情報通信ネットワーク 第2章 1 伝送方法(図解) アナログ伝送方法 デジタル伝送方法 2 信号 アナログ伝送方式 任意の値 デジタル伝送方式 1か0のどちらか *両者とも利用する回線などの特性の影響(ノイズ)をうける ノイズ補正 アナログ伝送方式 不可能 デジタル伝送方式 可能 例) 0.8→1 0.1→0 3 内部伝送 パソコン内部、他デバイスとの間での伝送 (1と0を組み合わせたデジタル情報をいかに運ぶか) 1と0を電圧の大きさで区別する方法を使う。 TTL・RS232-C・SCSIなどをインターフェース と呼ばれる。 【interface】複数の装置を接続して通信する際の規約で、 コネクタの形状や電気信号の形式などを定めているも の。コンピュータ内部のデータ伝送、周辺機器のデータ 伝送、コンピュータ間の通信など、用途に合わせて様々。 4 TTL 【Transistor-Transistor Logic】 コンピューター内部の伝送は距離が短いため、 最もよく使われ、3~5vで1、0vで0を伝送す る。 さらに速度を上げるため複数の情報を同時に 伝送するパラレル方式が使われている。 本体と周辺機器を接続するデータ転送方式の一つ。 0と1のディジタル情報を1ビットずつ直列式に伝達するシ リアル方式と違い、複数の信号線を使って8ビットを並列 式にまとめて転送する。 5 周辺機器との伝送 コンピューターとキーボードなどの周辺機 器との間は、数メートルの距離が離れてい るため、電圧を大きくする。 +15vで1を示し、-15vで0を示す(RS-232C) 外付けディスクなどのように高速の伝送処 理が必要な装置ではSCSIが使われる。 6 RS-232C 【Recommended Standard 232 version C 】 パソコン本体とプリンタ、モデム、スキャナ などの周辺機器を接続するのに使われる。 かつてシリアル通信方式としては最も普及し ていたが、今ではIBM(International Business Machines Corporation )が主流である。 ケーブルの最大長は約15mで、最高通信速 度は115.2kbps。 Kbps…kilobyte(キロバイト)/second(秒) 7 SCSI 【 Small Computer System Interface 】 コンピュータ本体と外付けハードディスクな どの記憶装置のように、高速の伝送処理 が必要な装置の接続に用いられる。 両端にターミネータを持つバスと、そこに接続 されるSCSIデバイスで構成される。SCSIバ スは、さまざまなフェーズを遷移しながら、 データの転送等を行なう。 Macでは同サイズのコネクタを採用している。 ちなみに読み方は「スカジー」 8 問題点 1 1 1 0 1 0 1 0 1 1 1 0 0 1 0 15v -15v 1 電圧の形で送るために、距離が長くなると信号が 小さくなる。そのため波形が小さくなるだけでなく ゆがみが生じてしまい、受信側で正確にデータを 識別することが難しくなる。 9 アナログ回線について ディジタル信号を無変換で伝送するため、 距離の制限を受ける。 企業や個人によるケーブル敷設→法律で禁止 通信事業者の広域網(WAN)の利用が必要 アナログ回線は古くから利用されている WANのひとつ 10 電話網 アナログ回線の典型→電話網 音声伝送を目的→人間の声が通るように設計 電話回線は3.4kHzの周波数まで通す 信号の周波数範囲が3.4kHz以内なら音声以外 でも伝送可能 1と0のディジタル信号を音を利用して伝送 →モデム 11 モデムの基本的な形 コンピュータ間に1対のモデムを設置 その間を伝話回線アナログ専用回線で 接続 1と0を音の高さで表現 長距離の伝送は音が小さくなる 音の高低(周波数)は影響を受けにくい →元のデータの判別が可能 12 図2.3 アナログ回線とモデム 音の大きさ 13 モデムについて(1) 手動のFAXの「ピーヒョロロ」の音がモデムの信号 効率よく送るために、周波数を複数にわけ、更に 音の大きさを組み合わせることにより、同時に複 数の情報(ビット)を伝送 ディジタル信号をあるルールでアナログ信号に置 き換えること→変調(modulation) その逆→復調(demodulation) modulation + demodulation→モデム(MODEM) 14 モデムについて(2) 周波数の区別の増加→更に多くの情報 を同時に送ることが可能 送信記号と受信記号に微妙な差→モデ ムの設定を自動的に行う 周波数の種類や強弱の区別の増加 28.8kbps,33.6kbpsのデータ伝送が可能 15 図2.4 変調 モデムの動作 復調 16 制御機能について モデムは1と0データを伝送する以外の機 能 コンピュータとモデム間の制御 モデム同士の制御 コンピュータどうしの制御 そのための信号も伝送 モデムが正常な動作状態にあるのかの表示 半二重制御 送信中/受信中の表示 17 図2.5 モデムの制御信号 18 DSUとは? DSU(digital service unit)の略。