日本中央競馬会 特別振興資金助成事業 平成17年度 獣医師生涯研修事業 HACCP手法研修用教材 「養豚基礎編」 企画・出版 社団法人 日本獣医師会 編集・製作 獣医師研修体制整備推進検討委員会 委員長 酒井 健夫(日本大学生物資源科学部教授) HACCP手法研修用教材検討小委員会 委員長 副委員長 委 員 岡本 嘉六 柏崎 守 天野 弘 長田 貴 川邊久浩 種市 淳 濵岡隆文 宮里俊光 鹿児島大学農学部教授 社団法人畜産技術協会参与 静岡県農業水産部畜産振興室主幹 千葉県東部家畜保健衛生所次長 熊本県城北家畜保健衛生所参事 山形県農林水産部生産流通課畜産室長補佐 動物衛生研究所七戸研究施設長 鹿児島県鹿児島中央家畜保健衛生所衛生課長 編集協力 鹿児島県 食品安全性問題研究会 パート1 養豚の歴史と現状 ● イノシシの家畜化と豚の品種改良 ◆ 美味しい肉を、より多く生産する技術体系の構築 ● 日本における養豚のあゆみ ◆ 稲作農家の数頭飼い「有畜農業」から、専業化、 大規模化による飼養管理技術の向上 イノシシから家畜化された豚は、産肉量の向上のた め品種改良が行われ、それは今後も続けられる。 豚の祖先 イノシシ 畜産情報ネットワーク 「畜産Zoo鑑」からの引用 (http://zookan.lin.go.jp/) イノシシが家畜化された場所と時期 (社)日本養豚協会 からの引用 (http://www.pig-pins.or.jp/youton/top.html) オセアニア アフリカ 中国には、世界の 豚の約半数が飼育さ れており、中華料理 は豚肉が中心となっ ている。 北米その他 ヨーロッパ その他 米国 中南米 その他 外周円 飼養頭数 92,290万頭 アジア その他 内部円 豚肉生産量 91,188,000t 日本 中国 世界のおもな国での豚飼養頭数と豚肉生産量(2001年) 大湖豚(梅山猪):長江の下流域 黄淮海黒豚:黄河の中下流域 藏猪:チベット、四川西部、雲南西北部 民猪:東北地方の吉林省、黒龍江省 栄昌豚:四川省 金華猪:浙江省金華地区 大花白豚:珠江デルタ地域 両广小花猪:広東省、広西自治区 海南猪:海南省 (株)埼玉種畜牧場「サイボクぶた博物館」からの引用 (http://www.saiboku.co.jp/index.html) ヨークシャー バークシャー ランドレース イギリス、1885年 イギリス、1862年 デンマーク、1896年 大ヨークシャー ハンプシャー デュロック イギリス、1870~1880年頃 アメリカ、1904年 アメリカ、1885年 日本で多く飼育されている豚の品種 (交雑種を除く) 品種名 原産国名、品種確定年 畜産情報ネットワーク 「畜産Zoo鑑」からの引用 (http://zookan.lin.go.jp/) 0 2 4 ロース芯 断面積 背脂肪層 厚さ 飼料 要求率 2.12 1.83 1.56 1.89 1.83 6 31.9 38.0 36.5 32.9 33.2 8 10 バークシャー デュロック ハンプシャー 大ヨークシャー 3.24 3.26 3.39 3.35 3.39 ランドレース 1日平均 増体量 種雄豚の品種による生産性の差異 (1992-1994年平均、農水省畜産局「豚産肉能力直接検定成績」) 752 834 805 812 790 品種 系統造成 1日当りの増体量は、1985年から2002年の間に200g 程度増加できた。その他の生産指数についても同様 であり、これからも、家畜改良の努力は続けられる。 豚の能力の推移及び平成27年度目標の検討値 食料・農業・農村政策審議会 生産分科会 畜産企画部会 家畜改良増殖目標についての研究会 (平成16年10月12日) バークシャー ヨークシャー ランドレース 大ヨークシャー 2004 種 雄 1990 豚 1970 ハンプシャー デュロック その他 交雑種 2004 種 雌 1990 豚 1970 2004 肉 1990 豚 1970 0 20 40 60 80 100 構成割合(%) 日本における種雄豚、種雌豚、肉豚の品種の移り変わり 繁殖・育成能力の 優れた大型品種 L♀ × W♂ 原種豚 産肉形質の優れた品種 デュロック(D) ランドレース(L) 大ヨークシャー(W) ホモ 純 系 交 雑 種 × × D♂ F1雌豚 LW♀ 肥育豚 三元交雑種 LWD W♀ × L♂ ハンプシャー(H) バークシャー(B) H♂ B♂ WL♀ × D♂ 白の優性 遺伝子は、 赤の劣性遺伝子 ヘテロと は、ヘテロとなる なっても ことで発現しない 発現する ヘテロ WLD 三元交配による雑種強勢 万頭 日本における養豚のあゆみ 1400 900 一戸当り頭数 1200 1000 千戸 頭/戸 800 700 飼養戸数 600 800 500 600 400 飼養頭数 400 300 200 200 100 0 0 データは(社)日本養豚協会 からの引用 (http://www.pig-pins.or.jp/youton/top.html) 丹羽 太左衞門著 「20世紀における日本の豚改良増殖の歩み」 1938 年 飼養頭数 99 万8 千頭 1946年 飼養頭数 8 万8 千頭 1 戸当たり飼養頭数 1.4 頭 戦争による食料不足 養豚飼料と食料が競合 肉不足のため「食い潰し」が進行 庭先の簡易な木造豚舎で、農場副産物や厨芥も養豚飼料として使われていた。 1951年 「無畜農家解消国会決議」 → 「有畜農家創設計画」 1953年 「有畜農家創設特別措置法」制定 「有畜農業」: ①農場副産物のような未利用資源の活用、②堆きゅう肥に よる金肥の節約、③多少の現金収入をもたらす副次部門としての位置づけ 耕種農業の補助にすぎず、独立した畜産農家の育成ではなかった 1953 年 99 万4千頭 → 1962 年 403 万3 千頭 飼養頭数は、10 年間で4.1 倍、年率15.1 %という驚異的な成長率。 1戸当たり飼養頭数は1.6頭から3.9 頭へと2.4倍。 豚価は3 年周期の規則的な変動(ピッグサイクル)を繰り返していたが、1961 年後半から1962年2月にかけて、かって経験したことのない大暴落を招いた。 飼養戸数: 31.0%減少 飼養頭数: 13.3%減少 多頭経営の再編合理化 養豚の生産地域 養豚の階層構造 豚価の激しい変動 付随する子豚価格の変動 1. 国による食肉価格安定制度の確立 2. 農協による「営農団地構想」 3. 