群論と結晶場(PDF

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群論と結晶場
群論と結晶場
1.対称要素と対称操作
分子或は結晶には、ある場所である操作を行うと元の形と区別がつかなくなることがある。
このとき、ある操作を「対称操作」といい、その場所には「対称要素」あるという。
対称要素 記号 対称操作
回転軸
Cn
その軸の周りの 2π/n 回転
対称面
σ
その平面に対する鏡映(反射)
対称心
i
その点に関する反転
回映軸
Sn
その軸の周りの 2π/n 回転、つづいてそれに直交する平面での鏡映
補助記号
v:
主軸(一般に z 軸)を含む対称面を持つ
h:
主軸(一般に z 軸)に直交する対称面を持つ
d:
二面体面
右図のような物体(NH3 etc)について考えてみる
S3
中心にある C3 の対称操作を施すと、
S1⇒S2、S2⇒S3、S3⇒S1 に移動
σv‘’
σv
これを行列とベクトルで表現すると
C3
⎛ 0 1 0 ⎞⎛ S 1 ⎞ ⎛ S 2 ⎞
⎜
⎟⎜ ⎟ ⎜ ⎟
⎜ 0 0 1 ⎟⎜ S 2 ⎟ = ⎜ S 3 ⎟
⎜ 1 0 0 ⎟⎜ S ⎟ ⎜ S ⎟
⎝
⎠⎝ 3 ⎠ ⎝ 1 ⎠
C
対称操作は行列で表現される
S2
σv‘
S1
このような対称操作の集まりは群を形成する
演習
1. H2O 分子に存在する対称操作を挙げよ
2. CH4 分子に存在する対称操作を挙げよ
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佐藤研究室
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群論と結晶場
2.群(Group)の定義
定義
1.要素:群を構成するもので、恒等操作を含めた対称操作
2.集合:群は要素の集合で、有限群と無限群に区別される
3.操作の組み合わせ:1 回にただ 2 つの操作の掛け算をする
4.一義性:操作の掛け算は必ず 1 つの操作を与える
5.閉じている:要素の積に結果は必ずその群の要素の中に発見される
6.結合則:A(BC)=(AB)C
7.単位要素:EA=AE=A となる E がその群の中にある
8.逆要素:AA-1=A-1A=E となる A-1 がその群の中にある
ここで、
部分群:群の中に別群がある場合
群の位数:要素の数
NH3 分子(前述の例と同じ)
例
点群:C3v
対称操作:
E、C3、C32、σv、σv’、σv’’
位数:6
C3、C32 の組、σv、σv’、σv’’の組のような類似の群を類という
類の一般論
群の要素の中の任意の要素を X とする。
X による要素 A の相似変換を施すと、
X-1AX=B
となる B が必ずある。A と B は共役であるという。
1.全ての要素は自分自身に共役である
2.A は B に共役であるならば、B は A に共役である
3.A が C と共役、B が C と共役なら、A と B も共役である
1 つの群の中で互いに共役な要素の集合を類という
演習
1. ゼロと正負全部の整数からなる集合を考える。操作の掛け算を「足し算」とすると、この
集合は群を形成するか
2. 1 の問いで、操作の掛け算を「掛け算」とするとどうなるか
3. σv と σv’が互いに共役であることを示せ
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群論と結晶場
3.点群
どのような対称操作によっても移動しない共通の点を有するものに存在する対称操作の集合
を点群という
点群を表す記号:Shönflies の記号
Cn 群、Dn 群、Cnv 群、Cnh 群、
Dnh 群、Dnd 群、Sn 群、
多面体群(T、Th、Td、O、Oh)など
出発点、 D∞h C∞v Td Oh Cs Ci C1 S2n Dnh Dnd Dn Cnh Cnv Cn
直線分子
その他
高度な対称
D∞h C∞v
Cs Ci C1 S2n Dnh Dnd Dn Cnh Cnv Cn
Td Oh
C∞v に直交する C2
有り
Cn の存在
無し
D∞h
有り
C∞v
無し
Dnh Dnd Dn, Cnh Cnv Cn S2n
Cs Ci C1
S2n+ Cn
以外に対称要素有り
しかない
Dnh Dnd Dn Cnh Cnv Cn
S2n
σ の存在
有り
無し
Cs
Ci C1
主軸に直交する C2 軸
有り
無し
Dnh Dnd Dn
σh 有り
Dnh
σd 有り
Dnd
有り
Cnh Cnv Cn
残り
Dn
σh 有り
Cnh
σv 有り
Cnv
Ci
無し
C1
残り
Cn
演習
1. H2O、CH4、PF5(三方両錐)の点群は何か
2. 次の点群のそれぞれに、下記に示した対称操作を加える(或は削除)ことによってどんな点
群が得られるか
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群論と結晶場
C3v の全ての対称操作を書き表す表
群の表現
対称操作
Γ
C32
C3
E
σv
σ v’
σv’’
Γ:群に可能な表現という。
一般的には Γ:を使うが、点群については Mulliken の記号(後述)を使う
それぞれの対称操作は下記のような行列となる
⎛0 0 1⎞
⎛1 0 0⎞
⎛ 0 1 0⎞
⎛ 0 1 0⎞
⎛0 0 1⎞
⎛ 1 0 0⎞
⎟
⎜
⎟
⎜
⎟
⎜
⎟
⎜
⎟
⎜
⎟
⎜
2
'
''
E = ⎜ 0 1 0 ⎟ C3 = ⎜ 1 0 0 ⎟ C3 = ⎜ 0 0 1 ⎟ σ v = ⎜ 1 0 0 ⎟ σ v = ⎜ 0 0 1 ⎟ σ v = ⎜ 0 1 0 ⎟
⎜ 1 0 0⎟
⎜ 0 1 0⎟
⎜0 0 1⎟
⎜1 0 0⎟
⎜ 0 1 0⎟
⎜0 0 1⎟
⎠
⎝
⎠
⎝
⎠
⎝
⎠
⎝
⎠
⎝
⎠
⎝
行列の対角要素の和を指標(character)という
C3v の指標表は
C3v
E
C3
C32
σv
σ v’
σv’’
Γ
3
0
0
1
1
1
演習
1. H2O、CH4、PF5(三方両錐)の点群の可約表現の指標表を作れ
可約表現と既約表現
右図のように行列要素がブロック対角化されていない行列
1x1
を可約表現という
4x4
ブロック対角化された個右々の行列を既約表現という
0
1x1
=
簡約:可約表現を既約表現にすること
2x2
0
簡約化の方法(難しい方法):
A:可約行列、X:A と同じ次元の行列、B:A の対角化行列、E:A と同じ次元の単位行列
とすると、
X-1AX=B
ユニタリー変換、ただし、X-1X=E
行列 B は簡約されたブロック対角化行列となる。
X と X-1 を見つけるのが難しい
この方法を C3v の簡約化してみる(途中がややこしいので、結果だけを示す)
Γ1
Γ2
Γ3
2
E
C3
C3
(1)
(1)
(1)
(1)
(1)
(1)
⎛1 0⎞
⎜⎜ 0 1 ⎟⎟
⎝
⎠
⎛ 1
⎜−
⎜ 2
⎜ 3
⎜
⎝ 2
3⎞
⎟
−
2 ⎟
1 ⎟
− ⎟
2 ⎠
⎛ 1
⎜ −
⎜ 2
⎜
3
⎜−
⎝ 2
3⎞
⎟
2 ⎟
1⎟
− ⎟
2⎠
σv
σv'
σ v ''
(1)
(− 1)
(1)
(− 1)
(1)
(− 1)
⎛1 0 ⎞
⎜⎜ 0 − 1⎟⎟
⎝
⎠
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⎛ 1
⎜ −
⎜ 2
⎜
3
⎜−
⎝ 2
3⎞
⎟
−
2 ⎟
1 ⎟
⎟
2 ⎠
⎛ 1
⎜−
⎜ 2
⎜ 3
⎜
⎝ 2
3⎞
⎟
2 ⎟
1 ⎟
⎟
2 ⎠
ただし、X として
⎛1
⎜ (−
⎜2
⎜1
X = ⎜ (−
2
⎜
⎜
⎜
⎝
1
3
1
3
1
3
− 1)
+ 1)
1
(−
2
1
(−
2
1
3
1
3
1
3
佐藤研究室
+ 1)
− 1)
1 ⎞
⎟
3⎟
1 ⎟
⎟
3⎟
1 ⎟
⎟
3⎠
5
群論と結晶場
簡約化された表現の指標表を作ると
C3v
E
C3
C32
σv
σ v’
σv’’
Γ1
1
1
1
1
1
1
Γ2
1
1
1
-1
-1
-1
Γ3
2
-1
-1
0
0
0
Γ
3
0
0
1
1
1
指標の足し算と引き算より、
Γ=Γ1+Γ3
であることがわかる
既約表現の性質
既約表現を、Γ1、Γ2、・・・Γn とすると、
1.表現行列の次元を l 、点群の位数を h とすると、
n
∑l
i =1
2
i
2
2
h
2.
