シリカガラス管の熱処理に伴う 断面構造変化 分子科学講座 00380462 湊 茂治 シリカガラス= SiO2からなる非晶質物質 シリカ = SiO2 シリカガラスの特長 • 広範囲の波長で光を通す • 耐熱性に優れている • 高純度・化学的耐久性 紫外線用光学材料・ 光ファイバー 半導体製造装置 ランプ用管球 半導体製造装置 製造方法による石英ガラスの分類 OH含有量[ppm] • Ⅰ型:電気溶融 ・・・・・ 少ない (≲10) • Ⅱ型:火炎溶融 ・・・・・ 多い (100~300) • Ⅲ型:直接法 ・・・・・非常に多い(500~1500) • Ⅳ型:プラズマ法 ・・・・・ 少ない (≲ 5) 研究の背景 • シリカガラスを熱処理すると、表面から構造 が変化していく。 • これまで酸水素火炎・大気中熱処理実験 • 空気中の水分で構造にOH基が入る • シリカガラス管を窒素(N2)雰囲気中で熱処理 測定項目 OH基濃度(OH Content) ≡Si-OHの形て存在 仮想温度(Fictive Temperature) ガラス構造が凍結されたと考えられる温度 薄片を充分長時間熱処理して急冷して決める 本研究では代用特性を使用 測定装置(顕微FT-IR) OH濃度の測定方法 ( 3700cm1吸収ピーク強度 ) OH 濃度 100 ( ppm) (サンプル厚さ /mm) Absorbance 2 1 0 2000 3000 Wavenumber (cm -1) 4000 仮想温度の測定方法 TF 4380921cm 1 ν 222864cm 1 (K) A. Agarwal, K. M. Davis, and M. Tomozawa, J. Non-Cryst. Solids, 185, 191 (1985) 1 Absorbance 0.8 0.6 0.4 0.2 0 2000 3000 Wavenumber (cm 4000 -1 ) 試料の形状 外径: 25 mm 内径: 19 mm 30 mm] 熱処理について(窒素パージ) 1423 K (1150℃),5 h 電気炉 装置(試料の研磨(スライス)) FT-IR ( 顕 微 鏡 ) で 測 定 今回測定したサンプル 熱処理なし 熱処理 (N2雰囲気中) Ⅰ 型 ○ ● Ⅱ 型 △ ▲ Ⅲ 型 □ ■ 1500 OH Content (ppm) Ⅲ型 1423[K],5 h キャプションが図の中に あったので見にくいのでこ こにうつした 1000 Ⅰ型→熱処理なし Ⅰ型→N2雰囲気 Ⅱ型→熱処理なし Ⅱ型→N2雰囲気 Ⅲ型→熱処理なし Ⅲ型→N2雰囲気 500 Ⅱ型 Ⅰ型 0 0 OH含有量の分布 1000 2000 3000 Distance from Outside ( m) 1500 OH Content (ppm) Ⅲ型 1423[K],5 h OH濃度分布 •Ⅰ型Ⅱ型Ⅲ型とも,外周付近のOH濃度 が高くなっている。 1000 Ⅰ型→熱処理なし Ⅰ型→N2雰囲気 Ⅱ型→熱処理なし Ⅱ型→N2雰囲気 Ⅲ型→熱処理なし Ⅲ型→N2雰囲気 500 Ⅱ型 Ⅰ型 0 0 1000 2000 3000 Distance from Outside ( m) •窒素(N2)雰囲気中で熱処理し たとき,III型は表面付近で低下。 その他はほとんど不変。 仮想温度分布 1423[K],5 h 1500 Fictive Temperature (K) 1423 1000 500 0 0 Ⅰ型→熱処理なし Ⅰ型→N2雰囲気 Ⅱ型→熱処理なし Ⅱ型→N2雰囲気 Ⅲ型→熱処理なし Ⅲ型→N2雰囲気 1000 2000 3000 Distance from Outside (m) 仮想温度分布 1423[K],5 h 1500 Fictive Temperature (K) 1423 1000 500 0 0 Ⅰ型→熱処理なし Ⅰ型→N2雰囲気 Ⅱ型→熱処理なし Ⅱ型→N2雰囲気 Ⅲ型→熱処理なし Ⅲ型→N2雰囲気 1000 2000 3000 Distance from Outside (m) 仮想温度分布 1423[K],5 h 1500 Fictive Temperature (K) 1423 1000 500 0 0 Ⅰ型→熱処理なし Ⅰ型→N2雰囲気 Ⅱ型→熱処理なし Ⅱ型→N2雰囲気 Ⅲ型→熱処理なし Ⅲ型→N2雰囲気 1000 2000 3000 Distance from Outside (m) 仮想温度分布 1423[K],5 h 1500 Fictive Temperature (K) 1423 1000 500 0 0 Ⅰ型→熱処理なし Ⅰ型→N2雰囲気 Ⅱ型→熱処理なし Ⅱ型→N2雰囲気 Ⅲ型→熱処理なし Ⅲ型→N2雰囲気 1000 2000 3000 Distance from Outside (m) 仮想温度分布 1423[K],5 h 1500 熱処理後はOH濃度が少ないほど Fictive Temperature (K) 1423 (Ⅰ型<Ⅱ型<Ⅲ型) 実際の熱処理温度 (1423 K)に近い値 1000 500 0 0 Ⅰ型→熱処理なし Ⅰ型→N2雰囲気 Ⅱ型→熱処理なし Ⅱ型→N2雰囲気 Ⅲ型→熱処理なし Ⅲ型→N2雰囲気 1000 2000 3000 Distance from Outside (m) OH濃度が少ない方が構造の緩和時間 が長い。そのため、より高温で構造が凍 結される。 まとめ • 石英ガラスを窒素中で熱処理すると、OH含 有量は大きくは変化しない。 • OH含有量については、Ⅲ型のみ外周部付 近でOH含有量の低下がみられた。 • 石英ガラスはOH含有量が少ない方が、実際 の熱処理温度まで到達する時間(緩和時間) が長い。 今後の予定 熱処理 熱処理 熱処理 熱処理 熱処理 なし N2雰囲気 大気中 O2雰囲気 He雰囲気 Ⅰ型 済 済 未 未 未 Ⅱ型 済 済 未 未 未 Ⅲ型 済 済 未 未 未
© Copyright 2024 ExpyDoc