フ ァ シ リテ ィ マ ネ ジ メ ン ト で 公共施設 の 有効活用 - 全国都市会館

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6
JUNE 2014 市政
特集
学
流山市長●井崎義治
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東洋大学客員教授●南
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株式会社三菱総合研究所社会公共マネジメント研究本部主席研究員●川口荘介
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ファシリティマネジメントで
公共施設の有効活用
[寄稿1]
公共
施設マネジメント・実務面のポイント
[ 寄稿2]
効果
的な公共施設マネジメントの進め方
正
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宮崎市長●戸敷
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西尾市長●榊原康正
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•
[ 寄稿3]
2つ
のPPPによる第二世代の公共FM
[ 寄稿4]
新た
なまちづく りの出発点
としての公共施設再配置
[ 寄稿5]
将来
世代に重荷を背負わせない •
「現役世代の責務」
■とっておき! 美しい都市の景観
「
高山市
(岐阜県)
三町」
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■食から考える カ・ラ・ダ いきいきライフ(服部幸應 監修)
初夏のうま味を閉じ込めた、さわやかなおつまみ
グリーンアスパラのささみチーズフライ
表紙イラスト:山本 陽
本文イラスト:川名 京
市政ルポ…………………………………32
vol.63
CITY GOVERNMENT
9
10
13
16
19
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4
June
6
2014
飯田市(長野県)
人材サイクルの実現で目指す
デザイン志向の戦略的地域づくり
飯田市長●牧野光朗
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■都市のリスクマネジメント………………………………………44
韓国の海難事故─改めて自治体の危機管理を考える
明治大学名誉教授、日本自治体危機管理学会会長●中邨 章
■全国市長会の動き─ Mayors' Action… …………………58
■
〔東北復興応援企画〕美味しい‼ 楽しい‼ 美しい‼… …………………62
動き
ジャーナリスト●松本克夫
東京大学大学院教授●伊藤元重
■世界の動き / 尖閣に安保適用―米大統領が明言 時事通信社元解説委員長●金重 紘
■経済の動き /地域マネジメントの重要性 •• • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • •
■自治の動き /混迷する道州制論議
■マイ・プライベート タ
・ イム
中津市長●新貝正勝
中央区長●矢田美英
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“
一度は行ってみたい中津市 ” を目指して ■
『日本百街道紀行』街道とまちづくり
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オリンピック・パラリンピックで わがまちの「黄金時代」 を築き上げる
■世界市民の目線から見た都市行政
作家●デュラン・れい子
北上市長●髙橋敏彦
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テレビ、冷蔵庫、パソコンつき ホテル並みの豪華な刑務所生活 ■わが市を語る
いきいきと支え合い、
笑顔咲きほこるまち ◆自ら
創造し、
「ふるさと北区」
の実現を目指して 北区長●花川與惣太
◆区民とともに
◆「新
しい時代に夢を、新しい世代に希望を託せるまち」を目指して 守口市長●西端勝樹
輝きを増し始めた地域資源 瀬戸内市長●武久顕也
◆協働・融合がキーワード、
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作家●童門冬二
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城西大学経営学部教授●伊関友伸
■アスクレピオスの杖を探して 地域医療再生への道
公立病院の歴史(下) ■歴史に見る リーダーと、それを支えた人たち
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異見会をつくる ─ 黒田長政(二)─
■編集後記
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■市政ギャラリー 都市の素顔
「白石市遠望」(宮城県)
市政 JUNE 2014
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30 28 26
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54
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56
63
特集
ファシリティマネジメントで
公共施設の有効活用
高度成長期に建てられた公共施設が老朽化により一斉に更新時期を迎えており、総務省の予想で
は全国で解体が検討中の公共施設は約 1万 2000棟に上ります。そこで、今、改修・解体・新設・運営
のコストとそれによって得られる効果を数値化し比較・精査をして総合的に運用を図る「ファシリティ
マネジメント」に注目が集まっています。
今回の特集では、ファシリティマネジメントの考え方や、そのポイントについて、また、先行して取
り組みを実施している都市事例も織りまぜてご紹介します。
寄稿 1
公共施設マネジメント・実務面のポイント
寄稿 2
効果的な公共施設マネジメントの進め方
寄稿 3
2つの PPPによる第二世代の公共 FM
寄稿 4
株式会社三菱総合研究所社会公共マネジメント研究本部主席研究員 川口荘介
東洋大学客員教授 南 学
流山市長 井崎義治
新たなまちづくりの出発点
としての公共施設再配置
西尾市長 榊原康正
寄稿 5
将来世代に重荷を背負わせない
「現役世代の責務」
宮崎市長 戸敷 正
9
市政 JUNE 2014
かわぐちそうすけ
理 も 困 難 に な る。 特 に 公 共 施 設 の 保 有 量 が、
もとより、適時の改修工事実施による維持管
税収が増加することなく推移すると、新設は
多くの自治体において公共施設更新の将来
負担の大きさが課題になっている。このまま
ら、今後の行政サービスを継続していくため
題に対し、長期的な視点と全体最適の視点か
ことは、このような過去の公共施設整備の課
る面もある。公共施設マネジメントへ取組む
れ、その集積が、現在の状況を生み出してい
が国の公共施設整備においては随所に見ら
必要以上の機能・規模の施設建設などが、わ
い う フ ル セ ッ ト 主 義、 一 部 の ニ ー ズ に よ る、
で、近隣の自治体にあるからこちらも作ると
速攻性のある効果を発揮させることもある。
導入、PPP導入等個別具体の検討を実施し、
様見直し、使用料見直しや財産有効活用方策
縮を模索する。総量圧縮と一体的に、委託の仕
長寿 命化を図っても、将来の更新費用を賄
える見込みの小さい自治体は、施設の総量圧
を選択することが多い。
ない自治体、財政状況が良好な自治体がこれ
図 る こ と を 目 的 と す る。 比 較 的 保 有 施 設 が 少
株式会社三菱総合研究所社会公共マネジメント研究本部主席研究員 川口荘介
人口や経済規模に比して多い自治体において
に何をしていくべきかを考えるチャンスでも
自治体が急増
その傾向が顕著である。また、人口構造や社
いずれの対策を図るにせよ、対策検討に着
手する前に、保有している施設の種類や地域
口 動 向 な ど を 冷 静 に 分 析 し、 進 む べ き 方 向 と
実現可能な目標を設定する必要がある。手間
めに、現有の公共施設に対して何らかの見直
て、公共サービスを一定程度維持していくた
割 が 賛 成 と 回 答 す る。 各 論 の 議 論 は 別 と し
を圧縮すべきかを問うと、多くの場合7~8
建物の長寿命化は、改築時期を先に延ばす
ことにより更新費用を抑制すると同時に計画
圧縮」の2種類に大別される。
物の長寿命化」と「施設総量(またはコスト)の
現在、全国の自治体で行われている公共施
設マネジメントにおける対策の方向性は、「建
公共施設マネジメントの取組みにおける計
公共施設マネジメント実施のプロセス
的を明確化しなかったことが一因である。
し ま う 事 例 が 散 見 さ れ る が、 こ れ は 事 前 に 目
したものの、その後の取り組みを停滞させて
~目的を決めてから取り組む~
特性、将来財政見通し、更新費用見通し、人
ある。
り、サービスの稼働率が低下している施設に
ついて、無駄を排するために、その存廃の検
討すべきという機運も高まってきている。住
しが必要であるという認識は、近年国民の間
的な保全を行い財政の集中を回避、平準化を
とお金を掛けて取り急ぎ施設白書などを作成
で一般的になりつつあると思われる。これま
民に対してアンケート調査で公共施設の総量
公共施設マネジメントの全体像
会環境の変化に施設機能が対応できなくな
公共施設マネジメントに取り組む
公共施設マネジメント・実務面のポイント
1
寄稿
10
JUNE 2014 市政
特集 ファシリティマネジメントで公共施設の有効活用
は、 全 体 か ら す る と 未 だ 少 数 で は あ る が、
なる。この段階まで取り組みを進めた自治体
別施設(群)の計画策定に着手していくことと
なる。これらの全体計画を策定した後に、個
の圧縮」を目的とする場合は適正配置計画と
目 的 と す る 場 合 は 建 築 保 全 計 画、「 施 設 総 量
画段階のアウトプット、
「建物の長寿命化」を
①情報の収集
させることが多い。
ではあるが平均すると3年程度で計画を完了
期間で一気に決着をつけるところ、さまざま
ルを表1に示す。じっくり進めるところ、短
4段階となる。これらの標準的なスケジュー
分析と見える化③基本方針策定④計画策定の
に支障をきたすこともあるので注意が必要で
定 し す ぎ る と、 こ の 段 階 で 庁 内 の 合 意 形 成
目 標 量 が 大 き す ぎ た り、 達 成 期 間 を 短 く 設
将来LCC予測と財政制約や人口の見通
し な ど か ら 目 標 値 を 総 合 的 に 導 い て い く。
縮量を設定することである。
のは、コストの削減量もしくは施設面積の圧
4年目以降
3年目
2年目
1年目
②情報の分析と見える化
③基本方針策定
④計画の策定
個別計画の実施
スを、事 例か
ま での プロセ
着 手 から計
画 を策 定 する
ている。
むことが 増 え
力 戦で 取 り 組
を 生かし た 総
持 ち 味、強み
て そ れ ぞ れの
チ ー ム を 作っ
プロジェク ト
組 織 横 断 的な
が、 近 年 は、
ること が 多い
部 局が主導 す
管 財 といった
財 政、 行 革、
③基本方針策定
いく。
のよくない施設から優先的に改善に着手して
を類似施設間で相対的に評価し、評価の結果
老朽化や利用率、収支の状況や配置条件など
の 段 階 で 施 設 評 価 を 実 施 す る 必 要 性 も 高 い。
の具体的な計画に結び付けていくために、こ
とする自治体も増えてきている。また、施設
労力が掛かるため、白書の作成は簡易なもの
行う。掲載される情報の精査に多大な時間と
設カルテの形式で印刷物、HPなどで公開を
一元化した情報をもとに、庁内庁外に公共
施設の実態について公開する。施設白書や施
②情報の分析と見える化
要である。
め、 数 回 に わ た り チ ェ ッ ク を 行 う こ と が 肝
が 多 い。 初 期 段 階 で は 情 報 の 精 度 が 低 い た
ト形式で施設管理者から情報収集すること
ト実施のための基礎データとする。アンケー
していく、また、個別計画の進め方と体制に
方、ルールに則り、その後、個別事業を展開
そ の た め、 個 別 施 設 ご と の あ り 方 は モ デ ル
プランなどで例示し、そこから得られた考え
である。
対意見が多くなり調整がつきにくくなるため
ころとなる。計画が個別になればなるほど反
保全計画、最適化計画の中に、個別施設ご
との整備計画を盛り込んでいくのかは悩みど
いく(図2)。
の適正配置の手法などを計画として記載して
準以下の施設の整備方針、地域単位での施設
最適化計画では、将来の総量圧縮の目標に
応じて、施設種類ごとの整備方針、一定の水
定していく(図1)。
しの中で実現可能な工事計画等を検討し、策
更新周期の設定等に基づき将来的な財政見通
建築保全計画においては、公共施設を建物
として適切に維持管理していくための手法や
ある。
年々その数が増えてきている。
④計画策定
①情報の収集
建築保全計画は営繕部局が、最適化計画は
ら整理する
れる。
ついて記載することが妥当ではないかと思わ
と、① 情 報の
公共施設の在り方、今後の進め方、目標な
どを方針として公表する。目標設定で肝要な
収 集 ② 情 報の
市政 JUNE 2014
11
庁内に散逸している情報を一元的に収集
し、 情 報 共 有 を 図 る と と も に、 マ ネ ジ メ ン
表1 マネジメントの標準スケジュール
いくとみられる。計画が具体的になればそれ
不 足 が あ る か と い う 判 断 を 行 う。 こ れ に よ
り、これが住民のニーズに即しているか、過
をする、就業支援を受けるといった単位であ
となる。「機能」とは、学ぶ、集まる、子育て
今後は公共施設を「施設」という単位ではな
く、「機能」という単位で見ていくことが重要
こ と が 主 眼 で あ っ た が、 地 域 の 拠 点 へ の 機 能
これまでの公共施設の適正配置は、利用率
の低い施設を地域分布の観点から最適化する
② 包括的なまちづくりの中での施設マネジメント
え方として期待される。
き、無駄のない公共サービスを提供できる考
とにより活性化するなど柔軟な発想を展開で
だ け 各 論 の 検 討 が 必 要 に な っ て い く。 最 後
り、建物がなくてもサービスが提供できるこ
集積を進め、歩いて暮らせるまちづくりの推
今後の公共施設マネジメント
に、計画段階で重要になってくると思われる
とが明らかとなったり、利用率の低下した施
公共施設マネジメントの取り組みが計画段
階に進む自治体は、今後数年で一気に増えて
ポイントとして3点を紹介したい。
進 や 地 域 の 活 力 の 創 出、 さ ら に は 災 害 避 難 拠
スに移行していくことが必要である。
とともに計画を作り上げていく協働型プロセ
く り に 住 民 が 主 体 的 に 参 加 す る こ と で、 行 政
メントなどの合意形成手法を導入し、計画づ
近 年 普 及 し つ つ あ る パ ブ リ ッ ク・ イ ン ボ ル ブ
施 設 の 統 廃 合 や 複 合 化 の 議 論 は 進 展 し な い。
住 民 対 行 政 と い う 対 立 の 構 図 を 招 き や す く、
明 」 と い う 形 で 一 方 的 に 告 知 す る だ け で は、
形成が重要となる。決まったことを「住民説
施設マネジメントの計画内容を具体化する
段階では、施設利用者や地域住民等との合意
③合意形成の手法導入
られることが望まれる。
も参画して、まちづくりの観点で議論が進め
災部局やまちづくり部局、産業関連部局など
後、公共施設マネジメントの取組みには、防
の適正な配置が貢献し得ると考えられる。今
点 の 確 保 な ど、 都 市 構 造 の 再 編 に も 公 共 施 設
設から機能を切り出してほかと複合化するこ
図2 施設の再配置の例
①施設から機能へ
図1 保全計画のイメージ
12
JUNE 2014 市政
みなみ
まなぶ
算 を 確 保 す る 余 裕 が な い の で、 景 気 回 復 を
大 規 模 修 繕 費 を 要 求 し て も、 財 政 担 当 は 予
施設を管理運営しているそれぞれの部局が
べての公共施設の同じ面積で更新すること
わ れ て い る 実 態 で あ っ た。 財 源 難 か ら、 す
