鶏糞の低温炭化・灰化処理技術

Gunma Prefecture
CREATE
群馬県
鶏糞の低温炭化・灰化処理技術
群馬大学大学院工学研究科
環境プロセス工学専攻
佐藤 和好、宝田 恭之
群馬県地域結集型研究開発プログラム
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畜産産出額は920億円(群馬県農業の1/3) 家畜排せつ物(320万トン/年)
家畜排せつ物の課題を解決する
観光振興
畜産振興
環境負荷低減
臭気(畜産)対策
畜産現場と住居
首都圏の水瓶
赤城山・榛名山
余剰たい肥
チッ素やリン
ニオイ、糞、尿汚水
清浄な水を供給
大学等のシーズ、優れた技術・企業
①低温ガス化技術 ②環境改善技術
環境に調和した畜産業・観光
群馬県
群馬県内における家畜飼養数と
発生する鶏糞の処理
- 群馬県内の家畜飼養数 鶏 1,000万羽
豚
62万頭
牛
11万頭
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-鶏糞処理の現状排出量:1,000 t/日
たい肥化
農地へ
鶏糞たい肥化の課題とその解決策
堆肥化の現状
・長期間の臭気発生
・農地に対して余剰
・温室効果ガス(N2O)の発生
解決策:炭化・灰化
期待される効果
・臭気成分の分解
・減容化
・肥料成分の濃縮
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鶏糞の特徴
・高リン(P)含有率
・輸入リン鉱石の約8割
が化学肥料に利用
・資源の枯渇が懸念
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Source:環境バイオテクノロジー学会誌,4, 87-94 (2005)
・高炭酸カルシウム含有率
・炭酸カルシウム:土壌改良剤として有効
鶏糞:貴重なリン含有資源であり、肥料や
土壌改良に有効
従来の炭化炉・灰化炉
◎処理温度:800~1000 ºC
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CaO
Intensity / a. u.
・エネルギー消費:大
・炉材が高価
・酸化カルシウムの生成
→土壌を強アルカリ化
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20
800 ℃
CaCO3
600 ℃
30
40
処理の低温化:様々な点で有利 !!
50
60
低温炭化のエネルギーメリット
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冷ガス効率 / -
1.0
0.8
0.6
含水率
0.4
10%
0.2
30%
20%
50%
0
500
40%
700 900 1100 1300
ガス化温度/ ºC
エネルギー利得
灰化・炭化プロセス
が得られる
の熱源に利用可能
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低温灰化・炭化プロセスの現状
タールの生成
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運転の障害
鶏糞灰化・炭化処理プロセスの目標
・600℃の低温処理でタールの発生無し
・タール分解生成ガスを熱源に利用
(熱自立プロセス)
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鶏糞低温炭化プロセスの概念
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触媒層
ロータリーキルン
可燃性
ガス
タール+ガス
鶏糞
燃焼熱
燃焼装置
灰・炭化物
1. ロータリーキルンで600℃低温熱分解
2. タールを触媒層で改質
3. 生成ガスを燃焼室で燃焼
4. 燃焼熱をロータリーキルンおよび触媒層に供給
Ni担持褐炭触媒のタール改質効果
Ni(220)
Ni(200)
Ni(111)
Intensity / a. u.
タール
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Ni担持褐炭触媒
触媒なし
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20 30 40 50 60 70 80
2θ
/degree
Ni系触媒による有害窒素化合物の分解
120
触媒層温度:650℃
窒素転換率 / %
100
80
60
炭化物
中-N
炭化物
中-N
タール
中-N
タール
中-N
N2
40
N2
20
川砂
N2
HCN
NH3
NH3
0
炭化物
中-N
Ni-褐炭
触媒
Ni-Al2O3
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鶏糞低温熱処理実証炉
(株式会社キンセイ産業)
畜産現場で日量1トン処理を実施
装置重量:3 t
設置面積:32m2(10坪)
自動運転
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・600℃での運転で
タールトラブル無し
・臭気の発生無し
・18~29%減容化
・消費エネルギーを
40%削減
・共同特許出願
(群馬大学-株式会社
キンセイ産業)
鶏糞灰および炭化物の肥効
コマツナで化成肥料と比較
化成肥料
実験1
実験2
化成肥料の原料として利用可能
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鶏糞灰・炭化物ならびに開発炉
の環境適応性
関連法規
鶏糞灰・炭
土壌汚染対策法
◎
肥料取締法
◎
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開発炉
◎
大気汚染防止法
ダイオキシン類対策特別措置法
◎
◎
廃棄物の処理及び清掃に関する法律
◎
◎
すべてクリア
鶏糞灰・炭化物からの活性炭製造
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鶏糞
黒鉛
CaCO3
灰・炭化物
塩酸洗浄
水洗浄
Intensity / a.u.
熱分解
鶏糞灰・炭化物
塩酸処理後
鶏糞灰・炭化物
@700℃
乾燥
活性炭
20 30
40 50 60 70 80
2θ / degree
鶏糞由来活性炭の特性
比表面積 / m2g-1
2000
1500
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比表面積 平均細孔径
ヨウ素吸着能
[m2/g]
[nm]
[mg-I2/g-samp.]
鶏糞活性炭
1075
4.5
809
市販活性炭
1351
1.9
978
1000
500
0
600
700
800
炭化温度 / ℃
900
1000
特別な賦活操作無しに活性炭が作製可能
活性炭生成のメカニズム
重量減少率 / %
10
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20
CaCO3 → CaO + CO2 ↑ ・・・ (1)
C(sample) + CO2 → 2CO ↑ ・・・ (2)
16
20
30
CO
40
12
8
50
4
60
70
100
CO2
H2
300
500
温度 / ℃
700
0
900
生成ガス量/ mmol/g-sample daf
0
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鶏糞灰・炭化物と活性炭の透
過電子顕微鏡像
鶏糞灰・
炭化物
10 nm
活性炭
10 nm
まとめ
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・独自の低コスト触媒(Ni担持褐炭)を用いて、
鶏糞の低温灰化・炭化に成功した。
・3t/日の処理能力を有する灰化・炭化処理装置を
試作し、実証を行った。
・鶏糞灰・炭化物は肥料として利用可能であり、法
的な安全性が確認された。
・鶏糞灰・炭化物から灰分を除去することにより、
容易に活性炭が作製できた。
今後取り組むべき課題
・灰化・炭化炉の大型化ならびに処理プロセ
スのさらなる低温化による低コスト化とエ
ネルギー消費量の低減
・鶏糞灰・炭化物の新規用途開拓
企業への期待
・バイオマスの有効利用を考えている企
業には、本技術の導入が有効と考えら
れる。
・鶏糞由来の灰・炭化物の用途開拓を進
めるため、連携可能な企業を募集中。
・使用済み触媒から得られるNi微粒子の
用途開拓を進めるため、連携可能な企
業を募集中。
本技術に関連する知的財産権
・発明の名称:鶏糞処理装置
・出願番号:特願2010-242587
・出願人:株式会社キンセイ産業
国立大学法人群馬大学
・発明の名称:鶏糞を原料とした活性炭の
製造方法
・出願番号:特許公開2010-116278
・出願人:国立大学法人群馬大学
お問合わせ先
■ 群馬大学TLO
e-mail: [email protected]
TEL 0277-30-1171~1175