理学療法士として働 き続けるために (社)神奈川県理学療法士会 会員ライフサポート部活動報告 はじめに (社)神奈川県理学療法士会会員ライフサポート 部は、会員数の半数以上を占める女性会員が継 続して就業できるような組織作りの必要性に応え るため、平成17年「女性会員支援事業委員会」と して活動を開始した。 今回の発表では、過去6年間の活動を振り返る とともに、この間に得られた幾つかのアンケート結 果を総括し分析を行ったので報告する。 目 的 単年度活動により得られた調査結果の横断 的分析と、これらの結果を踏まえた今後の活 動課題と展望の整理を図ること。 方 法 6年間の活動内容と変遷を整理し、単年度の 活動から得られた情報をまとめ、問題点と課 題を分析した。 活動内容の概要 *詳細は右記の年表をご参照ください。 1)調査 ◆アンケート調査 6年間で、女性会員・父親男性会員・理学療法部 門責任者を対象にした調査を実施した。 結果を分析し、2冊の調査報告書を作成し会員 所属全病院・施設に配布した。 ◆聞き取り調査 男性育児休業取得者の経験談 育児と仕事が両立できる仕事環境の工夫 2)学会発表 ◆各年度のアンケート調査結果報告・活動報告を 関東甲信越ブロック理学療法士学会・日本理学療 法学術大会で発表。 ◆ 第25回関東甲信越ブロック理学療法士学会 (神奈川)にてシンポジウム開催。 「働く女性が求める職場環境」 3)研修会・交流会 ◆年1~2回研修会を実施 研修中の託児室を設置 ◆(社)神奈川県理学療法士会新人オリエン テーション研修会にて「女性雇用環境の関連 法規について」を実施。 ◆復職支援リカレント教育推進事業を開始。 4)本会ニュース・ホームページ 出産・育児・介護の体験談や活動報告を掲載。 調査結果報告、法律などの情報提供。 毎年の調査結果より 1)女性会員への調査 ◆結婚後就業を継続している・継続予定の人 は85% ◆育児休業制度や利用可能な環境かわからない という人が多い ◆離職者について 理由:「育児」 50% 「出産」 25% 非就業者23名全員が復職の意思を表明 ⇒女性の就業継続には 出産・育児が大きな問題になっている。 2)男性の育休取得者・子供のいるパパPTの育児に 対する調査 ◆家庭環境:共働き・育児援助者がおらず、 夫婦が助け合って仕事と育児を両立していく必 要性の高い家庭が多い。 ◆パパPT:育児や家事に協力している傾向あ り。 育児休業の利用について⇒希望あり39% (取得者率0.93%) パパPTが育児に関与することのメリット ⇒親として・職業人としての向上など。 ◆パパ・職場共に育休制度に対する情報不足 3)理学療法部門の責任者を対象とした出産・育児 と仕事の両立に関する調査 ◆性別による雇用の差は認められない。 ◆人材確保の問題が就業継続・就業復帰を困難 にしている。 ◆公的・準公的施設以外は制度の利用が困難。 ◆組織内の意識改革で両立が可能な環境に近づ ける可能性がある。 ⇒制度利用促進に関して啓発や支援が必要 保育園の充実 代替要員の雇用支援や人材バンクの整備 上司や事務職を含む職場のスタッフ全体の意識改革 など 活動の変遷 「女性会員支援事業委員会」として発足 ◆さまざまな活動の中で活動の必要性は女性に限るものではなく、 会員全般への支援であることを実感。 「会員ライフサポート委員会」に名称を変更 ◆学会発表を行う中で他県士会の理事や団体の方よりご意見や 応援の言葉を頂けるようなり、他県士会での調査・報告も 聞かれるようになった。 ◆日本理学療法士協会からもアンケート調査の協力依頼や 復職支援リカレント教育推進事業実施の機会も与えられた。 「会員ライフサポート部」へ昇格し活動を継続 考 察 1)調査の中でわかったこと ◆両立できる職場環境というのは、性別に関係な く、様々な人の様々な出来事に対応できる、働きや すい職場環境を考えることにつながる。 ◆情報共有が不十分である。 2)活動の継続によってわかったこと 最初は認識されなかった活動も、当士会のみでな く、他士会、協会などにも認識されるようになり、 活動の継続の重要性が認識できたこと。 3)今後の活動課題 ◆情報発信 職場環境、システムに工夫のある施設の紹介 先輩たちの体験談 社会制度に関する情報 ◆仕事との両立、復帰への支援 参加しやすい研修会の提案 復職支援リカレント教育事業の継続 ◆出産・育児以外のライフイベントに関する調査 家族の介護と仕事の両立に関する調査 活動年表 <平成17年度> H17.4月 女性会員支援事業として発足 ◆調査①(アンケート) 「女性会員の職場環境や離職に関する実態調査」 <平成18年度> H18.7月 ◆ニュース①「会員紹介~働くママさん PT」 ◆報告書発行(調査①) H18.9月 ◆第25回関東甲信越ブロック学会にてポスター発表 「神奈川県士会女性会員に対するアンケート調査 