Diuretics(Chapter41) by Group17

Diuretics(Chapter41)
by Group17
遠藤薫・佐藤馨・中西渉・山雄さやか
CASE HISTORYについて
60才の男性
主訴
1)息切れ
2)足のむくみ(4ヶ月まえから)
3)体重が10kg増えた
病歴
心筋梗塞(2年前)
狭心症(ここ2ヶ月特に頻発している)
インシュリン非依存性糖尿病(5年前から)
高コレステロール血症
高血圧(10年前から)
現在使用している薬
ニトログリセリン0.3mg(狭心症発作時)
アテノロール100mg/day
・選択的β1blocker
・狭心症予防作用と抗高血圧作用がある
・心筋保護作用
検査について(1)
運動テスト
かなり肥満で軽い運動で息切れする
→心肺機能の減弱
下肢に大腿部までの対称性の浮腫
→心臓のポンプ機能の低下とその代償によ
る水・Naの貯留
検査について(2)
聴診
両肺とも吸気ラ音
→左心不全に伴う肺水腫
内頚静脈の胸骨角から5~6cm上方に膨
らみ(45度傾斜時)
→静水圧の上昇、静脈のうっ血
右心不全と全身うっ血の症状
チアノーゼ
頚静脈怒張
静脈圧上昇
肝臓腫脹(腫大)
腹水
乏尿
浮腫
検査について(3)
血圧:収縮期210mmHg拡張期120mm
Hg
心臓検査
・最大インパルスのポイントが不明瞭で鎖骨
中央線の外側まで広がっている
→心拡大
・激しいⅡ音→高い大動脈弁圧
・Ⅲ音、Ⅳ音も確認された
検査について(4)
胸部X線写真
・心臓・胸郭比の増大
・肺上部での血管再分配
・左室不全に伴う瀰漫性間質浸潤
→高血圧による心拡大
→うっ血性心不全による肺水腫
検査について(5)
臨床検査(左:検査値・右:正常値)
・クレアチニン:濃度3.3mg/100ml・ 0.6~
1.2mg/100ml
・尿蛋白:2.0g/day・2~20mg/day
・ナトリウム濃度130mM・137~145mM
・塩化物イオン100mM・99~107mM
・カリウム濃度5.2mM・3.3~4.8mM
検査について(6)
腹部超音波
・ねじれて軽度に拡張した大動脈
→高血圧
・両側とも皮質の薄い小型(9cm)の腎
→糖尿病性腎症
診断
うっ血性の心不全
重篤な高血圧
糖尿病性の慢性腎不全
フロセミド
(ループ利
尿薬)
入院
エナラプリ
ル(ACE
阻害薬)
ニフェジ
ピン(Ca
拮抗薬)
120mg/day
静脈内投与
4日目 120mg/day
経口投与
治療の効果
→1~1.5kg/day
体重減少
15mg/day
20mg
twice a day
→うっ血性心不全
と高血圧が改善
・血清クレアチニン
濃度4.4mg/100ml
80mg/day
退院
2.5mg/day
・血清クレアチニン
濃度3.6mg/100ml
creatinineについて
Creatinine clearance(mL/min)=
(140-age)×(weight in kg)
72×serum creatinine in mg/dL
・serum creatinine の濃度が上昇した
→clearanceの低下
→腎機能の悪化
・Kの摂取制限
解除
・Kのサプリメント
の経口摂取
・Metazone
5mg/dayを追加
2ヶ月後:
血圧190/90に上昇
creatinineは
320→300(μmol/l)
1ヶ月後:
血圧150/90
脱力感
電解質
Na:132mM
Cl:88mM
K:2.6mM
HCO3:32mM
2週間後:
Kイオン正常
以後3年間
は狭心症もなく、
精力的に活動
なぜ再び血圧が上昇したのか?
