SKAによる宇宙論 高橋慶太郎 熊本大学 2013年12月18日 目次 1、標準宇宙モデル 2、標準宇宙モデルを超えて 3、電波観測による宇宙論 4、まとめ 1、標準宇宙モデル 標準宇宙モデル ・インフレーションで密度ゆらぎ生成 ・平坦 ・冷たい暗黒物質 ・宇宙定数 Planck HP ΛCDM model 宇宙論パラメータ Planck only これだけでほぼ全ての観測結果が説明できる 宇宙論パラメータ 密度ゆらぎの初期条件 A~10-9:大きさ ns~0.96:スペクトル 宇宙の構成と膨張 Ωc~0.27:暗黒物質 Ωb~0.05:バリオン ΩΛ=1- Ωc - Ωb ~0.7:宇宙定数 H0~70km/s/Mpc:現在の宇宙膨張速度 再イオン化 zre~10:再イオン化の時期 Planck 宇宙論の観測 宇宙背景放射 Ia型超新星 銀河分布 弱い重力レンズ 宇宙論の観測 宇宙背景放射 Ia型超新星 銀河分布 弱い重力レンズ ・宇宙論の要 ・宇宙誕生後40万年の ゆらぎの様子 ・ゆらぎの初期条件 +宇宙論的摂動論で きれいに予言 ・WMAP → Planck ・foregroundが問題 Planck 宇宙論の観測 宇宙背景放射 Ia型超新星 銀河分布 弱い重力レンズ ・z = 0~1.5の宇宙膨張 の進化を測る ・宇宙の加速膨張を示唆 → 暗黒エネルギー ・systematicsの理解が鍵 Conley+ 2011 宇宙論の観測 宇宙背景放射 Ia型超新星 銀河分布 弱い重力レンズ ・暗黒物質の分布を 間接的に測る ・バリオン音響振動 → 角径距離 ・パワースペクトル → ゆらぎの進化 ・赤方偏移空間歪み → 速度場 ・今後大規模化 SDSS Anderson+ 2012 宇宙論の観測 宇宙背景放射 Ia型超新星 銀河分布 弱い重力レンズ ・暗黒物質による 銀河像の歪み ・宇宙膨張とゆらぎ進化 ・観測が進みつつあり 今後の大規模化で 将来有望 背景銀河 レンズ天体 (暗黒物質) 観測 wikipedia 宇宙論の観測 宇宙背景放射 Ia型超新星 銀河分布 弱い重力レンズ Heymans+ 2013 supernova cosmology project 2011 宇宙論の観測 CMB SNIa BAO 弱重力レンズ 2000 2010 2020 宇宙論の観測 CMB SNIa BAO 弱重力レンズ 2000 電波 2010 2020 2、標準宇宙モデルを超えて 宇宙論:5つの重要問題 暗黒エネルギー(修正重力理論) 暗黒物質 ニュートリノ質量 原始密度ゆらぎの性質 背景重力波 宇宙論:5つの重要問題 暗黒エネルギー(修正重力理論) 暗黒物質 ニュートリノ質量 原始密度ゆらぎの性質 背景重力波 暗黒エネルギー constant w 宇宙を加速膨張させる エネルギー 状態方程式 p (t ) w(t ) (t ) 宇宙定数:w = -1 ・物理的実体はよくわからない ・宇宙定数は不自然 ・時間変化があるのが自然 Planck 暗黒エネルギー エネルギー 密度 放射 物質 時間 暗黒エネルギー エネルギー 密度 放射 物質 宇宙定数 時間 暗黒エネルギー エネルギー 密度 放射 物質 宇宙定数 時間 暗黒エネルギー エネルギー 密度 放射 物質 クインテッセンス → 早期暗黒エネルギー 宇宙定数 時間 暗黒エネルギー エネルギー 密度 放射 物質 再イオン化期に影響 → 21cm線で観測 クィンテッセンス → 早期暗黒エネルギー 宇宙定数 時間 原始密度ゆらぎの性質 Planck インフレーションによるゆらぎの生成 ・ほぼスケール不変 → ずれが測られている ・ほぼガウス分布 → まだずれ(非ガウス性)は見えていない 赤が多い? 青が多い? 