スライド 1

みんなで作ろうNPOの会計基準
とことん聞きます!!みんなの意見
NPO法人会計基準策定プロジェクト
中間パブリックコメント
全国キャラバン
コメント募集期間:2009年11月15日-12月31日
NPO法人会計基準協議会
1
会計基準は、どのように作るのか?
• NPO支援団体で作った会計基準協議会
プロジェクトの推進と基準の確定
• 会計基準策定委員会
公正で専門的な立場でタタキ台を作っていく
• ユーザー(利用者)のNPO
中間報告、最終報告に意見をだして反映させる
(パブコメ)
• 中間パブコメの全国キャラバン
半年間の東京での策定委員会の議論を全国で説
明して、ユーザー(利用者)のNPOの意見を聞く
2
会計基準作成までの流れは?
自分たちの活動を説明するために、
中間パブコメ
使うNPO自身で会計基準を作る
1.まず、タタキ台を作って公表
2.ユーザーのNPOの意見を聞いて
3.練り直して、もう一度、タタキ台の公表
4.ユーザーのNPOの意見を聞いて
5.会計基準の確定(2010年5月をめど)
3
中間報告の目的
①NPO法人会計基準策定委員会で、今までどんな議論
がされてきたのかを論点ごとにまとめた
→「論点に関するご報告」
②会計基準のスタイルやレイアウト(入れ物の形)を例
示した。
→「NPO法人の会計基準とその解説等」
・NPO法人に関係する多くの方々にご覧頂き、ご意見
を頂き、今後の会計基準作りに生かしていきたい
以下はすべて皆さんのご意見をお聞きするため
のたたき台です。決まったものではありません
4
1.NPO法人の会計基準を作
る目的は?
コメント用紙の質問Aが該当スライドに
示してあります
5
NPO法人会計基準とは何か?
・NPO法人が会計報告をする際に推奨する会計
処理の指針になるもの
・会計基準は法律ではないので、「NPO法人が
必ずこの通りに処理をしなければいけない」と
いうものではない
6
現状の問題点
<利用者の視点から>
●収支計算書の意味するものが法人によりバラバラ
→法人間の比較ができない
●収支計算書と貸借対照表がつながらない財務諸表が
多数ある →信頼性に欠ける
●表示方法も法人によって様々あり、NPO法の目指す
「情報公開のための会計」になっていない
→一般の人にとってわかりにくい
<作成者の視点から>
●「特定非営利活動法人の会計の手引」の影響が強く、
位置付けも曖昧→難しい会計処理を求められ、会計
担当者も混乱している
7
会計基準の目的
NPO法人→行政の監督はできる限り排除し、法律違反
をしている場合のみ行政に監督権限がある。
・情報公開を積極的に行うことで市民による監視に重点
を置く
情報公開の重要な部分を占める会計報告では
①市民にとってわかりやすいこと
②NPO法人の信頼性の向上につながること
が必要ではないか
8
議論を進める上での基本スタイル
①市民にとってわかりやすい会計報告であるこ
と。そのために、会計報告の利用者の視点を重
視すること
②NPO法人の信頼性向上に繋がる会計報告で
あること。そのために、
(イ)会計報告の正確性が確保されていること
(ロ)寄付やボランティア活動等、NPO法人に特有
な問題と向き合うこと
この基本となる考え方についてはどう思います
か? A1,A2
9
会計基準はストライクゾーン!
活動を分りやすく表して支援を得よう
よい活動をしているNPOを支援したい!
でも、比較できる基準がないと、よしあしが
分からない!!
