第3章 消費関数

第3章 消費関数
1. 消費関数のパラドックス
前章での消費関数
C  c0  c(1  t )Y
C
Y
消費関数のパラドックス
ケインズ型の消費関数
平均消費性向
C c0
  c(1  t )
Y Y
クズネッツの消費関数
2.相対所得仮説
Modigliani – Dusenberry
「消費者は一定の消費慣習を持っており、現
在の消費水準は現在の所得水準のみならず
過去の最大の所得水準にも依存する」
(Y  Ymax )
aY
C
 aYmax  c(Y  Ymax ) (Y  Ymax )
歯止め効果
C
Y
3. 恒常所得仮説
Milton Friedman
「人々は消費行動を考えるとき、一時的な所得
によるのではなく、恒常的に入ってくるのではなく恒常的に
入ってくると考えられる所得によって
消費計画を立てる」
恒常所得
雇用者所得、利子所得などほぼ安定して
得られると期待できる所得
変動所得
消費者が安定して得られると期待できない
一時的な所得
恒常所得仮説
C  cYp
恒常所得
Yp  Y  (1   )Y1
短期の消費関数
長期の消費関数
恒常所得仮説と消費関数のパラドックス
C
Y
4. ライフ・サイクル仮説
Modigliani-Brunberg
「人々の消費行動は、短期的な視野に基づい
て行われるものではなく、これから将来何年
働くか、退職後何年間生活するか、資産をどの
ように保有するか等を考慮して、より長期的な
視野に基づいて行われる」
モデル
現在 T年
N年働く
L年生きる 現在の資産 A
労働期間中の年賃金率 w
毎年の消費 C
利子率 ゼロ
生涯予算制約式
毎年の消費
労働期間中の年貯蓄
退職後の貯蓄
ライフ・サイクル仮説:消費と貯蓄
C, S
0
t
ライフ・サイクル仮説:資産
資産
0
t
ライフ・サイクル仮説と消費関数のパラドックス
消費関数
平均消費性向
[ライフ・サイクル仮説:例題]
各世代の消費者は、前期と後期の2期間にわたって生き、
所得は前期においてのみ稼ぎ後期の消費は前期の貯蓄に
よってまかなわれるとする。また消費者は前期と後期に同額
の消費を行うものとする。
毎期新たに生まれてくる世代の消費者人口の増加率はn
であり、消費者一人当たりの所得の増加率はgである場合、
マクロの平均消費性向はいくらか。ただし、利子率はゼロで
あり、消費者は次世代に遺産を残さないとする。
nとgの変化は、マクロの平均消費性向にどのような影響を
与えるか。
4. 実証研究
長期と短期の消費関数
長期の消費関数
1955-1987年次データ
C  c0  c(Y  T )
推定結果
短期の消費関数
推定結果
1983-1987年次データ
ライフサイクル仮説の検証
推定式
CRA  DYRA NWR 1  
NWR:純正味資産
純正味資産
資産残高ー負債残高
資産:在庫、純固定資産、
再生不可能有形資産(土地、森林、漁場)
金融資産(株式、預金、債券、生命保険)
負債:市中借入金、政府借入金
推定結果