∑ [χ ( R )]
2
i
k =1
k
h
3.
∑ χ (R
k =1
2
= l1 + l 2 + K + l n = h
i
k
=h
) χ j ( Rk ) = 0 (i ≠ j )
4.ある表現の中で同じ類に属する表現行列の指標は等しい
5.点群に可能な既約表現の数は、その類の数に等しい
これらの性質を C3v について確かめてみる
5番目の性質
C3とC32、並びにσv、σv’及びσv’’は
それぞれ同じ類である
類の数=既約表現の数=3
4番目の性質
1番目の性質
Γ1とΓ2の次元は1、
Γ3の次元は2である
ので
12+12+22=6
C3v
E
C3
C32
Γ1
1
1
1
1
1
1
Γ2
1
1
1
-1
-1
-1
Γ3
2
-1
-1
0
0
0
2番目の性質
σv σ v
σv
3番目の性質
22+(-1)2+(-1)2+02+02+02=6
1x1+1x1+1x1+
1x(-1)+1x(-1)+1x(-1)=0
演習
1. H2O、CH4、PF5(三方両錐)の点群の既約表現について、1∼5 の既約表現の性質を確かめよ
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群論と結晶場
既約表現の記号
Mulliken の記号
1. 一次元既約表現は、A or B で表す
主軸の回転に対して対称の場合 A(指標が1)
主軸の回転に対して反対称の場合 B(指標がー1)
主軸に垂直な C2 軸(D 対称)や主軸に平行な σ 面をもつとき、
対称=下付数字 1
反対称=下付数字 2
2. 二次元既約表現は、E で表す
三次元既約表現は、T で表す
下付数字は数学的に決めるが複雑なので、任意と考がえてよい
3. 肩付き符号(’)、
(’’)は、主軸に垂直な σh 面に対して表し、
対称=(’)
反対称=(’’)
4. 反転(i)に対して、
対称=下付(g)
反対称=下付(u)
表としてまとめると、
指数表の Mulliken の記号
記号
次元
A、B
1
E
2
T(F)
3
記号
Cn
対称
反対称
A
B
C2‘又は
σv(σd)
1
2
σv
i
’
g
’’
u
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群論と結晶場
指標表による可約表現の簡約化
可約表現を Γ = a1 Γ1 + a1 Γ1 + L an Γ n とする
ai =
1 h
∑ g k χi ( Rk ) χ ( R)
h k =1
h:群の位数(指標表の対称要素の合計数)
gk:対称操作(Rk)の類の次数(指標表の対称操作の前にある数)
χi(Rk):指標表の対称操作(Rk)の指標
χ(R):可約表現の対称操作(R)の指標
C3v について既約表現の係数を求める
まず、既約表現と可約表現の指標表を類毎にまとめ直すと、
既約表現
可約表現
C3v,
E
2C3
3σv
C3v,
E
2C3
3σv
A1
1
1
1
Γ
3
0
1
A2
1
1
-1
E
2
-1
0
上記の関係式を使うと、
A1
a1={1x1x3 + 2x1x0 + 3x1x1}/6
A2
a2={1x1x3 + 2x1x0 + 3x(-1)x1}/6=0
E
a3={1x2x3 + 2x(-1)x0 + 3x0x1}/6
=1
=1
∴Γ=A1+E
このようにすると、
「対称操作行列の具体的な中身を知る必要はない」
ということができ、可約表現を簡約化できる
指標表の見方
C3v
E
2C3
3σv
A1
1
1
1
z
A2
1
1
-1
Rz
E
2
-1
0
(x,y),(Rx,Ry)
x2+y2, z2
(x2-y2,xy) (xz,yz)
右の領域−基底となる関数
基底:群のある表現(Γ1、A1 など)を満足する関数やベクトル
x、y、z:座標、 x ⇒ p x ,
y ⇒ p y , z ⇒ pz
x + y ⇒ d x2 + y2 , 2 z 2 − x 2 − y 2 ⇒ d z 2
xy ⇒ d xy , xz ⇒ d xz , yz ⇒ d yz
2
2
R:添え字で示した軸周りの回転
演習
1. H2O、CH4、PF5(三方両錐)の点群の可約表現を上記の方法で簡約せよ
2. ベンゼン、フェロセンの点群の可約表現を上記の方法で簡約せよ
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群論と結晶場
直積
Γi と Γj を群の既約表現とすると、直積とは ΓiΓj(或は ΓixΓj)で表される。
ここで、可約表現の類 k の指標 χk’については
χ k ' = χ ik χ jk
の関係がある。
既約表現の直積はその既約表現の線形結合で表現できる。
C3v の例
Γ i Γ i = ∑ nl Γ l
l
C3v
E
2C3
3σv
A1
A2
1
1
1
1
1
-1
E
2
-1
0
A1 A2
A1 E
1
2
1
-1
-1
0
A2
E
A2 E
2
-1
0
E
A1 A2 E
2
-1
0
E
EE
4
1
0
A1+A2+E
量子力学における直積の重要性
∫ φ φ dτ
a b
この積分がゼロでないのは、非積分関数がその分子の属する群の全ての操作のもとで不
変でなければならない。このとき、この関数はその群の全対称表現の基底をなすという。
定理
直積表現 ΓiΓj は、
既約表現 Γi が既約表現 Γj に等しいときのみ、全対称表現を含んでいる。
非ゼロ行列要素の同定
∫
エネルギー積分、ψ i Hψ j dτ
は ψi と ψj が、その分子の点群の同じ既約表現に属する
ときのみゼロでない。H が対称表現であるから。
演習
1. C4v 点群において、A1A2、B1E、A1EB2、EE の直積の指標を書き、それを簡約せよ
2. D6h 点群において、A1gB1g、A1uA1u、E1gB2gA2uE1u の直積の指標を書き、それを簡約せよ
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群論と結晶場
4.群論と分子軌道法