こ と が 多 く、 管 理 運 営 費 の 大 半 が 税 金 で 賄
一 般 的 に 低 く、 利 用 料 金 も 減 免 さ れ て い る
学
期待しながら、毎年先送りしてきた結果、
「失
は 不 可 能 で、 学 校 施 設 に 公 民 館 等 の 公 共 施
東洋大学客員教授 南
効果的な
公共施設マネジメントの進め方
先送りにされた公共施設・
年」の期間に、老朽化も限界に達し
われた
設 を 組 み 込 む な ど の 手 法 で、 総 面 積 を 大 幅
会 資 本 の 老 朽 化 が 進 み、 人 命 を も 奪 う 大 き
は、 わ が 国 に お い て も、 イ ン フ ラ と い う 社
す べ て の 公 共 施 設 に つ い て、 そ の 建 設 時 期、
市 で 作 成 さ れ た 白 書 は、 市 内 の 学 校 を 含 む
策 定 で あ っ た。 平 成
この老朽化対策の第一歩として注目され
てきたのが「公共施設マネジメント白書」の
金調達が課題であることを示している。この
112億円に達するので、その金額圧縮と資
に圧縮する必要性も示された。
な事故を引き起こすという事実を突きつけ
配 置 状 況、 規 模 や 利 用 実 態、 維 持 管 理 コ ス
傾 向 は、 ほ か の 自 治 体 の 白 書 で も 同 様 で あ
、
年 を 経 て、 一 斉
関心が高まる公共施設・
年間に必要な投資額は平均で年間
「 白 書 」 が 示 し た の は、 公 共 施 設 の 半 分 は
学 校 施 設 で あ り、 人 口 減 少 傾 向 の 中 で、 同
が、多くの自治体の実態である。
廃合を進める)しかないという結論になるの
%以上、圧縮(統
ろ が、 公 共 施 設 や イ ン フ ラ の 大 規 模 修 繕 が
じような貸館機能を持ったさまざまな施設
況で、総面積を最低でも
模で更新(建て替え)することは、不可能な状
る。つまり、現行のすべての公共施設を同規
源しか確保できる見通しが立たない状況にあ
後
78
必 要 と な っ た 時 期 は、 わ が 国 の バ ブ ル 経 済
インフラマネジメント
図1のある都市自治体の白書では、過去の
投資的経費が約 億円だったのに対して、今
た点で衝撃を与えたのは記憶に新しい。
ト を 施 設 分 類 別、 地 区 別 な ど に 分 か り や す
り、必要な当面の投資額の3分の1程度の財
のインフラや施設が
に老朽化している。
20
が 数 多 く 設 置 さ れ て い る が、 そ の 稼 働 率 は
通 常 は、 年 か ら 年 を 経 過 し た 建 物・
構 築 物 は、 大 規 模 修 繕 が 必 要 と な る。 と こ
20
年度に神奈川県藤沢
多 く の 自 治 体 で は、 高 度 経 済 成 長 期 の
1960年代から 年代にインフラと公共
くグラフ化、図示して住民に示した。
つつある。
20
インフラの大規模修繕
年) 月の中
、アメリカにおけるイン
1 9 8 0 年 代きに
ょうりょう
フラの老朽化(橋梁の崩落など)が大きな話
題となったが、一昨年(平成
12
央自動車道笹子トンネルの天井板崩落事故
24
50
施 設 が 集 中 的 に 整 備 さ れ た た め に、 そ れ ら
70
40
30
崩 壊 後 の 財 政 難 と 重 な っ て し ま っ た。 公 共
市政 JUNE 2014
13
25
30
2
寄稿
特集 ファシリティマネジメントで公共施設の有効活用
設の大半は、行政財産であり、一つ一つの施
白書の作成は、施設更新や統廃合を目的と
するマネジメントの第一歩であるが、公共施
簡単ではない「白書」後の
「再配置計画」策定と実践
図1 ある都市自治体における公共施設 建て替え・改修にかかるコスト試算(用途別)
タが用意されて
実態の統計デー
運 営 指 針、 運 営
財 産 台 帳、 管 理
か ら、 統 一 的 な
されていること
設の管理に反映
そのまま公共施
縦 割 り 構 造 が、
つ ま り、 部 局 の
決 ま っ て い る。
所管する部局が
設 は 設 置 条 例 で、
して施設の新設計画を打ち出したところも多
さらに、合併した市町村では、合併の条件と
は な か な か 同 意 す る こ と が な い か ら で あ る。
既存の施設には、必ず利用者が存在し、そ
の 利 用 者 は、 施 設 の 縮 小 や 統 合 に よ る 移 転 に
る経験は非常に少ないからである。
践 し た 経 験 は 多 い が、 施 設 を 縮 小 統
・廃合す
まで、施設を整備拡充する計画に基づいて実
践への余力に不足していることに加え、これ
ならば、白書と計画に多くの労力を割いて実
自治体はほとんどないのが現状である。なぜ
ながら、その計画に沿った実践までに至った
針を立てても、「総論賛成、各論反対」の大き
施設の統廃合によって、総面積を圧縮する方
に な る。 さ ら に、
体験をすること
変なのかという
対応するのか。
し、再配置(統廃合 長・寿命化)の計画を立て
ても、実践が進まないとすれば、どのように
奪う存在にもなる可能性がある。白書を作成
老朽化した公共施設やインフラを放置して
いれば、「時限爆弾」として住民の命や財産を
公共施設マネジメント
財政問題としての
し か し な が ら、この 公 共 施 設 の 再 配 置 は、
避けて通れない状況にあることは確実である。
い の で、 統 廃 合 縮
・ 小 の 計 画 は、 な お さ ら 困
難に直面することになる。
いないのが実態
となっている。
従 っ て、 作 成
作業を進める担
当 者 に と っ て は、
データの一元管
な声によって、「再配置計画」の策定の合意形
それは、自治体が存続するための「財政問
題」として、首長がリーダーシップを発揮し
理がどれほど大
成は、非常に大きな困難に直面する。
にはない。実は、いくつかの自治体が取り組
て、全庁的課題として最優先に取り組む以外
それでも、白書を作成し、「再配置計画」の
策定までたどり着いた自治体もあるが、残念
14
JUNE 2014 市政
特集 ファシリティマネジメントで公共施設の有効活用
んできた白書作成や再配置計画は、担当部局
が 多 く の エ ネ ル ギ ー を 割 い て、 個 別 部 局 の
と し て と ら え、 財 政 問 題 を 考 慮 し た 上 で、
づ け る こ と も 要 請 し て い る。 こ の 台 帳 整 備
幸 い に、 総 務 省 は 平 成 年 4 月 に、 公 会
計 改 革 と し て、 固 定 資 産 台 帳 の 整 備 を 義 務
体 に 要 請 し た。 公 共 施 設 と イ ン フ ラ を 一 体
年程度の総合管理計画を策定する内容と
設に関する計画」として策定し、財源不足か
なっている。
データを収集し、実態を調べながら「公共施
ら 出 発 し た も の の、 財 政 運 営 と い う よ り は、
一部組み込むなどの、部局の枠を超えた再配
務情報の一元化と、学校施設に公民館機能を
置の課題を「財政問題」としてとらえれば、財
ることができる。このように、公共施設再配
れた土地の売却などで財源確保までも計画す
することができ、施設の統廃合によって生ま
上下水道などの企業会計とも連結させて把握
資産台帳を整備すれば、資産と負債の関係を
台帳」整備を優先させているのである。固定
な施設とインフラを一元管理する「固定資産
定作業よりも、中期的な財政見通しと全庁的
観点から出発していることが分かる。白書策
という資産管理も視野に置いた「財政経営」の
先進的な自治体の事例を見ると、歳出入管
理型の財政運営よりも、公共施設やインフラ
トプランとしている傾向にある。
す れ ば、 施 設 の 統 廃 合 だ け
政問題であることを明確に
す べ き で あ る。 そ し て、 財
ドバック型」の計画策定に
結び付けるような、
「フィー
せ て、 次 の プ ロ ジ ェ ク ト に
体 化 し、 そ の 経 験 を 反 映 さ
リーダーシップのもとに具
い 施 設 の 統 廃 合 を、 首 長 の
に、 当 面 す る 優 先 順 位 の 高
通しと固定資産台帳を基礎
そ れ よ り も、 財 政 の 中 期 見
す る こ と は 不 可 能 で あ る。
で、 精 緻 な 計 画 と し て 策 定
合意形成を伴うものなの
と し た 計 画 は、 こ れ ま で に
施設(ファシリティ)を焦点としたマネジメン
置計画を首長のリーダーシップの下で迅速に
で な く、 既 存 施 設 の 維 持 管
せいち
経 験 し て い な い、 住 民 と の
意思決定する仕組みができる可能性がある。
理 コ ス ト の 削 減 や、 受 益 者
負 担 の 適 正 化、 不 要 資 産 の
売却などの手法を組み合わ
図2 公共施設マネジメントの体系
し か し、 既 に 述 べ た よ う に、 全 部 の 公 共
施設などを対象として「統廃合 縮
・小」を基本
10
せることもできる。
こ と が 求 め ら れ て い る の で あ る。( 図 2 は、
を 基 礎 に、 柔 軟 な 総 合 管 理 計 画 を 策 定 す る
26
公共施設マネジメントを進める体系を示す)
市政 JUNE 2014
15
「走りながら考える」計画への発想転換
平成 年4月に、総務省が「公共施設等総
合管理計画」を策定するように、全国の自治
26
億円/年
ながれやま
い ざ き よしはる
資 に、 事 業 者 の 創 意 工 夫 に よ り イ ニ シ ャ ル
コ ス ト を か け ず に 最 新 の 設 備 を 導 入 し、 包
千 葉 県 北 西 部 に 位 置 す る 流 山 市 は、 平 成
年のつくばエクスプレスの開業により都
1 万 ㎡ 以 上 の 施 設 規 模、 ② 可 能 性 調 査 の コ
る。 し か し、 E S C O で は「 ① 5 0 0 0 〜
括的なエネルギーサービスを得る事業であ
分台で結ばれた好立地条件や市域の
心と
スト確保、③高い専門性」などが障害となり、
万人に到達)し市外から
それほど普及していない。
の一体型特定土
約1/5にあたる640
年4月に
地区画整理事業の推進等により人口が増加
(平成
填、②省エネルギーセンターの無料省エネ診
本市では「①施設規模を補完するためイニ
シャルコストの一部を上乗せする小規模補
本市の保有する施設は約190施設600
断 を 可 能 性 調 査 の 代 替 と し て 活 用、 ③ 事 業 の
選ばれるまちとして発展を続けている。
万8000㎡となっており、市民一人当
詳細はプロポーザルで選定した優先交渉権者
Public Private
たりの保有面積は1・
棟
㎡と、東洋大学の調
との協議(デザインビルド)で決定」すること
査による全国平均3・
・5年で老朽化対
策や機能拡充を視野に入れた施設整備が課題
佐 倉 市・ 福 岡 市 の 異 な る 方 式 の E S C O の 長
この一連の考え方は民間事業者のESCO
に対する専門知識・資金調達力と、大阪市・
で課題を解決している。
㎡と比較して非常に
流山市では、2つのPPP(
Public Public
:自治体間連携)による第二世代
Partnership
の公共ファシリティマネジメント(以下「F
になりつつある。
している。先進自治体が試行錯誤しながら積
所をアレンジしたものであり、このノウハウ
業者との連携により効率的かつ「シンプル」に
ア ·
保健センターデザインビルド型小規模ESCO
(1)
デザ
インビルド型小規模バルクESCO事業
事業採算性の高い市役所本庁舎(約1万㎡)
イ 市
·役所等デザインビルド型小規模バルクESCO
FM施策
実践していくことが「第二世代」のFMであ
E S C O は、 空 調 や 照 明 設 備 の 更 新 等 に
が他のFM施策に応用されている。
る。本稿では、流山市のFM施策のうち主な
み重ねてきたノウハウを調整しつつ、民間事
よるエネルギーコストの削減見込み分を原
流 山 市長(千葉県) 井崎義治
流山市の地勢/公共施設の状況
ものを紹介していく。
2つのPPPによる
第二世代の公共FM
流山市のFMの特徴と背景
近年、公共施設・土木インフラの老朽化と
更新問題が急速にクローズアップされるよ
うになったが、問題の根幹は投資可能な財源
かいり
年間に
年に公表した第三次公共施設
と保有ストックの質・量の乖離である。流山
市では平成
保全計画において、今後
年間の公共施設関連の投資的経費は
の改修・改築費が試算されているものの、過
去
億円/年であり、この乖離は時間の経過と
ha
M」という)を掲げ、この課題に対応しようと
少ないが、平均築年数は
: 官 民 連 携 と
Partnership
42 72
27
ともに、確実に深刻さを増していく。
17
35
20
26
20
25
17
28
10
23
3
寄稿
16
JUNE 2014 市政
特集 ファシリティマネジメントで公共施設の有効活用
し た 7 施 設一括 のE
バルク(抱き合わせ)
い5 館 の 福 祉 会 館 を
さ く 事 業 採 算 性の 低
設に、施 設 規 模 が 小
3300㎡)をコア施
と 図 書・ 博 物 館( 約
を 付 け て い る。 当 初 は
簡易修繕」など「+αのサービス」で付加価値
活用して「全対象施設の巡回点検(1回/月)
・
単にコスト削減や仕様の統一化だけでな
く、コスト削減効果の約1100万円/年を
約)するものである。
などの保守点検業務を一括発注(一契約に集
ご と に 発 注 し て い た エ レ ベ ー タ ー・ 自 動 ド ア
事業の実施効果が高いことから平成
年度に
施 設 で 開 始 し た が、
S C O 事 業 で あ る。
本 事 業 で は 約
は
施設に対象を拡大した。
1 億 8000 万 円の
然たる投資)
を行った
の条件で市内事業者に発注することを条件と
また、契約にあたっては電気工作物・浄化
槽・消防用設備は原則として従前と同等以上
小 規 模 補 填( 市の純
が2 億 6000 万 円
(2)
デザ イ ン ビ ル ド
型包括施設管理
ことになる。
ス ト メ リッ ト が で た
約 8 0 0 0 万 円 のコ
図られただけでなく、
面 更 新・LED 化 が
スト を か け ず 空 調 全
算 で は イ ニシ ャ ルコ
さ れ たため、単 純 計
の削 減 が 契 約で 保 証
円 / 年 )の光 熱 水 費
議対象案件を選定して、③提案者との協議が
る こ と を 募 集 し、 ② プ ロ ポ ー ザ ル コ ン ペ で 協
そこで、これまで培ったノウハウと経験を
活用して事業化したのが事業者提案制度であ
民間ノウハウが多数発生することとなる。
付かない」アイディア・事業や「採用できない」
本 市 の F M は「 プ ロ ポ ー ザ ル + デ ザ イ ン ビ
ルド」を基本としているが、この方式では「気
(3)FM施策の事業者提案制度
ている。
が可能になり、市内事業者の育成にも寄与し
ス業者のノウハウを習得する機会を得ること
年度の第1回公募では市営住宅の民
る」ものである。
成立した場合に随意契約し、④事業を実施す
る。「①流山市のファシリティを活用してでき
業務委託
/
したため、市内事業者は大手ビルメンテナン
26
34
年( 2000 万
46
平成
24
包括施設管理業務
委託は、各施設所管
課 が 施 設 ご と・ 設 備
市政 JUNE 2014
17
13
間事業者による管理や小中学校
校における
屋根貸し太陽光など4件を協議対象案件に選
定し、このすべてが事業化されている。平成
年度に実施した第2回公募では3件の応募
(5)PRE推進事業
果
(第2条第 項)
」「長の総合調整権
(第238
条の2)
」
などを具現化する取り組みである。
FMは自治体経営上の当たり前の概念では
あ る が、 実 践 に は 多 く の ス テ ー ク ホ ル ダ ー の
本 市 の イ ン フ ラ を 含 む 将 来 の 改 修・ 改
築費は 億5000万円/年に及ぶと試
算 さ れ、 抜 本 的 な 公 共 不 動 産 ≒ P R E の
意識・行動の変革が必要になり、一部で短期
か っ て も 動 く の は 難 し い。 単 独 の 自 治 体 だ け
見 直 し が 不 可 避 の 状 況 で あ る。 平 成
で対応しようとすると、必ずどこかで壁に直
のうち民間事業者による防災備蓄倉庫整備な
途 を 主 要 施 設 に 位 置 付 け、 重 点 投 資 の 対
面する。
的 な デ メ リ ッ ト も 生 じ 得 る の で、 頭 で は 分
象 と す る こ と と と も に、 こ れ ら 以 外 の 一
に P R E 推 進 に 関 す る 基 本 方 針 を 定 め、
(4)
スマート庁舎
般 施 設 は 利 用 状 況 等 を 総 合 的 に 分 析 し、
