平成19年度 事業計画および予算(PDF:25.4 KB) - 長野大学

平成19年度
事業計画書および予算
18歳人口の減少にもかかわらず、私立大学が増加している事実は、設置認可の規制緩和により
事前規制から事後チェック(大学の自己責任)へと流れが変わったことを如実に表している。
私立大学の中には大幅な定員割れが続き、経営難に陥った大学が民事再生法の適用を申請するな
ど、少子化による大学の経営への影響は確実に顕在化しつつある。
地方の一大学である本学は、特に県内の大学をはじめとして近隣県の同系統の私立大学との間で
厳しい競争環境に置かれている。こうした環境の下、教育研究体制や教育内容の見直しを遅滞なく
行い、地域社会にむけて積極的に存在意義をアピールして行かなければならない。
本年度は、新学部開設を機に、これまで本学が教育目標に掲げている「地域に根ざす大学」「教
養ある職業人の育成」「学生が主役のキャンパス作り」を実現するための事業の展開・強化に努め
る。
そのためには、新学部の「環境ツーリズム学部」「企業情報学部」が、それぞれの理念・教育目
標に基づく教育研究に取り組むとともに、「社会福祉学部」は、教育研究体制のさらなる充実に努
める。
さらに、大学組織改編後の新しい組織機能をフルに活用して、生き残りをかけた戦略・戦術を創
出して効果的な広報活動(学生募集)に繋げてその成果をあげるとともに、これまで取り組んでき
ているFDの推進、ITキャンパス化、キャリアサポート、留学生や障害学生の支援など、教育ニ
ーズへの対応や学生満足度アップに繋がる事業を一層充実するほか、「研究推進室」および「地域
連携センター」を中心に本学の学術研究水準の向上と広く地域社会貢献に寄与することにより、認
証評価機関による第三者評価に向けた、「大学の質の保証」「自己革新」に積極的に取り組むことと
する。
Ⅰ
事業計画
1.教育研究の方針・目標
長野大学の教育研究の質をよりいっそう向上させ、学生の満足度を高める対策を実施する。それ
により長野大学の存在価値を高め、学生募集力を強化する。30年をこえる社会福祉の教育実績を
もつ社会福祉学部においては、より質の高い人材養成をめざす施策を実施する。新設の環境ツーリ
ズム学部、企業情報学部においては学部の個性と魅力をアピールする施策を実施し認知度を高める。
大学全体の事業計画の主要な内容は以下のとおりである。
1
(1) エクセラン高校、蓼科高校、軽井沢高校などとの間で実施している高大連携を発展させ、学生
募集の安定につなげる。
(2) 就職実績を向上させるためにキャリアサポート体制を強化する。職業資格関連講座をいっそう
充実させ、通常のカリキュラムと並んで学生が「ダブル・スクーリング」を行うキャンパスに
する。
(3) 学力や学習意欲が不足する学生などにたいする指導体制を強化し、より体系的な学生支援を行
う。これにより退学者・除籍者の減少を図る。
(4) 文部科学省「現代GP」への取り組みを強化し、教育の質の向上と外部資金の導入に努める。
(5) 上田市、坂城町などの自治体との共同事業を推進し地域連携を発展させる。
(6) 「恵みの森再生プロジェクト」、「情報の泉プロジェクト」、「福祉の集い」など各学部の個性と
特徴を生かした活動を地域社会と共同で展開する。
(7) 復旦大学などの中国の大学やウィットマン大学などの英語圏の大学との学生および研究者の交
流を図り、国際交流を推進する。
(8) 日本高等教育評価機構による平成21年の認証評価をめざして、報告書の作成など準備を進め
る。
(9) 「学生募集推進プロジェクトチーム」を柱により効果的な広報活動を展開する。
また将来発展計画として、以下の二つの重要課題に取り組む。
(1) 社会福祉学部改革の推進
(2) 3学部を共通の基盤とする大学院の設置準備
2.社会福祉学部
学部開設6年目を迎え、社会福祉基礎構造改革など施策の変化に対応した質の高い社会福祉人
材の養成にむけて、今年度は以下の事業に取り組む。
(1) 設置目的に沿った教育研究が行われているか、学部自己点検評価を行い検証する。
(2) 年内に予想される社会福祉士養成のあり方の変更に対応して、カリキュラムの改定を進める。
(3) 退学者・除籍者の減少について、現状を分析し対応を図る。
(4) 学生募集状況の改善を図るため、入試形態や日程などを再検討し、併せてオープンキャンパス
などとの連携を再検討する。また、福祉系短期大学・専門学校と連携し編入受験者の増加を図
る。
(5) 高大連携をさらに促進し、協定を締結するほか福祉系高校教員研修会を開催する。また、長野
県社会福祉協議会などとも連携して高校生ボランティア集会などへの支援を行う。
2
(6) 実習室業務や福祉士演習・実習に関わる改善を図り、必要な規程などを整備する。
(7) 福祉の集いなどを開催して卒業生などと連携し、併せて就職・国家試験受験対策に関わる改善
を進め、就職率、合格率の向上をめざす。
(8) 社会福祉学部デーの開催により、教育研究の活性化や地域社会との連携を図る。
(9) 国際社会福祉に関わり、昨年同様、中国上海市の復旦大学と教育研究の交流を行う。
3.環境ツーリズム学部
自然と文化の環境を生かした観光振興による地域社会の持続的発展をめざす学部の理念にもと
づく教育研究を行なう。そのために地域社会を教育研究の場として活用するフィールドワーク、
