第12回 商事関係法 2005/11/14

第9回 商法Ⅱ
2006/12/04
2015/10/1
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前回の内容
取締役と会社との関係
監視義務
内部統制システム構築義務
競業避止義務
利益相反取引
取締役の報酬
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経営の意思を決める人たち
甲社の代表取締役Aは、甲社の保有する時
価1億円相当の不動産をBに売り渡した。
しかし、甲社の取締役Cはこれに反対し、代
表取締役Aによる不動産の譲渡は、取締役
会の決議を経ずに行われたものゆえ、無効
であると主張している。ちなみに、甲社の総
資産は45億円である。
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取締役会の決定権限
一 取締役会設置会社の業務執行の決定
二 取締役の職務の執行の監督
三 代表取締役の選定及び解職
一
二
三
四
重要な財産の処分及び譲受け
多額の借財
支配人その他の重要な使用人の選任及び解任
支店その他の重要な組織の設置、変更及び廃止
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取締役の代表権
代表取締役とは、会社の業務を執行し、会
社を代表する機関
旧商法では必ず設置!
会社法では任意
委員会設置会社では代表執行役
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取締役の代表権の比較
取
締
役
会
を
設
置
し
な
い
場
合
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取
締
役
会
設
置
会
社
の
場
合
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取締役会を設置しない場合
取締役
会社を代表します!
取締役が2人以上
各自会社を代表
株式会社の業務は、原則として取
締役の過半数の一致で決定
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取締役会設置会社の場合
取締役
株主総会
代表取締役
取締役会
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代表取締役の行為の効果
代表権の制限
第三者に対する責任
代表権の濫用
決議に基づかない行為
代表取締役のなした行為は会社が責任を
負います!
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代表取締役の行為の効果
代表権の制限
内部的取り決め
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代表取締役の行為の効果
第三者に対する責任
(代表者の行為についての損害賠償責任)
第三百五十条
株式会社は、代表取締役その他の代表者が
その職務を行うについて第三者に加えた損害
を賠償する責任を負う。
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代表取締役の行為の効果
代表権の濫用
代表権の「逸脱」:
客観的に代表権の範囲外の行為
代表権の「濫用」:
代表権の範囲内の行為であるものの、
その内心に濫用の意思(自己又は第
三者の利益を図る)がある場合
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代表取締役の行為の効果
決議に基づかない行為
〈 判例 〉
取締役会の決議を要する旨の定款規定がある
にもかかわらず、決議をせずに代表取締役が
行った取引行為は有効である。ただし、相手方が、
決議の相手方が決議を経ていないことを知りま
たは知ることができた場合に限り無効である。
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一般には社長と呼ばれています
甲社の代表取締役Aは、会社を代表して、
高利の金融業者Bから金を借りた。
しかし、Aは、借りた金を会社に使う意図は
なく、自らの借金の返済にあてるつもりだっ
た。BがそのようなAの意図を知りながら金
を貸していた場合、甲社は、AがBより借り
た金を返済しなければならないだろうか。
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代表取締役ではないが代表取締役?
Aは、甲社の取締役だが、代表権を持たないにも
かかわらず、社長という名称を与えられて、甲社
の経営を切り盛りしていた。
当初はまじめに社長として役割を果たしていたA
だが、やがて、自己の利益を図るために手形を
乱発しはじめた。
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代表取締役ではないが代表取締役?
甲社はAを社長の職から解き、
手形金の支払を請求してきた者に対しては、「A
は実際には代表取締役ではなかったから、その
振り出した手形について甲社が支払う義務はな
い」と主張した。
この主張は正当か。
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表見代表取締役
A取締役
甲社
代表権×
「社長」名称の付与
自己の利益
手形振出
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表見代表取締役(会社法354条)
株式会社は、代表取締役以外の取締役に社長、
副社長その他株式会社を代表する権限を有する
ものと認められる名称を付した場合には、当該
取締役がした行為について、善意の第三者に対
してその責任を負う。
実質上代表権を有しないにもかかわらず、外
観上代表取締役として扱われる者
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表見代表取締役の趣旨
社長、専務取締役、常務取締役等の名称を使
用することを認められた取締役(表見代表取締
役)であっても、実際に取締役会により代表取
締役として選任されていなければ、代表権を有
しない
しかし、通常一般に代表取締役に付される名称
を使用している場合、取引の相手方はその者
が代表権を有するものと誤信するおそれがあ
る
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表見代表取締役の要件
要件
外観の存在
(代表権を有すると認められる名称の使用)
外観の付与(会社の帰属性)
外観への信頼(相手方の善意)
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表見代表取締役の要件1
外観の存在
(代表権を有すると認められる名称の使用)
社長、副社長、専務取締役、常務取締役のほか
、取締役会長、副会長、総裁、理事長、代表取締
役代行者の名称も含まれる
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表見代表取締役の要件2
外観の付与(会社の帰属性)
取締役が称していただけでは足りず、名称の使
用を会社が承認していたか、名称の使用を知り
ながら黙認していたという事情が必要
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表見代表取締役の要件3
外観への信頼(相手方の善意)
相手方は善意・無過失であることを要する
(判例)
会社法908条との関係
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会社法908条との関係
外観への信頼(相手方の善意)
登記しなければならない事柄は、たとえ事実が発
生していたとしても、登記及び公告行われた後で
なければ、その事実を知らない第三者に対してそ
れが発生していると主張することができない。
登記に特別の効力を賦与する必要性
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会社法908条との関係
登記をすれば一般に登記を知らない第三者に対
しても登記事項について知っているものと扱われ
る
取引の迅速・円滑を旨とする商取引の性質上、
取引の相手方に登記簿の閲覧を求めるのは妥
当でない
354条は908条の例外を定めたもの
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表見代表取締役?
取締役以外の者が名称を使用した場合
取締役でもない単なる使用人がかかる名称を
使用した場合にも会社法354条の類推適用を認
める
実際の地位がどうであれ、相手先の取
引安全の保護の必要性は同じ
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