確率 ゆらぎの 標準偏差 10-5 標準偏差 大スケール 小スケール ゆらぎの大きさ 原始密度ゆらぎの性質 非ガウス性 fNL 10 1 ゆらぎの非線形効果 サイクリックモデル 0.1 0.01 シンプルインフレーション 非標準 インフレ ーション 原始密度ゆらぎの性質 非ガウス性 fNL 10 1 Planckで否定 ゆらぎの非線形効果 サイクリックモデル 0.1 0.01 シンプルインフレーション 非標準 インフレ ーション 2020年代のサーベイ計画 名称 機関 稼働 形態 目的 Euclid ESA 2020- 人工衛星 暗黒エネルギー LSST USA 2022- 地上望遠鏡 汎用 WFIRST NASA 2023- 人工衛星 汎用 3、電波観測による宇宙論 電波観測による宇宙論 原始密度 ゆらぎ continuum survey → 弱重力レンズ HI line survey(近傍宇宙) → 銀河分布 再イオン化期の中性水素 ・中性水素密度ゆらぎ ・21cm forest z = 0.8のHI intensity mapping 暗黒エネルギー 早期暗黒 エネルギー Chang+ 2010 電波観測による宇宙論 初めての電波宇宙論 ASKAP-WALLABY(HI) 9,600 hours 30,000 deg2 angular resolution: 30” 7×105 redshifts redshift: 0-0.26 黄:ASKAP 赤:optical (2dF, 2005) Duffy+ 2012 Euclid “Red Book” Abdalla+ 2010 SKA survey 1yr, 20,000 deg2 FOV=10 deg2 continuum survey 0.03μJy~SKA2 redshift survey 0.3μJy~SKA1 Euclid SKA2 project redshift imaging start SKA1 108 109 ~2020 SKA2 109 1010 ~2026 Euclid 108 109 ~2020 SKA1 暗黒エネルギー探査 Abdalla+ 2010 SKAによるバリオン音響振動 のシミュレーション ・1 year ・20,000 deg2 redshift distribution HI mass function 状態方程式への制限 Abdalla+ 2010 黒:SKA1 BAO+Planck 黄:SKA2 BAO+Planck 時間変化する状態方程式への制限 黒:Euclid all+Planck 黄:SKA2 all+Planck Abdalla+ 2010, Euclid “Red Book” 早期暗黒エネルギー探査 Wyithe+ 2007 高赤方偏移でのバリオン 音響振動観測 ・MWA5000 ~ SKA1 ・3,000 hour Anderson+ 2012 暗黒エネルギー エネルギー 密度 放射 物質 宇宙定数 時間 暗黒エネルギー エネルギー 密度 放射 物質の10%以上なら検出できる 物質 宇宙定数 時間 暗黒エネルギー エネルギー 密度 放射 物質の10%以上なら検出できる 物質 本当に宇宙定数なのか 宇宙定数 時間 SKA時代の宇宙論 (誤差) = (統計誤差) + (系統誤差) SKA時代の宇宙論 (誤差) = (統計誤差) + (系統誤差) 天体が多いほど小さい SKA時代には十分な天体 cosmic varianceの壁 SKA時代の宇宙論 (誤差) = (統計誤差) + (系統誤差) 天体が多いほど小さい 理論の不定性 望遠鏡特性 SKA時代には十分な天体 cosmic varianceの壁 数が多ければいいという 時代は終わる。 弱重力レンズのsystematics shear 重力レンズ 望遠鏡特性 元々の形 相関 どのような形の銀河がどこにできるか。 モデル化は難しい。単なる誤差ではなく 系統的なズレが生じる。 