XRFによる魚体中の微量分析

XRFによる魚体中の微量元素分析
環境計測 長田 太一
Ⅰはじめに
▼鉛汚染の推移
◆ガソリンのアンチノック剤として利用、都市大
気中の鉛濃度の上昇
◆全国の射撃場周辺で鉛弾丸による環境汚染
と環境省によるガイドラインづくり
環境中に残された鉛の社会問題化
▼本研究の背景
ブラックバスのルアーフッシングの普及
釣り人が落としていく「鉛」の総量の問題
▼本研究の目的
鉛製の錘を含む仕掛けの障害物への根掛かりや廃棄に
よる周辺環境の鉛汚染
ブラックバス釣りが盛んな場所とそうでない場所での鉛
の量に地域差
各場所で採れた魚体中に蓄積された鉛の濃度調査によ
る釣り人が残す鉛製の錘による影響についての検討
Ⅱ実験
▼試料の選定
◆採取地 ・年間を通じ、釣り人数に比較的差がある
・気候差があまりない
・水の流れが弱い
・琵琶湖湖西の釣りが盛んな下坂本
・琵琶湖湖西の釣りが盛んでない志賀駅周辺
・比較のため、流水域の宇治川の宇治橋周辺
◆期間:11月~12月
◆部位:ブラックバスの肝臓、筋肉、骨
▼目的と手順
XRFによる生体試料の分析
◆乾燥後に粉末試料化
蓄積傾向の高い部位を試料とする必要性 ◆肝臓試料は特に微量の
ため、専用試料ホルダー
を作製
5匹の魚の
検体のXRF
による元素分析
・内臓代表である肝臓 ◆最適な厚みのマイラー膜
を試料保持として使用
・腹部付近の筋肉
・脊椎
Ⅲ解析結果及び考察
Rh K a
Rh K b
Counts
10 5
6
Ca K a
4
2
Rb K a
S Ka
b
Ca
K
b
Fe
K
Br Ka
10 4
Cu K a
K Ka
6 P Ka
Zn K a
Fe K a
4
2
10 3
6
Sr Kb
4
Sr Ka
2
Cl Ka
10 2
0
5
10
15
X-RAY Energy (keV)
肝臓
筋肉
骨
20
◆鉛の明瞭なピークを見ることはできない
◆スペクトルを解析ソフトPIXANで調べたところ、スペクトルか
ら鉛を検出
◆5検体分の試料から得られたPbL線のピーク面積を出し、標
準試料であるCitrus Leavesのものと比較して、各部位試料
の鉛濃度を決定
16
平均値
試料1
12
濃度 (ppm)
・肝臓:5の試料全てから
鉛のピークを検出
試料2
試料3
試料4
試料5
・筋肉:3の試料から
鉛のピークを検出
8
4
・骨:検出できなかった
N .D .
0
肝臓
◆
試
筋肉
料
と
骨
し
て
は
肝
臓
が
最
適
▼地域別に10検体の肝臓試料を用意し、鉛含有率を調査
25
平均値
濃度 (ppm)
20
15
10
5
0
下坂本
志賀駅周辺
宇治川
◆有意な差異は見出せなかった。
◆釣り人が落としていく鉛製の錘が直接的にその周辺に
生息する魚類への影響を与える確証は得られなかった
ご清聴誠にありがとうございました。
目次
1. 表題
12. PBL線のPeak Area
2. 鉛汚染の推移
13. Mylarの透過率
3. 背景
14. 錘の比較写真
4. 目的
5. 試料の選定
6. 目的と手順
7. X線スペクトル
8. 蓄積傾向
9. 地域別の鉛濃度