基礎情報技術 ー第2日目ー

基礎情報技術
ー第2日目ー
平成26年4月17日(金)
担当:亀田
ウォームアップ
問題:プログラミングに必要な才能は何?
1.優れた数学者の論理性
2.エジソンのような工学(エンジニア)の才能
3.銀行員のような作業の正確さ
4.推理作家のような発想力
5.ビジネスマンの実務性
6.協働作業をいとわない性格
7.経営的な関心も理解できる能力
8.その他(具体的に:
)
2
© 2015年 東京工科大学 Hiroyuki Kameda
それでは始めましょう
3
これまでのポイント(確認)
• ITのプロになるためには何が必要か?
これを考えるための素材をお話しました。
ちょっとしつこくて
御免なさい!
4
これまでのポイント(確認2)
•
•
•
•
SEの仕事はプログラミングだけではない
ソフトウェアのライフサイクル
オブジェクト指向
モデリング言語 UML など
5
今日の内容
• UMLの概説
• Javaプログラミング など
• 今日の課題(課題番号No1)
6
UMLの歴史
• (前回資料参照)
• とにかく、いいプログラムはいい設計が大切、
という観点から、さまざまな開発手法が考えら
れてきた。
7
それでわかったこと
• 要求仕様の明確化
• それに基づくきちんとした設計
– プラットフォームに依存しない
「機能やサービス」のレベル
– プラットフォームに依存する
「実装」レベル
• 設計にきちんと基づく「実装」
• 要求仕様に対応した検証 が大切
8
• これらのレベルごとに、当該システムを
モデル化することが大切。
• その際、モデルを記述する表現(言語)
が必要。
=> UML の登場!
UMLはモデル記述のための言語(図で標記)
9
UML各種ダイアグラムの紹介
– ユースケース図
– クラス図
– その他のUML図
10
UMLとは
(ソフトウェア工学的観点から)
• UML(Unified Modeling Language)
– システム開発の分野で現在最も注目されている
ツール(仕様等の記述言語)の1つ。
– システムの構想をビジュアルに表現できる。
(visual language)
– 誰とでも誤解なく意思疎通できる。
(communication tool)
何を作るのかは、明確にし
ておかなければ…
11
UMLとは
(言語論的観点から)
• UMLは言語 の1つ
– 言語
• 音声言語 (Spoken Language):
– 所謂話し言葉
– 若者語 etc.
• 文字言語 (Written Language) :
– 書き言葉
– 法律文 etc.
• 視覚言語 (Visual Language):
– 手話 (sign language)
– ダイヤグラム(Flowchart, UML etc.) etc.
12
ちょっと雑談(1)
• 言語とは
– 思考のための道具
– 知識を記述し蓄えるための道具
– 意思疎通のための道具
上記のことを意識しておくことが大切!
13
ちょっと雑談(2)
• UMLとは
UMLも
1つの言語
– 思考のための道具
– 知識を記述し蓄えるための道具
– 意思疎通のための道具
通常はこの点のみが
強調されている
14
ちょっと雑談(3)
• Syntax v.s. Semantics
(統語論 v.s. 意味論)
• 表現形式 v.s. 意味内容
15
ちょっと雑談(4)
• Syntax v.s. Semantics
(統語論 v.s. 意味論)
• 表現形式 v.s. 意味内容
今日はこちらに
重点を置く
こちらの理解が
本質
16
参考情報
• 思考と言語について
– ヴィゴツキー:“思考と言語,” 柴田義松(訳),
新読書社(2001).
– 柴田義松:“ヴィゴツキー入門,”寺小屋新書(2006).
– 思考と言語研究会(電子情報通信学会)
( http://www.ieice.org/~tl/what.html )
• 意味への取り組みについて
– Semantic Web(http://www.w3.org/2001/sw/)
– Semantic Computing(http://www.instsec.org/)
– Web2.0,Web3.0
17
推薦図書
• Sterling & Taveter,
The Art of Agent-Oriented Modeling,
MIT Press (2009).
18
Contents of the book
I.
Models
1.
2.
3.
4.
5.
6.
Introduction
Concepts
Models
Quality
Agent Programming
Platforms and
Languages
Viewpoint
Framework
II. Applications
7.
Agent-Oriented
Management
Systems
8. Industry-Related
Applications
9. Intelligent Lifestyle
Applications
10. An E-Learning
Application
19
要求分析の練習
1. As_is分析
– 現状業務はどうなっているのか?
– 人・モノ・お金・情報などの流れ
– 業務手順
– サービスの現状 など
2. 改善点,問題点の洗い出し
3. To_be分析
– 理想の業務形態はこれだ!