LCAO−分子軌道法の一般論
n 個の原子軌道φi からなる MO をψ = c1φ1 + c1φ1 + L + c nφ n で近似する。
Schröinger 方程式、 Hψ = Eψ , ∴ E =
∫ ψ H ψ dτ
∫ψ *ψ dτ
∫
∫
ク ー ロ ン 積 分 : H ii = φi Hφ i dτ 、 共 鳴 積 分 : H ij = φi Hφ j dτ 、 重 な り 積 分 :
S ij = ∫ φiφ j dτ と定義して、
係数 ci についての変分法((∂E/∂ci)=0)、を適用すると
次の永年方程式が得られる。
H 11 − ES11
H 12 − ES12
H 21 − ES 21
H 22 − ES 22
K
H n1 − ES n1
K
K
K
H n 2 − ES n 2 K H nn − ES nn
K
H 1n − ES1n
K H 2 n − ES 2 n
=0
演習
1. Schröinger 方程式から変分法を経て永年方程式が得られるまでの過程を示せ
Hückel 近似
∫
i 番目と j 番目の原子が隣り合っていないとき H ij = φ i Hφ j dτ = 0 、重なり積分は
S ij = ∫ φiφ j dτ = δ ij
H 11 − E
H 21
K
H n1
H 12
K
H 22 − E K
K
H n2
H 1n
H 2n
K
K
K H nn − E
=0
この永年方程式を適当な変換をして、ブロック対角化をして E を求める。
群論の教えるところでは、
「共鳴積分と重なり積分がゼロにならないのはψi とψj が同じ表現に属しているとき」
このとき永年方程式のブロック対角化に群論を適用できる
演習
1. ベンゼンのπ電子系に Hückel 近似を適用した場合に得られる永年方程式を示せ
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佐藤研究室
10
群論と結晶場
NH3 分子の MO の作り方
C3v
E
2C3
3σv
NH3 分子:C3v 対称
A1
1
1
1
z
用いる原子軌道
A2
1
1
-1
Rz
E
2
-1
0
(x,y),(Rx,Ry)
N 原子:2s、2px、2py、2pz
x2+y2, z2
(x2-y2,xy) (xz,yz)
H 原子:1s
前述したように、NH3 分子の可約表現は、Γ= A1+E に簡約できる
z
右図のように各原子の座標軸をとる
z
y
N の原子軌道について
H2
N
x
x
2s は全対称(どの対称操作によっても不変)であるから⇒A1
x
2pzN も全対称⇒A1
2pxN と 2pyN は組になっているから⇒E
H3
y
z
N
x
H1
H3
σv
σv
H の原子軌道について
y
N
これまでの例から、Γ(sH1、sH2、sH3)=A1+E
3 つの H 原子のどの組み合わせが A1 と E になるかを考える
H2
σv
H1
x
3 つの H の 1s 軌道を 3 つのベクトルと考える
A1(全対称関数)⇒c1(sH1+sH2+sH3)
E は xy 軸方向のベクトルと同じ表現であるから、
E
x 軸方向対称関⇒c2(sH2/2+sH3/2–sH1)
y 軸方向対称関⇒c3(sH3-sH2)
係数 ci は規格化よりもとめられる。
分子軌道の形
規格化された対称関数
水素原子
A1 表現
E 表現
1/2
H1
H2
窒素原子
H3
ψz=(1/3) (s +s +s )
2sN、2pzN
ψx=(1/6)1/2(sH2+sH3-2sH1)
2pxN
ψy=(1/2)1/2(sH3–sH2)
2pyN
このような MO を対称性適応線形結合(symmetry-adapted linear conbination, SLAC)という
演習
1. 上記の係数、c1、c2、c3 を求める過程を示せ。
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y
z
y
佐藤研究室
11
群論と結晶場
この SLAC を用いて永年方程式を作る
永年方程式
A1
E
s
pz
ψz
px
ψx
py
ψy
s
αs−E
0
β1
0
0
0
0
pz
0
αp−E
β2
0
0
0
0
ψz
β1
β2
αH−E
0
0
0
px
0
0
0
αp−E
β3
0
0
ψx
0
0
0
β3
αH−E
0
0
py
0
0
0
0
0
αp−E
β3
ψy
0
0
0
0
0
β3
αH−E
ただし、α=Hii、β=Hij
分子軌道関数
A1 表現
Ψ1=c1(2sN)+c2(2pzN)+c3(1/3)1/2(sH1+sH2+sH3)
E 表現
Ψ2=c2(2pxN)+c5(1/6)1/2(sH2+sH3-2sH1)
Ψ3=c6(2pyN)+c7(1/2)1/2(sH3–sH2)
これらより、定性的な分子軌道のエネルギー準位図を作ると、
A1:σz*
E:σx*,σy*
A1:2pz
E:2px,2py
E:ψx,ψy A :ψ
1
z
A1:σz
A1:2s
E:σx,σy
A1:σs
AO of N
MO
AO of H
演習
1. 上記の方法を用いて、PF5(三方両錐)の分子軌道関数とエネルギー準位図をもとめよ
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佐藤研究室
12
群論と結晶場
5.群論による配位子群軌道の形成
1. 錯体が属する点群を決める。ここでは、正八面体型の錯体 ML6 を考える
2. 関与する配位子の軌道を選ぶ。ここでは、中心金属と σ 結合を形成する軌道を選ぶ。
すなわち、各配位子 L の中心金属 M に向いている軌道(ϕ1、ϕ2、ϕ3、ϕ4、ϕ5、ϕ6)
を選び、各 L 上の座標は、M 方向を z に選ぶ。
3. 各対称要素の可約表現の指標を求める。
4. 可約表現にどの既約表現が何個含まれるかを計算する。
5. 4で求めた既約表現に属する分子軌道の基底をつくる。
6. 5で求めた基底をもとにその LCAO で分子軌道をつくる。
