円形有刺鉄線 - 知財総合支援窓口 知財ポータル

窓口支援事例
知財総合支援窓口活用のポイント
【山口県 知財総合支援窓口】
窓口活用のきっかけ
企業情報
有限会社モトヤマ
所在地
山陽小野田市日の出 2 丁目 10-2
ホームページ URL
http://www.motoym.jp/
設立年
従業員数
1991
7
年
業
人
資本金
種
建築工事、各種土木工事
500
万円
最初の相談概要
企業概要
当社は設立以来、建築および各種土木工事に携わってきています。多
岐にわたる工事をしていますが、創業のころから金網フェンス、有刺鉄
線等の外柵関係の仕事を多く手掛けています。
’07 年に山口宇部空港の外周に、円形有刺構造の防護柵(右図)の工
事の引合が出ました。誰も作ったことのない製品ですが、大きい問題は
無いであろうということで応札し受注しました。それが現在山口宇部空
港に設置されている第一期工事分の円形有刺構造の防護柵です。
有刺鉄線を螺旋に巻き、
縦線との交叉部を針金で
固定します。工場で組立
て、現地でつなぎ合せて
設置します。
受注した山口宇部空港の防護柵について、当社は螺旋に巻くための円
筒の治具を手配し、これに巻付け、縦線を通し針金で結線して完成のは
山口宇部空港一期工事
2 連タイプで施工
一押し商品
悪戦苦闘の末に開発した円形有刺鉄線でありますが、その後も改善の
活動を進めています。昨年は、北陸の大型施設から、かつてない大量(総
延長約 14 km)の注文を頂きました。その対応に苦慮する中で、輸送費、
保管スペースの大巾低減を可能とする技術、さらに径違いの仕様にも容
易に対応できる組立治具の開発をし、工場生産、輸送を進め、現地据付
工事に同期した納入が出来ました。開発したそれらの技術の特許出願も
しました。
円形有刺鉄線は、高度なセキュリティーを要求される重要施設に最適
の防護柵です。当社はこの製造に係る特許を核に、品質・価格・納期と
満足のいただける製品を供給しています。
昨夏、同社の社長から「わが社の特許が侵害されている。」という電話がありました。
開発時の同社の経験から、「円形有刺鉄線を作るためにはこの特許を使うしかないはずだ。
最近も HP を見たという事でいくつか引合がきて見積を出しているが、その後の音信がない。
他社が受注しているとなると特許の製造方法で作られているのではないか」と云われました。
本件特許は、製造方法とその組立装置に係るもので完成品から侵害の有無を判断出来ないた
め、そこまでの議論は慎重を要することを進言し納得していただきました。
その後の相談概要
これまでのHPは、特許番号と名称を記載した程度のものでした。そこで同社の技術と特
許を更に強くアピールするためHPの刷新を提案しました。専門業者には、デザイン一新・
検索順位が上位にくるような工夫を依頼し、特許に関連するPR文章・写真は、窓口の提案
を織込んで頂き進めました。
そんな中、北陸の大型施設からの引合が具体化してきました。その過程で顧客対応のサポ
ートをはじめ、工場監査の申入れに際しては、新技術の出願ネタの保全対応を進言し万全を
期して頂きました。同社には輸送・保管の懸案事項対策、及び大口生産への対応策に知恵を
出していただき、これらの活動の甲斐あって、前者には、新たな技術による大巾な改善、後
者にはそのポテンシャルが認められ受注しました。
自社の強み
ずでしたが、有刺鉄線のトゲが引っ掛かり治具から外れません。Trial &
Error を繰返すうちに、組立後に治具外径を小さくする構造が必須である
ことが判りました。この製法と治具の出願をし、特許第 4279892 号
(’09.3.19 登録)となりました。当社の問題解決にむけての発想力、技
術力、執念の成果と自負しております。この経験から円形有刺の製作に
は当社の特許が不可欠と確信しております。
同社には、以前から特許のお手伝いをさせていただいています。最初の山口宇部空港も二
期工事以降は受注できず、製造方法の特許を保有していても侵害の立証が難しく権利行使で
きないという歯がゆい思いをしていました。特許を有効に機能させるためにまずは、特許の
保有の事実を周知することが先決として、同社ウェブサイトに特許保有の記事の掲載を助言
しました。しかし、その後もこれを見たと云って問合せ、引合はあるものの低迷が続いてい
ました。
窓口を活用して変わったところ
同社社長は、知財に関心が高く、苦労の末開発した製作方法の特許を取得しました。その
後は失注続きで、方法特許の弱みを痛感し、出願した意味がなかったというような発言もあ
りました。ところが昨年、特許を決め手に大口の受注を獲得し、特許の力を実感しました。
その後新たな発明も生まれ、2件の特許出願をしました。今後は、本来の特許パワーを発揮
できる方策の検討と議論もしていきたいと思います。
これから窓口を活用する企業へのメッセージ
特許は、特許で保護された商品を売って利益に結び付けることが本来の姿と思います。こ
のために、支援窓口では特許の取得から活用まで窓口で支援を受けられますので、窓口の活
用をお勧めします。
窓口担当者から一言
中型トラックにφ500 を
400 本(800m 分)
(氏名:田窪
修司)
同社が製法を開発した円形有刺鉄線は、社会のニーズも高く、特許はそれを作る
ための貴重な技術であるとの確信のもと、お手伝いをしてきました。昨年、HP
の記事が縁で大型受注に結びつき、感慨ひとしおですが、同社の主力商品に育て
るべく今後とも協力していきたいと思います。