授業展開:2

授業展開#2
数値の表現と計算アルゴリズム
前回の復習




情報とはいったいどういった概念か。
利用者の主観に依存する価値があるデータ。
情報科学的には文字列も情報
通信手段をいくつか例示せよ。
伝令、飛脚、伝書鳩、のろし、手旗信号、
モールス信号、電話、インターネット
情報通信の時に起こる問題
通信中に発生する文字列の誤り・・・ノイズ
ノイズを抑える方法
誤り訂正符号を用いることで誤りを訂正できる。
最小符号語間距離dminの2分の1より小さい距離にある一番
近い符号語に訂正できる。
数を数える
羊の数を記録するのに石を使用する
小さな石:1個で1頭
中くらいの石:1個で10頭
大きな石:1個で100頭
この情報表現は、袋に入れて蓄積したり、袋ごと運
んで通信したり、加減算のような情報処理を行うこと
が可能
石の大小で示していた位取りを位置で示すようにす
る。 → ソロバンの発明
記数法

記数法:適当な文字や記号と一定の規則を用いて
数を表現する方法
ローマ数字
Ⅰ、Ⅴ、Ⅹ、L(50)、C(100)、D(500)、M(1000)
IV(4)、IX(9)、XL(40)、XC(90)、CD(400)
楔形文字(60進法)
VV
<<< VVV
<< VVVVV
<
VVV
< VVVV
2 x 602 + (40+6) x 60 + (30+9) x 1
=9999
情報(数値)をどのように表現するかということ
は、それをどのように処理(計算)するかとい
うことと密接に関係している。
位取り記数法と数詞


位取り記数法:適当な自然数 N (> 1) を指定して
N 種類の記号(数字)を用意し、それを列べることに
よって数を表すための規則。
自然数 N をこの記数法の底(てい)または基数といい、底が
N であるような位取り記数法を「N 進法」「N 進記数法」とい
う。
10進法:(0、1、2、・・・、9:アラビア数字)
 12進法、60進法
 時間や角度の基数、ダース、グロス
 古いフランスの貨幣単位
1リーブル=20スー、1スー=12ドゥニエ

8リーブル16スー7ドゥニエの品物と11リーブル
18スー8ドゥニエの品物を購入して30リーブル出
したときのおつりはいくらか?
8
+ 11
19
16
7
18
8
34
15
単位をそろえて加算
↓
↓
20+14 12+3 越えた部位をくくる
20+15
3 繰り上げ(12ドゥニエ=1スー)
20
15
3 繰り上げ(20スー=1リーブル)
合計金額20リーブル15スー3ドゥニエ
30-20=10 リーブル、1リーブルを20スーにくずして、
20-15= 5 スー、 1スーを12ドゥニエにくずして、
12- 3 = 9 ドゥニエ
おつり:9リーブル4スー9ドゥニエ
情報の単位と数詞
0か1で表現するときの1桁をビット(bit)という。
例:出席-欠席、男-女、本の角を折る
2通り以上の情報に対してはビットを並べればよい
2ビット:00、01、10、11の4通りに対応できる。
例 00-スペード、01-ハート、10-ダイヤ、11-
クラブ
00-停止、01-右折、10-左折、11-直進
ビット列
ビットの並び:ビット列
 桁数:ビット列の長さ
 例 JISではカタナカ文字を8ビット固定長で
表現する。