農家による一貫経営の進展 1961年 「農業基本法」 高度経済成長による豚 1961年 「畜産物の価格安定等に関する法律」 ①卸売市場における豚枝肉の格付体制の整備と格付 肉需要の増大と食肉加 けに基づく価格公表 工流通施設の整備 ②畜産振興事業団による余剰の豚枝肉買入れ・備蓄 養豚団地の造成 1961年 全国規模で専業の養豚農家を育成する農協の「営農団地構想」 子豚の預託制度、子豚の契約取引、長期平均払制度、繁殖豚センター 繁殖・肥育の分業形態から一貫経営へ 畜産統計に初めて「一貫経営」が登場するのは1968 年で、一貫経営の全国の 養豚農家戸数に占める割合は7.4 %、頭数割合は20 %前後だった。 一貫経営の頭数割合が50 %を超えたのは1977 年で、1997 年には戸数 62.8 %、頭数85.2%に達し、一貫経営が養豚の支配的な経営形態になった。 消費量 (g/人/日) 2002年の 自給率 53% 500 2010年の 努力目標値 73% 自給率(%) 100 400 80 300 60 1993年 農産物貿易の原則自由化 (ウルグアイ・ラウンドの合意) 200 40 国内生産量+輸入量 一人当たり = 一日消費量 人口×365 100 1960年 4.5 g/人/日 20 2001年 48.7 g/人/日 0 0 1960 1970 1980 1990 豚肉の摂取量と自給率の推移 2000 1930年代の世界不況 自国の産業保護 関税引き上げ 貿易数量制限 為替制限 1944年 ブレトン・ウッズ会議(米国) 世界戦争の回避策 1947年 第1回関税交渉妥結 → ガット採択 第二次世界大戦 国際復興開発銀行( IBRD ;1945) 国際通貨基金( IMF ;1947) ガット体制(GATT; 1948 ) 「関税及び貿易に関する一般協定」 経済紛争の元となる貿易障壁をなくし、自由貿易を確保する基本原則 (i)貿易制限措置の削減 (ii)貿易の無差別待遇(最恵国待遇、内国民待遇) GATT 第20条 一般的例外: 動植物防疫に係る検疫等の措置 「衛生植物検疫措置の適用に関する(SPS)協定」 ケネディ・ラウンド(1967) 、東京ラウンド(1979 )妥結 ウルグアイ・ラウンド(1986 ~1993)妥結: 農産物貿易の原則自由化 1995年 世界貿易機関( WTO ) ← ガット体制 「世界貿易機関を設立するマラケシュ協定(通称:WTO設立協定)」 「農業に関する協定」 食料の輸出入における安全性確保と関わる国際的枠組み (円/Kg) GATT(関税と貿易に関する一般協定) 日本は1955 年に加盟 協定の範囲内での課税方式の検討 1994年度 5% 部分肉 輸 547 入 価 格 + 関 税 枝肉 410 関税率 4.3% 1994年度 470円 基準輸入価格 メキシコFTA (自由貿易協定) 2.2% 関税 枝肉:393 部分肉:524 分岐点価格 輸入価格 輸入豚肉について の差額関税制度 万頭 日本における養豚のあゆみ 1400 900 一戸当り頭数 1200 1000 千戸 頭/戸 800 700 飼養戸数 600 800 500 600 400 飼養頭数 400 300 200 200 100 0 0 データは(社)日本養豚協会 からの引用 (http://www.pig-pins.or.jp/youton/top.html) 丹羽 太左衞門著 「20世紀における日本の豚改良増殖の歩み」 70 40 300-499 50 100-299 60 20 10 <100 30 0 肥育豚の飼養頭数規模別にみた飼養戸数 (註: 1989年までは、1000頭以上が一まとめとされていた) >2000 500-999 80 1000-1999 90 繁殖専門 100 円 入 場 頭 数 : 成 立 頭 数 : 成 立 割 合 : 年間最高価格: 年間平均価格: 年間最低価格: 30,000 25,000 31,255頭 22,025頭 70.5% 25,110円 15,409円 4,970円 肥育豚飼養頭数 9,658,000頭 20,000 最高価格 15,000 10,000 平均価格 5,000 最低価格 0 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 家畜市場における子豚(ベビー)の取引価格(平成16年度) 70 500-999 60 30 300-499 50 40 <100 20 10 >2000 80 100-299 90 1000-1999 100 0 肥育豚の飼養頭数規模別にみた飼養頭数 (註: 1989年までは、1000頭以上が一まとめとされていた) 肥育豚の飼養頭数規模別にみた実数と割合(2003年) 飼養頭数規模 <9 肥育豚飼養頭数(%) 飼養戸数(%) 9,160 0.1 220 2.4 2.8 12,800 17,800 53,100 368,200 0.1 0.2 0.6 4.0 290 260 540 1,510 3.2 2.8 5.9 16.4 3.7 3.3 6.9 19.4 300-499 500-999 1000-1999 515,100 1,440,000 1,758,000 5.6 15.6 19.1 12.7 18.9 12.7 15.0 >2000 繁殖専門 5,054,000 54.8 1,170 1,740 89.4 1,170 890 1,410 9,200 100 10-29 30-49 50-99 100-299 計 9,228,160 100.0 9.7 15.3 41.3 48.8 7,790 都道府県別飼育頭数(上位10県) 肥育豚頭数 (%) 鹿児島県 農林水産省「畜産統計」 平成16年2月1日 1戸当り飼養頭数 1,117,000 13.9 岩手県 1902 宮崎県 694,400 8.6 島根県 1895 茨城県 547,900 6.8 青森県 1802 三重県 1583 47.5 群馬県 535,000 6.6 北海道 467,300 5.8 栃木県 1575 千葉県 463,300 5.8 石川県 1427 青森県 332,800 4.1 鹿児島県 1403 愛知県 324,600 4.0 北海道 1402 岩手県 324,200 4.0 大分県 1319 栃木県 255,900 3.2 愛媛県 1310 15.4 大 規 模 経 営 体 が 所 在 し て い る パート2 養豚業と関係する主な感染症 ● 豚が関与する主な人畜共通感染症 ● 食の安全性と関わる主な疾病 ◆ 生産の阻害要因となり、 食料不足を招く主な疾病 ◆ 豚肉の安全性と関わる主な疾病 「家畜伝染病予防法」に定められた 豚を含む監視伝染病 病名 