PLC 計装の概要

PLC 計装の概要
PLC 計装の特徴
PLC 計装の特徴
概要
PLC 計装は、SYSMAC CS シリーズ PLC をベースとした計装システムです。汎用 PLC
をベースに PLC 計装商品を組み合わせることで、PLC のもつ基本性能はそのままにプ
ロセス制御機能をアドオンできます。
PLC 計装システムでは、
アナログ演算処理を LCB が担い、ラダー演算処理は本体 CS1-H
CPU ユニットが担います。相互のやり取りは、メモリを介したフラグで行います。
アナログ演算処理とラダー演算処理が完全に分離できますので、ラダーのみでの構成
に比べてプログラムが簡素化されます。このことは、システム構築のエンジニアリン
グが簡単になり、かつバグを少なくすることにつながります。
SCADA ソフト
PT(NS シリーズ)
上位も任意に選択可能
通信路を任意に選択可能
CSV タグファイルを使用して、
上位の SCADA ソフトや PT からのアクセス
ネットワーク(Ethernet、Controller Link など)
ネットワーク
通信ユニット
アナログ入力
ユニット
アナログ出力
ユニット
LCB
CPU ユニット
シリアルまたは
通信ネットワーク
特定割付
エリア
CX-Programmer
・PLC の初期設定
・ラダープログラムの作成
CX-Process Tool
・LCB のデータ作成
計器ブロック
ループコントロールボード
内のデータ、および CPU ユ
ニットとのデータ交換
は、%単位
ループ動作
ビルディングブロック形
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PLC の CPU ユニットが、全体を管理している。
PLC 計装の特徴
注意
・PLC の CPU ユニットが、全体を管理しています。
・LCB、アナログ入出力ユニット、接点入出力ユニットを、ビルディングブロック形
で選択的に構築できます。
・上位のシステム(SCADA ソフト、PT など)との通信形態も、Ethernet、Controller Link、
シリアル通信など、任意に選択できます。
・LCB は、計器ブロックデータを内部にもち、ループ動作を行います。
・LCB 内のアナログデータは、工業単位でなく%単位で処理されます。
・LCB は、CPU ユニットの特定割付エリア(HMI I/F エリアと呼ぶ)とその%単位の
データを自動的に交換します。
・上位の SCADA ソフト(RSView32 など)や専用モニタソフト(CX-Process モニタ
Plus)は、CSV タグファイル(タグと CPU ユニット特定割付エリアアドレスとスケ
ーリングデータなどの対応表)をもとに、CPU ユニットの特定割付エリア(HMI I/F
エリア)に対して、タグによってアクセスすることができます(そのとき、タグデ
ータとセットとなっているスケーリングをもとに%単位を工業単位に変換処理しま
す)。
・NS シリーズ PT は、画面の自動生成ソフト(NS フェースプレート自動生成ツール
Face Plate Auto-Builder for NS)を使用することで、CSV タグファイルから画面を自
動生成することができます。
基本システム構成
● 外部インタフェース機能をもったユニットの使用
LCB 自身には、外部アナログ入出力、外部接点入出力機能をもちません。LCB は、必
ず、下図のように、アナログ入出力ユニットなどの外部インタフェース機能をもった
ユニットと組み合わせて使用します。
● CX-Process Tool の使用
LCB 自身には、計器ブロックデータの作成などのマンマシンインタフェース機能をも
ちません。必ず、下図のように、CX-Process Tool によって、計器ブロックデータを作
成し、LCB に転送して使用可能となります。
● SCADA ソフトの使用
LCB 自身には、SP 値設定、PID 定数等の設定、PV 表示などのマンマシンインタフェ
ース機能をもちません。必ず、下図のように、SCADA ソフト、PT(プログマブルタ
ーミナル)などによって、SP 値設定、PID 定数設定、PV 等のモニタを行います。
LCB
パソコン
アナログ出力ユニット
CPUユニット
アナログ入力ユニット
アナログ入力信号
4∼20mAなど
●CX-Process Tool:
計器ブロックデータ作成等
●SCADAソフト:
SP値の設定、PID等のチューニン
グ、PV値等のモニタ
アナログ出力信号
4∼20mAなど
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LCB のポイント
LCB のポイント
■ LCB 内では、%単位での処理をする点
LCB 内で、アナログ信号は、すべて%単位の値で入出力処理されます(-15.00∼+115.00%、
-320.00∼+320.00%)。
その%単位の値を工業単位にスケーリングするのは、SCADA ソフト、OPC サーバまた
は PT によります。
そのスケーリング情報は、CSV タグと呼ぶ情報によります(SYSMAC OPC Server、NS
シリーズ PT は、
この CSV タグをインポートすることで、
スケーリング情報を得ます)
。
SCADA ソフトから、LCB 内の ITEM データを読み書きするには、
CSV タグファイル(タグ名とスケーリングと CPU ユニットの EM
エリアアドレスなどの対応表)をもとに、タグ名/タグ ITEM を指
定して、データをアクセスします。
CPU ユニット
LCB
CSV タグファイル
TIC001
TIC001
タグ名
HMI I/F 用データエリア
計器ブロック
PV
SP
MV
P
I
D
リフレッシュ
500.0
500.0
タグ ITEM
0.0
0.0
4
4
200
201
CPU ユニットの
EM エリアアドレス
スケーリング
アクセス
SCADA ソフト
PT(NS シリーズ)
または
X1
K1
A1
Y1
LCB 内で、アナログ信号は、すべて%単位の値で入出力処
