( 五 ) 山 か ら の 贈 り 物

平成16年8月
シ リ ー ズ ﹁山随想﹂
高木
(五)山からの贈り物
正史
今年の春はタケノコ採りを充分堪能した。南会津の小野岳と二岐山に登った
が、この2つの山塊は「
ネマガリタケ」
の群生地で、マイペースの平日登山で、ゆっ
たり山頂で眺望を楽しんでから、下山時はタケノコ採りに早変わりだ。東北地方
では「
山菜の王者」
と言われ、その呼び名も東北六県でもさまざまで、ジダケ、タ
ケノコダケ、ヤマダケ、タゲノコ、ササダケ、チョウカイダケ、ガッサンダケ、そして
ネマガリダケと地方色がうかがえる。
茂った親ダケが一面に広がっている斜面をじっと見つめると親指大のタケノコが
見つかる。それを採りにネマガリダケの林にもぐり込む。もちろん長袖長ズボン
で防禦はしっかり固める。タケがはじいたり、周辺の茨から身を守らないと満身
創痍になること請け合いだ。ひとつ見つかると、あっちにも、こっちにもと採りな
がら目は違う処に向けている。
時間の経つのも忘れている。いくつものビニール袋は一杯になり、竹のトガリで
破れてくる場合もある。大収穫である。その日泊まった民宿のオバサンにオスソ
ワケしたら、大変に喜ばれ、温泉宿で格別のサービスを受けたことはいうまでも
ない。食べ方はタケノコを生のまま煮て皮をむく。
みそ汁、天ぷら、まぜご飯、油炒めで食す。美味しく食べるには、早めの調理、
カタイ根の部分は切り捨てる事であろうか。タケノコは保存も利くので、煮ても、
焼いても、揚げてもの、癖のない万能の万人向きの山菜なのである。
広義の山からの贈り物は森林資源、鉱物資源をはじめ、山や空気、動植物や昆
虫等、人間生活全般に関わってくるが、すぐ浮かぶのは「
山菜ときのこ」
であろ
う。ちなみに今回筆者が受けた山からの贈り物を列挙してみる。
ツクシ。ニワトコ。ノカンゾウ。フキ。ヨメナ。シュンラン。
ウド。クサソテツ(
コゴミ)
。トリアシショウマ。タラノメ。コシ
アブラ。アケビノメ。サンショウノメ。ギボウシ。ギョウジャニンニク。モミジガサ。ハ
ンゴンソウ。ゼンマイ。ワラビ。ウワバミソウ。ノビル。ミツバ。~~~
ああ、なんと多くのものを山から戴いたことか。
さて、そこでFG21の諸兄姉は
「
森」
からどんなものを受け取っているのだろう
-1-
発行責任者:〒 379-2154
前橋市天川大島町1-36-15
(理事長)菊川 照英
(編集部)馬渕 征雄
NPO(特定非営利活動)法人
第8号
フォレストぐんま21
★「学習体験の森」からの報告(株式会社ローソン協賛による植樹地の手入れ) ★
7月 11 日、株式会社ローソンの協賛を受けて実施された「学習体験の森づくり」植樹地の手入れ(下刈)を実施し
ました。この「森」は、株式会社ローソン関係者とその家族、及び前橋工科大学教授・学生等30余名が植樹したも
のです。苗木は苗木に覆い被さるまでに伸びた雑草のため被圧(被覆され生育の支障になっている)状態になって
おり、正に今が下刈の必要な時期でした。FG21の仲間は、ローソン職員とその家族等の“大きく育てよ我が苗
木”との願いの込められた苗木です。雑草と一緒に刈り取ってしまうことの無いよう、苗木の周囲は手ガマで刈り
取る方法で慎重に雑草を刈り取っていきました。
ローソン職員の願いが通じて、植樹した苗木のすべてが活着(根付く)し、元気に成長していました。
* 「学習体験の森づくり」とは:株式会社ローソンが全国 47 都道府県で推進し
ています「緑の募金」活動によるお客さんの寄付金の一部を活用し、ローソン株式
会社地域運営マネージャー、ローソン渋川明
保野店の店長他従業員・家族の皆さん、
及び前橋工科大学の建築工学科、建築学科の
教授・学生ら 37 名の参加を得て面積 0.2ha
ほどの区域に、ブナ・ミズナラ・マンサク・
カマズミ等約 150 本を植樹したものです。
今後も必要となる下刈り・ツル切り等の作業
を含め FG21 が管理していくこととしていま