公共施設・土木インフラの老朽化・更新問
題は1700以上の自治体の共通課題であ
用
事業者提案制度の協議対象案件のひとつで
ある。通称「スマート庁舎」は、庁舎の什器・
経営改善の図られないものはオフバラン
長年にわたり蓄積してきたこの課題に対し
て、自分たちだけで解決したり悩む必要はな
庁 舎・ 学 校・ 消 防・ 供 給 処 理 施 設 の
備品をより効率的なものに更新し、レイアウ
スの対象にすることとした。
と し て い る。 行 政 運 営 や 経 済 学 だ け の 視 点
い。他の自治体・民間事業者の誰かが知恵と
議を進めているところである。
ト変更すること等で余剰面積を発生させ、こ
年後に施設総量
潜在的なPRE市場と同義でもある。
り、民間事業者にとっては580兆円という
の余剰面積を民間に貸し付けることで当該什
施設評価ではサービス・コスト・施設性能・
立 地 特 性 の 4 項 目 に 加 え、 政 策 を 評 価 項 目
キームである。
で P R E を 進 め る と、「
ライバシーに配慮した空間」
、②4階を「少人
利用率が高い庁舎1階を「わかりやすく・プ
に貸し付け、この貸付料を活用して①市民の
たものである。
資する」ことを意図して政策を評価項目とし
が 欠 落 す る た め、「 投 資 す べ き と こ ろ に は 投
目 的 で あ る 自 治 体 経 営・ ま ち づ く り の 要 素
ところである。
れが本市における「2つのPPP」の意図する
間 事 業 者 と の 連 携 が F M 推 進 の 鍵 で あ り、 こ
じ 課 題 と ポ テ ン シ ャ ル を 共 有 し た 自 治 体・ 民
%削減」などの数値が目的化され、本来の
数対応のフレキシブルな会議兼ランチスペー
であり、地方自治法の「最小の経費で最大の効
FMは「人・金・情報」と同様に、第四の経
営基盤として「モノ」をマネジメントすること
だろう。
ス経営の実現に向けて有力な手法になり得る
営全般に応用が可能であり、コアコンピタン
底した連携・実践は、FMに限らず自治体経
かにある。本稿で紹介した本市の外部との徹
ス」
として整備することとなった。
ス マ ー ト 庁 舎 は、 市 民 か ら い た だ く 税
金はできるだけ直接市民へのサービスに
還 元 し、 什 器・ 備 品 な ど は 可 能 な 限 り 他
の手法により調達する新しい自治体経営
の姿を具現化するための有効な手法のひ
とつである。
FM推進の課題・留意点と発展可能性
役 所 の 仕 事 は 税 金 を 使 う こ と で は な く、 行
政サービスをいかに効率的効果的に提供する
解決の手段を持っている(模索している)。同
本市では約 課に及ぶレイアウト変更によ
り生じた庁舎1棟(約500㎡)を民間事業者
30
今後はPRE推進事業において、公共施設
等総合管理計画も対応していく予定である。
30
器・ 備 品 を 調 達 す る E S C O に 類 似 し た ス
4
10
18
JUNE 2014 市政
14
年
78
23
ど2件を条件付き協議対象案件に選定し、協
25
25
にしお
さかきばら や す ま さ
年8月に策定した
正配置の方針」を明示したことが端緒である。
『新市基本計画』の中で「公共施設の統合と適
ついては、合併前の平成
西尾市長(愛知県) 榊原康正
まちづくりを進めている。なお、本市の財政
規模については、図表1のとおりである。
22
新たなまちづくりの出発点
としての公共施設再配置
西尾市は人口約 万人の中核的都市
合併を機に専任組織を設置して
1,742人
(特別会計及び企業会計含む)
がまち西尾市は、愛知県の中央を流れる
やわ
はぎ
矢作川の南端(西三河南部地方と呼ばれる)に
77億円
職員数
こ れ を 受 け て、 平 成 年 4 月 の 合 併 と 同
時 に、 企 画 部 企 画 政 策 課 内 に フ ァ シ リ テ ィ
積立金残高
施設マネジメント方針を策定
415億円
位置(図表1)し、面積は約160㎢、人口は
87.2%
市債残高
マネジメント(以下「FM」と略す)の専任組
経常収支比率
約 万人の中核的都市である。
3か年平均=0.93
(全国132位)
本市における公共施設再配置の取り組みに
歳入551億円・歳出529億円
財政力指数
海、 山、 川 の 豊 か な 自 然 に 恵 ま れ た 本 市
は、 日 本 経 済 を 支 え る 自 動 車 関 連 産 業 の 集
積 地 で あ る と と も に、 全 国 有 数 の 生 産 量 を
誇るてん茶(抹茶の原料)やウナギ養殖をは
じ め、 洋 ラ ン、 カ ー ネ ー シ ョ ン、 ア サ リ 等
の 魅 力 あ ふ れ る 地 域 資 源 を 有 し て い る。 こ
年7月に私が市長に初当選し
うした全国的にも誇れる豊かな資源につい
て は、 平 成
ず
て究極の行財政改革として速やかに着手し
は
年4月1日)によってもた
た、旧幡豆郡三町(一色町・吉良町・幡豆町)
との合併(平成
「自然と文化と人々がとけあ
西 尾 市 は 今、
一般会計
17
らされたものである。
23
年近い寿命が
題は短期的な対策で解
あ る こ と か ら、 こ の 問
般的に
い。 ま た、 建 築 物 は 一
円滑になるわけではな
けで行政内部の調整が
常 に 大 き い が、 そ れ だ
組織の設置の意義は非
必 要 が あ る た め、 専 任
横串的に事業展開する
FMは縦割組織の中で
職 4 人 ) を 設 置 し た。
ジ ェ ク ト チ ー ム・ 事 務
織( 公 共 施 設 対 策 プ ロ
23
決できるものではな
市政 JUNE 2014
19
50
21
い 心豊かに暮らせるまち」を目指すべき将
来の都市像として、
「融和」を基本理念とした
図表1 西尾市の位置と財政規模(H24 決算)
17
4
寄稿
特集 ファシリティマネジメントで公共施設の有効活用
開 し た。 基 本 計 画 で は、 公 共 施 設 再 配 置 を
『 西 尾 市 公 共 施 設 白 書 2 0 1 1』 も 併 せ て 公
対象施設約350の現状データを網羅した
本計画』を策定し、その資料編として再配置
平 成 年 3 月、 公 共 施 設 の 新 た な マ ネ ジ
メント方針である『西尾市公共施設再配置基
策が必要となる。
く、 継 続 性 の あ る 経 営 戦 略 方 針 に 基 づ く 対
め に、 西 尾 市 が 現 時 点 で 保 有 す る 公 共 施 設
お、 併 せ て 再 配 置 の 必 要 性 を 明 確 に す る た
考え方(理念と方針)と行程表を定めた。な
と と も に、 本 市 の 再 配 置 に 対 す る 基 本 的 な
を再配置する5つの理由について説明する
現すること」と定義して、西尾市が公共施設
維 持・ 管 理・ 運 営 方 法 お よ び 施 設 配 置 を 実
析 し て、 公 共 施 設 の よ り 効 率 的・ 効 果 的 な
ま え て、 公 共 施 設 の 現 状 と 課 題 を 調 査・ 分
ある。
な情報公開は、それを具現化した取り組みで
本市が進める公共施設の現状や課題の積極的
は、そのことを目指した考えである。そして、
る公共施設の未来」とした再配置の基本理念
あり、本市が掲げた「市民と行政が共に考え
こうした危機的な局面に対する市民および
市議会の理解こそが公共FM推進の原動力で
と か ら、 自 治 体 の 多 く は 本 市 と 似 た よ う な
はなく全国の自治体が抱える問題であるこ
ラの老朽化問題を含めて本市個別の課題で
斉 更 新 問 題 は、 道 路 や 橋 な ど の 社 会 イ ン フ
ら か に し た。 言 う ま で も な く 公 共 施 設 の 一
財政的に不可能であるという試算結果も明
(ハコモノ)をすべて建替え更新することが
か ら 脱 却 し、 施 設 と 機 能 と を 切 り 分 け て 考
整備するという従来型の施設配置の考え方
ためにも一つの機能のために一つの施設を
次 世 代 の 負 担 軽 減 を 図 る こ と で あ る。 そ の
頼 ら な い 独 自 の 財 源 を 少 し で も 確 保 し て、
い 規 模 に 行 政 サ ー ビ ス を 見 直 し、 国 や 県 に
4
会インフラ)の在り方を速やかに見直ししな
済学部教授は「自治体が保有する公共施設(社
演会の講師として招いた根本祐二東洋大学経
活と行政との新たな関係を考えることであ
施 設 再 配 置 を 考 え る と い う こ と は、 市 民 生
完 結 す る も の で は な い と い う こ と だ。 公 共
し か し、 こ こ で 誤 解 の な い よ う に 強 調 し
て お く が、 再 配 置 は 建 築 物 の 統 廃 合 だ け で
公共施設再配置をまちづくりの出発点へ
進しなければならない。
い!)は残していくという再配置を着実に推
廃 合 し て 整 理 し、 必 要 な 機 能( 施 設 で は な
4
え て、 経 営 資 源 と し て 必 要 の な い 施 設 は 統
平成 年4月からは、公共施設経営室と改
称したFM専任組織に、施設の経営的評価だ
ければ、利用者の生命を脅かす危険な施設ば
り、 そ れ は 今 後 の ま ち の 在 り 方 の 枠 組 み に
かりになるか、全施設の維持負担により財政
大きく影響する未来のまちづくりの礎とも
年3月に策定
フ レ ー ム
破綻を招くか、いずれもイバラの道しか残さ
言 え る。 だ か ら こ そ、 平 成
26
はたん
れていない」とわれわれに警鐘を鳴らされた。
を配置した。同年5月に開催した公共FM講
けでなく技術的評価もできるように建築技師
24
従来型の公共施設の在り方からの脱却
現状(試算結果)であると思われる。
ロードマップ
「公共FMという経営管理活動の考え方を踏
これからの自治体経営に求められるもの
は、 将 来 の 人 口 お よ び 財 政 規 模 に ふ さ わ し
図表 2 西尾市公共施設再配置実施計画 2014 → 2018
24
20
JUNE 2014 市政
特集 ファシリティマネジメントで公共施設の有効活用
なまちづくりの出発点」を最重要テーマにし
2014→2018(図表2)』では、「新た
し た『 西 尾 市 公 共 施 設 再 配 置 実 施 計 画
な官民連携が必要不可欠である。
の大胆な導入など、積極的な市民協働と多様
の構築には、市民の先見的な英知、民間活力
ある。それだけに、これからの公共サービス
に限界を感じるので、民間企業の自由で独創
る。残念ながら、従前のような行政主導によ
民間企業からの提案を受けることにしてい
進 め て 汲 み と っ た ニ ー ズ を 反 映 さ せ た 上 で、
今後さらに市民との対話(ワークショップ)を
年度までの5年間に着
も た ち に と っ て 何 が 最 善 か、 地 域 を 元 気 に
年後の西尾市を支える子ど
従って、ワーキンググループ、Eモニター
といった市民の視点を踏まえて策定した実施
的な発想を採り入れるため、行政の仕様要望
年 後、
するためには何が必要かという未来志向の
計 画 だ が、 具 体 的 な 再 配 置 後 の 姿、 例 え ば、
を最小限に抑えた「性能発注」を想定してい
た。
視 点 か ら、 新 し い 公 共 空 間 を 創 造 し て い く
新設する多目的新生涯学習施設の仕様や施設
る。そして、民間企業からの提案方式につい
年度から
施設131棟の再配置プランや
平成 年4月にFM専任組織を課内室から
課に格上げ(総務部資産経営課)した。ここを
いと考えている。
配置を地域経済の活性化にもつなげていきた
F I 事 業 の 新 し い 方 式 を 導 入 し、 公 共 施 設 再
ても、地元企業が中心となり施設運営するP
るプランニングでは、新しい公共空間の創造
道標が、この実施計画である。
跡 地 を 利 用 し た 定 住 促 進 プ ラ ン に つ い て は、
平成
手する
年間の再配置目標値などを示した第一次実
施 計 画 の 詳 細 は 紙 幅 の 都 合 で 省 く( 本 市 の
ホームページから閲覧可)が、その策定にあ
た っ て は 市 民 の 声 を 多 面 的 に 取 り 入 れ た。
具 体 的 に は、 市 民 お よ び 学 識 経 験 者 等 で 構
成する西尾市公共施設再配置検討ワーキン
回にわたって検討し
グ グ ル ー プ を 設 置 し、 こ こ で 行 政 が 提 示 す
る再配置方針案等を
て い た だ い た。 ま た、 同 様 に 電 子 メ ー ル で
意見を伺う西尾市公共施設再配置Eモニ
ターも市民公募した。
民と官との新たな連携を目指す
今後の西尾市の取り組み
多様な価値観が混在する現代社会では、万
人が満足する百点満点の政策合意は現実的に
難しく、多岐にわたる行政課題についても行
中心に全庁的な取り組みとして実施計画は推
進するが、まず市職員自身が、公共施設再配
置が持続可能な自治体経営戦略に必要な政策
であるということと、新たなまちづくりの出
発点となることを十二分に自覚しなければな
ら な い。 こ う し て 初 め て 市 民 と の 対 話 の 席 に
着くことができるのである。
私 は 今 年 度、 平 成 年 度 を 本 市 が 大 き く
「 飛 躍 」 す る 年 と し て 位 置 付 け た。 こ れ ま で
に見られない新たな官民連携手法によって
公共施設再配置に取り組む西尾市の果敢な
「挑戦」に今後とも注目していただきたいと
思う。
市政 JUNE 2014
21
26
30
30
12
26
30
政だけで克服することは極めて困難な時代で
平成24・25年度に12回開催された西尾市公共施設再配置検討ワーキンググループの様子
20
41 26
年 に は 中 核 市 に 移 行。 そ の 後、
万人の都市
周年を迎え
年における本市の人口
図表1 平成 25 年度予算の約 2.4 倍の財源が必要な修繕更新費用(平成 23 年度末時点の試算)
100
50
平成25年度予算の
修繕更新費用49億円
0
と じ き
する。
ただし
ハコモノの主な課題と
解決策の方向性(平成
年度)
年 度、 財 政
1 5 0 億 円 で あ る こ と が 判 明。 こ れ は、 人 件
いて、普通会計のハコモノ関連経費は、年約
運営の指針「宮崎市中期財政計画」の策定にお
コモノ関連経費」がある。平成
本市は、約1000施設のハコモノを保有
し て い る。 課 題 と し て は、 ま ず、「 多 額 の ハ
・
以外の学校や住宅、公民館などをハコモノと
なお、本稿では、公共施設のうち、道路や
橋りょう、上下水道などをインフラ、これら
いる。
トとし、以下「FM」と表記)」に取り組んで
見直し(本稿では、ファシリティマネジメン
ど ) を 確 保 す る た め、「 公 共 施 設 の 抜 本 的 な
こ の よ う な 状 況 を 踏 ま え、「 次 世 代 に つ な
ぐまちづくり」に必要な資源(人材や財源な
見込まれる。
宮崎市長(宮崎県) 戸敷 正
みやざき
将来世代に重荷を背負わせない
「現役世代の責務」
人口減少社会を見据えた
ファシリティマネジメントの実行
遂 げ、 平 成
年に市制施行
近隣4町との合併を経て人口約
と な り、 平 成
た。現在、市総合計画の目標とする都市像「活
力と緑あふれる太陽都市 ・・・
みやざき ・・・
」の
実 現、 そ し て、 南 九 州、 あ る い は 東 九 州 の
「核」となる都市を目指し、
「次世代につなぐ
まちづくり」
を推進している。
年後の平成
と こ ろ で、 国 立 社 会 保 障・ 人 口 問 題 研 究
所 に よ る と( 平 成 年 3 月 公 表 )、 平 成 年
から
動 態 は、 総 人 口 が 約 4・5 万 人 減、 生 産 年 齢
人 口 が 約 6・9 万 人 減、 老 年 人 口 が 4・2 万
22
2058 年
2053
2048
2043
2038
その他
住宅
学校
150
宮崎市は、宮崎県都として大正 年に市制
を施行し、高度経済成長期に合わせて発展を
22
図表1 平成25年度予算の約2.4倍の財源が必要な修繕更新費用(平成23年度末時点の試算)
人 増 と な る。 経 済 が 収 縮 し て 税 収 が 減 る 一
50年間の総額は5,800億円、
年平均は116億円の見込みです
学校関係と市営住宅が全体の
約65%を占めます
億円
200
13
90 40
10
26
方 で、 社 会 保 障 費 が 相 当 程 度 増 え る こ と が
23
22
52 25
2033
2028
2023
2018
2013
30
5
寄稿
22
JUNE 2014 市政
特集 ファシリティマネジメントで公共施設の有効活用
