財政-第23講 6.社会保障財政(4) 2008年7月1日 第1限 1 公的年金④ 制度上の問題点(続) 未納・未加入問題(続) 国民年金第3号被保険者問題 2 公的年金④ 3 制度上の問題点(続) 4 未納・未加入問題 5 国民年金保険料(第1号被保険者)の未納者 =2006年度納付率:66.3% ←(a)景気停滞による収入減の影響 (b)年金制度に対する不信 ⇒問題点 ①保険料収入減少→年金財政の悪化 ②受給資格喪失→無年金・低年金者の増加 (←第22講) 6 国民年金保険料未納問題への対応策 ①納付窓口の拡大+強制徴収 ②猶予・免除(※年収制限あり) 学生納付特例制度 若年者(30歳未満)納付猶予制度 保険料免除制度・一部納付(免除)制度 7 学生納付特例制度 →学生期間は保険料猶予 若年者(30歳未満)納付猶予制度 →フリーター・ニート対策 保険料免除制度・一部納付(免除)制度 →失業者,低所得者対策 8 給付額 猶予・免除期間に応じて減額 全 額→全納の場合の3分の1≒国庫負担分 4分の3→全納の場合の2分の1 半 額→全納の場合の3分の2 4分の1→全納の場合の6分の5 10年以内に追納可能 →追納分を給付額に反映 2年以内の追納は無利子 ⇔2年以上前の追納は利子加算(年約4%) 9 国民年金第3号被保険者問題 10 国民年金第3号被保険者制度の導入(1986年~) 導入前 ①専業主婦世帯の厚生年金・共済年金 =被用者本人(生計者)の保険料負担 →被用者本人に夫婦2人分の年金給付 ②配偶者本人が国民年金に未加入 →老後に離婚すると無年金 ③配偶者本人が国民年金に任意加入 =配偶者本人の保険料負担 →配偶者本人分の年金給付 11 導入後 ①配偶者本人は国民年金に強制加入 =国民年金第3号被保険者 →老後に離婚した場合の無年金を回避 ②配偶者本人は所得がない(少ない) =保険料の負担能力がない →保険料負担を要しない(保険料ゼロ) ⇒配偶者本人: 保険料負担を要しない(保険料ゼロ) ⇔国民年金(基礎年金)給付 12 国民年金第3号被保険者問題 保険料負担すべき論 ①専業主婦世帯は生活水準が高い ②女性の就労に抑制的 ←年収130万円以上になると 可処分所得(手取り収入)減少…資料23-1 13 保険料負担必要なし論 ①専業主婦本人は所得がない(少ない) ②育児や介護などの「内助の功」を評価 →国民年金(基礎年金)給付 ③保険料負担→保険料未納者が増加? 第3号被保険者制度=専業主婦世帯を基礎 ⇔働く女性の増加→家族形態の変化 ∴共稼ぎ世帯>専業主婦世帯…資料23-2 14 第3号被保険者制度見直しの方向性 第3号被保険者に保険料負担? cf. 現行制度の保険料負担と年金給付の考え方 →○世帯単位での公平 =世帯全体の収入が同額であれば 保険料負担:共稼ぎ世帯=専業主婦世帯 年金給付:共稼ぎ世帯=専業主婦世帯 15 共稼ぎ世帯 夫の月収:30万円+妻の月収:30万円=世帯収入:60万円 夫の保険料:4.5万円+妻の保険料:4.5万円=世帯保険料:9.0万円 →月収30万円×約15%=4.5万円 夫の年金:16.7万円+妻の年金:16.7万円=世帯年金:33.4万円 →厚生年金10.1万円(平均賃金:30万円) +国民年金6.6万円 専業主婦世帯 夫の月収:60万円+妻の月収:0円=世帯収入:60万円 夫の保険料:9.0万円+妻の保険料:0円=世帯保険料:9.0万円 →60万円×約15%=9.0万円 夫の年金:26.8万円+妻の年金:6.6万円=世帯年金:33.4万円 →厚生年金20.2万円(平均賃金:30万円×2→報酬比例) +国民年金6.6万円 16 →第3号被保険者に保険料負担 →×世帯単位での公平 =世帯全体の収入が同額であれば 保険料負担:共稼ぎ世帯<専業主婦世帯 年金給付:共稼ぎ世帯=専業主婦世帯 17 年収65万円以上の専業主婦 →第2号被保険者として厚生年金に加入? ⇒保険料負担:総報酬×保険料率<定額保険料 年金給付:国民年金+厚生年金 ⇔事業主の厚生年金保険料の負担増 →反対論(特に,流通業界や外食産業) 厚生年金未加入企業の発生(←第22講) 18 専業主婦の離婚のリスク 婚姻時 保険料負担:ゼロ 年金給付:国民年金 ※被用者(第2号被保険者)死亡時: +被用者の厚生・共済年金の4分の3 離婚時 保険料負担:第1号被保険者の保険料 年金給付:国民年金のみ? 19 第24講の予定 6.社会保障財政(5) 公的年金⑤ 制度上の問題点(続) 離婚のリスクと年金分割 20 参考資料の出典等 資料23-1…中小企業庁『中小企業白書 平成12年版』 http://www.meti.go.jp/hakusho/chusyo/H12/01-01-06-04.html 資料23-2…内閣府『男女共同参画白書 平成19年版』 http://www.gender.go.jp/whitepaper/h19/zentai/danjyo/pdf/DKH19H01.pdf 21
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