7. 永年方程式を解いて分子軌道を求める。
原子座標の取り方
金属ー配位子結合に関与する個々の原子軌道金属原子:s,p,d 軌道配位子
金属原子と結合する配位子 L の軌道(ϕ1、ϕ2、ϕ3、ϕ4、ϕ5、ϕ6)は x, y, z 軸上から金属原子の
方向に、直接 σ 軌道のみを向けて相互作用する場合を考える(σ ドナー型)
φ5
y
z
y
M
z
y x
φ1
y
z
φ6
x
x
z
y
x
z
φ3
z
z
x
φ4
x
y
φ2
x
y
正八面体場(Oh)の指標表
Oh
E 8C3 6C2 6C4 3C2 i 6S4 8S6 3σ 6σ
A1g
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
A2g
1
1
-1
-1
1
1
-1
1
1
-1
Eg
2
-1
0
0
2
2
0
-1
2
0
T1g
3
0
-1
1
-1
3
1
0
-1 -1
T2g
3
0
1
-1
-1
3
-1
0
-1
A1u
1
1
1
1
1
-1 -1
-1 -1 -1
A2u
1
1
-1
-1
1
-1
1
-1 -1
1
Eu
2
-1
0
0
2
-2
0
1
-2
0
T1u
3
0
-1
1
-1 -3 -1
0
1
1
T2u
3
0
1
-1
-1 -3
0
1
-1
1
x2 + y2 + z2
(2 z 2 − x 2 − y 2 , x 2 − y 2 )
( Rx , R y , Rz )
( xy, xz , yz )
1
12 / 28
( x, y , z )
佐藤研究室
13
群論と結晶場
Oh における配位子 σ 結合の可約表現
配位子の px、py、pz 軌道を図のベクトルと考える
配位子の s 軌道は点と考える
⎛1
⎜
⎜0
⎜0
E =⎜
⎜0
⎜0
⎜
⎜0
⎝
0 0 0 0 0⎞
⎟
1 0 0 0 0⎟
0 1 0 0 0⎟
⎟,
0 0 1 0 0⎟
0 0 0 1 0 ⎟⎟
0 0 0 0 1 ⎟⎠
⎛0
⎜
⎜0
⎜0
C3 = ⎜
⎜0
⎜1
⎜
⎜0
⎝
1 0 0 0 0⎞
⎟
0 0 0 1 0⎟
0 0 1 0 0⎟
⎟,
0 0 0 0 1⎟
0 0 0 0 0 ⎟⎟
0 1 0 0 0 ⎟⎠
⎛0
⎜
⎜0
⎜0
C4 = ⎜
⎜1
⎜0
⎜
⎜0
⎝
1 0 0 0 0⎞
⎟
0 1 0 0 0⎟
0 0 1 0 0⎟
⎟,
0 0 0 0 0⎟
0 0 0 1 0 ⎟⎟
0 0 0 0 1 ⎟⎠
etc
上記の結果から可約表現は
Oh
E
8C3
6C2
6C4
3C2
i
6S4
8S6
3σh
6σd
Γ
6
0
0
2
2
0
0
0
4
2
既約表現のそれぞれの係数を求める
これより、
Γ(σ)=A1g+Eg+T1u
Oh における中心金属の可約表現
指標表の右側の記号
x2 + y 2 + z 2 ⇔ s
2z 2 − x2 − y2 ⇔ d z2
x2 − y2
⇔ d x2 − y2
xy
⇔ d xy
xz
⇔ d xz
yz
⇔ d yz
x
⇔ px
y
⇔ py
z
⇔ pz
より、既約表現に対応する原子軌道は、
軌道の既約表現
A1g ⇔ s
Eg
⇔ d z2 , d x2 − y2
T2 g
⇔ d xy , d xz , d yz
T1u
⇔ px , p y , pz
以上の結果をもとにして MO をつくる
13 / 28
佐藤研究室
14
群論と結晶場
八面体錯体 ML6(Oh)の MO 関数
配位子:s、p 軌道
σ 結合
Γ(sσ)=A1g+Eg+T1u
Γ(pσ)=A1g+Eg+T1u
π 結合
Γ(pπ)=T1g+T2g+T1u+T2u
SLAC
1
i
ψA =
(φ1 + φ2 + φ3 + φ4 + φ5 + φ6 ) φi = s i or p z
6
1g
ψE
g
⎧ 1
⎫
⎪⎪ 12 ( 2φ5 + 2φ6 − φ1 − φ 2 − φ3 − φ 4 ) ⎪⎪
=⎨
⎬ ⇔
⎪ 1 (φ − φ + φ − φ )
⎪
3
4
⎪⎩ 2 1 2
⎪⎭
⎧⎪d z 2 ⎫⎪
metal ⎨
⎬ Eg
⎪⎩d x 2 − y 2 ⎪⎭
ψT
⎧
⎪
⎪
⎪
=⎨
⎪
⎪
⎪
⎩
ψT
⎧1
1
5
3
6 ⎫
⎪ 2 ( p y + px + px + p y ) ⎪
⎧d xy ⎫
⎪
⎪
⎪ ⎪
⎪1
2
5
4
6 ⎪
= ⎨ ( p x + p y + p y + p x )⎬ ⇔ metal ⎨d xz ⎬ T2 g
⎪2
⎪
⎪d ⎪
⎩ yz ⎭
⎪1 1
2
3
4 ⎪
⎪ 2 ( px + p y + p y + px ) ⎪
⎩
⎭
1u
2g
1
⎫
(φ1 − φ3 ) ⎪
2
⎪
1
⎪
(φ2 − φ4 ) ⎬ ⇔
2
⎪
⎪
1
(φ5 − φ6 ) ⎪
2
⎭
⇔ {s}A1g
⎧ px ⎫
⎪ ⎪
metal ⎨ p y ⎬ T1u
⎪ ⎪
⎩ pz ⎭
演習
SLAC を求める過程を具体的に示せ
永年方程式
(金属の T2g は非結合軌道を作るので含まれていない)
s
ΨA1g
d z2
ΨEg(1)
dx2− y2
ΨEg(2)
px
Ψ T1u(1)
py
Ψ T1u(2)
pz
Ψ T1u(3)
s
α1-E
β12
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
ΨA1g
β12
α 2 -E
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
d z2
0
0
α3-E
β34
β35
β36
0
0
0
0
0
0
ΨEg(1)
0
0
β34
α4-E
β45
β46
0
0
0
0
0
0
dx2− y2
0
0
β35
β45
α 5 -E
β56
0
0
0
0
0
0
ΨEg(2)
0
0
β36
β46
β56
α6-E
0
0
0
0
0
0
px
0
0
0
0
0
0
α 7 -E
β78
β79
β710
β711
β712
ΨT1u(1)
0
0
0
0
0
0
β78
α8-E
β89