日 本 に 存 在 し な い 日 本 に 存 在 す る 人畜共通感染症 狂犬病 水胞性口炎 牛疫、口蹄疫、流行性脳炎、出血性敗血症、ブルセラ病 アフリカ豚コレラ、豚水胞病 類鼻疽 ニパウイルス感染症 豚水疱疹 対象動物 全ての温血動物 偶蹄類、馬 偶蹄類 豚、いのしし 偶蹄類、馬 馬、豚、いのしし 豚、いのしし 「 病 畜 は 食 わ ず 」 炭疽 豚コレラ 気腫疽 トキソプラズマ病 レプトスピラ症 偶蹄類、馬 豚、いのしし 偶蹄類 めん羊、山羊、豚、いのしし 牛、水牛、しか、豚、いのしし、犬 サルモネラ症 牛、水牛、しか、豚、いのしし、鶏、 あひる、七面鳥、うずら オーエスキー病、伝染性胃腸炎、豚エンテロウイ ルス性脳脊髄炎、豚繁殖・呼吸障害症候群、豚流 行性下痢、萎縮性鼻炎、豚丹毒、豚赤痢 豚、いのしし 註: 法定伝染病、届出伝染病、偶蹄類(牛、水牛、めん羊、山羊、しか、豚、いのしし) ニパウイルス感染症 1998年9月にマレーシア北部で発生した新種のウイルスによる脳炎患者は、翌 年7月までに入院者265名に達した。その内105名が死亡し、致命率40%と極めて 高いことで恐れられている。患者は1週間程度の高熱が続き、頭痛と錯乱、痙攣、 昏睡へと進行して死亡した。 マレーシアにおける流行経過を追っていくと、いずれもブタとの接触のあること が判明した。さらに、シンガポールで11名の患者が発生したが、マレーシアから輸 入した豚を食肉センターなどで取り扱ったことによるものであった。 フルーツコウモリ 成豚での致命率は 5%以下だが、妊娠豚 では流産、子豚では発 熱と痙攣から呼吸器症 ウマ ブタ 状が激しくなり死亡する。 イノシシ 血液混じりの鼻汁や尿 により感染する。 流行防圧のため、マ レーシアでは約100万 野生齧歯類 イヌ・ネコ・ネズミ ヒト 頭の豚が殺処分された。 ウイルスの感染環: 実線は確認済み、破線は推定段階 日本脳炎 1960年代に激減にした理由 1.予防接種法に基づくワクチン接種が浸透した。 2.農地整理が行われ、コガタアカイエカが発生する 水田地帯が様変わりした。 3.有畜農業から養豚業が専業化、大規模化し、水 田地帯を離れ、山間部に移動した。 6000 渡り鳥? ブタ ブタ 養豚農家数と一戸当り飼養頭数の推移 5000 ブタ ブタ 900 千戸 頭/戸 年 間 患 4000 者 数 3000 600 2000 300 1000 0 0 1950 55 60 65 70 日本脳炎患者数の推移 75 増幅動物 80 ヒト ヒト ウイルスの感 染環: 矢印 は小型アカイ エカの吸血に よる伝播 インフルエンザ 豚の監視伝染病や食品媒介性疾患ではないが、新型インフルエンザウイルスの 誕生に豚が関与しており、豚のインフルエンザを制御することが重要である。 ブタ型ウイルス 水禽類ウイルス H1、H3 (α2-3、α2-6) H1~H15 (α2-3) 2種類のウイルスが、 1個の細胞内に同時 に侵入する α2-6 レセプター α2-3 レセプター 遺伝子組換え 核 2000 発 生 率 ( 豚 飼 養 1000 1 千 万 頭 対 ) 0 日本では1990年に小流行が あったものの、その後はほぼ完 全に制御されている。 高病原性鳥インフルエンザが 世界各地で遊行しており、豚の 予防が大切である。 ブタ鼻粘膜細胞 新型ウイルス誕生 豚インフルエンザ発生の年次推移(1982-1997) 旋毛虫症(トリヒナ症) 小腸で発育して 成虫となる 感染して2~6日で成熟 メス: 3~4 mm オス: 1.4~1.6 mm 腸粘膜侵入 卵胎生 第1期幼虫 成虫侵襲期 感染後1~2週目 リンパ流、血流に 乗って全身に散布 胃内で脱嚢 筋肉内の被嚢 (第3期幼虫) 幼虫被嚢期 他の動物による捕食 感染後7~8週から ヒトは、感染した豚肉などを加熱不十分 のまま食べることによって感染し、全身 の各所に寄生する(数匹/g)。 幼虫播種期 旋毛虫症(トリヒナ症) 世界各国における近年の旋毛虫症発生は、少なく なったとはいえ、患者数の最も多いルーマニアでは、 10 万人当りの罹患率は7.2 と報告されており、東 欧諸国、ロシア、中南米、中国では、依然として重 大な危害要因となっている。 米国で年間の新規患者数が100 名を下回 るようになったのは1980 年代であり、それま では毎年数百名が旋毛虫症に罹っていた。 500 年 間 の 新 規 患 者 数 400 300 200 100 日本国内で感染した事例は3 件 (1974、1979、1981)あるが、死亡 者はなく、いずれもクマ肉を生で食 べたことが原因となっている。 日本では、幸いにもブタの感 染例はこれまで知られておら ず、国産の豚肉やハム・ソー セージからヒトが感染する危険 性は全くない。 800 600 患 者 400 数 : 豚肉製品 : 豚肉製品以外 : 不明 200 0 0 75-81 82-86 87-90 91-96 97-01 1957 1967 1977 1987 1997 1947 米国における旋毛虫症の感染源 米国における旋毛虫症新規患者数の年次推移 有鈎条虫症と有鈎嚢虫症 ヒト有鈎条虫症 消化管感染 豚における有鉤嚢虫症の発生状況 地域 ヒト 終宿主 腸管寄生 ヒト嚢虫症 全身感染 排泄された卵 豚嚢虫症 中間宿主 全身寄生 感染率(%) 12.53 中国(青林) 0.3 韓国(斉州島) 5.35 インド 20.8 インド北部 5.86-12.43 ブラジル 0.27 ブラジル 0.54 メキシコ 0.019 メキシコ 調査(報告)年 1979 1989 1989 1981-84 (1984) 1998 1967-74 (1984) 16 14 12 死 10 者 8 数 6 4 2 0 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 取出して集めた嚢虫 カリフォルニア州におけるヒト嚢虫症 トキソプラズマ症 有性生殖 オーシスト(虫卵) 消化管寄生 糞便 捕食 無性生殖 シスト(嚢子) 筋肉内寄生 捕食 砂場 飲用水 食品汚染 感染豚由 来の豚肉 一般健康人は 発病しない。 妊婦および 免疫低下者のみ 2500 発 生 率 ( 豚 飼 養 1 千 万 頭 当 り ) 養豚業が専業化、大規模化し、衛生管理技術 が向上したことにより、豚の感染は激減した。 