光顕・電顕試料作製マニュアル

光顕・電顕試料作製マニュアル
by O,Katsumata 0505
1) 浸漬固定の準備と臓器切り出し操作
(各自準備)
1. 備品
外科剪刀(大・小)、かみそり(フェザーS両刃を半分にしたもの)、切り出し台
ピンセット(大・小)、トレー、試料瓶、麻酔用デシケータ、氷
2. 試薬
固定液、氷、麻酔用エーテル、PBS、70%エタノールスプレー等
3. 手順
上記備品用意。固定液を試料瓶(試料名をあらかじめ記入しておく事)に入れ氷冷しておく。
↓
動物用意(実験動物センター)、トレーに剪刀、ピンセット等用意
↓
トレーにエタノールを噴霧、動物をエーテルで麻酔して棘突起部分から切開し、横隔膜に添って腹部動脈を切開し
て出血させる。
↓
目的の臓器を切り出し、固定液をのせたまな板で細切。必要なら PBS で洗ってから細切する
↓
光顕では厚さ5mm、電顕1mm以内に切り出す。臓器の方向性に注意。臓器の乾燥にも十分注意する。ピンセットで
摘んだところは使わない
★ここまで手早く。
↓
氷冷してある固定液の入った瓶に入れ固定する。必要なら MW 処理。固定時間は、
光顕・電顕とも:1時間から一晩以上
↓
固定液と同じ濃度の緩衝液で洗浄後、パラフィン包埋あるいは、シュークロースで洗浄して凍結切片を作製する。
固定液:光顕は4%パラフォルム、ザンボーニ固定液(4%パラフォル 0.2%ピクリン
酸)電顕は 2.5%グルタール1時間、1%オスミウム酸1時間が基本
いずれも 0.1Mphosphate buffer pH7.2 を使用。
カルノア液固定は4時間後、100%エタノールで洗浄する。
MEMO
1
ラット灌流固定手順 (光顕・電顕共通)
ラットをネンブタール 0.2ml/100gBW IP またはエーテルで麻酔
↓
開胸時の注意
① 胸骨脇の血管に注意して開胸する。
② 左心室を大きく切開し大動脈へ向けてカニューレを入れ強く縛る。
↓
生理的食塩水を 20∼20ml ぐらい先行させて固定液を注入
①2.5%Glutaraldehyde/0.1MPBpH7.2
②ザンボーニ固定液 (4%Paraformaldehyde/0.2%ピクリン酸/0.1MPBpH7.2)
↓
目的の臓器が固定され硬化したら乾燥に注意して、20∼30 分放置して固定。目的臓器を確認。
↓
電顕用 1mm 位、光顕用厚さ 3mm 位に切り出す。固定された組織は傷つきやすいので注意する
切り出し後さらに同じ固定液で 4℃、1 時間∼一晩固定保存する。
↓
0.1M リン酸緩衝液で洗浄し包埋する。ザンボーニの場合ピクリン酸の色がなくなるまで洗浄。
↓
凍結切片には Holts のガムシュークロースに浸漬保存(数ヶ月保存可)
浸漬固定
目的の臓器を光顕用には厚さ 5mm まで、電顕用は 2mm 角以内に切り出す。
各種固定液で 4℃、1 時間∼一晩固定
①ザンボーニ変法固定液(4%Paraformaldehyde/0.2%ピクリン酸)
②4%Paraformaldehyde あるいはPLP固定液
PLP 固定液
Asol:リジン HCL 1.83g 0.1M リン酸 Na でpH7.4 にして DW で final100ml
Bsol:8%パラホルムアルデヒド/DW
Asol 3 : Bsol 1 + メタ過ヨウ素酸ナトリウム 21.4mg/10ml 加える 使用直前調整。
混合液は保存不可。
電顕用
2.5%Glutaraldehyde 又は
4%Paraformaldehyde2.5%Glutaraldehyde 混合液(1/2Karnovsky 液)
いずれも 0.1M リン酸緩衝液 pH7.2 または 0.1M カコジル酸緩衝液 pH7.2 を用いる。
(以上の液に 0.1%タンニン酸添加する場合あり)
↓
固定液と同じ緩衝液で洗浄(ザンボーニの場合ピクリン酸の色がなくなるまで洗浄する)
パラホルムアルデヒド(ザンボーニ液)固定液作製手順
4%パラホルム/0.1MPB pH7.2 を 100ml作る。
1. 200ml の三角フラスコに約 70mlDWを入れて、パラホルムを 4gr いれる。
2. 電熱器で約 60∼70℃(沸騰直前)まで加温して 1NNaOH を2∼3滴入れ、振り混ぜて溶かす。
3. 溶解後、直ぐに水道水で冷却し 0.5MPBpH7.2 を 20ml 加えDWで全量を 100ml とする。
