New Methods for Applying Kalman Filter Concept

流域降雨予測ならびに降雨予測
と気象予測の不確定性情報
中北 英一
京都大学防災研究所
気象・水象災害研究部門
水文気象災害研究分野
水文・水資源におけるアンサンブル予測情報
 (1) 計画論的,設計論的利用
 最適施設建設や操作手法の構築のために様々なシミュレーションに
用いる.
 入力の時系列モデル,空間分布モデルを確率過程モデルとして構築し,
入力を模擬発生させる.期待値,分散,時間相関が重要で,最近では
空間相関情報も重要.
 (2) 実時間流量・水位予測(多雨,少雨とも)
 決定論的予測では入力の期待値のみ利用
 確率論的予測では期待値,分散を用いる.最近では時・空間相関情
報も重要.
 (3) 警報システム
 土砂災害では積算降雨量と強度を用いる
 警戒態勢に入るかどうか(ダム操作も含む)
 24時間先(休日出勤を指令),12時間先(隔地の無人ダムサイトへ
の職員の派遣),6時間先など...
水文・水資源分野で降雨予測に突入した
理由(1980年代)
(1) デジタル気象レーダーの出現
応用数学的な方法で,短時間の降雨予測の可能性が出てきた.
(2) 流域スケールに応じた地域密着の予報が必
要であった.
気象の分野では,降雨予測はかなり難しいとの認識があった.
それでも,必要なものは取り組む必要があった.
(3) もともと,確率論的(確率過程的)な取り組み
が進んでいた.
入力である降雨の期待値,分散,時間相関,空間相関情報は近
代水文学の初期から重要な情報であり,降雨予測でも当然のご
とくそれが求められる分野であった.
洪水流出予測モデルの分類(1)
(1) 概念モデル
貯留関数モデル,タンクモデル,合理式
(2) 物理モデル
Kinematic wave モデル, Dynamic wave モデル
洪水流出予測モデルの分類(2)
(1) 集中型モデル
流域を一つのお椀のように概念化したモデル
(2) (空間)分布型モデル
流域を山腹斜面と河道網に分けてそれぞれを物理モデルで
モデル化
概念モデル,集中型モデル
q(t)
S(t)
q(t)
落水線図
分布型流出モデル
Rainfall
Forest
Field
Layer A
Layer A
Paddy field
Water body
Urban area
Lateral flow
Infiltration
Groundwater
Downstream
mesh cell
Kinematic Wave モデル
A q

 r (t , x)
t x
q  f ( x, A)
洪水流出予測モデルの分類(3)
(1) 決定論的モデル
与えられた降雨時系列に対し,1種類の流量時系列を出力
(2) 確率論的モデル
Kalman filter等を用いて,精度向上,実時間での流量予測
精度の予測を実現している.
洪水流出予測モデルの分類(4)
(1) 流域平均雨量をインプット
空間分布型降雨情報から流域平均雨量を算出
(2) 細かな降雨分布をインプット
分布型洪水流出モデルへの空間分布型降雨情報
貯留関数モデルへのKalmanフィルターの適用
 dS (t )
 dt  fr (t  T )  q (t ) ( 連続式)

1/ p
S
(
t
)
P
 S (t )  KS (t )  q (t ) 
( 運動方程式)
1/ p

K
r (t ) : 流域平均降雨強度, S (t ) : 流域貯留量, q(t ) : 流出流量
パラ メ ータ は, T : 降雨-流出遅れ時間, f : 流出率, K , P
 dS (t )
 dt  fr (t  T )  q(t )   (t ) ( シス テム 方程式)