理されます。(-15.00∼+115.00%、-320.00∼+320.00%)
PV
SP
HMI I/F 用データエリア上
で、0.00∼100.00%は、
0000∼2710Hex が格納さ
れます。
また、LCB 内の ITEM データは、すべていったん、CPU
ユニットの HMI I/F 用データエリア
(指定バンク No.の EM
エリア)を介して外部と入出力されます。
読み出し時は、%単位の値(0.00∼100.00%は、0000∼
2710Hex)を読み出して、工業単位にスケーリング変換し
て、表示します。
書き込み時は、工業単位の値をスケーリング逆変換して%
単位の値を書き込みます。
例 1: アナログ入力で、4∼20mA(3.2∼20.8mA)に対するアナログ入力ユニットから
の変換値 0000∼0FA0(FF38∼1068)Hex を、LCB 内では 0.00∼100.00(-5.00
∼105.00)%に変換して処理します。
例 2: アナログ出力で、LCB 内の 0.00∼100.00(-5.00∼105.00)%の値を、設定値 0000
∼0FA0(FF38∼1068)Hex に変換して、アナログ出力ユニットから 4∼20mA(3.2
∼20.8mA)を出力します。
例 3: CPU ユニットからの入力で、レンジ指定 0∼4000(0000∼0FA0Hex)の場合、I/O
メモリ CH 内の 0000∼0FA0Hex の値を、LCB 内では 0.00∼100.00%に変換して
入力します。
例 4: CPU ユニットへの出力で、レンジ指定 0∼4000(0000∼0FA0Hex)の場合、LCB
内の 0.00∼100.00%の値を 0000∼0FA0Hex に変換して、I/O メモリに出力します。
PLC 計装システムにおけるスケーリングについては、「付録-5 スケーリングについて
(121 ページ)」を参照してください。
4
LCB 内部のしくみ
LCB 内部のしくみ
LCB の仕組み
LCB は、計器ブロックという演算ループを組み合わせることでプログラミングします。
LCB のプログラミングは、CX-Process Tool を使用します。
全体のしくみのイメージは、以下のとおりです。
ループコントロールボード
CPU ユニット
アナログ入・出力
ユニット
HMI I/F 機能
CSV タグを指定
(調節・演算、
調節・演算ブロック
*1
割付 ITEM
外部調節計
指定バンク
外部調節計ブ
No.の
ロックの割付
EM エリア
(HMI I/F デ
ITEM)
ブロック
フィールド端子
基本 I/O ユニット
SCADA ソフト
I/O メモリ
割付 ITEM
ータエリア)
ユーザリンク
テーブル
ユーザリンク
I/O メモリ
CSV タグを指定
タグ A
テーブル
タグ B
任意の
タグ C
I/O メモリ
*1
シー ケン ステーブ
ル/ ステ ップラダ
ーブロック
*1:CPU ユニットの割付リ
FINS コマンドによる
計 器 ブロ ッ クの
ITEM データ 読み書
きなど
レーエリアを介してデ
ータ交換されます。
ユーザプログラム
CMND
各ブロック間をソフト結線して、自由に組み合わせることで、全機能を実現
フィールド端子
アナログ
ブロック
入力ユニット
アナログ
の入力 1
入力
フィールド端子
演算ブロック
調節ブロック
ブロック
加減算
PID
アナログ
アナログ出力
出力
ユニットの出力
フィールド端子
アナログ
ブロック
入力ユニット
アナログ
の入力 2
入力
5
PLC 計装のシステム構築手順
PLC 計装のシステム構築手順
手順 1 設計
10 ページ
ここでは、PLC 計装システムのシステム構成を検討します。
システムの入出力は何か、必要なユニットは何かなどを検討します。
プログラムの
負荷は?
入力点数は?
手順 2 ハードウェアのセットアップ
21 ページ
PLC 計装システムのハードウェア設定を行います。
高機能 I/O ユニットの号機番号の設定、CPU 高機能ユニットのユニット番号、ノード番号
の設定を行います。
号機番号設定
手順 3 CX-Programmer による PLC 側の初期設定
PLC 計装システムのソフトウェア設定を行います。
CX-Programmer のプロジェクトの作成、I/O テーブルの作成等を行います。
◎使用ソフト
CX-Programmer
CX-Programmer
6
I/O テーブル作成操作
24 ページ
PLC 計装のシステム構築手順
手順 4 LCB のプログラミング
36 ページ
実際のシステムをセットアップする前に、CX-Process Tool を使用してオフラインで LCB
のプログラミングを行います。
◎使用ソフト
CX-Process Tool
CX-Process Tool のプロジェクト作成
プロジェクトにノードの登録
PLC 計装
ブロック結線図
タグ情報
ループコントロール
ボードの初期設定
タグの設定
計器ブロックの登録/結線
初期設定
手順 5 作成したプログラムの転送
51 ページ
手順 2 で作成したプログラムを LCB にダウンロードします。
◎使用ソフト
CX-process Tool
ダウンロード
手順 6 CX-Process Tool による試運転
55 ページ
ダウンロードした LCB のプログラムを実行します。
◎使用ソフト
CX-Process Tool
7
PLC 計装のシステム構築手順
手順 7 上位の SCADA ソフトや PT からのアクセス
SCADA ソフト/PT を使用して、グラフィカルなインタフェースから LCB が扱う値を設
定、モニタします。
◎使用ソフト
・SCADA ソフトの場合
CX-process Tool→
OPC サーバ→
RS View32
・CX-Process モニタ Plus の場合
CX-process Tool→
CX-Process モニタ Plus
・NS シリーズ PT の場合
CX-process Tool→
8
Face Plate Auto-Builder for NS→
NS Designer
69 ページ