柔整リハビリテーション 柔整リハビリテーション研究事業 リハビリテーション研究事業実施要綱 研究事業実施要綱 医療機関から福祉施設、医療機関から在宅生活へと、疾病の回復状態等により、リハビリ テーションの目的が急性期・回復期・維持期と移り変わって行きます。急性期及び回復期に おいては医学的管理下のリハビリテーションが中心に行われますが、維持期(慢性期)にな りますと社会生活の適応を求めるリハビリテーションへとなり、更には加齢による身体機能 の低下に伴う障害状態等の重度化を防ぐ介護予防の視点も必要になってきます。 私たち柔道整復師は、整骨院・接骨院を通して、古くから骨折や脱臼・捻挫・打撲・挫傷 などを扱う医療の専門職として地域の住民より支持されております。 長高齢社会やリハビリテーション難民問題が囁かれる現在において、私たちが担うべき役 割があるものと考えます。 1.【要旨】 要旨】 平成18年度の介護保険法改正により、新設された地域支援事業が全国的に低迷していま す。 (公社)日本柔道整復師会は、地域で暮らす高齢者らを取り巻く福祉環境の整備に一役立 ちたいとの理念で、介護予防・機能訓練指導員認定柔道整復師(以下、認定柔整師という。 ) を養成し、介護予防活動を展開しており、全国各地で好評を得ているのは、周知のことと存 じます。しかし、一方では、日整において平成 15 年度より行っております、厚生労働省老人 保健健康増進等研究事業費補助事業「機能訓練指導員による個別機能訓練研究事業」の報告 書にて介護予防に対する有効性を明らかに示しているにも拘らず、行政の中には、 「私共に何 ができるのか」、「介護予防や機能訓練に対する実績がないのでは」などと、率直に理解を示 そうとしてくれない現実があることも見受けられます。 平成24年度に予定されております医療・介護の同時改定では、地域包括ケアシステムの 充実やこれからのリハビリテーションについての重要性が示されるようでもあります。 このような背景のなか、 (社)北海道柔道整復師会は、整骨院・接骨院等の施術所が地域の 人口数や地理的条件を基に立地を選択し開設されている実情を、地域包括ケアシステムが定 めている日常生活圏域相当と鑑み、当該地域に開設している認定柔整師の施術所において行 うことができる高齢者等の介護予防及び医療機関退院後等の維持期(慢性期)のリハビリテ ーションが、その圏域で社会資源として有効に機能することを検証するため、柔整リハビリ テーションとして研究事業を行うこととします。 本研究によって、柔道整復師の新たな可能性と行政の理解が深まることを祈念いたします。 2.【目的】 目的】 1.認定柔整師が開設する施術所でその者が行う機能訓練(柔整リハビリテーション)が 介護予防・維持期(慢性期)のリハビリテーションに対し有効であることを証明する。 2.介護予防・リハビリテーションに有効に機能する社会資源が、日常生活圏域において の地域住民へ与える好影響を証明する。 社団法人 北海道柔道整復師会 3.【対象】 対象】 認定柔整師の施術所に通院されている患者等の介護保険第 1 号被保険者(65歳以上のす べて)及び、第2号被保険者(40歳以上で特定疾患のある者)を被験者とする。 その他、評価者の判断で、被験者とするのが相当だと思われる者。 4.【実施場所】 実施場所】 認定柔整師の開設する施術所 5.【方法】 方法】 認定柔整師が介護予防及びリハビリテーション並びに運動器の専門職としての視点で身体 機能等を評価、指導等することにより、実績を表出する。 6.【調査期間】 調査期間】 1. 1月23日~3月19日までの8週間を調査期間とする。 2. 基本単位として開始時評価から終了時評価までの連続した4週間とする。 3. 調査期間中に任意の基本単位を設定する。 ※4週間を基本単位とするが、期間の増減は、理由を問わず評価者の判断で行うことを妨 げない。 (参考例) 1 月 23 日 2月6日 ~ 3月5日 3 月 19 日 4週間 7.【標本数】 標本数】 認定柔整師が開設している施術所にて、10 件を目途としてデータの収集を行う。 ※なお、調査数の上限は設定いたしません。統計上はより多くのデータが示す結果が重要 視されますので、1件でも多くのデータ収集にご協力ください。 8.【評価】 評価】 評価は次の2分類5種とする。 1.主観的評価(被験者に自ら以下の質問票に記入していただく。 ) ① JKOM(膝の状態についての質問票) ② JLEQ(腰の状態についての質問票) ③ 転倒不安感尺度 2.日常生活自立度(評価者の判断にて判定する。) ① 障害高齢者の日常生活自立度 ② 認知症高齢者の日常生活自立度 社団法人 北海道柔道整復師会 9.【評価表記入方法】 評価表記入方法】 評価表に沿って該当事項を記載する。 ※評価表記入例を参照してください。 1.開始時評価 ① ID及び患者さんの場合は、カルテ No を記入する。 ② 出生年を記入する。(月及び日は不要) ③ 性別に○を記入する。 ④ 実施日(西暦)を記入。 ⑤ 主観的評価を資料 8:膝の状態についての質問票.資料 9:腰の状態についての質問 票.資料 10:転倒不安感尺度を用いて得た結果を記入する。 ⑥ 日常生活自立度を障害高齢者の日常生活自立度及び認知症高齢者の日常生活自立度 を用いて得た結果を記入する。 ⑦ 被験者の要介護度を記入する。 2.終了時評価 ① ①実施日(西暦)を記入する。 ② 主観的評価を資料 8:膝の状態についての質問票.資料 9:腰の状態についての質問 票.資料 10:転倒不安感尺度を用いて得た結果を記入する。 ③ 日常生活自立度を障害高齢者の日常生活自立度及び認知症高齢者の日常生活自立度 を用いて得た結果を記入する。 10. 10.【運動器の 運動器の機能訓練・ 機能訓練・柔整リハビリテーション 柔整リハビリテーションの リハビリテーションの実施】 実施】 1.基本的訓練を行う。 ① 1セット10回を目安に、徐々に増やし最高3セットまで。 ② 訓練中の故障予防や安全確保の観点を考慮し、尚且つ効果的な訓練も見込めるスロ ートレーニングを実施する。具体的な速さは、起立まで10秒、座位まで10秒の1 行程20秒を目安に、ゆっくりと行う。 ③ 椅子に深く座り、立ち上がるまでの反復訓練。 ⇒ ⇒ 繰返す 写真:日本健康運動研究所 HP より引用 社団法人 北海道柔道整復師会 (ア) 体幹を前傾させ重心を移動させる。 (イ) 両下肢に体重をかける。 (ウ) 両下肢と腹部に意識を集中し徐々に荷重をかけ、下肢に力が入るのを感じてもらう。 (エ) 床を蹴りこむように、立ち上がる。 (オ) 臀部に意識を集中し背筋を伸ばし、姿勢を整える。 (カ) 大腿部と足部に意識を集中し、座り込む。 ※評価者の判断により必要に応じて「CS-30」を用いの評価を行う。 ① 少し前屈み(体幹が10度くらい前屈)で、椅子の中央部より少し前に座る ② 両膝は握りこぶしひとつ分くらい開く(X 脚や O 脚にならないように注意する) ③ 足裏を床につけ,踵を少し引く(踵を引かないと立ち上がれない) ④ 両手は胸の前で腕組みして胸に付ける(腕の反動を利用しない) ⑤ 用意,[始め]の合図で両膝が完全に伸展(対象者の状態を勘案)するまで立ち上 がり,すばやく,座位姿勢にもどる ⑥ 測定中の座位姿勢では,背もたれは使用しない。立位姿勢では背中をまっすぐ伸 ばす。 ⑦ 数回姿勢などを確認してから行う。 ⑧ 測定は1回とし、30 秒間測定する。 ⑨ 立ち上がった際に膝や腰、背中が伸びていない場合は口頭で注意し、膝関節や腰 背部に違和感を訴えたら中止させる ⑩ 測定中はバランスを崩すことがあるので,測定者は注意する。 ※完全な着座位にて1回とし、両膝の完全伸展位で 1/2 回とカウントする。 ※30 秒間において、測定不可能な場合は、1回に要した時間を記入する。 2.身体機能の維持向上に必要があると思われる場合は、専門性を発揮し適時対応する ① 柔軟性向上プログラムの実施及び指導 ② 筋力向上プログラムの実施及び指導 ③ 関節などの運動機能の向上プログラムの実施及び指導 ④ 骨、筋、関節などの疾患の相談及び指導など ⑤ 柔道整復師療養費支給基準に該当する場合の施術 (ア) 一連の動作は、できるだけ、ゆっくりと行う。 (イ) 訓練頻度は、1週間に2~3回程度とし、効果的な訓練を心がける。 (ウ) 1回の訓練時間は、下記参照。 (エ) 訓練後の疲労や筋肉痛等について、事前に説明しておく。 (オ) 事後のフォローも忘れずに行う。 (カ) ドロップアウト(途中棄権)しないように対象者の様子に注視して、継続すること を重要とする。 社団法人 北海道柔道整復師会 11. 11.【報告方法】 報告方法】 以下のどちらかの方法による 1.評価表に記入後 FAX もしくは PDF 化してメール 2.評価表に記入後郵送 12. 12.【提出】 提出】 FAX:011-501-8822 Mail:[email protected] 郵送:〒067-0014 江別市4条7丁目5番地の1 大森宛 提出期限:3月26日厳守(必着) 13. 13.【検証】 検証】 対象事項 1.認定柔整師が行う運動器の機能向上訓練(柔整リハビリテーション)の有効性。 2.上記1.が及ぼす維持期(慢性期)のリハビリテーションや介護予防に対する有効性。 3.認定柔整師の施術所が、引きこもり予防や社会交流の向上に対する有効性。 4.QOL 向上に対する有効性。 14. 14.【結果】 結果】 集計後結果を論文にまとめて平成 24 年 5 月 10~13 日に札幌市かでる2.7で開催されま す第 61 回日本理学療法学会にて発表する。 15. 15.【後記】 後記】 本調査は、研究事業と位置付け、新聞等の媒体により告示して行う。また、地域住民の福 祉に貢献するとの趣旨より、行政へ通知すると共に、各地の地域包括支援センターへも協力 の依頼を実施する。 16. 16.【参考】 参考】 最大下肢伸展筋力および生活機能と 30 秒間椅子立ち上がりテストの関連性 中原和美:理学療法科学 22(2);225-228,2007 脳卒中片麻痺者における 30 秒間椅子立ち上がりテストと歩行能力の関係 増田幸泰ら:理学療法科学 19(2);69-73,2004 社団法人 北海道柔道整復師会
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