図表2 ハコモノに関する市民アンケートの結果(抜粋)
たハコモノは約
% に 達 し、 今 後
年間の
素(近隣施設・類似施設の有無や防災対策な
修 繕 更 新 費 用 は、 平 成
に評価する。
費・公債費・社会保障費(扶助費、国保・介
護保険・後期高齢特会への繰出金)といった
新 費 用 の 約 2・4 倍 に 当 た る 年 平 均 約
ど)を勘案し、市民の意見を踏まえ、総合的
実質の義務的経費約990億円を除いた裁量
1 1 6 億 円 と い う 試 算 と な っ た。 将 来 に わ
同計画に「公共施設の在り方を抜本的に見直
ノ 関 連 経 費 の 削 減 は 不 可 避 で あ る と 判 断 し、
占める。財政健全化を実現する上で、ハコモ
ことを確認した。
有し続けることは「実質的に不可能」である
た っ て、 現 在 保 有 す る ハ コ モ ノ を す べ て 保
での予算査定では大胆な見直しができなかっ
見直しの評価となった。この中には、これま
年度予算の修繕更
%を
す」ことを明記。これが本市のFMのきっか
設も含まれる。評価を決定する過程では、後
わからない
18人(3.1%)
公 共施設 の 見直し(経 費や施 設 数 の 削 減 、民 間 活 用など)が 74. 4%となり、
た、近隣4町との合併によって増えた類似施
用者のアンケートを実施した。
パブリックコメントや市政モニター・施設利
針では、最適な量を保有する「総量の最適化」
「宮崎市公共施設経営基本方針」を策定。同方
と、長寿命化や維持管理費の削減、使用料の
ま た、 平 成 年 度 か ら、 宮 崎 市 中 期 財 政
計画と連動した維持管理費の削減の取り組
また、実効性のあるFMには「財政運営と
連動した、全庁横断的な組織体制」を構築す
針と定めている。
審 査 す る 仕 組 み を 導 入 し た。 平 成
管理料の積算が同計画と整合しているかを
み と し て、 公 の 施 設 の 指 定 管 理 者 を 更 新 す
適正化などによる「質の向上」の2つを経営方
ることが肝要である。そこで、FM業務の総
結果は、平成
年度の
る 際、 決 算 や 利 用 状 況 な ど を 分 析 し、 指 定
括担当は財政課、最終決定は、私をトップと
である。
位置付けている。
利用者市民と負担者市民の
(平成
合意形成の取り組み
年度)
年度予算に反映させたところ
25
平成 年度にデータベース化した情報をも
とに、「総量の最適化」「質の向上」を実現する
施設を利用せずに税金を負担している市民)
具体的な取り組みとして、平成
設評価をスタートさせた。施設評価では、定
年 度、 ハ コ モ ノ に 関 す る 市 民 ア ン ケ ー ト
と の 合 意 形 成 が 肝 要 で あ る。 そ こ で、 平 成
FMの推進では、利用者市民(普段、施設
を 利 用 し て い る 市 民 ) と 負 担 者 市 民( 普 段、
25
年以上経過し
88
する最上位の政策決定会議「戦略推進会議」と
25
26
( 無 作 為 抽 出 の 2 0 0 0 人 対 象 ) を 実 施 し、
25
けである。
多くの市民の皆さんが、公共施設の見直しを求めていることが分かりました。
ス を 提 供 す る 指 針 と し て、 平 成
こうした分析を踏まえ、ハコモノの課題を
解決し、将来にわたって、真に必要なサービ
25
述の市民アンケートに加え、評価案に対する
26
年3月に
の大きい経費約510億円のうち、約
平成 年5月、平成 年度対象の341施
設分の評価がまとまり、 施設が、何らかの
50
年度から施
「総量の最適化」「質の向上」
の
(平成 ・ 年度)
取り組み
25
量的な要素(品質・供給・財務)と定性的な要
市政 JUNE 2014
23
30
23
45
24
23
次 に、「 老 朽 化 の 進 行 と 巨 額 な 修 繕 更 新 費
用」が課題となっている。平成 年度に老朽
「将来も必要な公共施設を維持(保有)するための方法」をお尋ねしたところ、
24
25
24
使用料の
値上げ
112人(19.4%)
無回答
8人(1.4%)
30
税金の投入
10人(1.7%)
施設の見直し
(経費や施設
数の削減、
民間活用など)
430人 (74.4%)
化 の 状 況 を 分 析 し た 結 果、
図表2 ハコモノに関する市民アンケートの結果(抜粋)
特集 ファシリティマネジメントで公共施設の有効活用
%
施設評価の評価案の「重要な参考資料」とし
の醸成につながるものと考えている。県外の
機運が高まり、FMに対する本市の市民意識
内外の自治体の取り組みが推進されてFMの
合・ 集 約 を 進 め て い く こ と が 欠 か せ な い と
正 に 見 極 め な が ら、 必 要 に 応 じ て 機 能 の 統
て、「 将 来 に わ た っ て 真 に 必 要 な 機 能 」 を 適
て 活 用 し た。 ア ン ケ ー ト 結 果 で は、 約
の市民が見直し(経費や施設数の削減、民間
体等FM連絡会議(自治体が任意に加入して
いるFMを推進する全国組織)の代表幹事と
なったこと、さらに、同会議が7月に本市で
今後も先頭に立ってFMを推進
対 策 の 拠 点 と し て、 本 市 に と っ て 欠 か す こ
イ ン フ ラ は、 市 民 の ラ イ フ ラ イ ン と し て、
ハ コ モ ノ は、 教 育 や 福 祉、 市 民 活 動、 災 害
期待している。
災 害 時 に お い て、 公 共 施 設 は、 市 民 の 大 切
市 で は、 イ ン フ ラ の 老 朽 化 も か な り 進 行 し
とができない「財産」である。また、大規模
県 内 の 自 治 体 と の 連 携 で は、 平 成 年 度
に本市の呼び掛けで県内9市による意見交
な生命・財産を守る「担い手」でもある。本
に関する情報交換や課題解決策の研
て お り、 限 ら れ た 財 源 を 集 中 的 に 投 資 し、
インフラの老朽化対策にも取り組まなけれ
に 移 転 さ せ、 機 能 を 一 つ の 建 物 内 に
童センターの機能を同地域内の高台
た地域センター(庁舎)、公民館、児
て、 保 育 所 と、 同 地 域 内 の 老 朽 化 し
の向上」を両立するモデル事業とし
に、同地震対策と「総量の最適化」「質
朽化した保育所の施設評価を契機
る。 そ こ で、 市 南 部 の 青 島 地 域 の 老
る と の 自 覚 の も と、 私 が 先 頭 に 立 っ て F M
あ り、 か つ、 私 に 課 せ ら れ た 至 上 命 題 で あ
こ の よ う な こ と か ら、 F M は、 将 来 世 代
に重荷を背負わせない「現役世代の責務」で
が引き継がれようとしている。
共施設の修繕更新費用を背負う「厳しい将来」
国・県・市の借金、社会保障費、そして、公
に は、 私 た ち 現 役 世 代 よ り も 少 な い 人 数 で
その一方で、将来に目を向けると、人口減
少 社 会 が 到 来 し、 子 ど も や 孫 な ど の 将 来 世 代
ばならない。
統合・集約した「複合型防災施設」を
を 推 進 し、「 活 力 と 緑 あ ふ れ る 太 陽 都 市
・・・
新 た に 整 備 す る。 今 後 の F M に お い
みやざき
」を将来世代につなげたい。
・・・
て は、 こ の 事 業 を 一 つ の モ デ ル と し
ま た、 本 市 は、 南 海 ト ラ フ 巨 大 地
震による甚大な被害が想定されてい
会を設立する予定である。
究 を 推 進 す る た め、 9 市 に よ る 研 究
換 会 を 開 催。 平 成
年 中 に は、 F M
開催されることから、大きく推進するものと
考えている。
自治体との連携では、本市が
年度から自治
活力の導入など)を求めている。今後のFM
を進める上で、参考にしたいと考えている。
これからの取り組み(平成 年度以降)
4
1保育所 2児童センター
3公民館 4地域センター
3
26
75
平成 年度以降は、施設評価のほか、使用
料の見直し基準の策定、他自治体との連携な
4施設を統合・集約して再配置
25
26
ど を 推 進 す る。 特 に、 他 自 治 体 と の 連 携 は、
2
1
26
26
本市のFMのレベルアップだけではなく、県
写真1 青島地域の4施設を再配置しての複合型防災施設を整備
24
JUNE 2014 市政
人材サイクルの実現で目指す
デザイン志向の戦略的地域づくり
は現在の飯田市を中心市とする南信州地方全
域の傾向でもあった。文化を受け入れる土壌
置かれた地理的環境もさることながら、絶
えず流入してくる最新の文化を十分に消化
によって太平洋側とも緊密に結ばれていた。
三州街道・遠州街道および天竜川の水運など
る「山上の都」と呼ばれていたという。同時に
や江戸を発信源とする最新文化が常に流入す
南 信 州 地 方 の 中 核 都 市・ 長 野 県 飯 田 市 は、
近世の幕藩時代には東山道などを経由し、京
交通網、高速交通網から漏れた都市は次第に
にも大きな格差が生まれる。付随して新たな
が築かれる例が続出。さらに近年の高速交通
い地理的環境条件を持つ地域に新たな都市圏
していく。端的には鉄道や道路建設をしやす
理的、文化的環境条件は、随所で有名無実化
ところが近代以降に交通網の急速な整備が
進むにつれ、近代以前に培われたわが国の地
か ら 約 4 時 間、 名 古 屋 か
約 4時間、大阪
山上の都から日本の十字路へ
し、独自の地域文化へと紡ぎ上げていった「飯
人口減少化への道を歩む傾向が目立つように
ら約2時間、長野市から約3時間。本数の少
が深く豊かに準備されていたのだろう。
田の特質」は、その教育熱心な(学習を好む)
なっていく。
網時代を迎えるに至って、企業立地環境など
地域性によるところが多かったようだ。現在
年2月末時点)に
26
長 年 に わ たって 高 速 交 通 網 の 波 に 乗 れ ず に
いた飯田市が、今大きく変容しようとしてい
車を利用するのが最速とされる)。
名 古 屋 ま で 新 幹 線 を 利 用 し、 名 古 屋 か ら 自 動
ない鉄道(中央線経由)では東京から約4時間
も長野県はしばしば教育県と呼ばれ、教育熱
まきのみつお
半 掛 か る( 現 実 的 に は 東 京 か ら も 大 阪 か ら も
牧野光朗
飯田市長
飯 田 市 も そ の 例 に 漏 れ ず、 昭 和 年 の 約
万4000人をピークに人口の増減を繰り
心な土地柄に定評があるが、江戸時代の記録
10
高速バスによるアクセスでは東京から
万5000人(平成
返しつつ、長期的には漸減傾向が続き、現在
は約
に既にその特質が現れている。
飯田の寺子屋設置数は群を抜いており、それ
止まっている。
25
例えば寺子屋設置数(人口比)において、信
州は全国トップクラスだった。中でも城下町・
11
飯田市
ポ
ル
政
市
だ
い
い
(長野県)
32
JUNE 2014 市政
年 度 中 に 着 工 が 予 定 さ れ る リ ニア 中 央 新 幹 線
ネル(長野県・静岡県の県境)の工事が着手さ
月にルート中最難関とされる(仮称)青崩トン
動車道(延長約100㎞)についても、今年3
の中間駅の一つに飯田市が選ばれたのだ(正確
れ、長野県側は現道活用区間も含め全線にわ
年開業を目標とし、今
なルート は 品 川 〜 相 模 原 〜 甲 府 〜 飯 田 〜 中 津
たり工事着手された。この三遠南信自動車道
る。昨年9月、平成
川〜名古屋)
。リニア中央新幹線の開業後は、
の整備が完了すれば、飯田市から浜松市との
45
さらに長年の懸案となっていた三遠南信自
時間距離は飛躍的に短縮されることとなる。
東京(品川)〜飯田市が何と 分程度、名古屋
39
〜飯田市が 分程度で結ばれることになる。
リニア時代を前提とする産業づくり
「これによって江戸時代に山上の都と呼ばれ、
江戸や京の文化が集まり、陸運や水運で太平洋
側とも結ばれて栄えた飯田は再び、リニア中央
新幹線で東西の大都市圏と直結するとともに、
三遠南信自動車道によって中央構造線に沿った
南北の大動脈までが、よりパワーアップした形
で復活するこ
とにな り ま す。
日本の中央部
に位置する南
信 の 地 に、 最
先端の高速交
通網による文
化 的・ 経 済 的
な十字路が新
たに誕生する
ことになるわ
けです」
そう語る牧
野 光 朗・ 飯 田
市政 JUNE 2014
33
昭和22年の飯田市大火からの復興の象徴である中心市街地を貫く「りんご並木通り」
暴れ川の異名もある天竜川は南信地方の自然を形成する大動脈
25
日本のチロルとも呼ばれる
「下栗の里」
の秋
市 長 は、
「時代の転換点ともいうべき大きな
変化」を迎えている現況とは裏腹に、非常に
冷静だ。というのも飯田市は既に、最先端の
高速交通網に一気に組み込まれることになる
事態を客観的に見据え、さまざまな準備をし
ている。リニア中央新幹線や三遠南信自動車
だ け の 準 備 も 含 め て )、 周 囲 の 環 境 変 化 に 揺
最大限の努力をし、なったとしても盛り返す
力向上を旨とする人材育成に取り組んでいる
ともに、展示会などを通じた販路拡大や技術
の地域一貫受注、一貫生産体制を構築すると
農業・食品関連、林業関連、観光関連産業な
関連、水引や革製品をはじめとした伝統産業、
ている地域資源としての産業(精密機械工業
するのではなく、地域に既に立地し、根付い
る」という。ただやみくもに企業誘致に奔走
画した、地に足の着いた振興策を心掛けてい
例えば一つ目の産業づくりについて、牧野
市長は「いわゆる安易な企業誘致とは一線を
と静岡県含む
は、取材後の4月末の時点で、新たに長野県
愛知県、岐阜県、三重県の 自治体(現行)
が指定を受けている同クラスター形成特区
決定しました」(牧野市長)
の当地域(計5市町村)の参加も、今年2月に
NO1航空宇宙産業クラスター形成特区』へ
中ですが、併せて国際戦略総合特区『アジア
自 治 体( 飯 田・ 下 伊 那 の 5 市
自治体と
また、航空宇宙プロジェクトとは別に、南
ス ケ ー ル を 広 げ て お り、 今 後 の 展 開 が 非 常 に
34
JUNE 2014 市政
してきた精密機械工業や電気電
子技術関連産業分野における、技
術 力 の 高 い 企 業 が 集 積 し て い る。
その技術力を土台に今後の成長
が予測される航空機産業に着目
し、飯田市および下伊那地区の関
連企業が結集し取り組んでいる。
「 飯 田 航 空 宇 宙 プ ロ ジ ェ ク ト 」
は、 牧 野 市 政 1 期 目 の 平 成 年
らぐことのない自主自立の地域づくりを目指
( 窓 口・ 拠 点 は 牧 野 市 長 が 理 事 長 を 務 め る 公
益財団法人南信州・飯田産業センター)。
ど)を磨き上げ、時代に即応したさらなる競
町村を含む)が追加申請し、全体
「 こ の 航 空 宇 宙 産 業 ク ラ ス タ ー の 力 を よ り
強固なものとするため、拠点工場を現在建設
争力の向上を目指している。
その周到な準備はリニア時代を見据えた
「産業
づくり」「人づくり」「地域づくり」
に大別される。
している。
社 が 参 画 し て い る。 航 空 機 部 品
に 立 ち 上 げ、 現 在、 地 域 企 業
18
37
楽しみだ。
44
道 の 開 通 自 体 に 焦 点 を 当 て る の で な く、「 そ
の後のまちづくり」を、長期的ビジョンに基
づいた、多角的かつ見事に連関した手法の積
800年の歴史を持つ湯立神事
「霜月まつり」
象徴的な事例が「飯田航空宇宙プロジェク
ト」だ。飯田市にはかつて繁栄を誇った製糸
業(養蚕・製糸)からの技術移転で起業し成長
65
21
み重ねによって同時並行で進めているのだ。
しかもそれらのまちづくりは、リニア開通
後の交通利便性のプラス面ばかりを念頭に置
いていないところが特徴的だ。あるいは一時
的にでも東京〜名古屋間の通過駅になる可能
性さえ踏まえた(もちろんそうならないよう
飯田産業センター 1Fにある名産品売り場
信地方の食品関連企業と精密機械工業の企業
田市の自然環境は、今も非常に豊かなまま維
プラン」を策定、平成
年に環境文化都市宣
年には内閣府から
例えば神楽や人形浄瑠璃などの伝統文化とし
4月には「再生可能エネルギーの導入による
環 境 モ デ ル 都 市 に も 選 定 さ れ た。 さ ら に 昨 年
言を行い、さらに、平成
て、今も市民の暮らしの中に根強く息づいて
持続可能な地域づくりに関する条例」を施行。
持されている。文化の結節点としての歴史は、
いるが、さらに独自の発展も遂げている。N
同条例には再生可能エネルギーを地域住民共
約 社が集結し、共同で取り組む「飯田メディ
HK人形劇『三国志』で知られる世界的な人形
有の財産と見なす「地域環境権」が盛り込ま
年4月に立
ンター)
。
美術家・川本喜八郎氏の人形美術館の存在や、