10
2.NPO法人の会計基準とそ
の解説等
コメント用紙の質問Bが該当スライドに
示してあります
11
NPO法人の会計基準とその解説等
の中間報告の位置付け
• 会計基準のスタイルやレイアウト(入れ物の
形)のサンプル。
• 内容(入れ物の中身)については、何か文章
を書かないとスタイルが示せないので、仮に
記載したもの
• 中身については、寄せられたコメントや策定委
員会の議論を経て今後差替えていく
• 「論点に関するご報告」の内容との整合性もと
れているわけではない
12
全体の構成
• はじめに
• NPO法人会計基準
本文
注解
・様式
・財務諸表の科目
・NPO法人会計基準運用の手引(Q&A)
13
NPO法人会計基準本文の構成
Ⅰ
Ⅱ
Ⅲ
Ⅳ
Ⅴ
NPO法人会計基準の目的
NPO法人会計基準の適用範囲
一般原則
財務諸表の体系と構成
収入や費用の把握・計算ーその1
(現預金の入出金について)
Ⅵ 収入や費用の把握・計算ーその2
(現預金の入出金以外について)
Ⅶ 区分経理と複数事業の区分表示
Ⅷ NPO法人に特有の取引等の扱い
14
特色
NPO法人を活動タイプ別に以下の4つにわける
① 会費や寄付が中心で、現預金の入出金以外の取
引がないNPO法人
② 商品・製品の売買、サービスの提供、行政からの委託
事業などや固定資産の購入などがあるNPO法人
③ 複数の事業を行うNPO法人
④ 使い道に指定のある寄付金の受入れ、現物寄付等
NPOに特有の取引があるNPO法人
会計基準の本文、様式、運用の手引を、この
4タイプに対応するようにした
15
Ⅰ
Ⅱ
Ⅲ
Ⅳ
Ⅴ
NPO法人会計基準の目的
NPO法人会計基準の適用範囲
一般原則
財務諸表の体系と構成
収入や費用の把握・計算ーその1
(現預金の入出金について)
Ⅵ 収入や費用の把握・計算ーその2
(現預金の入出金以外について)
Ⅶ 区分経理と複数事業の区分表示
Ⅷ NPO法人に特有の取引等の扱い
①のタイプのNPO
が読むところ。
様式1に対応
②のタイプのNPO
が読むところ。
様式2に対応
③のタイプのNPO
が読むところ。
様式3に対応
④のタイプのNPO
が読むところ。
様式4に対応
活動形態に応じて4パターンにわける会計基準の
スタイルについてはどうでしょうか? B1
16
会計基準の文章について
• 会計基準本文をできる限りシンプル(33項目)にし、
文章も短く、専門的な用語もできる限り避けて、NPO
の人でも読めるようなものを意識する
• 専門的な用語が出てくるようなものはできる限り「注解」にす
る
• NPOを「会費中心」、「サービス等の取引あり」、「複数の事業
あり」、「特殊な取引あり」の4パターンに分けて、積み上げ方
式で、「会費中心」のようなところは前半だけ見ればいいとい
うような形にし、会計基準の配列を工夫することで小規模法
人に配慮するようにする
• 財務諸表の体系ごとの内容の方が分かりやすい方は「注解」
を先に読むとわかりやすいようにする
会計基準の文章についてはどうでしょうか? B217
「運用の手引き」について
• 会計基準を、より分りやすくするためのQ&A
• 会計基準の本文と注解は、あまり変更できな
いので、運用の手引きをタイムリーに追加・更
新することによって、実務への適用を容易に
したい
• Q&Aの番号を、本文の番号と対応させる形に
し、Q&Aが本文の詳しい解説とするような形
式を考えている
Q&Aの作成についてどう思いますか?何を期待し
ますか?B3
18
3.論点に関するご報告
コメント用紙の質問Cは、論点1~9に対応
しており、該当スライドに示してあります
19
論点に関するご報告の概要
小規模法人に対する配慮(第2回委員会)
論点1 小規模法人に対する配慮
財務諸表の体系及び表示(第4回委員会)
論点6 収支計算書の意味するもの 論点7 財産目録
論点8 区分経理
論点9 事業費と管理費
寄付やサービスの取扱い(第3回委員会)
論点2 現物寄付の取扱い 論点3 無償による施設の提供
論点4 ボランティアの取扱い
論点5 使途等に制約のある寄付の受入
それぞれどのようなことが議論され、委員会と
してどのような見解が出され、それについてみ
なさんがどう考えるか?
20
論点1 小規模法人に対する配慮
第2回委員会
現在、NPO法人の会計の現場は、会計基準がないため混乱し
ています。
特に小規模の法人では、資金の増減を記録した収支計算書
と実地棚卸によって貸借対照表及び財産目録を作成していると
ころもあるため、収支計算書と貸借対照表が繋がらず、会計報
告の信頼性が確保されていないケースが見受けられます。
小規模のNPO法人に対してこのような、実地棚卸による貸借
対照表の作成を認める必要はあるのでしょうか?
実地棚卸による貸借対照表を認めないとすると、小規模の法
人に対して、どのような配慮をすればよいのでしょうか?