冷蔵で約数ヶ月保存可。
(注意)
★ 固定液は沸騰させてはならない。溶解後すぐに冷却する。
★ NaOH を入れすぎないように pH は必ずチェックする。
☆ ザンボ−ニ液は、この溶液に 0.2%ピクリン酸を溶解させて使用する。
2
2) パラフィン包埋法(試料数が多い場合はできるだけ自動包埋装置を利用してください)
固定液を洗浄後下記手順で包埋する(全行程7∼21時間大きさにより加減)
脱水 70%エタノール
30∼60 分
90%エタノール
30∼60 分
100%エタノール
30∼60 分×2
MEMO
無水エタノール
30∼60 分
◎HE 染色でまず組織を見るべし。
↓
脱パラ→ヘマトキシリン→色出し→エオジン→
透徹 キシレン 30∼60 分×2
↓
水洗→脱水分別→透徹→封入
包埋 キシレンパラフィン 37℃ 30 分
2 倍カラッチヘマトキシリン(carazzi)
↓
ヘマトキシリン 2.0gr*
パラフィン浸透(60℃オーブン)
DW
800ml
パラフィン 1 10∼20分
ヨウ素酸 Na
0.4gr
パラフィン 2 10∼20分
パラフィン 3 10∼20分
↓
コンソールで包埋硬化
↓
ミクロトームで 3∼4μに薄切
↓
45℃ホットプレート上で1時間以上乾燥
(APS コートスライドグラスは水滴が除きに
くい場合あり注意、振ってとばす)
カリミョウバン 50gr
グリセリン
200ml
*
約 100mlのDWに加え加温して溶解させる。
1∼5 分染色後軽く水洗してから 1%HCl70%EtOH で数
秒分別(3 回位上下)し、水洗 2∼5 分行う。
エオジン
2分→水洗1分→70% EtOH 脱水分別→脱水封入
3) 凍結切片作製法
*Holts′のガムシュークロース液に 4℃で一晩浸漬(数ヶ月保存可)
↓
Cryostat で 6∼10μm に薄切しスライドグラスに張り付け扇風機で 30 分以上風乾
↓
プレパラートボックスに密封して−25℃で保存(長期保存可)
#pre 免疫電顕法・各種免疫染色へ
*Holts′のガムシュークロース液の作り方
粉末アラビアゴム 5gを暖めた D.W 約 300mlに溶かす
↓
シュークロース 150g
↓
0.5Mリン酸緩衝液 pH7.2 100ml
↓
D.W.で全量 500ml(NaN3 50mg またはチモール 0.1g添加)
4) 電顕包埋法 (電顕観察まで 3∼5 日)
組織の切り出し 前固定液中で手早く組織を 1∼2mm 位に切り出す
↓
前固定
固定:2.5%Glutaraldehyde/0.1M リン酸緩衝液 pH7.2 4℃で 1∼4 時間
#マイクロウエーブ照射 電子レンジで 3 秒×2 回を 5∼10 回(上限温度 40℃)
(30 分室温放置)
↓
洗浄 7%Sucrose/0.1M リン酸緩衝液 4℃で数時間∼一晩
↓
3
後固定
①1%OsO4/0.1M リン酸緩衝液4℃で 30∼1 時間固定
②還元オスミウム液 1%OsO4/1.5%フェロシアンカ化カリ in DW (マイクロウエーブ照射)
照射後 4℃で 30∼1 時間固定
↓
D.W.で数回洗浄
↓
脱水 各 30min
70%エタノール
90%エタノール
100%エタノール×2
無水エタノール×2
↓
QY2 液 15 分×2
↓
QY2 1:1 Quetol mix 樹脂 1 時間
*Quetol 樹脂の作り方(Luft 処方 1:4 )
1 MNA
39ml/19.5ml
2 Quetol812
50ml/25ml
3 DDSA
11ml/5.5ml
4 DMP-30
1.8ml/0.9ml(重合加速剤)
Total
101.8ml/50.9ml
1、2、3 を約 3 分混ぜてから 4 を入れ 15 分以上撹拌する
(空気が混入しないようにゆっくり撹拌し真空ポンプで脱気する)
↓
Quetol 樹脂 1 時間×2
↓
Quetol 樹脂 1 時間∼1 晩
↓
Quetol 樹脂 30 分∼1 時間
↓
包埋(シリコン包埋板は組織の方向性によりカプセル型か平板型をえらぶ)
↓
重合装置で重合硬化させる。 約 24∼36 時間
Quetol-Araldite包埋 (硬い試料向き)
↓
Quetol812 10ml
厚切り・超薄切片作製・電子染色して観察