れ、 現 在、 同 条 例 に 基 づ く 多 彩 な 環 境 施 策・
カルバイオクラスター」を平成
同クラスターは食品と医療機器の2分野
の 分 科 会 を 持 ち、 地 元 産 の 農 産 物 を 使 っ た 機
世界中の人形劇アーティストが注目し、積極
事業を実施している。
ち上げた(窓口は同じく南信州・飯田産業セ
能 性 食 品 の 開 発 や、 精 密 機 械 工 業 の 技 術 を 生
的 に 参 加 し た が る「 い い だ 人 形 劇 フ ェ ス タ 」
(毎年8月開催)はその象徴だ。
かした高度な医療機器の開発や人材育成を目
指 し て お り、 地 元 の 飯 田 女 子 短 期 大 学 や 医 療
その一例として上村地区では小水力市民
共同発電事業の実現に積極的に取り組んで
このように豊かな自然環境の中、独自の民
俗文化を継承してきた飯田市民の環境に対す
上村地区は平成の合併で新たに飯田市に組
み 込 ま れ た 中 山 間 地 域 だ が、 人 口 減 少 や 少
機関と連携してさまざまな事業に取り組んで
景に、平成8年には地球温暖化対策を骨子と
子化、高齢化の急速な進展により、地区内の
いる。
いる。
いいだ環境
21’
る意識は非常に高い。そうした市民意識を背
そのほか、市田柿のブランド化をはじめと
する農業振興、各種農産品の六次産業化、地
する低炭素社会実現に向けた「
用や木質バイオマスエネルギー資源の利用促
進などを目指す持続可能な森林づくり、新交
通 網 時 代 を 見 据 え た 広 域 観 光 振 興 な ど、 リ
ニア時代を見据えた産業づくりの事例は多角
的・同時進行的に実施されている。
入口だけでなく
出口も備えた地域づくり
飯田市の地域政策の特徴を「多様な主体に
よる協働」とする牧野市長は、産業界やNP
O、市民などの協働による地域づくりを推進
している。
市政 JUNE 2014
35
19
21
元産の木材を活用したエコハウスの建設と活
NHK
『三国志』
に使用した人形を中心に展示される
「川本喜八郎人形館」
25
30
東に南アルプス、西に中央アルプスの峰々
がそびえ、市域を南北に天竜川が縦貫する飯
毎年8月開催の
「いいだ人形劇フェスタ」
ポ
ル
政
市
飯田市 (長野県)
拡大した。この持続可
能なエネルギーの地産
地消という仕組みを見
た。 し か し 牧 野 市 長 は「 こ こ で 休 園 し た ら、
保育園を休園せざるを得ない状況になってい
しもこの発電所が実現して売電収益を得られ
住促進を支援する事業を実施していたが、
「も
上村在住の保護者を対象に、上村地区への定
ながっている。
その後の小水力市民共同発電事業の発想につ
事 に 体 現 し た こ と が、
800年の歴史を誇る湯立て神楽を継承して
「保育園存続のための仕組みづくりという
入口から、市民共同発電事業を活用して財源
産業としても成り立たせる出口づくりにま
れば、その一部を保育園の運営に充てること
ではないか」と考えた。
づくりとはどのようなものなのかという設問
きた上村地域そのものの存続に関わる」と判
た」
という。
この発想は、エネルギーの地産地消を目指
すNPO法人「南信州おひさま進歩」が母体
に 対 す る 答 え も お の ず と 包 含 さ れ て い る。 そ
歩エネルギー株式会社」が市民の出資による
を自分たちの手で発見し、方法を編み出しな
れはすなわち、市民が自分たちの地域の課題
で至る構想」は、リニア時代を見据えた地域
このとき、飯田市では同じ上村地区を流れ
る小沢川で150 程度の小水力発電の可能
年度に設立した「おひさま進
「南信州おひさまファンド」によって、飯田市
がら克服していくという、自主自立の精神に
となり、平成
を立ち上げ、再生可能エネルギー固定価格買
カ所の保育園をはじめとする公共施設
性を見出していた。住民が主体となって事業
取制度によって、この発電所から生まれる電
内の
た検討を重ねていた。飯田市では、これまで
する「小水力市民共同発電事業」の実現に向け
光発電システムを設置し、エネルギーを供給
に、市民ファンドなどで調達した資金で太陽
上村地区での豊富な水流を活用した小水力
則った地域づくりである。
38
36
JUNE 2014 市政
する太陽光市民共同
発電事業や商店、中小
規模の事業所を対象
とするESCO事業を
年度から
成功させたことに由来
する。平成
年度までに飯田市内
市民共同発電所を平成
ル事業によって太陽光
ソーラー共同利用モデ
は環境省のメガワット
18
を中心に162カ所に
21
を確保し、さらにその仕組みを持続発展させ、
小水力発電
(上村プロジェクト)
で活用される予定の水源地
で、自立的な保育園の運営と存続ができるの
地元産材を使った環境にやさしい住宅を提案するエコハウス
断。「 と に か く 保 育 園 を 継 続 す る こ と を 決 め
川路地区のメガソーラー
気を売電し、その収益を地域の課題に再投資
16
kW
の地域づくりの一環であり、今後の展開が注
発電の試み(上村プロジェクト)は、自主自立
自分にふさわしい仕事を発見し、時には自ら
ちで地域の課題を発見し、克服する仕組みは、
現 が 可 能 な 仕 組 み が あ る と い う こ と。 自 分 た
ル(循環)を実現するための方策ともいえる。
づくり、地域づくりは、そんな人材のサイク
の道に至る仕組みでもある。自主自立の産業
それをつくり、生活を成り立たせて自己実現
目される。
デザイン思考が創る人材のサイクル
産業づくり、地域づくりは同時に人づくり
でもあるわけだが、飯田市には人材づくりに
人 材 の サ イ ク ル と い う 意 味 で 面 白 い の は、
平成 年から始まった「学輪IIDA」の取り
らに厚みを加えていく。それは現在も同様で、
誕生した公民館における市民活動を通じてさ
後、民主主義教育の推進を目的に全国各地に
ことは冒頭に述べた通りだが、その特質は戦
習を好む市民気質が江戸時代から続いている
れ始めており、飯田市や南信州に強い興味を
既に飯田市の次世代育成事業との連携にも表
も積極的に交流している。交流による刺激は
スタディ」などを通し、飯田市や周辺地域と
を学びの場とする「南信州・飯田フィールド
組みだ。全国の大学研究者や学生が、飯田市
おける土壌も歴史的に豊かだ。教育熱心、学
地区の各公民館には事業の企画運営
抱く研究者や学生も増えつつあるという。実
を担当する
飯田市
の専門委員会に900人の市民
際、これまで見てきたような飯田市の産業づ
くの人材が暮らしています。リニア時代を見
「 大 都 市 圏 な ど で は、 飯 田 市 で 暮 ら す 働 き
盛りの人々と同世代の、飯田を故郷とする多
一つでよく分かる。
動を率先して実施していることが、この事実
動という趣はなく、働き盛りの市民が地域活
き盛りなのだ。定年後の余暇を使った市民活
は事業構想力にほかならない」とも語る。リ
長はさらに「行政マンにとってのデザイン力
ち づ く り は デ ザ イ ン 力 に 満 ち て い る。 牧 野 市
「人口減少時代における地域経営は既成概
念を乗り越えたところから出発するべき」と
際的な見地からも興味津々の事例といえる。
くり、人づくり、地域づくりへの試みは、学
が参加しており、その主力は
据えた、自主自立の産業づくり、地域づくり
ニア時代を見据えた飯田市の複合的なまちづ
明瞭に見えている。
年4月
日)
な結果)に至る事業構想・デザインが、実に
の持論通り、牧野市長が牽引する飯田市のま
は、こうした飯田出身の有為な人材が再び故
くりには確かに、入口(構想)から出口(明確
ると考えています」(牧野市長)
郷に帰ろうとしたときの受け皿づくりにもな
代〜
代の働
23
(取材・文 遠藤 隆/取材日 平成
21
市政 JUNE 2014
37
50
老若男女が積極参加する公民館活動
各地の学生・研究者が飯田市および周辺地区で交流する
「学輪IIDA」
30
70
20
それは単に働き口が用意されているという
ようなことではなく、故郷に戻っても自己実
26
ポ
政
ル
市
飯田市 (長野県)
“一度は行ってみたい中津市”
を目指して
新貝正勝
中津市長
(大分県)
ま
じ
め
い ま す。 満 州 か ら の 引 き 揚 げ と い う 体 験
と 同 年 代 で す。 引 き 揚 げ 時 の 私 は、 食 糧
と が で き ま し た。 い わ ゆ る 中 国 残 留 孤 児
白 く、 私 の 人 生 に と っ て 貴 重 な 日 々 と
た。 銀 行 は 激 務 で は あ り ま し た が 大 変 面
大 学 卒 業 後 は 住 友 銀 行 に 就 職 し、 外 国
か わ せ
為替などを取り扱う外国係で勤務しまし
見 る 目 も 変 わ っ て 来 ま し た が、 当 時 は 常
日 で は 防 衛 庁 も 防 衛 省 に 昇 格 し、 世 間 の
は 人 の 嫌 が る 防 衛 庁 に 入 庁 し ま し た。 今
国 家 公 務 員 試 験 を 受 け 直 し、 当 時 と し て
り な い も の を 感 じ て い ま し た。 そ こ で、
あ る と 考 え てい ま す。ス ポ ーツ 観 光 で は
企 業 観 光、 福 祉 観 光 と さ ま ざ ま な ものが
見学する観光だけでなく、スポーツ観光、
ら で す。 そ し て 観 光 振 興 は、 単 に 名 所 を
ら、こ れ ら が 大 変 重 要 だ と 考 え ている か
リ カ や ヨ ー ロッ パ 諸 国 を 見 て き た 経 験 か
38
JUNE 2014 市政
「真面目に生きる」という事を信条にして
座右の銘 「一隅を照らす」
するのか、民族とは何か、国境とは何か、
いちぐう
「一隅を照らす」とは自分自身が置かれ
た そ の 場 所 で 精 一 杯 努 力 し、 明 る く 光 り
平 和 と は 何 か。 国 際 的 な 視 点、 各 国 の 歴
か ら、 国 が 滅 び る と は ど う い う 事 を 意 味
輝 く こ と を 意 味 し、 天 台 宗 を 開 い た 伝 教
史、 自 国 の 歴 史、 等 々 に つ い て 深 く 考 え
いちぐう
大師最澄の言葉といわれています。
も な く 栄 養 失 調 か ら 骨 と 皮 ば か り で、 と
なっています。
るようになりました。
ても生きて帰れるとは思えなかったとの
私は昭和 年2月に満州の奉天で生ま
れ、 昭 和 年 に 日 本 に 引 き 揚 げ て く る こ
事。 母 親 の 話 で は、 枯 木 の よ う に 軽 か っ
人の運命とは分らないものです。
に 日 陰 者 的 存 在 で、 名 刺 も 差 し 出 せ な い
全 国 か ら 集 ま る 小・ 中 学 生の サッカ ー 大
め
といった状況でした。
イハツ 九 州 ㈱ や T O T O ㈱、ル ネ サ ス ㈱
じ
防 衛 庁 在 職 中、 米 国 の ハ ー バ ー ド 系 の
大 学 院 に 留 学 し、 ま た 各 国 の 国 防 省 や 外
の工 場 を 見 学 す る 企 業 観 光。 福 祉 観 光 で
ま
また、父からは「真面目は最後の勝利」
と い う 事 を 幼 い 時 か ら 教 え 込 ま れ、 今 も
務 省、 国 連 の 難 民 支 援、 P K O 等 々 に 関
は福 祉の先 進 地である中 津 市には 全国か
群 は、 先 般 日 本 最 古 の も の で あ る こ と が
ま れ て い ま す。 羅 漢 寺 の 五 百 羅 漢 の 石 仏
会、水上スキー・ウェイクボード大会。ダ
連 す る 仕 事 に 携 わ る こ と が で き、 大 変 仕
ら多くの人が研修や視察に訪れています。
私は市長選挙の公約に観光振興、スポー
ツ 振 興 を 掲 げ て 来 てい ま す。 こ れ は ア メ
合わせだったと思っています。
黒田官兵衛資料館 入館者5万人達成イベント
(平成26年3月23日)
で記念撮影
ま た、 名 所 旧 跡 の 福 澤 旧 居 や 羅 漢 寺、
景勝地耶馬溪など多くの観光資源にも恵
たのでおぶって帰ることができたとの事、
し か し、 国 家 的 視 点、 国 際 的 視 野 か ら
物事を考えるという点からは何か飽き足
19
21
NHK大河ドラマ「軍師 官兵衛」
「中津城たにし祭」
で甲冑を着る筆者。葉隠砲術隊と
(左から2人目)
しんがい まさかつ
なかつ
Masakatsu Shingai
記念館への来館者も例年の4倍を超えてい
て、約
年が中津での生活となりました。
吉先生が一万円札の肖像として取り上げら
長に教えることが度々です。
い て は 市 の 部 課 長 が 知 ら ず、 市 長 が 部 課
道 路 や 地 域 の 事 柄 で、 昔 か ら の 変 遷 に つ
「軍師 官兵衛」
さて、NHKの大河ドラマ
が始まりました。実は中津城は黒田官兵衛
れた最初のA─1B号券と、第2回目の平
立証されました。
年に福 澤 諭
が最初に築き、細川忠興公がさらに堅固な
成
年のA─1B号券が並んでいます。昭
ものとした城です。この城郭は近世城郭の
和 年のA─
1A号券と平成 年のA─
1A
号券は日本銀行に保管されておりますが、
そ し て 少 人 数 で 大 規 模 な 経 営 を 行 い、 1
業 の 大 改 革 を 果 た し た い と 考 え て い ま す。
17
そ し て、 こ れ ら の 集 約 化 を 勇 気 を 持 っ
て実現したいと決意しています。
経営の一歩を踏み出しています。
農 地、 耕 作 放 棄 地 を 集 約 し 少 人 数 大 規 模
業 生 産 法 人 を 設 立 し、 今 年 4 月 1 日 か ら
だ と 考 え て い ま す。 中 津 市 山 国 町 で は 農
う 方 が 多 い と 思 い ま す が、 私 は 実 現 可 能
事 を 目 指 し て い ま す。 夢 み た い な 話 と 笑
このようにA─
1A号券に次ぐA─
1B号券
さて、「趣味」は「健康法」はという事に
なりますといささか答が出しにくい状況
「マイプライベートタイム」
と問われて
澤記念館だけです。
大河ドラマ「軍師 官兵衛」放映に合わせ
て1月 日にオープンした「黒田官兵衛資
料館」は5月で来館者が
ほ ど の 人 気 で す。 今、 中 津 市 に は 本 当 に
たくさんの観光客に来ていただいており
大 変 感 謝 し て い ま す。 N H K の 大 河 ド ラ
マに取り上げられた事が如何に大きな効
果 を も た ら す も の で あ る か を 実 感 し、 有
で す。 市 長 就 任 後、 特 に 平 成
年の市町
難く思っています。
村 合 併 後 は、 土、 日 も な く 働 き 続 け て い
る と い う の が 実 情 で す。 東 京 に い た こ ろ
ま た、福 澤 諭 吉 先 生の 福 澤 旧 居 や 福 澤
は ゴ ル フ、 テ ニ ス、 詩 吟、 山 歩 き な ど が
「健康法」でしたが、最近はそういった時
間 が と れ ま せ ん。 土、 日 は 必 ず 旧 中 津 市
や旧下毛郡の4町村において何らかの行
事 や 祭 事 が 開 催 さ れ、 ど れ も 市 長 が 出 席
す る 事 が 必 須 と な っ て お り、 む し ろ 同 じ
日の同じ時刻に開催される場合は心なら
ず も 他 方 を 断 る と い う 状 態 で す。 恐 ら く
多くの市長さん方がこの様な日々を過し
ふるさと
ておられることと思います。
「わが郷里中津市を良くしたい」との一
心で古里中津に帰ってきてから早や 年。
11
年間と通算し
国の重要文化財に指定される羅漢寺の「五百羅漢」
人で年収約1000万円の所得が挙がる
今後は「眠れる宝」である農業、林業、
畜 産 業、 そ し て 水 産 業 と い っ た 第 一 次 産
中では九州最古のものと言われています。
ま す。福 澤 記 念 館には昭 和
30
が二つとも保管されているのは中津市の福
2013日・中・韓親善水上スキー・ウェイクボード選手権大会
(前段2列目中央)
万人を突破した
59 16
幼少から高校時代までの
市政 JUNE 2014
39
59
16
17
10
19
第5回
江戸五街道
ちゅうおう
や
だ
よ し ひ で
中 央 区長 矢田美英
れ て か ら、
回 の 架 け 替 え、 改 修
代目である御影
点であり日本国道路元標が置かれ
に 日 本 の 要 で す。 江 戸 五 街 道 の 起
の 翌 年 に は 東 海 道、 中 山 道、 甲 州
に 徳 川 家 康 公 の 命 で 架 橋 さ れ、 そ
江戸のシンボル「日本橋」は、江戸
幕府が開かれた慶長8(1603)年
同 し、 和 洋 折 衷 の 秀 麗 な ル ネ ッ サ
土木の最高の技術陣と彫刻家が共
東 京 の シ ン ボ ル と し て、 時 の 建 築
(1911)年に、近代化の進む中、