β810
β811
β812
py
0
0
0
0
0
0
β79
β89
α 9 -E
β910
β911
β912
ΨT1u(2)
0
0
0
0
0
0
β710
β810
β910
α10-E
β1011
β1012
pz
0
0
0
0
0
0
β711
β811
β911
β1011
α11-E
β1112
ΨT1u(2)
0
0
0
0
0
0
β712
β812
β912
β1012
β1112
α12-E
14 / 28
佐藤研究室
15
群論と結晶場
2x2
12x12
4x4
=
6x6
12 個の原子軌道から、singlet の MO が 2 つ、doublet の MO が 2 つ、triplet の MO が 2 つでき
る。それぞれに結合性軌道と反結合性軌道がある。
模式的に MO を描くと、右図になる
T1u
金属の T2g は結合する相手がいないので、 ML6 の σMO
MO 中では非結合成軌道となる
A1g
4p:T1u
4s:A1g
Eg
3d:Eg 3d:T2g
T2g
T1u
A1g
Eg
Eg
T1u
A1g
AO of Metal
MO
AO of Ligand
φ5
Oh における配位子π結合の可約表現
y
座標の取り方は右図
x
z
y
σ 結合の場合と同様にして、
可約表現
φ4
Oh
Γ
8C3 6C2 6C4 3C2
E
12
0
0
0
6S4
i
-4
0
8S6
0
3σh
0
0
0
M
z
6σd
y x
φ1
x
z
y
z
簡約化
8C3 6C2 6C4 3C2
i
6S4 8S6 3σh 6σd
Oh
E
Γ(π)
12
0
0
0
-4
0
0
0
0
0
T1g
3
0
-1
1
-1
3
1
0
-1
-1
T2g
3
0
1
-1
-1
3
-1
0
-1
1
T1u
3
0
-1
1
-1
-3
-1
0
1
1
T2u
3
0
1
-1
-1
-3
1
0
1
-1
T1g+T2g+T1u+T2u 12
0
0
0
-4
0
0
0
0
0
15 / 28
z
z
x
x
φ6
φ3
x
z
y
y
佐藤研究室
y
φ2
x
16
群論と結晶場
既約表現は、Γ(π)=T1g+T2g+T1u+T2u となる
金属の原子軌道について
t2g (dxy, dyz,dxz)
t1u(px, py, pz)
⇔
⇔
T2g
T1u
t1g と t2u に相当する軌道はない
π 結合の MO のエネルギーレベル図(σ 結合は描かれていない)
ML6 のπMO
T1u
4p:T1g
3d:T2g
T1g
T1g T2u T1u
T2u
T1u
T2g
T2g
AO of Metal
MO
AO of Ligand
π 結合性が重要な働きを発揮するのは、d 軌道の t2g と結合する配位子の T2g のエネルギー準位
の位置によるΔ0 の影響である(下図)
T1u は p 軌道と結合するので重要ではない
配位子が π ドナーの場合
H2O、OH- etc
配位子が π アクセプターの場合
CO、CN- etc
T2g
3d:eg
Eg
3d:eg
Eg
t2g
T2g
3d:t2g
t2g
3d:t2g
T2g
AO of Metal
MO
T2g
AO of Ligand
16 / 28
AO of Metal
MO
AO of Ligand
佐藤研究室
17
群論と結晶場
Td における可約表現
x
既約表現と座標の取り方
L4
Td
E
8C3 3C2 6S4
A1
1
1
1
1
1
A2
1
1
1
-1
-1
E
2
-1
2
0
0
T1
3
0
-1
1
-1 (Rx, Ry, Rz)
T2
3
0
-1
-1
6σd
z
y
h=24
y
x2+y2, z2
M
x
(x,y,z)
L1
z
(2z2-x2-y2,x2-y2)
1
x
z
z
L2
y
(xy,xz,yz)
x
z
y
L3
x
σ 結合について、配位子の可約表現
⎛1 0 0 0⎞
⎛1
⎜
⎟
⎜
⎜0 1 0 0⎟
⎜0
E=⎜
, C3 = ⎜
⎟
0
0 0 1 0
⎜
⎟
⎜
⎜0 0 0 1⎟
⎜0
⎝
⎠
⎝
0 0 0⎞
⎟
0 1 0⎟
,
0 0 1⎟
⎟
1 0 0 ⎟⎠
⎛0
⎜
⎜0
C2 = ⎜
0
⎜
⎜1
⎝
0 0 1⎞
⎟
0 1 0⎟
,
1 0 0⎟
⎟
0 0 0 ⎟⎠
etc
この指標表
Td
E
Γ(σ)
4
8C3 3C2
1
6S4
6σd
0
2
0
簡約化
Td
E
8C3
6C2
6S4
6σd
Γ(σ)
4
1
0
0
2
A1
1
1
1
1
1
T2
3
0
-1
-1
1
A 1+ T 2
4
1
0
0
2
従って、σ結合の表現は
Γ(σ)=A1+T2
同様にして、π 結合については、
Γ(π)=E+T1+T2
中心金属の軌道の表現は
A1 : s
E:
dz2、dx2-y2
T2: px、py、pz
T2: dxy、dxz、dyz
17 / 28
佐藤研究室
y
18
群論と結晶場
四面体錯体 ML4(Td)の MO
配位子:s、p 軌道
σ 結合
Γ(sσ)=A1+T2
、
Γ(pσ)=A1+T2
π 結合
Γ(pπ)=E+T1+T2
SLAC
1
2
ψ A = (φ1 + φ2 + φ3 + φ4 ) φi = s i or pz i
1
ψE
ψT
⎧1 1
2
3
4 ⎫
⎧⎪d z 2 ⎫⎪
⎪⎪ 2 ( p x − p x − p x + p x ) ⎪⎪
=⎨
⎬ ⇔ metal ⎨
⎬E
⎪⎩d x 2 − y 2 ⎪⎭
⎪ 1 ( p 1 − p 2 − p 3 + p 4 )⎪
y
y
y ⎪
⎪⎩ 2 y
⎭
2 (σ )
ψT
⇔ metal{s}A1
2 (π )
⎫
⎧1
⎪ 2 (φ1 − φ2 + φ3 − φ4 ) ⎪
⎧ px ⎫
⎪
⎪
⎪ ⎪
⎪
⎪1
= ⎨ (φ1 + φ2 − φ3 + φ4 )⎬ ⇔ metal ⎨ p y ⎬ T2
⎪ ⎪
⎪
⎪2
⎩ pz ⎭
⎪
⎪1
(
)
φ
φ
φ
φ
−
−
+
⎪⎩ 2 1 2 3 4 ⎪⎭
⎧1
⎫
1
2
3
4
