第7章 ルーティングプロトコル (経路制御プロトコル) 情報通信ネットワーク 1 7.1 経路制御(ルーティング)とは 4407402 丹野 雅弘 情報通信ネットワーク 2 7.1.1 IPアドレスと経路制御 ・ 経路制御(ルーティング) ルーターがパケットを正しく宛先ホストへ転送 する為の処理 ・ 経路制御表 ルーターが次に送信するためのルーターの 宛先IPアドレスを参照するための情報が入っ ている表 ↓ 正しい情報が入っていないと目的のホストに パケットが届かない。 情報通信ネットワーク 3 7.2.2 スタティックルーティングと ダイナミックルーティング(1) • スターティックルーティング(静的経路制御) ・ルーターやホストに固定的に経路情報を設定 する方法 ・人の手によって経路情報の入力が行われる ネットワークが一つ追加されると、すべての ルーターに情報を設定する必要がある ・異常が発生したら、管理者が手作業で設定を 変更する必要がある 情報通信ネットワーク 4 7.2.2 スタティックルーティングと ダイナミックルーティング(2) • ダイナミックルーティング(動的制御) ・ルーティング(経路制御)プロトコルの設定を する必要がある。 → プロトコルによって設定の仕方が変わる。 ・ネットワークを追加したルーターのみ設定を変 更すればよい。→ 管理の手間がかからない。 ・障害が発生しても迂回路を設定しておけば、 自動で経路の設定を変更する。 ・隣り合うルーター間で定期的な通信をする必 要がある。 情報通信ネットワーク 5 7.2.2 スタティックルーティングと ダイナミックルーティング(3) 情報通信ネットワーク 6 7.3.3 ダイナミックルーティングの 基礎 • 隣り合うルーター間で自分が知っているネット ワークの接続情報を教え合う。 • バケツリレー式にネットワークの隅々まで情 報が伝わると経路制御表が完成し、IPパケッ トを正しく転送できるようになる。 情報通信ネットワーク 7 7.2 経路を制御する範囲 4407402 丹野 雅弘 情報通信ネットワーク 8 1.自律システム 組織の内部で経路制御に関するルールを 決めて、それを基に運用する範囲 ↓ つまり 同一の決まり、考え方(ポリシー)によって 経路制御を管理する組織のこと 自律システム(AS:Autonomou System)は、 経路制御ドメイン(Routing Domain)ともいう 情報通信ネットワーク 9 2. 自律システムの例 • 地域ネットワークやISPの内部 ネットワーク構築、管理、運用する管理者(又 は運営者)が、経路制御に関する方針を立て、 その方針に従って経路制御の設定が行われ る。 情報通信ネットワーク 10 3. AS内とAS間 IGP: ドメイン内のルーティング プロトコルで、自律システ ムの内部でダイナミック ルーティングに利用され る。 EGP:ドメイン間のルーティン グプロトコルで、自律シ ステム間の経路制御に 利用される。 情報通信ネットワーク 11 4. EGPとIGP • EGP(Exterior Gateway) 地域ネットワークやプロバイダ間の経路制御を行う。 世界中の組織と通信できる。 BGP(Border Gateway Protocol)を利用。 • IGP(Interior Gateway Protocol) 地域ネットワークやプロバイダ内部のどのホストなの かを識別する。 組織内部の通信ができる。 RIP(Routing Information Protocol)やRIP2、OSPF (Open Shortest Path First)を利用。 情報通信ネットワーク 12 7.3 経路制御アルゴリズム 4407402 丹野 雅弘 情報通信ネットワーク 13 1. 距離ベクトル型 • Metric:経路制御で使われる距離やコストなど 転送の判断に使われる指標。 • 距離(Metric)と方向によって目的のネット ワークやホストの位置を決定する方法。 • ルーター間で、ネットワークの向きと距離に関 する情報が交換される。 • ネットワークの構造が複雑になると経路制御 情報が安定するまで時間がかかる(経路の 収束)。 情報通信ネットワーク 14 1. 距離ベクトル型(2) 各ルーターのネット ワークへの距離の 情報は必ず異なるた め情報が正しいか判 断できない。 情報通信ネットワーク 15 2. リンク状態型 • ルーターがネットワーク全体の接続状態を理 解して経路制御表を作成する方法。 • ネットワークの構造は、どのルーターにとって も同じなので、持っている情報はすべて同じ。 • 経路制御情報を他のルーターと同期させるこ とができる。 • 各ルーターは正しい経路制御情報を持つこと で、安定した経路制御を行うことができる。 情報通信ネットワーク 16 3. 主なルーティングプロトコル 情報通信ネットワーク 17 7.4 RIP (Routing Information Protocol) 4407036 榊原 悠 情報通信ネットワーク 18 RIPとは・・・ ネットワーク内でルータなどの制御機器 が経路情報を相互に交換するためのプ ロトコル TCP/IP用やIPX/SPX用など上位のプロ トコルごとに種類があり、それぞれ全く違 うものである.ルータ等の制御機器は、 RIPで得た経路情報を元にパケットをどこ に送ればよいかを判断する 情報通信ネットワーク 19 RIPの概要 ルータ-Bは ネットワークA まで距離2 ② ルーターA ルーターB ネットワークA ルータ-Dは ネットワークA まで距離3 ルーターC ② ① ① ルータ-Aは ネットワークA まで距離1 ③ ③ ルータ-Bは ネットワークA まで距離2 ルーターD ルータ-Cは ネットワークA まで距離3 ① 自分が知っている経路制御情報をブロードキャストする.(30秒に1回) ② 知った情報に距離を1足してからブロードキャストする. ③ このようにして少しずつ情報が伝わっていく. 情報通信ネットワーク 20 経路決定 RIPは距離ベクトルにより経路を決定す る 距離の単位は「ホップ数」 目的のIPアドレスに到達する時,できる だけホップ数が小さくなるような経路を選 択するよう制御されている 情報通信ネットワーク 21 距離ベクトルにより経路制御表を作成 距離ベクトルデータベース IPアドレス 方向 距離 192.168.1.0 192.168.1.1 1 192.168.2.0 192.168.2.1 1 192.168.3.0 192.168.2.2 2 192.168.3.0 192.168.2.3 3 192.168.4.0 192.168.2.2 3 192.168.4.0 192.168.2.3 2 経路制御表 IPアドレス 方向 192.168.1.0 192.168.1.1 192.168.2.0 192.168.2.1 192.168.3.0 192.168.2.2 192.168.4.0 192.168.2.3 情報通信ネットワーク 22 RIPで経路が変更される時の処理 ネットワークが切れたと判断した場合に はその情報は流れなくなり,他のルータ ーはネットワークが切れたことを知ること が出来る しかし、これだけではいくつかの問題 が発生する 情報通信ネットワーク 23 RIPで経路が変更される時の処理 無限カウント ◦ 距離16を通信不能にする ◦ スプリット経路情報を教えられたインターフェースに は教えられた経路情報を流さない(Split Horizon) ループがあるネットワーク ◦ ポイズンリバース ◦ トリガーアップデート 情報通信ネットワーク 24 RIP2 RIPを運用して得られた様々な経験を基 にして改良が行われたプロトコル マルチキャスト使用 サブネットマスク対応 ルーティングドメイン 外部ルートタグ 認証キー 情報通信ネットワーク 25 7.5 OSPF (Open Shortest Path First) 4407036 榊原 悠 情報通信ネットワーク 26 OSPFはリンク状態形の ルーティングプロトコル リンク状態型のルーティングプロトコル ルーターがネットワーク全体の接続状態 を理解して経路制御表を作成する方法 情報通信ネットワーク 27 ネットワークAとルー ターAはつながってい ます。 ルーターA ルーターB ルーターC ネットワークA ルーターD ネットワークAとルー ターAはつながってい ます。 ネットワークAとルー ターAはつながってい ます。 情報通信ネットワーク 28 トポロジーデータベース ルーターA ルーターB ルーターC ネットワークA ルーターD 情報通信ネットワーク 29 OSPFでの経路 ルーター FDDI100Mbps メトリック=10 ホスト ルーター ATM 155Mbps メトリック=10 ホスト ルーター イーサネット10Mbps イーサネット10Mbps メトリック=100 メトリック=100 ルーター ルーター シリアル回線57kbps メトリック=10000 RIPでの経路 情報通信ネットワーク 30 OSPFの基礎知識 OSPFでは同一リンクに接続されていて、 経路情報を交換するルーターを隣接ル ーターと呼ぶ イーサネットやFDDIなど、複数のルータ ーが同一リンクに接続されているときに は、指名ルーターが決められ、そのルー ターを中心に経路制御情報が交換され る 情報通信ネットワーク 31 OSPFの基礎知識 RIPではパケットの種類は1つしかなかっ たのでネットワークの数が多くなれば、毎 回交換 する経路制御情報のパケットが 大きくなってしまっていた。 