一戸当り飼養頭数 頭数 750 2000 発生率 1500 500 1000 250 500 0 ブタにおけるトキソプラズマ症の発生推移 0 豚丹毒(ヒトの類丹毒症) 頭数/10万頭 70 60 50 罹 患 40 率 30 20 バラ状疹 農場 25 頭数/10万頭 20 罹 15 患 率 10 食肉センター 関節炎型 5 10 0 0 1970 1974 1979 過去における豚丹毒の発生状況 近年における豚丹毒の発生状況 HACCPに基づく食肉検査モデル事業(HIMP)での豚肉の基準: 米国 カテゴリー 内容 例示 基準 食品安全 1 感染症 敗血症/毒血症、膿血症、嚢虫症 ゼロ 食品安全 2 消化管内容物汚染 糞便、腸内容物、乳 ゼロ 食品安全 3 解体後検査 神経症状、瀕死状態、発熱、嗜眠 ゼロ OCP 1 と体の病変 丹毒 関節炎、削痩、丹毒、局所膿瘍、 乳房炎、鳥結核、腫瘍、心外膜炎、 気嚢炎、肺炎、尿毒症 4.1% Other Consumer Protection その他の消費者保護 OCP 2 内臓病変 OCP 3 その他 嚢胞腎、腸炎/胃炎、内臓の糞便汚染、 7.2% 腎炎/腎盂腎炎、嚢虫以外の寄生虫、 腹膜炎 貧血/むれ肉、付着した胆汁、挫傷、 水腫、外部断節、骨折、黄疸、臭気、 皮膚病変、痂皮、毛玉、趾爪 出典: Federal Register(連邦公報) November 2, 2000 [Docket No. 00-042N] HACCP-Based Inspection Models Project (HIMP): Performance Standards for Young Turkey, Young Chicken, and Market Hog HIMP Plants. 20.5% 口蹄疫(こうていえき) 牛や豚などの偶蹄類にとって、最も怖い病気が口蹄疫である。18世紀の 北西ヨーロッパで約2億頭の牛が口蹄疫で死亡した記録がある。 ヒトが感染することはないが、深刻な食料不足をもたらす。 1997年3月 台湾において豚で大流行。 3月19日の初発から半月の間に、235,114頭が 罹患し、4月には549,680頭に達した。 600 600,000 2000年3月 宮崎で牛が罹患。 5月 北海道で牛が罹患。 2000年9月26日 日本、清浄化。 : 発生頭数 500,000 : 殺処分頭数 (万頭) 400 400,000 3.0 2.0 300,000 200 200,000 1.0 1000 0 0 2 4 1997 6 8 10 12 2 4 1998 6 台湾における口蹄疫罹患豚数の推移 国際獣疫事務局(OIE)資料に基づく 1 2 3 4 5 6 7 8 0 初発後の週数 韓国における豚の発生頭数と殺処分頭数 (2002年5月) 豚コレラ 急性経過で死亡した子豚 自然宿主: 豚とイノシシ(ヒトが感染することはない) 致命率: 急性型は90%以上、治療法なし。他に、慢性型。 ウイルス排泄: 唾液、涙、尿、糞便(血液中には多量のウイルス) 感染経路: 経口及び経鼻感染 ウイルスの伝播: 感染豚との接触感染、 感染豚の導入、 人や器具、 車両等の汚染 (北海道大学 迫田義博先生 提供) 国際獣疫事務局(OIE)の危険 度分類で、危険度の最も高いリ ストA疾病とされている。 豚コレラウイルスの存続様式 ① 健康なキャリア-の存在。 世界における発生状況 日本の周辺国や豚肉を輸入し ていた国々では、現在も豚コレ ② 移行抗体によるワクチンブレイクによって小規模な発生が ラの流行がある。 繰り返されている(胎盤における母子感染)。 ③ 慢性豚コレラ豚におけるウイルスの長期保持。 ④ 持続感染豚(遅発型)の存在 ⑤ 豚以外の動物(イノシシ)によるウイルスの保持等 80 頭 豚肉の国別輸入量の推移 飼養1千万頭当り発生頭数 輸 80,000 70,000 入 60 罹 量 60,000 50,000 患 40 ( 万 率 40,000 ト 30,000 20 ン 20,000 ) 10,000 0 0 55 56 57 58 59 60 61 62 韓 国 台 湾 E U メキシコ カナダ デンマーク アメリカ 63 64 65 66 67 かつて1000頭当り数頭が罹っていた豚コレラは、1992年を最後に終息した。 頭 罹 患 率 3,000 2,500 2,000 1,500 1,000 500 0 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 日本における豚コレラ罹患率の推移 93 94 豚コレラ「清浄化」対策 豚コレラ清浄国の メリット 生産コストの低減: ① 単味ワクチン換算で約38億円/年 ② ワクチン接種に伴う飼養管理作業の合理化 豚コレラ汚染国・地域からの豚肉等の輸入禁止 ワクチン接種国・地域を含む 豚コレラ清浄国の基準はOIE(国際獣疫事務局)の国際動物衛生規約で定めら れており、撲滅計画の結果清浄化したとみなされるための条件の一つとして、国内 でのワクチン接種が完全に禁止されていることが規定されている。 第1段階: ワクチン接種の徹底 病原検査及び抗体検査の推進 第2段階: 清浄度が確認された地域からワクチン接種を中止 病原検査検査及び抗体検査の推進 第3段階: ワクチン接種の全面中止 清浄度の確認調査(異常豚の摘発、抗体サーベイランス) 2000年10月 専門家会議の結論 → 第3段階への移行 (1) 1993年以降、国内で豚コレラの発生が認められていないこと、 (2) 約32万頭の豚及びイノシシを検査し異常がなかったこと、 (3) 未接種及び一部接種農家の2300戸(全飼養戸数の2割)の立 入検査でも異常が認められなかったこと 許可を得た農場以 外では、ワクチンを 接種できなくなった。 豚コレラ疑似患畜確認事例検証報告書 (鹿児島県豚コレラ疑似患畜確認事例検証チーム) 2004年鹿児島県内で発生した豚コレラ擬似患畜数 事例番号 発生頭数 殺処分頭数 1 2 3 4 おわりに 5 計 1,144今回の豚コレラ擬似患畜連続発生事例は、初発農場 521 657 879 468 3,669 1,131 512 653 844 448 3,588 で使用された内容不明の薬品の中に含まれていた可 能性の高い豚コレラウイルスによるであろうと結論され 動衛研資料2 た。・・・・・・このような薬品にはどのような病原体が含 まれているか不明であり、いかなる場合も絶対に使用 してはならない。・・・・・・・ 全国的豚コレラワクチンの使用中止が早く達成され、 清浄国宣言が行われ、わが国の養豚産業の発展がよ り確実に、より速く達成されることを希望する。 動物薬の適正使用をより一層徹底する必要がある! 