「厚木市地域連携ポータルサイト構築事業」実施団体:厚木市 - 総務省

平成24年度版 地域ICT利活用事業事例集
地域ICT利活用モデル構築事業
事業テーマ:地域活性化
「厚木市地域連携ポータルサイト構築事業」実施団体:厚木市
(実施エリア:1市1町1村(厚木市、愛川町、清川村))
厚木市は本事業開始以前から運用中であった地域連携ポータルサイト「マイタウンクラブ」(図書の検索や予約、
施設予約、講座イベント、チケット予約等)の機能を大幅に拡充し、講座・催し・団体・地域情報の提供サービス
を民間事業者及び市民に開放する。行政と民間の情報を一体的に提供する汎用プラットフォームである「地域連携
ポータルサイト」を構築することで、暮らしに必要である地域に埋没しがちな情報を「いつでも・だれでも・どこ
でも」入手できるようにして、住民同士の参加・出会い・触れ合いの場を作ると同時に経済の活性化を図る。
地域課題
目的・目標
■ 商圏間の競争激化、郊外型商業施設の展開等により、地域経
済の活力が低下していた。
■ 生涯学習活動に対するニーズが高まるなか、学習機会に関す
る情報が提供されておらず、需要と供給のミスマッチが発生し
ていた。
■ 地域コミュニティにおいて、住民意識の多様化等により地域
の情報を循環させる機能が著しく低下していた。
■ 地域課題を解消するために、地域のさまざまな情報を住民に
提供することで生涯学習の充実、地域経済の活性化、地域コ
ミュニティの再生等を図ることを目的とする。
■ ICT(Information and Communication Technology)
利活用の恩恵を地域全体で享受できるサービスの提供を図ると
ともに、住民参加型の「まちづくり」を目指す。
<事業の経緯・背景>
住民サービスのさらなる向上を目指し、機能を大幅に拡充して「マイタウンクラブ」を
リニューアル
地域に根ざした個人商店や地域団体・生涯学習サークル等の有益な情報を住民に提供
-- 事業の経緯・背景を教えてください。
厚木市には、商圏間の競争激化と郊
外型商業施設の展開等により「①地域
経済の活力低下・中心市街地の衰退」、
地域内の情報が十分に共有されていな
いことによる「②生涯学習情報の需要
と供給のミスマッチ」、住民意識の多
様化により、地域の情報を循環させる
厚木市 政策部 情報政策課
機能が低下することによる「③地域コ
ミュニティ機能の衰退」という課題がありました。こうした課
題を解消し、住民サービスのさらなる向上を目指すため、平成
16年から運用している地域連携ポータルサイト「マイタウンク
ラブ」(図書の検索や予約、施設予約、講座イベント、チケッ
ト予約等) に、本事業で新たに「お店・サービス情報」、「あ
つぎ地域SNS」等のサービスを追加し機能強化を図るため「マ
イタウンクラブ」をリニューアルすることになりました。
クーポン情報、求人情報も
掲載可能
お店・サービス情報
お店・サービス情報ページ
-- 新たなサービスはどのような効果をもたらしましたか。
「お店・サービス情報」では、厚木地域における民間事
業者、地域団体、生涯学習サークル等の店舗・サービス情
報を提供しています。これまでは、個人商店等の情報発信
は、小さな看板、チラシ、口コミ等のツールに限られてい
ましたが、本サービスを利用することで、ホームページ等
の広告媒体を持つことができなかった個人商店等の情報を、
安価な広告料金でインターネットを活用し、住民の方々に
届けることができるようになったと考えています。
また、費用面につい
民間事業者の店舗・サービス
ては、バナー広告以外
情報の掲載は有料
に民間事業者の店舗・
サービス情報について
は有料広告として情報
掲載料をご負担頂くこ
とで収入を確保し、本
事業の運営費に充てて
います。
お店・サービス情報に登録する
民間事業者の募集ページ
サービス全体概要図
総務省ICT利活用事業 事例集「厚木市地域連携ポータルサイト構築事業」
<利用者の声>
厚木地域周辺に特化した情報を一元的に提供することで、利用者の利便性が向上
震災時には計画停電情報、商店の営業時間や在庫状況等を共有
-- 前述の「お店・サービス情報」 の他にリニューアルに伴い
サービスを開始した「あつぎ地域SNS」について、教えてくだ
さい。
「あつぎ地域SNS」とは、マイタウンクラブ利用登録者のう
ち、16歳以上の個人登録者や地域団体、民間事業者等が登録時
に配布したIDとパスワードを利用して参加できる会員制のサイ
トのことです。様々なテーマ・トピックについて、参加者同士
が日常生活での出来事、外出先での発見や日ごろ、何となく疑
問に感じているような質問や提案等、多岐にわたった情報交換
が活発にされています。
また、一般的なSNSのようなメールアドレス登録制や招待制
ではなく、マイタウンクラブの利用登録をする際に、本人確認
書類を提示して頂いているため、他SNSと比較し、セキュアな
コミュニティ空間を維持することができているのではないかと
考えています。
--「あつぎ地域SNS」を利用している方々からのご意見・ご感想
を教えてください。
まず、他SNSとは異なり、厚木地域周辺の情報に特化してい
るため、住民の方々が利用する際に、情報を探す手間が少なく
て済むと聞いています。
例えば、台風が接近してきた際には、台風情報の他に厚木市
周辺の交通機関等の運行状況に関する情報や帰宅困難者のため
に施設開放した情報等が投稿されていました。
また、東日本大震災の際には、計画停電に関する情報や商店
等の営業時間や商品の在庫情報等が投稿されており、非常に助
