消費者物価指数(CPI)の作成方法 と寄与度・寄与率の計算 専修大学経済統計学 作間逸雄 ラスパイレス物価指数算式から出発する n pp qq p q p q p 1 0 0 0 1 L L L p q p0 qp0 q p0q0 p0 i 1 n i 1 1i 0 i 1 0 0 0 0i 0i pq PL pq pq PP pq 1 0 ▼物価指数算式について。復習が必要。ラスパイレス式、パーシェ式、その他。 0 0 ▼現在は、2010年(平成22年)基準 であり、添え字0は、2010年1年間。 1 1 0 1 ラスパイレス物価指数算式は加重算術平均 pq pq L p q p q 1 0 0 0 品目のウェイトとは、 たとえば、米という 品目に家計がどの くらいの割合で支出 をしているかという こと。 0 0 0 p1 0 p0 品目の 品目の ウェイト 価格比 物価指数統計は二次(加工)統計 ウェイトは家計調査 価格比は小売物価統計調査 加工の原理はラスパイレス算式 一次統計(調査統計) 名称に「調査」 という語のつく 統計は一次統 計! ウェイト 総合→10大費目(大分類)→中分類(1、2)→小分 類(1、2)→品目(1、2) 家計調査は、学生の単身世帯等例外はあるが、全 国の全世帯を調査対象としている。サンプルは 9000世帯。 品目は、世帯が購入する財及びサービス全体の物 価変動を代表できるように、家計の消費支出の中で 重要度が高いこと、 価格変動の面で代表性がある こと、継続調査が可能であることなどの観点から選 定した587品目に、持家の帰属家賃1品目を加えた 588品目 である。(ウェイト、品目は、基準改定で変 更されるほか、中間年で見直しが行なわれる。) 10大費目 総合 1.食料 2.住居 3.光熱・水道 4.家具・家事用品 5.被服及び履物 6.保健医療 7.交通・通信 8.教育 9.教養娯楽 10.諸雑費 類・品目別ウェイトのイメージ 10大費目 中分類 (1,2) 小分類 (1,2) 品目1 品目2 総合 ウェイト 10000 食料 2525 穀類 217 米類 76 うるち米 もち米 パン めん類 72 国産米A 30 国産米B 42 4 79 食パン 23 あんパン 28 カレーパン 28 49 品目の価格比は銘柄指定方式で調査する 銘柄(スペック)とは? 指数品目として選んだそれぞれの品目について,毎月同等 の商品の価格を調査できるように,調査する商品の機能,規 格,容量などの特性を規定する。このような規定が銘柄。 なぜ銘柄を指定するのか? 銘柄をきちんと定めないで調査すると,商品の値動きが本 当にあったために価格が変わったのか,それとも調査する商 品の種類や機能などが先月と今月で異なったために価格が 変わったのかが分からなくなる。 例(品目「マヨネーズ」)『ポリ容器入り(500g入り),「キュー ピーマヨネーズ」』 例(品目「携帯型オーディオプレーヤー」 〔記録媒体〕フラッシュメモリー,〔記録容量〕8GB,マルチタ ッチディスプレイ付き,曲名表示付き,「iPod nano」※品番 指定 平均単価方式 西友物価指数で話題に。 単価=品目への支出金額/品目の数量を使う。 例 自動車への支出金額/自動車の購入台数 欠陥。 品質のコントロールがうまくいかない。品質 一定の条件で価格の変化を捉えたものでは ない。 基準改定 消費者物価指数は5年に一度「基準改定」を 行なう。 西暦表示で末尾が0か5の年が基準年である。 基準改定時に「パーシェ・チェック」を行なう。 同じ年(新基準年)について、旧基準のラスパ イレス指数値とパーシェ指数値(新基準年の ウェイトがあるから簡単に計算できる)を出し てみて乖離の度合いをチェックする。 基本分類指数――複数の総合指数 基本分類指数は,全体の物価の動 きを総合 した「総合指数」と,その 内訳を消費の目的 により費目別に分 類した指数で,毎月作成し ています。 基本分類の別掲項目として,「生鮮食品を除 く総合」(コア指数),「持家の 帰属家賃を除く 総合」,「持家の帰属家賃及び生鮮食品を除 く総合」及び「食 料(酒類を除く)及びエネル ギーを除く総合」指数(コアコア指数)を作成し ている。 消費者物価指数の公表時期等 消費者物価指数は、原則として毎月26日を 含む週の金曜日の午前8時に公表する。公 表内容は、全国の前月分指数及び東京都区 部の当月分指数の中旬速報値である。 公表系列は次のスライドに一覧表にした。 政府統計の総合窓口(e-stat)も便利である。 