豚コレラウイルスであるが、GPE- ワクチンウイルスではない 未承認医薬品の使用 サルモネラ症 耳翼の暗赤色(うっ血) <家畜防疫対策要綱> 豚におけるサルモネラ症は、 発生頻度は低いものの、多くの場合離乳後2~4カ月 程度の若齢豚において集団発生が見られ、しばしば多 大な経済的損失をもたらす。また、公衆衛生上食中毒 の原因菌としても重要である。 3000 罹 患 率 ( 豚 飼 養 1 千 万 頭 当 り ) 2500 2000 1500 (豊浦獣医科クリニック 提供) 豚では、S. Choleraesuisによる敗血症、 S. Thyphimuriumによる下痢症が多い。 発生原因はネズミや野鳥のほか、保菌豚 の導入や汚染飼料など様々である。 1000 500 0 日本における豚サルモネラ症の推移 12,000 10,000 分 8,000 離 菌 株 6,000 数 4,000 :1991 :1996 :2001 2,000 0 米国におけるサルモネラ食中毒患者の血清型別推移 ヒトと家畜から分離されたサルモネラ血清型(米国) 菌株数 % 1 2 3 4 ティフィムリウム エンテリティディス ニューポート ハイデルベルグ 6999 5614 3158 1884 22.1 17.7 10.0 5.9 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 ジャビアナ モンテビデオ オラニエンブルグ ミュンヘン トンプソン セントポール ジャバ インファンティス ブラエンデラップ アゴナ ティフィ 1067 626 595 583 514 469 466 440 388 370 343 3.4 2.0 1.9 1.8 1.6 1.5 1.5 1.4 1.2 1.2 1.1 順位 1 9 2 3 * 8 * 17 * * * 13 * 4 * 家畜(健康) % 28.2 2.2 13.6 6.0 2.6 1.9 5.0 50.0 血清型 55.7 順位 家畜(病気) 順位 % 2 8 12 1 14.1 2.6 1.8 23.5 * 3 16 * * * * 14 * 6 * *:家畜からの分離頻度は、それぞれ上位20位以下である。 6.2 1.7 3.9 42.0 ヒト食中毒 米国における各種動物由来サルモネラ菌株の薬剤耐性の割合 伴侶動物 産業動物 抗菌剤 牛 豚 鶏 七面鳥 馬 犬 猫 菌株数 683 1056 765 466 117 61 32 クロラムフェニコール 9.1 10.6 2.2 1.5 24.8 21.3 21.9 アンピシリン 23.7 17.2 12.8 16.7 35.9 24.6 46.9 セファロチン 5.1 1.0 5.0 9.7 15.4 8.2 12.5 ストレプトマイシン 28.6 36.7 28.8 55.4 37.6 34.4 50.0 ゲンタマイシン 3.2 2.8 16.2 33.9 19.7 9.8 6.3 カナマイシン 21.2 11.4 4.4 30.5 25.6 11.5 25.0 テトラサイクリン 30.6 53.9 20.9 53.4 32.5 32.8 43.8 サルファ剤 28.4 36.6 24.2 44.4 41.9 32.8 46.9 ナリジクス酸 0.1 0.0 0.1 5.6 1.7 0.0 0.0 トリメソプリム合剤 3.8 1.7 1.2 3.6 24.8 4.9 3.1 National Antimicrobial Resistance Monitoring System : Final Report (1998 ) thdf Int DR-L tnpR LJ 500bp tetR tetA Int1 aadA2 A 1135bp orf1 orf2 groEL B floR 942bp 494bp pse-1 Int1 C D 598bp 1559bp sull delta1 floR qacEdelta1 E 1338bp sull qacEdelta1 DR-R RJ 515bp S. Typhimurium DT 104株の薬剤耐性遺伝子クラスターの構成 インテグロン DR-LとDR-Rは、繰り返し配列の左右端。 黒色模様はインテグロンの基本構造。 薬剤耐性遺伝子( floR, A, B, C, D, E ))と左右端を確認するPCR反応の位置。 破線矢印は薬剤耐性遺伝子( D. Meunier, et al:Emerging Infectious Diseases. 8(4), 430-433, 2002 我が国の家畜衛生分野における薬剤耐性モニタリング体制 JVARM(ジェーバーム) Japanese Veterinary Antimicrobial Resistance Monitoring System 1.家畜に由来する細菌の薬剤耐性をモニタリング 2.動物用抗菌剤の有効性を確認 3.動物用抗菌剤の使用量をモニタリング 4.薬剤耐性に関するリスク分析の基礎資料を提供 5.得られた成績を、動物用抗菌剤の“慎重使用”に反映させる 動物用医薬品 製造・輸入業者 JVARM 抗菌剤使用量の調査 家畜固有の病原菌の 薬剤耐性調査 病患畜 食中毒菌・指標菌の 薬剤耐性調査 健康家畜 農林水産省 生産局畜産部 行政措置 衛生課薬事室、飼料課 動物薬の許認可やその見直し 農林水産省 動物医薬品検査所 独立行政法人 肥飼料検査所 ● ● ● ● ● 結果の公表 試験法の確立・参照株の配布 成績の集計・分析 遺伝学的性状の解析 分子疫学調査 薬剤耐性機序の解明 家畜保健衛生所 (全国187ヵ所) ● 菌分離・同定 ● MIC測定 対象菌種 食中毒菌: サルモネラ、カンピロバクター、 腸管出血性大腸菌(O157)、バンコマイシ ン耐性腸球菌(VRE) 指標細菌: 大腸菌、腸球菌 家畜(牛、豚、鶏) JVARM実施体制と役割分担 90 耐性菌問題は、「基礎編」、「採卵鶏編」、「ブロイラー編」でも紹介しています。 80 70 耐 性 株 の 割 合 ( % ) :1999 :2000 60 :2001 50 :2002 40 :2003 30 20 10 0 日本において家畜から分離されたサルモネラの薬剤耐性の割合 70 :事後処理など 60 :調査 :投薬 :検査 50 :事後処理など :処置 :調査 :検査 :衛生指導 業 務 の 40 割 合 30 ( % ) 20 :会議など :畜産指導 :講習会受講 :薬事・獣医事 :病勢鑑定 10 0 伝染病関係 一般疾病関係 その他の業務 家畜の疾病予防と健康増進を通して、畜産経営の高度化に寄与し、安全性の高い畜産物を 出典: 「畜産行政史:戦後 半世紀の歩み」 1999年 供給することを目的として、家畜保健衛生所は畜産農家のお手伝いをしてきました。 