⎪ 4 ( px + px − px − px )
⎪
⎪
⎪
3
⎪
1
2
3
4 ⎪
⎪ + 4 (− p y − p y + p y + p y )⎪
⎧d xy ⎫
⎪
⎪
⎪ ⎪
⎪1
⎪
1
2
3
4
= ⎨ ( px − px + px − px )
⎬ ⇔ metal ⎨d xz ⎬ T2 g
⎪4
⎪
⎪d ⎪
⎩ yz ⎭
⎪
⎪
3
1
2
3
4
+
−
+
−
(
p
p
p
p
)
⎪
⎪
y
y
y
y
4
⎪
⎪
⎪1
⎪
1
2
3
4
⎪ 2 ( px + px + px + px )
⎪
⎩
⎭
定性的な MO のエネルギー準位図
T2
ML4 の σMO
A1g
4p:T2
4s:A1
3d:T2
T2
3d:E
T2g
T2
A1
ML4 のπMO
4p:T2
T2
4s:A1
T2
T2
3d:T2
3d:E
T2
E
T2
MO
E
T2
E
T2
A1
AO of Metal
T1
T1
AO of Metal
AO of Ligand
18 / 28
MO
AO of Ligand
佐藤研究室
19
群論と結晶場
6.群論によるスペクトルの取り扱い
スペクトルの種類とエネルギー領域
電子遷移:1∼10eV
紫外可視
振動遷移:10-2∼10-1eV
赤外
回転遷移:10-5∼10-4eV
マイクロ波
電子スペクトルの選択則
遷移確率 Q
Q ∝ ∫ψ ' rψ dτ
r:遷移演算子(双極子モーメント演算子(x、y、z 軸方向ベクトル)、奇関数(反対称))
これらの固有関数と演算子を基底とする既約表現を Γ(Ψ)、Γ(r)、Γ(Ψ‘)とすると、Q がゼロ
でないためには直積 Γ(Ψ)Γ(r)Γ(Ψ‘)は全対称にならなければならない。
パリティ遷移則(Laporte 選択則とも言う)−Γ(Ψ)と Γ(Ψ‘)のどちらかが偶(g)であれば、一
方は奇(u)である必要がある。
八面体場では dn 配置から生じる全ての状態は g 性を持つから、基本的には d−d 遷移は禁
制となる。しかし実際にはこの禁制は僅かに破られて d−d 遷移は観測されている。四面体
場では d−d 遷移は許容である。
振動電子結合(vibronic coupling)−電子遷移が振動遷移とカップリングして許容遷移を与える
Q ∝ ∫ψ e ' rψ e dτ ≅ ∫ (ψ e 'ψ v ' )r (ψ eψ v )dτ
Γ(Ψe)( Γ(Ψe’)も同様)は全対称であるので、 Γ(Ψe’)Γ(r)=Γ(Ψv)であれば Q はゼロにならない。
スピン選択則
Q ∝ ∫ψ e ' rψ e dτ ≅ ∫ (ψ e 'ψ v ' )r (ψ eψ v ) e dτ ≅ ∫ (ψ e 'ψ v 'ψ s ' )r (ψ eψ vψ s )dτ
= ∫ (ψ s ψ
' s dτ 1 ∫ (ψ e 'ψ v ' )r (ψ eψ v )dτ 2
スピン関数は規格直交系をなすから
∫ψ
si
'ψ sj dτ 1 = δ ij
遷移する 2 つの状態間のスピン状態が等しいとき
遷移は許容となる
振動電子結合(vibronic coupling)
八面体場では右図のような振動モードが可能
T1u
19 / 28
T2u
佐藤研究室
20
群論と結晶場
例
[Co(NH3)6]2+
基底状態 Ψe−1A1g
(S=0)
1
2 つの励起状態− T1g、1T2g
(ともに S=0)
r(x,y,z)−T1u
八面体の AB6 の分子基準振動:
A1g 、Eg 、2T1u 、T2g 、T2u
●第 1 励起状態(T1g)について
直積 Γ(Ψ‘)Γ(r)Γ(Ψ)= T1g T1u A1g= T1g T1u=A1u+Eu+T1u+T2u
T1u+T2u は両方に共通して存在している。純粋な 1A1g→1T1g は禁制であるが、T1u あるいは T2u
振動の同時励起がある全ての遷移は許容される。
●第 2 励起状態(T2g)について
直積 Γ(Ψ‘)Γ(r)Γ(Ψ)= T2g T1u A1g= T2g T1u=2A2u+Eu+T1u+T2u
T1u あるいは T2u 振動の同時励起があれば、1A1g→1T2g 遷移も起こりうる。
20 / 28
佐藤研究室
21
群論と結晶場
7.群論と結晶場理論
電子と原子の角運動量についての復習
軌道角運動量
角運動量ベクトルの絶対値
角運動量ベクトルの z 成分
量子数
z 成分の量子数
電子
li
角運動量
ベクトル
角運動量ベク
トルの z 成分
角運動量
量子数
z 成分の
量子数
磁気量子数
結晶場理論
s
s 2 = s ( s + 1)h
s z = ms h
s(= 1 / 2)
m s ( = ±1 / 2)
l
l 2 = l (l + 1)h
l z = mh
l (= 0,1,2,⋅ ⋅ ⋅)
m(= −l ,⋅ ⋅ ⋅l )
角運動量ベクトル
軌道角運動量
原子
L = ∑ li
l zi
L z = ∑ l zi
li
電子
si
スピン角運動量
スピン角運動量
原子
S = ∑ si
全角運動量
原子
J = L+ S
S z = ∑ s zi
J z = Lz + S z
L = l1 + l 2 ,⋅ ⋅ ⋅ l1 − l 2 si
S = s1 + s 2 ,⋅ ⋅ ⋅ s1 − s 2
J = L + S ,⋅ ⋅ ⋅ L − S
mi
M L = ∑ mi
m zi
M S = ∑ m zi
MJ = ML + MS
− l i ,⋅ ⋅ ⋅l i
− L,⋅ ⋅ ⋅L
± 1/ 2
− S ,⋅ ⋅ ⋅S
M = − J ,⋅ ⋅ ⋅ J
s zi
−多電子原子の電子状態−
軌道角運動量とスピン角運動量が相互作用
LS カップリング、λL・S
合成角運動量、J=L+S
スペクトル項の記号
2 S +1
LJ
ただし、
L=
0
1
2
3
4
5
6
S
P
D
F
G
H
I
フントの規則(基底状態)
1. 電子スピンはパウリの排他律に従いつつ、合成スピン S が最大になるように占める。
2. パウリの排他律を満たした状態で、合成軌道角運動量 L も最大になるように占める。
3.