20
さて、…
21
UMLとは
• これから作ろうとしているシステム(ソフトウェ
ア)の概念をさまざまな側面から切り出し、
表現する図(ダイアグラム)群のこと。
作りたいと思っているもの
→ 概念
→ 仕様
→ 実装
完成したシステム(ソフトウェア)
22
UML2.0で使用する図
ユースケース図
クラス図
オブジェクト図
シーケンス図
ステートマシン図
(ステートチャート図)
6. アクティビティ図
7. コンポーネント図
1.
2.
3.
4.
5.
8. コミュニケーション図
(コラボレーション図)
9. 配置図
10. 合成構成図
11. タイミング図
12. 相互作用概念図
13. パッケージ図
23
各図の概要
• クラス図
– 分析、設計領域の静的な構造を明確化
• オブジェクト図
– 複数のオブジェクトの状態を表現
• パッケージ図
– 複数のパッケージ間の関係を表現
• 合成構造図
– クラスなどの内部構造を表現
24
各図の概要(2)
• コンポーネント図
– ソフトウェアコンポーネントの構成を表現
• 配置図
– システムのハードウェア構成を表現
• ユースケース図
– 外部から見たときのシステムの機能を表現
• アクティビティ図
– 処理の流れを汎用的に表現
25
各図の概要(3)
• シーケンス図
– ライフライン相互のメッセージのやり取りを時間の
流れに着目して表現
• コミュニケーション図
– ライフライン相互のメッセージのやり取りを、オブ
ジェクトに着目しつつ表現
• 相互作用概念図
– 複数の相互作用の関係を一段上の目線で表現
26
各図の概要(4)
• タイミング図
– ライフラインの状態変化を時間の経過順に表現
• ステートマシン図
– 時間の経過とともに変化するオブジェクトの状態
を表現
27
以下、重要なものを取り上げ
一つずつ説明します。
28
ユースケース図
• 定義:
– システムの機能・要件(ユースケース)を
ユーザ等(アクター )の視点で示した図
– システムの使われ方(要求・機能)を記述するた
めの図
要件(ユースケース)やアクターを具体例で示す。
29
(参考) ユースケース
• ユースケースを図示する方法が
ユースケース図である。
• ユースケース(システム要求機能)の
記述方法は、場合によってはテキストでも
良い。
– ユースケースシナリオ
– ユースケース記述
30
ユースケースの参考図書
・Alistair Cockburn: Writing Effective Use
Cases, Addison-Wesley, ISBN
0201702258 (2000)
・ユースケース実践ガイドー効果的なユース
ケースの書き方:アリスターコーバーン,
翔泳社, ISBN 4798101273(2001)
講義では省略します。By KAMEDA
31
システムの具体例
• 例:
– 講習会予約システム
– 缶ジュースの自動販売機
– トランプゲーム(BlackJack)
– お風呂温度・水量設定システム
– スケジュール閲覧システム
– チャットシステム
32
講習会予約システム
33
講習会予約システム
• 申込みをしている風景
タンジブルソフトウェア入門
と人工知能特論コースを取
ろうかなぁ…
講習受講希望者
34
Model: Chiaki KUBOMURA 協力:山野美容芸術短期大学
講習会予約システム
• 事務処理をしている風景
タンジブルソフトウェアは
空いているけど、人工知
能特論はどうかなぁ…
受講登録事務員
35
Model: Chiaki KUBOMURA 協力:山野美容芸術短期大学
講習会予約システム
• 要件(要求される機能):
– 申込み
– キャンセル
– 領収書発行 など
• アクター:
– 受講者
– 経理担当
– 顧客管理システム
36
缶ジュースの自動販売機
• 要件:
– コイン投入待ち
– 金額計算
– 販売可能商品の表示
– 購入希望商品の選定
– 商品の出力
– 釣銭の出力
• アクター:
– 購入者
37
トランプゲーム(BlackJack)
• 要件:
– カードシャッフル
– カード要求
– 持ち札の把握
– 勝敗の判定
– 勝敗結果の表示
• アクター:
– プレイヤ
38
講習会予約システム(再)
• 要件(要求される機能):
– 申込み
– キャンセル
– 領収書発行 など
• アクター:
– 受講者
– 経理担当
– 顧客管理システム
39
講習会予約システム
ー ユースケース図 ー
40
講習会予約システム
ユースケース
アクター
システム境界
関連
41
ユースケース図の用語(1)
• アクター:
– システムと相互作用する
利用者や外部システムの役割
– ユースケースを駆動する。
– 人間(利用者)、外部システム、ハードウェア
Stickman とも言う
42
ユースケース図の用語(2)
• ユースケース:
– システムが提供する機能(振る舞い)
– アクターとシステムとの対話をモデル化
– ユースケースにより、システムの用途が網羅
ユース
ケース名
43
ユースケース図の用語(3)
• 関連:
– アクターとユースケースとの関係
– 関係があれば線で結ぶ
関連名
• システム境界:
– システムの外部と内部とを区別する。
内部
外部
44
トランプゲーム
ー ユースケース図 ー
(練習:各自で描いてみよう!)
