J/ψ粒子の質量測定 実験Ⅲ素粒子テーマ7回目 Page1 Z粒子の質量測定 復習 いかにZ粒子事象を残しながらバックグラウンド を落とすかを考えた。 Z粒子以外のバック グラウンド Z粒子のピーク 2 CDFでよくやるスタンダード・カット double fIso1 = Iso1 / P1; double fIso2 = Iso2 / P2; bool cut1 = (fabs(Zvert)<60.); bool cut2 = (Q1*Q2<0); bool cut3 = (Em1<2.); bool cut4 = (Em2<2.); bool cut5 = (Had1<6.); bool cut6 = (Had2<6.); bool cut7 = ((fabs(Dxu1)<2)&&(fabs(Dxu2)<2)); bool cut8 = ((fabs(Dxp1)<5)&&(fabs(Dxp2)<5)); bool cut10 = (fIso1<0.05)&&(fIso2<0.05); bool cut11 = (Pt1>20.&&Pt2>20.); 3 J/ψ粒子 メソン(素粒子ではない) cクォーク・反cクォークの束縛状態 主に電磁相互作用でレプトン対またはクォーク対に 崩壊 Br(J/ψ→μ+μ-)~6% Γ=1/τ~93 keV cτ~2.1pm τ~0.7x10-20s J/ψ c c μ + μ - γ 4 J/ψ粒子の質量測定 解析全般が、基本的には前回で出来ている。 ただし、以下の点に注意、改変する。 Ptのカット:Z粒子(m〜90 GeV)と比べてJ/ψ粒子(m〜3 GeV)は軽い。 → 前回よりも低い運動量のミューオンを測定する必要がある。 Isolationのカット: J/ψ粒子崩壊でできるミュー粒子はZ 粒子の場合ほどIsolateしてない。 → Isolationのカットを緩めるか、はずしてみる。 Dxu、Dxpのカット:運動量の低い粒子に対しては多重散 乱による軌道の変化が無視できない。カットを緩める必 要有り。 5 Isolationのカット μ粒子が周りの粒子からどのくらい「孤 立」しているか η-φ平面内でΔR=√(Δη2+ Δφ2)<0.4のコー ンの中に入ってくるエネルギーの内μ粒子の 分を除いたもの, η=-ln tan(θ/2) μ Isolation が大きい場合 ジェットの中に含まれるハドロンをμ粒子と間 違えた ジェットの中に含まれるハドロンが崩壊してμ 粒子となった J/ψ粒子崩壊でできるミュー粒子はZ 粒子の場合ほどIsolateしていない。 → Isolationのカットを緩めるか、 はずしてみる。 6 多重散乱 荷電粒子が物質中を通過する場合,クーロン力による 多重散乱で軌道が曲がる z: charge number of the injected particle 7 多重散乱によるミュー粒子軌道の曲が り CDFの物質は、主に鉛と鉄で、5mほどの厚さ。 運動量 30-40 GeV → 数mm (Z粒子崩壊のミュー粒子) 運動量 1 GeV → 数cm (J/ψ粒子崩壊のミュー粒子) 8 粒子の同定,電荷・運動量の測定 ミューオン検出器 CMP CMU 最小電離作用のみ ハドロンカロリメータ 横方向消失エネルギー 電磁カロリメータ 電磁シャワー ソレノイド電磁石 粒子飛行時間測定器 ハドロンシャワー ドリフトチェンバー シリコン飛跡検出器 衝突点 9 DXU, DXP 分布 μ粒子検出器 DXP CMP 鉄シールド DXU CMU 運動量小 運動量大 多重散乱による軌跡の曲がり: Δx∝1/p 運動量 1 GeV → 数cm (J/ψ粒子崩壊のミュー粒子) |Dxu|<2cm のカットはキツすぎるか? 10 J/ψの質量測定ーヒント ヒストグラムのbin数 myZmass.C中、 TH1F *h_ZmassF = new TH1F(“h_ZmassF”, “Z mass in GeV (w/CUT)”, 50, 40, 130); ヒストグラムの横軸下限 ヒストグラムの横軸上限 MJ/ψ~3 GeVのまわりを 詳しく見れるように上下限 を設定しなおす。 フィット範囲についても同 様。 