OSPFでは、役割ごとに5種類のパケット を用意しているので、トラフィックを軽減さ せながらよりスピーディーに経路を更新 できるようになっている。 情報通信ネットワーク 32 OSPFの基礎知識 表:OSPFパケットの種類 タイプ パケット名 機能 1 Hello 隣接ルーターの確認、指名ルーターの決定 2 データベース記述 データベースの要約情報 3 リンク状態要求 データベースのダウンロードの要求 4 リンク状態更新 データベースの更新情報 5 リンク状態確認応答 データベースの確認応答 情報通信ネットワーク 33 OSPFの動作の概要 LANの場合 10秒に一回Helloパケットを送信 4回(40秒)待っても返事が来ない場合 接続が切れたと判断 リンク状態更新パケットを送信 情報通信ネットワーク 34 リンク状態データベース 経路制御表 ネットワーク ルーター メトリック IPアドレス 次のルーター 192.168.1.0/24 ルーターA 10 192.168.2.0/24 ルーターA ルーターB ルーターD 10 192.168.1.0 192.168.2.0 192.168.3.0 192.168.4.0 192.168.1.1 192.168.2.1 192.168.2.2 192.168.2.3 192.168.3.0/24 ルーターB ルーターC 10 ルーターC ルーターD 10 192.168.4.0/24 ホスト 192.168.3.0/24 192.168.3.1 ホスト 192.168.1.1 ルーターA ルーターB 192.168.2.1 192.168.3.2 ルーターC 192.168.2.2 192.168.4.2 192.168.2.3 192.168.1.0/24 192.168.2.0/24 192.168.4.1 ルーターD 情報通信ネットワーク 192.168.4.0/24 35 階層化されたエリアに分けてきめ細かく管理 ネットワークが大きくなると経路制御情報 の計算が大変になる 計算の負荷を軽減するため、エリアとい う概念を取り入れる 情報通信ネットワーク 36 自律システム(AS)内 エリア1 エリア2 エリア3 ルーター① ルーター① ルーター① ルーター⑤ ルーター② ルーター② ルーター② ルーター② ルーター④ ルーター③ エリア0 バックボーンエリア 情報通信ネットワーク 37 バックボーンエリア エリア0 エリア1 C D エリア0、エリア2、外部経 路の経路情報は、C、Dの それぞれのルーターから の目トリックの情報として 流される。 B エリア2 A E ルーターEがデフォルト ルートになるように、経路 情報を流す 情報通信ネットワーク 38 7.6 BGP (Border Gateway Protocol) 4407036 榊原 悠 情報通信ネットワーク 39 BGPとAS番号 BGP(Border Gateway Protocol)は AS間の情報伝達を行うためのプロトコル AS間の経路制御にはAS番号を用いる 情報通信ネットワーク 40 AS番号 ASの識別を行うためASごとに割り 当てられる16ビットの番号。 番号の発行はJPNIC (Japan Network Information Center)が行っている 番号例:ISP = DION:4732 OCN:4713 So-net 2527 情報通信ネットワーク 41 AS番号でネットワークを管理 AS1 組織 ISP ● ○ EBGP 地域ネット IX ダイアルアップ ○ ● AS2 EBGP EBGP 組織 ● ○ IBGP ● ○ ISP ISP AS3 情報通信ネットワーク 42 なぜAS番号を使うのか? 大規模なネットワークには集約できない複数のネット ワークアドレスが存在。 アドレスを別々に扱っての経路制御は大変。 AS単位での経路制御 情報通信ネットワーク 43 BGPは経路ベクトル BGPは目的とするASまでに通過するAS番号を AS経路リストとして収集 経路選択の際にAS経路リストから より短いルートを選択 情報通信ネットワーク 44 経路ベクトルの利点 どのASを通過するのか分かるのでルー プの検出ができる。 パケットの転送時に通過するASを指定 することができる(ポリシー経路制御) 情報通信ネットワーク 45
© Copyright 2024 ExpyDoc