社会調査、インターンシップなどの体験型教育を展開する。同時に新学部の魅力を広報し、学生
募集力を強化する施策を実施する。
(1) 教育計画
環境保全・資源保全、観光計画・観光地、地域の風土・文化などに関する研究を、長野県の各
地を中心に、現地視察、行事参加、社会調査などの多様な体験型学習を駆使して行ない、学生
を学習へと動機付ける有効な教育を展開する。また製造業、サービス業、流通業などの幅広い
業種の民間企業と上田市役所などにおけるインターンシップを実施し、職業意識を育成する。
さらに「恵みの森プロジェクト」により整備を進めるキャンパス内の里山での野外実習などを
行い、長野大学ならではの環境教育を推進する。
(2) 学部開設記念シンポジウムの開催と図書の出版
「環境と観光による地域づくり」という学部のコンセプトを全国発信するシンポジウムを軽井
沢町で9月29日(予定)に開催する。シンポジウム開催を契機に、新学部の独創性と魅力を
PRする記事を朝日などの全国誌に掲載するように努める。さらに、シンポジウムの内容を中
心に新学部の理念、目的、特徴を表現する図書を編集出版し、学部の有効な広報手段として活
用する。
(3) 高大連携の推進
軽井沢高校、蓼科高校、坂城高校、丸子修学館高校をはじめ高大連携を促進する。学部の知的
資産を高校教育の支援に生かすとともに、高校生の新学部にたいする関心を開拓する。
(4) 学園祭におけるゼミナール活動の展示
学園祭を学部広報の機会として活用するために、学生のゼミナール活動の成果を展示し、学生
が来訪者に説明する場を設ける。
(5) 将来の就職支援対策
大学選択の重要な理由である就職実績を高めるために以下の対策を実施する。第一に、環境と
3
観光分野の資格取得のための講座を来年度開設する準備を進める。第二に、将来の就職先とし
て期待できる企業や諸団体を訪問し、企業広報活動を展開する。
4.企業情報学部
企業情報学部教育の目標である「課題発見と現実的な問題解決能力の涵養」について、その基礎
的能力の育成を行ない、新学部の認知度を高める広報と学生募集対策を積極的に行うことを活動目
標とする。
(1) 教育計画
本学部の教育は、問題解決型の人材を育成するための学習方式である「プロジェクト型学習」を
柱としており、その入門として、「課題発見ゼミナール」を活用する。ここでは、地域社会や情報ネ
ットワークを学習フィールドにして、体験をとおして身近なテーマを掘り下げていく方法を学び、地
域貢献の姿勢を学習する。また、情報科学の基礎的素養として、実体とデータを合理的に捉える「オ
ブジェクト指向モデリング」の概念を情報科学関連科目において徹底指導する。キャリア育成に関し
ては、入学初年度からのキャリア形成教育の中で働く意識を涵養する。
今年度の現代的ニーズ取組支援プログラム(現代GP)の申請(地域活性化への貢献・地元型)
を行い、採択をめざす。
(2) 広報・学生募集活動
昨年度開設した地域SNS(Social Networking Site(Service)
)
「おらほねっと」等のメディア
を活用し、インターネットから参加可能な長期間のイベントなど話題性のあるイベントを開催する。
また、シンポジウムやセミナーなどの開催や学園祭などを広報的に活用する。学生募集上の重点高校
については、出張講義・説明会を活用し、本学部の認知度を高める。
(3) 高大連携の推進
県内各高校との高大連携を推進する。情報分野での協力を進める中で、特に必修科目である「情
報処理」の授業計画の策定に積極的に関わり、高校生の情報分野への興味を育てる面での支援を行な
う。
(4) 研究・地域貢献計画
研究活動においては、地域貢献型プロジェクト研究を推進し、本学部設立コンセプトにもとづき、
地域の活性化と文化の伝承をテーマにしたプロジェクト研究を行なう。
①情報の泉プロジェクト
地域SNS「おらほねっと」を教育研究のプラットフォームと位置づけ、上田市地域情報
化活動を支援する。
②日本刀デジタルアーカイブプロジェクト
4
情報通信技術(ICT)を活用した文化・技術伝承を支援し、地域活性化を促す。
③上田市・坂城町などの市街地活性化事業支援
空き店舗の活用案等を策定した上で具体的活動を実践する。
また、プロジェクトの目的達成のために、関連する学会・企業との連携を強化し、情報
の泉プロジェクトではコンソーシアムの設立をめざす。
5.管理運営
平成19年度からの3学部体制に伴い学内委員会を再構築し、入学前のキャリアカウンセリン
グ、カリキュラムの改訂、国試対策の強化、
「YES プログラム」の実施など、学生支援情報を構成
員が共有し、一元化した指導体制が取れる環境に整える。
また、事務局組織の改編を行い、学生支援の「入口」
「中身」
「出口」を、一つの窓口で提供す
る所謂ワンストップ・サービスを行うため、関連4課を統合した部制を導入するほか、
「特色 GP」
「現代 GP」および「科学研究費」等の確保に向けた教学の取り組み体制を強化するとともに、そ
の研究支援のための事務部門を独立させる。
さらに、将来の改革の方向性等を戦略的に検討・策定するため、法人に「経営企画会」、教学
には「教育研究戦略会議」を設置する。
6. 施設・設備
情報教育・研究の充実およびインターネット広報強化のため、ITキャンパス化を推進すると
