学部3年実習

B:赤色巨星モデルの建設
前回の復習
(1) Schonberg-Chandrasekhar Limit
M.Schonberg, S.Chandrasekhar 1942, Astrophysical Journal 96, 161-172
主系列星の中心部で、H+HHe の反応が進むと、He核ができる。
核のまわりのH燃焼により、核内部の温度は一定となる。
A
H殻燃焼により、等温He核が成長する。
0.1
 He等温核+H外層の2重組成の構造?
0.08
外層
M core
M
V
境界
0
U
等温核
3
フィットさせていくと、中心核質量に上限存在
ーー>
H殻燃焼が進むとHe等温核が維持できない!
Rcore 0.06
R
0.08
0.1
(2) 自己重力系のエントロピー極大問題
等温核の質量上限の背後には等温自己重力系のエントロピーという問題がある。
ロシアの天体力学者 V.A.Antonov は壁に囲まれた質点系のエントロピー
の性質を研究した。
V.A..Antonov (1962 Vestnik Leningradskogo Universiteta,7,135)
f(r、v)=質点の位置速度分布関数 とし、 M=一定、E=一定、R=一定 という拘束条
件の下で S=-∬f(r,v)・ln f(r,v) drdv = エントロピー の変分δS を調べる。
δS1=0、 δS2<0 がS極大の条件である。
一次の変分δS1=0から、まず等温分布が導かれ、問題は力学平衡にある等温
分布( δS1=0 )のδS2に絞られた。
二次の変分δS2 を調べた結果、中心(C)と壁(W)との密度比
( ρC / ρW)<709  常にδS2<0
 Sが極大
( ρC / ρW)>709  δS2>0になるモードが出現  Sの極大でない
つまり、温度一定の自己重力系は中心集中度が大きくなると、等温状態がエント
ロピー極大状態に対応しなくなる。
このような状態の等温系は揺らぎが成長して自発的に非等温な方向に進化する
であろう。
(3) 熱重力 カタストロフィー
D. Lynden-Bell, R.Wood 1968, Mon.Not.R.astr.Soc.138.495-525
リンデンベルも半径=Rの球壁に囲まれ、総エネルギー=Eの等温自己重力系
の平衡状態を考えた。総エネルギーEを変化させていくと、系の等温平衡状態も
ゆっくりと変化していく。
彼はこの平衡状態の系列を調べた。
E>0に対しては等温平衡状態が一つしかないが、Eが十分に下がると複数の等
温平衡状態が存在することが分かる。これらはそれぞれがEの変化に対して平衡
状態の系列を作る。
第1系列では、どの微小変化に
0
対してもδS2<0.
第2系列では、 δS2>0となる
E
微小変化モードが出現。
第2系列はS極大ではない。
図を見ると分かるように、平衡
系列のラインが水平になる点A
が新しい系列の出現点である。
第1系列
S高
S低
第2系列
第3系列
A
0
ρC/ ρW
500 709
1000
Shonberg/Chandrasekhar, Antonov, Lynden-Bell/Woodらの
仕事は、HHeに伴うHe核の大きさに限界があり、H殻燃焼の結果He核が成長
していくと星の内部構造は熱的に不安定になることを示した。
またこの現象の背後には、等温重力系が大きくなると、δS2>0モードが出現する
という重力熱力学的な理由があることが示された。
では、実際に大きくなった中心核を抱えた星の進化はどうなるのであろうか?
ここで、星の構造式の無次元化と(U,V)について簡単にまとめておこう。
星の構造式の無次元化
星の構造は次の4つの方程式で記述される(輻射平衡の場合)。
dM r
 4 r 2  ,
dr

0
t g 
dP
GM r 

dr
r2
dT
3   Lr

,
3
2
dr
4 ac T 4 r
dLr
 4 r 2  
dr

T ,
3.5
t t   

   
g  g  0   2i 
無次元化のための変換は、(L=一定を仮定すると最後の式は無視でき、)
e H G M
GM 2
P p
, T t
, M r  qM , r  xR
4
4 R
k
R
3
1
2 X e  Ye  Z e