す。
〔投稿〕
永町武次(前橋市)
地域リーダー養成研修会に参加して
過日、関東1都5県のボランティア団体から18名が集まり、栃木県緑化推進委員
会の主催による「地域リーダー養成研修」が日光市で開催された。
救急救命活動の研修行われる
7月25日、憩の森「学習館」において、日本赤十字社氏を講師に招き、昨年に
引き続き救急救命活動の研修会を行いました。FG21の活動に参加する会員は
うにとの思いで昨年に引き続き実施したものです。今回は、FG21の会員とそ
“軟な体はしていないよ!”と粋がるものの、平均年齢65才(位)。そして山
研修では、県緑化推進委員会の理事長である宇賀神氏のほか宇都宮大学の谷本教授 、
塩原野生動物研究会の君島氏らが講師となって、二泊三日の日程で行われた。この研 奥での作業の多いFG21の活動です。各人日頃の健康維持に十分気をつけると
修会に私も参加したのでその様子を報告します。
ともに、イザという場合、救急車が到着する迄の間仲間を支えることのできるよ
1
の家族の参加もあり総勢12名が参加した講習会となりました。日赤職員から派
遣された羽鳥インストラクターの講義は、参加者が素直に理解できるようまとめ
られた内容と時折まじえるジョークと実感のこもった実技指導に6時間の講義は
短く感じられました。
昨年も学んだことながら忘れた部分が相当有り、改めて思い出しながら講義を受
!
け、実習に励みました。“決して仲間を失うような事はしないぞ ”との決意を胸
-2-
日目、開校式に続き宇賀神氏による「栃木県の森林・林業について」と題し、
栃木県の森林の現状、自然公園等の概要の説明に続き、県下における林業の
現状と全国と比較しての位置、林業政策の方向・将来構想などの講義があった。
続き、宇都宮大学の谷本教授による「森林づくり活動の役割について」と題し、
開かれた国有林の目指すものは、国民参加の森林づくりであり、環境教育の舞台 と
して、山村体験学習の場として森林を利用するという内容の講義があった。また 、
ボランティア活動が勤労奉仕に終わらせないためには森林林業活動の目標・目的 を
明確に持つことが重要という話もされた。
2
に。
(
)
(
)
三角巾の使い方
日目、「森林の生態について」と題する谷本教授の講義に続き「青少年の環境
教育について」と題し、塩原野生動物研究会の君島氏による講義があった。
クワガタムシを飼育して山へ還す運動を通じて〔小さな自然(クワガタムシ)から
大きな自然(自然環境全体)へ発展させるためのアプローチ〕の第一歩として、林
内の広葉樹の枯木も大切。とする内容であった。
止血点の
確認
3
日目は、グリーンスタッフの佐々木氏により、景観施業に関する取組みの一例
として、奥塩原から日塩モミジラインを鬼怒川方面に向かう沿線における
景観施業の取組みの事例紹介があった。雑木が生い茂り周囲の景観が楽しめない個
所では若干の伐採を行い、視点 眺める位置 と視対象 眺める対象 との相関性を重
視する施業の実践を示したものであった。
二泊三日の研修期間中、各地域のボランティアとの交流もあり、他都県では公園、緑
つくり、里山、森林と多様な形でのボランティア活動に取り組んでいる話も聞くこと
ができ、今後のFG21の活動に取り組んでいく上で大変参考になった研修
講 義 し て い た だい た
羽鳥インストラクター
チェンソーの目立て
刃を手入れするにあたっての重要なポイント
削り幅B
削り幅A
1.この矢印の部分の突きだし量(刃の長さ)
が、一個一個異なると、同時に食い込むこ
とができず、振動の発生源となります。
その理由は、カッター刃には、縦・横刃共
に斜め後方になっているために、突き出
し量が異なると図のように、木に接触す
る位置が異なってきます(A>B)。この
ため、刃それぞれが別々に木に引っかか
ることとなり振動を発生させることとな
るのです。*図は理解していただくため
角度を誇張しています。