1/ p
S
(
t
)
q (t ) 
  (t ) ( 観測方程式)
0
1/ p

K
 (t ) : シス テム ノ イ ズ,  (t ) : 観測ノ イ ズ, q0 (t ) : 観測量( 流出流量) , S (t ) : 状態量( 貯留量)
予測降雨を
用いる場合は,
予測時にそ
れを状態ベク
トルに加える
ことができる.
その場合,
予測降雨の
共分散行列
を必要とする.
カ
ル
マ
ン
フ
ィ
ル
タ
ー
を
用
い
た
洪
水
流
量
の
予
測
結
果
概念モデルを用いた確率論的洪水予測(1)
(Takasao and Shiiba, 1985)
カ
ル
マ
ン
フ
ィ
ル
タ
ー
を
用
い
た
洪
水
流
量
の
予
測
精
度
概念モデルを用いた確率論的洪水予測(2)
(Takasao and Shiiba, 1985)
(
移カ
ル
流マ
モン
デフ
ルィ
にル
よタ
るー
降を
雨用
予い
測た
を洪
用水
い流
た量
場の
合予
)測
結
果
概念モデルを用いた確率論的洪水予測(3)
(中北, 1985)
(
過カ
ル
去マ
3 ン
時フ
間ィ
ル
平タ
均ー
にを
よ用
るい
降た
雨洪
予水
測流
を量
用の
い予
た測
場結
合果
)
概念モデルを用いた確率論的洪水予測(4)
(中北, 1985)
(
移カ
ル
流マ
モン
デフ
ルィ
にル
よタ
るー
降を
雨用
予い
測た
を洪
用水
い流
た量
場の
合予
)測
結
果
概念モデルを用いた確率論的洪水予測(5)
(中北, 1985)
(
過カ
ル
去マ
3 ン
時フ
間ィ
ル
平タ
均ー
にを
よ用
るい
降た
雨洪
予水
測流
を量
用の
い予
た測
場結
合果
)
概念モデルを用いた確率論的洪水予測(5)
(中北, 1985)
入力
シミュレーション
確率論的降雨予測
(降雨発生モデル)
降雨観測
流出流量観測
分布型フィルター
あるいは人工知能
による誤差処理
分布型流出モデル
出力
アンサンブル流出予測
解析
避難意思決定
支援システム
確率論的洪水予測
不確実性を考慮したアンサンブル予測
4000
4000
Discharge
(m3/s)
Discharge
(m3/s)
3500
3500
3000
3000
2500
2500
2000
2000
1500
1500
1000
1000
500
500
0
0
2000/9/11
17:00
2000/9/11 17:00
(Smith and Kojiri, 2005)
t =0
t =0
2000/9/11 20:00
2000/9/11 20:00
2000/9/11 23:00
2000/9/11 23:00
Date / Time
Date / Time
2000/9/12 2:00
2000/9/12 2:00
確率論的流出予測
Predictive probability P(Q<=q)
1
0.8
0.6
Lead time
1 hour
2 hours
3 hours
4 hours
5 hours
6 hours
0.4
0.2
0
0
1000
2000
3000
4000
5000
6000
Discharge Q (m3/s)
(Smith and Kojiri, 2005)
7000
8000
9000
10000
分布型確率論的洪水予測
流量, Q
(m3/s)
(Smith and Kojiri, 2005)
50%
Exceedance
limit
95%
Exceedance
limit
避難意思決定
Catastrophic flood
Severity
1.0
p(q)
No flooding
qdesign
Discharge (m3/s)
(Smith and Kojiri, 2005)
q
R: Fraction remaining
0.0
1.0
qdesign
Discharge (m3/s)
q
100% of population
remaining
Complete
evacuation
0.0
τ: Lead time (hrs)
降雨の短時間降雨予測の種類
 (1) 運動学的手法
 降雨分布の移動パターンにより線形的に外挿
 (2) 降雨の概念モデルによる手法
 静力学モデル
 3次元レーダーを利用して水蒸気の凝結量を抽出
 水・熱収支を考慮した降雨の概念モデルと結合
 レーダー反射因子(カルマンフィルター),ドップラー速度(4次元
変分法)の同化は終了
 メソスケール数値予報
 (3) 大気の物理方程式を10km以下のグリッドサイズで積分

(静力学モデル=>非静力学モデル)
 (4) 究極の目標は非静力学モデルによるレーダー情報による同化
降雨予測精度の概念図
予
測
精
度
(1) 2次元レーダー情報による運動学的手法
(2) 3次元レーダー情報+降雨の概念モデル
メソ数値予報
(3) 気象庁によるメソ数値予報
Accuracy of
Prediction
(4) メソ数値予報のレーダー情報による同化
運動学的手法と力学的指標
現業の予測精度
20km
200km
1hour
6hours
メソ β Scale
空間スケール
時間スケール
Spatial & Time Scale
運動学的手法による降雨予測
(移流モデルによる同定例)
 レーダー画像
 同定された移流ベクトルと発達・衰弱量
高棹・椎葉・中北(1984)
移流モデルの基本コンセプト
単位時間当りで雨域を発達・衰弱w(x,y)させて
降雨強度分布 r(x,y) を移流ベクトル u(x,y), v(x,y) で移流させる
移流モデルの式
r ( x, y )
r ( x, y)
r ( x, y)
 u ( x, y)
 v( x, y)
 w( x, y)
t
x
y
u(x,y), v(x,y),w(x,y) を位置座標の1次式で近似し,レーダー情報
から微分を差分で表して、線形最小二乗推定問題として算定
1次方程式による表現
u( x, y)  c x  c y  c , v(x, y)  c x  c y  c
w( x, y)  c x  c y  c
1
2
7
高棹・椎葉・中北(1984)
3
8
4
9
5
6
移流モデルの確率論的扱い(1)
r ( x, y )
r ( x, y)
r ( x, y)
 u ( x, y)
 v( x, y)
 w( x, y)
t
x
y
u( x, y)  c x  c y  c , v(x, y)  c x  c y  c
w( x, y)  c x  c y  c
1
2
7
3
8
4
5
6
9
1. w(x,y)を確率過程として扱う方法.(高棹・椎葉・中北
(1985, 1993) ,Kim・立川・佐山・寶(2005))
2. C1~C9の各パラメーターを確率過程として扱う方
法.(Smith・小尻(2005))
移流モデルの確率論的扱い(2)
各
パ
ラ
メ
ー
タ
ー
の
時
系
列
と
コ
レ
ロ
グ
ラ
ム
(高棹・椎葉・中北(1985, 1993))
移流モデルの確率論的扱い(3)
W(x,y)を時・空間的に白色ノイズとした場合の領域平均降雨予
測精度の予測.(高棹・椎葉・中北(1985, 1993))
(高棹・椎葉・中北(1985, 1993))
移流モデルの確率論的扱い(4)
Forecasts Accuracy Improvement
 The purpose of this study is for
improving the accuracy of the image extrapolation scheme by using
forecast error structure analysis and random error field modeling.
Current
time
Obs
Prediction
target time
Kim・立川・佐山・寶(2005)
Pred
Err. Fld.
To simulate possible error fields can give forecasts accuracy improvement.
Prediction W(x,y) Field
=
Prediction W(x,y) Field
x
StDev Field of W(x,y)
 E S ,1   sd1
E  
 S ,2    0
    