intrinsicの推定はEuclidの最重要課題 弱重力レンズのsystematics 電波と可視光の相互相関 Patel+ 2010 VLA, MERLIN ⇔ HST 電波と光の楕円の向きの相関 弱重力レンズのsystematics 積分偏波角と光学像の相関 Stil+ 2009 偏波度 < 0.03 @4.8GHz Beck & Hoernes, 1996 spiral gals Virgo gals 偏波度 > 0.03 @4.8GHz 弱重力レンズのsystematics 暗黒物質分布再構成のシミュレーション Brown+ 2011 e-MERLIN SKA1 弱重力レンズのsystematics 電波と可視光の相互相関 小さい 積分偏波角によって intrinsicな形を推定 できる 天体を選ぶと 電波と光の 相関は小さい systematicsをとても小さくできる可能性がある 非ガウス性 ISW(CMBと銀河の相関) によるfNLへの制限 銀河のパワースペクトル によるfNLへの制限 Planck fNL = 1の壁 SKA cosmology team 非ガウス性への制限 非ガウス性 fNL 10 1 Planckで否定 ゆらぎの非線形効果 サイクリックモデル 0.1 0.01 シンプルインフレーション 非標準 インフレ ーション Carlton Baugh 非ガウス性:multi-tracer Seljak 2009 cosmic varianceをなくす 異なるbiasを持つ2種の天体 1 b1 DM b2 2 2 b2 DM b1 1 ランダム性が消える! biasは基本的に定数だが 非ガウス性があると スケール依存性が出る。 b( k ) b0 f NL b( k ) cosmic varianceなしに 非ガウス性を制限できる 非ガウス性:multi-tracer Ferramacho+ in preparation SKA1で観測される様々な種類の活動銀河の パワースペクトルからfNLを制限 青:活動銀河まとめて 黒:SF I, SF II, RQQを分離(X線も使う) fNL = 1の壁を崩す! 非ガウス性:EoR cosmology 昔の宇宙では大きなスケールが小さく見える → biasのスケール依存性を見るのに有利 cf. Yokoyama+ 2011 Joudaki+ 2011 Tashiro+ 2012 Chongchitnan & Silk 2012 mini-haloによる21cm線ゆらぎを大領域で観測 → fNL=0.1に到達可能(SKA1, 1000 hours) fNL = 1の壁を崩す! 非ガウス性への制限 非ガウス性 fNL 10 1 Planckで否定 ゆらぎの非線形効果 サイクリックモデル 0.1 0.01 シンプルインフレーション 非標準 インフレ ーション 非ガウス性への制限 非ガウス性 fNL 10 1 Planckで否定 ゆらぎの非線形効果 SKA1 サイクリックモデル 0.1 0.01 シンプルインフレーション 非標準 インフレ ーション 非ガウス性への制限 非ガウス性 fNL 10 1 Planckで否定 ゆらぎの非線形効果 SKA1 サイクリックモデル 非標準 インフレ ーション 0.1 SKA2(妄想, in preparation) 0.01 シンプルインフレーション インフレーションは本当にあったか? 密度ゆらぎ スペクトル 重力波 強さ スペクトル 非ガウス性 インフレーションは本当にあったか? 密度ゆらぎ スペクトル 重力波 強さ スペクトル 非ガウス性 インフレーションは本当にあったか? 密度ゆらぎ スペクトル 重力波 強さ スペクトル 非ガウス性 インフレーションは本当にあったか? 密度ゆらぎ スペクトル 重力波 強さ スペクトル 非ガウス性 インフレーションは本当にあったか? 密度ゆらぎ スペクトル 重力波 強さ スペクトル 非ガウス性 インフレーションは本当にあったか? 密度ゆらぎ スペクトル SKAがインフレーションを 最終的に検証する 重力波 強さ スペクトル 非ガウス性 4、まとめ SKAによる宇宙論 電波による宇宙論がもうすぐ始まる SKAは宇宙論の大きなの謎に答える ・暗黒エネルギー(修正重力理論) 「本当に宇宙定数か?」 ・原始密度ゆらぎの性質 「本当にインフレーションは起こったか?」
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