• アクター:___
• ユースケース:___
45
クラス図
• とても重要な図です。
• 特に、programmerにとっては。
プログラマにとっては、
ソースコードの方も
とても大切です。
46
クラス図
• 定義:
– システムの静的な構造を表したもの
– 問題領域やシステムの構造を、
論理的・静的に捉えるためのもの
47
クラス図の例
• 学生と学部
0..*
1
学生
-学生番号
-氏名
-住所
学部
- 学部名
-所在地
-電話番号
+学生情報取得()
+ 入学手続き
+ 休学手続き
+ 転学部手続き
48
クラス図の例
クラス名
• 学生と学部
関係
0..*
1
学生
学部
-学生番号
- 氏名
-氏名
-住所
-住所
-電話番号
属性
+学生情報取得()
+ 入学手続き
+ 休学手続き
+ 転学部手続き
操作
49
クラス図の例
クラス名
多重度
• 学生と学部
0..*
1
学生
学部
-学生番号
- 氏名
-氏名
-住所
-住所
-電話番号
属性
+学生情報取得()
+ 入学手続き
+ 休学手続き
+ 転学部手続き
操作
50
クラス図の用語(1)
• クラス:
– 具体物(インスタンス)を抽象化したもの
– 属性の操作(関数)をもつ
– インスタンスの設計図に相当
クラス名
属 性
操 作
51
クラス図の用語(1)
• クラス:
– 具体物(インスタンス)を抽象化したもの
– 属性と属性の操作(関数)をもつ
– インスタンスの設計図に相当
後で参照する
ためのもの
クラス名
属 性
操 作
属性のみ(属性値なし)
(属性に対する)関数
52
クラス図の用語(2)
•関係:クラス間の相互関係
クラスA
クラスB
関連
集約
合成
汎化
依存
53
クラス図の用語(3-1)
• 多重度:
– クラスから生成されるインスタンス(オブジェクト)
の個数などを表す。
N
M
54
クラス図の用語(3-2)
• 多重度の記述法:
n
1..
1..*
*
1,3,7
nのみ
1以上
1以上
任意の数
1か3か7
例: 3..*
通常は0や1が使われる
他の数字と組合わせて使用
離散値を扱う場合に使用
3以上
55
クラス図の例(再)
クラス名
多重度
• 学生と学部
多重度1
多重度0以上
0..*
1
学生
学部
-学生番号
- 氏名
-氏名
-住所
-住所
-電話番号
属性
+学生情報取得()
+ 入学手続き
+ 休学手続き
+ 転学部手続き
操作
56
練習問題
• (クラス図の作成)
57
クラスの例1
自動車クラス
is-a関係
Racing car is a car.
レーシング
カークラス
バスクラス
タクシークラス
58
自動車のクラス階層(1)
自動車
レーシングカー
バス
タクシー
59
自動車のクラス階層(2)
自動車
レーシングカー
バス
タクシー
60
例:自動車とその部品(1)
車 台
窓ガラス
ボディ
タイヤ
エンジン
ハンドル
61
例:自動車とその部品(2)
車 台
窓ガラス
ボディイ
タイヤ
エンジン
ハンドル
62
例:自動車とその部品(3)
自動車
車 台
ボディ
エンジン
63
例:自動車とその部品(4)
• 自動車のクラス階層
• 自動車とその部品
形式が同じに
なっている!!
