山形大学と 「NPO法人小さな天文学者の会」の 連携事業

天文教育フォーラム「大学と地域連携による天文教育普及」
日本天文学会2006年春季年会@和歌山大学
2006年3月27日
山形大学と
「NPO法人小さな天文学者の会」の
連携事業
~NPO連携モデルのすすめ~
柴田 晋平
山形大学理学部
NPO法人小さな天文学者の会
NPO法人
小さな天文学者の会
山形大学理学部
地域貢献委員会
はじめに; 危機的な状況
• 科学する心をなくしたら、そりゃ、この世は終わりで
しょう。サイエンスの楽しみ方、実験・解析・検証の方法、ロジカルに考
える癖、これらは若いうちに身につけてほしい。しかし、次世代を担う子
供たちは理科に興味を失ってゆく。プロジェクトに大きな予算がついても、
意欲ある若者が集まるだろうか? いわゆる理科離れの問題
• 市民の科学への関心のレベルも低い。結果として日本の技術力は危機
にあり、技術がもたらす危険への社会的な抵抗力も乏しい。科学技
術でなく科学が単独で価値として理解され支援され
る風土を創りたいがどうだろう?
強力な手段として、NPO連携モデルを
紹介します。
何はともあれ活動内容を紹介をいたします。
大学(宇宙物理研究者4名)とNPO法人小さな天文学者の会
(市民団体:会員数約100名)との共同による活動です。
1998年発足、2003年法人化
方針:
○宇宙を見て、感じて、楽しもう
○自然科学を市民の手に
NPOメンバーの構成
5%
14%
7%
天文台等最先端設備は活動のための必要
条件ではありません。研究者が一人でもでき
ます。
サイエンスにある程度のモチベーションの
ある高校生などを対象に研究的なものに触
れさせるといった類の活動とは一線を隔す
る活動です。
研究者
学生
アマチュア
一般市民
74%
正会員(年会費2000円)約100名
+家族会員
やまがた
天文台
4次元宇宙
シアター
宇宙講座
出前教室
街角で星
毎週土曜日一般公開 (年間利用者約1500人)
ガイドツアー方式
19:15~ 19:45~ 20:15~
参加費 200円 グループによる特別公開あり
星空案内人のおねえさん
最先端
講演会
その他の
イベント
やまがた
天文台
4次元宇宙
シアター
宇宙講座
出前教室
街角で星
4次元宇宙シアター 毎月最終土曜日
2回上映 19:15~ & 20:15
国立天文台4D2Uの提供をうけている。
参加費:500円 グループ上映も随時受け付け
劇団4次元による番組作りと上映。
山形の数値シミュレーションも3D映画化予定
最先端
講演会
その他の
イベント
やまがた
天文台
4次元宇宙
シアター
宇宙講座
出前教室
街角で星
宇宙講座 (高いニーズ)
週一回 全8回の講座を春・秋2期開催
星空入門
望遠鏡と双眼鏡
宇宙はどんな世界
15cm屈折望遠鏡望遠鏡実習
星座観察(実習)
20cm反射望遠鏡実習
星座神話
星空案内人の実際
最先端
講演会
その他の
イベント
星空案内人資格認定制度と
リンクしている
資格をとりいろいろな場面で
自信をもってボランティア活動
していただく。
やまがた
天文台
4次元宇宙
シアター
宇宙講座
出前教室
街角で星
出前教室
「望遠鏡を作って、観る」はもっとも人気のあ
るイベント
小学校や科学館へ出前 Happy^2法則 が
もっとも顕著に現れる事業。
○実像の立体視、○原理の理解、
○望遠鏡製作、○月や惑星の観察(ガリレオ
体験)
街角で月を: 繁華街に出向いて無理やり望
遠鏡を見せる:
普段、空をみることがない
人に感動を
最先端
講演会
その他の
イベント
やまがた
天文台
4次元宇宙
シアター
宇宙講座
最先端宇宙講演会
最先端の宇宙研究を伝える
市民講座を年間1回開催
講師は研究最前線のトップラ
ンナーであり、かつ、市民に
わかりやすく伝えるスキルを
磨いていらっしゃる方にお願
いする。
たっぷりある質問時間が自
慢です。
同時開催の天体写真展
出前教室
街角で星
最先端
講演会
その他の
イベント
やまがた
天文台
4次元宇宙
シアター
宇宙講座
出前教室
街角で星
最先端
講演会
その他の
イベント
随時開催の各種イベント:
火星観望会、七夕観望会、星の写真展、
プラネタリアンの講演、天文台講話、教
育学部学生の模擬授業、、、、、
NHK山形の自然(宇宙)
毎月第二木曜日 18:30
レギュラー番組で天文台でロケ
4年目に突入
わかったこと1
• NPO連携のメリットは想像をはるかに上回る
ものだった。
教材・運営に市民の目線の補正が加わり普及度が
高くなる; 参加者にやさしい運営、やさしい教材。
研究者・大学が持つ資源(資金、マンパワー、知恵)
でできる事業のほぼ2倍の事業規模になる。 Eg. 運
営費60万円+60万円
他分野との連携が生まれる。Eg. 福祉、環境関係の
NPOとの連携。多角経営しなくてよい。
わかったこと2
• うまく行くメカニズムがある。
Happy 2乗 の法則。素材の面白さが生み出す喜び。喜
びを与える素材を提供できる喜び。サイエンスすることのよろこ
びと、豊かな社会をつくる喜び。
夢+夢+の法則。 自分の興味ある宇宙をたよりに、自
分の夢を実現する場を提供している。基本的に自由な活動な
んだけど、企画がわいて出てきて実現する。
良い教材が提供されていることがポイントだろう。宇宙
という素材自身がよいが、良い教材を提供できていることが重
要。これが種となって、Happy2乗の法則が働けば自然に発展
してゆくと思われる。
逆に、メカニズムが働かないと事業は失敗する
わかったこと3
• サイエンスをサポートしてくれる広い支持基
盤が社会につくることができる。(未証明)
毎日の活動で肌で感じることは、科学が浸透してゆく雰囲
気だ。独立法人化で基礎科学がゆくゆく衰退するのでない
かと心配する会員もいる; 子供や孫を天文台や宇宙講座
に連れてくる会員、科学者を目指したいという子供、、、そう
いった宇宙・天文の、そして広くサイエンスのサポータグ
ループが形成されてきた。サッカーや野球と同じ雰囲気で
お茶の間でサイエンスの話題が語られる風土が育っている
のではないか?(ちょっと自画自賛的な評価なので慎みた
いが、NPO連携モデルは推奨できる活動である。)
将来へ向けて
• 指導者養成
• 定常性
天文学の知識をある程度持ったリー
ダーになってくれる方がわれわれの組
織としては不足している。星空案内人
養成講座やNPO指導者養成講座に期
待する。星空案内人ライセンス制度をも
うすこし広めたい: 一緒にやりません
か?
ますます大学の財政は厳しくなっている。とくに地
方大学はひどい。そんななかで、次世代のサイエン
スを支えるという使命を果たすための資金をどのよ
うにして確保するのか?
ご清聴
ありがとうございました