21
会計の大原則
• フローの計算書(収支計算書等)とストックの
計算書(貸借対照表等)がつながっていること。
• 具体的には、フローの計算書のボトムライン
(一番下)とストックの正味財産がつながって
いること。
• それがつながっていないものは、正確性を検
証することができず、信頼性が低い
22
実地棚卸による貸借対照表等作成の
問題点
• 収支計算書には資金の増減を記録し、貸借対照表や
財産目録は実地棚卸により作成する
例題1
資金以外の資産や負債は会計記録の枠外に置かれる
会計記録が不正確なものとなり、社会からの信頼に応
えられない
小規模なNPO法人であっても、収支計算書と貸借対照
表・財産目録の正味財産は一致していることが必要 23
小規模法人に対する配慮
(委員会見解)
• 実地棚卸による貸借対照表の作成といった特
別な配慮ではなく、会計報告の利用者が判断を
誤らない範囲で、より簡便な会計処理や表示を
選択するという「重要性の原則」を利用すること
が適切
重要性の原則:重要性の乏しい取引につい
ては、簡便な会計処理をすることができる
この見解についてどう思いますか?
C1
24
重要性の原則を適用した具体例
• 期末に、電話代や電気代などの未払がある場
合でも、重要性が乏しい場合には、未払金(未
払費用)は計上しない
• 期末に、少額の消耗品や切手などの貯蔵品な
どがある場合でも、重要性が乏しい場合には、
資産に計上しない
• 一個又は一組の金額が一定金額以下の減価
償却資産について、資産に計上せず、経費とし
て処理することができる
25
現金及び預金以外の資産・負債
がないNPO法人の場合
・収支計算書等のすべての収入・支出は貸借対
照表の現金及び預金とつながっている
・収支計算書等のボトムラインは貸借対照表の
正味財産である現金預金とつながっている
・従って、問題にならない。
例題2
26
財務諸表の体系及び表示
(第4回委員会)
論点6
論点7
論点8
論点9
収支計算書の意味するもの
財産目録
区分経理
事業費と管理費の区分
<基本方針>
・NPO法人会計基準はNPO法と整合性を持つこ
とが必要。策定委員会では、NPO法人として望
ましい計算書類の体系・表示を示すとともに、会
計基準とNPO法の整合性も検討しました
27
論点6 収支計算書の意味するもの
NPO法は、財務諸表を収支計算書、貸借対照表及び財産目録と
しています。
一方、収支計算書は資金収入と資金支出が原因別に記載され
た計算書であると主張する見解もあります。
しかし、収支計算書をこのような資金収支計算書だとする考えの
下では、収支計算書の次期繰越額が貸借対照表の正味財産と一
致しません。
NPO法が前提とする計算体系の下では、収支計算書は、どのよ
うな内容でなければならないのでしょうか?
例題1 参照
28
収支計算書の意味するもの
(委員会見解)
収支計算書の次期繰越額は貸借対照表の正
味財産の金額に一致していることが必要であ
る。
なぜなら
・資金だけの増減を記録し、貸借対照表を棚卸法で作成する方
法では、資金として定義した以外の資産や負債が会計記録の枠
外に置かれてしまう
・その結果、会計記録が不正確となり、社会からの信頼に応える
ことができなくなってしまう
29
委員会見解(続き)
・NPO法に規定された収支計算書は、原則として、期首
の正味財産から始まって、すべての正味財産の増加や
減少を記録し、どのようにして期末の正味財産にたどり
着いたのかを説明する計算書のことを意味していると考
えるのが合理的である
・この「収支計算書」を、NPO法人会計基準では「活動計
算書」と呼ぶことで委員会の意見はほぼまとまっている
・NPO法人にとって、それぞれのミッションを市民の立場で
実現する活動を会計的に記録するという点に重要な意
味がある
この見解についてどう思いますか? C6
30
純資産増減の発生原因を示
す計算書(活動計算書)
科目
経常収益の部
会費収入
事業収入
その他収入
金額
400,000
500,000
1,207,000
経常収益合計
2,107,000
経常費用の部
事業費
管理費
減価償却費等
1,000,000
600,000
130,000
経常費用合計
1,730,000
当期正味財産増加額
377,000
前期繰越正味財産額
2,100,000
当期正味財産合計
2,477,000
貸借対照表
資産の部
現金預金
1.000,000
未収金
500,000
器具備品
230,000
・・・・・・・・
負債の部
未払金
預り金
100,000
50,000