加入者 宅の端末と局の交換機関を接続する装置。 モデムと似ているが、違いはディジタル回 線では、そこに流れる信号はあくまでディ ジタル信号であるとの前提があること。回 線加入者宅から局まで数キロ~数十キロ あると信号を伝送できないのでディジタル 回線では回線上にデータを乗せるために 用いる。 19 ディジタル回線について(1) ディジタル回線は64kbps以上 銅線と光ファイバを使う。 メタルは128kbps以下の物に使用 光ファイバは192kbps以上の物に使用 ユーザー宅のDUSと局の設備との間は電 話回線と同じケーブルを利用し実際は 384kbpsの伝送を行う。 但しDSUか設備局のいずれかの一方が送信する 半二重方式なので、実質192kbpsの伝送となる。 20 ディジタル回線について(2) 128kbpsを超え、192kbps以上のインター フェースは、一次群インターフェースと呼ば れ、光ケーブルが使われる。 基本は1,5Mbpsのインターフェースで、その 一部を利用する事で 192kbps,256kbps,384kbps,512kbps,768kbps,1Mbps などの速度を作りだしている。 21 交換について 通信するには… コンピュータと局、局と局とを接続していく 通信するコンピュータを自由に選ぶには… 相手を選択できるネットワークが必要 その機能を 交換 と呼ぶ 22 回線交換(1) 通信要求であるcallが生じた場合に、ネット ワークのエンドエンドのユーザ間にまず、 通信路の設定を行う 通信路の設定後に通信路を占有的に用い て通信する 設定された通信路は設定解除を行うまで 通信の有無にかかわらず占有される 23 回線交換(2) 24 パケット交換(1) データを一定量ずつ分割して、パケットとし、目的 地まで交換機で中継しながら送信する方式 送信データを一定の大きさの小包に分割し、これ に荷札を(ヘッダー)をつけてベルトコンベアーの ような通信回線に送り出す パケットには、データの宛先、発信元、パッケトの 順番など情報を付加し、送信される 伝送路や設備の利用効率が高い 通信におけるある程度の時間的な遅れが存在す る蓄積方式 通信速度の異なる端末装置間での通信ができる 25 パケット交換(2) 26 フレームリレー 従来のパケット交換を簡略化し、高速転送ができ るようにしたもの 最大4096文字程度のユーザデータを1フレー ムとし、これを蓄積しながら転送する パケット交換と同様に1本の物理回線上に複数 の論理パスを設定して行う 高速転送や網内遅延の減少によりEND-END でも高スループットが得られる フレームリレーはうまく使えば大変コストパフォー マンスが高いが、フレームリレーの性質や制限、 利用コストなどを考慮しておく必要がある 27 ATM 情報を48バイトの情報と5バイトの制御情報、 合計53バイトの「セル」に分割して送る セルは制御情報に従って自分で宛先を探し 出して着信し、もとの情報に組み立てられる 音声から映像までさまざまな情報を低速から 高速までそれぞれに応じた速度で転送できる ATMのセル データ部分(48バイト) 均等に切り分けられた各種の情報 ヘッダ(5バイト) 各種制御情報が 書き込まれている 28 4通りの交換方法の比較 29 回線交換の動作について(1) 一連の流れ 送信側網に相手の局番号を示す 網では局番号に従って通信ルートを決定 ルート上の交換機が縦列に接続される 着信側のベルを鳴らす ベルに対して応答する 30 回線交換の動作について(2) その動作の結果 発信側から着信側まで一連の装置が一体となる 送信側と着信側の音声を相互に伝達できる状態 通話可能な状態 専用の回線が引かれた状態 送信側の信号は、そのまま着信側から出る 31 回線交換の動作について(3) ☆コンピュータ通信する場合も同様である 一連の流れ その動作の結果 発信側のコンピュータが網に対し、相手の電話番号を通知 網が相手と接続 相手のコンピュータが応答する 通信可能状態 通信中 送信側が送った1/0のビット列がそのまま相手に伝わる 32 回線交換のシーケンス 33 ISDN 今までのアナログ通信を「1」と「0」のデジタル信 号に変えて伝送をすること 3本のチャンネル(論理回線)で構成されている 通信速度16kbpsのDチャンネル (1本)は制御用、 64kbpsのBチャンネル (2本)は通信用である。ま た、2回線を束ねて128kbpsの高速通信を行なう ことも可能である。 