水中のフェノール類測定に用いる 抽出固相の検討

水中のフェノール類測定に用いる
抽出固相の検討
ジーエルサイエンス
今中 努志、高柳 学、西村 泰樹、古庄 義明、林田 寛司、田中 與三次郎
兵庫県健康環境化学センター
中野 武
目
的
• 2003年新しい水質基準案が出され、
新たにフェノール類として0.005mg/Lの値が示された。
•
→ 逆方向ジクロロメタン5mL溶出
•
→ 固相抽出におけるフェノール類の挙動検討
• 人的誤差の低減、人件費の削減、精度管理の向上
•
→ 自動固相抽出装置
•
→ 順方向溶出の検討
フェノール固相抽出操作フロー(順方向溶
出)
コンディショニング
試料水
500mL
ジクロロメタン 10mL
アセトン 5mL
メタノール 5mL
精製水 10mL
HClでpH2に
10mL/min
Aqusis PLS-3
200mg/6mL
洗浄
精製水 10mL
脱水
吸引と窒素ガス吹き付け(30分)。
溶出
アセトン2mL
ジクロロメタン3mL
ジクロロメタン 5mL
誘導体化
1mL採取
BSTFA
測定
固相からのフェノール類溶出挙動(順方向)
PLS-3 フ ェノー ル溶出挙動(アセトン)
フェノール
1800000
1600000
2-クロロフェノール
1400000
4-クロロフェノール
AREA
1200000
2,6-クロロフェノール
1000000
アセトン溶出の場合
フェノール類はキレよく溶出できる。
2,4-クロロフェノール
800000
600000
2,4,6-トリクロロフェノール
400000
200000
0
0
1
2
3
4
5
6
7
アセトン+ジクロロメタン溶出
→ ※含有水分の悪影響
8
溶出容量(mL)
PLS-3 フ ェノー ル溶出挙動(ジク ロロメ タン)
フェノール
700000
2-クロロフェノール
AREA
600000
500000
4-クロロフェノール
400000
2,6-クロロフェノール
300000
2,4-クロロフェノール
200000
2,4,6-トリクロロフェノール
100000
0
0
1
2
3
4
溶出容量(mL)
5
6
7
8
窒素吹き付け+吸引方式
による脱水(30分)
フェノール固相抽出操作フロー(逆方向溶出)
コンディショニング
試料水
500mL
ジクロロメタン 10mL
アセトン 5mL
メタノール 5mL
精製水 10mL
HClでpH2に
10mL/min
Aqusis PLS3-Jr
230mg
洗浄
固相を反転させる
精製水 10mL
脱水
無水硫酸ナトリウムの脱水
吸引と窒素ガス吹き付け(45
分)
溶出
ジクロロメタン 5mL
誘導体化
1mL採取
BSTFA(100uL)
測定
バックフラッシュ溶出の挙動
固
相
反
転
ジクロロメタン溶出を行う場合、固相
に水が残っていると、溶出時の溶出
挙動が不安定になる事が考えられる。
溶出後も無水硫酸ナトリウムでの脱
水操作が必要。
試料ロード
溶出
PLS-3 Jr 溶出挙動(ジクロロメタン)
9000000
フェノール
8000000
2-クロロフェノール
4-クロロフェノール
AREA
7000000
6000000
2,6-クロロフェノール
2,4-クロロフェノール
5000000
2,4,6-クロロフェノール
4000000
3000000
2000000
1000000
0
0
2
4
6
溶出容量(mL)
8
10
窒素吹き付け+吸引による
水分除去(45分以上)
フェノール類の回収率
順方向溶出によるフェノール類の回収率
RSD(%) 回収率(%)
フェノール
11.1
86.1
2-クロロフェノール
4.9
103.9
4-クロロフェノール
4.3
101.3
2,6-ジクロロフェノール
3.1
88.9
2,4-ジクロロフェノール
6.7
94.5
2,4,6-トリクロロフェノール
4.6
89.1
逆方向溶出によるフェノール類の回収率
フェノール
2-クロロフェノール
4-クロロフェノール
2,6-ジクロロフェノール
2,4-ジクロロフェノール
2,4,6-トリクロロフェノール
RSD(%) 回収率(%)
5.9
90.1
7.5
101.1
7.5
96.3
9.5
91.0
6.9
92.2
10.8
94.4
まとめ
• 厚生労働省の水質基準案改正にともない、フェノール類を固
相抽出する際の基礎的検討を行った。
• 新規メソッドで定める手法は、ジクロロメタンによるバックフラッ
シュ溶出との記載であり、精製水添加試験の結果、基準値の
1/10レベルでの回収に安定した結果を得ることができた。
河川水における試験では、フェノールの回収率が不安定となり、
塩析効果による回収率の変動を追跡し、サロゲート添加法に
よる挙動の検証が必要と考えられる。
• 精度管理の問題上、自動固相抽出装置に対応可能となるよう、
順方向溶出での基礎検討を行った結果、アセトン、ジクロロメ
タンの順による2段階抽出で対応できる可能性が示唆された。