全角運動量 J は、電子数が電子殻の半分以下の場合は | L - S | となり、電子数が半分
以上の場合には L + S となる。
21 / 28
佐藤研究室
22
群論と結晶場
d2 の場合について
縮退している軌道に対しては Pauli の排他律と Fund 規則がきいてくるので、
⇒
1
L=3(l1=2 と l2=1)では S=1 だけ
⇒
3
L=2(l1=1 と l2=1)では S=0 だけ
⇒
1
L=1(l1=1 と l2=0)では S=1 だけ
⇒
3
L=0(l1=0 と l2=0)では S=0 だけ
⇒
1
L=4(l1=2 と l2=2)では S=0 だけ
G
F
D
P
S
3
基底状態は F
自由イオンにおける d 軌道の電子項
電子配置
1
電子項
9
2
d ,d
d2,d8
3
d3,d7
4
d4,d6
5
F,3P,1G,1D,1S
F,4P,2H,2G,2F,2Dx2,2P
D,3H,3G,3Fx2,3D,3Px2,1I,1Gx2,1F,1Dx2, 1Sx2
6
d
D
S,4G,4F,4D,4P,2I,2H,2Gx2,2Fx2,2Dx3, 2P,2S
演習
上記の方法で d3 において現れる全ての項を導け(上記のように 8 通りある)
群論による d 軌道の表現
結晶場における原子軌道の属する既約表現(一電子の場合)を求める
Oh 点群内の 3d 軌道の表現
水素原子型の多電子原子固有関数
Ψnlm (r ,θ , φ ) = Rnl (r )Ylm (θ , φ ) = Rnl (r ) Plm (cos θ )Φ m (φ )
3d 軌道は次の形をとる
Ψ32 m (r , θ , φ ) = Rnl ( r )Ylm (θ , φ ) = R32 (r ) P2 m (cos θ )
e imφ
2π
この軌道の O 点群(Oh 点群の部分群)の中での挙動を見る
O 点群は回転操作のみであるから、その回転軸を z 軸として調べる(変化するのは φ だけ)
Rω Φ m (φ ) = Φ m (φ + ω )
z 軸の ω の回転操作を Rω とすると、
5 つの d 軌道については m(2,1,0,-1,-2)であるから、
⎛ e 2 iω
⎜
⎜ 0
⎜ 0
⎜
⎜ 0
⎜
⎝ 0
0
e iω
0
0
0
e0
0
0
0
0
0
0
0
e
− iω
0
0 ⎞ ⎛ e 2iφ ⎞ ⎛ e 2i (φ +ϖ ) ⎞
⎟⎜
⎟ ⎜
⎟
0 ⎟ ⎜ e iφ ⎟ ⎜ e i (φ +ϖ ) ⎟
0 ⎟⎟ ⎜⎜ e 0 ⎟⎟ = ⎜⎜ e 0 ⎟⎟
0 ⎟ ⎜ e −iφ ⎟ ⎜ e −i (φ +ϖ ) ⎟
⎟⎜
⎟ ⎜
⎟
e − 2 iω ⎠ ⎝ e − 2iφ ⎠ ⎝ e − 2i (φ +ϖ ) ⎠
上式中の行列は 5 つの d 軌道を基底とする表現となっている
この行列の指標は
χ (ω ) = e 2iω + e iω + e 0 + e −iω + e −2iω
これを一般論に拡張すると
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佐藤研究室
23
群論と結晶場
χ (ω ) = eilω + ei (l −1)ω + K + e − ilω
1 ⎤
⎡
sin ⎢(l + )ω ⎥
2 ⎦
⎣
= e −ilω ∑ (e iω ) j =
⎛ω ⎞
j =0
sin ⎜ ⎟
⎝2⎠
2l
これら軌道の O 点群の全ての回転操作の指標
χ(C2)=1
(ω=π)
χ(C4)=-1
(ω=π/2)
χ(C3)=-1
(ω=2π/3)
O
A1
A2
E
T1
T2
E
1
1
2
3
3
6C4
1
-1
0
1
-1
3C2
1
1
2
-1
-1
8C3
1
1
-1
0
0
6C2
1
-1
0
-1
1
x2+y2+z2
(2z2-x2-y2,x2-y2)
(x,y,z)
(xy,xz,yz)
回転操作の可約表現は指標表を用いて、
O
Γ(d)
E
5
6C4
-1
3C2
1
8C3
-1
6C2
1
これらの結果より、d 軌道の既約表現は、
Γ(d 軌道)=E+T2
Oh 点群では O のそれに g つけて、
Γ(d 軌道,Oh)=Eg+T2g
同様にして他の軌道の可約表現の指標と軌道の既約表現を求めると、
O
s
p
d
f
g
h
i
C2
1
-1
1
-1
1
-1
1
C3
1
0
-1
1
0
-1
1
C4
1
1
-1
-1
1
1
-1
C5
1
2cos36∘
0
-2cos36∘
-1
1
2cos36∘
C6
1
2
1
-1
-2
-1
1
O
s
p
d
f
g
h
i
E
1
3
5
7
9
11
13
C3
1
0
-1
1
0
-1
1
C2
1
-1
1
-1
1
-1
1
C4
1
1
-1
-1
1
1
-1
既約表現
A1
T1
E+T2
A2+T1+T2
A1+E+T1+T2
E+2T1+T2
A1+A2+E+T1+2T2
演習
上記の方法で f 軌道の O における既約表現を求めよ(答えは A2+T1+T2)
Oh と Td についてまとめると、
s
p
d
f
g
h
i
Oh
A1g
T1u
Eg+T2g
A2u+T1u+T2u
A1g+Eg+T1g+T2g
Eu+2T1u+T2u
A1g+A2g+Eg+T1g+2T2g
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Td
A1
T2
E+T2
A2+T1+T2
A1+E+T1+T2
E+2T+T2
A1+A2+E+T1+2T2
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24
群論と結晶場
多電子系の結晶場における原子軌道の属する既約表現
d2 自由イオンの電子項の分裂について考えてみる
多電子系では電子は LS カップリングしている
個々の電子の m を合計した合計磁気量子数 M を用いて
1
ΦM =
2π
e iMφ
を使う。
スピン多重度:スピン関数は座標に依存しないから対称操作によって変換されない。スピ
ン多重度は対称場に入れても不変である。
一電子系と同様にすると、d 2 では、
Oh
A1g
1
1
A1g+ Eg+1T1g+1T2g
3
T1g
1
Eg+1T2g
3
A2g+3T1g+3T2g
1
Td
A1
1
1
A1+ E+1T1+1T2
3
T1
1
E+1T2
3
A2+3T1+3T2
1
S
G
3
P
1
D
3
F
1
1
その他のdn 系についてはスピン多重度だけが異なる。
八面体場におけるエネルギー準位図の組立て
d2 の場合について
(1)自由イオンの項(エネルギーの低い順)
3
F
1
D
3
P
1
1
G
S
それぞれの項の Oh における分裂
D 項−T2g、Eg
P 項−T1g
S 項−A1g
F 項−T1g、T2g、A2g
G 項−T1g、T2g、Eg、A1g
この場合、軌道は分裂していないので、
スピン多重度は変わらない
(2)強い場(極限)の配置(エネルギーの低い順)
t2g2
t2geg
eg
2
ここで直積を用いる(右図)と
t2g2= t2gxt2g=A1g+Eg+T1g+T2g
t2geg= t2gxeg=T1g+T2g
eg2=eg2xeg2=A1g+A2g+Eg
O
A1
A2
E
T1
T2
T2 T2
E T2
EE
E
1
1
2
3
3
9
6
4
6C4
1
-1
0
1
-1
1
0
0
3C2
1
1
2
-1
-1
1
-2
4
8C3
1
1
-1
0
0
0
0
1
6C2
1
-1
0
-1
1
1
0
0
A1+E+T1+T2
T1+T2
A1+A2+E
(Oh の代わりに O でも良い。全て g 関数だから)
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25
群論と結晶場
軌道は既に分裂しているので、
スピン多重度はまだわからない
多重度ついては m Cn =
m!
