kmスペース重力波アンテナの可能性 安東 正樹 東京大学 理学系研究科 物理学教室 第2回 スペース重力波アンテナワーキンググループミーティング 国立天文台 三鷹キャンパス, 2003年05月12日 1 前回の講演にて… レーザー測距の観点からDECIGOを考慮した。 LISAの技術の流用なら、 歪み量 h : 4x10-21 1/Hz1/2 高感度化には実効パワーの増加が不可欠 別の可能性として、 比較的短距離の直接反射型 も検討してはどうか? 第2回 スペース重力波アンテナワーキンググループミーティング 2 内容 はじめに 前回の復習 散射雑音 直接干渉型DECIGO デザイン 予想感度 まとめ 第2回 スペース重力波アンテナワーキンググループミーティング 3 はじめに (1) - LISAの技術の応用 DECIGO 基線長がLISAの1/100であるとすると… (基線長 : 5x107 m) –19 Strain noise level [1/Hz 1/2 ] 10 –20 10 x100 LISA TAMA (June 02, 2001) TAMA –21 10 x100 –22 10 LIGO DECIGO –23 10 LCGT –24 10 –4 10 –2 10 0 10 2 10 4 10 Frequency [Hz] 第2回 スペース重力波アンテナワーキンググループミーティング 4 はじめに (2) - どこまで高感度化できるか 原理的な可能性 量子測定限界 (散射雑音と輻射圧雑音) –19 Strain noise level [1/Hz 1/2 ] 10 –20 10 LISA –21 TAMA DECIGO 10 (June 02, 2001) –22 10 LCGT –23 LISA以上の技術が必要 10 –24 10 –25 10 Quantum limit –26 8 (mass 100kg, baseline 5x10m, laser: 10MW, telescope: 3m) 10 –27 10 –4 10 –2 10 0 10 2 10 4 10 Frequency [Hz] 第2回 スペース重力波アンテナワーキンググループミーティング 5 はじめに (3) - 高感度化のために 特に散射雑音の向上が不可欠… 実効パワーの増加 光源の短波長化 YAGの倍波、3倍波 (λ-3/2で向上) 基線長を変えたときの散射雑音レベル (光源 1W, テレスコープ径 30cm) –18 1/2 ] 10 Shot noise level [1/Hz ハイパワーレーザーの開発 (P1/2 で向上) 大口径ミラーの開発 (D2 で向上) 検出系の高効率化 (ε1/2で向上) –19 DECIGO 10 LISA –20 10 4 10 m –21 10 5 10 m 9 10 m –22 10 7 10 m 6 10 m フロアレベルは向上しない (回折ロスの影響) –23 10 8 10 m –4 10 –2 10 0 10 2 10 4 10 Frequency [Hz] いづれも結構、大変 第2回 スペース重力波アンテナワーキンググループミーティング 6 はじめに (4) - 別の可能性 - 高感度実現には高レーザーパワーは不可欠 LISA型の短縮としてではなく、 地上型干渉計の拡張として考える (光の直接反射) 数十から100km程度の基線長なら可能 共振器による光パワーの増加 検出系の簡素化 変位・加速度雑音の効果が増大 (熱雑音) 巨大鏡の必要性 長基線長の精密制御の必要性 第2回 スペース重力波アンテナワーキンググループミーティング 7 直接干渉型DECIGO (1) - 概要 - 直接干渉型DECIGO 基線長 30km 直径 30cmの鏡 テストマス フィネス 500 の腕共振器 第2回 スペース重力波アンテナワーキンググループミーティング 8 直接干渉型DECIGO (2) - 基線長と回折ロス - 回折ロス 直径 30cmの鏡, 波長 1064nm 50kmで急激にロス増加 1000回弱の折り返し 実効基線長 107m 程度 0 Nd:YAG laser : 1064nm Mirror diameter : 30cm Optimal beam profile –1 10 Diffraction Loss Ratio of available power 10 –2 10 –3 10 TAMA LCGT –4 10 DECIGO LISA9 7 3 (5x10 m) (300 m) (3x10 m) (5x10 m) –5 10 1 10 2 10 3 10 4 10 5 10 6 10 7 10 8 10 9 10 10 10 Length [m] 第2回 スペース重力波アンテナワーキンググループミーティング 9 直接干渉型DECIGO (3) - 散射雑音レベル - 散射雑音レベル 基線長 30km, フィネス 500 実効基線長 1x107m (光源 1W, テレスコープ径 30cm) –19 10 Shot noise level [1/Hz 1/2 ] LISA DECIGO –20 10 4 10 m –21 10 5 10 m 9 10 m –22 10 8 7 10 m 10 m 6 10 m –23 10 基線長 30km, フィネス 500 –24 10 –4 10 –2 10 0 10 2 10 4 10 Frequency [Hz] 第2回 スペース重力波アンテナワーキンググループミーティング 10 直接干渉型DECIGO (4) - 利点のまとめ - 直接反射型の利点 LISAと比較して光を有効に利用できる 散射雑音レベルの向上 光路上に余分な要素が無い (テレスコープ, 位相同期系) 鏡(テストマス)間の距離を直接計測 重力波の検出原理により近い計測法 ドラッグ・フリー制御系への要求緩和 検出器の簡素化 単一光源 位相同期、精密なドラッグフリー制御が不要 短基線長 ミッション実現時間の短縮 第2回 スペース重力波アンテナワーキンググループミーティング 11 LISAの技術 - 光学系 - LISAの光学系 Proof massに対して衛星位置を制御 位相同期により、光を増幅反射 第2回 スペース重力波アンテナワーキンググループミーティング 12 直接干渉型DECIGO (5) - 課題 - 直接反射型のデメリット 変位雑音の影響を受けやすい 外来雑音 (重力場・磁場変動) の影響 スペースクラフト内の重力場・磁場の影響 輻射圧雑音, 熱雑音 光路長などの精密制御が必要 光の波長より十分良い精度の制御が必要 アラインメント制御も必要 大型の鏡が必要 形状誤差, 研磨精度 第2回 スペース重力波アンテナワーキンググループミーティング 13 直接干渉型DECIGO (6) - 課題に対する考察 - 致命的な問題は無いと考えられる 変位雑音 スペースクラフトによるシールド 近くにあることによる同相雑音除去 輻射圧雑音 鏡の大質量化, 制御による抑圧 光路長制御 光源にフィードバックする事により追随 絶対基線長計測によって補正 (ドップラーシフトの抑圧は不可欠) 鏡の製作 形状誤差, 研磨精度は、 テレスコープでも同様の要求 第2回 スペース重力波アンテナワーキンググループミーティング 14 直接干渉型DECIGO (7) - 感度スペクトル - 予想感度 基線長 30km, フィネス 500, 鏡 100kg –19 Strain noise level [1/Hz 1/2 ] 10 –20 10 DECIGO LISA –21 10 –22 10 FP–DECIGO –23 10 LCGT –24 10 –25 10 Quantum limit –26 8 (mass 100kg, baseline 5x10 m, laser: 10MW, telescope: 3m) 10 –27 10 –4 10 –2 10 0 10 2 10 4 10 Frequency [Hz] 第2回 スペース重力波アンテナワーキンググループミーティング 15 直接干渉型DECIGO (8) - 感度スペクトル - 予想感度 基線長 500km, フィネス 50 (鏡の直径 : 1m) –19 Strain noise level [1/Hz 1/2 ] 10 –20 10 DECIGO LISA –21 10 –22 10 LCGT –23 10 FP–DECIGO –24 10 –25 10 Quantum limit –26 8 (mass 100kg, baseline 5x10 m, laser: 10MW, telescope: 3m) 10 –27 10 –4 10 –2 10 0 10 2 10 4 10 Frequency [Hz] 第2回 スペース重力波アンテナワーキンググループミーティング 16 直接干渉型DECIGO (9) - オプション - 別の構成も考えられる 単純マイケルソン干渉計 散射雑音レベルは向上しない 測定系の単純化 一本のファブリ・ペロー干渉計 スペースクラフトが2台でよい 構成・軌道が単純になる レーザー光源の周波数安定化が不可欠 第2回 スペース重力波アンテナワーキンググループミーティング 17 まとめ LISAの技術の流用なら、 歪み量 h : 4x10-21 1/Hz1/2 が限界 高感度化には実効パワーの増加が不可欠 量子雑音以外の雑音の影響を受けにくいことから 別の可能性として、 比較的短距離の直接反射型 も真剣に検討してはどうか? 第2回 スペース重力波アンテナワーキンググループミーティング 18
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