これらを区別する方法は…
64
例:自動車のクラス階層
自動車
汎化
特化
レーシングカー
バス
タクシー
65
例:自動車とその部品(3)
自動車
車 台
ボディ
エンジン
66
合成の関係の場合
自動車
車 台
ボディ
エンジン
67
集約の関係の場合
家 族
お父さん
お母さん
子供
68
オブジェクト図
• 定義:
– クラス図に出てくるオブジェクトの相互関係を
示したもの
– 静的構造を把握
69
オブジェクト図の例
クラス図
学部
学生
オブジェクト図
:学部
:学生
CS
鈴木
:学生
佐藤
:学生
田中
70
オブジェクト図の例
クラス図
学部
学生
オブジェクト図
:学部
:学生
CS
鈴木
オブジェクト名
:学生
リンク
佐藤
値
:学生
田中
71
シーケンス図
• 定義:
– オブジェクト相互の協調またはメッセージを、
時間軸に着目して表示する図
72
シーケンス図の例
:obj1
:obj2
73
コミュニケーション図
• 定義:
– オブジェクト間のメッセージのやり取りを、
接続関係に着目して記す図
– シーケンス図とほぼ同じ内容となる。
着目点が異なる。
74
コミュニケーション図の例
1:番号入力
3:実行
2:確認ランプ
:obj01
:検索コント
ローラ
4:結果画面表示
5:結果表示
:検索結果画面
75
ステートマシン図
• 定義:
– オブジェクトの状態の変化や、その変化が起きる
ための条件を表す図
76
ステートマシン図の例
• ジュースの自動販売機
待機中
コイン投入
キャンセル
商品選択
[120円以上]
コイン投入中
購入可
ジュース
販売
[120円未満]
コイン投入
77
アクティビティ図
• 定義:
– システムの動的側面をフローチャートの要領で表
現する図。
(並行処理を表現することができる。)
78
アクティビティ図の例
アクター1
アクター2
79
その他の図
• コンポーネント図:
– ソースファイルなど、システム開発に必要なコン
ポーネントとそれらの依存関係を表現する図
• 配置図:
– システムを実行するハードウェアの配置やそれら
の相互接続関係を表現する図
80
UMLで使う図(再)
1.
2.
3.
4.
5.
6.
7.
8.
ユースケース図
クラス図
オブジェクト図
シーケンス図
ステートマシン図(ステートチャート)
アクティビティ図
コミュニケーション図
配置図 etc.
81
UMLでの5つのビュー(1)
• システム開発を成功させるためには、開発す
るシステムを多様な視点(ビュー)から眺める
ことが大切。
82
UMLでの5つのビュー(2)
•
•
•
•
•
ユースケースビュー
論理ビュー
並行性ビュー
コンポーネントビュー
配置ビュー
83
UMLでの各種ビュー(3)
論理ビュー
ユースケースビュー
クラス図
オブジェクト図
シーケンス図
ユースケース図
アクティビティ図
ステートマシン図
(ステートチャート)
コミュニケーション図
(コラボレーション図)
コンポーネント図
配置図
コンポーネントビュー
並行性ビュー
84
配置ビュー
UMLでの5つのビュー(4)
1. ユースケースビュー: アクタの視点からシステム
の機能を見る視点
2. 論理ビュー: システムの論理的構造をみる視点
(ビジネスロジックなど)
3. 並行性ビュー: 処理の同期・非同期に着目する
視点
4. コンポーネントビュー:開発者のビュー。ソフトウェ
アコンポーネントの依存関係を見るビュー。
5. 配置ビュー: 物理的配置を見るためのビュー
85
UMLでの各種ビュー(3)
論理ビュー
ユースケースビュー
クラス図
オブジェクト図
ユースケース図
アクティビティ図
シーケンス図
状態図
コラボレーション図
コンポーネント図
配置図
コンポーネントビュー
並行性ビュー
86
配置ビュー
ここまでのまとめ
• ソフトウェア開発は大変だ。いいプログラムな
んかなかなかできない。だから、仕様をしっか
り決めたり、きちんとした設計をすることは大
切なんだね。その一助としてモデリング言語
(UML)を用いてモデル化をしっかりやろう。
(上流工程は重要だ!)
87
• UMLの各ダイアグラムの使い方は、システム
開発を実践しながら覚えていきましょう。
(UMLの話はまずはここまで。)
88
クールダウン問題
• プログラミングに関していま一番困っているこ
とは何ですか? 5つ書き下してください。
1.
2.
3.
4.
5.
___________
___________
___________
___________
___________
89
レポート課題No.1
•
大学の掲示版として、「個人専用の掲示板」
を作りたい。自分にとっては、どんなものがい
いのかを考え、以下の3点に関して記せ。
1. 表示画面のデザイン(外見のデザイン)
2. 提供する情報・サービス(情報デザイン)
3. サービスの利用形態(誰がいつ何をどのように等)
仲間と相談し
てもいいよ。
これは最終回に提出してもらいます。
90
次回の予告
• ソフトウェア工学とは
• オブジェクト指向とは
• 各ツールの紹介
宿題
教科書のp.21-28(第2章2.1と2.2)を
読んできてください。
それではまた次週!
91