「想定外」を想定す る ~ ~ Expect the Unexpected 高額賠償事故への財務上の備えは、十分です か? 201X年●月●日 ●●営業部●●課 Q:ひとつの事故で、5億円の大損 害。 そのような事故は、大企業や管理 上不備のある一部の企業、もしく は海外に進出しているような企業 にしか関係ない。 → 2 YES / NO A:答えは、 NOです。 その理由は・・・ 3 A:キャタストロフィー(大損害)と も呼ばれるような「想定外」の賠償 事故は、 ①どんなに防止してもゼロにはできず、 ②どんな小さなミスやどんな規模の事 業でも起こり得て、 ③どんな商流や事業形態かにかかわら ず、 どこででも発生しうるからです。 4 完全 防止 困難 5 • 業務マネジメントで防止・軽減できるリスクは、事故の頻度や規模が一定 程度のものに限られます。 • いわゆる「想定外」の事故は、その頻度を「万が一」から100万分の1とす ることはできても、「ゼロ」にすることはできません。 企業規模 無関係 • 企業の社会的責任が問われる昨今、企業は、責任を厳しく問われる環境 にあり、「想定外」の事故においては、ミスの大小によらず大きな責任を問 われかねません。 • また、「想定外」の事故の人的・経済的被害は、会社の規模にかかわらず、 甚大なものになり得ます。 活動範囲 商流の 広範化 • ユーザー、顧客企業の活動範囲は、日進月歩で広がっています。また、 事業の仕組みや商流は複雑になっています。このような環境下では、自 社製品やサービスがどこでどのように使われているか、どのような事態が 生じうるかを想定すること自体が、極めて困難になっています。 • 「想定外」の事態では、思いもよらない訴訟に巻き込まれることもあり得ま す。そのような場合、対応を誤ると、巨額の賠償金を支払わされたり、たと え勝訴したとしても、多額の費用や人的・時間的資源を失うことになります。 「 想 定 外 」 の 大 で事 す故 。へ の 備 え は 、 必 須 それでは、想定もしていなかった 大規模事故における損害のシナリ オを考えていきましょう。 6 • 工業団地内の自社 製造拠点で火災が 発生。 • 近隣工場へ飛火し 15,000㎡を延焼、 従業員も死傷。 • この火事により、自 社工場だけでなく、 近隣3工場が操業 停止。 • 多額の賠償請求を 受ける。 直接損害 間接損害 近隣工場延 焼部への 賠償:8億円 操業停止 損害:7.5億円 他社従業員 への人的 賠償:5.1億円 施設リスク 7 ※ 以降のシナリオは事故の想定例であり、実在の企業・ 団体のものとは関係ありません。 近隣他社工場への 物的賠償 8億円 • 近隣工場類焼面積 10,000㎡ × \80,000/㎡ 近隣他社工場従業員 • 死亡者5名 × 7,000万円 被害者への人的賠償 • 重軽傷者20名 × 800万円 5.1億円 近隣他社工場の 操業停止損害 7.5億円 • 操業停止2か月 × 3工場 • 1.25億円/月(逸失利益+固定費) 賠償総額 20.6 億円 8 • 納入した製造管理 装置に不備。納入 先の有機ELパネル 製造ラインで、規格 外製品が多量に混 入した。 直接損害 間接損害 不良完成品 損害: 5.8億円 操業停止損 害:4.8億円 PLリスク 9 不良完成品 損害 5.8億円 • 誤納入期間2週間 × 1/3ライン • 最終製品年間販売高1500億円 (原価率30%) 納入先 • 機器入換に伴う稼動停止2日間 操業停止損害 • 1時間あたり1,000万円 (固定費率60%) 4.8億円 賠償総額 10.6 億円 10 • 現地生産拠点で製 造管理を誤り、有 毒ガスが発生。 • 100名の従業員のう ち、8名が死亡。2 名の重度後遺障害 を含む、15名の重 傷者を出す事態と なった。 賠償総額 12.6億円 死亡者への賠償:8億円 重度後遺障害を負った従業員 への賠償:一時金換算4億円 重傷者への賠償:0.6億円 使用者賠償(労災)リ スク 11 • 配管移設工事が完 了したが、継手の 溶接方法に問題が あり、引渡し後に熱 水が漏出。 • 施工先の検査装置 に濡損を与え、熱 水により死者1名含 む人的被害も発生 した。 直接損害 検査装置 の損害: 4億円 操業停止 損害:4.2億円 死傷者への 賠償金: 1.9億円 継手メーカー との争訟費 用:1億円 完成作業リスク 12 間接損害 検査装置の損害 4億円 相手先工場 従業員被害者への 賠償 1.9億円 相手先工場 操業停止損害 4.2億円 継手メーカーとの 訴訟費用 1億円 • 時価控除50%が適用されたが、オーダーメイドの検 査機器であり高額損害に。 • 死亡者1名 × 10,000万円 • 重軽傷者15名 × 600万円 • 操業停止1か月 • 年間販売高100億円(固定費率50%) • 継手部の製造物責任について米国で争うものの長期 化。十分な責任は問い切れず、長期化に伴うコスト増 大が容認しえなくなったため、妥協和解。 賠償総額 11.1 億円 13 • ガスタンクの定期メ ンテナンス請負中、 作業を誤り爆発炎 上。 • コンビナート内の他 施設を巻き込んだ 事故となり、死者10 名を含む40人が死 傷した。 直接損害 間接損害 死傷者への 賠償:9億円 操業停止損 害:8.3億円 物的賠償: 2億円 請負作業リスク 14 コンビナート施設従業 員被害者への賠償 9億円 • 死亡者10名 × 7,000万円 • 重軽傷者40名 × 500万円 発注元企業への 物的賠償 2億円 • ガスタンクおよび関連配管 • 隣接工場各種機器 発注元企業の 操業停止損害 8.3億円 • 操業停止1か月 • 年間販売高250億円(固定費率40%) 賠償総額 19.3 億円 15 • 受託加工の最終段 階にあった、多量 のICチップを焼失 させてしまった。 • 発注元企業から加 工前製品の原材料 費相当額および遅 延期間分の逸失利 益について損害賠 償請求された。 直接損害 間接損害 ICチップ原材 料費:4億円 遅延損害金: 3億円 受託リスク 億円 16 賠償総額7 • 従業員が社有車で 居眠り運転。 • 高速道路上で隣車 線にはみ出し、同 車線にいたトラック が回避しようとして 側壁に衝突、横転 炎上。 • 後続車10台が絡む 玉突き事故となり、 死者4名・重軽傷 者11名の大事故と なった。 自動車リスク 5億円 17 直接損害 間接損害 関連車両および積 荷(呉服・毛皮等) への賠償金:3億円 積荷の発送元メー カーが受注先に対 して負った遅延損 害:0.5億円 死傷者への 賠償金:3億円 事故により閉鎖され た高速道路の休業 損害:3億円 休業損害の責任有 無と金額をめぐり長 期化した争訟費用: 1億円 賠償総額10.
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