4
2 ,
l

3
1
e
2X  Y  Z
4
2
j
Z 1 X 
Z e 1  X e e
輻射層では、無次元量(小文字)を使うと、星の構造式は以下のようになる。
2
dq
px
dp
pq
l
,
 l 2 ,
dx
t
dx
x t

 p2i  p 2
dt
 2 8.5
 l j C 
dx
 t 2i  x t
7.5
3


3
k
 1  


C




4 ac   e H G   4  t / g
 
0
L R 0.5
M 0.5
ポリトロープ
圧力 P と密度 ρの間に P=K・ ρ1+1/n という(ポリトロピック)関係 がある時は
前ページとは異なる無次元量θ, ξが便利である。定義は
  C  , r   
 2 n  1K 1n 1 
 
C 

4G


無次元化した星の構造方程式は次のエムデン方程式にまとめられる。
1 d  2 d 
n






 2 d  d 
(U,V)
4 r 3  d ln M r
GM r 
d ln P
U

, V

,
Mr
d ln r
rP
d ln r
d ln P
1
 1
d ln 
N
境界条件は、中心で (U ,V )  (3,0)
表面で (U ,V )  (0, )
(U,V)も星の構造を表現するのによlく使われる無次元量である。
これらは先の無次元質量 q 等では以下のように表わされる。

px
q
1  t 2i  qt 8.5


U l
, V  l , 1 n 
tq
tx
j C  p2i  p 2
3
B.1.Red Giant Structure を 探る試み
先に述べたようにShonberg-Chandrasekhar 1942 の論文で等温核が成長すると
不安定となることが示された。その後の進化が赤色巨星の出現に至るであろう
ことは多くの研究者が予想していた。また、赤色巨星の構造が核と外層とで化学
組成が異なることと密接に関連していることも共通認識としてあったらしい。
B.1.1.低水素対流核+輻射外層
組成の変化に注目した例として、
J.B.Oke, M.Schwartzschild 1952, Ap.J. 116, 317-330
“Inhomogeneous Stellar Models I.Models with a Convective
Core and a Discontinuity in the Chemical Composition”
前回のShonberg/Chandrasekhar(1942)では、水素殻燃焼による等温He
中心核の成長が論じられた。
この論文では、むしろそれ以前の水素中心燃焼による低水素対流核の成長をモ
デル化している。
そこでは、主にHeからなる低水素中心核を、対流部分+輻射平衡層に分け、そ
の外側の高水素外層とで合計3つの成分からなる星の構造を調べた。
(i)低H輻射
(e)
高H輻射
(c)
低H対流
(c) 低水素対流核。
中心でH+H ―-> He
対流核の構造は n=1.5 のポリト
ロープで表わされる。
境界1
1 d  2 d 
1.5






 2 d  d 
境界2
対流核の境界の無次元半径 ξ=ξ1
n=1.5 ポリトロープ
15
( i ) 低水素輻射核
境界1から接続させると、Cが一意に決
まる。 終点の境界2はフィット条件で決
まる。

 p2i  p 2
dt
 2 8.5
 l j Ci 
dx
 t 2i  x t
C=C(ξ1)
10
ξ=ξ1(境界1)
V
ここで平均分子量
μがジャンプする。
(境界2)
5
中心
(境界2)
0
0
1
2
U
3
境界2でのジャンプはU-V平面上で
右図のように表わされる。式では、
4 r 3 
U
Mr
V
GM r 
rP
logC(e)
U 2i V2i

 2 .5
U 2 e V2 e
n2 e  1
 1.316
n2i  1
ジャンプの条件が上のように3つなの
で、ξ から伸びる輻射層(i)の境界2i
は勝手な値は取れないことに注意。
外層解の底。
系列をなしている。
ξ
こうして、 ξ を変化させると非一様モデルの1連の無次元解の系列が得られる。
赤、緑、青線はそこにM=1,2,4Moを与えて、実際の物理量にした結果。
右グリッド下の%は中心核の大きさ、グリッド左の数字4,2,1は星質量。
一方、一様なモデルの水素量と質量で作ったのが左グリッドである。
B.1.2.He収縮核+H輻射外層
前ページの非一様モデルは赤色巨星の占める領域をカバーしている。
しかし、一定の質量で見たとき、光度があまり上がらず、温度だけがどんどん下
がっていくので、赤色巨星枝を再現するには相当無理な仮定が必要となる。
続いて発表されたシリーズ第2論文は
(1)中心核の周囲でHHe燃焼
(2) He 中心核を収縮させる。
点でShonberg/Chandrasekhar1942のその後を扱っていると言える。
A.R.Sandage, M.Schwartzschild 1952, Ap.J. 116, 463ー476
“Inhomogeneous Stellar Models II.Models with Exhausted Cores
in Gravitational Contraction“
(1)進化の粗筋
中心核H燃焼  中心でH欠乏  H殻燃焼  核の成長  S-C Limit  ?
中心核は収縮し、重力ポテンシャルエネルギーを解放するだろう。
中心核の縁がH殻燃焼により温度=ほぼ一定なので、この過程はLyndenBell,Wood 1968 が考察した等温壁に囲まれた自己重力系のgravothermal
catastrophe に相当する。
(2)星の構造
輻射外層: X=0.596、Y=0.384、Z=0.02
Kramers Opacity または電子散乱
H燃焼殻: T=3×107K、質量=0
収縮核 : X=0, Y=0.98, Z=0.02
重力エネルギー解放率/質量=一定
  0