負債の部合計 523,000
正味財産の部
前期繰越正味財産 2,100,000
当期正味財産増加額 377,000
正味財産の部合計
2,477,000
資産の部合計
3,000,000
負債・正味財産の部合計
3,000,000
一致
会計の正確性を確保
31
特定非営利活動法人の会計の手引きについて
「手引き」は、平成11年に当時の所轄庁で
あった経済企画庁からNPO法人の担当者が
会計書類を作成する目安として公表された
会計基準ではないが、所轄庁が作成したため、多く
のNPO法人が影響を受けている
32
手引きに基づく収支計算書
科目
経常収入の部
収入合計
経常支出の部
支出合計
金額
・・・・・・
・
2,107,000
・・・・・・・
・
1,600,000
その他資金収支の部
車両運搬具支出等
1,050,000
当期収支差額
△543,00
前期繰越収支差額
1,000,000
次期繰越収支差額
457,000
正味財産増減の部
車両購入額等
・・・・・・・・・・・・・
1,050,000
・・・・・・・
当期正味財産合計
2,477,000
一致しない
資産の部
現金預金
1.000,000
未収金
500,000
器具備品
230,000
・・・・・・・・
貸借対照表
負債の部
未払金
・・・・・・
100,000
・・・・・・・
負債の部合計 523,000
正味財産の部
前期繰越正味財産 2,100,000
当期正味財産増加額 377,000
正味財産の部合計
2,477,000
資産の部合計
3,000,000
負債・正味財産の部合計
3,000,000
一致
正味財産増減の部を加えることで
貸借対照表との関連性が明確になる
そのために「一取引二仕訳」が必要
難解な上、習熟も難しい
33
「手引き」はNPO法人の会計基準として
ふさわしいか?(委員会見解)
・手引きの基になった当時の公益法人会計基準(昭和60年基準)は、
法人と主務官庁との閉鎖的な関係を前提としていたもの
・行政が、予算管理を通じて公益法人の指導監督を行う手段として
策定された
・情報公開を前提としていない会計の考え方を基にして作成された
・正味財産の増減を「資金収支の部」と「正味財産増減の部」に区
分するため、「一取引二仕訳」という難解な仕訳が要求される
「手引き」は、NPO法人の会計基準としてはふさわしくない
34
論点7 財産目録
財産目録は、NPO法において、収支計算書及
び貸借対照表とともに列挙されています。
平成20年に公表された改正公益法人会計基
準では、財産目録は財務諸表の範囲から除か
れました。
NPO法人会計基準では財産目録をどのように
考えたら良いでしょうか?
35
財産目録
(委員会見解)
見解その1
現行法に収支計算書及び貸借対照表ととも
に列挙されている以上、財産目録を異なるも
のとする解釈は難しいのでは?
見解その2
財産目録は収支計算書や貸借対照表と同
様に考えるべきではなく、いずれ廃止されるこ
とを前提に対処することが必要では?
それぞれの見解についてどう思いますか? C736
論点8 区分経理
NPO法第5条第2項は、「その他の事業の会計
は特定非営利活動に係る事業に関する会計か
ら区分し、特別な会計として経理する」と規定し
ています。
特別な会計として区分するというのは、活動
計算書(収支計算書)ばかりでなく、貸借対照
表まで区分する必要があるでしょうか?
37
区分経理(委員会見解)
貸借対照表も区分することが原則だが、
「重要性が乏しい場合には貸借対照表を区
分しないことができる」とする
<委員会意見>NPO法の区分経理の規定は、活動
計算書の区分だけを要求しているもので、貸借対照表
の区分までは要求しているものではないのでは?
現行法で、「特別な会計」という文言がある以上、ストック情報(貸
借対照表)の区分が要求されないと解釈するのは無理がある。
重要性の原則による対応が、現行法との整合性を有する唯一の
見解である。
この見解についてどう思いますか? C8
38
論点9 事業費と管理費の区分
所轄庁は、「NPO法の運営方針」の中で、事業費と管理
費を区分し、認証基準や監督基準の判断基準のひとつ
としています。
確かに、NPO法人はミッションに基づく法人であり、ミッション
に基づく事業の実施と活動の管理のための管理費を区
分する必要性は理解できます。
しかし、事業部門と管理部門が未分化なNPO法人にま
でこの考えを適用すると却って判断を誤るのではないか
という見解もあります。
事業費と管理費の区分について、どのように考えたらよ
いのでしょうか?