を 経 て、 現 在 の
る「日本橋」、ファッショナブルで
街 道、 日 光 街 道、 奥 州 街 道 の 五 街
ンス様式アーチ型の石橋が建設さ
五街道の起点 名橋
「日本橋」
1 〜 2 を 争 う 小 さ な ま ち で す が、
上品な大人の顔を持つ日本一の
道 の 起 点 と し て 定 め ら れ た。 五 街
日本橋肴市之図(区立京橋図書館所蔵)
代目名橋「日本橋」は、明
44
下町情緒いっぱいの「人形町、佃、
関「八重洲」、江戸っ子気質の残る
オール街「兜町」、東京の陸の表玄
おいて極めて重要な位置を占めて
通 信 の 大 動 脈 と な り、 幕 藩 体 制 に
名 の 参 勤 交 代 は も と よ り、 流 通、
成 (1999)年には国の「重要
見 つ め、 震 災 や 戦 火 に も 耐 え、 平
治、 大 正、 昭 和、 平 成 の 4 世 代 を
20
パラリンピックの選手村ができる
月島」、2020年オリンピック・
地をつくるために関西から商人た
い た。 ま た、 家 康 公 は 城 下 に 市 街
成 (2011)年には、日本橋架
文化財」に指定されるとともに、平
11
心中の都心です。
ンドのようにキラリと光り輝く」都
動しており、「小さくともダイヤモ
活動している人々は生き生きと躍
徴 す る 名 所 が 凝 縮 し、 そ こ に 住 み
海の表玄関「晴海」など、東京を象
初代日本橋が木橋として建設さ
繁栄を支えていくこととなる。
大 繁 華 街 が 生 ま れ、 江 戸 の 発 展 と
や近江商人たちの大店が連なる一
が て、 日 本 橋 を は さ ん で 伊 勢 商 人
ち を 呼 び 寄 せ、 店 を 開 か せ た。 や
ている。
の中心といった新たな役割も担っ
は 日 ご と に 増 え、 本 区 の 舟 運 観 光
し て い る が、 発 着 す る 舟 運 ツ ア ー
年、橋詰の「日本橋船着場」を整備
橋 百 年 祭 が 盛 大 に 開 催 さ れ た。 同
23
23
石の名橋「日本橋」に至る。明治
区 の ほ ぼ 中 央 に 位 置 し、 江 戸 以
シ ョ ッ ピ ン グ ス ト リ ー ト「 銀 座 」、
れた。
23
し て 発 展 し て き た、 由 緒 あ る ま さ
19
道 は、 幕 府 の 直 轄 と さ れ、 諸 国 大
て 常 に 文 化・ 商 業・ 情 報 の 中 心 と
来400年を超える長きにわたっ
オリンピック・パラリンピックで
わがまちの
「黄金時代」
を築き上げる
はじめに
10
中 央 区 は 面 積 わ ず か ㎢。 東 京
都 全 体 の 0・ % と 区 の 中 で も
46
食 の ブ ラ ン ド「 築 地 」、 日 本 の ウ
20
街道とまちづくり
日 本 百街 道 紀 行
40
JUNE 2014 市政
ま つ り、 夏 の 橋 洗 い、 1 月 3 日 の
年行われている春の名橋「日本橋」
存会」をはじめ地域の方々により毎
シンボルとして、
「名橋『日本橋』保
重 な 橋 と い う だ け で な く、 地 域 の
このよ う にまさに日 本の中 心で
ある名橋「日本橋」は、歴史ある貴
設され、今となっては「負の遺産」
ら青空を奪った首都高速道路が建
前回東京で開催された1964
年大会では、名橋「日本橋」上空か
される。
会がわがまち中央区を中心に開催
ン ピ ッ ク・ パ ラ リ ン ピ ッ ク 競 技 大
わい・発展に結びつけて
う、本区のさらなるにぎ
歌することができるよ
ち快適な都心居住を謳
にわたって夢と希望を持
え、区民の皆さまが将来
そして2020年、さ
らにその先の未来も見据
高の「スポーツと平和の祭典」オリ
箱 根 駅 伝 復 路コースの催 し 物 な ど
て 日 本 橋 を 守 り、 次 の 1 0 0 年 に
今後も、地元の皆さまと一体となっ
た り 守 ら れ、 愛 さ れ 続 け て き た。
る本区としても長年にわたり切に
空 を 取 り 戻 す こ と は、 地 元 区 で あ
本橋川や昭和通りの上空に再び青
りに開催される東京五輪を機に日
白河
甲府
島田
由比
小田原
千 住 日本橋
品川
板橋
新宿
て江戸四宿と呼ばれた。
して甲州街道は内藤新宿で、まとめ
は板橋、日光・奥州街道は千住、そ
この五街道の、日本橋を出発して
最初の宿は、東海道は品川、中山道
街道。これらを五街道という。
宮から分かれて白河につながる奥州
光東照宮につながる日光街道、宇都
訪で中山道と合流する甲州街道、日
日本橋を起点として、京都にいた
る東海道と中山道、甲府を経て下諏
年後のことである。
戸幕府が開かれたのは、それから2
は、いち早く街道の整備に着手。江
徳川家康は関ヶ原の合戦に勝利す
ると、翌年の慶長6(1601)年に
日本橋からはじまる五街道
一口メモ
いきたい。
の 象 徴 と な っ て い る。 今 回
年ぶ
さ ま ざ ま な 活 動 を 通 し、 長 き に わ
しっかりと引き継いでいきたい。
願 う 大 き な 課 題 の 一 つ で あ る。 ぜ
ひ と も そ の 夢 を 実 現 で き る よ う、
国や都などに積極的に働きかけて
宇都宮
奥
州
道
中
日光
道
山
中
高崎
日
光
道
中
いく所存である。
ま た、 本 年 1 月 に 実 施 し た 区 民
意 識 調 査 で は、 区 民 の 8 割 を 超 え
る方( ・4%)から大会開催に対し
下諏訪
岡崎
宮
桑名
草津
京都
毎年恒例の日本橋「橋洗い」
企画協力 全
: 国街道交流会議「街道交流首長会」
東海道
期待を抱いている回答が得られた
こ と か ら も、 こ れ か ら 開 催 ま で の
6 年 余 り は、 中 央 区 の 魅 力 を 世 界
に向けて発信する絶好の機会と捉
え、 選 手 村 や 交 通 ア ク セ ス は も と
よ り、 日 本 橋 や 銀 座 を は じ め 区 内
全体の良好なまちづくりに一段と
弾 み を つ け、「 中 央 区 の 黄 金 時 代 」
江戸五街道
56
をしっかり築き上げていく決意で
ある。
市政 JUNE 2014
41
甲州道
中
中山道
81
今後の展望
2 0 2 0 年 に は、 世 界 最 大・ 最
舟運観光の中心を担う「日本橋船着場」
都市の
リスクマネジメント
韓国の海難事故
─改めて自治体の危機管理を考える
中邨 章
400 名 と も600 名 と もいわれる 家 族 が、
館 で 待 機 す る 被 害 者 家 族 へ の 対 応 で あ る。
人として理解に苦しむことのひとつは、体育
韓国で目下、進行中の事故への対応策には、
日本人の目に不思議に映る施策もある。日本
る必要がある。
の際、自治体における危機管理を改めて考え
ら日本の自治体として学ぶべき点は多い。こ
るべきかもしれない。しかし、今回の惨事か
が進んでいる中、拙速なコメントは差し控え
を含め、なお不明部分が残る。大事故の対応
の原因や責任については、船長や船員の行動
た。救出作業は今も続けられているが、事故
不明者も100名近くに上る大惨事になっ
行生をはじめ、死者が200名を超え、行方
仮設住宅を準備する手もある。それが無理な
韓国軍が持つ移動用兵舎や、近隣の民間ホ
テルなどを利用する方法、あるいは、応急の
ないのか、この点が理解できない。
族を環境条件の整った宿泊施設に、なぜ移さ
も疲労は限界にきている。悲しみにくれる家
つきない。被害者家族は精神的にも心理的に
ているか、施設は寒くないのか、懸念の種は
悪化が心配される。トイレは十分に準備され
える。体育館は喧噪以外に衛生環境の面でも
族に、プライバシーはほとんどないように見
が、連日のように押しかける。不安を抱く家
所には政府関係者をはじめ多数の報道記者
ンチで仮眠をとる人びともいるらしい。待機
状態を強いられている。施設の2階にあるベ
韓国の場合、家族が待機する体育館に間仕
切りは見当たらない。被害者家族は、雑魚寝
際に目にする避難所に似た光景が続く。
出情報を辛抱強く待つ、日本では災害発生の
ほとんどの人びとは布団の上に座りこみ、救
規 制 す る 対 策 を 立てて 置 く ことが 望 まれる。
治体はこの先、マスコミについて一層、厳しく
本ほど規制していないように思う。日本の自
は報道機関が待機所に出入りすることを、日
めて、マスコミの行 動が 気になった。韓 国で
られてきている。ただ、今回の海難事故を眺
る。その点、日本では韓国と異なる対策がと
ライバシーを守る間仕切り用素材が提供され
後、数日経つと体育館で過ごす家族には、プ
日本でも災害時には小学校などが避難所に
使われる。これまでの経験からいうと、発災
のことかもしれない。
怒りが、オープンな形で表面化するのは当然
い詰められ、精神的に不安を募らせる家族の
配りはされていないようである。心理的に追
限するなどの方策がとられるべきである。今
についても、時間を決めることや、人数を制
緩和する配慮が必要である。マスコミの取材
明治大学名誉教授、日本自治体危機管理学会会長 現場近くの学校の体育館に集まり、行方不明
ら、体育館に集まった家族に、せめて段ボー
%以上の自治体は既に、発災時の報道機関
不安と疲労の緩和
回、韓国からの映像を見る限り、そうした心
者の捜索作業を見守っている。その様子は連
ルの仕切りを準備し、不安や苦痛を少しでも
85
2014年 月、韓国の珍島沖で旅客船が
沈没するという海難事故が発生した。修学旅
日、日本にもテレビを通じて報道されてきた。
被害者家族への配慮
第 51回
4
44
JUNE 2014 市政
Risk Management
は、そのことを強く示唆しているようである。
を最優先する必要がある。韓国の悲惨な事故
に集まる人びとの苦痛や不安を和らげる施策
災家族への接触は代表者に限るなど、避難所
である。マスコミ対応は行政側で一元化し、被
ける報道機関の活動に一定の秩序を課すべき
の安定を確保するため、自治体は避難所にお
ミによる取材攻勢は苦痛である。被災者の心
入りする。不安を抱える避難者には、マスコ
災害現場や避難所に報道関係者は間断なく出
では不十分である。今回の事例にあるように、
に対応する専門職員を決めている。それだけ
け小さくすることが必要になる。
首長が判断する政策選択の幅と量はできるだ
善の策に なる。危機状況下の意 思決定では、
し」とするかどうか、最終判断を仰ぐのが最
ことである。その上で、首長にAの選択を「よ
Aが最も適切であることを、はじめに決める
B、Cの3 通りの政策オプショ ンがあれば、
迫られる。その際、補佐役の仕事は、仮にA、
不測事態が続くと、首長は各種の政策選択に
首長を補佐する役職者の機能が重要になる。
これを日本に引きつけていうと、危機状況
にあって自治体では副市長や総務部長など、
領の訪問意図を狂わせることになった。
てる仕事が任されている。その不足が、大統
れ、手錠姿で反省する姿には驚く。法治国家
う。ただ、船長がTVカメラの放列にさらさ
韓国の海難事故では、船長の早期脱出が問
題 視 さ れ て い る。 個 人 的 に は ひ ど い 話 と 思
には説得力がある。
の苦痛を大きく改善する。松崎市長の述懐談
した。女性に対するわずかな配慮が、避難者
と同時に、施設を外部から遮蔽する壁を設置
受け、市はその後、トイレを男女別に分ける
は、多数の人に見える状況にあった。批判を
隠す設備はなかった。女性がトイレに行く姿
ト イ レ に も 気 配 り が 必 要 に な る。 松 崎 茂
樹・浦安市長の経験を引くと、発災直後、市
では船長が有罪と断定されるまで「推定無罪」
しゃへい
は各所に簡易トイレを設置したが、それらを
韓国の海難事故では、大統領が家族の待機
する体育館に直接、出向き、かえって非難を
浴びるという想像外の出来事が起こった。首
を上げて説明すべきであった。「最大の努力を
何が、いつ、どう変わるかを、具体的な数字
は 当 然 で あ る。 そ れ に 加 え、 施 策 が 進 む と、
家族に、進行中の対策の詳細を説明すること
装が必要である。大統領が心理的に揺れ動く
こすためには、首長側に相当の準備と理論武
をあたえるためである。ただ、この行動を起
まる体育館にどのような設備があるか判然と
なかった節が強い。今回、韓国の被害家族が集
ると、日本では女性に関する危機対応は十分で
てあまりある光景であるが、これまでを振り返
安は、臨場感をもって日本にも伝わる。同情し
など、高校生を被害者に持つ家族の苛立ちや不
つく。号泣する母親、責 任者に詰め寄る女性
海難 事故に関わる韓国のテレビ報道を見る
限り、被害者家族の中に女性が多いことが目に
をおぼえる。
訟法の面でも、韓国の手続きにはやや違和感
とみなされる。裁判までの発言は、公判で証
重ねる」という約束を繰り返すだけでは、説
しないが、多数の視線が集まる中、女性が体育
女性への配慮を欠く危機対策
得力に欠ける。今回、大統領にそれだけの準
館で着替えをすることには勇気がいる。日本の
長が被害者の家族に接触し、事故現場に出向
備がなかったのかもしれない。その責任の一
場 合でも、自 治 体 は 女 性の避 難 者 に 配 意 し、
拠として採用されるのが通例である。刑事訴
部は、大統領を支える官房スタ ッフ にある。
衣服を着替える部屋や授乳する場所を別置す
1940年大阪生まれ。1963年関西学院大学
法学部卒業。1966年カリフォルニア大学バー
クレー校政治学部卒業(B.A.)
。1973年南カ
リフォルニア大学大学院政治学部博士課程卒
業。政治学博士(Ph.D.)
。カリフォルニア州立
大学講師、ブルッキングス研究所研究員、カナ
ダ・ビクトリア大学特任教授などを経て、明治大
学名誉教授。
現在、日本自治体危機管理学会会長、自治大
学校特任教授。危機管理関連の著書に『危機
発生後の72時間』
『行政の危機管理システム』
などがある。
中邨 章(なかむらあきら)
くのは、被害者家族の不安を緩和し、安心感
官房機能を担う人びとは、客観的な資料を幅
ることを当然とすべきである。
市政 JUNE 2014
45
広に集め、それを説得力のある理論に組み立
筆者プロフィール
を語る
はじめに
34
き た か み
北上市(岩手県)
て利便性が高まっています。
べ き 都 市 構 造 の 一 つ と し て「 あ じ
さい型」が取り上げられています。
特 徴 と し て は、 ① 地 域 に 生 活 を 支
が合流する肥沃な土地に美しい田
東 部 に は 北 上 高 地、 西 部 に は 奥
羽 山 脈 が 連 な り、 北 上 川 と 和 賀 川
います。
「あじさい都市」とは、都市を構
成する地域コミュニティごとに歩
に取り組んでいます。
なって北上市総合計画の目標達成
き、 市 内 各 地 区 と 行 政 が 一 体 と
治基本条例に掲げる理念に基づ
本市はまちづくりの理想として
「あじさい都市」の実現を掲げ、自
市内には のコミュニティ単位
の 地 域 が あ り、 平 成 年 か ら は 各
が挙げられます。
の 活 発 な 交 流 が あ る こ と、 ⑤ 各 地
④ 都 市 の 核 と 地 域 の 人、 物、 情 報
域が公共交通で結ばれていること、
と、 ③ 都 市 の 核 と 地 域、 地 域 と 地
心市街地)が明確になっているこ
える都市機能が集中する核がある
園 地 帯 が 広 が り、 緑 豊 か な 自 然 に
る 都 市 機 能 を 集 中 さ せ な が ら、 都
地区住民が自ら主体となって自由
「あじさい都市」の
実現に向けて
囲まれています。
市全体を支える都市拠点やほかの
な発想と地域の実情を踏まえた
に公表された国土交通省の都市再
計 画 に も 位 置 付 け た 上 で、 各 地
ひよく
域の自治レベルが高いことの5つ
こ と、 ② 都 市 全 体 と し て の 核( 中
古くから交通の要衝として栄
え、 東 北 新 幹 線、 J R 東 北 本 線、
コ ミ ュ ニ テ ィ と 連 携・ 共 生 し て い
地 域 計 画 を 策 定 し、 そ れ を 総 合
さ で、 北 は 花 巻 市、 南 は 奥 州 市 と
東 北 縦 貫 自 動 車 道、 国 道 4 号 の 南
年7月
金 ケ 崎 町、 西 は 西 和 賀 町 と 接 し て
北 幹 線 と J R 北 上 線、 東 北 横 断 自
く 都 市 の 在 り 方 で、 平 成
西 幹 線 が 交 差 し、 首 都 圏 と 2 時 間
区において地域づくり活動が展開
分、 日 本 海 と は 1 時 間
構築戦略検討委員会中間とりまと
13
分で結
16
さ れ て い ま す。 こ の よ う な 多 彩 な
25
いて移動できる範囲に生活を支え
動 車 道 秋 田 線、 国 道 1 0 7 号 の 東
北 上 市 は、 岩 手 県 の 内 陸 中 部 に
位 置 し、 東 西 ㎞、 南 北 ㎞ の 広
38
め に お い て も、 地 方 都 市 の 目 指 す
30
30
