PMC工法と厚層基材吹付工との比較

《参考資料》
PMC工法と厚層基材吹付工との比較
(一般工法)
厚層基材吹付工
(本工法)
PMC工 法
概
予め工場にて、生育基盤材、粘着材、肥料を所
定の割合で混合した資材(「PMC基盤材」という)
を、モルタル吹付機に投入し、コンプレッサーの
圧搾空気で搬送し、ホース先端のノズルで水と
混合しながら所定の厚さに一度に吹付ける。
その後、吹付面に種子・養生材を付した緑化ネ
ット、若しくは耐侵食機能を有する緑化マルチを
有機質系の生育基盤をエアーで吹付け、生育
張付ける。(のり枠内の施工の場合は、PMC基
基盤を造成する方法を用いるために、密実な状
盤材に種子を直接混合し緑化ネットを省く)。
態となり、耐乾性、耐浸食性、耐凍結・凍上性、
保水、保肥性に優れる。
使用材料は、下水汚泥や未活用木質系資材、
コンニャクの残滓等の有機質系廃棄物を安全な
有機質系吹付岩盤緑化工法(日本岩盤緑化協会)
形で再利用したリサイクル資材である。
金網(ラス)張工の上に、生育基盤材、接合
材、肥料、種子、水をモルタル吹付機に投入し、
攪拌装置内で均等に練り混ぜて、コンプレッサ
ーの圧搾空気で搬送し、所定の厚さに一度に吹
付ける。
n
要 ・特
徴
t=3∼10 ㎝
t=3∼10 ㎝
構
生育基盤材、粘着材、肥料
の混合資材を吹付ける。
生育基盤材、接合材、肥料
種子を混合し吹付ける。
緑化ネット(種子付)
又は緑化マルチ
を張る。
金網(ラス)を張る。
造
吹付け工程に用いる主要機械の機種・規格は同じ。
補
金網(ラス)張工
助
工
生育基盤材の中に埋設し、滑落防止、金網と
根系のからみつきによる一体化を図る。
PM緑化ネット(種子付き)張工
又はPMC緑化マルチ張工
生育基盤の滑落防止、ネットと根系のからみつ
きによる一体化を図る。
生育基盤材の表面から被覆するため、侵食や
乾燥防止効果に優れる。
吹付に要する 1m3当りの材料の配合
配
合
生育基盤材= 2,000 ㍑ (圧密変化 2.0 倍)
接合材 = セメント 80 ㎏又は高分子樹脂4㎏
肥 料 = 6∼7㎏、
生育基盤材= 1.4m3 (圧密変化 1.4 倍)
粘着材 = 21 ㎏
肥 料 = 1.4 ㎏
吹付による材料の補正係数(配合ロス、リバンド等)= 1+0.3 で同じ。
日本リサイクル緑化協会 技術部
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PMC工法と厚層基材吹付工との比較(続き)
生 育 基 盤 材 の 組 織 成 分
厚層基材吹付工
PMC工 法
バーク堆肥
樹皮を主原料として家畜ふん等を加え堆積熟
成させたもの。
主な効果:土壌の膨軟化。
商品名:ネオソイル‐S
有機性廃棄物のリサイクル資材。
下水汚泥に木質系資材(粉砕チップや廃オガ
質繊維炭化物、木酢液等)を混合、脱臭し好
気性発酵後に熟成させたもの。
工場生産で品質は均一、肥料取締法に基づく
肥料で安全保証(農林大臣登録品)。
ピートモス
地質時代にスゲやミズコケが湿地に堆積して
泥炭化したもの(外来品が多い)。
主な効果:土壌の膨軟化、保水性の改善。
パーライト
真珠岩等を焼成した多孔質粒子。
主な効果:保水性の改善。
上記の混合資材(ブレンド品)
及び単独の組合せ。
荷姿:工場でパック化した製品。
1袋当り 40 ㍑又は 50 ㍑入り。
人力による小運搬、投入。
接合材
又は
普通セメント
生育基盤材1m3当たり 80 ㎏程使用。
耐浸食は効果大、発芽及び初期生長がやや
遅い。
PH緩衝剤(過燐酸石灰等)を併用する。
粘着材
高分子系樹脂(商品名:クリコート、エスフィクス等)
生育基盤材1m3 当たり4∼5㎏使用。
酢酸ビニール系、アクリル系樹脂などがあり発