T
3.5
GM 2
P p
4 R 4
T t
e H G M
k
R
M r  qM
と変数を無次元化すると、無次元解のパラメターは以下のCとC*である。
外層
核
7.5
3 0  k   1  LR 0.5

 
C

4 ac   e HG   4  M 5.5
3
C Lg pS pC
C 
j1
q1
L t S4.5 tC4
*
ここで、添字の e=外層、 1=外層と核の境界、C=中心、
S=Kramersと電子散乱の移行点を指す。
ジャンプの条件は
U1i V1i

2
U1e V1e
n1i  1 1 L

n1e  1 ji Lg
H輻射外層
H燃焼殻
S-C限界を超えたHe核は中
心部が収縮を開始する。
V
H輻射外層
2
He収縮核
He収縮核
0
0
U
星内部の点の移動
収縮核
膨張外層
3
UV面での外層解と核解。
左のモデルに星の質量Mを与えて、
無次元量物理量に戻す。
I(q=Mcore/M=0.12)から
VII(q=0.133)までを
下のHR図上に描いた。
赤線=主系列
logC
核の端
C*
M(Mo)
外層の下端
ジャンプ
q=0.12
0.13
前ページ右側のHR図は、定性的にはOke/Schwartzschild 1952と似ている。
下の観測HR図と比較すると、中心核と輻射外層の間に平均分子量のジャンプがあ
るモデルは、大体準巨星を再現する進化を示すようである。しかし、これらのモデル
は光度Lが上がらないまま極端に低い表面温度領域に突っ込んでいく。
著者らは、He燃焼が非常に
低い温度T=1×108Kでお
きると仮定して、右図の太い
実線のような進化経路を計
算している。
しかしこの仮定は強引であり
受け入れ難い。
結局、
(1)非一様な組成モデルは赤
色巨星の存在領域をカバー
するが、
(2)赤色巨星のHR図は再現
できず、
(3)進化が非常に低温な領域
へ突っ込んでいく
という問題が残った。
B.1.3.He収縮核+H輻射外層
準巨星モデルが低温になり過ぎる問題を解決し、赤色巨星のモデルが作り
挙げられたのはそれから3年後の1955年であった。
F.Hoyle, M.Schwartzschild 1955, Ap.J.Suppl. 2, 1ー40
“On the Evolution of Type II Stars ”
この論文では球状星団のHR図と比較するために X=0.9,Y=0.1の
重元素をほとんど含まないM=1.1Moの星の進化を追った。
OpacityとしてはHとHeのフリーフリー吸収と電子散乱のみを考える。
(1) LからMまでの進化 (準巨星)
この部分は前に述べた
A.R.Sandage, M.Schwart
zschild 1952と同じステージで
ある。そこでは、中心部でH燃焼
が止まると、中心核は収縮して重
力エネルギーを解放し、中心核内
に温度勾配を生じさせるとした。
しかし、ここでは前論文の収縮は
速すぎ、また縮退電子の熱伝導
を考えていないことを批判し、等
温の部分的縮退核を考えた。
その結果、核の状態j方程式は縮退パラメターψを用いて
8
4
32
32
P  3 2 kT  kT  F3 2     3 2 kT   H F1 2  
3h
h


u
と表わされる。
F     u  du
0 e
1
その結果、無次元化方程式も古典理想気体の場合の
1 d  2 d ln 
 
  
2
 d 
d 
でなく、
1 d  2 d 
 
   F1 2  
2
 d  d 


d
 BC :   0,
 0 at   0 
d




d
 BC :    C ,
 0 at   0 
d


となる。
外層は以前と同じく輻射平衡を仮定して扱う。外層と中心核との間では平均分子
量がμE=0.533からμi=1.333へとジャンプするのでフィッティング条件
U1i V1i 1i 1.333