ば れ る な ど、 北 東 北 の 十 字 路 と し
た か は し と し ひ こ
髙橋敏彦
北上市長
地域づくり活動を支えるために地
域の自由裁量を高めた地域づくり
一括交付金制度も制定したところ
です。
みちのく三大桜名所「展勝地」の桜並木
1
自ら創造し、いきいきと支え合い
笑顔咲きほこるまち
わが 市
46
JUNE 2014 市政
稼 働 さ せ て い ま す。 そ の ほ か、
発 電 所 を 整 備 し、 本 年 4 月 か ら
で あ る 北 上 第 1・ 第 2 ソ ー ラ ー
市有地に大規模太陽光発電施設
を 推 進 し て い ま す。 具 体 的 に は
しの心でお迎えしたいと考えてい
市民の皆さまとともにおもてな
け る よ う し っ か り と 準 備 を 整 え、
方に本市の魅力を満喫していただ
好の機会となりますので、訪れた
「 自 ら 創 造 し、 い き い き と 支 え 合
総合計画基本構想の理念である
を い た だ き ま し た。 こ れ か ら も
続で岩手県内第1位という評価
よ さ ラ ン キ ン グ に お い て、 4 回 連
再生可能エネルギーで
地域に活気を
「 あ じ さ い 都 市 」 の 実 現 を 図 る
取 り 組 み の 一 環 と し て 、「 あ じ さ
〔イベント〕北上展勝地さくらまつり、
北 上・ み ち の く 芸 能 ま つ り、 い わ て
北 上 マ ラ ソ ン 大 会、 夏 油 高 原 紅 葉 ま
つりなど
〔観光〕展勝地公園、夏油温泉、北上
市 立 博 物 館 み ち の く 民 俗 村、 夏 油
高 原 ス キ ー 場、 国 見 山 廃 寺 跡、 北 上
市立鬼の館など
パラ、せり、山菜など
ます。
ちづくりを着実に進めてまいり
に 向 け、 市 民 と の 協 働 に よ る ま
い 、 笑 顔 咲 き ほ こ る ま ち 」の 実 現
ます。
〔まちの特徴〕企業誘致による産業振
興 に よ り、 工 業 と 農 業 を は じ め と し
た産業間のバランスのとれたまち
〔将来都市像〕豊かな自然と先端技術
が調和した魅力あふれるまち
◆ 面積 437・ ㎢
◆ 人口
9万3594人
◆ 世帯数 3万5659世帯
プロフィール
本市は東洋経済による全国住み
むすびに
市内各地域に再生可能エネルギー
を 分 散 配 置 す る ほ か、 地 域 エ ネ ル
ギー管理システム(CEMS)を構
築 し、 環 境 負 荷 の 少 な い エ ネ ル
ギーの積極活用と災害に強いまち
づくりを推進していくこととして
います。
希望郷いわて国体などの
開催に備えて
岩手県では平成 年に希望郷い
わ て 国 体・ 希 望 郷 い わ て 大 会 が 開
催 さ れ ま す。 本 市 で は 開 会 式、 陸
上 競 技、 ソ フ ト テ ニ ス、 新 体 操、
バ ド ミ ン ト ン、 閉 会 式 が 予 定 さ
55
〔特産品〕さといも、りんご、きたか
み 牛、 北 上 コ ロ ッ ケ、 グ リ ー ン ア ス
北上市
れ、 競 技 会 場 の 整 備 も 大 詰 め を 迎
盛岡市
え る な ど、 開 催 に 向 け た 準 備 も 本
髙橋敏彦
格化しています。
また、本年8月には日・韓・中
ジュニア交流競技会、9月には第
回アジアマスターズ陸上競技選
手権大会が開かれます。国内のみ
北上市長
28
ならず世界各国から多くの方が訪
市政 JUNE 2014
47
18
れ、本市を世界にアピールする絶
※面積は国土地理院「全国都道府県市区町村別面積調」に、
人口・世帯数は「住民基本台帳」による。
い型スマートコミュニティ構想」
若者でにぎわう夏油高原スキー場
き た
北区(東京都)
2
北区長
は な か わ よ
そ
う
花川與惣太
た
う る おいの ま
た 緑 あふれる
河川に恵まれ
な ど の 4つの
川や石 神 井 川
を は じ め、 荒
これ らの 自 然
す。 現 在 も、
かれていま
よって、 そ の 様 子 が 生 き 生 き と 描
広重をはじめ多くの浮世絵師に
行 楽 地 と し て 知 ら れ て お り、 歌 川
き な 影 響 を 及 ぼ し て い ま す。 そ こ
ニテ ィの 在 り 方 や ま ち の 活 力 に 大
成の不均衡」が生じており、コミュ
生産年齢人口の減少による「人口構
急 速 に 進 行 す る 少 子 高 齢 化、 さ
ら に は 人 口 減 少 社 会 の 到 来 な ど、
ションを進めています。
的 な ま ち づ く り や シテ ィ プロモー
を 目 標 に、 よ り 個 性 豊 か で、 魅 力
ま ち、 選 ば れ る 自 治 体 と な る こ と
さと北区」を誇りに思い、住みたい
産を生かし、区民の皆さまが「ふる
人 と 自 然、 そ し て 交 通 利 便 性 の
高 さ、 こ れ ら の 恵 ま れ た 北 区 の 資
です。
生き 生きと暮 らす 活 力のあるまち
まちであり、区民一人一人が輝き、
店 街がにぎわう 便 利で活 気のある
につなぐ ときめきのまち―人と水
本構想の将来像「ともにつくり未来
取 り 組 み を 着 実 に 実 行 し、 北 区 基
「区民とともに」という区政運営
に お け る 基 本 姿 勢 の 下、 こ れ ら の
みを進めています。
ピッ ク を 見 据 え た 施 策 への 取 り 組
み や 東 京 オ リ ン ピ ッ ク・ パ ラ リ ン
本 格 化 す る ま ち づ く り への 取 り 組
し て 積 極 的 に 取 り 組 む と と も に、
に す る こ と を、 3 つの 優 先 課 題 と
なら北区が一番」をより確かなもの
番」を実現すること、
「 子 育て す る
むこと、
「長生きするなら北区が一
安心なまちづくりに全力」で取り組
す。併せて、「地震・水害に強い安全・
ニテ ィの 活 性 化 につ な げ て い き ま
的かつ戦略的に推進し、地域コミュ
帯 が 住 みや すい環 境 づく り を 総 合
弦 哲 也 氏、 水 森 か お り 氏 の 5 名 に
ナルド・キーン氏、倍賞千恵子氏、
ています。現在は、内田康夫氏、ド
メージ 向 上に 大 き な 役 割 を 果 たし
サダー」を委嘱し、北区のPRに協
ある著名人・文化人に「北区アンバ
その取り組みのひとつが北区アン
バサダー事業です。北区にゆかりの
S」
作戦を展開しています。
誕生」を柱に、さまざまな「KIS
ワード「交通」
「さくら」
「ネサンス=
の 魅 力 を 集 約 し て 表 す 3つの キ ー
め て い こ う と す る 計 画 で す。 北 区
で、 北 区 の 知 名 度 と イ メ ー ジ を 高
そのイメージを 広 く 発 信 す ること
力を分かりやすく効果的に演出し、
「北区イメージ戦略ビジョン」通
称「KISS」は、北区の個性や魅
北区イメージ戦略ビジョン
(
Kita-ku
Image Strategy
)
& Scheme
ちです。また、
で、
「地域のきずなづくり」と「ファ
とみどりの美しいふるさと北区」の
委 嘱 し てい ま す。「 北 区 内 田 康 夫
ミステリー文学賞」というアンバサ
はじめに
JRや地下
ミリー世帯の定住化」を北区の最重
実現を目指しています。
四 季の変 化 を 楽しむことができる
北 区 は、 江 戸 時 代 か ら 飛 鳥 山 の
桜、 石 神 井 川 の 滝 や 紅 葉 と いっ た
鉄、 都 電 が 区
要 課 題 と 位 置 付 け、ファ ミ リ ー 世
荒川土手の芝桜
力していただき、北区の知名度・イ
内 を 走 り、 商
区民とともに「ふるさと北区」の
実現を目指して
を語る
わが 市
48
JUNE 2014 市政
探偵★浅見光彦の住む街・北区が、
と し て 活 躍 さ れ て い ま す。 あ の 名
代 受 賞 者 の 方 々が 何 人 も プロ 作 家
作 品 総 数 は 2 5 0 0 編 を 超 え、 歴
め、 こ れ ま で に お 寄 せ い た だ い た
この 文 学 賞 は、 平 成 年 度 で
回 目 を 迎 え、 海 外 か ら の 応 募 も 含
訪れる機会をつくり出しています。
施 し、 全 国 か ら 多 く の 人 が 北 区 を
ほか、講演会やコンサートなどを実
ダ ーの 名 を 冠 し た 事 業 を 展 開 す る
ています。
のまち北区プロジェクト」を推進し
まち歩きマップの作成など、
「鉄道
ら、 写 真 コ ン テ ス ト や 鉄 道 ビュ ー
付 け、 各 種 関 係 団 体 と 連 携 し な が
北 区の貴 重な 観 光 資 源 として位 置
多 く の 方 が 訪 れ て い ま す。 鉄 道 を
は じ め、 鉄 道 好 き な 親 子 連 れ な ど
ひとつとなっており、鉄道ファンを
両 センタ ー な ど も 魅 力 ス ポットの
残 る 都 電 荒 川 線、 尾 久 や 田 端 の 車
多 と な る J R の 駅 数 や 都 内 で 唯一
ポーツイベントの開催、オリンピッ
の サ イ ン 整 備、 障 害 者 週 間 交 流 ス
流 ス ポ ー ツ 教 室 の 実 施、 関 連 施 設
ツアカデミー、トップアスリート交
関 連 施 設 を 生 か し、 北 区 版 ス ポ ー
す。オリンピック・パラリンピック
ル す る 絶 好 の 機 会 と と ら え てい ま
大限に生かすことは、北区をアピー
かの 自 治 体 に は ない地 域 資 源 を 最
きたいと思います。
さ ま と と も に 地 域 を 盛 り 上 げ てい
て い ま す。 こ れ か ら も、 区 民 の 皆
以外の分野の活 性 化 などを目 指し
ま た、 観 光 や 産 業 な ど、 ス ポ ー ツ
立った環境整備を推進しています。
「ユニバーサルデザイン」の視点に
育成など、
「スポーツ」「おもてなし」
ク・パラリンピックボランティアの
万1348世帯
万5818人
・ ㎢
プロフィール
お か げ さ ま で 内 田 康 夫 ミステ リ ー
◆ 面積 ◆ 人口
◆ 世帯数
〔将来都市像〕ともにつくり未来につ
なぐ ときめきのまち ―人と水とみど
りの美しいふるさと北区
〔 歴史・文 化 〕 王 子 神 社 例 大 祭( 王 子
田楽)
、稲付の餅つき唄、熊野神社の
白酒祭
〔イベント〕桜ウォーク、赤羽馬鹿祭
り、 浮 間 さ く ら 草 祭 り、 ふ る さ と 北
区 区 民 ま つ り、 北・ 水 辺 ウ ォ ー ク、
北とぴあ音楽祭、王子狐の行列
〔観光〕飛鳥山公園、旧古河庭園、旧
岩 淵 水 門、 田 端 文 士 村 記 念 館、 都 電
荒 川 線、 赤 レ ン ガ 図 書 館( 北 区 立 中
央図書館)
、飛鳥山博物館
ス、印刷業、精密機械機器製造
文 学 賞の街 としても 広 く 知 られる
こう し た日 常の暮 らしの中 に 息
づ く さ ま ざ ま な 個 性 あ る 魅 力、 面
ようになりました。
白 さ を よ り 多 く の 方 に 知 って い た
だ き、 素 敵 な 北 区 時 間 を 楽 し ん で
い た だ け る よ う、 観 光 ボ ラ ン テ ィ
ともにさまざまな観 光振興 事 業に
〔まちの特徴〕東京都 区の北部に位
置 し、 飛 鳥 山 の 桜 や 石 神 井 川、 名 主
の 滝 と 紅 葉、 荒 川 の 水 辺 空 間 な ど 緑
豊かな自然が魅力で、JRや地下鉄、
都 電 が 区 内 を 走 り、 商 店 街 が に ぎ わ
う、便利で活気あるまち
〔特産品〕北区おでん、清酒、生ソー
23
素敵な日常が
楽しめるまち・北区
緑 豊かな自
然 や 歴 史・ 文
取り組んでいます。
アガイドをはじめ区民の皆さまと
化 を 感 じる 資
源、 に ぎ や か
な商店 街や地
北区には、ナショナルトレーニン
グ セ ン タ ー、 国 立 ス ポ ー ツ 科 学 セ
花川與惣太
トップアスリートの
まち・北区
ど、 北 区 に は
ン タ ー、 東 京 都 障 害 者 総 合 ス ポ ー
北区長
域に根 ざした
多彩な観光資
ツセンターなどのオリンピック・パ
伝統行事な
源が数多くあ
ラリンピック関連施設があります。
市政 JUNE 2014
49
ります。
新宿区
59
※面積は国土地理院「全国都道府県市区町村別面積調」に、
人口・世帯数は「住民基本台帳」による。
12
2 0 2 0 年 東 京 オ リ ン ピ ッ ク・
パラリンピックの開催に向けて、ほ
北区
18 33 20
25
ま た、 最 近
で は、 都 内 最
王子狐の行列
を語る
も り ぐ ち
守口市(大阪府)
3
に し ば た か
つ
西端勝樹
守口市長
はやし
き
わ せ て 太 鼓 を 使 った 囃 子 と、 片 手
に 提 灯 を 持った 独 特 な 踊 り は ほ か
に 類 の な い 珍 し い も の で、 本 市 を
古 く は 農 地 が 大 部 分 を 占 め、 集 落
大 阪 平 野 の ほ ぼ 中 央 部 に 位 置 し、
し、 現 在 の 市 の 姿 に な り ま し た。
の機能を備えるに至っています。
達 点 に 達 し、 成 熟 し た 都 市 と し て
え る 基 本 的 な 施 設 整 備 は一定 の 到
き た 結 果、 現 在 で は 日 常 生 活 を 支
共 施 設や 都 市 基 盤の整 備 を 進 めて
各 種 行 政 サ ー ビス を 充 実 さ せ、 公
と と も に、 安 定 し た 税 収 を 背 景 に
また、早くから大手家電メーカー
の企 業 城 下 町 として発 展 を 遂 げる
ています。
して開催されています。
る 多 種 多 様 な イ ベン ト が 年 間 を 通
「守口市民まつり」をはじめ市を彩
ディアンスクエア」と名づけられ、
その中心にある駅前の広場は「カナ
多 く の 人 々 が 行 き 交 っ て い ま す。
な ど の 公 共 施 設 が 建 ち 並 び、 毎 日
設 や、 市 民 体 育 館、 文 化 セ ン タ ー
店、 ホ テ ル、 飲 食 店 な ど の 商 業 施
さ」
と
「賑わい」
を創出しています。
ミネーション」が設置され、
「 明る
れ、年末年始には「守口市駅前イル
宿ジャズストリート」などが開催さ
にも、
「ジャズと市民の力で
ほか
にぎ
街に賑わいを」を合い言葉に「守口
います。
会 が 結 成 さ れ、 毎 年、 披 露 さ れ て
を 後 世 に 伝 え る た め、 地 元 に 保 存
代 表 す る 郷 土 芸 能 で す。 この 踊 り
が 点 在 し て い ま し た が、 大 阪 市 に
毎 年 5 月 に は、 市 内 の 伝 統 芸 能
の継 承 と市の活 性 化 を目 的 として
番目の市として誕生しました。
結 成 さ れ た「 守 口 市 地 車 連 絡 協 議
て も、 さ ら に 地 域 の 活 性 化 や 街 の
い た だ い て お り ま す。 市 と し ま し
こ れ ら の 事 業 は、 す べ て 市 民、
地 域、 事 業 者 の 皆 さ ま で 運 営 し て
年に庭窪町と合併
会」が主催する「守口市だんじり祭」
に ぎ わ い の 創 出 な ど の 観 点 か ら、
展 し、 特 に 高 度 成 長 期 に は一挙 に
営 地 下 鉄 や、 大 阪 空 港 ま で 約
が 開 催 さ れ て い ま す。 市 内 で 地 車
ています。
れ、各都市を結ぶ交通の要衝となっ
道 路・ 近 畿 自 動 車 道 な ど が 整 備 さ
ま た、 7 月 に は、 守 口 市 無 形 民
俗文化財「寺方提灯踊り」が開催さ
的で幅広い層に楽しまれています。
が 披 露 す る パフ ォ ー マン ス は 個 性
加 し て お り、 地 域 が 異 な る 各 団 体
活性化委員会が主催する「守口発
ン グ セ レ モニ ー で は、 守 口 市 駅 前
舞 台 と し て 使 用 し ま す。 オ ー プ ニ
休 憩 施 設 と し て、 イ ベン ト 時 に は
舞 台 を 設 置 し ま し た。 通 常 は 道 路
分
市 街 地 が 広 が り ま し た。 そ の 時 期
の 大 阪 モ ノ レ ー ル が 縦 横 に 走 り、
月に駅 前の道 路 を活 用した
にぎわいあふれるまちづくり
昨年
の人口は、ピーク時に 万人(昭和
年)を超え、人口密度は、全国的
万5000人 程
に 見 て も 1、2 を 争 って い ま し た。
現 在 の 人 口 は、
年4月1日時点)となって
人 口 密 度 は、 1 万 1 4 1 5 人 / ㎢
(平成
ダンスコンテスト」が開催され、多
10
35
れ てい ま す。 河 内 音 頭 寺 方 節 に 合
11
18
度 と 減 少 傾 向 が 続 い て い ま す が、
14
15
京 阪 電 車 守 口 市 駅 周 辺 は、 百 貨
!!
