平成25年度課題解決型医療機器等開発事業 成果報告シンポジウム 低侵襲⼼臓⾎管治療普及拡⼤を目的とした ⻑時間留置可能な抗⾎栓性⾎栓捕捉フィルター デバイスの開発及び製品化 京都大学、PTMC研究所 東レ株式会社 部材メーカー 12社 有限会社PTMC研究所 井上寛治 東レ株式会社 先端材料研究所 棚橋一裕 報告内容 1.研究体制 2.医療現場での課題・ニーズ 3.既存デバイス 4.製品コンセプトの実現 5.薬事戦略 6.知財戦略 7.販売計画 8.まとめ 東レ株式会社 低侵襲⼼臓⾎管治療普及拡⼤を目的とした⻑時間留置可能な抗⾎栓性⾎栓 捕捉フィルターデバイスの開発及び製品化 研究開発体制 14社 PTMC研究所が部材メーカーの要素技術を育成・統合して臨床ニーズを具現化 1 低侵襲⼼臓⾎管治療普及拡⼤を目的とした⻑時間留置可能な抗⾎栓性⾎栓 捕捉フィルターデバイスの開発及び製品化 1.医療現場での課題・ニーズ 例)ステント留置術 ステント拡張の際に、狭窄部の病変組織や血栓が血管壁から剥がれ、 脳や末梢に飛散し、梗塞などの重篤な合併症を引き起こすと報告されている。 ステント バルーン 血栓 フィルターデバイス 血流方向 微小片を捕捉して合併症の発生を予防 適用可能性: 経皮的冠動脈・頸動脈・末梢動脈(下肢動脈)拡張術 経カテーテル心臓弁置換術 ステントグラフト留置術 アブレーションなどの不整脈治療 世界市場 250億円 (推定) 2 東レ株式会社 2.既存のデバイス 国内外の既承認品: 10社 既存品の課題 1.操作性(搬送、送達、回収) 2.留置中の血流の維持 3.血栓の捕捉性能 4.フィルター由来の血栓形成 http://www.abottovascular.com http://www.bostonscientific.com http://www.cordis.com http://www.abottovascular.com 課題解決に向け着目したポイント 1.送達性向上、カテ交換頻度の低減 2.メッシュを採用し、開孔率を高くする 3.血管壁との間の隙間ゼロ 4.フィルター表面の血液適合性 http://www.eV3.net http://www.keystoneheart.com 3 東レ株式会社 低侵襲⼼臓⾎管治療普及拡⼤を目的とした⻑時間留置可能な抗⾎栓性⾎栓 捕捉フィルターデバイスの開発及び製品化 3.製品コンセプトの実現 開発品の製品コンセプト 1.操作性(搬送、送達、回収)向上 独自の細径の二重シャフト構造および一体型仕様の創出 2.留置中の血流の維持 開孔率の高いメッシュタイプのフィルターを採用 3.優れた血栓捕捉性能 血管壁にフィルターを密着させる独自設計 4.フィルター由来の血栓形成の防止 フィルター表面の血液適合性を付与 4 低侵襲⼼臓⾎管治療普及拡⼤を目的とした⻑時間留置可能な抗⾎栓性⾎栓 捕捉フィルターデバイスの開発及び製品化 1.操作性(搬送、送達、回収)の向上 東レ株式会社 ・ 新型フィルターはそのシャフト部が内芯と外管で構成される。 ・ 内芯と外管をその基端側で相対的にずらすことで、フィルターの開閉が可能である。 フィルターの操作が飛躍的に簡便である。 ① フィルターの完全開放状態 ① ② 術者が中芯と外管を相対的にずらすことにより、 ② リングの折りたたみが始まる ③ 更にずらすことにより、リングは完全に閉鎖す ③ る。 この状態で、回収可能である。 既存のフィルターは固有の回収用カテーテルを 必要とするが、当該フィルターは必要としない。 5 東レ株式会社 低侵襲⼼臓⾎管治療普及拡⼤を目的とした⻑時間留置可能な抗⾎栓性⾎栓 捕捉フィルターデバイスの開発及び製品化 1. 操作性(搬送、送達、回収)の向上: 一体型(All in one type)フィルターの開発 • 操作性を簡便にした、一体型フィルターを開発。これは搬送及び回収装置が フィルター自体に組み込まれている。従って、搬送用シースを体外へ引き抜く 操作と回収用シースを新たに体外から挿入する操作が不必要となる。 他社のフィルター 新型フィルター(一体型) 本体・搬送カテ・回収カテを含む 本体 搬送カテ 回収カテ 一体型タイプは搬送カテ・回収カテがフィルター自体に組み込まれているために、 極めてシンプルな構成を成す。 6 低侵襲⼼臓⾎管治療普及拡⼤を目的とした⻑時間留置可能な抗⾎栓性⾎栓 捕捉フィルターデバイスの開発及び製品化 東レ株式会社 1.操作性向上(送達性向上) 成犬を用い到達性能を比較: ヘヤーピンカーブを通過するか? 血管造影 目的血管 (腹腔動脈分枝) 新型フィルター(一体型) 到達可能 A社市販フィルター 到達不可能 B社市販フィルター 到達不可能 8 動物実験中の透視画像 拡大図 ステント フィルター 成犬の左冠動脈に、フィルターを用いたステント留置術を施行した。 フィルターの搬送並びに展開は順調に施行され、ステントは目的の位置に留置された。 フィルターの回収操作は順調に施行され、操作上の問題はみられなかった。 9 低侵襲⼼臓⾎管治療普及拡⼤を目的とした⻑時間留置可能な抗⾎栓性⾎栓 捕捉フィルターデバイスの開発及び製品化 2.