 2.5
U1e V1e 1e 0.533
で両者をつなぐ。星の表面での境界条件は
T=0, P=0 である。
こうしてψCを進化パラメターとして準巨星の構造を追う。、
ψCを変え、M=1.1Moの場合
のHR図に直したのが右の図の
6つの点である。
数字は核の大きさ qi=Mi/M
である。
斜線は球状星団M3,M92の
観測値。途中までは観測とよく
一致するが、qi=0.22の点は
観測と合わない。
qiがさらに大きくなると、モデル
の点は図のはるか右側にはみ
出てしまう。
?
B.1.1.低水素対流核+輻射外層
B.1.3.He収縮核+H輻射外層
B.1.2.He収縮核+H輻射外層
これまでのモデルの共通点は
(1) 核と外層で分子量にジャンプ。
(2) 核質量の増加が進化を引き起こす。
簡単には、He核にH外層をつけて、核質量
を大きくしていくと、
半径増加、 表面温度低下
の準巨星コースを辿る。
問題は、
そのまま超低温領域に突っ込んでいく。
星の表面の条件 T=0, P=0 に問題があることが分かった。物理的には星の光
球は光学的深さτ=2/3で定義されるから、
dP
GM
 2 
dr
r
GM
GM
GM
dP   2  dr   2   dr   2 d
r
r
r
2
光球(   )では、 T  Teff
P  PPHOT
3
2
上の式で、 r  R, d= , dP  PPHOT とおいて、
3
GM
H GM
PPHOT = 2  PHOT 
R
kTeff  R 2
モデルを調べると、q1≡Mi/M>0.20では表面よりずっと手前で
ρ=ρPHOTに達することが分かる。つまり、温度Tが有効温度Teff まで下がらな
い内に密度の方はρPHOTになってしまうのである。
この場合T=Teffでの密度は正しいρPHOTより1-2桁低くなる。
ρ
(Teff, ρPHOT)
q1≡Mi/M>0.20
(Teff, ρPHOT)
q1≡Mi/M<0.20
0
T
つまり、q1>0.20では表面条件 T=Te, ρ=ρPHOTが満たされなくなるので
星の解として成立しない。
この問題は後に“HAYASHI LIMIT” という形で登場する。
(2) M点からN点への進化 (赤色巨星)
準巨星では中心核が大きくなると、輻射外層の表面条件が満たされなくなった。
では、その先の進化はどこへむかうのであろうか?
実は輻射外層のモデルが表面条件を満たさなくなる時点から先の外層部は対流
に支配されている。したがって、星の構造は、
温度T1の等温部分縮退中心核(質量M1 )+対流外層(質量 M-M1)
へと変化する。
赤色巨星の進化はM1の増加が決定する。
対流外層
等温縮退核
ψC
T1
赤色巨星の構造
等温縮退核
温度=水素燃焼温度T1が固定されてると、
ΨCで核の構造は決定される。
水素燃焼殻
温度=T1、質量は無視できるほど小さい。
対流外層
P=KT2.5
H燃焼殻
Kは星の表面条件から決まる
PPHOT=KTe2.5
Te、PPHOT Te, g  M, Te, L
こうして、
HHe(水素燃焼殻)縮退核質量M1増加ψC増加フィット対流層
Te、PPHOTTe, L
という過程で縮退核の増加が赤色巨星の進化を促すことが明らかにされた。
質量Mの星についてはHR図の点、つまりTeffとLが与えられると、Rが決まり、対流
層のKが決まる。結局、
中心からは ψC をパラメターに外側にM=M1まで、
表面からは (L,Teff)をパラメターにして内側にやはり、M=M1まで
解が伸びていく。
T
M=M1
(外層解)
中心
r
P
M=M1
表面
中心解は1パラメターなのでM=M1はT-P-r空間で曲線をなし、一方
表面解は2パラメターなので、M=M1は曲面をなす。両者の交点が求め
る星の構造である。
こうして求めた、等温縮退核+対流外層(内側は輻射層だが)
構造を種族I(+印)とII(○印)でプロットしたのが下の図である。
数字は、qi≡Mi/M
こうして、赤色巨星
のモデルが得られ
た。
この論文で強調され
たのは表面条件が
星の半径を定めると
いう点であった。
この問題をさらに深く
探ったのは林忠四郎
である。
B.2.赤色巨星の進化
UVカーブを用いて星の構造を求める手法は現在では行われていない。星の中
心から表面までの構造をニュートン法で逐次近似して求めるHenyeの手法が専