公表系列 平成22年基準消費者物価指数 > 月報 > 月次 > 2012年7月 表番号 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 統計表 中分類指数(全国) 中分類指数(東京都区部) 財・サービス分類指数(全国) 財・サービス分類指数(東京都区部) 中分類指数(都市階級・地方・大都市圏・都道府県庁所在市別) 品目別価格指数(全国・東京都区部) 四半期平均及び半期平均指数(全国) 季節調整済指数(全国・東京都区部) 総世帯中分類指数 勤労者世帯年間収入五分位階級別中分類指数 世帯主60歳以上の無職世帯中分類指数 基礎的・選択的支出項目別指数 品目の年間購入頻度階級別指数 ラスパイレス連鎖基準方式による消費者物価指数 参考表 1 平成17年基準換算指数(全国・東京都区部) 2 主要国の消費者物価指数変化率 最近のCPIの動き(平成26年5月全国) CPI総合(年次) 25.0 20.0 15.0 10.0 5.0 0.0 -5.0 10 9 8 7 -1 -2 -3 -4 197101 197110 197207 197304 197401 197410 197507 197604 197701 197710 197807 197904 198001 198010 198107 198204 198301 198310 198407 198504 198601 198610 198707 198804 198901 198910 199007 199104 199201 199210 199307 199404 199501 199510 199607 199704 199801 199810 199907 200004 200101 200110 200207 200304 200401 200410 200507 200604 200701 200710 200807 200904 201001 201010 201107 201204 201301 201310 27 消費者物価上昇率(対前年同月比、%) 26 25 24 23 22 21 20 19 18 17 16 15 14 13 12 11 総合 生鮮食品を除く総合 食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合 6 5 4 3 2 1 0 199501 199506 199511 199604 199609 199702 199707 199712 199805 199810 199903 199908 200001 200006 200011 200104 200109 200202 200207 200212 200305 200310 200403 200408 200501 200506 200511 200604 200609 200702 200707 200712 200805 200810 200903 200908 201001 201006 201011 201104 201109 201202 201207 201212 201305 201310 消費者物価指数上昇率(対前年同月比、%) 1996~月次 3 総合 生鮮食品を除く総合 2 -1 -2 -3 食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く 総合 1 0 CPI総合 月次 前年同期比 2 GDPデフレーター(四半期)前年同期比 1.5 11 0.5 00 -0.5 -1 -1 -1.5 -2 -2 -2.5 -3 -3 物価上昇の要因 物価上昇(下落)の要因をさぐろうとすること は多い。たとえば、平成26年5月分の全国消 費者物価指数について、10大費目別寄与度 が発表されている。 寄与度・寄与率とは? 寄与度と寄与率は、あるデータ全体の変化(総合消費者物 価指数の変化率)に対して、その構成要素である個々の データの変化(たとえば、品目別の価格上昇率、住居費に 限定した物価上昇率)がどのように貢献しているかを示す指 標である。 「寄与度」はあるデータの構成要素の増減が、全体の伸び 率を何ポイント(%表示)押し上げ(押し下げ)ているかを示 すもので、各寄与度の合計が全体の伸び率と一致する。 「寄与率」は、「寄与度」の合計値が100%になるように、 寄与度/総合指数の変化率×100 のように調整したもの。 総合物価上昇率の寄与度分解 品目ウェイト p q L2 L1 1 2 0 p1q0 L1 L1 p0 q0 p0 q0 今期品目指数 総合物価上昇率 総合ウェイト -前期品目指 p q p q p p 1 前期総合指数 0 0 0 0 2 1 数 L1 p0 q0 p0 p0 q0 p0 1 p0 q0 p2 p1 L1 p0 q0 p0 p0 実際には、ウェイトは、1万分比のかたちになっている。 寄与度の計算 品目でなく分類項目(たとえば、食料)についての 寄与度もまったく同様に計算できる。
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