39
事業費と管理費の区分
(委員会見解)
●事業部門と管理部門が分離されているNPO法人
事業費と管理費を分けること、区分された事業費を目
的別に分類し、それらの詳細を形態別に分類することは
有用な表示方法
例題3
●事業部門と管理部門が未分化のNPO法人
職員が多種類の仕事をしている場合のように事業と
管理がよく区分されていない場合
→事業費と管理費を区分せず、客観的に把握できる
「人件費」と「その他経費」に区分する
例題4
この見解についてどう考えますか?
C9
40
事業費と管理費の区分
(会場からの意見)
●意見1
事業費と管理費の割合は、特定非営利活動を
圧迫するようなことがあってはいけないという意味
合いで所轄庁の監督の客観的なルールとして有
効。小規模法人が使わないというのは難しい
●意見2
事業と管理が未分化な法人では意図的な按分
が行われるケースがある。管理ツールとしても有効
ではなく、区分しないでもいいと言うルールの方が
いい
41
寄付やサービスの取扱い
論点2 現物寄付の取扱い
論点3 無償による施設の提供
論点4 ボランティアの取扱い
論点5 使途等に制約のある寄付の受入
<問題の所在>
NPO法人の特徴は、自分たちの提供する活動の
コスト(活動にかかる費用)を売上などの事業収
入で賄うことができない。不足分は寄付金や助
成金で外部から支援を受けるが、それを会計上
42
どう表現するか?
論点2 現物寄付の取り扱い
現物による寄付を受けた場合には、どのよう
に対応する必要があるでしょうか?
43
現物寄付の取り扱い
(委員会見解)
• 現物による寄付を受けた時は、取得時におけ
る公正な評価額を受贈益として計上する必要
がある
・寄付者からの援助の事実を会計記録の中に表示することができる
・頂いたものを会計記録の中で管理することが可能になる
(現物による寄付が少額で重要性が乏しい場合には、受贈
益を計上しない処理も認められる)
この見解についてどう考えますか? C2
44
公正な評価額
• 土地・・
①鑑定評価額
②相続税における路線価、地価公示法に基づく公
示価、固定資産評価額から計算された価額等
• 建物・・鑑定評価額、固定資産税評価額から算定さ
れた価額、再取得価額等
• 什器備品・・正常品については定価、中古品等につ
いては見積売却価額等
• 棚卸資産・・正常品については定価、処分品や型
落ち品については処分予定価額や使用予定価額
等
45
• 設例1
アパレルメーカーから型落ち品500点を寄
付してもらった。バザーで売却し、売却代金を
援助事業に当てる。売却予定価額10万円
・仕訳
①受入時
(棚卸資産)10万円
(棚卸資産受贈益)10万円
②バザーで10万円で売却
(現金)10万円
(バザー売上原価)10万円
(バザー売上)10万円
(棚卸資産)10万円
例題5 参照
46
• 設例2
医療メーカーから、医療用消耗品の寄付を受けた。
アフリカの子供達用に送付した。なお、寄付物品の
公正な評価額は、見積処分価額100万円とした。
・仕訳
①受入時
(棚卸資産)100万円
(棚卸資産受贈益)100万円
②アフリカに送付時
(医療事業費)100万円
(棚卸資産)100万円
例題6 参照
47
論点3 無償による施設の提供
コンサート実施に当って公設ホールを無償
で使用させて頂いた場合や、スポーツ大会
で競技場を無償で使用させて頂いた場合に
は、どのように会計に反映することが必要で
しょうか?
48
無償による施設の提供を会計上表現する意味
• 無償で施設の提供を受けたという援助の事
実をどのように会計に反映したらよいか?
・ 実施した活動のコストを正しく算定する必要
があるのではないか?