1バイト:byte (=8ビット):28=256通り
の情報を表現できる。

文字記号
 文字記号は通常8ビット(1バイト)固定長で
表現する。
 しかし、256文字では日本語表現は不可能
であるため、ひらがな・漢字など全角文字は
16ビット(2バイト)を使用する。
文字記号の例
 8ビットJISコード表の場合
数字の「5」は0011 0101に対応する
文字の「ア」は1011 0001に対応する
 16ビットJIS漢字コード表の場合
 漢字の「亜」は0011
対応する。
0000 0010 0001に
数の呼称
国際標準化機構(International Organization for
Standardization, ISO)
10のn乗
n 0 3 6
9
12 15 18
K M G
T
P
E
キロ メガ ギガ テラ ペタ エクサ
n
-3 -6
-9
m
μ
n
ミリ マイクロ ナノ
-12 -15 -18
p
f
a
ピコ フェムト アット
2進数表現の場合
2進表現では、210=1024~103なので、210を基数
として10進と同じ呼び方をする。
(210)m m 2n n
3
30
1.073741824×109 ギガ
2
20
1.048576×106
メガ
1
10
1.024×103
キロ
例 3 MB(3メガバイト) = 3×220 = 3×1,048,
576 = 3,145,728 バイト、あるいは 3×210
=3×1,024 = 3,072 キロバイトである。
1 KB = 1024 バイト
1000 バイトではない。
計算のアルゴリズム
 加算のアルゴリズム
2つの記号7と5に対して、第3の記号2と次
の桁への繰り上がり記号1を対応させる処理。
ローマ数字などでは記号の位置による位取り記法
を用いていないので、2つの整数値を加えることを
記号処理的にするのが大変。
そろばんのような位取り記法では、乗算や除算も容
易。
正整数の計算アルゴリズム
正の整数の加算
 準備
1.加える2つの自然数を頭に0をつけて同じ桁数にしておく。
2.加えた結果を記入する作業領域を用意する。
 計算
1の位を計算する。
1.1の位の2つの数字の和を求める。
2.その和の1桁目を、求める和の1の位とする。
3.その和の2桁目を次の桁への繰り上がりとする。
10の位から最上位の位まで順に次の手順を繰り返す。
1.その位の2つの数字の和を求める。
2.下位からの繰り上がりがあれば、それも加える。
3.その和の1桁目を、求める和のその位とする。
4.その和の2桁目を次の桁への繰り上がりとする。
最上位から繰り上がりがあった場合は、次の位の数字とする。

ブロックダイアグラム


x
1桁の数x、yを入力す
ると加算を計算し、和
の1桁目の数sと繰り上
がりcを出力する装置
を箱で表わす。
y
c
入力
出力
s
n桁の二つの数値を加える加算アルゴリズム
xn-1 yn-1
xn-2 yn-2
x1
y1
x0
y0 c0 = 0
cn
cn-1 sn-2
c2
s1
c1
s0
sn-1
乗算のアルゴリズム(筆算)
 2つの1桁の数の乗算を記憶する。
 n桁×1桁の計算方法を記憶する。
 n桁×1桁の計算を乗数の1の位から始め、
結果を残しておく。
 被乗数を1桁左へシフトして、乗数の10の位
との積を求め、計算結果を1桁左へシフトした
まま先ほどの結果に加える。
 これを乗数の最上位の桁まで繰り返す。
格子掛け算
 934×314
2
9
3
 934×314
9
3
4
2
0
1
7
9
2
0
0
0
9
3
4
3
1
1
6
2
6
2
7
6
= 293276
3
1
4
演習
①
②
③
④
⑤
ビットで表現できる例を挙げよ。その場合何
ビット必要か。
4ビットで表現できる記号の数はいくらか。
1024ビットは何バイトか。
16ビット(2バイト)で取り扱える漢字の種類
はいくつか。
アナログ及びデジタルの原理で動いている
製品についてそれぞれ例を1つ挙げよ。
PC演習
エクセルによる表計算
エクセルの用語
セル:格子状の罫線で囲まれた一マス
行:横に並ぶセルのつながりを行という
列:縦に並ぶセルのつながりを列という
すべてのセルはアルファベットと数字で表すこと
ができる(例えば、一番左上のセルは「A1」)。
エクセルによる表計算の基礎(1)
標準偏差
ある試料の重量を繰り返し測定したところ、次のような値が得
られた。29.8、30.2、28.6、29.7 mg。これらの個々の値の
標準偏差を求めよ。
標準偏差: s = √Σ(xi - X)2/(N - 1)
X:平均値、N:測定回数
Ans. 0.685
エクセルによる表計算の基礎(2)
最小二乗法プロットと相関係数
比色分析法による尿中のリンの定量のために、リン酸の標準
液をモリブデン(VI)と反応させた後、リンモリブンデン酸の錯体
を還元して特異的な青色の呈色を生じさせ、リンの濃度に対す
る吸光度Aを測定した。吸光度Aの測定値をリンの濃度に対し
てプロットすることにより検量線を作成し、尿試料中のリンの濃
度を算出せよ。
ppm P
1.00
2.00
3.00
4.00
尿試料
A
0.200 0.425 0.605 0.805 0.625
Ans. 3.08 ppm