突き出し量が異なることは、
削り幅も異なる
2.縦の刃、横の刃の斜め後方になっている角度が異なると、図のように
木を切削する角度が異なる(刃先の鋭い刃と鈍い刃)こととなり、
切れ味に差がでることとなり刃の振れる(踊る)原因となります。
*図は理解していただくため角度を誇張しています。
高崎市・県高崎行政事務所・群馬森林管理署の共催による
高崎観音山の森林整備作業に参加
7月17日、高崎観音山の麓の森林で、県・群馬森林管理署の職員・高崎里山の会・高崎会、FG21からは理事
長他10名の参加をえて総勢34名で約1haの下刈りと雑木の除伐作業を行いました。過去2年間作業が行われてい
なかった現場のため、雑木が伸び盛り、クズのツルが蔓延りどこに植栽木があるのかも見分けられません。
どこから、どのように手をつけるべきか躊躇するありさまでした。県高崎行政事務所長、群馬森林管理署長の挨
拶の後、それぞれ機材を肩に、林内に入っていきました。
この現場は、過去違法伐採があって裸地(ラチ)となっていたところを、片岡小学校の児童の力を借りてヤマザク
ラなどを植林したものです。子供たちの植えた木を健全に育てるためにも雑草・クズのツル等は取りのぞいてや
らなければなりません。全国的に“熱中症”患者の発生しているここ数日続く猛暑の中、当日も酷暑での作業と
なりました。参加者は汗だくになりながらも“熱中症”を防ぐために、休憩も多めに、また水分も補給しながら
約4時間かけての作業となりました。作業を終えた時には植栽木ははっきりと姿を見せ、絡まっていたツルも外さ
れ陽光を一杯に浴びていました。
作業前、県高崎行政事務所長の挨拶
作業に参加したFG21の仲間
-3-
うっそうと雑草の茂った作業地
安全な作業を目指して
(チョッと長文ですが我慢してください。I.M)
掛り木処理の危険(内角作業の排除)
写真はある現場での作業記録です。傾斜地においてチルホールをセットし、作業者はチルホールとワイヤーの
下側に位置して掛り木を引き出そうとしています。
チョットマッタ!この作業には大きな危険が潜んでいます。
大型の集材機を使用する現場で従事する者のすべてが承知している(いなければならない)ことの一つに“内角作業の危
険性”があります。この写真に見られる小径木の間伐作業にあっては、この“内角作業の危険性”往々にして念頭から失
せている事が多いようです。
“内角作業の危険性”とは図-1 に示されたように力(張力)のかかったワイヤーと立木の内側に位置することです。最
大の力(張力)がはたらいている状態で、ワイヤーが切断したら、滑車が外れたら、ワイヤーは、滑車は勢い良く力のかか
っている内側へ向かって飛び込んできます。もしも、そこに作業をする者が立っていたら間違いなくはじき飛ばされてし
まいます。これが“内角作業の危険性”なのです。そこで写真にある作業を見ると、最大の力で引っ張られている掛り木
は根元を離れるや否や傾斜を転げながら作業者の方へ向かって転げ落ちます。!シマッタ!では遅いのです。
では、この“内角の危険性”を避けた掛り木の処理はどうすれば良いのだろうか。
チルホールを直接掛り木につながず、図-2のように“滑車”を使い、作業者の位置を“内角”から遠ざけることです。
図-2
図-1 内角作業の危険性
✒ ✒
編集後記✒ ✒
梅雨に時期でありながら暑いのなんの! 冷暖房完備・季節感をたっぷり味わえる我が家での会員からいただいた原稿
整理には力の入らないこと。会員各位無事にこの梅雨時の暑さを乗り切っていますか。これから本格的な暑さの季節、健
康管理に努めてください。救急救命法の研修で、一日2リットルの水分を必要としていること、汗で失う前に補水するこ
とが大切!とのお話、何事も早めの対応が大切ということでした。機関紙の編集もその通り、と反省しきり。がんばりま
す。(I・M)
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