 
E
 S ,n   0
0
sd 2

0
+
Unit Random W(x,y) Field
Mean Field of W(x,y)
0   y1   av1 
 0   y 2  av2 




  
 

   
 sd n   y n  avn 

 The statistic fields convert UREF to the target W(x,y) fields
The UREF has unit randomness, N(0,1), and a given SCC.
 Generation of many UREF make it possible to simulate
many possible W(x,y) fields on the target time.
KIm・立川・佐山・寶(2005)
Extended Prediction Field
Re,i  Rp,i  Es,i
 Ro,i  R p,i  Ea,i
Extended Prediction Field
=
+
Deterministic Prediction Field
Prediction W(x,y) Field
 Deterministic prediction rainfall field from the translation model is
extended to many “Extended Prediction Fields” by joining with the
simulated prediction error fields.
 The minus rainfall set to zero and
the same amount are compensating with
the plus rainfall values.
Kim・立川・佐山・寶(2005)
Rainfall Intensities
 The rainfall intensities of the extended prediction fields show
improved prediction at some points.
 The delaying of the pred. rainfall intensities are corrected at some point.
Kim・立川・佐山・寶(2005)
Ave and StDev of Prediction Error
Kim・立川・佐山・寶(2005)
Spatial Correlation Coefficients
 The SCC values are little bit different to the original values.
Minus rainfall handling, approximate matrix decomposition might be a reason.
 However, the slight difference of the SCC does not make big problem for
the extended prediction field generation.
Kim・立川・佐山・寶(2005)
Applying to DHM (Event “92Aug”)
Ootori: 156 km2
Ieno: 476 km2
Kamo:1469 km2
KIm・立川・佐山・寶(2005)
Ensemble Rainfall-Runoff Simulation with the EPF
92Aug, Ootori (156 km2)
Kim・立川・佐山・寶(2005)
Ensemble Rainfall-Runoff Simulation with the EPF
92Aug, Ieno (476 km2)
Kim・立川・佐山・寶(2005)
Ensemble Rainfall-Runoff Simulation with the EPF
92Aug, Kamo (1,469 km2)
KIm・立川・佐山・寶(2005)
移流モデルの確率論的扱い(4)
ARIMA解析 - 移流ベクトル
{Yt}によるARMA(p,q) 時系列モデル
平行移流
回転
Yt  1Yt 1 
  pYt  p  Zt  1Zt 1 
0
0
0 
-.650 -.213 -.00122
 -.338 -.644 -.00236
0
0
0 


-.348
0
0
0 
 25.5 25.0
1  

0
0
-0.487 -0.218 -.00176
 0
 0
0
0
0.260 -0.269 .00199 


0
0
-18.4 -.0908 -.530 
 0
0
0
0 
 .00114 .000092 -.0998
.000092 .000658 -.0531
0
0
0 


-.0531
13.2
0
0
0 
 -.0998


0
0
.000840 -.000087 -.0509 
 0
 0
0
0
-.000087 .000813 -.0507 


0
0
-.0509
-.0507
8.80 
 0
 qZt q
0
0
0 
-.325 -.0253 -.000565
-.295 -.425 -.00264
0
0
0 


-.0125
0
0
0 
 28.3 17.8
2  

0
0
-.292 -.241 -.00175
 0
 0
0
0
.157 -.00102 .00106 


0
0
-1.59
3.55
-.121 
 0
 ct1 
 ct1 
c 
c 
 t2 
 t2 
c
 
 c 
X t   t 3  Yt  X t  X t 1  X t   t 3 
 ct 4 
ct 4 
 ct 5 
 ct 5 
 


 ct 6 
 ct 6 
平行移流のみ
0 
0 
 ct 3 
2.49
-0.689
1  
 
 X t  c 
0
-0.590
0
2.68




 t6 
(Smith and Kojiri, 2005)
 ct 3 
, Yt  X t  X t 1  X t  

ct 6 