家畜保健衛生所の業務の変遷 パート3 安全性向上の社会的仕組み ● 安全に食べるためには・・・ ◆ 農場から食卓までのフードチェーンの全ての段階に おける取組みの強化 ● 衛生対策の費用負担をどうするか? ◆ HACCPは、安全性に係る工程管理を第三者機関が 認証し、商取引に反映させる社会システムです 肉類とその加工品による食中毒の発生状況 事故数 (%) 患者数 (%) 死者数 (%) 1996 23 1.89 1,147 2.48 0 0.00 1997 30 1.53 684 1.71 0 0.00 1998 32 1.06 381 0.83 0 0.00 1999 36 1.33 1,020 2.90 0 0.00 2000 45 2.00 761 1.76 0 0.00 2001 55 2.86 1039 4.04 0 0.00 2002 55 2.97 1340 4.85 0 0.00 2003 70 4.42 934 3.18 0 0.00 2004 52 3.12 932 3.31 0 0.00 平均 44 2.35 915 2.78 0 0.00 %は、食中毒全体に占める割合。 英国における食品媒介感染症の推定数 入院 日数 病原体 症例数 通院者数 入院者数 カンピロバクター属 359,366 171,174 16,946 62,701 86 ウェルシュ菌 84,081 44,253 354 5,240 89 腸管出血性大腸菌 O157 995 995 377 2,149 22 O157以外 111 111 42 240 2 62,050 13,850 319 1,561 6 リステリア 194 194 194 3,473 68 サルモネラ 41,616 29,726 1,516 8,793 119 黄色ブドウ球菌 2,276 910 57 69 0 その他の病原性大腸菌 死亡数 出典:「EU食品衛生法の統合のための提案」、附属文書2 食品媒介感染症の推定、2000 英国人口は日本の約半分。日本の厚生労働省の食中毒 統計では、患者総数約3万5000人、死亡総数約8人。 米国における既知の食品媒介性病原体による 患者数、入院者数、死亡者数の推定値 疾病名または 病原体名 カンピロバクター サルモネラ 腸管出血性大腸菌 O157:H7 non-O157 STEC 患 者 数 計 食品媒介性 割合(%) 2,453,926 1,963,141 80.0 1,412,498 1,341,873 95.0 73,480 62,458 85.0 36,740 31,229 85.0 入 院 者 数 計 食品媒介性 割合(%) 13,174 10,539 80.4 16,430 15,608 95.0 2,168 1,843 85.0 1,084 921 85.0 死 亡 者 数 計 食品媒介性 割合(%) 124 99 79.8 582 553 95.0 61 52 85.2 30 26 86.7 Paul S. Mead, et. Al.: Food-Related Illness and Death in the United States. Emerging Infectious Diseases, 5( 5), 607-625, 1999 0.25 100 :カンピロバクター、 :サルモネラ 0.2 80 10 万 人 0.15 当 り 死 0.1 亡 率 10 万 60 人 当 り 40 罹 患 率 20 0.05 0 0.0014 0 日本 0 英国 米国 日本 英国 米国 カンピロバクターとサルモネラ食中毒の発生率 リスクが減るのは2箇所だけ リ ス ク ・ レ ベ ル の モ デ ル 薬食動病 剤中物気 耐毒薬 性菌残 菌 留 農 査に に と 基よ畜 づる検 く法査 検律員 的温 間増 る 輸 基度 も殖 に 送 準管 長に つ 距 も理 く必 れ 離 な等 な要 、 細が いの るな 菌 延 。法 。時 び 場 食肉センター 流 通 過 程 素 飼 畜 動 畜 料 舎 物 薬 ・ 飲 環 水 境 食 解 カ 出 肉 体 ッ 荷 ト 検 査 輸 市 問 小 送 場 屋 売 店 ばを し を調 、室 か 殺理 菌温 し 滅時 はで 、 すの 増の 食 る加 殖放 材 。熱 す置 や は るす 料 細 。れ 理 菌 消費過程 調 保 喫 理 存 食 食肉の安全性に関わる社会システム(1) リ ス ク ・ レ ベ ル の モ デ ル 農場における 適正な衛生管理 Pathogen Reduction / HACCP 病原体低減/HACCP 解体処理工程など 食肉センターの 衛生管理 GAP QAP ? HACCP 流通過程が 変わらなければ 農 消費者は ? リスクは 残る! 場 食肉センター 流 通 過 程 消費過程 素 飼 畜 動 畜 料 舎 物 薬 ・ 飲 環 水 境 食 解 カ 出 肉 体 ッ 荷 ト 検 査 輸 市 問 小 送 場 屋 売 店 調 保 喫 理 存 食 食肉の安全性に関わる社会システム(2) Sanitary Food Transportation Act 食品輸送衛生法 (米国、1990) リ ス ク ・ レ ベ ル の モ デ ル GAP QAP 流通過程の 衛生基準 ? 消費者 教育 ? HACCP 農 場 食肉センター 流 通 過 程 消費過程 素 飼 畜 動 食 解 カ 出 輸 市 問 小 調 保 喫 「農場から食卓まで」の、全ての段階で安全性確保対策を実 畜 料 舎 物 肉 体 ッ 荷 送 場 屋 売 理 存 食 ト 環 薬 検 店 ・ 飲 施することによって、初めてリスクが小さくなる。 査 水 境 食肉の安全性に関わる社会システム(3) 食文化・食習慣 生焼けハンバーガー(pink hamburgers)を好む: 34 % 高所得(>=$60,000) 45 % > 低所得(<$60,000) 30 % 大卒以上 38 % > 高卒以下 25 % 他の人種 36 % > 黒人 12 % カリフォルニアとコネチカット州 43% > 他の州 27 % 半熟卵を好む: 18 % オレゴン州 23 % > 他の州 16 % 未殺菌生乳を好む: 1.5 % スペイン系 4.9 % > 他の人種 1.4 % FoodNet Presentations High-Risk Food Consumption, handling, and Preparation Practices of Adults in the FoodNet Sites, 1996-1997 取材人数: 7493人 取材方法: 電話 実施時期: 96 年7月-97年6月 食肉センターにおけるサルモネラ汚染: 米国の基準 子牛 肉牛 挽肉 豚 豚ソーセージ ブロイラー 陽性率 サンプル数 陽性サンプル 数の上限 1.0 2.7 7.5 10.9 NA 23.6 82 58 53 55 NA 51 1 2 5 6 NA 12 NA :基準策定のため調査中であり、将来設定する。 