国際経済の基礎 WTOとFTA 丹野忠晋 跡見学園女子大学マネジメント学部 2007年1月11日 1 他の貿易障壁 数量割り当て (Quotas) 輸出自主規制 (Voluntary Export Restraints) VER 数量割り当ては保護される国内企業にとっ て関税よりも有利 関税収入を放棄しているので自国にとって 不利 輸入許可証の保有者に輸入割当レント 2 輸出自主規制 保護手段として関税,数量割り当てが禁止さ れる傾向 輸出国に「自主的に」輸出を制限する保護手 段がVER 1980年代の日本が米国に対して実施 引き受けなければもっと厳しい数量割り当て 日本の自動車メーカーは共謀できる 3 VER 生産削減により価格の引き上げが可能 通常は反トラスト法(日本では独禁法)で禁止 日本のメーカーは利潤を上げ,米国の消費 者は損失を被る 輸入割当レントは輸出業者へ 日本のメーカーは小型車から大型車へ輸出 のシフト 4 非関税障壁 数量割り当てとVERの重要度は下がる 保護主義の手段として保健衛生関連の規制 が様々な形で悪用された 鳥インフルエンザ 狂牛病 アメリカン産の牛肉を禁輸することにより国 内の業者を保護 5 「公正貿易」法 「公正な競争」を保証するため様々な法律を 制定 実際には輸入を抑制する保護主義的な措置 ダンピング (Dumping) セーフガード措置 補助金 相殺関税 報復関税 (Countervailing duties) 6 反ダンピング法 ダンピングとは費用を下回ったり,輸出国の 国内販売価格を下回る価格で外国に生産物 を販売する方法 輸入国の消費者は歓迎 略奪的価格付け:採算を度外視した販売に より国内企業を市場から駆逐,その後独占 的な価格付けを行う 7 補助金の給付 しかし,市場は競争的であればそのような心 配はいらない.価格引き上げはできない 外国企業への補助金によって費用を下げて 競争上有利にさせる 国内の消費者にとっては歓迎すべき事 個々の消費者の利益は小さいが国内産業 は少数 8 セーフガード措置 ロビーング活動によって様々な対策 相殺関税 報復関税 (Countervailing duties) あるいは輸出補助金 輸入の急増にはセーフガード措置が取られ る 経済環境の急激な変化に対応する時間的な 猶予を与える 9 保護主義の根拠 国内価格が上昇すると企業の利潤が上昇 企業団体は十分に組織化されている 企業の倒産と失業 中国からの輸出と輸入 機械部品の輸出による利益 > 繊維製品 メーカーの不利益 輸出業者が繊維産業に補償を行うことはな い 10 輸入により失業の発生? 輸入急増も経営者が直面するリスクの一つ 自動車導入により馬車輸送は打撃を受けた 同様に海外からの安価な製品に門戸を閉ざ すのも同じ間違い 繊維産業から電子機器産業へ新しい職を見 つけられるか? , 11 近隣窮乏化政策 純輸出=輸出-輸入 輸入増加→純輸出減少→GDP減少→失業 の増加 輸入を減らして国民所得を増やす政策を近 隣窮乏化政策(beggar my neighbor policy) 12 世界恐慌の教訓 戦略的貿易政策 輸入増加部門の賃金 競争の促進 幼稚産業保護論 13
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