造 品 を作 る 、
横 型 自 動 鍛 造 プ レス。
ホーマー
(フォーマー)
フォーマー(ホーマー)とは、横型の多段式鍛造機械。
供 給 された素 材 を一 定 寸 法 に切 断 して、 複 数 の対 向 する 「型 」の
間 に運 び、 型 と型 で圧 力 を加 えて、 素 材 を形 作 る 横 型 プ レス機 械 。
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