食鳥センターの基準は別の法律であるが、ここでは併記した。 これは、食肉センターにHACCPを適用する法律を作成 するための事前調査に基づいて策定された基準である。 大規模施設における豚と体のサルモネラ陽性率 不 す が 規 陽性率(%) 足る 高 制 す だ く に 0.0 – 5.0 る け な よ 5.1 – 8.7 可で れ っ 8.8 – 11 能な ば て 廃 く 、 性 棄 11.1 – 15 価 、 が絶 す あ 対 格 る 15.1 – 20 る量 が 割 高 。 が 合 45.0 – 50 騰 全体 施設数 12 0 0 3 1 1 17 割合(%) が 全 あ 安 問性 り 全 71 題を 得 性 など な に 0 のの い 絶 0 で程 。 対 あ度 「 ( ど 18 るの の 1 0 。価 程 0 6 格度% 6 での) 」安は 100 11%( 55頭中6頭)の基準を定める根拠となった1998-1999の調査 12 :1996(予備調査) :1998-2000 :2001 10 サ ル モ ネ ラ 汚 染 率 ( % ) :2002 :2003 :2004 HACCP実施前調査:8.7% 8 6 4 2 0 大規模施設 中規模施設 小規模施設 全体 食肉センターにおけるサルモネラ汚染率の推移 HACCPに基づく食肉検査モデル事業(HIMP)での豚肉の基準: 米国 カテゴリー 内容 例示 基準 食品安全 1 感染症 敗血症/毒血症、膿血症、嚢虫症 ゼロ 食品安全 2 消化管内容物汚染 糞便、腸内容物、乳 ゼロ 食品安全 3 解体後検査 神経症状、瀕死状態、発熱、嗜眠 ゼロ OCP 1 と体の病変 関節炎、削痩、丹毒、局所膿瘍、 乳房炎、鳥結核、腫瘍、心外膜炎、 気嚢炎、肺炎、尿毒症 4.1% Other Consumer Protection その他の消費者保護 OCP 2 内臓病変 OCP 3 その他 嚢胞腎、腸炎/胃炎、内臓の糞便汚染、 7.2% 腎炎/腎盂腎炎、嚢虫以外の寄生虫、 腹膜炎 貧血/むれ肉、付着した胆汁、挫傷、 水腫、外部断節、骨折、黄疸、臭気、 皮膚病変、痂皮、毛玉、趾爪 出典: Federal Register(連邦公報) November 2, 2000 [Docket No. 00-042N] HACCP-Based Inspection Models Project (HIMP): Performance Standards for Young Turkey, Young Chicken, and Market Hog HIMP Plants. 20.5% 家畜市場 家畜商 公 品種A 品種B 品種C 系 的 列 試 系統造成 系統造成 生 験 系統造成 原々種豚 産 場 維持 維持 維持 団 体 増殖 × 増殖 原種豚 に 繁 よ 殖 る 農 × F1雌種豚 雄種豚 種豚 一 家 貫 生 肥育 肥育豚 三元交雑種 産 農家 輸入業者 飼料工場 検疫 動物性 蛋白質原料 輸入飼料 食料として輸出 (国内消費以外の部分) 食肉センター (と畜検査) 海外の 遺伝資源 国外生産 検疫 輸入業者 卸市場 飲食店 小売店 副生物 消費者 豚肉のフードチェーン Objectives of application HACCP システムを of the HACCP system 適用する目的 Prevention of foodborne illness 食品媒介性疾患の防止 Reduction of costs 食品検査に要する of food analyses 費用の削減 More efficient より効果的な quality assurance 品質保証システム system Reduction of 製品回収による losses due to 損失の削減 product recall Protection of reputation 企業の評判を守る WHO 「HACCPシステムの必要性」 の 1枚 健康弱者 (ハイリスク集団) 自主衛生管理 免疫低下者(HIV、糖尿病、 癌、重度の疾患など) 子供、老人、妊婦、病弱者 に対する特別措置 高度の安全性 = 付加価値 第三者認証 HACCP (食肉処理場・食品工場) HACCP (食肉処理場・食品工場) 一般健康成人 衛生教育 農場でのQAP 一般的衛生管理 法律による規制 一般的衛生管理 食品衛生法 一般衛生基準 (PP;Prerequisite Program) 適性製造規範 (GMP;Good Manufacturing Practice) 衛生標準作業手順 (SSOP;Sanitation Standard Operation Procedure) 衛生基準 営業許可 営業停止 食品の安全性に関わる社会システム ∧ ∨ 農 作 物 食料 ・農業・農村基本法 農薬取締法 毒物及び劇物取締法 肥料取締法 食品循環資源の再生利用等の促進に関する基本方針 世界の人口増加に見合った、持続性のある食料生産 化製場等に関する法律 家畜排せつ物の管理の適正化及び利用の促進に関する法律 「食品衛生法」は 農産物が食品とし これらの法律に基づいて、 て加工された段階 獣医師は活動しています から適用される 家畜伝染病予防法 家畜保健衛生所法 牛海綿状脳症対策特別措置法 薬事法 ∧ ∨ 畜 産 物 動物用医薬品等取締規則 「食育基本法」 人畜共通感染症 ヒトは、生物の 一種であり、動 物の仲間である 動物用医薬品の製造管理及び品質管理に関する省令 動物用医薬品の輸入販売管理及び品質管理に関する省令 動物用医薬品の使用の規制に関する省令 飼料の安全性の確保及び品質の改善に関する法律 飼料及び飼料添加物の成分規格等に関する省令 と畜場法 (ウシ、ブタ、ウマ、ヤギ、ヒツジ等の検査) 食鳥処理の事業の規制及び食鳥検査に関する法律 感染症の予防及び感染 症の患者に対する医療 に関する法律 (通称 感染症法、 旧 伝染病予防法) 生産過程に関わる法律 衛生標準作業手順 (SSOP;Sanitation Standard Operation Procedure) 生産管理手順に、法令に定められた 衛生基準を組み込む作業 一般的衛生管理プログラム (PP;Prerequisite Program) 標準作業手順 (SOP;Standard Operation Procedure) 法令に基づく適正規範(GMP、GAP) 永続的改善システム 衛生標準作業手順 SSOP 再吟味 検証 記録 衛生標準作業手順 SSOP 危害分析 再吟味 重要管理点 検証 記録 衛生標準作業手順 SSOP 標準作業手順 SOP 危害分析 一般的衛生管理 PP 重要管理点 HACCPは定まった衛生水準を規定 するものではなく、衛生水準を向上さ せる永続的システムであり、そのシス テムの可否を認証するものである。 