留置中の血流の維持 東レ株式会社 • 開孔率の高いメッシュタイプのフィルターを使用 素材 目開き 開孔率 新型フィルター PETメッシュ 100 μm 52.1% A社 ポリウレタン膜 110 μm 12.9% B社 Nitinolメッシュ 70~200 μm 50.4% 10 東レ株式会社 低侵襲⼼臓⾎管治療普及拡⼤を目的とした⻑時間留置可能な抗⾎栓性⾎栓 捕捉フィルターデバイスの開発及び製品化 3.捕捉性能 In-vitro :微細粒子を使用し、フィルターの捕捉能を検証した。 新型フィルター 微細粒子捕獲のメッシュ拡大写真 ㎛ φ100 microsphere capture efficacy (trapped by the filter / total 100 99.16±0.57 μm microspheres) (%) capture efficacy (trapped by the filter / total 200 99.44±0.48 μm microspheres) (%) P > 0.05 11 3.捕捉性能 捕捉性能 InIn-vitro :微細粒子を使用し、フィルターの捕捉能を検証した。 Silicon Tube System 0.9% Saline Roller pump Pulse 130 Flow rate 1800mL/min Pressure monitoring 100mmHg 12 Kyokun Uehara, MD, (Kyoto University), Kanji Inoue, MD, etc.. 6F Adult dog 13 東レ株式会社 低侵襲⼼臓⾎管治療普及拡⼤を目的とした⻑時間留置可能な抗⾎栓性⾎栓 捕捉フィルターデバイスの開発及び製品化 InIn-vitro実験 vitro実験 冠動脈模型を用いて操作性能と留置状態(密着性等)を検証した。 動脈模型を用いて操作性能と留置状態(密着性等)を検証した。 リングは内壁に密着している。(Φ4㎜フィルター) 冠動脈留置を想定した検証を行う 目的部位(右冠動脈主幹部)に順調に搬送され、正確に留置された。 その密着性が確認された。 また、回収操作は支障なく施行された。 14 東レ株式会社 低侵襲⼼臓⾎管治療普及拡⼤を目的とした⻑時間留置可能な抗⾎栓性⾎栓 捕捉フィルターデバイスの開発及び製品化 4.フィルター表面の血液適合性 主な血管内治療の操作時間 血管内治療 経皮的冠動脈・頸動脈・末梢動脈(下肢動脈)拡張術 経カテーテル心臓弁置換術 ステントグラフト留置術 アブレーションなどの不整脈治療 カテーテル操作時間(分) 10~30 60~120 120~180 30~60 フィルター自身が血栓形成を誘発しないことが望まれる イヌ頸動脈留置実験 ・抗凝固剤/抗血小板薬の投与・服用なし ・表面処理フィルターデバイスを頸動脈に留置 ・X線透視下にて造影剤で開存/閉塞を目視確認 平均開存時間 : ≧ 2 hr(n=7) 申請区分に応じて適切な血液適合性表面を選定 15 東レ株式会社 低侵襲⼼臓⾎管治療普及拡⼤を目的とした⻑時間留置可能な抗⾎栓性⾎栓 捕捉フィルターデバイスの開発及び製品化 4.薬事戦略 伴走コンサルのアドバイス 1.臨床試験のデザインおよび競合品に対する優位性を論理的に 説明できるように、非臨床試験をきちんと進めること 血管モデルを用いて送達性・疑似粒子の捕捉性を評価 2.フィルター単独での早期承認取得の可能性も検討すること 改良医療機器として承認申請する可能性を検討 医療機器センター・PMDA相談 ・既存品に対する位置づけ(新規、改良、後発) ・承認申請区分・カテゴリー(一般的名称)の妥当性 ・治験の要否 治験必要の場合の治験デザイン 治験不要の場合の非臨床試験で担保する方法 16 低侵襲⼼臓⾎管治療普及拡⼤を目的とした⻑時間留置可能な抗⾎栓性⾎栓 捕捉フィルターデバイスの開発及び製品化 東レ株式会社 5.知財戦略 2001 2010 2013 一体型 デバイス 特許出願 素材・表面処理 特許出願 US,EP ◎ 外国 外国 <今後> ・周辺特許出願 ・意匠出願 外国 外国 外国 特許ウォッチ・PC 17 東レ株式会社 低侵襲⼼臓⾎管治療普及拡⼤を目的とした⻑時間留置可能な抗⾎栓性⾎栓 捕捉フィルターデバイスの開発及び製品化 6.販売計画 グローバルに普及する血管内治療 経皮的冠動脈・頸動脈・末梢動脈(下肢動脈)拡張術 経カテーテル心臓弁置換術 ステントグラフト留置術 アブレーションなどの不整脈治療 東レ保有販路の活用 イノウエバルーン カテーテル グローバル企業との提携 ・ステントorカテーテル・メーカーとの提携 ・グローバル販社との提携 世界90カ国以上での販売実績 18 東レ株式会社 低侵襲⼼臓⾎管治療普及拡⼤を目的とした⻑時間留置可能な抗⾎栓性⾎栓 捕捉フィルターデバイスの開発及び製品化 中小企業支援の形 開発段階 事業化後 14社 12社 PTMC研究所が部材メーカーの要素技術を育成・統合して臨床ニーズを具現化。 中小企業の設計力・要素技術が大企業の最先端製品事業を支える新たな連携の形を実現。19 ご支援ありがとうございました 20
© Copyright 2024 ExpyDoc