行動と社会関係 第13回 演習6:BARNGAのふりかえり きょうの予定 前回のふりかえり・論点の整理 ふりかえり用のゲーム『合点上等!』 その他 書き込み [1] 僕も班によって配られている紙が違うのを見て、 そこに何らかの意味があるのだろうと思ってい たのですが、結局自分は最後まで最初の班から 離れなかったので分かりませんでした。班のメ ンバーが毎回入れ替わり、最後の方は元々その 班のルールでやっていた人たちの方がマイノリ ティー化していたのに、そのルールだけは残る (あるいは侵入者にルールが変えられる)、と いうところに面白さを感じました。 書き込み [2-1] 私も同じことを思いました。最後の1回でやっ と移動をして班によってルールが違うことを 知ってたとき、私が元いた班には最初からのメ ンバーが誰もいなかったのにはじめのルールで 行われていたことのおかしさに気づき、笑って しまいました。 書き込み [2-2] あと、それと同時にちょっと自分は世間知らず だったみたいな気分になりました。まだ、ルー ルが反語とに違っていることに気づいていな かったときは新しく入ってきた人がルールをい ちいち確認することについてまだルールを理解 できていないのかと感じていたのに、実際に大 きな世界を理解できていなかったのは、(イロン ナ世界があることを理解できていなかったのは) 自分だったのかぁっと思い、自分だけ取り残さ れた気分になりました。 書き込み [3] 最後の最後まで騙されてた。「ルールも分かってねーバ カヤローがまた来たよ・・・」と何度もおもった・・・。 最初の班からずーっと動かなかったため、そこの班での ルールできっちり洗脳されており、他の班が違うルール でやっていたことなど知る由も無かった。毎回来る新た なメンバーを、自分の班のルールで飲み込んでいた。授 業が終わって、帰り際に種明かしをされてあっけにとら れた。 アイデンティティーとか、ある社会の中での異社会の人 が受ける心理的・物理的行動規制について考えさせられ た。このゲームはある意味、「沈黙は金」なわけですね。 書き込み [1] 2001年度秋(掲示板) 1回目のゲーム終了時、別のテーブルから移動し てきた人がどうも不服な表情で私たちのゲーム に参加しており何かおかしいと気付いた時に、 全員が「ルールが違う…?」と勘付き始めまし た。2回目以降で、自分自身が他のテーブルに移 動するとそれはすぐにはっきりしました。そこ で、私はその場でのルールを身振り手振りなど で教えてもらい、すばやく対応することでゲー ムの混乱に対処した。 書き込み [2-1] 2001年度秋(掲示板) (中略)しかし、私達は、つい、自分達が気づ いていたばかりに、不思議そうに首をかしげる その人に、「とりあえず一番強いのはこのマー クだから!」とみせて、ゲームを進めてしまっ た。結局、ゲームが終わってからその人はしか けに気づき、「そうだったの~?!」と驚いて いたのだが、私達は、「まだしかけに気づいて いない人もいるかもしれない、そしてその人に 言葉を使わずに、しかけのことを説明しなけれ ばならない」という発想に欠けていたと思った。 書き込み [2-2] 2001年度秋(掲示板) 今回のゲームは、言葉が使えない、ということ が大きなハンデになったが、実際は、相手と価 値観や文化がまったく異なれば、意思疎通を図 ろうとしても、言葉が使えないのと同じくらい 困難になるだろう。 書き込み [2-3] 2001年度秋(掲示板) ルール。それは、国、町、学校、会社、個人な ど、あらゆるコミュニティにおいて異なる。そ して、自分が新しいコミュニティの一員になっ たとき、新しいルールにいかにして気づき、そ れをどう受け入れるか。また、自分のコミュニ ティに新しい人間が入ってきたとき、その人に 自分達のルールをどう伝えるか。そしてその ルールを理解してもらえなかったり、反発を受 けたとき、どう対処するか。そんな、私達の実 生活でも直面しそうな問題について考えさせら れる、興味深いゲームだった。 書き込み [3-1] 2001年度秋(掲示板) 面白かったなぁと思ったのは、新しく入ってき た人というのはその班のルールに必ず従うとい うことです。大人数が「それは違う、こういう ルールだ」というように身振りなどで訴えてい ると、それをくつがえそうとはするかもしれな いけれど、最終的には班のルールに従っていき ました。実際私も、途中からだんだん下の班に うつっていくことになり、何も言わず、その班 のもとあるルールを受け入れて、それに従いま した。 書き込み [3-2] 2001年度秋(掲示板) 班の半分以上はもとからその班だったわけでは ないという状況でも、移動した先のルールを ずっと守っていくと思います。 