49
• 設例3
イベントの実施会場を○○市から無償で提
供を受けた。通常の使用料5万円。
・仕訳
(賃借料) 5万円
(施設提供益) 5万円
例題7 参照
50
無償による施設提供
(委員会での反対意見)
・ 支払ってもいない賃借料がコストを構成して
しまう。そのイベントの財源が助成金の場合
には、賃借料は助成対象にはならない
51
無償による施設の提供
(委員会見解)
• 金額に重要性が乏しい場合は施設提供益
及び賃借料を計上しないことも可能である
この見解についてどう考えますか? C3
52
論点4 ボランティアの取扱い
NPO法人では、活動の実施に当たり、ボラン
ティアの方々が参加されることがあります。
NPO法人の活動におけるボランティアの方々の
存在は、ミッション達成に当っても、大変重要
で本質的な意味があります。
会計は、これらのボランティアの方々のご協力
をどのように反映したら良いでしょうか?
53
C4
ボランティアを会計に計上する意味
・計上しないと、援助の事実と活動のコストの計算
が正しくできない。
・ただし、すべてを会計の中に取り込むと、コスト
が大きくなり、正しいコスト計算ができなくなる
54
• 設例4
イベントの実施に当たり、ボランティアを募集しました。これ
に対して、以下のような応募がありました。なお、応募がな
ければ、アルバイトを1名5,000円で募集する予定でした。
①会場整理係り 5名 応募10名
②会場設営係り 3名 応募10名
援助及び活動コストの観点からどうしても必要な8名分だけ
を会計報告の中に採り入れる
・仕訳
(会場費) 4万円
(ボランティア受入益) 4万円※
※(5名+3名)×5,000円=4万円
例題8 参照
55
ボランティアの取扱い(委員会見解)
• ボランティアによる人的サービスの受入を金額で表現する
のは難しい。
• ボランティアは人の役に立とうという心の問題で、金額に
よる測定には馴染みにくい
• ボランティアによる援助の事実を何らかの形で開示する必
要はある。例えば、財務諸表の注記や、事業報告とし
て記載するなど
ボランティアによる役務の提供は、会計の中に
は取り込まないとする見解が多数
この見解についてどう思いますか? C4
56
論点5 使途等に制約のある寄付の受入
寄付は、通常○○キャンペーンとか、△△
地震被災者支援とか使途等(使い方等)に制
約がついて受け入れることが多いものです。
また、寄付者自らが使途等に制約を付けるこ
とも見受けられます。
寄付者は、自身が行った寄付が目的に沿っ
た活動に使用されたかどうかについて、極め
て高い関心を持っています。
57
C5
論点5 使途等に制約のある寄付の受入(続き)
会計は、寄付者も含めた法人に関係する
方々に対して、使途等に制約が付された寄付
等について、どのように使用されたのか、また、
未使用分をどのように保有しているのかにつ
いて、きちんと報告することが重要です。
会計基準は、この問題をどのように取り扱っ
たら良いでしょうか?
58
この議論の対象
• 寄付金等の入金と支出の会計期間がずれる
場合に、両者を一致させて活動を表すことが
目的
• 使途が制約された寄付金等には使途が制約
された補助金や助成金も含まれる
59
この議論の対象外
• 補助金や助成金で、不用額の返還が義務付
けられている場合には、金額が確定するまで
は、前受金等の負債として処理するので、この
議論の対象外
• 補助金や助成金の額が確定してからが、この
後の議論の正味財産方式が良いか、負債方
式が良いかという議論の対象になる
60
<事例>
①寄付金の使途に関する制約・・○○地震被害
者援助のため、援助物資を購入し届ける。
②当年度受入寄付金の総額・・5,000万円
③援助用物資の購入・・当年度5,000万円
④援助用物資の被災者への提供
・・当年度2,000万円、翌年度3,000万円
61
通常の仕訳は
①寄付金の受入時
(現金預金) 5,000万円 (寄付金収入)5,000万円
②援助用物資5,000万円の購入
(被災者援助物資) 5,000万円 (現金預金)5,000万円
③被災者への援助物資2,000万円を届ける
(災害援助事業費)2,000万円 (被災者援助物資)2,000万円
例題9
使途が制約されているため、自由に使えないもの
と、自由に使えるものが貸借対照表、活動計算書
ともに区別されていない
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方法1 使途等に制約のある寄付金
を正味財産と対応させる方法
• 貸借対照表の正味財産の部を、
(イ)使途が特定されている「指定正味財産の部」と、
(ロ)使途が特定されていない「一般正味財産の部」
に区分する
• 活動計算書(正味財産増減計算書)を、
(イ)使途が特定された寄付金等の受入れと使用を明
らかにした正味財産の部のフローの流れを明らか