を用いる
(m − n)!n!
t2g2 の場合、
軌道縮重度=3、スピン縮重度=2 であるから、6C 2=15 通り。
これが分裂した A1g、Eg、T1g、T2g の合計した縮重度も 15 通りある。
a
A1g+bEg+cT1g+dT2g
とすると、
1xa+2xb+3xc+3xd=15
ここで、a、b、c、d は 1 か 3 のいずれか(Pauli 則)であるので、
a
b
c
d
I
1
1
1
3
II
1
1
3
1
III 3
3
1
1
詳しい議論はしないが、この場合は II となる。
∴1A1g+1Eg+3T1g+1T2g
他の場合も同様にして考えることができる。
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佐藤研究室
26
群論と結晶場
二重群
角運動量量子数 l(或は L)に対する基底をなす表現の指標は、
1 ⎤
⎡
sin ⎢(l + )ω ⎥
2 ⎦
χ (ω ) = ⎣
⎛ω ⎞
sin ⎜ ⎟
⎝2⎠
これは整数の量子数に対して成立する
しかし一部の希土類イオン(J が良い量子数)のような半整数の J をとる場合には適用できない
例えば、l を J に置き換えて、J=J’+1/2(ただし、J’は任意の整数)を代入すると、
χ (ω + 2π ) =
sin[( J '+1 / 2)(ω + 2π )]
= K = − χ (ω )
⎛ ω + 2π ⎞
sin ⎜
⎟
⎝ 2 ⎠
新しい対称操作 R、
「2πだけの回転が対称操作であるが高等操作ではない」
、を導入する
そうすると、純回転群 Cnm に RCnm(CnmR でも良い、直積表現)が新たに加わる
詳しい議論はしないが、例えば D4 点群では、
D4 点群
E
C4
D4’点群
E
R
C43
⇓
C43
C 4R
C4
C43R
C2
2C2’
2C2’’
C2
C 2R
2C2’
2C2’R
2C2’’
2C2’’R
D4’点群を二重群という
l’Hospital’s 則により、
E の指標、χ(0)=2J+1
R の指標、χ(2π)=2J+1
J が整数のとき
χ(2π)=-(2J+1) J が半整数のとき
m2π/n の回転の場合
CnmR 指標、χ(m2π/n+2π)=χ((n-m)2π/n)
D4’点群の指標表
O’
E
Γ1 A1’
Γ2 A2’
Γ3 B1’
Γ4 B2’
Γ5 E1’
Γ6 E2’
Γ7 E3’
R
1
1
1
1
2
2
2
1
1
1
1
2
-2
-2
C4
C43
C2
2C2’
2C2’’
3
C4 R
C 4R
C2 R
2C2’R
2C2’’R
1
1
-1
-1
0
1
1
-1
-1
0
2
− 2
− 2
2
1
1
1
1
-2
0
0
1
-1
1
-1
0
0
0
1
-1
-1
1
0
0
0
O’点群の指標表
O’
Γ1
Γ2
Γ3
Γ4
Γ5
Γ6
Γ7
Γ8
A1’
A2’
E’
T1’
T2’
E2’
E3’
G’
E
R
4C3
4C32R
4C32
4C3R
3C2
3C2R
3C4
3C43R
3C43
3C4R
6C2’
6C2’R
1
1
2
3
3
2
2
4
1
1
2
3
3
-2
-2
-4
1
1
-1
0
0
1
1
-1
1
1
-1
0
0
-1
-1
1
1
1
2
-1
-1
0
0
0
1
-1
0
1
-1
1
-1
0
1
-1
2
− 2
0
− 2
2
0
1
-1
0
-1
1
0
0
0
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佐藤研究室
27
群論と結晶場
O 点群下での J=5/2 項の可約表現
例
J=5/2
⎛ 5 1 ⎞
sin ⎜ ( + )ω ⎟
2 2 ⎠ sin (3ω )
=
χ (ω ) = ⎝
⎛1 ⎞
⎛ω ⎞
sin ⎜ ω ⎟
sin ⎜ ⎟
⎝2 ⎠
⎝2⎠
E
χ(0)=6
R
C3R
χ(2π)=-6
2π
sin (2π )
χ( ) =
=0
3
⎛π ⎞
sin ⎜ ⎟
⎝3⎠
χ(4π/3)=0
C2R
χ(π)=0
2
C3 R
3
C4 R
χ(π/2)=-(2)1/2
C41R
χ(3π/2)=(2)1/2
C2’R
χ(π)=0
O’
Γ1
Γ2
Γ3
Γ4
Γ5
Γ6
Γ7
Γ8
E
A1’
A2’
E’
T1 ’
T2 ’
E2’
E3’
G’
D5/2
R
4C32
4C3
4C32R
3C2
3C4
3C43
6C2’
4C3R
3C2R
3C43R
3C4R
6C2’R
1
-1
0
-1
1
0
0
0
1
1
2
3
3
2
2
4
1
1
2
3
3
-2
-2
-4
1
1
-1
0
0
1
1
-1
1
1
-1
0
0
-1
-1
1
1
1
2
-1
-1
0
0
0
1
-1
0
1
-1
1
-1
0
1
-1
2
− 2
0
− 2
2
0
6
-6
0
0
0
− 2
2
0
上記の指標表より、
Γ(J=5/2)=Γ7+Γ8=E3’+G’
O 点群下での全ての J 項の可約表現
J=0
A1
(Γ1)
J=1/2
E2’
(Γ6)
J=1
T1
(Γ4)
J=3/2
G’
(Γ8)
J=2
E+T2
J=5/2
E3’+G’
J=3
A2+T1+T2
J=7/2
E2’+E3’+G’
J=4
A1+E+T1+T2
J=9/2
E2’+2G’
J=5
E+2T1+T2
J=11/2
E2’+E3’+2G’
J=6
A1+A2+E+T1+2T2
J=13/2
E2’+2E3’+2G’
J=7
A2+E+2T1+2T2
J=15/2
E2’+E3’+3G’
J=8
A1+2E+2T1+2T2
演習
(Γ3+Γ5)
(Γ2+Γ4+Γ5)
(Γ1+Γ3+Γ4+Γ5)
(Γ3+2Γ4+Γ5)
(Γ1+Γ2+Γ3+Γ4+2Γ5)
(Γ2+Γ3+2Γ4+2Γ5)
(Γ7+Γ8)
(Γ6+Γ7+Γ8)
(Γ6+2Γ8)
(Γ6+Γ7+2Γ8)
(Γ6+2Γ7+2Γ8)
(Γ6+Γ7+3Γ8)
(Γ1+2Γ3+2Γ4+2Γ5)
Γ(J=7/2)の既約表現を求めよ
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28
群論と結晶場
エネルギー相間図
自由イオンの項と強い配位子場の項とを結びつけた図
規則:
・
同じ状態同士を結ぶ
・
対称性の同じ状態は交差しない
(non-crossing rule)
この規則を用いてエネルギー相間図を作る
1
S
1
1
A1
A1
E
3
A2
1
1
1
G
3
P
1
D
E
T1
T2
1
A1
1
1
3
F
演習
1
T1
T2
3
T1
3
T2
1
E
1
T2
3
3
Free ion
T1
1
3
3
e2
A2
T2
T1
Weak filed
t 2e
1
A1
E
1
T2
3
T1
1
Strong field
t2
Limited
八面体場での d 2 のエネルギー相間図
g は省略してある。
上記の方法で八面体場における d3 のエネルギー相間図を求めよ
参考書
1.分子の対称性と群論、中崎昌雄著、東京化学同人、1973
2.群論の化学への応用、F.A.Cotton 著、中原勝儼訳、丸善、1980
3.配位子場理論とその応用、上村洸、菅野曉、田辺行人著、裳華房、1990
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佐藤研究室