Araldite M 10ml
MEMO
電子染色液
酢酸ウラン水溶液
DW
50ml
酢酸ウラン☆ 2.5gr
溶解後一晩放置 10min 染色
Reynold s 鉛液
硝酸鉛
クエン酸 Na(2水)
精製水
1N NaOH 8ml →
1.33g
1.76g
30ml
final 50ml
DDSA
24ml
DMP-30
0.8ml (1.5-2.0%)
#包埋手技は Quetol 包埋に準ずる
Rigolac包埋(骨等硬組織用)
Rigolac70F
30ml
Rigolac2004
70ml
BPO ペースト
1gr
比率 硬調3:7→6:4軟調
5min 染色
未脱灰歯牙等の 浸透に は 陰圧で 1step
24-48hr
☆
酢酸ウランの取り扱いは下記参照(廃棄不可)
http://www.mext.go.jp/b_menu/public/2005/05012701/001/004.htm
4
5.) 免疫電顕包埋法(post) LR White(ミデイアムタイプ)包埋法(観察まで 4∼5 日)
前固定
4%Paraformaldehyde/0.05∼0.5%Glutaraldehyde/0.1M リン酸緩衝液 pH7.2
(マイクロウエーブ照射) 30 分∼1 時間 4℃。他。
↓
洗浄 7%Sucrose/0.1M リン酸緩衝液 4℃で数時間∼一晩
↓
還元オスミウム固定
3%フェロシアン化カリウム/ 1%OsO4 混合液、マイクロウエーブ照射して 1 時間固定
↓
脱水 70%エタノール
30 分
90%エタノール
30 分
100%エタノール
30 分×2
無水エタノール
30 分
↓
LRWhite 樹脂 1:1 純エタノール 1 時間
↓
LRWhite 樹脂 1 時間×3 以上の作業は4℃が望ましい。
↓
包埋 30 分前に室温にもどしゼラチンカプセルに包埋
カプセルの中に LRW 樹脂を 8 分目ほど入れて検体を沈め、カプセルで密封する。
↓
重合 18∼24 時間(60℃)、薄切、Ni グリッドに載せて飽和 NaIO4処理(30-60sec)して免疫染色。
in vitro 実験用培養液
*D MEM 液の作り方
D MEM×10
10ml
精製水
90ml
HEPES
0.6g
NaHCO3
30mg
1N NaOH で pH7.2 に合わせる。
↓
O2+CO2 混合ガス(95/5)を加える 10∼20 分
↓
マイクロウエーブ 1∼5 分加熱殺菌
↓
冷蔵保存
*D MEM×10 の作り方
ダルベッコ変法イーグル培地
D.W.
↓
30 分撹拌溶解
−25℃保存
9.5g
100ml
MEMO
試薬濃度(final)
Nocodasol
10ug/ml
BFA
5ug/ml
Monensin
1uM/ml
Okada 酸 0.5uM/ml
Hanks 液(Ca,Mg free)
NaCl
8g
KCl
400mg
Na2HPO42H2O 60mg
KH2PO4
60mg
Gkucose
1g
NaHCO3
350mg
5
免疫染色法(ABC-DAB法・蛍光法)#手順は使用するキットにより変更する
染色手順(試料:Pf・Z変法固定、パラフィン包埋、4μパラフィン切片作製)
脱パラフィン→PBS
↓(必要なら抗原賦活処理、Pro-K 3分 or MW(EDTA-Tris)処理等)
3%H2O2/PBS(室温) 3min →PBS で 2 回洗浄
↓
1%BSA(4℃) 20min →PBS で 2 回洗浄
↓
1 次抗体 1時間(室温 or37℃)or 一晩(4℃)
↓
PBS 洗浄 10 分 2 回洗浄
↓
2次抗体
ビオチン化抗体(×200) 1 時間(室温)
(LASB2)染色キットでは黄色の液(抗ウサギ、マウスに対応)室温10分)
#蛍光法の場合は FITC 標識2次坑体、室温1時間
↓
PBS 洗浄 10 分 2 回以上洗浄
↓
3次抗体
ストレプトアビジン標識 HRP 抗体(×200) 1 時間(室温)
(染色キットでは赤色液室温 10分)
#蛍光法の場合は、洗浄後パーマフローで封入、15 分後 UV 顕微鏡観察)
↓
PBS 洗浄 10 分 2 回以上洗浄
☆2重染色→同じ手順で、2次坑体に Alp 標識を用いる
↓
DAB 発色液
通常 1∼3 分
0.05M Tris-HCL buffer pH7.6