にした「指定正味財産増減の部」と、
(ロ)それ以外の「一般正味財産増減の部」
に区分する
平成16年改正公益法人会計基準の考え方
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①寄付金の受入時
(現金預金) 5,000万円
(指定正味財産の部//受取寄付金)5,000万円
②援助用物資5,000万円の購入
(被災者援助物資) 5,000万円 (現金預金)5,000万円
③被災者への援助物資2,000万円を届ける
(災害援助事業費)2,000万円 (被災者援助物資)2,000万円
④ 寄付者による制約の解除額を一般正味財産へ振替える
(指定正味財産増減の部//一般正味財産への振替額) 2,000万円
(一般正味財産増減の部//受取寄付金振替額)2,000万円
例題10
64
正味財産対応方式の長所・短所
<長所>
①寄付金を受け取った時に受取寄付金を計上できる
②目的通りに使用した時に、費用との対応を明示できる
<短所>
①正味財産増減計算書を、一般正味財産増減の部と
指定正味財産増減の部に区分しなければならない
②寄付金が指定正味財産増減の部と一般正味財産増
減の部に2度計上される
③寄付された資産と指定正味財産の対応を厳格にする
と作業が複雑になる
65
方法2 使途等に制約のある寄付金
を負債に対応させる方法
• 地震被災者のための寄付は、寄付者が地震
被災者に届けてもらうために寄付したもので
あるから、寄付を受けたNPO法人にとっては、
預り金等の負債と考える方が理解しやすい
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①寄付金の受入時
(現金預金) 5,000万円 (使途指定預り金寄付金)5,000万円
②援助用物資5,000万円の購入
(被災者援助物資) 5,000万円 (現金預金)5,000万円
③被災者への援助物資2,000万円を届ける
(災害援助事業費)2,000万円 (被災者援助物資)2,000万円
④ 寄付者による制約の解除額を受取寄付金に振替える
(使途指定預り寄付金) 2,000万円 (受取寄付金) 2,000万円
例題11
67
負債対応方式の長所・短所
<長所>
①寄付者から信託された財産であるという考え方は受け
入れやすい
②目的通りに使用した時に、費用との対応を明示できる
<短所>
①会計上の負債は相手が特定されていることが必要で
あり、負債方式を採用するのであれば、負債の考え方
を拡大する必要がある
②制約期間が長いものや永久に続く場合に長期間ある
いは永久に負債に計上されてしまう
③総額5,000万円の寄付を受けた事実が計上されない
68
使途等に制約のある寄付の受入れ
(委員会意見)
① 負債方式は、制約期間が長いものや永久制約の寄
付金については対応が難しい
②負債概念の拡大についても慎重な対応が必要
③純資産方式は、我が国でも米国でも標準的な処理とし
て受け入れられている
負債方式にも支持があったが、正味財産対応方式
がより多くの支持を受けた
この見解についてどう思いますか? C5
69
使途等に制約のある寄付の受入れ
(委員長意見)
• 使途等に制約のある寄付の受入は、その重要
性に応じて以下の3種類の対応が考えられる
① 使途が制約された寄付であっても、重要性が乏しい寄付に
ついては、通常の寄付金と同様に考える→例題10の方法
② 使途が制約された寄付金で、重要性が高い場合には、公
益法人会計基準と同様の処理方法をする
→例題11の方法
③ 使途が制約がされた寄付金で重要性が高い場合であって
も、活動計算書を「一般正味財産増減の部」と「指定正味財産
増減の部」に区分するほどには重要性が高くない場合
→次ページの方法
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• 活動計算書を「一般正味財産増減の部」と
「指定正味財産増減の部」には区分しない
• 活動計算書上に、使途が制約された寄付金
を一般の寄付金と区別して「使途指定受取寄
付金」などの科目で計上する
• 使途が制約された寄付金の使用状況を財務
諸表に注記する
例題12
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さいごに
• この中間報告は、NPO法人に関係する多くの方々
にご覧いただき、ご意見を伺うことが目的です。
• パブリックコメント用紙に、ご意見・ご感想の記入
をお願いいたします。
• なお、パブリックコメントはWEBでもコメントするこ
とができます。
• 会計基準の作成も、ようやく折り返し時点です。
ゴールに向かって皆さんとともに頑張っていきた
いと思っています。
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