かったという声を聞いています。
各店舗の情報が
投稿されている
--本事業開始に伴い設置したボランティア組織「マイタウン
サポーターズクラブ」について教えてください。
「マイタウンサポーターズクラブ」とは、30・40歳代の
会社員から会社を退職された方々や主婦の方々等といった利
用者を中心とする地域SNS上のボランティア組織のことであ
り、本事業で構築した「お店・サービス情報」「あつぎ地域
SNS」の内容を常に活性化するために「あつぎ地域SNS」
へのコンテンツ供給やネット上のパトロールに加え、住民の
方々へのシステムの操作説明等も行って頂いています。
マイタウンサポーターズクラブの会合
また、マイタウンサポーターズクラブでは、「あつぎ地
域SNS」のコミュニティ機能を応用し、公式コミュニティ
として地域課題解決型FAQサイト「あつぎNANDA?」を
運営しています。 「あつぎNANDA?」では、疑問・質問
に対して、参加者同士が相互に知恵を出し合ったり、意見
を交換したりしているのですが、「あつぎ地域SNS」の主
な利用者同士が、同じ視線で回答し合うため、比較的分か
り易く回答できていると聞いています。理由はシニア層か
らシステム操作方法についての質問があった場合にも、習
熟度や利用経験等が異なる20歳代の方が回答するよりも、
同様の習熟度や利用経験等を持つシニア層の方に回答して
もらった方が分かり易く説明できるためではないかと考え
ています。
あつぎ地域SNS(東日本大震災時の投稿)
導入効果(アウトカム)と導入規模(アウトプット)
導入規模(アウトプット)
導入効果(アウトカム)
前後 講座や教室への参加割合の増加
:平成24年2月調査 51%
:平成25年2月調査 79 %
前後 登録店舗への来店数の増加
:平成24年2月調査 34%
:平成25年2月調査 43 %
28% 増加
商店の参加店舗数
:
500店舗
地域SNSの会員の登録者数 :
9% 増加
講座登録件数 :
857件
4,457人
総務省ICT利活用事業 事例集「厚木市地域連携ポータルサイト構築事業」
<事業成功のポイントと今後の課題・展望>
事業成功のポイントは、「マイタウンクラブ」の活用と「マイタウンサポーターズクラブ」の
設置。今後の課題は、費用対効果を踏まえたサービス提供と共同利用の促進
事業成功のポイント
今後の課題と展望
「あつぎ地域SNS」については、より多くの住民に利用して頂
くことで、地域住人や商店等の交流が増え、その結果、まち全体
が活性化するという考えをもとに、いかに利用者を獲得できるか
がポイントでした。 そこで既存システムである「マイタウンクラ
ブ」と「あつぎ地域SNS」をシングルサインオンにすることで、
既存の「マイタウンクラブ」会員であれば、新たに会員登録等を
せず、サービスを利用できたことが、サービス開始当初から多く
の住民に利用頂けた理由の一つだと考えています。
また、新たに設置した「マイタウンサポーターズクラブ」が公
民館等で住民への操作説明等を行うことで、認知度を高めるとと
もに、操作に対する不安等を軽減できたことも多くの住民に利用
して頂いている大きな理由だと考えています。
今後の課題としては、市民のニーズを把握し、行政サービ
ス向上のためにシステムの拡張等を検討するとともに、利用
率の低いサービスや機能等については、費用対効果を踏まえ
て、将来的に規模のスケーリング等も検討していく必要があ
ると考えています。
また、厚木市、愛川町、清川村でシステムを共同利用して
いますが、今後はさらに多くの地域にも共同利用に参加頂く
ことで、コンテンツが充実できるばかりではなく、各地域が
負担するシステムの利用料等の軽減が図られるのではないか
と考えています。ただ、地域に根ざした情報を提供していく
必要があると考えるため、生活圏等を踏まえて慎重に検討を
進めていく必要があると考えています。
導入概算費用等
有効活用した既存資源・コスト削減要素
本システムを導入した場合の概算費用
・導入費用:9,993万円
内訳:システム開発・構築費約8,733万円、機器等約1,260万円
・運用費用:1,078万円(平成24年度実績)
内訳:システム保守費1,078万円
・既存システム「マイタウンクラブ」の利用者データベースを利
用することで、住民が新しいサービスをスムーズに利用すること
ができると同時にサービス開始時点から多数の利用者を見込むこ
とができた。
事業実施体制
事業主体
:厚木市
サービス提供対象 :住民、周辺地域の商店等
事業実施体制
事業実施相関図
凡例
:実施主体等
:協力団体
厚木市
清川村
マイタウン
サポーターズ
クラブ
厚木市地域
連携ポータルサイト
運営協議会
マイタウン
サポーターズクラブ
周辺地域の商店等
サービス提供
厚木市
(愛川町、清川村)
開発協力
神奈川工科大学
東京工芸大学
湘北短期大学
成果・効果の
評価
愛川町
厚木市地域
連携ポータルサイト
運営協議会
運営方法の
検討やサポート
システム共同利用
住民
:ベンダ等
第三者評価機関
開発協力
第三者評価機関
神奈川工科大学
東京工芸大学
湘北短期大学
<事業主体の横顔>
厚木市役所
〒243-8511
中町3丁目17番17号
<本件に関する問い合わせ先・導入検討・視察の相談先>
政策部 情報政策課
電話 046-225-2459
e-mail:1300[atmark]city.atsugi.kanagawa.jp
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