11 解析結果を得る ガウス関数でフィットする 測定結果の中心値 ピークの位置 測定結果の誤差 ガウス分布(標準偏差σ)する変数をNサンプル取って きたとき,その中心値がもつ誤差:σ/√N 世界平均の値 3.096916±0.000011GeVとのずれは, 統計によるゆらぎの範囲内か? 統計によるゆらぎ(ガウス分布の場合) 1σ以内 ~68% 2σ以内 ~95% 3σ以内 ~99.7% 12 Dxu・Dxpのカットに関するヒント J/ψ解析の時には、教科書に載っているΔxのカットはきつ過ぎる。 以下のコマンドを各自ROOTで実行し、分布を見ながらカットを決めるべき。 TFile f("/home/wmass/mumu2.root"); TTree *t = (TTree *) f.Get("ZMASS/h1"); t->Draw("Dxu1", "Dxu1!=0&&abs(Dxu1)<50"); 13 カットに関するヒント(2) 信号の高さS バックグラウンドの高さB カットをキツくしてみたときに、S/Bが大きくならない → そのカットは効いていない。 → カットをはずすか緩めるべき。 14 Ntupleデータを使った解析 Ntupleデータの変更 myZmass.h 事象選択.カット値の変更 myZmass.C (CUT 条件) TFile(“/home/wmass/mumu1.root”)のところ mumu1.root (Z粒子データ)→ mumu2.root(J/ψデータ) μ粒子候補の横方向運動量PTのカット値 DXU,DXPのカット値 Isol (Isolation)のカット値 不変質量分布プロットの範囲変更 ガウス関数フィットの範囲指定 15 Fe/Cuデータの解析 Fe/Cuデータの解析は、今回と次回の2回で各自時間配 分を考えて行うこと. Z(Fe)=26, Z(Cu)=29 Zが大きいのでμ-の原子核捕獲の影響が大きくなる μ-の見かけの寿命が短くなる. ref. Zal=13 ストッパー(アルミ,ステンレス, 銅)の厚さ,シンチレータ のサイズなどは,実験条件として記録しておくこと. 16 今後の日程 1月9日(水)第8回:データ解析、グループ内議論 1月11日(金)第9回:発表会 発表会は、全員がそれぞれ5~10分くらい話すように、 やった内容を班ごとに分割すること。 1月25日(金)レポート締切 提出先:自然学系棟D208 (内線4270) D208室内テーブル上の実験III用レポート提 出BOX 今回と来週は、μ粒子の寿命と、Z・J/ψ質量の解析をまと める。 各自時間は自由に使ってよい。 17 レポートに関する注意事項 手書き・ワープロどちらでもよい。 自分の言葉でやったことを纏めること。 以下は大幅減点の対象とする。 テキストの丸写し 友達・過去のレポートを丸写し 18 実験スケジュール 第1回(12/5/水):素粒子物理概説,μ粒子寿命測定法, 同軸ケーブルとインピーダンス,NIMモジュールの機能. 第2回(12/7/金):シンチレーション・カウンターの理解,HVカーブの測定. 第3回(12/12/水):タイミング・カーブの測定 第4回(12/14/金):寿命測定回路のセットアップ,寿命データ収集開始(Al) 第5回(12/19/水):[データ収集継続(Al)] UNIX入門,PAWを用いたμ粒子寿命測定 データの解析法 第6回(12/21/金):[データ収集継続(Fe)] Z粒子質量測定法概説,CDF検出器の概説, Event display,Z粒子の質量 第7回(12/26/水):[データ収集継続(Fe)] 軽い粒子(J/ψ)の質量 第8回(1/9/水):データ解析とグループ内でのまとめ 第9回(1/11/金):発表・討論 レポート提出(1/25/金):第9回の一週間後が締め切り J/ψ質量再構成のヒント Z→μ+μ-の場合 MZ に比べてMμは非常に小さ いので次のように近似できる 各自、両方の正確な 式・近似式両者を試し て実感してほしい。 Zのときは運動量が大きいμ粒子を見ていたが、 J/ψ崩壊のμ粒子はそれほど運動量が高くない ので、Z粒子のときと同じ近似が成り立たない。 20
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