芽・初期生長に優れ、植物による面的被覆が
早く発揮される。
肥
速効性の高度化成、または、持続型の緩効性
のIB化成やコ−ティング肥料の単独及び組み
合せ。
料
生育基盤材1m3 当たり 6∼7㎏ 使用。
主な効果:土壌を膨軟化し通気、透水、保水性
を改善する。
根の伸長を良くする。
有用微生物の繁殖、活動を助長す
る。
保肥性に優れる。
土壌の緩衝能を高め、酸性土壌の
改善に役立つ。
荷姿:工場でパック化した製品。
1袋当り 0.5m3 又は 1m3 入り。
吊上げ機による小運搬、投入。
商品名:ピーエムザイ
県特産「コンニャク」飛び粉のリサイクル。
生育基盤材1m3 当たり 15 ㎏使用。
コンニャクの精粉時に多量に発生し、あまり利
用価値のない”飛粉”を主原料として再利用す
る。
純植物性で安全無公害の粘着材。
肥料成分に富み(N量 3%I 以上)、植物の生育
を助長する効果がある。
緩効性のコーティング肥料。
生育基盤材1m3 当たり 1.0 ㎏ 使用。
生育基盤材及び粘着材に肥料成分が多く含ま
れているため補う肥料は少量でよい。
日本リサイクル緑化協会 技術部
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PMC工法と厚層基材吹付工との比較(続き)
厚層基材吹付工
PMC工 法
耐
侵食試験結果(降雨強度 100 ㎜/h、施工7日後の生育基盤材の流出量)
侵
普通セメント=80 ㎏/m3
… ごく少量∼122g/㎡
食
PMC工法
ピーエムザイ=15 ㎏/m3
緑化ネット(緑化マルチ)使用
性
高分子系樹脂=5 ㎏/m3
… 少量∼233g/㎡
… 0.2g/㎡
(東京農大試験)
((財)土木研究センター試験)
適
用
限
適用限界勾配= 1:0.6 より緩い。
(メーカー・工法によっては、 1:0.5 より緩い
を適用限界とした工法もある。)
経
1 ㎡ 当
平成 14 年度当初
済
性
厚 3㎝
厚 5㎝
厚 8㎝
厚10㎝
=
=
=
=
適用限界勾配= 1:0.8 より緩い。
(但し、用途に応じ、のり枠工や金網張工等を
併設した場合は、 1:0.6 より緩い。)
た り の 価 格(円)
市場単価(施工規模 1000 ㎡以上)
3,950
4,950
6,600
7,550
厚 3㎝= 3,150
厚 5㎝= 3,950
厚10㎝= 6,000
通常の法面の場合、施工後の維持管理は必要としない。
社
会
性
下水汚泥や未活用な建設発生木材(除根材、
伐採木)等の廃棄物を緑化再生資源として安全
に活用することで環境負荷(不法投棄など不正な
処理・処分、埋立て処分場の確保困難、悪臭や
ピートモスは外来品がほとんどで、天然資源で 二次的公害、焼却処分場の大気汚染や石油資
採掘自体が環境破壊のおそれ。
源大量消費…等の問題)の軽減がはかれる。
(リサイクル緑化工法)
特に、公共下水汚泥や公共事業の建設発生
少量(40∼50 ㍑/袋)のパック品のため、使
木材を公共事業に再利用することによる、管理
用後のビニール袋の処理が問題。
(厚5㎝で 1000 ㎡の場合 325∼ 260 袋使用)。 上の安全性や社会に対するより良き還元性など
高次元の公共性がある。
メーカー毎のオリジナル資材・工法であり、
使用後の空袋は回収し再使用する。
施工承認を得る。
PMC工法専門業者(協会会員)で責任施工。
施工技術の統一性を図るため、協会内に県知
事認定の職業訓練校「PMC研修学校」を設立。
(備考:厚層基材吹付工は日本岩盤緑化工協会 有機質系吹付岩盤緑化工法の技術資料より一部引用)
平成14年4月 日本リサイクル緑化協会
日本リサイクル緑化協会 技術部
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