単純に、多数派の意見のほうが強いということ を感じたうえで、一度あるルール、環境に順応 すると、そのまま従い、環境が変わると臨機応 変に新たに順応することができるということを 感じたゲーミングでした。 書き込み [4] 2001年度秋(掲示板) あとはルールが前の場と異なっていることをそ の場の人がすぐには知らせてくれない場合もあ りました。場ごとにルールが異なっていること を知らないとそうなりますが、意図的に知らせ ないということもできるわけですよね。 ゲームについて BARNGA Sivasailam Thiagaraganによるデザイン(1990) 前回は、新井(千葉工大)による修正版をさら に加藤が修正したものを10グループで実施。 ルールは7種類。 テーマ 異文化コミュニケーション カルチャーショック 同調的行動 適応・再適応 ルールの生成・ルールの受容 コミュニケーション ルールのバリエーション →基本的なふるまいはおなじだが、評価基準が ことなるという状況を再現 微妙なちがいには気づきにくい しゃべってはいけない…というルール →お互いに共通の言語をもたないという状況を 再現 言語によるコミュニケーションが不可能な場合にどうす るか 状況にどう対応するか 【移動した人の場合】 ちがう〈場〉 であることに気づくか あたらしい〈場〉にどう適応するか ルールをどう理解するか どうやって教えてもらうのか 移動先のルールに従うのか ルールを変えることは可能か 状況にどう対応するか 【あたらしく人を迎えた場合】 ちがう〈場〉から来たことに気づくか 〈場〉の変化にどう適応するか ルールをどう理解するか どうやって教えるのか ルールを変えることについて考えるか 言語・文化 たんなる言語ではなく、「ローカルな」ことば、 専門用語、俗語などもふくめた〈場〉に固有の 行動様式として考えてみる。 自然言語・人工言語 方言 慣習 裏ルール(暗黙の了解) 伝統 たとえば ごく身近なところで考えてみる: ある組織やグループに固有の言語(ルール・慣習)が、 どうやって身についていくか。 意識的に使っているか 無意識的に使っているか。 「わからない」ひとにどうやって対応しているか。 新参者 あたらしいメンバーをどうやって〈場〉に参加 させればよいか。 異文化という文脈 プロジェクト・ゼミなど 組織・グループワーク メンバーシップの問題 言語の獲得 儀式・儀礼的 アクセスの問題 ルールが守られない状況 ルールを破った人間を「無知」だと思うか じぶんの理解を不安だと思うか。 ルールがちがっていた、という可能性について はどうやって気づいたか。 同調的行動 とりあえず、様子を見る? もし、おなじルールを共有する仲間が増えたと きにはどうするのか。 たんなる人数の問題かどうか。 元にもどったとき、「安心感」を感じたかどう か。 ルールをどう理解するか ルール自体を変えよう(=あたらしいルールを つくろう)という気持ちになったか。 ルールの多重性 ルールが似ているからこそ、理解できる。 切り札とジョーカーの役割さえ理解すれば、「勝ち方」 はわかる。 ルールが似ていればいるほど、その相違による ショックは大きい。 日常的なルールについては、その潜在的な多様 性さえ考えないことがある。 クリティカルシンキング 今回の設定では 切り札とジョーカーの強さのみが変更されてい た。 右回り・左回り 数の大小 その他 ルールのバリエーション もし、まったくちがう「遊び」だったらどう だったか。 ルールがちがうということにはすぐ気づくか、 適応には時間がかかるかもしれない。 今回の設定について(注) ルールを把握していること=勝つことができる というわけではない。 トランプによるゲームだという側面。 時間の制約によって「勝ち負け」は変わる。 同数だった場合、「くじ引き」的に決まってしまう。 移動するということ 仮に、勝つひと=ルールを把握する(文化に適 応する)能力がある、と仮定したとき: 移動先に、あたらしいルールを伝えるという使 命感はあるか。 「組織を変えよう」という試み。 “味方”をつくることは必要か。 すでにあったルールとどのように折り合いをつけるか 留まるということ 意識的に留まる:その〈場〉のルールを維持し ていこうという意識はあるか。 移動できずに留まる:なぜ移動できないのかと いうことについて、どのような感受性があるか。 ルールの継続性:ひとが移動しても、ルールが 残る…という状況はどのように理解すればよい か。 ルール 人々の社会関係は、さまざまなルールを意識 的・無意識的に受容することで、構成される。 ルールは、「絶対的」であるとはかぎらない。 つまり、ルール自体も人々の社会関係のなかで 変容しうる。
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