企業の仕組み 第五回 資金調達について

企業の仕組み
第6回 株主総会について
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会社の機関
(会社として意思決定を行い、あるいは会社として業務を行う機関)
• 会社の機関として、意思決定あるいは業務執行する主体は
自然人 (人)または 組織体 である。
• 主な会社の機関には、株主総会、取締役、代表取締役、取
締役会、監査役、監査役会などがある。
※取締役や監査役は 自然人 であるが、取締役会や監査
役会は自然人の組織体(集合)である。
※この中で、全ての株式会社にある機関は 株主総会 と
取締役である。
※その他は、委員会設置会社、大会社(公開会社、非公開
会社)、その他(公開会社、非公開会社)などの株式会社
の分類によって、不要な(義務付けられていない)場合や
設置が禁止されているものがある。
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株式会社の主な機関の関係
• 株主総会 は、株式会社の組織、運営、管理などの会社の基本
的な重要事項について意思決定を行う機関である(株主総会の設
置と年一回以上の開催が義務付けられている)。
※日常的な運営まで口出しすることは不適切
• 取締役会 あるいは 取締役 が日常的な業務執行の意思決
定を行う。取締役会を設置するには少なくても取締役が 3 人は
必要。
※取締役会を設置していない会社は、重要業務の執行に関する意思
決定を行う場合、取締役の過半数の承認が必要となる。
• さらに、取締役会が設置されている会社は、 取締役 の中から
代表取締役 を選定し、会社の業務を代表して行えるようになっ
ている。
※取締役会を設置していない会社は、取締役各自が会社を代表する。
• 株主総会は、会社経営が健全に進めるために、監査機関(監査
役、監査役会、会計監査人、会計参与など)を選任し、取締役や
代表取締役を監督する。
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株式会社の主な機関の関係図
株主総会(会社の所有者の集まりで、会社の所有者である
株主が、会社の基本に関する重大事項(組織、運営、
管理等)に関して意思決定を下す機関である。 )
選任
・
解任
選任
・
解任
報
告
取締役
(取締役会) 選定・解職
代表取締役
監
査
報
告
監査機関
日常業務の
監督と執行
従業員 (業務遂行)
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会社法で定められた株主総会の決議(法定)事項
株主総会でしか決議できない事項( 法定 事項)
1.機関に関する事項: 取締役 や 監査役 の選任・解雇
2.組織に関する事項:①資本金額の減少、②定款変更、
③事業譲渡、④解散、⑤合併、分割、
⑥株式交換、⑦株式移転
3.その他:①一定の自己株式の取得、②役員の報酬・退職
慰労金の決定、③募集株式や新株予約券発行
※株主や株主総会は、会社の 業務執行 を行う権利は
ない(取引先や販売先あるいは特定の人間と契約を結ぶ
等はできない)。
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法定事項以外の株主総会での決議事項
取締役会設置会社は、法定事項以外を決議する場合、全て
定款 で規定されていなければならない。
※取締役会設置会社では、所有と経営の分離を前提とし
て、法定事項以外は原則として取締役会で決議される。
例外事項が定款で定められることになる。
非取締役設置会社では、 株主総会 が万能機関として全
ての事項を決定することができる。
※非取締役会設置会社は小規模であることが多いから
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株主総会の決定事項
取締役会設置会社
(所有と経営の分離前提)
非取締役会設置会社
(小規模)
法定事項
法定事項以外は
全て定款に明記
法定事項以外も
全て決定可能
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株主の株主総会 議題 の提案権
取締役会設置会社
株主
議題
提案
(請求)
取締役(会)
不
適
切
な
議
題
却下
適
切
な
議
題
議題
(招集
通知
掲載)
非取締役会設置会社
議決権の1%以上を保有
あるいは300株(定款で変
更可能)以上を保有してい 全ての株主が議題を
る株主(公開会社は6か月 提案できる。
前から引き続き保有が必
要となる)
株主総会開催の 8 週間
前に取締役に請求しなけ
ればならない。
当日でも可能
議題として適切と判断されるには2条件が必要。
①会社法や定款に記載されている事項 かつ
②提案者がその議題に議決権を有する
※議題とはテーマに関するもので、議案 とは異なる。
議案は議題に沿って、具体的な案を出すことである。 8
株主の株主総会 議案 の提案権
株主
議題
提案
(請求)
取締役(会)
適切な
議題
議題(招集
通知掲載)
議案
提出
株主
取締役会設置会社
非取締役会
設置会社
議決権の1%以上を保有あるいは300株
全ての株主が
(定款で変更可能)以上を保有している
議題を提案で
株主(公開会社は6か月前から引き続き
事
きる。
保有が必要となる)
前
株主総会開催の8週間前に取締役に請
求しなければならない。
当日でも可能
全ての株主が以下の条件を満たせば議案を提
出できる
当 ①議案が株主総会の議題に関するもの
日 ②その議案が法令や定款にしていないもの
③その議案が過去3年間に10%以上の同意を
得られなかったものでないこと
※①議題に沿う議案しか出せないのは、調査時間や欠
席者への配慮が必要であるからである。③は無駄な
議案を繰り返し扱わないようにするためである。
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1株1議決権の原則
ある株式会社が10000株(議決権)発行していて、Aさんがその内
1000株(議決権)所有していたら、10%の議決権を持つことになる。
しかし、例外的に認められない場合がある。
1. 当該会社の議決権の25%以上を保有し、経営を実質的に支配
することが可能な関係にあるものとして法務省令で定める株主
(株式会社)は議決権を行使できない(= 相互保有株式 )。
2. 定款で 単元 株式を定めている場合の単元未満株(例.定款
で100株を1単元とした場合、50株では議決権は認められない)
3. 自己 株式(金庫株)
4. 議決権制限株
5. 基準日 以降に発行された株式
等
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議決権行使の方法
1. 株主総会に出席
2. 代理人 に委任
3. 書面(一定の期日まで)
第三百十一条 書面による議決権の行使は、議決権行使書面に必要
な事項を記載し、法務省令で定める時までに当該記載をした議決権
行使書面を
株式会社
に提出して行う。
4.電磁的 方法(株式会社承諾後、一定の期日まで)
第三百十二条 電磁的方法による議決権の行使は、政令で定めるとこ
ろにより、株式会社の承諾を得て、法務省令で定める時までに議決
権行使書面に記載すべき事項を、電磁的方法により当該株式会社
に提供して行う。
2 株主が第二百九十九条第三項の承諾をした者である場合には、株
式会社は、正当な理由がなければ、前項の承諾をすることを拒んで
はならない。
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決議の方法
普通決議 :通常の決議方法(定款に定めのある場合などを除く)
①議決権を有する株主の過半数が出席(定足数の要件)し、
②出席者の過半数が承認すれば、承認。
※定足数の要件は定款で軽減や撤廃が可能
特別決議 :普通決議より厳しい決議方法
①議決権を有する株主の過半数が出席(定足数の要件)し、
②出席者した株主の議決権の 3分の2 以上の承認が必要。
※定足数の要件は3分の1まで軽減が可能
特殊決議 :特別決議より厳しい決議方法
議決権を有する株主の半数以上が出席(定足数の要件)し、出
席者の議決権が全体の3分の2以上(特別多数の要件)承認。
または
総株主の半数以上が出席し、総株主 の議決権の 4分の3 以
上で承認(小規模株主多数が反対している場合有効になる)。 12