ら使われている。
このようにして求められた星の進化経路はWEBから取ってこられる。
最新の例は、
http://stev.oapd.inaf.it/cgi-bin/cmd である。
このサイトでは、0.0001<Z<0.03, 0<t<17Gyrの任意の値に対して内
挿で得られた等時線を送り返してくれる。特に、便利なのは、出力に使われる等
級として、現在使われている約30の測光システム中から好きなものを選べること
である。
ただし、残念なことに「あかり」システムには古いフィルター関数が使われている
ので使えない。
Z=0.001
例:
左 メタル量Z=0.001
右
=0.019
のlog t(yr)=9,10等時線
5
4
2
Z=0.019
1
5
0
4
-1
3
-2
2
-3
4.1
4
3.9
3.8
3.7
logTe
log(L/Lo)
log(L/Lo)
3
9
10
1
3.6 3.5
0
3.4
3.3
4
3.9
9
10
-1
-2
-3
4.1
3.8
3.7
logTe
3.6
3.5
3.4
3.3
下の図はZ=0.019(太陽)、t=1Gyrの等時線である。
記号の意味は、
Z=0.019
9
4.5
4
J
H
log(L/Lo)
3.5
Asymptotic
Giant Branch
3
2.5
I
G
E=ヘリウム
フラッシュ
F=レッド
クランプ
E
2
sub-Giant
1.5
IからJは炭素星
First Red Giant Branch
F
G: C/O=0.48-->0.36
H: C/O=0.64
I : C/O>1 (=1.2)
1
0.5
0
3.9
3.8
3.7
3.6
logTe
3.5
3.4
「赤色巨星はなぜ大きいのか」 アンケート回答 2008年10月6日
○ まず星の構造を大きく核(core)と外層(envelope)に分けて考える。主系列とはcoreで
Hydrogenが燃焼している段階のことである。主系列の状態ではcoreが自分の重力でつぶ
れそうになるのを核燃焼によってエネルギーを常に供給し続けることによって回避してい
る。しかしcoreがHydrogenを使い果たすとそれまで保たれていたエネルギーバランスが崩
れ自己重力によって収縮する。その結果、coreは重力エネルギーを解放することになる。
一方、外層はcoreの収縮によって生まれたエネルギーを吸収する。外層ではエネルギー
保存を守るために膨張する。これは熱力学第1法則dU=dQ-dWにおいてdQ=0であり、dV
が増加するために外部へ仕事をしなければならないからである。結果的に外層はうすくの
びることで半径は増大し赤くなる。
○ 赤色巨星は主系列より先の進化段階にある。核燃焼による熱によって星の外層が急速に
膨張するが故に大きいと思われる。詳しい原因についてはあまり考えたことがないの授業
を通じて学んでいきたい。で
○ 赤色巨星は超新星爆発を起こすほどの質量はないが大体10太陽質量の程度の質量の
恒星が主系列を経て膨張し肥大したものである。
○ 主系列星時に星の中心で起こっていた水素の燃焼が終わり、星の中心にはヘリウムのコ
アができる。するとこのヘリウムのコアのまわりのシェル部分で水素の燃焼が始まる。 こ
の水素の燃焼によるエネルギーの流れによって星の対流層の重力と圧力の釣り合いの
関係が主系列の時とは変化するため外層が膨れ上がるので赤色巨星は大きい。
○ 主系列時の中心核での水素燃焼が水素が枯渇することで終わってしまうと、中心核付近
では重力を支えることができなくなり収縮するが、外層部はその反動で膨らむ。
○ 進化の過程で核燃焼により光度が大きくなるので輻射圧により膨張する?
○ 今まで天文のことは太陽以外勉強してこなかったので全く分からないので、想像で書
きます。考えた可能性は、1.元素構成が特徴的である。軽い元素が多い。そのため膨
らみやすい(イメージ)。スケールハイトを考えると、同じ温度なら平均分子量が小さ
い方がスケールハイトが大きいので星の大気も厚そう。2....
○水素殻燃焼が起こっている場所は熱的に安定であり、その状態はほとんど変化しない。燃
焼殻の内側は殻を通じて熱が逃げて行く分収縮し、外側は膨張する。下図のように質量座標
で密度勾配が発達(急になる)星全体が大きくなる。
ρ
水素燃焼殻
m