45
お り、 全 国 的 に 見 て も 上 位 と なっ
26
の町 会や保 存 会が参
を所有する
そ の 後、 昭 和
11
主 要 道 路 は、 国 道 1 号・ 阪 神 高 速
32
で
守 口 市 は、 昭 和 年 に 当 時 の 守
口 町 と 三 郷 町 が 合 併 し、 大 阪 府 内
隣接する西部地域から市街地が発
21
市 内 の 交 通 機 関 は、 大 阪 市 中 心
部 ま で 約 分 の 京 阪 電 車、 大 阪 市
はじめに
「新しい時代に夢を、新しい世代に
希望を託せるまち」を目指して
わが 市
50
JUNE 2014 市政
これからも市民の皆さんととも
に、 自 ら の 住 む ま ち を 自 ら の 手 で
くの来場者で大盛況となりました。
す。 市 内 で は、
と 細 く、 主 に 漬 物 と し て 食 さ れ ま
長 い 大 根 で、 太 さ は 2 〜 3 ㎝ 程 度
は、 長 さ 1 m 以 上 に も な る 世 界一
事 務 事 業 の 見 直 し で は、 民 間 に
で き ることは 民 間 に 任 せる との 考
ン」
を策定しました。
に関する計画「もりぐち改革ビジョ
え 方 の 下、 ゴミ 収 集 業 務 や 小 中 学
一体 型 小 中 一貫 校 を 平 成
も に、 教 育 環 境 の 充 実 の た め 施 設
ツ防 災 公園の整 備に取 り 組 むとと
に ぎ わ う・ 響 き あ う 人 と 心 が 集
うまち 守口”の実現に向けて、地
域 コ ミ ュニ テ ィ 拠 点 施 設 や ス ポ ー
世 紀 初 頭 ま で 栽 培 さ れ てい ま し た
校および幼 稚 園の校 務 業 務 など職
世 紀 ごろか ら
良くしていくという思いを共有し
ながら、
「人と人、人とまち、人と
が、 近 年 の 宅 地 化 な ど の 影 響 で 途
員の配 置 転 換 を 行いなが ら民 間 委
に開校する予定です。
略的な行財政改革を通じて、
「 新し
託を積極的に推進しています。
ま た、 公 共 施 設 の 見 直 し で は、
施 設の必 要 性 を見 極めながら青 少
い 時 代 に 夢 を、 新 し い 世 代 に 希 望
今 後 も 事 業の選 択 と集 中 を図 り
な が ら、 創 意 工 夫 を 重 ね て い く 戦
は大阪府の「なにわの伝統野菜」に
年 センタ ー な どの 施 設 を 廃 止 す る
を託せるまち」
を築いていきます。
年8月に
年4月
自 然 が 響 き あ い、 歓 び を 創 り 出 す
絶 え て お り ま し た。 し か し、 市 内
よろこ
まち」
「住んでみたい、住みつづけ
農 家 団 体 の 協 力 の 下、 平 成
年か
たいまち」
、すなわち歓び響く
ら 栽 培 を 再 開 し、 平 成
かんきょう
認証され、生産数はわずかですが、
一方で、本市の将来都市像“育つ・
プロフィール
〔将来都市像〕育つ・にぎわう・響き
あう 人と心が集うまち 守口
◆ 面積 ・ ㎢
◆ 人口
万5307人
◆ 世帯数 6万9656世帯
〔イベント〕守口市民まつり、守口市
だ ん じ り 祭、 寺 方 提 灯 踊 り、 八 雲 神
社 の 宮 入 と 練 り 込 み 提 灯、 守 口 商 業
ま つ り、 守 口 市 こ ど も ま つ り、 守 口
宿ジャズストリート
〔観光〕文禄堤、旧中西家住宅(もり
ぐち歴史館)
煙装置、守口大根
本 市 の 特 産 品 と な る よ う 毎 年、 栽
培が行われています。
市では、栽培を広め、伝統を継承
するため、収穫した大根の長さを競
う「守口大根長さコンクール」を開催
し、 広 く 市 民 の 皆 さ んや 市 内 小 学
年度は、 の団体・
校・幼稚園などへ参加を呼び掛けて
います。平成
個人が出品し、小学校の児童が栽培
した大 根が199・1㎝で団 体の部
大阪市
〔まちの特徴〕大都市に隣接し交通利
便 性 に 優 れ た、 豊 か な 住 環 境 と も の
づくり産業が共存するまち
〔特産品〕家庭電化製品、乾電池、集
守口市
第1位に輝きました。
「もりぐち改革ビジョン」
の推進
西端勝樹
て、取り組んでいきます。
28
20
平成 年8月に徹底的な財政再
建 を 訴 え 市 長 に 就 任 し、 同 年 月
73
ユニークな伝統野菜
本 市の伝 統野 菜である守口大 根
17
12
に本 市の財政運営 を貫 く 大原則 と
守口市長
20
14 12
19
16
25
な る 財 政 運 営 の 方 針 を は じ め、 各
市政 JUNE 2014
51
23
事 務 事 業や 公 共 施 設の見 直 しなど
※面積は国土地理院「全国都道府県市区町村別面積調」に、
人口・世帯数は「住民基本台帳」による。
「歓響都市もりぐち」の実現に向け
昨年、駅前広場に完成した舞台で開催されたダンスコンテストの様子
せ
と
う
ち
瀬戸内市(岡山県)
瀬戸内市長
た け ひ さ あ き な り
武久顕也
法 で、 メ ガ ソ ー ラ ー 発 電 事 業 を 軸
と し て 地 域 への 波 及 効 果 が 期 待 で
き、 環 境 や 地 域 事 情 に 配 慮 し な が
ら 市 の 発 展 につな が る 提 案 を 採 用
年 4 月 に、 基 本 計 画 を
を含めて管理しています。
計 画 で は、 事 業 者 の 発 電 事 業 に
よる収入は、固定買取価格 円(消
公表しました。
し、 平 成
市 は、 塩 田 跡 地 の 適 正 な 管 理 や
今後の活用方針を検討するに当
費 税別)
、売電期間は
の 土 地 を 買 い 取 り、 ポ ン プ の 運 転
たって、 跡 地 活 用 が 市 民 の 意 向 に
い ま す。 発 電 所 建 設 工 事 は 5 年 程
します。
まった く 反 し た も の と な ら ない よ
度 で の 終 了 を 目 指 し、 発 電 事 業 の
塩田跡地に国内最大級の
メガソーラー発電所を計画
う、 周 辺 住 民・ 漁 業 関 係 者・ 農 業
開始は平成 年を想定しています。
域資源を活用した取り組みを紹介
協働・融合がキーワード
輝きを増し始めた地域資源
誕生 周年を迎える
瀬戸内市
瀬戸内市は、平成 年に牛窓町、
邑 久 町、 長 船 町 が 合 併 し 誕 生 し ま
した。
錦 海 塩 田 跡 地 は、 錦 海 湾 の 入 り
口 に 堤 防 を 築 いて 作 ら れ た 干 拓 地
関係者や専門家を交えた検討 委員
で、 そ の 面 積 は 約 5 0 0
個 分の広さ
年間として
に相当)
という広大な土地です。
提とし、
「地域の活性化」
「環境の保
その結果、
「 市 民の 安 全 安 心 」 を 前
電 所 を 設 置 し ま す。 出 力 は 最 大
土地の貸付面積は約470 で、
そ の う ち 約 2 6 5 に、 太 陽 光 発
場として使用されていました。
「錦海塩田跡地活用基本構想」が取
年6月に市
す る こ と か ら、 常 時 ポ ン プ に よ る
た 活 用 を 行 う た め、 民 間 企 業 な ど
市 は、 こ の 基 本 構 想 を 基 に、 メ
ガソ ーラ ー 発 電 所 の 設 置 を 軸 に し
後は年4億円で、安全安心の事業を
期 間 中 が 年 1 億 円、 売 電 事 業 開 始
者が行います。土地の貸付料は工事
はたん
月に市がこ
含 めて 事 業 期 間 中 に 市 が 得 る 受 益
プの 増 設 や 堤 防 の 補 強 な ど を 事 業
船をはぐくみました。
田跡地を所有する企業が経営破綻
から提案を募集しました。
年
年 に、 塩
本 年 月 に は、 市 制 施 行 周 年
を 迎 え ま す。 3 町 合 併 に よ る 受 益
し、 ポ ン プ が 止 ま っ た 場 合 の 周 辺
まで地 道 な 取 り 組 み を 進 めてき ま
れ た た め、 平 成
21
12
11
し た。 今 回 は そ の 中 で、 既 存 の 地
22
排 水 が 必 要 で す。 平 成
と 負 担 を 市 民 に 示 し な が ら、 こ れ
住 宅 や 農 地 への 浸 水 被 害 が 懸 念 さ
は約131億円を見込んでいます。
発 電 事 業 に 加 え、 市 民の 安 全 安
心を確保する事業として、排水ポン
ha
提 案 公 募 の 結 果、 公 共 性 の 高 い
イ ンフ ラ を 民 間 の 力 で 整 備 す る 手
り ま と め ら れ、 平 成
に提出されました。
の規模となります。
2 3 0 メ ガ ワ ッ ト で、 国 内 最 大 級
デ ィ ズニー ラ ン ド 約
40
全」
「文化の振興」を基本理念とする
会を立ち上げて協議を重ねました。
(東京
25
昭 和 年に 塩田が 廃 止されてか
ら は、一部 は 産 業 廃 棄 物 最 終 処 分
20
ha
岡 山 県 の 南 東 部 に 位 置 し、 気 候
は 温 暖。 西 部 は 平 野 が 広 が り、 多
く の 農 作 物 が 栽 培 さ れ て い ま す。
ま た、 沿 岸 部 で は、 カ キ や ノ リ の
養殖も盛んです。
また西の端 を 南 北に流れる吉 井
川は、古くは中世山陽道とともに、
交 通、 運 輸 の 要 衝 と し て、 ま た 日
ha
塩 田 跡 地 は、 地 盤 高 が 潮 位 を 下
回 る こ と、 雨 水 や 生 活 排 水 が 流 入
46
16
10
本 刀 の 産 地 と し て、 備 前 福 岡・ 長
10
30
4
10
24
を語る
わが 市
52
JUNE 2014 市政
市民と協働で古民家を再生し、
黒田官兵衛ゆかりの地をPR
黒田官兵衛の曽祖父・高政と祖父・
重隆は、近江から備前福岡(現在の
瀬戸内市長船町福岡)に移住し、黒
田家再興の基盤を整えました。
この 備 前 福 岡 に 残 る 築 1 0 0 年
の古民家「仲﨑邸」を、地域住民と
衛のか か わ り が 分 かるパネルな ど
さ せ る 什 物、 備 前 福 岡 と 黒 田 官 兵
1 月 か ら 公 開 を 開 始。 歴 史 を 感 じ
既存の地域資源を活用す
る日本刀のPR、いずれも
点 の 創 出、 現 代 文 化 と の 融 合 に よ
働による古 民 家 を 活 用した観 光 拠
取り組んでいきます。
や が て 花 開 き、 そ の 実 を 結 ぶ よ う
る た め に、 民 間 企 業、 市
民、 関 係 者 な ど と 手 を 携
え な が ら、 時 間 を 掛 け、
温めてきたものです。これ
か ら も一歩 ずつ進 展 さ せ、
プロフィール
◆ 面積 125・ ㎢
◆ 人口
3万8596人
◆ 世帯数 1万5045世帯
〔祭り・イベントなど〕大賀島権現祭
、弘法寺踟供養(5月)、喜之
( 月)
助フェスティバル(8月)
、牛窓秋祭
り( 月)
、オリーブ収穫祭( 月)、
福 岡 の 市( 毎 月 第 4 日 曜 日、 月・
〔名所・旧跡〕寒風陶芸会館、竹久夢
二 生 家、 備 前 長 船 刀 剣 博 物 館、 上 寺
山餘慶寺、本蓮寺、牛窓オリーブ園、
牛窓海遊文化館、瀬戸内市立美術館
ピオーネ、トウガン、マッシュルーム、
レモン、オリーブ製品
を展示しています。
日本刀とアニメなど
現代文化との融合
日本刀を専門展示する備前長船
刀 剣 博 物 館 で は、 日 本 刀 の 良 さ を
特 に 若 者 に P R す る た め、 平 成
年 度から文 化 遺 産である日本刀と
間に行っています。
〔将来都市像〕人と自然が織りなすし
あわせ実感都市(第2次総合計画)
〔 名 物・ 特 産 〕 カ キ、 刀 剣、 虫 明 焼、
備前焼、白菜、キャベツ、カボチャ、
公募に応じた参加者らによる仲﨑邸の
床板の張り付け作業
※面積は国土地理院「全国都道府県市区町村別面積調」に、
人口・世帯数は「住民基本台帳」による。
協 働 で 再 生 し、 観 光・ 交 流 拠 点 と
して公開しています。
ら地 域の住 民 を中 心に 掃 除や 床 板
現 代 文 化 で あ る ア ニメ・ ゲ ー ム な
どを融合した特別展示を夏休み期
を 張 り 替 え る ための下 地 作 り を 行
年 9 月 に は、 公
平 成 年 度 に は、 ゲ ー ム、 T V
アニメなどで展開する『戦国BAS
い ま し た。 平 成
ARA』
、平 成
年度には、劇場版
募に応じた参 加 者 らによる床 板の
ア ニ メ『 ヱ ヴ ァ ン ゲ リ ヲ ン 新 劇 場
〔まちの特徴〕温暖少雨の気候や吉井
川 の 水 の 恵 み な ど、 豊 か な 自 然 と 歴
史・ 文 化 資 源 の 中 で 人 々 が 快 適 に 生
活する岡山県南の都市
4 10
53
月は大市)
〔 市 町 村 合 併 〕平成 年 月 日、邑
久郡牛窓町、
邑久町、
長船町が合併
(新設)
〔
市の花・市の木・市の鳥〕菊・オリー
ブ・めじろ
10
老 朽 化 が 進 んでいた この 古 民 家
を 活 用 す る た め、 平 成 年 8 月 か
平成 24年度に開催した特別展『ヱヴァンゲリヲンと日本刀展』
張 り 付 け 作 業 を 行 い ま し た。 本 年
版』に注目した特別展を開催。平成
年度の『二次元VS日本刀展』で
は、 刀 匠 と 作 家、 漫 画 家 な ど が 連
携した展示を行いました。
平 成 年 度 に は、 ゲ ー ム と のコ
ラ ボ レ ー シ ョン 企 画 と し て、 特 別
4
11
25
23
展『戦国無双の刀剣展』
(仮称)を開
武久顕也
24
催する予定です。
市政 JUNE 2014
53
おわりに
岡山市
1
瀬戸内市長
25
塩田 跡 地における国 内 最 大 級の
メ ガ ソ ー ラ ー 発 電 所、 市 民 と の 協
瀬戸内市
11
23
26
16
25
次全国市長会代表市長
[調査広報部]
が選任された。次に、安倍・内閣総理大臣か
ら、「 人 口 減 少 社 会 に 的 確 に 対 応 す る 三 大 都
市圏及び地方圏の地方行政体制のあり方、議
会制度や監査制度等の地方公共団体のガバナ
ンスのあり方等」について諮問が行われた。
58
JUNE 2014 市政
第
しょうへい
木事務総長はじめ本会事務局職員等一行
日までの6日間、北京、西安、成都
名)は、中日友好協会の招聘により、4月
次地方制度調査会第1回総会」に
縦割りの弊害を排除して施策を総合すること
森会長が出席
地方制度調査会に出席する森会長(中央)
続いて、新藤・総務大臣との懇談が行われ、
森 会 長 か ら は、 ① 人 口 減 少 問 題 に つ い て は、
5 月 日、「 第 次 地 方 制 度 調 査 会 第 1 回
総会」が開催され、委員の森会長が出席した。
方制度との関連の中で考えていく必要がある
が大事であり、施策の総合化に当たって、地
同総会では、始めに会長、副会長の選任が
行われ、会長に畔柳委員、副会長に碓井委員
31
「第
都市の主要施設の視察を行った。
いて活発な意見交換を行ったほか、訪問先各
一行は、西安、成都の各都市において副市
長等を表敬訪問するとともに、都市行政につ
国した。
ともに、両国の友好親善の増進を図り無事帰
くりなど都市の実態について理解を深めると
の各都市を訪問し、防災対策、観光のまちづ
日から
21 11
長、野崎・阿波市長、横尾・多久市長及び荒
橋・高岡市長、会田・守谷市長、辻・和泉市
標 記 中 国 訪 問 団( 団 長 : 松 浦・ 松 江 市 長、
団員:小林・三笠市長、井口・岩沼市長、髙
中国訪問団が帰国
13
26
31
15
動き
全国市長会の
#1
#2
Mayors' Action
Mayors' Action
4月21日〜 5月23日
全国市長会ホームページURL
http://www.mayors.or.jp/
こと、②人口減少への対策としては、交流人
口といった外からの刺激についてもテーマと
なること等の発言を行った。
財政委員会委員長の神谷・安城市長が、
「法人実効税率のあり方の検討に関する
要望」の実現方について、自由民主党の
森山裕・税制調査会幹事等に要請
こ と、 運 営 委 員 会 を 設 置 す る こ と 等 を 決 定
5月 日、財政委員会委員長の神谷・安城
市長は、自由民主党の森山裕・税制調査会幹
した。
事(衆議院議員)、宮腰光寛・衆議院議員、土
さ ら に、 今 後 の 運 営 に つ い て 協 議 が 行 わ
れ、 専 門 小 委 員 会 を 設 置 し て 審 議 を 進 め る
#4
[行政部]
限を円滑に執行できるよう、研修や相談、職
地方分権改革有識者会議で発言する清水・立川市長(右)
清水・立川市長が出席
5 月 日、
「第 回地方分権改革有識者会
議」において、地方分権改革の総括と展望 中
現在、地方六団体でプロジェクトチームを立
て、 農 地 転 用 に 係 る 事 務・ 権 限 に つ い て は、
こと、②具体的な改革の目指すべき方向とし
ていくような実効性のある方式としてほしい
いては、地方の発意が着実に改革に結びつい
清水市長からは、①今後の分権改革の進め
方である「提案募集方式」と「手挙げ方式」につ
から発言があった。
市における事例を踏まえながら、都市の立場
置」などが挙げられること等について、立川
分担に見合った税財源の配分などの「財源措
員派遣などの「体制整備」や、国と地方の役割
[行政部]
また、本会から同有識者会議議員の森・富
山市長が出席した。
会議座長の清水・立川市長が出席した。
リングが行われ、本会から地方分権改革検討
間取りまとめについて、地方六団体からヒア
13
地方六団体ヒアリングに
「第 回地方分権改革有識者会議」の
13
16
ち上げ議論を深めていること、③今後の分権
請を行った。
方の検討に関する要望」の実現方について要
院 議 員 に 面 会 の う え、「 法 人 実 効 税 率 の あ り
藤井比早之・衆議院議員及び二之湯智・参議
屋正忠・衆議院議員、務台俊介・衆議院議員、
22
現在、政府等において、我が国経済の競争
力を向上させるため、法人実効税率のあり方
森山裕・自由民主党税制調査会幹事(右)に要請する神谷・安城市長(左)
#3
改革の課題として、地方公共団体が事務・権
市政 JUNE 2014
59
Mayors' Action
Mayors' Action
Mayors' Action
Mayors' Action
は、地方の行財政運営に支障が生じないよう
なっており、法人実効税率を引き下げる場合
法人関係税収の6割が地方の重要な財源と
についての検討が行われているが、我が国の
全 国 町 村 会 か ら は 正 副 会 長 が 出 席 し た。 ま
会 田・ 守 谷 市 長、 松 浦・ 松 江 市 長 が 出 席 し、
副 会 長 の 山 口・ 千 歳 市 長、 立 谷・ 相 馬 市 長、
談会が官邸で開催され、本会からは、森会長、
懇談会において発言する森会長(右)
務大臣政務官等が出席した。
森会長並びに副会長の会田・守谷市長
[企画調整室]
藤・総務大臣、関口・総務副大臣、伊藤・総
内閣官房副長官、世耕・内閣官房副長官、新
た、政府からは、安倍・内閣総理大臣、加藤・
[財政部]
代替財源を必ず確保するよう要請した。
23
内閣総理大臣と市町村長との
日、内閣総理大臣と市町村長との懇
懇談会が開催
5月
及び松浦・松江市長が、
「法人実効税率のあり方の検討に
23
法人関係税収の6割が地方の重要な財源と
についての検討が行われているが、我が国の
現在、政府等において、我が国経済の競争
力を向上させるため、法人実効税率のあり方
行った。
討に関する要望」の実現方について要請を
に 面 会 の う え、「 法 人 実 効 税 率 の あ り 方 の 検
宮沢・税制調査会小委員長代理(参議院議員)
5月 日、森会長並びに副会長の会田・守
谷市長及び松浦・松江市長は、自由民主党の
小委員長代理に要請
自由民主党の宮沢・税制調査会
関する要望」の実現方について、
#6
#5
[財政部]
う代替財源を必ず確保するよう要請した。
には、地方の行財政運営に支障が生じないよ
なっており、法人実効税率を引き下げる場合
宮沢洋一・自由民主党税制調査会小委員長代理(左)に要請する森会長並びに副会長の会田・
守谷市長、松浦・松江市長
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JUNE 2014 市政