2回線同時に使用できるので、電話をかけながら インターネットに接続したりできる 34 回線交換とパケット交換 回線交換 パケット交換 通信する相手との接続が完了す るのを待ってから通信を開始する コンピュータの通信を主体に 考 えられた方式 35 コンピュータの通信 • 一台のコンピュータと多くのやり取りを行う場合が多い • 全体で、離散的に通信を行うことが多い(一つ一つのやり 取りの間にコンピュータの処理が入るため) • 多くのコンピュータと見かけ上同時に通信 通信のつど、相手を指定し、相手との通信を待って 通信する回線交換では効率が悪い 36 パケット交換/packet コンピュータが接続されている 網との間に通信路を設定すれば 相手との接続を意識しないで 自由に複数の相手と通信する方法 送信元 分割 分割されたデータがど の部分のデータなのか。 受信元 ヘッダに従い再構築 ヘッダ情報 データをパケットという単位に分割して送受信する方法 37 1. 2. 3. 長いメッセージを、短いブロックに分割。各ブロックを 1 フレームとして送信。 一つのメッセージを分割したパケットとパケットの間に、他のメッセージのパ ケットの送信を許容する。 パケットの送信要求があったとき、伝送路が空いていれば、直ちに送る。 4. 空いていなければ、空くのを待ち、空いたら直ぐに送信する。 38 パケット交換の動作 • 交換機にデータが保存される – (データが誤っていても再度送信できる) ↓ • 時間はかかるが、誤りの少ないデータを送ることができる 39 パケット交換の利点と欠点 利点 資源を効率的に利用できる 多地点間で同時に通信できる 一つの回線に、複数の種類のデータを流せる 欠点 混んだら遅くなる 途中でパケットがなくなってしまうかもしれない 順番が狂う 40 パケット交換と回線交換の違い パケット交換 回線交換 速度 一定でない 一定 料金 データ量による 課金方式 向いている 時間課金制 モバイルに データ量少 通信密度 低 通信速度はバラバラ 向いていない データ量大 通信密度 高 全二重通信 41 パケットが電話で用いられない理由 待ち時間が長く、ばらつきがある→波形が乱れる →電話として用いるには不十分 しかし・・・ 最近では高速伝送を用いることで、 電話の伝送がパケットで行われるように (Ex.IP電話) ※高速に伝送を行うことで、信号波形の形の変化を防ぐため※ 42 高速伝送のニーズとフレームリレー 最近のネットワークではパケット通信を発展させた フレームリレー方式やデータ、音声、静止画像、動 画像を混在して扱うATM方式などが考えられていま す。 43 フレームリレー方式ついて 可変長の電文を蓄積交換する方式で 伝送誤りの制御はエンドーエンドで行なわ れ,網内部での伝送誤り制御は簡略化され ている エンドーエンドとはOSIと呼ばれる7つの 階層からできるモデルのうち1~3層の 通信しあうコンピュータ同士の約束事で ある。 44 ATM 音声や動画を含めたマルチメディアネットワークを想定して作ら れたもの フレームリレーの場合は、電文(フレーム)をそのまま交換する ため、大きいサイズでは混戦して滞ってしまう。 【Asynchronous Transfer Mode】 ATMの場合、全ての文章を細分化して送ることが出来る。 53バイトの固定長のフレームを使用し,高速の通信が可能 パケット交換は局と局の間の中継を行うので信頼性の高いネッ トワークだが、処理が多いので時間がかかりやすい それぞれの局で処理をするので一度に流せるデータの総量が 限られてしまう 45 細分化のメリット 細分化して電文を細かいセルに分割することに より、セル単位の細かな制御が可能になる。 音声のようにリアルタイム性を重要視するセルは早く 送るように制御される。 フレームリレーの場合は最大電文サイズは 1,514バイトである電文が回線に送信されるとそ れが終わるまで待たなければならない。 ATMの場合待つ必要はあるが、53バイト分の時間で あり、フレームリレーに比べ圧倒的に待ち時間が少な い。 46 ATMとフレームリレーの動作原理の比較 47 フレームリレーの商用化 (ギャランティ型サービス) 従来型のサービスである 回線交換では回線が接続されると,送信 側から受信側までのすべてのルートで 固定的に決められた声帯が準備される たとえユーザが利用していなくてもこの 声帯は確保される 48 フレームリレーの商用化 (ベストエフォート型サービス) フレームリレーのサービスやATM サービスなどに取り入れられている 最近の新しい通信サービス 網内の中継回線を複数のユーザが 共有して使う 自分以外のユーザ数に影響される 49 契約速度 最低の保証値 いつ利用しようが最低でも契約速度 の通信が可能である 他のユーザ数が少なければ契約速 度以上の通信が可能である 50
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