50ml
3,3'DAB-HCL salt
20mg
1%H2O2/DW
1drop
(使用直前調整)
↓
必要ならヘマトキシリン核染色
↓
脱水・透徹・封入
★Alp 染色溶液(赤色発色)
ナフトール AS-BI リン酸 Na 塩
0.05MAMPbuffer pH9.8
◎ジアゾ化 HPA 液*
#HPA 液
10mg
Pararoseaniline HCl 塩 1g
20ml
DW
20ml 加熱
1ml
濃塩酸
5ml
濾過→冷却・室温保存(長期可)
◎4%亜硝酸 Na 水溶液 1:1 HPA 液 で混和して2分放置後に混合、
濾過してから使用する。陽性部位は赤。
6
★抗原賦活法いろいろ
脱パラ後、PBS 洗浄
↓
以下の抗原賦活処理いずれか
↓
過酸化水素水 3 分∼5 分(HRP 使用時のみ)
↓
BSA or Normal serum
↓
1次抗体反応(室温 2hr∼4℃一晩)
1)Tris-EDTApH9.0 賦活液×10
Tris
12.1gr
EDTA 2Na
3.7gr
DW
Final
1L
使用時 10 倍希釈(final 1mM)
MW 5 分×3 風乾 20 分 →PBS へ
#専用ケースを使い輪ゴムで密栓(切片の乾燥に注意)
(0.01M クエン酸 pH6.0 も可)
2)Protease-K
DAKO RTU solution 室温で 3-5 分
#20μg/ml 使用
3)Pepsin
1:50,000 単位
4) Trypsin
0.1% in PBS
0.2%/0.01N HCl
室温または 37℃で 5-30 分
室温 10 分∼30 分
7
Procedures for Morphological Analysis
By Katsumata & Adachi
電顕用手技(Tannic acid-Chitosan-embedding method)
固定液:4%パラホルム 0.2%ピクリン酸/0.1M PBpH7.2
(凍結切片作成、SILAN コートスライドグラス貼布、-25℃保存)
1.
PBS 中に 10 分浸漬(OCTcompound を洗い去る)
2.
PBS 中に 10 分ずつ 2 回洗浄
3.
1%BSA を載せて室温で 30 分
4.
PBS 中に 10 分浸漬
5.
一次抗体を載せて 4℃で一晩、次いで室温で 1 時間
6.
PBS 中に浸漬 20 分ずつ 3 回洗浄
7.
二次抗体(0.8nm gold colloid:Aurion 社 ultra small);約 1/40 に希釈*して 4℃
で一晩、次いで室温で 1 時間 (*CWFS-Gelatin PBS)
8.
PBS 中に浸漬 20 分ずつ 3 回洗浄
9.
0.1M リン酸緩衝液(pH7.2)に浸漬 5 分ずつ 3 回洗浄
10.
0.2%タンニン酸・2.5%グルタールアルデヒド(0.1Mリン酸緩衝液)30 分固定
11.
0.1M リン酸緩衝液(pH7.2)に浸漬 5 分ずつ 3 回洗浄
12.
1%OsO4/0.1MPBpH7.2 を載せて後固定
13.
脱イオン水中に浸漬 5 分ずつ 3 回洗浄
14.
銀増感液(Enhancer:Developer:Gum=1:1:1vols)暗所、通常 20 分 26℃
室温 30 分
(注)陽性部位が褐色に認められる
15.
脱イオン水中に浸漬 5 分ずつ 3 回洗浄
16.
1%chitosan0.5%酢酸水溶液を薄く塗布する
17.
2.5%グルタールアルデヒド/0.1MPBpH7.2 に浸漬し室温 30 分
(注)chitosan が固定されて淡い褐色の滴状の盛り上がりをみる
18.
脱イオン水中に浸漬 5 分ずつ 3 回洗浄
19.
脱水(EtOH 70%,90%,100%×2;20min. for each)
20.
QY-2
21.
Quetol 樹脂入のゼラチンカプセルを逆さまにして切片上にかぶせる
22.
60℃の恒温器中で一昼夜放置する
10 分
23.スライドガラスの裏面をガスバーナーで加熱しエポンブロックを引きはがす
24.トリミングして超薄切片とし電顕観察。
注意)このマニュアル内にある種々の試薬等の廃棄については各施設の規制にそって行って下さい。
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