ともに、その他の改修工事、計画的な2号基本金の組入れを行う。
7. 財政
帰属収支(帰属収入−消費支出)は、これまで収入超過で推移しているが、19年度は定員確
保が難しく、学生納付金比率が高い本法人の状況から、より積極的・継続的な学生確保のための
努力が最も必要であり、毎年度発生している相当数の除籍・退学者を減少させるための、きめ細
かな教育的対応策の早急な検討・実施、更には、その他の資金獲得についても、これまで以上の
取り組みをするなど一層の増収を図り、財政基盤の安定的・継続的な保持が必要である。
帰属収入に占める人件費比率が今後の課題であるが、教育の質の保証が問われる昨今、これを
削減することは難しく、当面は人件費以外の経費見直しと節減での対応に務める。
8. その他
公共性の高い法人としての説明責任を果すため、積極的に情報公開に努める。
5
Ⅱ
予算の概要
1. 資金収支
(単位:円)
大科目
学生生徒等納付金収入
手数料収入
寄付金収入
補助金収入
資産運用収入
資産売却収入
事業収入
雑収入
前受金収入
その他の収入
資金収入調整勘定
前年度繰越支払資金
収入合計
人件費支出
教育研究経費支出
管理経費支出
施設関係支出
設備関係支出
資産運用支出
その他の支出
(予備費)
資金支出調整勘定
次年度繰越支払資金
支出合計
H19予算①
H18当初予算②
1,444,635,000
33,090,000
7,000,000
178,022,000
13,500,000
1,572,000,000
1,000,000
30,155,000
419,945,000
89,305,000
▲ 395,427,000
458,266,000
1,562,090,000
33,090,000
7,000,000
215,180,000
6,000,000
0
1,000,000
35,680,000
453,250,000
18,804,000
▲ 431,600,000
630,248,000
▲ 117,455,000
0
0
▲ 37,158,000
7,500,000
1,572,000,000
0
▲ 5,525,000
▲ 33,305,000
70,501,000
36,173,000
▲ 171,982,000
3,851,491,000
2,530,742,000
1,320,749,000
1,037,275,000
385,472,000
146,849,000
7,200,000
38,546,000
714,757,000
40,000,000
5,000,000
▲ 40,000,000
1,516,392,000
1,048,099,000
371,888,000
191,573,000
52,000,000
36,568,000
305,000,000
40,000,000
10,000,000
▲ 40,000,000
515,614,000
▲ 10,824,000
13,584,000
▲ 44,724,000
▲ 44,800,000
1,978,000
409,757,000
0
▲ 5,000,000
0
3,851,491,000
2,530,742,000
人件費
教育研究経費
管理経費
徴収不能引当金繰入額
(予備費)
消費支出合計
当年度消費収入超過額
前年度繰越消費収入超過額
基本金取崩額
翌年度繰越消費収入超過額
1,000,778,000
1,320,749,000
(単位:円)
2.消費収支
大科目
学生生徒等納付金
手数料
寄付金
補助金
資産運用収入
資産売却差額
事業収入
雑収入
帰属収入合計
基本金組入額
消費収入合計
増減(①−②)
H19予算①
1,444,635,000
33,090,000
9,000,000
178,022,000
13,500,000
798,000,000
1,000,000
30,155,000
2,507,402,000
▲ 245,746,000
2,261,656,000
H18当初予算②
1,562,090,000
33,090,000
9,000,000
215,180,000
6,000,000
0
1,000,000
35,680,000
1,862,040,000
▲ 288,568,000
1,573,472,000
増減(①−②)
▲ 117,455,000
0
0
▲ 37,158,000
7,500,000
798,000,000
0
▲ 5,525,000
645,362,000
42,822,000
688,184,000
1,027,261,000
518,472,000
158,849,000
10,000,000
5,000,000
1,719,582,000
542,074,000
706,615,000
1,000,000
1,249,689,000
1,033,111,000
506,888,000
201,573,000
10,000,000
10,000,000
1,761,572,000
▲ 188,100,000
778,121,000
1,000,000
591,021,000
▲ 5,850,000
11,584,000
▲ 42,724,000
0
▲ 5,000,000
▲ 41,990,000
6