HACCPと衛生水準 適性農業基準とは (GAP;Good Agricultural Practice) HACCP手法に基づく一般的衛生管理の認証基準例 チェックリスト 評価点 認証マーク 非参加農場 50点未満 50点以上 60点以上 70点以上 80点以上 90点以上 無印 安 自 安 全分心 ★ 性に価 を見格 ☆ 購合で ☆☆ 入 っ でた ☆☆☆ き る ☆☆☆☆ ☆☆☆☆☆ 衛生管理 コスト 市場価格 市場価格 10%上乗せ 20%上乗せ 30%上乗せ 40%上乗せ 50%上乗せ 4 2 0 0~4 累 積 死 亡 者 数 12 10 8 6 4 5~9 :動物性自然毒 :植物性自然毒 :大腸菌 :サルモネラ :ぶどう球菌 :腸炎ビブリオ 10~14 15~19 20~29 ハイリスク者への特別対策 衛生教育 2 0 30~39 40~49 50~59 60~69 70~ 年齢 年齢・死亡原因物質別にみた死亡者数 (1996~2002) 米国の食品規格コード(Food Code ) 1-201 用語の定義と適用範囲 (44)高感受性集団(Highly susceptible population)とは、次の理由で、一般集団の人より食 品媒介性疾患に罹りやすい人をいう。 (i) 免疫低下者、就学前児童、老人 (ii) デイケア施設、腎臓透析センター、病院または 療養所、看護付老人ホームなどの健康管理または 補助生活を受けている人。 日本においても、ハイリスク集団(健康弱者)に 関する法的根拠を設けることが重要である 低 個人衛生 自主衛生管理 法的規制 リ ス ク ・ レ ベ ル 法的規制 衛生教育に掛かる費用 法的規制の水準を上げると、その分、 衛生対策費と監視業務の経費を税金で 賄わねばならない。赤字国債が問題と なっている現状で、実行できますか? 商品価格 HACCP等 の費用 国民経済として 無駄な経費 税金 高 ハイリスク集団 一般健康成人 リスク管理と経費負担のモデル E型肝炎の発生事例 2004年 (感染症発生動向調査週報 推定感染源 推定感染地域 国内 14名 14名+1名? 国内/中国: 1名 中国: 4名 国外 東南アジア 8名+1名? タイ インド IDWR) : 2名 : 1名 : 1名 不明 イノシシ肉の生食 豚肉・豚肝臓の生食 生焼けの焼肉 : : : : 8名 3名 2名 1名 シカ肉生食/牛肝臓生食 不明 イヌ肉の生食 : 3名 : 1名 不明 : 4名 2003年に、シカ肉やイノシシ肝臓を生食したことで発症したことが大きく報道されて以来、社 会的関心を集めています。野生動物は様々な病原体を保有している危険性があり、さらに、 食肉検査対象となっていません。豚も様々な病原体を保有する危険性があり、加熱調理が、 古来、原則とされてきました。この原則を無視して、生で食べる行為は、鉄道線路に入り込む ことに等しく、安全性を無視した極めて危険なことです。出荷時期の豚では、E型肝炎ウイルス が肝臓に残っていることがあります。 加熱調理して安全に食べることが大切です。 E型肝炎の発生国 A型、B型、C型以外の散発的肝炎の患者総数に占める割合が25%以上の国 米国CDCの解説: Outbreaks of hepatitis EE型肝炎は世界各地で発生しているが、環境衛生が整っていない発展途 have occurred over a wide geographic area, primarily in developing countries with inadequate environmental sanitation. The reservoir of HEV in these areas is unknown. The 上国が主である。E型肝炎ウイルスの病原巣は判っていない。ヒトにおける散発的感染は、流 occurrence of sporadic HEV infections in humans may maintain transmission during inter-epidemic 行期間内に起きる可能性があるが、ヒト以外の動物がこのウイルスを保有することもある。米 periods, but a nonhuman reservoir for HEV is also possible. In the United States and other non-endemic 国やその他の非流行国では、大規模な発生はないが、健康者が低頻度(2%以下)で抗体を areas, where outbreaks of hepatitis E have not been documented to occur, a low prevalence of anti-HEV 持っている。これらのヒトの感染源は不明である。 (<2%) has been found in healthy populations. The source of infection for these persons is unknown. 食生活における不安をなくし、安全性につ いての自信を取り戻すためには、農場から食 卓までの関係者すべての努力が必要とされ ています。 衛生対策の強化には、モノも労働も必要で す。その経費を公正に負担する社会システ ムを皆で考え、作り上げましょう。 安全性についての正しい知識と理解を広げ ることが、何よりも大切です。 <その他の視聴覚資料> 1.「基礎編」 HACCP手法研修用教材(日本獣医師会 ) 2. 「危害の紹介: 調理、摂食、ならびに汚染拡大の要因」 Robert博士(米国 CDC、病原体低減に関する科学的意見交換会、2002 )
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