• うっ血性心不全が治癒
• 心拍出量が徐々に増加
• RBF増加→尿量増加(=血清クレアチニ
ン減少)
• 血圧上昇
以上のことが血圧再上昇の理由と考えら
れる
低カリウム血症
正常血清値:3.3~4.8mEq/l(mmol/l)
症状・・・・・脱力・四肢麻痺
過分極にともない活動電位が生じづらい
神経・筋の調節がうまくいかない
※特に心筋の不整脈が重要
Kの補給
・静注は禁忌・一時的に高カリウム血症になる恐れ
9mM以上になると心房停止・心室細動→心停止
今回使用された薬物
アテノロール(テノーミン)
選択的β1ブロッカー
高血圧治療薬、狭心症治療薬
慢性心不全には禁忌
ニトログリセリン
亜硝酸薬(狭心症治療薬)
血管平滑筋の弛緩
舌下投与
フロセミド(ラシックス)
ループ利尿薬
太いヘンレ上行脚でNa‐K‐2Cl共輸送を可
逆的に抑制
利尿効果は強力で短い
太い上行脚
尿細管細胞
間質
尿細管腔
+
3 Na
P
2 K
+
Na
K
+
Na, K, 2Cl
2Cl
-
K
K
+
の再循環
K
+
+
Cl
+
-
Na, K, 2Cl
の再吸収
〔使用目的〕
1)利尿薬として,浮腫あるいは体液貯留をきたす疾患に
2)降圧薬として高血圧症に
〔使用法〕
利尿効果は強力で、各種浮腫性疾患(心性,腎性,肝性,特
発性,末梢性,妊娠時など),体液貯留を来たす疾患,種々の
原因による乏尿などに広く使用される.
経口的に1回20~80mg,1日1~6回程度と用量,回数に大
きな幅がある.また緊急時,即効を期待する場合,経口投与
では効果が確実でない場合などでは,静脈内投与が行われ
る.この際も投与量は10~200mg,1日1~10回以上と症例に
よって必要に応じて投与法を決める.これは本剤は少量から
かなり大量まで直線的な用量-効果関係にあり,増量により効
果が増強するためである.
降圧薬としては,1日20~80mg,徐放錠が主に使用される.
〔使用上の注意〕
利尿効果が強すぎて,脱水,電解質異常,血栓塞栓症な
どを引き起こすことがあり,過度の利尿を来たさないよう
にする.ジギタリス,抗不整脈薬使用時には低K血症に注
意する.アミノグリコシド系抗生物質による第8脳神経障害,
セファロチンなどによる腎障害,シスプラチンによる聴力
障害などを増強する可能性があるのでこれらと併用する
際には注意が必要である.
〔副作用と対策〕
低Na血症,低K血症,低Ca血症,低Cl性アルカローシス,高
尿酸血症を生ずることがある.減量ないし中止し適宜処置す
る.消化器症状,血液,腎,肝,膵などに関連した検査値に
異常が出ることがあるが投与中止により改善する.
ピーク 持続時間
経口 60分
5時間
静注 数分 1.5時間
エナラプリル(レニベース)
ACE阻害薬
高血圧治療薬
空咳
アンギオテンシノーゲン
ACE
アンギオテンシンⅠ 阻害薬
ブラジキニン
ACE
アンギオテンシンⅡ
血管収縮
アルドステロン分泌
血圧上昇
不活性ペプチド
ニフェジピン(アダラート)
DHP系Ca拮抗薬
高血圧治療薬
血管選択性高い
作用時間短い
メトラゾン(ノルメラン)
非サイアザイド系降圧利尿薬
遠位尿細管のNaCl再吸収抑制
低カリウム血症
サイアザイド系利尿薬
遠位曲尿細管細胞
間質
尿細管腔
3 Na
+
P
Na
Cl
2 K
+
+
NaCl,
-
の再吸収
R
PTH
3 Na
Ca
2+
Ca
2+
+
Ca
2+
アンギオテンシノーゲン
①
アンギオテンシンⅠ
②
アンギオテンシンⅡ
③
アルドステロン分泌
④
血圧上昇
左図はRAA系の血圧上昇
機序の一部である。高血圧
治療薬であるACEIが作用
する場所は①~④のどれ
か。
左心不全と肺水腫に伴う症状として不適
切なものはどれか
①チアノーゼ
②肝臓腫大
③ラ音
④頚動脈怒張
⑤片側性の浮腫
フロセミドの副作用として不適切なものはど
れか
A高尿酸血症
B高Cl性アシドーシス
C低K血症
D高Ca血症
E低Na血症
①A,D②B,D③B,E④C,E⑤A,C