「ニート」って言うな! 第1部「現実」-「ニート」論という奇妙な 幻影 第1章「ニート」のイメージは間違っている 2015/10/1 1 「NEET」と「ニート」 ・「ニート」はイギリスで生まれた「NEET」という 言葉をカタナカであらわしたもの ・「ニート」「NEET」両方、学生でもなく働いてい ない若者を意味する ・「NEET」・・・16~18歳・失業者を含む ・「ニート」・・・15~34歳・失業者を含まない 2015/10/1 2 「ニート」という言葉の広がり ・2003 報告書でぽつぽつとみられる ・2004 「ニート」という言葉が新聞、雑誌、一 般向けの書籍などさまざまなメディア で取り扱われる ・2005 拡大 政府が「ニート」を政策の重点的な対 象とし始める 2015/10/1 3 「ニート」のイメージ 「ニート」=「病んだ」状態にあるために仕事に 向かって踏み出せずにいる若者 間違って「ニート」を捉えているため、施策もず れてくる 2015/10/1 4 「ニート」の定義 「ニート」とは ・15~34歳 ・学生でない未婚者でかつ働いていない人 ・求職活動をとっていない人 ・家事従事者を含む 2015/10/1 5 「ニート」の数 ・「ニート」は世間が思うほど増えていない ・「ニート」のような若者は連綿と一定の人口規 模で存在してきた ・「ニート」の存在は自然な状態 2015/10/1 6 分類 求職型・・・失業者・仕事を探すため具体的な行 動をとっている 非求職型・・・働きたい希望あり・具体的な行動 とっていない 非希望型・・・働きたいという気持ちも表明して いない 非求職型+非希望型→「ニート」 2015/10/1 7 1992~2002までの「ニート」の増加 ・全体 66万8000人→84万7000人 18万人増加 1.27倍 ・非求職型 26万人→43万人 17万人増加 1.65倍 ・非希望型 41万人→42万人 1万人増加 1.02倍 2015/10/1 8 「求職型」「フリーター」の増加 ・全体(ニート) 67万人→85万人 18万人増加 1.27倍 ・求職型 64万人→129万人 65万人増加 2.02倍 ・フリーター 101万人→213万人(※2004) 112万人増加 2.11倍 2015/10/1 9 「ニート」は多様 ・「ニート」のなかで特になにもしていない「純粋 無業」は3分の1程度 ・3分の2は何らかの活動に取り組んでいる ex.進学、留学、資格取得、美術・芸能のプロ を目指す etc 2015/10/1 10 「非求職型」求職活動をとらない理由 ◦病気、怪我のため ◦探したがみつからない ◦その他 などが多くを占める 非求職型(仕事経験あり)も病気・怪我のためと 理由が非常に多い 2015/10/1 11 「非求職型」の労働市場との親和性 ・無業期間6ヶ月未満 求職:34.3%>非求職:24.1%>非希望:12.5% ・学校を離れた直後に仕事に就いた人 求職:62.7%>非求職:51.7%>非希望:31.3% 「非求職型」は「求職型」に近い存在 働くことへの親和性・近接性が強い 2015/10/1 12 「ニート」≒「不登校」「ひきこもり」 ex. 武田有史『ニート』 「ニート」は「働く意欲がないのではない、 働きたいけど働けないのだ」 小林礼子『産経新聞』 ニートの分類 ①「ヤンキー型」 ②「ひきこもり型」 ③「立ちすくみ型」④「つまずき型」 2015/10/1 13 「NEET」から「ニート」へ 1 In イギリス ・「NEET」は「社会的排除」と密接に関係 ・貧困・低学歴・人種的マイノリティな様々な困 難が集中し、不利な人を救う議論のなかで「NE ET」が使われる ↓輸入 2015/10/1 14 「NEET」から「ニート」へ 2 In 日本 ・中産階級の子弟に多いといわれる「ひきこもり」のイメー ジに重ね合わされる ×諸資源を欠いた不利な状況に置かれている層 ex.家計が苦しい、中卒で職がない 「ひきこもり」≠「ニート」であるが「ひきこもり」「ニート」の問 題が融合 2015/10/1 15 「ニート」の構図 ニート 非求職型・・・① 非希望型 今働く必要・予定がない・・・② 働く意欲がない・・・③ ③にひきこもり、犯罪親和層が含まれる 2015/10/1 16 「ひきこもり」と「犯罪親和層」 ・「ひきこもり」 「まったく」「ほとんど」外出をしない人 普段一緒に遊んだり連絡する友人がいない人 ・「犯罪親和層」 社会経済的にかなり低い階層の出身で犯罪的、 逸脱的な行動との親和性が高い この両者はニートの中でごく一部の人 2015/10/1 17 「ニート」という線引きの欠陥 1.「ニート」「フリーター」は近い存在である 2.「今働く必要・予定のない」から働いていない 人がニートに含まれている 3.「ひきこもり」「犯罪親和層」のイメージが拡 大されている 2015/10/1 18 見えなくなる問題 「ニート」に失業者を含まなかった ↓ ニート=働く意欲のない人というイメージの拡大 ↓ 労働供給側である若者の自己責任 ↓ 労働需要側(企業側)の問題に焦点があてられ なくなった 2015/10/1 19 「ニート」論の広がり ・小杉礼子・武田有史が牽引 ・「フリーター」関する調査研究成果発表 ↓ 次の研究対象として「ニート」 ・研究機関の独立法人化 2015/10/1 20 「ニート」とお金 ・支援団体における「ひきこもり」と「ニート」の融 合 →対策の融合 ・「ニート」支援の「産業」「ビジネス」 →家計や国庫から資金をひきだそうとする 2015/10/1 21 まとめ ・「ニート」という言葉の急激な広がり ・「ニート」の実態とイメージがかけ離れている ・「ニート」に関する捉え方が間違っている ・「ニート」に対する施策がずれるおそれがある 2015/10/1 22
© Copyright 2024 ExpyDoc