女性会員の職場環境や離職の実態及びニーズの把握」 ◆学会シンポジウムPTのひろば「働く女性が求める職場環境」を開催 H18.10月 ●第1回研修会 「職場環境を考える」講師;大塚先生、阿部先生 H19.1月 ◆ニュース②「第1回研修会を終えて」 H19.3月 ◆ニュース③「職場環境を考える~妊娠中編」 <平成19 年度> H19.4月 女性ライフサポート委員会に名称変更 H19.5月 ◆ニュース④「職場環境を考える~育児休業編」 H19.6月 ●講義(新人オリエンテーション) 「女性雇用環境の関連法規などについて」 H19.7月 ◆ニュース⑤「職場環境を考える~子育て奮闘編」 H19.9月 ◆ニュース⑥「職場環境を考える~子育て就学期編」 ◆第26回関東甲信越ブロック学会発表 「神奈川県士会女性会員支援事業委員会の活動報告」 H19.11月 ◆ニュース⑦「職場環境を考える~子育て環境これか ら」 H19.12月 会員ライフサポート委員会に名称変更 H20.1月 ◆調査②(取材:横浜市総合リハビリテーションセンター) 「男性育児休業取得者からの体験談」 ◆調査③(アンケート) 「男性育児休業取得者への育児・仕事との両立に関する意識調査」 ◆ニュース⑧「男性の育児休業その1」 H20.3月 ◆ニュース⑨「男性の育児休業その2」 ●第2回研修会 「パワーアップは離職防止から」 講師:川崎市看護協会常務理事 堤郁子先生 <平成20年度> H20.4月 会員ライフサポート部に名称変更 H20.5月 ◆ニュース⑩「第2回研修会を終えて」 H20.6月 ●講義(新人オリエンテーション) H20.7月 ◆ニュース⑪「結婚・出産バタバタ体験記~改姓&妊娠」 H20.8月 ◆第27回関東甲信越ブロック学会発表 「男性理学療法士及び作業療法士の育児休業取得から見えてくるもの」 H20.9月 ◆ニュース⑫「結婚・出産バタバタ体験記出産&育児そして 職場復帰」 H20.11月 ◆ニュース⑬「男性の育児休業体験記」 H20.12月 ◆意識調査④ 「パパPTの育児に関する意識調査」 H21.1月 ◆ニュース⑭「今の社会の動きを反映する2つの研修会報告」 H21.3月 ◆ニュース⑮「育児バタバタ体験記~職場復帰&育児」 H21.3.7 ●第3回研修会 「やり抜く力-明日から変われる第一歩-」講師;福島努先生 <平成21年度> H21.5月 ◆ニュース⑯「会員ライフサポート部の活動を通し て」 本会ホームページにて情報公開開始 H21.6月 ●講義(新人オリエンテーション) H21.7月 ◆意識調査⑤ 「理学療法部門責任者を対象とした出産・育児と仕事の両立に関する調査」 ◆ニュース⑰「第3回研修会を終えて」 H21.9月 ◆ニュース⑱「介護・かいご・カイゴその1」 ◆第28回関東甲信越ブロック学会発表 「パパPTの育児に関する意識調査」 H21.11月 ◆ニュース⑲「パパPTの育児に関するアンケート結果」 H22.1月 ◆ニュース⑳「介護・かいご・カイゴその2」 ●復職支援リカレント教育推進事業開始 部員でキッズコーナー設置 →新戸塚病院にて1名研修終了 ●第4回研修会&交流会 「高齢者の車いすシーティング」講師;佐藤史子先生 H22.3月 ◆ニュース㉑「部会活動を振り返って」 <平成22年度> H22.5月 H22.6月 H22.7月 ◆ニュース㉒「第4回研修会&交流会を終えて」 ◆ニュース㉓「子連れで研修会&交流会に参加して」 ◆第45回日本理学療法学術大会発表 「パパPTから見た育児と育児休業取得」 「理学療法部門の責任者を対象とした出産・育児と仕事の両立に関 する調査報告 第1報~集計結果から見た傾向~」 「理学療法部門の責任者を対象とした出産・育児と仕事の両立に関 する調査報告 第2報~自由記載から考える問題点~」 ●第5回研修会 「セルフコーチング~自分らしく働こう」 講師;河合麻美先生(PTママの会) ◆ニュース㉔「学会発表を終えて」 会員ライフサポート部メールサポートメンバー募集開始 研修会や学会時の託児室設置への働きかけ開始 ◆意識調査⑦(取材:鶴巻温泉病院) 「育児と仕事の両立ができる環境の取り組みについて」 H22.9月 H22.11月 H23.1月 H23.2月 ◆ニュース㉕「第5回研修会を終えて」 ◆ニュース㉖「スーパーPTの活躍!~鶴巻温泉病院の 仕事と子育ての両立への取り組み」 ◆意識調査⑤報告書発行 ◆ニュース㉗「会員ライフサポート部に所属して」 ●第6回交流会with研修会 「今さら聞けないシリーズ~糖尿病~」講師:平木幸治先生 業者委託にて 託児室設置 平成23年度 H23.5月 ◆ニュース㉘「育児休暇を終えて」 ◆第46回日本理学療法学術大会発表 「理学療法士として働き続けるために (社)神奈川県理学療法士会会員ライフサポート部活動報告」
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